説明

プリント基板製造方法及びソルダーレジスト印刷装置、半導体装置

【課題】 非接触方式にてソルダーレジストを印刷し、品質の安定化と共に生産効率を向上させるプリント基板製造方法及びソルダーレジスト印刷装置、半導体装置を提供する。
【解決手段】 ソルダーレジスト印刷工程(S4)において、ロード工程(S41)は、上記配線パターン及び基準マークを設けたテープ基材を上記印刷機構へ順次繰り出す。位置決め工程(S42)は、印刷機構におけるステージ上で基準マークの認識によりテープ基材に対する印刷ヘッドの位置決めをする。次いで印刷機構の印刷ヘッドからピエゾジェット方式でレジスト剤を吐出制御し、配線パターンの所定領域を含むテープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷する(S42)。ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、テープ基材を使用する製品の情報、例えば設計時のテープ図面に応じて変換された印刷データを取得する。印刷ヘッドはこの印刷データに従って制御される。なお、吐出制御されるレジスト剤は、粘度を安定化させるための温度調整がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にソルダーレジストパターニングを伴う回路基板が適用されるプリント基板製造方法及びソルダーレジスト印刷装置、これらを利用した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの実装にプリント基板、フレキシブルテープ基板等が利用される。これらの基板の表面には配線パターンが形成されている。この配線パターンのうち、実装に関係しない、保護の必要性がある領域はソルダーレジストが塗布されている。ソルダーレジストは、一般的にスクリーン印刷方式で塗布される。スクリーン印刷方式は、スキージと機種専用の印刷マスクを活用する接触方式である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ソルダーレジストは、加工条件として、印刷マスクの開口サイズ、スキージにおける速度、印圧、押し込み量、クリアランス(ギャップ)、及び形状や角度等の調整を必要とする。また、レジスト粘度や乾燥温度といった条件も影響する。また、生産性はマスクエリア内での製品取得個数に依存する。
【0004】
スクリーン印刷方式は、接触方式のため、マスクとスキージが摩耗する。従って、品質の安定化のためには、マスクやスキージの定期的な清掃等のメンテナンス、交換が必要である。また、使用するレジスト剤の粘度管理は重要である。
【特許文献1】特開平1−188385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリーン印刷方式による、従来のソルダーレジスト印刷製造方法では、次のような問題がある。
印刷マスク、スキージは消耗品であり、製作費や保管等の維持費がかかる。上述の加工条件が変動すれば、品質の安定化が困難である。よって、定期的なマスク清掃等、作業工数を要し、生産効率を低下させる原因にもなる。また、新機種毎にマスクの製作納期が必要であり、切替え時間を要し、これも生産効率を低下させる原因になる。
さらに、印刷マスクを使用するため、印刷位置精度が良いとはいえない。また、機構的にソルダーレジスト塗布の際に気泡が発生し易く、にじみも発生し易い。また、レジスト剤の粘度管理は困難である。
【0006】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたもので、非接触方式にてソルダーレジストを印刷し、品質の安定化と共に生産効率を向上させるプリント基板製造方法及びソルダーレジスト印刷装置、これらを利用した半導体装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリント基板製造方法は、基材の少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを形成する工程と、少なくとも前記基準マークの認識により前記基材を位置決めする工程と、インクジェット方式で吐出制御されるレジスト剤により前記配線パターンの所定領域を含む前記基材上にソルダーレジストパターンを印刷する工程と、を含む。
【0008】
上記本発明に係るプリント基板製造方法によれば、基準マークの認識で基材の位置決めがなされ、インクジェット方式でソルダーレジストパターンを印刷する。印刷マスクやスキージ等が不要になり、非接触で印刷するため接触摩耗は無い。印刷の位置精度も高められ、気泡やにじみが抑制され品質の安定化が図れる。
【0009】
なお、上記本発明に係るプリント基板製造方法は、好ましくは次のようないずれかの特徴を有してソルダーレジストパターン印刷の信頼性を向上させる。
前記配線パターン及び基準マークは、前記基材上に積層した金属層をフォトリソグラフィ技術の利用を経て選択的にエッチングすることにより同時に得ることを特徴とする。
前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、前記基材を使用する製品の情報に応じて変換された印刷データに従って印刷ヘッドが選択的に前記レジスト剤を吐出させることを特徴とする。
前記インクジェット方式で吐出制御されるレジスト剤は、粘度を安定化させるための温度調整がなされることを特徴とする。
前記インクジェット方式は、ピエゾジェット方式であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプリント基板製造方法は、少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを設けたフレキシブルなテープ基材をインクジェット方式の印刷機構へ順次繰り出すロード工程と、前記印刷機構におけるステージ上で少なくとも前記基準マークの認識により前記テープ基材を位置決めする工程と、前記印刷機構の印刷ヘッドからピエゾジェット方式でレジスト剤を吐出制御し、前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷する工程と、前記ソルダーレジストパターンのキュア工程と、前記ソルダーレジストパターンが設けられた前記テープ基材を順次巻き取るアンロード工程と、を含む。
【0011】
上記本発明に係るプリント基板製造方法によれば、印刷機構へのロード工程を経てステージ上での基準マークの認識からテープ基材の位置決めがなされる。ソルダーレジストパターンはピエゾジェット方式による非接触印刷である。印刷マスクやスキージ等が不要になり、非接触で印刷するため接触摩耗は無い。印刷位置精度が高められると共に、気泡やにじみが抑制され、品質の安定化が図れる。ソルダーレジストパターンの形成されたテープ基材はキュア工程、アンロード工程へと移行する。
【0012】
なお、上記本発明に係るプリント基板製造方法は、好ましくは次のようないずれかの特徴を有してより効率的なソルダーレジスト印刷を実現する。
前記印刷ヘッドは、定期的な自動ヘッドクリーニング、より長期的にはヘッド交換により前記レジスト剤の吐出の安定化を図ることを特徴とする。
前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、前記テープ基材を使用する製品の情報に応じて変換された印刷データに従って前記印刷ヘッドが選択的に前記レジスト剤を前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上に噴き付けることを特徴とする。
前記キュア工程は、乾燥炉を介しての乾燥、または前記乾燥炉を省略した前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程後の乾燥であることを特徴とする。
少なくとも前記レジスト剤の粘度を管理するために前記印刷ヘッド側及び前記ステージ側で温度調整することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るソルダーレジスト印刷装置は、少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを設けたフレキシブルなテープ基材の所定領域を一時的に固定するステージと、前記テープ基材を使用する製品の情報に応じて印刷データを取得するデータ変換機構と、前記ステージ上方で前記基準マークの認識による位置決めがなされ、前記印刷データに応じて前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷するインクジェット方式によるレジスト剤の吐出制御が可能な印刷ヘッドと、を含む。
【0014】
本発明に係るソルダーレジスト印刷装置によれば、ステージ上に一時的に固定されたテープ基材は、基準マーク認識により印刷ヘッドの正確な位置決めが可能である。また、ソルダーレジストパターンは、データ変換機構による印刷データに応じたインクジェット方式による非接触印刷である。印刷マスクやスキージ等が不要で接触摩耗はなく、印刷位置精度も高められ、かつ気泡やにじみが抑制される。また、ソルダーレジストパターンの変更は、印刷データを変更するだけでよい。印刷マスク製作をし直すのに比べてコストと時間の削減に大いに寄与する。
【0015】
上記本発明に係るソルダーレジスト印刷装置において、好ましくは次のようないずれかの特徴を有して、より効率的で信頼性の高いソルダーレジストパターン印刷を実現させる。
前記印刷ヘッドは、より広域の印刷が可能な多列ヘッド構成としていることを特徴とする。
前記ステージ及び印刷ヘッドは、少なくともレジスト剤の粘度に影響を与える温度調整が可能であることを特徴とする。
前記テープ基材のローダー及びアンローダーをさらに含むことを特徴とする。
前記テープ基材のローダー、アンローダー、及びアンローダーの前段に乾燥機構、検査機構をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る半導体装置は、少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークが設けられ、かつ前記基準マークにより印刷位置が決められインクジェット方式を用いて印刷されたソルダーレジストパターンを有するフレキシブルなテープ基材と、
前記テープ基材において前記ソルダーレジストパターンに覆われる以外の前記配線パターンの所定部に実装された半導体部品と、を含む。
【0017】
上記本発明に係る半導体装置によれば、印刷位置精度の高い、気泡やにじみが抑制されたソルダーレジストパターンが設けられている。
なお、上記本発明に係る半導体装置において、前記テープ基材はTCP用基材、COF用基材のうちいずれかの形態を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント基板製造方法を示す流れ図である。FPC(flexible printed circuit)の製造に関する一例を説明する。また、図2、図3は、上記プリント基板製造方法に関する参照用の工程断面図である。これらの図を参照して以下説明する。
【0019】
金属層付きのテープ基材は、ポリイミド等、フレキシブルなテープ基材の少なくとも一主面に、金属層(例えば銅)が形成されている。このような金属層付きのテープ基材は、ガイド穴(パーフォレーション)、機種に応じた位置決め穴、必要ならデバイスホール等の打ち抜きを含むプレス加工を経ている(S1)。
【0020】
FPCは、例えばTCP(tape carrier package)用製品とCOF(chip on film)用製品がある(図2、図3参照)。TCP用製品は、基材においてICチップが実装されるデバイスホールを要する。TCP用製品の場合、デバイスホール等を含むプレス加工後にテープ基材と銅箔のラミネートがなされる。一方、COF用製品であればデバイスホールは形成しない。COF用製品の場合、テープ基材と金属層(銅)の積層後、プレス加工を経る。
【0021】
その後、製品仕様等設計処理に応じた配線パターン及び基準マークを形成する(S2)。配線パターン及び基準マークは、フォトリソグラフィ技術を利用して同時に形成される。なお、破線矢印で示すエッチングレジストコート処理(S21)は、TCP用製品のようなデバイスホールを有する基材に対する特有の処理であり、基材の裏面側にもエッチングレジストをコーティングする。これは配線パターンエッチの際、エッチング液がパターン裏側に回り込まないようにする対策である。従って、レジスト剥離処理は、TCP用製品では基材表裏のレジストを剥離することになる。図2(a),図3(a)は、それぞれTCP用製品、COF用製品の配線パターン(図示しないが基準マーク含む)が形成された状態を示す。
工程間検査(S3)は、配線パターン等が規格どおりに形成されているか否かを調べる。
【0022】
次に、ソルダーレジスト印刷工程に移行する(S4)。この実施形態方法の中核をなす工程であり、インクジェット方式の印刷機構を利用する。ここではインクジェット方式として、ピエゾ圧電効果を利用したピエゾジェット方式を採用する。すなわち、ピエゾ素子の伸張制御によるレジスト剤の吐出制御がソルダーレジスト印刷に応用される。
【0023】
ソルダーレジスト印刷工程(S4)において、ロード工程(S41)は、上記配線パターン及び基準マークを設けたテープ基材を上記印刷機構へ順次繰り出す。位置決め工程(S42)は、印刷機構におけるステージ上で少なくとも基準マークの認識によりテープ基材に対する印刷ヘッドの位置決めをする。基準マークの認識は、例えばCCDカメラによる位置検出で達成する。次いで印刷機構の印刷ヘッドからピエゾジェット方式でレジスト剤を吐出制御し、配線パターンの所定領域を含むテープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷する((S42)、または(図2(b)、図3(b)参照)。
【0024】
上記ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、テープ基材を使用する製品の情報、例えば設計時のテープ図面に応じて変換された印刷データを取得する。印刷ヘッドはこの印刷データに従って選択的にレジスト剤をテープ基材上(配線パターンの所定領域を含む)に噴き付ける。なお、吐出制御されるレジスト剤は、粘度を安定化させるための温度調整がなされることが高品質を伴う量産に寄与する。例えば、印刷ヘッド側やステージ側で温度調整、管理がなされるとよい。
【0025】
その後のキュア工程(S43)は、ソルダーレジストパターンを乾燥し、定着させる。キュア工程は、乾燥炉の利用が考えられる。レジスト剤の選定によっては、規模や時間を縮小できる可能性がある。次のアンロード工程(S44)は、ソルダーレジストパターンが設けられたテープ基材を印刷機構から順次送出し巻き取る。
【0026】
その後、メッキ工程に移行する(S5)。すなわち、ソルダーレジストパターンに覆われていない配線パターンの露出表面に所定の金属メッキを施す。図2(c)に示すように、TCP製品では例えばSnまたはAuメッキ、また、図3(c)に示すように、COF製品では例えばAuメッキが施される。
【0027】
次に、機種に応じた、折り曲げや穴等、サイズに関係するプレス加工(S6)、必要なら所定幅に分割するためのスリット形成工程(S7)を経る。その後、導通試験によりオープン/ショートを検査するO/S検査(S8)、そして、汚れ、異物付着等の外観不良を検出する最終検査(S9)の各工程を経て梱包出荷となる。
【0028】
上記実施形態の方法によれば、テープ基材は基準マークの認識で位置決め検出がなされ、インクジェット方式(ピエゾジェット方式)でソルダーレジストパターンを印刷する。これにより、従来の印刷マスクやスキージ等が不要になる。非接触で印刷するため接触摩耗は無く、消耗品が出難いので経済的である。印刷ヘッドは、定期的な自動ヘッドクリーニング、より長期的にはヘッド交換をする。これにより、レジスト剤の吐出の安定化が図れる。
【0029】
基準マークは配線パターンと同時に形成されるので、印刷の位置精度も高められる。従来の印刷マスクやスキージを使用するタイプではないので、気泡やにじみが抑制され品質の安定化が図れる。ソルダーレジストパターンを印刷する印刷ヘッドはピエゾジェット方式を用い、テープ図面等製品の情報に応じて変換された印刷データに従ってレジスト剤を吐出制御する。従って、ソルダーレジストパターンが異なる機種変更に対しては、印刷データを変更するだけでよい。図面変換ソフトの活用により、新機種の切替え作業が容易であり、少量多品種生産に優位である。従来の印刷マスク製作をし直すのに比べてコストと時間の削減に大いに寄与する。レジスト剤は、安定した粘度を保持することが重要であり、品質向上、高い量産性につながる。印刷ヘッド側やステージ側の温調管理で、レジスト剤の粘度を安定化させることもできる。
【0030】
図4は、本発明の第2実施形態に係るソルダーレジスト印刷装置の要部を示すブロック図である。フレキシブルなテープ基材100は、少なくとも一主面に配線パターン及び基準マーク(図示せず)が設けられた状態である。ローダー101は、上記テープ基材100を印刷機構102へ順次繰り出す。ステージ103は、送られてきたテープ基材100の所定領域を吸着し、一時的に固定する。また、ステージ103は、吸着したテープ基材100の温度を一定に保つための温度調整機構103tが配備されている。
【0031】
データ変換機構104には、予めテープ基材100を使用する製品の情報、例えばテープ図面を印刷データに変換する図面変換ソフトが構築してある。これにより、データ変換機構104は、製品に応じた印刷データを取得している。位置検出機構105は、テープ基材100の基準マークの位置検出をCCDカメラにより行い、印刷ヘッド106の位置制御に反映させる。印刷ヘッド106は、ステージ103上方に接近するように配備されている。印刷ヘッド106は、ソルダーレジストのレジスト剤SRをインクジェット方式で吐出制御することができる。より具体的には、印刷ヘッド106は、レジスト剤の入ったカートリッジ107が搭載され、ピエゾジェット方式でレジスト剤SRを吐出制御できる。
【0032】
印刷ヘッド106は、位置検出機構105によりテープ基材100に対して位置決めされる。その後、印刷ヘッド106は、データ変換機構104からの印刷データに従って、レジスト剤SRを選択的にテープ基材100上における配線パターンの所定領域に噴き付け、ソルダーレジストパターンを印刷する。なお、印刷ヘッド106は、多列ヘッド搭載形態が好ましい。より広域のソルダーレジストパターンの印刷に対応できるからである。
【0033】
印刷ヘッド106は、カートリッジ107内のレジスト剤の温度を一定に保つための温度調整機構106tが配備されている。これにより、レジスト剤の粘度を安定化させる。この印刷ヘッド106内の温度調整機構106tと、上記ステージ103内の温度調整機構103tは、温調管理部108の司令を受け制御される。温調管理部108は、レジスト剤の吐出前後の粘度を一定に保つように温度調整機構106t及び温度調整機構103tをフィードバック制御する。温調管理部108は、必要であれば予めテープ基材100を使用する製品の仕様、条件等の情報を取得し、制御に反映させることも考えられる(破線矢印C1)。
【0034】
乾燥機構109は、ソルダーレジストパターンの印刷されたテープ基材100を繰り入れ、ソルダーレジストパターンを乾燥させる。乾燥機構109は、温調管理部108の制御を受けることも考えられる(破線矢印C2)。検査機構110は、少なくともソルダーレジストパターンの外観検査を行う。アンローダー111は、ソルダーレジストパターンが設けられたテープ基材100を印刷機構から順次送出し巻き取る。
【0035】
上記実施形態の構成によれば、ステージ103上に一時的に固定されたテープ基材100は、基準マーク認識により印刷ヘッド106の正確な位置決めが可能である。また、ソルダーレジストパターンは、データ変換機構104による印刷データに応じたインクジェット方式(ピエゾジェット方式採用)による非接触印刷である。従来の印刷マスクやスキージ等が不要で接触摩耗はなく、印刷位置精度も高められ、かつ気泡やにじみが抑制される。印刷ヘッド106は、定期的な自動ヘッドクリーニング、より長期的にはヘッド交換をする。これにより、レジスト剤の吐出の安定化が図れる。従来の印刷マスク、スキージなどの清掃、メンテナンスに比べれば、所要時間は短縮でき、メンテナンス間隔は長期化できるので、はるかに効率がよい。
また、機種変更などによるソルダーレジストパターンの変更は、データ変換機構104への印刷データの変更だけでよい。従来の印刷マスク製作をし直すのに比べてコストと時間の削減に大いに寄与する。また、温調管理部108、温度調整機構106t及び温度調整機構103tによって、レジスト剤の吐出前後の安定性が得られ、高い印刷精度が期待できる。
【0036】
なお、上記実施形態の構成によれば、テープ基材100の位置決めは、印刷ヘッド106がテープ基材100に対して微調整移動することにより、達成される形態を示した。これに限らず、テープ基材100を吸着するステージ103側が微調整移動することにより、位置決めを達成するようにしてもよい。
【0037】
また、乾燥機構109は、レジスト剤SRの選定によっては、規模の縮小や省略できることも考えられる。簡易的なある程度の長距離台を置くだけで済む場合も考えられる。また、検査機構110も、規模の縮小や省略が考えられる。簡易的な長距離台を置き、オペレータが定期的に観察する程度でもよい。
【0038】
図5は、本発明の第3施形態に係るソルダーレジスト印刷装置の要部を示すブロック図であり、図4の構成の変形例である。前記第2実施形態と同様の箇所は同一の符号を付す。図5の構成では、レジスト剤供給機構115が設けられている。レジスト剤供給機構115は、印刷ヘッド106内のカートリッジ107にレジスト剤を補給する。レジスト剤供給機構115は、タンク116内のレジスト剤の温度を一定に保つための温度調整機構116tが配備されている。これにより、レジスト剤の粘度を安定化させる。温調管理部108は、温度調整機構106tと温度調整機構103tに加え、この温度調整機構116tの温度制御司令を担う。その他の構成は前記第2実施形態の図4の構成と同様であるため説明は省略する。
【0039】
上記実施形態の構成によれば、カートリッジ107の交換は省略できる。前記第2実施形態では、カートリッジ107内のレジスト剤がなくなるとカートリッジ交換が必要である。この第3実施形態では、カートリッジ交換に伴う稼働停止時間をなくすることができる。タンク116内のレジスト剤が規定量を下回ったら新たなタンク116と交換、またはタンク116へのレジスト剤の注ぎ足し等で対処でき、装置の稼働率を低下させない利点がある。その他の構成は前記図4と同様であり、前記第2実施形態での説明と同様の効果が得られる。
【0040】
図6、図7は、それぞれ本発明の第4施形態に係る半導体装置の要部を示す平面図であり、図6はTCPの構成、図7はCOFの構成を示す。
図6において、TCP用基材61は、少なくとも一主面に配線パターン62及び基準マーク63が設けられている。さらに、TCP用基材61は、基準マーク63により印刷位置が決められインクジェット方式(ピエゾジェット方式採用)を用いて印刷されたソルダーレジストパターン64を有する。このようなTCP用基材61においてソルダーレジストパターン64に覆われる以外の配線パターン62の所定部にICチップ65が実装されている。すなわち、ICチップ65は、TCP用基材61のデバイスホール周縁部のインナリードに電気的に接続されている。また、ICチップ65主表面及び接続部は、例えば液状レジン67により保護されている。
【0041】
図7において、COF用基材71は、少なくとも一主面に配線パターン72及び基準マーク73が設けられている。さらに、COF用基材71は、基準マーク73により印刷位置が決められインクジェット方式(ピエゾジェット方式採用)を用いて印刷されたソルダーレジストパターン74を有する。このようなCOF用基材71においてソルダーレジストパターン74に覆われる以外の配線パターン72の所定部にICチップ75及びその他の電子部品76が実装されている。すなわち、ICチップ75及びその他の電子部品76は、COF用基材71上に露出した端子に電気的に接続されている。
【0042】
上記各実施形態によれば、インクジェット方式(ピエゾジェット方式採用)による非接触印刷でソルダーレジストパターン64または74が形成されている。このようなソルダーレジストパターン64または74は、従来に比べ気泡やにじみが抑制され印刷精度も高いものとなっている。ICチップ65またはICチップ75及びその他の電子部品76の実装に高信頼性が得られる。
【0043】
以上各実施形態によれば、テープ基材は、ステージ上での基準マークの認識により位置決めがなされ、インクジェット方式(ピエゾジェット方式採用)による非接触印刷でソルダーレジストパターンが印刷される。非接触で印刷するため接触摩耗がなく、印刷位置精度が高められると共に、気泡やにじみが抑制され、品質の安定化が図れる。また、ソルダーレジストパターンは、印刷データを変更すれば容易に変えられるので、新機種の切替え作業は短時間で済み、少量多品種生産に有利である。従来のような印刷マスク製作をし直すのに比べてコストと時間の削減に大いに寄与する。この結果、非接触方式にてソルダーレジストを印刷し、品質の安定化と共に生産効率を向上させるプリント基板製造方法及びソルダーレジスト印刷装置、半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施形態に係るプリント基板製造方法を示す流れ図。
【図2】図1に示すプリント基板製造方法に関する第1の参照用の工程断面図。
【図3】図1に示すプリント基板製造方法に関する第2の参照用の工程断面図。
【図4】第2実施形態に係るソルダーレジスト印刷装置の要部を示すブロック図。
【図5】第3施形態に係るソルダーレジスト印刷装置の要部を示すブロック図。
【図6】第4施形態に係る半導体装置の要部を示す第1平面図。
【図7】第4施形態に係る半導体装置の要部を示す第2平面図。
【符号の説明】
【0045】
S1〜S9,S21,S41〜S44…処理ステップ、100…テープ基材、101…ローダー、102…印刷機構、103…ステージ、103t,106t,116t…温度調整機構、104…データ変換機構、105…位置検出機構、106…印刷ヘッド、107…カートリッジ、108…温調管理部、109…乾燥機構、110…検査機構、111…アンローダー、115…レジスト剤供給機構、116…タンク、SR…レジスト剤(ソルダーレジスト)、61…TCP用基材、62,72…配線パターン、63,73…基準マーク、64,74…ソルダーレジストパターン、65,75…ICチップ、71…COF用基材、76…電子部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを形成する工程と、
少なくとも前記基準マークの認識により前記基材を位置決めする工程と、
インクジェット方式で吐出制御されるレジスト剤により前記配線パターンの所定領域を含む前記基材上にソルダーレジストパターンを印刷する工程と、
を含むプリント基板製造方法。
【請求項2】
前記配線パターン及び基準マークは、前記基材上に積層した金属層をフォトリソグラフィ技術の利用を経て選択的にエッチングすることにより同時に得る請求項1記載のプリント基板製造方法。
【請求項3】
前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、前記基材を使用する製品の情報に応じて変換された印刷データに従って印刷ヘッドが選択的に前記レジスト剤を吐出させる請求項1または2記載のプリント基板製造方法。
【請求項4】
前記インクジェット方式で吐出制御されるレジスト剤は、粘度を安定化させるための温度調整がなされる請求項1〜3いずれか一つに記載のプリント基板製造方法。
【請求項5】
前記インクジェット方式は、ピエゾジェット方式である請求項1〜4いずれか一つに記載のプリント基板製造方法。
【請求項6】
少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを設けたフレキシブルなテープ基材をインクジェット方式の印刷機構へ順次繰り出すロード工程と、
前記印刷機構におけるステージ上で少なくとも前記基準マークの認識により前記テープ基材を位置決めする工程と、
前記印刷機構の印刷ヘッドからピエゾジェット方式でレジスト剤を吐出制御し、前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷する工程と、
前記ソルダーレジストパターンのキュア工程と、
前記ソルダーレジストパターンが設けられた前記テープ基材を順次巻き取るアンロード工程と、
を含むプリント基板製造方法。
【請求項7】
前記印刷ヘッドは、定期的な自動ヘッドクリーニング、より長期的にはヘッド交換により前記レジスト剤の吐出の安定化を図る請求項6記載のプリント基板製造方法。
【請求項8】
前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程は、前記テープ基材を使用する製品の情報に応じて変換された印刷データに従って前記印刷ヘッドが選択的に前記レジスト剤を前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上に噴き付ける請求項6または7記載のプリント基板製造方法。
【請求項9】
前記キュア工程は、乾燥炉を介しての乾燥、または前記乾燥炉を省略した前記ソルダーレジストパターンを印刷する工程後の乾燥である請求項6〜8いずれか一つに記載のプリント基板製造方法。
【請求項10】
少なくとも前記レジスト剤の粘度を管理するために前記印刷ヘッド側及び前記ステージ側で温度調整する請求項6〜9いずれか一つに記載のプリント基板製造方法。
【請求項11】
少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークを設けたフレキシブルなテープ基材の所定領域を一時的に固定するステージと、
前記テープ基材を使用する製品の情報に応じて印刷データを取得するデータ変換機構と、
前記ステージ上方で前記基準マークの認識による位置決めがなされ、前記印刷データに応じて前記配線パターンの所定領域を含む前記テープ基材上にソルダーレジストパターンを印刷するインクジェット方式によるレジスト剤の吐出制御が可能な印刷ヘッドと、
を含むソルダーレジスト印刷装置。
【請求項12】
前記印刷ヘッドは、より広域の印刷が可能な多列ヘッド構成としている請求項11記載のソルダーレジスト印刷装置。
【請求項13】
前記ステージ及び印刷ヘッドは、少なくともレジスト剤の粘度に影響を与える温度調整が可能である請求項11または12記載のソルダーレジスト印刷装置。
【請求項14】
前記テープ基材のローダー及びアンローダーをさらに含む請求項11〜13いずれか一つに記載のソルダーレジスト印刷装置。
【請求項15】
前記テープ基材のローダー、アンローダー、及びアンローダーの前段に乾燥機構、検査機構をさらに含む請求項11〜13いずれか一つに記載のソルダーレジスト印刷装置。
【請求項16】
少なくとも一主面に配線パターン及び基準マークが設けられ、かつ前記基準マークにより印刷位置が決められインクジェット方式を用いて印刷されたソルダーレジストパターンを有するフレキシブルなテープ基材と、
前記テープ基材において前記ソルダーレジストパターンに覆われる以外の前記配線パターンの所定部に実装された半導体部品と、
を含む半導体装置。
【請求項17】
前記テープ基材はTCP用基材、COF用基材のうちいずれかの形態を有する請求項16記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−114807(P2006−114807A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302580(P2004−302580)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】