説明

プリント配線基板およびそれを用いたモータ駆動用の複合回路基板

【課題】小サイズで、かつ、放熱性に優れたモータ駆動用の回路基板を低コストで提供する。
【解決手段】モータ駆動用の回路基板は、モータを駆動するためのMOSFET21u,21v,21w,22u,22v,22wなどの電子部品を含む駆動部が形成される金属製の単層回路基板200と、駆動部に電源を供給する給電回路部が形成されるプリント配線基板100とによって構成される。プリント配線基板100の基板本体の片面には、絶縁性硬質薄膜としてのDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)120が形成される。そのDLC膜120を介して、ヒートシンクとして機能するアルミ製の金属基板300がプリント配線基板100に重着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、および、これを用いたモータ駆動用の複合回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の電動パワーステアリングシステムは、運転者がハンドルに与えた操舵トルクや車両の速度などに応じて、好適な操舵補助力が得られるように操舵補助用モータを駆動する。操舵補助用モータは、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)に内蔵されたモータ駆動回路によって駆動される。モータ駆動回路は、操舵補助用モータを駆動するときに500W〜2000W程度の大電力を制御する。
【0003】
このときモータ駆動回路は発熱するが、この発熱によるECUの誤動作や故障を防止するために、モータ駆動回路は熱伝導性の良い回路基板に実装される。モータ駆動回路は、例えば図8に示すように、アルミ製の金属基板93(ヒートシンク)の上に銅製の導体層91と樹脂製の絶縁層92を1層ずつ形成した金属製の回路基板(以下、「単層回路基板」という。)に実装される。図8に示した単層回路基板には電子部品を片面(具体的には、導体層91の上)にしか実装できないので、ECU内でこの回路基板の占有面積が大きくなる。
【0004】
そこで基板面積を縮小する1つの方法として、図9に示すように、導体層91と樹脂製の絶縁層92とを交互に積層することにより回路基板を多層化する方法が考えられる。また、回路基板を単純に多層化した場合には熱伝導性の悪い樹脂製の絶縁層92が重なり電子部品で発生した熱の放熱性が低下するので、導体層91とセラミック製の絶縁層とが交互に複数積層された回路基板(以下、「セラミック多層基板」という。)も提案されている。
【0005】
なお、本願発明に関連して、以下のような先行技術が知られている。特許文献1には、熱伝導性を有する金属基体とダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の絶縁性非晶質炭素膜と2層以上の金属層とを備えた構造体の発明が開示されている。特許文献2には、グラファイトシートと該グラファイトシートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン薄膜とを有する熱伝導部材の発明が開示されている。特許文献3には、多層回路基板において積層回路部の最上層の導体層と最下層の絶縁層とを放熱ビアで接続することにより低コストで熱伝導性を良くすることが開示されている。
【特許文献1】特開2006−245235号公報
【特許文献2】特開2003−8263号公報
【特許文献3】特開2008−182184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、モータ駆動回路を単層回路基板に実装すると、基板の面積が大きくなる。また、樹脂製の絶縁層92を含む多層回路基板にモータ駆動回路を実装すると、充分な放熱性が得られない。さらに、セラミック多層基板については、熱伝導性が良く基板面積が小さいという特長があるが、コストが非常に高いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、小サイズで、かつ、放熱性に優れたモータ駆動用の回路基板を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、導体層と樹脂製の絶縁層とを交互に複数積層してなる基板本体と、
前記基板本体の片面に形成された絶縁性硬質薄膜とを備えたプリント配線基板である。
【0009】
第2の発明は、モータ駆動用の複合回路基板であって、
第1の発明に係るプリント配線基板と、
前記プリント配線基板と電気的に接続されモータ駆動素子が載置される単層回路基板とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、
前記モータ駆動素子に電源を供給する給電回路が前記プリント配線基板の基板本体に設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記プリント配線基板の基板本体と前記単層回路基板とが前記絶縁性硬質薄膜を介して積層されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の発明によれば、絶縁性硬質薄膜がプリント配線基板に形成される。このため、熱伝導性の良い金属基板をこのプリント配線基板に上記絶縁性硬質薄膜を介して積層する構成とすることにより、従来よりもプリント配線基板の放熱性を高めることができる。
【0013】
上記第2の発明によれば、比較的放熱性に優れた単層回路基板と多層化が容易で安価なプリント配線基板とによってモータ駆動用の回路基板が構成される。このため、放熱性を損なうことなく、かつ、セラミック基板を積層したセラミック多層基板よりも低コストで、多層化による小型化が可能なモータ駆動用の回路基板を得ることができる。
【0014】
上記第3の発明によれば、給電用の配線をプリント配線基板の内層に形成することができる。これにより、給電用のバスバーが不要となり、モータ駆動用の回路基板が小型化される。
【0015】
上記第4の発明によれば、単層回路基板と多層のプリント配線基板とが積層された構成となるので、モータ駆動用の回路基板の面積を従来よりも小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<1.プリント配線基板の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線基板(PCB:Printed Circuit Board)の外観斜視図である。図1に示すプリント配線基板100は、導体層と樹脂製の絶縁層とが交互に複数積層された基板本体110と、その基板本体110の片面に形成された絶縁性硬質薄膜120とによって構成されている。絶縁性硬質薄膜120については、基板本体110の片面の一部に形成されていても良いし、基板本体110の片面全体に形成されていても良い。なお、絶縁性硬質薄膜120が形成されている面を「裏面」とし、その他方の面を「表面」とする。ここで、「絶縁性硬質薄膜」とは、ヌープ硬度(Hk)が500〜2500であって、膜厚が20μm(マイクロメートル)以下であり、電気抵抗が1MΩ(メガオーム)以上である膜をいう。また、以下においては、絶縁性硬質薄膜としてダイヤモンドライクカーボン膜(以下、「DLC膜」という。)が採用されているものとして説明する。
【0018】
図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図2に示す積層構造において、図2の上側を下層とし、図2の下側を上層とする。基板本体110については、導体層11と絶縁層12とが交互に積層されている。これらの層は、複数の導体層11と複数の絶縁層12とを熱圧着することにより形成される。導体層11は金属で形成され、絶縁層12はガラス繊維に絶縁樹脂材を含浸させた合成物(いわゆる、プリプレグ)で形成されている。導体層11は熱伝導性の良い金属で、絶縁層12は1W/m・K以上の熱伝導性を有する樹脂で形成することが好ましい。以下の説明では、導体層11は銅で、絶縁層12はガラス繊維とエポキシ樹脂の合成物で形成されているとする。最上層の導体層11には、電子部品をはんだ付けするために、ニッケルメッキを下地とした金メッキ19が施されている。最下層の導体層11は、DLC膜120によってコーティングされている。
【0019】
また、導体層11の各層間を電気的に接続するとともに電子部品で発生した熱を逃がすために、基板本体110には放熱ビア111が設けられている。放熱ビア111は、図2に示すように、導体層11と絶縁層12の厚さ方向に形成されている。より詳細には、放熱ビア111は、最上層の導体層11に接する絶縁層12から最下層の導体層11までを貫く孔の内面に導体層112を形成し、内部に樹脂113を充填したものである。導体層112は、銅メッキなどの金属メッキによって形成されている。樹脂113には、絶縁層12を形成するときと同じ樹脂(ここでは、ガラス繊維とエポキシ樹脂の合成物)を使用してもよい。このように形成された放熱ビア111は、電子部品が載置される最上層の導体層11とDLC膜120とを内面に形成された導体層112で接続する。
【0020】
DLC膜120については、例えば公知のプラズマCVD法やPVD法によって最下層の導体層11上に形成される。DLC膜120は、含有シリコンの濃度が順次変化する傾斜DLC層と、シリコンを含まないDLC層とからなる。まず最下層の導体層11上にクロム層またはチタン層を形成し、その上に傾斜DLC層を形成する。次に、シリコンを含まないDLC層を形成する。傾斜DLC層は、クロム層(またはチタン層)側でシリコン含有量が多く(例えば10〜20at%)、それから離れるにつれて徐々に少なくなり、シリコンを含まない傾斜DLC層側で最も少なくなっている(例えば0〜4at%)。この場合、膜厚を1〜2μmと非常に薄くすることができるので、熱抵抗を下げることができる。このため、電子部品から発生する熱を、例えばDLC膜120を介してこのプリント配線基板100に貼り付けられる金属基板まで、放熱ビア111経由で熱伝導性よく伝搬させることができる。ここで、クロム層(またはチタン層)および傾斜DLC層を、最下層の導体層11とシリコンを含まないDLC層との間に挟むのは、両者の密着性を良くするためである。また、上記のクロム層と傾斜DLC層との間に、さらに窒化クロム層を形成してもよい。この場合、高い面圧力が加わっても、DLC膜120の崩壊を防止することができる。また、DLC膜120に水素を含めることによって、DLC膜120を硬くして、導体層11との剥離を抑制することができる。この場合、剥離を抑制する観点から、水素の含有量を20〜40atomパーセントとすることが好ましい。なお、DLC膜120にシリコンを含めることによってもDLC膜120を硬くすることができる。
【0021】
<2.モータ駆動用の複合回路基板>
上述のプリント配線基板100は、例えば、電動パワーステアリングシステム用のモータ駆動回路基板などに利用される。モータ駆動回路基板は、電動パワーステアリングシステム用ECU(電子制御ユニット)に内蔵して使用される。ECUには、操舵補助用モータに供給する駆動電流の量を算出するモータ制御回路と、大電流を制御して操舵補助用モータを駆動するモータ駆動回路とが含まれている。モータ制御回路の動作時の発熱量はそれほど多くないが、モータ駆動回路の動作時の発熱量はかなり多い。
【0022】
本実施形態においては、モータ駆動回路のうちモータ駆動素子(例えば、大電力を取り扱うように設計されたパワーMOSFET)などの電子部品を含みモータ制御回路から与えられるPWM信号に基づいてモータを駆動する駆動部と該駆動部に電源を供給する給電回路部とは異なる回路基板に形成されている。図3は、図1に示すプリント配線基板100を含み上記モータ駆動回路が形成される複合回路基板の構成を示す外観斜視図である。駆動部はアルミなどの金属基板210とその金属基板210上に形成された絶縁層220とからなる単層回路基板200に形成され、給電回路部はプリント配線基板100に形成されている。なお、金属基板210はヒートシンクとして機能する。また、モータ制御回路はこれらとは別の回路基板に、例えばECUの内部に並べて実装される。
【0023】
プリント配線基板100の表面(上面)には、電源配線導体13と接地配線導体14と給電用のパッド15,16とが形成されている。給電用のパッド15は2本または3本以上のアルミ線43で電源のプラス極41に接続され、給電用のパッド16は2本または3本以上のアルミ線43で電源のマイナス極42に接続されている。給電用のパッド15と電源配線導体13とは、このプリント配線基板100の内層に設けられた電源層(不図示)を介して接続されている。給電用のパッド16と接地配線導体14とは、このプリント配線基板100の内層に設けられたグラウンド層(不図示)を介して接続されている。
【0024】
単層回路基板200の表面(上面)には、6つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )21u,21v,21w,22u,22v,22wと、電源配線導体23と、モータ配線導体24u,24v,24wとが形成されている。MOSFET21u,21v,21w表面(上面)のソース接続端子(ソースパッド)とモータ配線導体24u,24v,24wとはそれぞれ2本または3本以上のアルミ線43でワイヤボンディングされている。なおこれらはボンディング以外の周知の手法により接続されていてもよい。また、これらのMOSFET21u,21v,21w裏面(下面)のドレイン電極は電源配線導体23に接続されている。なおこれらの接続にははんだが使用されダイボンディングされているが、それ以外の周知の手法により接続されていてもよい。
【0025】
MOSFET22u,22v,22w表面(上面)のソース接続端子(ソースパッド)と接地配線導体14とはそれぞれ2本または3本以上のアルミ線43でワイヤボンディングされている。なおこれらはボンディング以外の周知の手法により接続されていてもよい。また、これらのMOSFET22u,22v,22w裏面(下面)のドレイン電極はそれぞれモータ配線導体24u,24v,24wに接続されている。モータ配線導体24u,24v,24wはそれぞれ2本または3本以上のアルミ線43で電動モータ各相の入力端44u,44v,44wに接続されている。
【0026】
以上のようにして、図4に示す回路構成のモータ駆動回路が実現されている。このモータ駆動回路はシャント抵抗25と上述した6つのMOSFET21u,21v,21w,22u,22v,22wとによって構成され、モータ制御回路より各MOSFETのゲート電極に与えられるPWM信号に基づいてモータ駆動回路はモータを駆動する。
【0027】
また、図3に示すように、本実施形態においては、上述したDLC膜120を介して、プリント配線基板100裏面(下面)にヒートシンクとして機能するアルミ製の金属基板300が重着されている。この重着は、プリント配線基板100と金属基板300とをネジ(不図示)で固定することによって行われる。その際、プリント配線基板100と金属基板300との隙間を埋めるために、プリント配線基板100と金属基板300との間に熱伝導性の良いグリースが塗布される。なお、アルミ製の金属基板300については、ECUの筐体を兼ねる構成であっても良い。
【0028】
さらに、本実施形態においては、電子部品で発生した熱を逃がすために、図5に示すように、プリント配線基板100の基板本体110内に放熱ビア111が設けられている。なお、図5に示す積層構造においては、図5の上側を上層とし、図5の下側を下層とする。電子部品の中には、動作時の発熱量が多いものと、動作時の発熱量がそれほど多くないものとが含まれる。このうち発熱量が多い電子部品の実装位置には、1個以上任意個の放熱ビア111が設けられる。電子部品で発生した熱は、最上層の導体層11と放熱ビア111の内面に形成された導体層112とを経由してDLC膜120まで伝搬し、そこからさらに金属基板300に伝搬する。このように、放熱ビア111は、電子部品で発生した熱をヒートシンクとしての金属基板300に接するDLC膜120まで熱伝導性良く伝える役割を果たす。
【0029】
ここで、放熱ビア111は、DLC膜120に接する最下層の導体層11を貫くが、DLC膜120を貫かないように形成されている。これにより、最上層の導体層11が、金属基板300を介して他の最上層の導体層11と短絡されることを防止することができる。DLC膜120は、この短絡を防止するために設けられている。なお、DLC膜120は樹脂接着剤と比較して薄く形成することができる。このため、最下層の導体層11と金属基板300との間の絶縁層として本実施形態のようにDLC膜120を採用することによって、絶縁層での熱抵抗が小さくなり、放熱性が高められる。
【0030】
なお、図5に示す放熱ビア111は最上層の導体層11とだけ電気的に接続されているが、放熱ビアを最上層以外の導体層11と電気的に接続してもよい。例えば図6に示す放熱ビア114は、最上層の導体層11に加えて、第3層の導体層11(導体層11と絶縁層12の双方を含めて上から3番目の層)にも電気的に接続されている。この放熱ビア114は、最上層の導体層11と第3層の導体層11とを電気的に接続するビアを、最下層の導体層11を貫くように延ばしたものである。このように、導体層間を電気的に接続するビアを延ばして放熱ビアを形成することにより、放熱ビアを設けることによる基板面積の増大を防止することができる。
【0031】
<3.効果>
本実施形態に係るモータ駆動用の複合回路基板は、金属製の単層回路基板200とプリント配線基板100とによって構成されている。金属製の単層回路基板200については比較的放熱性に優れており、プリント配線基板100については多層化が容易で安価である。このため、従来と比較して放熱性を損なうことなく、また、セラミック基板を積層したセラミック多層基板よりも低コストで、多層化したモータ駆動用の回路基板を製造することができる。これにより、モータ駆動用の回路基板の小型化が低コストで実現される。
【0032】
また、本実施形態によれば、プリント配線基板100の裏面(下面)にDLC膜120が形成され、そのDLC膜120を介して、ヒートシンクとして機能するアルミ製の金属基板300とプリント配線基板100とが積層された構成となっている。ここで、熱伝導率についてDLCと接着性の樹脂とを比較すると接着性の樹脂よりもDLCの方が高く、また、DLCの場合には膜厚を薄くすることができる。このため、プリント配線基板100と金属基板300との間の絶縁層としての領域での熱抵抗が小さくなり、プリント配線基板100で生じた熱がアルミ製の金属基板300に速やかに伝えられる。また、本実施形態においては、プリント配線基板100は放熱ビア111を備えているので、電子部品で発生した熱が放熱ビア111経由で熱伝導性良く金属基板300まで伝搬する。これにより、発熱に起因する誤動作や故障が効果的に抑制される。
【0033】
さらに、上記DLC膜120は比較的硬質であるので、プリント配線基板100とアルミ製の金属基板300との接合面における摩擦による影響を小さくすることができる。また、プリント配線基板100の導体層11とアルミ製の金属基板300とを樹脂接着剤で接着した場合には、銅とアルミとの線膨張係数の違いに起因して、接着樹脂の崩れやプリント配線基板100側に掛かる応力によるはんだの劣化が生じるが、本実施形態では、DLC膜120を介してプリント配線基板100と金属基板300とがネジで固定されているので、そのようなことはない。
【0034】
<4.変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。図7は、上記実施形態の変形例におけるモータ駆動用の複合回路基板の構成を示す外観斜視図である。図7に示すように、本変形例においては、金属基板210とその金属基板210上に形成された絶縁層220とからなる単層回路基板(金属製の単層回路基板)200の表面(上面)にDLC膜120を介してプリント配線基板100が載置された構成となっている。具体的には、単層回路基板200とプリント配線基板100とが、DLC膜120を介してネジ止めで固定されている。なお、上記実施形態と同様、駆動部は金属製の単層回路基板200に形成され、給電回路部はプリント配線基板100に形成されている。また、MOSFET等の構成要素間の接続関係についても上記実施形態と同様になっている。
【0035】
本変形例によっても、モータ駆動用の複合回路基板は金属製の単層回路基板200とプリント配線基板100とからなるので、放熱性を損なうことなく、かつ、セラミック基板を積層したセラミック多層基板よりも低コストで、小型化されたモータ駆動用の回路基板が実現される。また、本変形例ではプリント配線基板100と単層回路基板200とが積層された構造となっているところ、給電回路部が形成されるプリント配線基板100の厚さは約1ミリメートルである。これに対して、図8に示したような単層回路基板に給電回路部を形成する場合、基板上に給電用のバスバーを取り付けなければならない。バスバーの厚さは約1ミリメートルであるが、バスバーを基板上に取り付けるための部品の高さも必要となる。以上より、本変形例によれば、従来よりも小型化が可能となる。
【0036】
また、上記実施形態および変形例においては絶縁性硬質薄膜としてDLC膜120を採用する例を挙げて説明しているが、DLC膜120に代えて窒化クロム膜あるいは酸化クロム膜を絶縁性硬質薄膜として採用する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリント配線基板の外観斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1に示すプリント配線基板を含む複合回路基板の構成を示す外観斜視図である。
【図4】上記実施形態におけるモータ駆動回路の回路図である。
【図5】図1に示すプリント配線基板に含まれる放熱ビアの断面図である。
【図6】上記実施形態において、放熱ビアの構成の別の例を示す断面図である。
【図7】上記実施形態の変形例に係る複合回路基板の構成を示す外観斜視図である。
【図8】従来の単層回路基板の断面図である。
【図9】従来の多層回路基板の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
11…導体層、12,220…絶縁層、13,23…電源配線導体、14…接地配線導体、15,16…給電用のパッド、19…ニッケルメッキを下地とした金メッキ、21u,21v,21w,22u,22v,22w…MOSFET、24u,24v,24w…モータ配線導体、25…シャント抵抗、41…電源のプラス極、42…電源のマイナス極、43…アルミ線、44u,44v,44w…モータの入力端、100…プリント配線基板、110…基板本体、111,114…放熱ビア、112…導体層、113…樹脂、120…ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)、200…金属製の単層回路基板、210,300…金属基板(ヒートシンク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と樹脂製の絶縁層とを交互に複数積層してなる基板本体と、
前記基板本体の片面に形成された絶縁性硬質薄膜とを備えた、プリント配線基板。
【請求項2】
モータ駆動用の複合回路基板であって、
請求項1に記載のプリント配線基板と、
前記プリント配線基板と電気的に接続されモータ駆動素子が載置される単層回路基板とを備えたことを特徴とする、複合回路基板。
【請求項3】
前記モータ駆動素子に電源を供給する給電回路が前記プリント配線基板の基板本体に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の複合回路基板。
【請求項4】
前記プリント配線基板の基板本体と前記単層回路基板とが前記絶縁性硬質薄膜を介して積層されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の複合回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−129554(P2010−129554A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299056(P2008−299056)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】