説明

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板温度調節方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させる。
【解決手段】チャック10にほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、チャック10を温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材10a,10b,10cにより構成する。チャック10の各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路11a,11b,11cをそれぞれ独立して設け、チャック10を構成する構成部材10a,10b,10cの境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路11b,11cを、隣接する構成部材にまたがって配置する。チャック10の各温度調節領域の温度を別々の温度センサー12で検出し、各温度センサー12の検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへそれぞれ独立して供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板温度調節方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、基板をXY方向へステップ移動させて、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板温度調節方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
プロジェクション方式の投影露光装置では、投影光学系を構成する光学部品の光学特性が周囲の温度により変化するため、露光装置内の温度を一定に制御する必要がある。これに対し、プロキシミティ露光装置は、投影露光装置の様な投影光学系を備えておらず、投影光学系の光学部品の光学特性が温度変化により影響を受けるという問題は無い。一方、プロキシミティ露光装置では、マスクと基板とを一対一に向き合わせて基板の露光を行うため、露光光の照射により基板の温度が上昇すると、基板が熱膨張して、パターンの露光が精度良く行われない。そのため、プロキシミティ露光装置では、露光装置内での基板の温度管理が重要となり、従来は、基板を搭載するチャックに冷却水や冷却液等の熱媒体を流して、基板の温度を調節していた。
【0004】
近年、表示用パネルの各種基板の製造では、大型化及びサイズの多様化に対応するため、比較的大きな基板を用意し、表示用パネルのサイズに応じて、1枚の基板から1枚又は複数枚の表示用パネル基板を製造している。その場合、プロキシミティ方式では、基板の一面を一括して露光しようとすると、基板と同じ大きさのマスクが必要となり、高価なマスクのコストがさらに増大する。そこで、基板より比較的小さなマスクを用い、基板をXY方向へステップ移動させて、基板の一面を複数のショットに分けて露光する方式が主流となっている。
【0005】
基板の一面を複数のショットに分けて露光する場合、ショット毎に露光光が照射される基板上の位置が異なるため、基板の温度が基板全体で均一にならないという問題がある。特許文献1には、チャックに並列接続された複数の熱媒体流路を設け、各熱媒体流路の出口側で熱媒体の出口温度を測定し、熱媒体の出口温度に基づいて各熱媒体流路を通過する熱媒体の流量を制御して、チャックの温度の均一化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−122673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の表示用パネルの大画面化に伴い基板が大型化すると、チャックも大型化し、チャックの内部に形成される熱媒体通路が長くなって、熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が大きくなる。そのため、大型の基板の温度を精度良く均一にするには、特許文献1に記載されている様に複数の熱媒体通路を並列接続するよりも、複数の熱媒体通路を独立に設けて各熱媒体通路を短くし、各熱媒体通路を流れる熱媒体の温度をそれぞれ独立に調節することが望ましい。
【0008】
また、従来、チャックは、アルミニウム等の金属材料から成る部材を加工して製造され、チャック全体が1つの部材で構成されていた。しかしながら、チャックが大型化すると、チャックの加工及び運搬が困難になり、チャックを複数の構成部材に分割して構成する必要が出てきた。チャックを複数の構成部材に分割して構成する場合、基板の一面を複数のショットに分けて露光すると、基板の露光光が照射されている部分を支持している構成部材の温度が他の構成部材に比べて高くなり、全体を1つの部材で構成していた従来のチャックに比べて、チャック全体の温度を均一にするのが難しいという問題が生じた。
【0009】
本発明の課題は、複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させることである。また、本発明の課題は、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置において、チャックが、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成され、チャックの各温度調節領域には、熱媒体が流れる熱媒体通路がそれぞれ独立して設けられ、チャックを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路が、隣接する構成部材にまたがって配置され、チャックの各温度調節領域の温度を検出する複数の温度センサーと、各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給する複数の第1の熱媒体供給装置とを備えたものである。
【0011】
また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法であって、チャックにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、チャックを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、チャックの各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、チャックを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置し、チャックの各温度調節領域の温度を別々の温度センサーで検出し、各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、基板の温度を調節するものである。
【0012】
チャックにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、各温度調節領域の温度を別々の温度センサーで検出し、各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、基板の温度を調節するので、各温度調節領域の熱媒体通路が短く済み、各熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなって、各温度調節領域で基板の温度が均一に精度良く調節される。そして、チャックを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置するので、チャックを構成する構成部材間の温度差が小さくなって、チャック全体の温度が均一化される。従って、複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度が均一に精度良く調節され、露光精度が向上する。
【0013】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、チャックが、ほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を有し、温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成されたものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法は、チャックにほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャックを温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成するものである。
【0014】
プロキシミティ露光装置で露光精度を向上させるためには、露光時に、基板をより平坦に支持しなければならない。そのため、基板を支持するチャックには、高い平坦度が要求され、特に、基板が大型化する程、チャックの平坦度の要求が強くなる。しかしながら、チャックを複数の構成部材に分割して構成する場合、構成部材を二方向に二次元的に並べると、各構成部材を表面の高さが同じになる様に設置することが難しい。チャックにほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャックを温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成するので、各構成部材を表面の高さが同じになる様に設置することが容易となり、チャックの平坦度が高くなって、露光精度がさらに向上する。
【0015】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路が、入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に有し、各温度センサーが、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出するものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法は、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、各温度センサーにより、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出するものである。
【0016】
本発明では、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路が短く済み、各熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなるが、依然として、各熱媒体通路の入口付近と出口付近で熱媒体の温度差が発生し、この熱媒体の温度差は、温度調節領域毎にばらつく。また、ほぼ同じ大きさの一方向に並んだ各温度調節領域の一辺の両側付近に熱媒体通路の入口及び出口を設ける際、入口及び出口の位置を各温度調節領域で同じにすると、1つの温度調節領域の熱媒体通路の入口と、隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口とが近くに配置され、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度が、隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受ける。チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、各温度センサーにより、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出し、各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給するので、各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差のばらつき、及び隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受けることなく、各温度調節領域の熱媒体通路へ供給する熱媒体の温度が調節される。
【0017】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを備え、温度調節プレートが、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成され、温度調節プレートの各温度調節領域には、熱媒体が流れる熱媒体通路がそれぞれ独立して設けられ、温度調節プレートを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路が、隣接する構成部材にまたがって配置され、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、温度調節プレートの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給する複数の第2の熱媒体供給装置を備えたものである。
【0018】
また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法は、チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを設け、温度調節プレートにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、温度調節プレートを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、温度調節プレートの各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、温度調節プレートを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置し、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、温度調節プレートの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、チャックへ搬送する前の基板の温度を調節するものである。
【0019】
チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを設け、温度調節プレートにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、チャックへ搬送する前の基板の温度を調節するので、各温度調節領域の熱媒体通路が短く済み、各熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなって、各温度調節領域で基板の温度が均一に精度良く調節される。そして、温度調節プレートを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置するので、温度調節プレートを構成する構成部材間の温度差が小さくなって、温度調節プレート全体の温度が均一化される。従って、チャックへ搬送する前の大型の基板の温度が均一に精度良く調節され、露光精度がさらに向上する。
【0020】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法を用いて基板の温度を調節しながら、基板の露光を行うものである。複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度が均一に精度良く調節され、露光精度が向上するので、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法によれば、チャックにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、各温度調節領域の温度を別々の温度センサーで検出し、各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、基板の温度を調節することにより、各温度調節領域で基板の温度を均一に精度良く調節することができる。そして、チャックを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置することにより、チャックを構成する構成部材間の温度差を小さくして、チャック全体の温度を均一化することができる。従って、複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法によれば、チャックにほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャックを温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成することにより、チャックの平坦度を高くして、露光精度をさらに向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法によれば、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、各温度センサーにより、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出することにより、各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近と出口付近での熱媒体の温度差のばらつき、及び隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受けることなく、各温度調節領域の熱媒体通路へ供給する熱媒体の温度を調節することができる。
【0024】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法によれば、チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを設け、温度調節プレートにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、チャックへ搬送する前の基板の温度を調節することにより、各温度調節領域で基板の温度を均一に精度良く調節することができる。そして、温度調節プレートを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置することにより、温度調節プレートを構成する構成部材間の温度差を小さくして、温度調節プレート全体の温度を均一化することができる。従って、チャックへ搬送する前の大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させることができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図である。
【図3】基板をチャックにロードした状態を示す上面図である。
【図4】チャックを露光位置へ移動した状態を示す上面図である。
【図5】チャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるチャックの上面図である。
【図7】熱媒体供給装置が接続されたチャックの上面図である。
【図8】基板の露光領域の一例を示す図である。
【図9】基板を搭載したチャックの上面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態によるチャックの上面図である。
【図11】熱媒体供給装置が接続されたチャックの上面図である。
【図12】本発明の一実施の形態による温度調節プレートの上面図である。
【図13】熱媒体供給装置が接続された基板温度調節プレートの上面図である。
【図14】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図15】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、温度調節プレート30、プレート台40、基板搬送ロボット50、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2では、基板搬送ロボット50、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0028】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0029】
図1及び図2において、ベース3の手前には、チャック10へ搬送する前の基板1の温度を調節する温度調節プレート30が設けられている。図2に示す様に、温度調節プレート30は、プレート台40に搭載されている。図1において、温度調節プレート30の横には、基板搬送ロボット50が配置されている。基板搬送ロボット50は、基板1を図示しない搬送ラインから温度調節プレート30へ搬送する。そして、基板搬送ロボット50は、温度調節プレート30により温度が調節された基板1を温度調節プレート30からチャック10へ搬送し、また露光後の基板をチャック10から図示しない搬送ラインへ搬送する。
【0030】
温度調節プレート30への基板1の搭載及び温度調節プレート30からの基板1の取り出しは、温度調節プレート30に設けた図示しない複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、温度調節プレート30の内部に収納されており、温度調節プレート30の内部から上昇して、基板1を温度調節プレート30に搭載する際、基板搬送ロボット50のハンドリングアーム51から基板1を受け取り、基板1を温度調節プレート30から取り出す際、基板搬送ロボット50のハンドリングアーム51へ基板1を受け渡す。
【0031】
図1及び図2において、チャック10は、基板1のロード及びアンロードを行うロード/アンロード位置にある。ロード/アンロード位置において、基板搬送ロボット50により、基板1がチャック10へ搬入され、また基板1がチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた図示しない複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボット50のハンドリングアーム51から基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボット50のハンドリングアーム51へ基板1を受け渡す。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持する。
【0032】
図3は、基板をチャックにロードした状態を示す上面図である。また、図4はチャックを露光位置へ移動した状態を示す上面図、図5はチャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。なお、図3及び図4では、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。また、図5では、温度調節プレート30、プレート台40、基板搬送ロボット50、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。
【0033】
図4及び図5において、基板1の露光を行う露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20は、マスク2の周辺部を真空吸着して保持する。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。基板1の表面には、感光樹脂材料(フォトレジスト)が塗布されており、露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0034】
図2及び図4において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図2及び図4の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図2及び図4の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10の裏面を複数個所で支持する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。
【0035】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向(図4の図面上下方向)へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、マスク2と基板1との位置合わせが行われる。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向へ回転を行う。
【0036】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。また、本実施の形態では、Xステージ5及びYステージ7によりチャック10をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行っているが、マスクホルダ20をXY方向へ移動するステージを設けて、マスクホルダ20をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行ってもよい。
【0037】
図6は、本発明の一実施の形態によるチャックの上面図である。チャック10は、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、図6では、各温度調節領域の境界が二点鎖線で示されている。本実施の形態では、チャック10は、全体が4つの温度調節領域に分けられ、各温度調節領域は、Y方向に細長いほぼ同じ大きさの長方形で、X方向に隣接して並べて配置されている。
【0038】
また、チャック10は、大型のチャック10の加工及び運搬を容易にするため、温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材10a,10b,10cを組み合わせて構成されており、図6では、各構成部材10a,10b,10cの境界が実線で示されている。本実施の形態では、チャック10は、3つの構成部材10a,10b,10cにより構成され、各構成部材10a,10b,10cは、Y方向に細長い長方形で、X方向に隣接して並べて配置されている。構成部材10aは、X方向の幅が温度調節領域より大きく、チャック10の中央に配置されている。構成部材10b,10cは、X方向の幅が温度調節領域より小さく、構成部材10aの両側にそれぞれ配置されている。
【0039】
チャックを複数の構成部材に分割して構成する場合、構成部材を二方向に二次元的に並べると、各構成部材を表面の高さが同じになる様に設置することが難しい。本実施の形態では、チャック10にほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャック10を温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材10a,10b,10cにより構成するので、各構成部材10a,10b,10cを表面の高さが同じになる様に設置することが容易となり、チャック10の平坦度が高くなる。
【0040】
さらに、チャック10の中央に配置した構成部材10aが、チャック10の周辺部に配置した構成部材10b,10cより大きいので、構成部材10aにより基板1の中央部が連続的に平坦に支持される。
【0041】
図6において、チャック10の各温度調節領域には、冷却水や冷却液等の熱媒体が流れる熱媒体通路11a,11b,11cがそれぞれ独立して設けられており、図6では、各構成部材10a,10b,10cの内部に形成された熱媒体通路11a,11b,11cが破線で示されている。本実施の形態では、構成部材10aのX方向の幅を温度調節領域より大きくし、構成部材10b,10cのX方向の幅を温度調節領域より小さくした結果、主に構成部材10bを通過する熱媒体通路11bの一部が、隣接する構成部材10aにまたがって配置され、主に構成部材10cを通過する熱媒体通路11cの一部が、隣接する構成部材10aにまたがって配置されている。各熱媒体通路11a,11b,11cの入口及び出口には、配管を介して、冷却水や冷却液等の熱媒体を供給する熱媒体供給装置が接続される。
【0042】
図7は、熱媒体供給装置が接続されたチャックの上面図である。チャック10の各温度調節領域には、各温度調節領域の温度を検出する温度センサー12がそれぞれ取り付けられている。そして、チャック10の各温度調節領域に対応して、複数の熱媒体供給装置13が設けられている。各熱媒体供給装置13は、配管14を介して、各熱媒体通路11a,11b,11cの入口及び出口に接続されている。各熱媒体供給装置13は、各温度センサー12の検出結果に基づいて、それぞれ独立に熱媒体の温度を調節し、温度を調節した熱媒体をチャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへそれぞれ独立して供給する。
【0043】
チャック10にほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路11a,11b,11cをそれぞれ独立して設け、各温度調節領域の温度を別々の温度センサー12で検出し、各温度センサー12の検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへそれぞれ独立して供給して、基板の温度を調節するので、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cが短く済み、各熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなって、各温度調節領域で基板1の温度が均一に精度良く調節される。
【0044】
図8は、基板の露光領域の一例を示す図である。図8は、基板1の表面を破線で示す6つの露光領域A,B,C,D,E,Fに分け、1枚の基板1から6枚の表示用パネル基板を製造する例を示している。各露光領域と同じ大きさのマスクを用いる場合、基板1の露光は、露光領域A,B,C,D,E,Fの順に6回のショットに分けて行われる。
【0045】
図9は、基板を搭載したチャックの上面図である。基板1の露光領域A又は露光領域Fの露光では、チャック10の構成部材10a,10b,10cの内、露光領域A又は露光領域Fの下面を支持している構成部材10a,10cの温度が構成部材10bに比べて上昇し、特に構成部材10aに比べて体積の小さい構成部材10cの温度が最も上昇する。しかしながら、本実施の形態では、図6及び図7に示す様に、構成部材10cを通過する熱媒体通路11cの一部が、隣接する構成部材10aにまたがって配置されているので、構成部材10cから構成部材10aへの熱伝導が効率良く行われ、構成部材10a,10c間の温度差が小さくなって、チャック10全体の温度が均一化される。
【0046】
図9において、基板1の露光領域C又は露光領域Dの露光では、チャック10の構成部材10a,10b,10cの内、露光領域C又は露光領域Dの下面を支持している構成部材10a,10bの温度が構成部材10cに比べて上昇し、特に構成部材10aに比べて体積の小さい構成部材10bの温度が最も上昇する。しかしながら、本実施の形態では、図6及び図7に示す様に、構成部材10bを通過する熱媒体通路11bの一部が、隣接する構成部材10aにまたがって配置されているので、構成部材10bから構成部材10aへの熱伝導が効率良く行われ、構成部材10a,10b間の温度差が小さくなって、チャック10全体の温度が均一化される。
【0047】
図10は、本発明の他の実施の形態によるチャックの上面図である。また、図11は、熱媒体供給装置が接続されたチャックの上面図である。図10において、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cは、入口及び出口が、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設けられている。図11において、各温度センサー12は、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近に取り付けられており、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近の温度を検出する。
【0048】
図6及び図7に示した実施の形態では、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cが短く済み、各熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなるが、依然として、各熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近と出口付近で熱媒体の温度差が発生し、この熱媒体の温度差は、温度調節領域毎にばらつく。また、ほぼ同じ大きさの一方向に並んだ各温度調節領域の一辺の両側付近に熱媒体通路の入口及び出口を設ける際、入口及び出口の位置を各温度調節領域で同じにすると、1つの温度調節領域の熱媒体通路の入口と、隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口とが近くに配置され、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度が、隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受ける。
【0049】
図10及び図11に示した実施の形態では、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、各温度センサー12により、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近の温度を検出し、各温度センサー12の検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへそれぞれ独立して供給するので、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近と出口付近での熱媒体の温度差のばらつき、及び隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受けることなく、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへ供給する熱媒体の温度が調節される。
【0050】
図12は、本発明の一実施の形態による温度調節プレートの上面図である。温度調節プレート30は、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、図12では、各温度調節領域の境界が二点鎖線で示されている。本実施の形態では、温度調節プレート30は、全体が4つの温度調節領域に分けられ、各温度調節領域は、X方向に細長いほぼ同じ大きさの長方形で、Y方向に隣接して並べて配置されている。
【0051】
また、温度調節プレート30は、大型の温度調節プレート30の加工及び運搬を容易にするため、温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材30a,30b,30c,30dを組み合わせて構成されており、図12では、各構成部材30a,30b,30c,30dの境界が実線で示されている。本実施の形態では、温度調節プレート30は、4つの構成部材30a,30b,30c,30dにより構成され、各構成部材30a,30b,30c,30dは、温度調節プレート30の全体を縦横に4分割した形状で、X方向及びY方向に隣接して並べて配置されている。各構成部材30a,30b,30c,30dは、X方向の幅が温度調節領域より大きく、Y方向の幅が温度調節領域より小さい。
【0052】
温度調節プレート30は、チャック10へ搬送する前の基板1の温度を調節するものであり、チャック10の様な高い平坦度は要求されない。そこで、温度調節プレート30を構成する各構成部材30a,30b,30c,30dを同じ形状にすると、各構成部材30a,30b,30c,30dの加工及び運搬が容易となる。
【0053】
図12において、温度調節プレート30の各温度調節領域には、冷却水や冷却液等の熱媒体が流れる熱媒体通路31a,31bがそれぞれ独立して設けられており、図12では、各構成部材30a,30b,30c,30dの内部に形成された熱媒体通路31a,31bが破線で示されている。本実施の形態では、温度調節プレート30の各温度調節領域をY方向に隣接して並べて配置し、各構成部材30a,30b,30c,30dをX方向及びY方向に隣接して並べて配置した結果、構成部材30aを通過する熱媒体通路31aが、X方向に隣接する構成部材30dにまたがって配置され、構成部材30bを通過する熱媒体通路31bが、X方向に隣接する構成部材30cにまたがって配置されている。各熱媒体通路31a,31bの入口及び出口には、配管を介して、冷却水や冷却液等の熱媒体を供給する熱媒体供給装置が接続される。
【0054】
図13は、熱媒体供給装置が接続された基板温度調節プレートの上面図である。温度調節プレート30の各温度調節領域には、各温度調節領域の温度を検出する温度センサー32がそれぞれ取り付けられている。そして、温度調節プレート30の各温度調節領域に対応して、複数の熱媒体供給装置33が設けられている。各熱媒体供給装置33は、配管34を介して、各熱媒体通路31a,31bの入口及び出口に接続されている。各熱媒体供給装置33は、各温度センサー32の検出結果に基づいて、それぞれ独立に熱媒体の温度を調節し、温度を調節した熱媒体をチャック10の各温度調節領域の熱媒体通路31a,31bへそれぞれ独立して供給する。
【0055】
チャック10へ搬送する前の基板1を搭載する温度調節プレート30を設け、温度調節プレート30にほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路31a,31bをそれぞれ独立して設け、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路31a,31bへそれぞれ独立して供給して、チャック10へ搬送する前の基板1の温度を調節するので、各温度調節領域の熱媒体通路31a,31bが短く済み、各熱媒体通路31a,31bの入口付近と出口付近での熱媒体の温度差が小さくなって、各温度調節領域で基板1の温度が均一に精度良く調節される。そして、温度調節プレート30を温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材30a,30b,30c,30dにより構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置するので、温度調節プレートを構成する構成部材間の温度差が小さくなって、温度調節プレート30全体の温度が均一化される。従って、チャック10へ搬送する前の大型の基板1の温度が均一に精度良く調節され、露光精度がさらに向上する。
【0056】
以上説明した実施の形態によれば、チャック10にほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路11a,11b,11cをそれぞれ独立して設け、各温度調節領域の温度を別々の温度センサー12で検出し、各温度センサー12の検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへそれぞれ独立して供給して、基板1の温度を調節することにより、各温度調節領域で基板1の温度を均一に精度良く調節することができる。そして、チャック10を温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材10a,10b,10cにより構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路11b,11cを、隣接する構成部材にまたがって配置することにより、チャック10を構成する構成部材間の温度差を小さくして、チャック10全体の温度を均一化することができる。従って、複数の構成部材10a,10b,10cにより構成される大型のチャック10を用い、大型の基板1の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させることができる。
【0057】
さらに、チャック10にほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャック10を温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材10a,10b,10cにより構成することにより、チャック10の平坦度を高くして、露光精度をさらに向上させることができる。
【0058】
さらに、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、各温度センサー12により、チャック10の各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近の温度を検出することにより、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cの入口付近と出口付近での熱媒体の温度差のばらつき、及び隣接する温度調節領域の熱媒体通路の出口付近を流れる熱媒体の温度の影響を受けることなく、各温度調節領域の熱媒体通路11a,11b,11cへ供給する熱媒体の温度を調節することができる。
【0059】
さらに、チャック10へ搬送する前の基板1を搭載する温度調節プレート30を設け、温度調節プレート30にほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路31a,31bをそれぞれ独立して設け、それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、各温度調節領域の熱媒体通路31a,31bへそれぞれ独立して供給して、チャック10へ搬送する前の基板1の温度を調節することにより、各温度調節領域で基板1の温度を均一に精度良く調節することができる。そして、温度調節プレート30を温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材30a,30b,30c,30dにより構成し、構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置することにより、温度調節プレート30を構成する構成部材間の温度差を小さくして、温度調節プレート30全体の温度を均一化することができる。従って、チャック10へ搬送する前の大型の基板1の温度を均一に精度良く調節して、露光精度をさらに向上させることができる。
【0060】
なお、以上説明した実施の形態では、チャック10及び温度調節プレート30に4つの温度調節領域をそれぞれ設けていたが、温度調節領域の数は、チャック10及び温度調節プレート30の大きさに応じて適宜決定すればよい。また、以上説明した実施の形態では、チャック10を3つの構成部材10a,10b,10cにより構成していたが、本発明はこれに限らず、温度調節領域の一部が、チャックを構成する構成部材の境界に位置する様に、チャックを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成すればよい。同様に、以上説明した実施の形態では、温度調節プレート30を4つの構成部材30a,30b,30c,30dにより構成していたが、本発明はこれに限らず、温度調節領域の一部が、温度調節プレートを構成する構成部材の境界に位置する様に、温度調節プレートを温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成すればよい。
【0061】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法を用いて基板の温度を調節しながら、基板の露光を行うことにより、複数の構成部材により構成される大型のチャックを用い、大型の基板の温度を均一に精度良く調節して、露光精度を向上させることができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0062】
例えば、図14は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0063】
また、図15は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0064】
図14に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図15に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
10a,10b,10c チャックの構成部材
11a,11b,11c 熱媒体通路
12 温度センサー
13 熱媒体供給装置
14 配管
20 マスクホルダ
30 温度調節プレート
30a,30b,30c,30d 温度調節プレートの構成部材
31a,31b 熱媒体通路
32 温度センサー
33 熱媒体供給装置
34 配管
40 プレート台
50 基板搬送ロボット
51 ハンドリングアーム
60 ステージ駆動回路
70 主制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、前記チャックを移動するステージとを備え、前記ステージにより前記チャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置において、
前記チャックは、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、該温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成され、
前記チャックの各温度調節領域には、熱媒体が流れる熱媒体通路がそれぞれ独立して設けられ、前記チャックを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路が、隣接する構成部材にまたがって配置され、
前記チャックの各温度調節領域の温度を検出する複数の温度センサーと、
各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、前記チャックの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給する複数の第1の熱媒体供給装置とを備えたことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記チャックは、ほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を有し、該温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記チャックの各温度調節領域の熱媒体通路は、入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に有し、
各温度センサーは、前記チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
前記チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを備え、
前記温度調節プレートは、ほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を有し、該温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成され、
前記温度調節プレートの各温度調節領域には、熱媒体が流れる熱媒体通路がそれぞれ独立して設けられ、前記温度調節プレートを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路が、隣接する構成部材にまたがって配置され、
それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、前記温度調節プレートの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給する複数の第2の熱媒体供給装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項5】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法であって、
チャックにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、チャックを該温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、
チャックの各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、チャックを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置し、
チャックの各温度調節領域の温度を別々の温度センサーで検出し、
各温度センサーの検出結果に基づいてそれぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、基板の温度を調節することを特徴とするプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法。
【請求項6】
チャックにほぼ同じ大きさの一方向に並んだ複数の温度調節領域を設け、チャックを該温度調節領域と異なる形状の一方向に並んだ複数の構成部材により構成することを特徴とする請求項5に記載のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法。
【請求項7】
チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口及び出口を、温度調節領域の一辺の両側付近に、隣接する温度調節領域とは左右対称に設け、
各温度センサーにより、チャックの各温度調節領域の熱媒体通路の入口付近の温度を検出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法。
【請求項8】
チャックへ搬送する前の基板を搭載する温度調節プレートを設け、
温度調節プレートにほぼ同じ大きさの複数の温度調節領域を設け、温度調節プレートを該温度調節領域と異なる形状の複数の構成部材により構成し、
温度調節プレートの各温度調節領域に、熱媒体が流れる熱媒体通路をそれぞれ独立して設け、温度調節プレートを構成する構成部材の境界に位置する温度調節領域の熱媒体通路を、隣接する構成部材にまたがって配置し、
それぞれ独立に温度を調節した熱媒体を、温度調節プレートの各温度調節領域の熱媒体通路へそれぞれ独立して供給して、チャックへ搬送する前の基板の温度を調節することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項10】
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置の基板温度調節方法を用いて基板の温度を調節しながら、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−88792(P2013−88792A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232519(P2011−232519)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】