説明

プロポフォールの水溶性プロドラッグを含む薬学的組成物およびその投与方法

【課題】プロポフォールの水溶性プロドラッグを含む薬学的組成物およびそのプロドラッグの投与方法を提供する。
【解決手段】一つの局面において、全身麻酔状態を導入および/または維持する方法は、意識消失を惹起および/または維持するのに十分な量のプロポフォールプロドラッグの非経口注入による投与する工程を含む。もう一つの局面において、プロポフォールのプロドラッグは対象に鎮静状態を誘導するために投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2002年4月8日付けで提出された米国出願第60/370,213号および2002年4月8日付けで提出された米国出願第60/370,245号に対する利益を主張するものであり、各出願の開示はその全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、プロポフォールの水溶性プロドラッグを含む組成物、ならびに長期の鎮静を誘発および維持するための方法を含むそのプロドラッグの投与方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
プロポフォール(2,6-ジイソプロピルフェノール)は、ヒトおよび動物における麻酔または鎮静の導入および維持において静脈内投与用の催眠剤または鎮静剤として広く用いられる低分子フェノール誘導体である。麻酔薬としてのその有用な特性には、静脈内投与による投与、麻酔の速やかなオンセットおよびオフセット、速やかなクリアランスがあり、副作用プロフィールの面でもバルビツール酸塩などのその他の注射可能麻酔薬より好ましい。
【0004】
全身麻酔の導入および維持における一般的な注射可能麻酔剤、特にプロポフォールの使用は、過去15年間にわたって麻酔管理において広く受け入れられるようになってきた。プロポフォールを用いた静脈麻酔は既存の方法よりも優れた複数の利点を持つことが示されており、例えば、患者がマスク、窒息または揮発性麻酔薬の強い臭いに対して恐れを抱く必要がないので導入が一層容易に耐用される;回復が速やかかつ予測可能である;プロポフォールの静注用量を調節することによって麻酔深度の調節が容易である;吸入麻酔に比べて副作用の発生率が低い;麻酔からの回復時の不快気分、悪心および嘔吐が少ないなどがある(Padfield NL, Introduction, history and development. In: Padfield NL(編)編、Total Intravenous Anesthesia. Butterworth Heinemann, Oxford 2000:非特許文献1)。
【0005】
鎮静および麻酔効果に加えて、プロポフォールはその他にも様々な生物学的および医学的用途を持つ。例えば、本剤は制吐剤(McCollum JSCら、Anesthesia 43 (1988) 239:非特許文献2)、抗てんかん剤(Chilvers CR, Laurie PS, Anesthesia 45 (1990) 995:非特許文献3)および鎮痒剤(Borgeatら、Anesthesiology 76 (1992) 510:非特許文献4)であることが報告されている。制吐作用および鎮痒作用は、一般に催眠用量未満の用量、即ち、到達する血漿中プロポフォール濃度が鎮静または麻酔に必要な濃度よりも低い用量において認められる。一方、抗てんかん活性は、より幅広い血漿中濃度で認められる(Borgeatら、Anesthesiology 80 (1994) 642:非特許文献5)。生物学的な系における抗酸化特性から、プロポフォールは炎症状態、特に呼吸要素を伴う炎症状態の治療、および神経変性または外傷に関連する神経損傷の治療に有用である可能性があることも考えられている。このような状態は反応性酸素種の発生に関連し、従って、抗酸化剤を用いて治療し易いと考えられている(例えば、Hendlerらに対する米国特許第6,254,853号:特許文献1を参照されたい)。
【0006】
プロポフォールは、一般的に水中油系のエマルジョンとして臨床使用のために製剤化される。この調製物は有効期間が限られていて、細菌または真菌汚染の影響を受け易いことが示されており、術後感染の例がある(Bennett SNら、N Engl. J Med 333 (1995) 147:非特許文献6)。調製物が粘稠かつ白色であるために、細菌または真菌汚染を最初にバイアルの視認によって検出することはできない。
【0007】
プロポフォールは水溶性が低いばかりでなく、注射部位に疼痛を惹起し、この疼痛はしばしば局所麻酔薬を使用することによって軽減しなければならない(Dolin SJ, Drugs and pharmacology. In: N. Padfield、編、Total Intravenous Anesthesia. Butterworth Heinemann, Oxford 2000:非特許文献7)。本剤の調製剤は脂質エマルジョンであるために、本剤の静脈内投与は患者、特に長期間の輸液を受けている患者において望ましくない高トリグリセリド血症も伴う(Fulton BおよびSorkin EM, Drugs 50 (1995) 636:非特許文献8)。脂質エマルジョンとしての本剤の調製剤はさらに、他の静注剤との併用投与を困難とする。脂質滴サイズの変化などの調製剤の何らかの物理的変化がこの薬剤の薬理学的特性の変化を引き起こし、肺塞栓症などの副作用を惹起する可能性がある。
【0008】
さらに、麻酔導入におけるプロポフォールの使用は無呼吸の顕著な発生を伴い、これは用量、注入速度および前投薬に依存すると考えられることが報告されている(Reves, JG, Glass, PSA, Lubarsky DA, Non-barbiturate intravenous anesthetics. In : R. D. Millerら、編、Anesthesia. 第5版、Churchill Livingstone, Philadelphia, 2000:非特許文献9)。一回換気量の減少および無呼吸を含む麻酔導入量のプロポフォール投与の呼吸に関する結果は、患者の最大83%において発生する(Brysonら、Drugs 50 (1995)、520頁:非特許文献10)。プロポフォールの導入用量は顕著な血圧降下作用を示し、この作用は用量および血漿中濃度に依存性であることも知られている(Revesら、前記:非特許文献9)。プロポフォールの急速ボーラス注射後の最高血漿中濃度に伴う低血圧は、時に、制御注入ポンプの使用または導入ボーラス用量の複数の少量の漸増用量への分割が必要である。さらに、ボーラス導入量によって惹起される意識消失の期間が短いために、プロポフォールはごく簡単な医学的手技に適している。上記のすべての理由により、麻酔の導入および/または維持のためのプロポフォールは通常は麻酔科医の監督下で入院状態で投与されなければならず、多くの場合は麻酔科医以外が外来または日帰りの状態で使用するには不適切と考えられている。
【0009】
麻酔の導入および維持における使用に加えて、プロポフォールは意識のある患者における局所または領域麻酔を伴う鎮静剤としてうまく使用されている。本剤の鎮静特性は、結腸内視鏡検査または画像検査などの意識のある患者を不安にさせるような診断的手技においても利用されている。プロポフォールは、診断的画像検査または放射線療法を受ける小児における鎮静剤としても使用されている。最近では、プロポフォールを用いた患者の調節による鎮静術が開発されている。この手法は患者に好まれ、麻酔科医により行われる鎮静術と同じくらい有効である。
【0010】
鎮静の質および/または患者が十分な鎮静レベルにある時間の長さを測定した結果、プロポフォールは、広く用いられている鎮静剤であるミダゾラムまたはその他の同様の物質と比較して、同等以上の鎮静効果を示した(Fulton BおよびSorkin EM, Drugs 50 (1995) 636:非特許文献8を参照されたい)。回復が速やかであること、およびプロポフォールに伴う健忘が同等以下であることから、本剤は、特にごく短期の鎮静を必要とする患者において、他の鎮静剤の魅力的な代替品である。しかし、現在のプロポフォール製剤には高脂血症の可能性が伴うこと、およびその鎮静効果に対して耐性が発生することから、より長期の鎮静を必要とする患者におけるプロポフォールの利用はそれほど十分には確立されていない。上記のすべての理由から、安全で注射可能または注入可能な鎮静物質または催眠物質の安定な水性調製剤に対する臨床的な必要性が存在する。
【0011】
Stellaらに対する米国特許第6,204,257号:特許文献2に示されているプロポフォールの安定水溶性プロドラッグの開発によって、これらのまだ満たされていない要求に対処することが可能となり、患者における鎮静および麻酔の導入および維持における水溶性プロポフォールプロドラッグの薬学的利点を探索することが可能となった。本発明のプロドラッグはプロポフォールとは異なり、プロポフォールの1-ヒドロキシ基がホスホノオキシメチルエーテル基で置換されている:

本発明はいずれの理論にも縛られるものではないが、このプロドラッグは内皮細胞表面のアルカリホスファターゼによる加水分解を受けてプロポフォールを放出すると考えられる。
【0012】
Stellaの報告によると、このプロドラッグは薬学的調製物の製造に適したpHレベルにおいて優れた安定性を示し、インビボでは生理学的条件下において速やかに分解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,254,853号
【特許文献2】米国特許第6,204,257号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Padfield NL, Introduction, history and development. In: Padfield NL(編)編、Total Intravenous Anesthesia. Butterworth Heinemann, Oxford 2000
【非特許文献2】McCollum JSCら、Anesthesia 43 (1988) 239
【非特許文献3】Chilvers CR, Laurie PS, Anesthesia 45 (1990) 995
【非特許文献4】Borgeatら、Anesthesiology 76 (1992) 510
【非特許文献5】Borgeatら、Anesthesiology 80 (1994) 642
【非特許文献6】Bennett SNら、N Engl. J Med 333 (1995) 147
【非特許文献7】Dolin SJ, Drugs and pharmacology. In: N. Padfield、編、Total Intravenous Anesthesia. Butterworth Heinemann, Oxford 2000
【非特許文献8】Fulton BおよびSorkin EM, Drugs 50 (1995) 636
【非特許文献9】Reves, JG, Glass, PSA, Lubarsky DA, Non-barbiturate intravenous anesthetics. In : R. D. Millerら、編、Anesthesia. 第5版、Churchill Livingstone, Philadelphia, 2000
【非特許文献10】Brysonら、Drugs 50 (1995)、520頁
【発明の概要】
【0015】
一つの局面において、本発明は、それを必要とする対象において全身麻酔状態を導入または維持する方法を提供する。この方法は式Iの化合物:

または薬学的に許容されるその塩を少なくとも1回ボーラス注射する工程を含み、ここで、それぞれのZは水素、アルカリ金属イオンおよびアミンからなる群より独自に選択される。本化合物は、体重1キログラム当たり10mgを超える量から約50mgまでの量で投与される。
【0016】
本発明のもう一つの局面により、全身麻酔状態の導入または維持の方法が提供される。この方法は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を投与する工程、および第2の麻酔剤または鎮静剤を投与する工程を含む。
【0017】
本発明のもう一つの態様によると、対象における全身麻酔の導入および維持の方法が提供される。この方法には、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の意識消失を惹起するのに十分な第1の量の投与、および意識消失を維持するのに十分な第2の量での式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の投与が含まれる。
【0018】
本発明は、対象において鎮静状態を誘導する方法も含む。この方法には、それを必要とする対象への式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の非経口ボーラス注射剤の約2mg/kgから約15mg/kgまでの量の投与が含まれる。
【0019】
もう一つの態様において、対象における鎮静状態の誘導方法は、それを必要とする対象への式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の非経口注入剤の約5mg/分から約25mg/分までの量での投与が含まれる。
【0020】
本発明のもう一つの局面によると、鎮静状態を誘導する方法は、それを必要とする対象への式Iの化合物または薬学的に許容される塩の有効量の投与、および第2の麻酔剤または鎮静剤の投与を含む。
【0021】
本発明のもう一つの局面によると、てんかん状態、悪心または嘔吐、そう痒症、酸化的組織損傷に関連する病的呼吸状態、および炎症要素を持つ病的状態からなる群より選択される少なくとも一つの状態を治療する方法は、それを必要とする対象への式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量の投与を含む。
【0022】
もう一つの局面において、本発明は、麻酔量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、第2の麻酔剤または鎮静剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0023】
本発明は、制吐有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、第2の制吐剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。
【0024】
もう一つの局面において、本発明は、鎮痒有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、第2の鎮痒剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】被験者におけるプロポフォールの目標制御注入から得られた平均血漿中プロポフォール濃度測定値(左)、およびO-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩(「プロドラッグ」;右)の注入から得られたプロポフォールの平均血漿中プロポフォール濃度測定値を示す。この試験は、全身麻酔状態の導入および維持におけるO-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩水溶液注入の有用性を実証するために9名の男性志願者を対象として実施された。
【図2】被験者におけるBISおよびOAA/Sスケールの値、ならびに0-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩の目標制御注入から得られた血漿中プロポフォール濃度測定値の平均値を示す。この試験は、意識鎮静状態の導入および維持における0-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩水溶液注入の有用性を実証するために12名の健常志願者を対象として実施された。
【図3】0-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩の20mg/kgボーラス投与(AQ 20mg/kg)を受けた志願者を、同等のピークBISスコアが得られるように計算されたプロポフォール急速注入(DIPRIVAN相当量、2.8mg/kg)を受けた志願者と比較したBISスコアの平均変動量を示す。グラフは、プロドラッグの投与によってプロポフォールと同様に速やかな鎮静および麻酔のオンセットを惹起することが可能であるが、その効果はより長期持続性であり、より緩慢に消失することを示している。
【図4】0-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩の5〜30mg/kgボーラス注射の投与を受けた志願者のBISスコアの平均変化量を示す。この試験の実験手順は実施例3に記載した手順である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
プロポフォールプロドラッグの注入から得られる血漿中プロポフォールは被験者におけるEEG活性の抑制および催眠効果の惹起の点でプロポフォール自体の注入から得られる血漿中プロポフォールよりも極めて強力であったことが見出されている(図3)。注入可能物質としてのプロドラッグの優れた予想外の特性は、被験者において意識鎮静状態を速やかに導入および維持する能力によってさらに示され、この能力は注入速度を変化させることによって素早く調節することができる。
【0027】
本発明の一つの態様によると、全身麻酔状態はプロポフォールのプロドラッグの非経口注入剤を意識消失を惹起および/または維持するのに十分な量で投与することによって、対象において導入または維持される。プロドラッグは式Iの化合物:

または薬学的に許容されるその塩であり、ここで、それぞれのZは水素、アルカリ金属イオンおよびアミンからなる群より独自に選択される。好ましくは、各々のZはアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンである。
【0028】
式Iの化合物は単独で投与することが可能であり、または、例えば催眠剤、鎮痛剤、抗炎症剤、健忘剤、筋弛緩剤および鎮静剤などの一種類または数種類の活性物質と同時投与することができる。このような補足物質の非限定的な例には、ミダゾラム、フェンタニル、メペリジンおよびプロポフォールが含まれる。このような補足活性物質は式Iの化合物を含む薬学的組成物に組み入れることが可能であり、または別の薬学的調製剤として投与することができる。組成物は式Iの化合物および一種類または数種類の付加的麻酔剤または鎮静剤を含むことが可能であり、その非限定的な例としてミダゾラム、フェンタニル、メペリジンおよびプロポフォールが含まれる。
【0029】
全身麻酔維持のために式Iの化合物を非経口注入によって対象に投与する場合、適切な用量は一般に約10mg/分〜約35mg/分の範囲であり、より一般的には約15mg/分〜約30mg/分、さらに一般的には約15mg/分〜約20mg/分の範囲である。
【0030】
本発明のもう一つの態様において、意識鎮静状態が、対象に導入または長期間維持される。この鎮静状態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を投与することによって導入または維持することができる。当業者によって認められるように、この態様の実践においては任意の適切な投与経路を使用することができる。本発明のこの局面によって意図される投与経路には、例えば、経口および非経口投与が含まれ、非経口投与が好ましい。非経口投与のための適切な経路は、例えば皮下投与、筋肉内投与、および好ましくは静脈内投与である。本発明のこの局面によって意図される投与モードには、式Iの化合物の単回ボーラス投与または継続注入が含まれ、これは長期間にわたって実施することができる。注入時間の長さは、場合によって、注入が行われる医学的な目的、および個々の対象の必要性に左右されるであろう。単回または反復ボーラス注射によって対象に意識鎮静状態を導入または維持するための適切な投与量は約2mg/kg〜約20mg/kgの範囲であり、好ましくは約2mg/kg〜15mg/kg未満であり、より好ましくは約5mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。式Iの化合物のボーラス注射による意識鎮静状態の導入は、既に得られている意識鎮静状態の維持よりも高い用量を必要とする可能性がある。従って、例えば、約7.5mg/kg〜約10mg/kgのボーラス注射によって患者に意識鎮静状態を導入して、その後は約2mg/kg〜約4mg/kgの追加ボーラス注射によって維持することが可能である。鎮静状態を非経口注入によって導入または維持しようとする場合、式Iの化合物の適切な注入速度は一般的には約5mg/分〜約25mg/分の範囲であり、より一般的には約7mg/分〜約20mg/分であり、さらにより一般的には約7mg/分〜約15mg/分の範囲である。ボーラス注射による投与の場合と同じく、意識鎮静の導入のための注入速度は意識鎮静維持のための速度よりも速い可能性がある。従って、例えば、約7mg/分〜約25mg/分の注入によって患者に意識鎮静状態を導入して、その後は約5mg/分〜約15mg/分の注入によって維持することが可能である。
【0031】
長期の意識鎮静は、例えば、検査中に対象を狭いNMR装置に長期間閉じ込める画像検査;直腸内視鏡検査;脊椎麻酔下での手術;眼の手術など、対象を不安にさせるような手技の際に望ましい。
【0032】
式Iの化合物は注入可能物質として優れた特性を持ち、注入による対象への本剤の投与は、当業者に認められる通り、複数の方法で行うことができる。例えば、本化合物は静脈内「点滴法」により注入することができる。または、電子制御注入ポンプを使用することができる。注入が行われる医学的な目的および対象の個々の必要性に応じて、時々、注入速度を調節することができる。例えば、鎮静を必要とする対象は、医学的手技の実施中に必要に応じて鎮静の深さを調節するために注入速度を増減する必要がある可能性がある。例えば、麻酔を必要とする対象は、速やかな意識消失を達成するために先ずボーラス用量または速い注入速度で式Iの化合物を投与して、その後、医学的手技の実施中に意識消失状態を維持するためにより低い注入速度で投与することが可能である;麻酔の深度も注入速度を増減することによって制御することができる。例えば、意識消失対象において麻酔深度を高めるために注入速度を短期間、最大約500mg/分の速さまで増加させることができる。
【0033】
注入速度の変動量は、プログラム可能な速度調節式注入ポンプを用いることによって所与の手技に関して予め設定することができる。それによって、個々の対象において、その医学的手技が必要とする式Iの化合物−またはそれから得られるプロポフォール−の血漿または作用部位における予測濃度または実際の濃度を達成することが可能である。速度調節式注入ポンプは、式Iの化合物の患者調節投与にも使用することができる。このような患者調節投与は、例えば、鎮静を必要とする意識のある患者において、手術後または癌化学療法に関連する悪心および嘔吐などの悪心および嘔吐の抑制、ならびにそう痒状態を伴う局所性または全身性の難治性そう痒の抑制のために有用である可能性がある。
【0034】
当業者は、式Iの化合物が、上記のように麻酔および鎮静の導入および維持に有用であると同時に、プロポフォールを用いた治療に応答し易いことが知られているその他の医学的状態の治療にも有用であることを認めるであろう。従って、本発明のもう一つの局面において、悪心または嘔吐を抑制するのに十分な量の式Iの化合物が対象に投与される、対象の悪心または嘔吐を抑制する方法が提供される。本発明のこの局面は、対象が癌化学療法に関連する悪心もしくは嘔吐に苦しむ状況、または対象が術後の悪心および嘔吐に苦しむ状況において特別の用途を持つ。本発明のこの局面における化合物の投与モードは、単回ボーラス投与または上記のように一定速度もしくは速度調節注入とすることができる。化合物は経口または非経口経路で投与することが可能であり、非経口および特に静脈経路が好ましい。本発明のこの局面において、式Iの化合物は好ましくは催眠用量未満の用量、即ち、式Iの化合物の投与後に到達する血漿中プロポフォール濃度が意識消失を惹起しない用量で投与され、対象が鎮静を必要としない場合は好ましくは鎮静状態を惹起しない用量で投与される。例えば、悪心または嘔吐を式Iの化合物の非経口注入によって治療しようとする場合、適切な注入速度は一般に約1mg/分〜約20mg/分であり、より一般的には約2mg/分〜約15mg/分である。
【0035】
本発明のもう一つの局面は、対象におけるそう痒状態を伴うそう痒症の治療方法を提供し、式Iの化合物は局所性または全身性そう痒を予防、軽減または抑制するのに十分な量で対象に投与される。本発明のこの局面における化合物の投与モードは、単回ボーラス投与または上記のように一定速度もしくは速度調節注入とすることができる。化合物は経口または非経口経路で投与することが可能であり、非経口および特に静脈経路が好ましい。本発明のこの局面において、式Iの化合物は好ましくは催眠用量未満の用量、即ち、式Iの化合物の投与後に到達する血漿中プロポフォール濃度が意識消失を惹起しない用量で投与され、対象が鎮静を必要としない場合は好ましくは鎮静状態を惹起しない用量で投与される。例えば、そう痒状態を伴うそう痒症を式Iの化合物の非経口注入によって治療しようとする場合、適切な注入速度は一般に約1mg/分〜約20mg/分であり、より一般的には約2mg/分〜約15mg/分である。
【0036】
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、てんかん状態を患う対象を治療するために投与することができる。このような治療を必要とする対象は、式Iの化合物の用量をてんかん状態を予防、抑制または軽減するのに十分な量で投与される。本発明のこの態様は、てんかん重積状態の治療における特別な用途を提供する。てんかん状態を患う患者の治療における適切な投与量は、上記のような催眠用量未満の用量から個々の患者の必要性によって要求されるより高い催眠用量までの範囲である。それぞれの適切な用量は、当業者により特に本明細書に示される目安を考慮して定めることができる。例えば、てんかん重積状態を示している意識消失患者における適切な用量は、以下の実施例1で用いられる方法と同様に、脳波の脳発作活性をモニターすることによって必要に応じて設定および調節することができる。例えば、式Iの化合物の単回または反復ボーラス注射によっててんかん状態を治療しようとする場合、適切な用量は一般に約0.1mg/kg〜40mg/kgの範囲であり、より一般的には約1mg/kg〜約30mg/kgであり、さらにより一般的には約5mg/kg〜約20mg/kg体重の範囲である。例えば、てんかん状態を式Iの化合物の非経口注入によって治療しようとする場合、適切な注入速度は一般に約1mg/分〜約30mg/分であり、より一般的には約2mg/分〜約20mg/分である。
【0037】
もう一つの局面において、本発明は、式Iの化合物の有効量と接触させて生物学的材料の酸化を阻害する方法を提供する。
【0038】
本発明は、患者に式Iの化合物の薬理学的に有効な量を投与する、患者における炎症要素を示す病的状態の治療のための方法も提供する。本発明のこの態様は、炎症要素を示す神経系の病的状態の治療における特別な用途を提供する。
【0039】
もう一つの局面において、本発明は、上記のような式Iの化合物の薬理学的に有効な量を患者に投与する、患者における病的呼吸状態の治療のための方法を提供する。本発明のこの態様において、酸化的組織損傷を伴う病的呼吸状態における特別な用途を提供する。
【0040】
もう一つの局面において、本発明は、上記のような式Iの化合物を細胞増殖抑制性化学療法剤と併用して癌患者である対象に投与する、治療方法を提供する。
【0041】
上記の用量は例示的な値であり、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。当業者に自明であるように、投与量の決定に際しては、対象の年齢、性別、食事および身体的状態を含めて、本剤の作用を変化させる多くの要因を考慮に入れる。
【0042】
プロポフォールからの式Iのプロポフォールプロドラッグの化学的合成のための方法はStellaらに対する米国特許第6,204,257号に記載されており、その開示は参照として本明細書に組み入れられる。式Iのプロポフォールプロドラッグは水溶性であり、水溶液またはその他の適切な薬学的組成物として製剤化することができる。この組成物は、式Iの化合物の有効量を、1種類または数種類の薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと配合して含むことができる。調製物を調製するために、無菌水、生理食塩液、または水とプロピレングリコール、エタノールなどの有機溶媒との混合物のような薬学的に許容される任意の水性媒質を用いることができる。調製剤中のプロドラッグの濃度は一般に約0.5〜約20%(w/v)の範囲であり、より一般的には約1〜約10%の範囲である。
【0043】
水溶性の低い化合物へのプロドラッグの酸化的分解を予防または抑制するために、調製物に抗酸化剤を加えることもできる。加える場合、抗酸化剤の濃度は一般に約0.1〜約1%(w/v)の範囲である。様々な抗酸化剤を使用することが可能であり、モノチオグリセロール、グルタチオン、クエン酸、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびEDTAなどの金属キレート剤が含まれるが、限定されるものではない。
【0044】
組成物が非経口投与用に製剤化される場合、張性、即ち、オスモル濃度は、組成物と生理学的液体のイオン濃度の差に起因する投与後の浮腫または組成物の急激な吸収を防ぐために、正常な生理学的液体と本質的に同一となるように溶液を調製することが好ましい。必要ならば、当業者がごく定型的な実験によって確認することのできる適切な量の張性調節物質を加える。使用する場合、使用される張性調節物質の量は一般に約0.1〜約1%(w/v)の範囲である。適切な張性調節物質には塩化ナトリウム、グリセリン、ホウ酸、塩化カルシウム、デキストロースおよび塩化カリウムが含まれるが、限定されるものではない。
【0045】
室温における調製物の長期安定性を提供するために、好ましくは調製物のpHは維持される。一般に適切なpHは約7〜約10であり、好ましくは少なくとも約8.5である。溶液は、例えば炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩またはグリシンなどの、pH 7〜10のpH範囲で効果を示す任意の標準的緩衝液を用いて緩衝することができる。一つの好ましい緩衝液はトロメタミン(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)であり、一般的にはTRISとも呼ばれている。この目的のために必要な緩衝液の量は、一般に約10〜約25mmolである。
【0046】
その他の成分を調製剤に加えることができる。例えば、マルチドーズ(multi-dose)バイアルの場合、ベンジルアルコールなどの防腐剤を加えることができる。調製剤は、ポリエチレングリコール(PEG 200、PEG 400)、プロピレングリコール、および/またはエタノールのような共溶媒を含むこともできる。共溶媒の濃度は広範囲にわたって変動することが可能であり、一般的には0〜約20%である。
【0047】
調製剤は、例えば、ガラスバイアル、プレフィルド(pre-filled)シリンジまたはアンプルに入れることができる。調製剤は、例えばD5W、生理食塩液、または乳酸リンガー液などの標準的な静注用希釈液と共に投与することができる。
【0048】
式Iの水溶性プロドラッグの単回ボーラス投与は、等効力のプロポフォール急速注入と実質的に等しい即効性で意識消失を惹起することが見出された。式Iの化合物の単回ボーラス投与は注射部位の疼痛を伴わず、比較的長期の意識消失が得られることが明らかとなった。さらに、式Iの化合物の投与は、プロポフォールに一般的に付随する無呼吸およびその他の副作用の発生頻度が低いことが明らかとなった。これらの要因が、式Iの化合物の適切な濃度を麻酔の導入に有効な単回ボーラス投与にて投与する能力に寄与する。
【0049】
調製物中のプロドラッグの濃度は意図される特定の治療によって異なり、一般的には約0.5〜約20%(w/v)の範囲であり、より一般的には約1〜約10%の範囲である。単回ボーラス投与の好ましい投与モードは静脈内注射である。
【0050】
全身麻酔は、意識消失を惹起するのに十分な量の式Iの化合物を単回ボーラス投与することによって対象に導入することができる。同様に、式Iの化合物の単回または反復ボーラス投与によって、対象において全身麻酔を維持することが可能である。ボーラス注射の適切な有効量は、一般に約10〜約50mg/kg体重の範囲である。全身麻酔のための適切な用量範囲の下限は、一般に意識鎮静に必要な用量よりも若干高い。従って、当業者によって認められる通り、薬剤の作用に対する個々の患者の反応には多くの要因が影響を及ぼすが、全身麻酔の導入または維持に用いられる用量は好ましくは10mg/kgよりも高い。一般的な好ましい範囲は>10mg/kg〜約40mg/kgであり、より一般的には約15mg/kg〜約30mg/kg体重である。ボーラス注射による全身麻酔の導入は、その後のボーラス注射による麻酔の維持よりも高い用量を必要とする可能性がある。従って、例えば、約15mg/kg〜約30mg/kgのボーラス投与を行って患者の意識消失を惹起することが可能であり、その後、全身麻酔状態は約10mg/kg〜約20mg/kgのボーラス注射によって維持することができる。薬剤の作用は多くの要因によって変動する可能性があり、投与量の決定には患者の年齢、性別、食事および身体的条件を含めて多くの要因が考慮される。当業者は、過度の実験を行うことなく、プロポフォールプロドラッグの投与のための適切な治療プロトコールを確認することができる。投与量および投与スケジュールに特別な制限はない。このように、調製剤は任意の適切な投与経路を介して投与することが可能であり、好ましくは非経口的に投与される。式Iの化合物の非経口投与における適切な経路には皮下投与、筋肉内投与、および好ましくは静脈内投与が含まれるが、限定されるものではない。
【0051】
単回ボーラス注射による投与のための式Iの化合物の用量は、医学的手技または個々の患者の医学上の必要性によって要求されうる意識消失または意識鎮静の異なる期間を得るために調節することができる。例えば、約25分間の意識消失期間が必要な場合は、対象に式Iの化合物の約20mg/kgの単回静脈内ボーラス投与を行うことができる。例えば、約45分の範囲の意識消失期間が必要な場合は、静脈内ボーラス用量を約25mg/kgに増量することができる。一方、約15分〜約25分の意識鎮静状態の導入には、約10mg/kgの注射を使用することができる。式Iの化合物の投与されるボーラス用量を変えることによって、このように当業者は導入を必要とする医学的手技に応じて所与の対象における意識消失および/または意識鎮静の期間を変えることができる。追加の薬剤を同時投与することによって、さらなる調節を行うことができる。このように、例えば、式Iの化合物の5〜10mg/kgのボーラス投与を用いて患者を鎮静しようとする場合、鎮静の深さおよび期間はメペリジンまたはフェンタニルのようなオピエート鎮痛薬の同時投与によって変えることができる。同時投与のためのフェンタニルの適切な用量は約0.1〜約3μg/kg体重であり、好ましくは約0.5〜約2μg/kgであり、より好ましくは約1.5μg/kgである。
【0052】
式Iの化合物の単回ボーラス投与は、悪心または嘔吐、特に手術後の悪心および嘔吐(PONV)、ならびに癌化学療法に伴う悪心および嘔吐の治療に有効である。制吐作用を達成するためには、プロドラッグは好ましくは催眠用量未満の用量、即ち、プロドラッグの投与後に到達する血漿中プロポフォール濃度は意識消失を惹起せず、対象が鎮静をも必要としない場合は好ましくは鎮静状態を惹起しない用量で、投与される。悪心または嘔吐を抑制するための式Iの化合物のボーラス注射における例示的用量は約0.1mg/kg〜約15mg/kgの範囲であり、好ましくは約1mg/kg〜約10mg/kgであり、より好ましくは約1mg/kg〜約5mg/kgである。悪心または嘔吐の治療のための調製剤は任意の適切な剤形で投与することができ、好ましくは非経口的に投与される。非経口投与のための適切な経路は、皮下投与、筋肉内投与、および好ましくは静脈内投与を含むが、限定されるものではない。
【0053】
式Iの化合物の単回ボーラス投与はそう痒症の治療にも有効である。そう痒症治療のための薬学的組成物は、そう痒症を予防または抑制するのに十分な式Iの化合物の有効量、および薬学的に許容される担体希釈剤または賦形剤を含む。組成物は任意の適切な剤形として投与することが可能であり、好ましくは静脈内に投与される。プロドラッグは好ましくは催眠用量未満の用量、つまり、プロドラッグの投与後に到達する血漿中プロポフォール濃度が意識消失を惹起せず、対象が鎮静をも必要としない場合は好ましくは鎮静状態を惹起しない用量で投与される。そう痒症を治療するための式Iの化合物のボーラス注射における例示的用量は約0.1mg/kg〜約15mg/kgの範囲であり、好ましくは約1mg/kg〜約10mg/kgであり、より好ましくは約1mg/kg〜約5mg/kgである。そう痒症の治療のための調製剤は任意の適切な剤形で投与することができ、好ましくは非経口的に投与される。非経口投与のための適切な例示的経路は、皮下投与、筋肉内投与、および好ましくは静脈内投与を含むが、限定されるものではない。
【0054】
本発明の薬学的組成物は、対象における制吐作用の惹起にも有効である。適切な例示的制吐組成物は、有効量の式Iの化合物、第2の制吐剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。本発明の薬学的組成物における調製に適した第2の制吐剤は当業者に周知であり、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン作用薬、ブチロフェノン、フェノチアジン、カンナビノイド、ベンズアミド、糖質コルチコイド、ベンゾジアゼピンおよびセロトニン作動性アンタゴニストを含むが、限定されるものではない。具体的な制吐剤には、例えば、アトロピン、ヒオスシン、ジフェンヒドラミン、プロクロルペラジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、テトラヒドロカンナビノール、メトクロプラミド、トリメトベンズアミド、デキサメタゾン、ロラゼパムおよびオダンセトロンが含まれる。
【0055】
さらに、本発明の薬学的組成物は、対象における鎮痒作用の惹起にも有効である。適切な例示的鎮痒組成物は、有効量の式Iの化合物、第2の鎮痒剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。本発明の薬学的組成物における調製に適した第2の鎮痒剤は当業者に周知であり、例えば、抗ヒスタミンおよびコルチコステロイドが含まれる。
【0056】
本発明の調製物にその他の活性成分を加えることが可能であり、または同時に投与することが可能である。付加的活性成分には催眠剤、鎮痛剤、抗炎症剤、健忘剤、筋弛緩剤および鎮静剤が含まれるが、限定されるものではない。非限定的な例として、チオペントン、メトヘキシトン、ジアゼパム、ミダゾラム、ケタミン、エトミデート、プロポフォール、ドロペリドール、モルフィン、ペチジン、フェンタニル、メペリジン、アルフェンタニル、スフェンタニルおよびレミフェンタニルが含まれる。これらの活性成分の適切な量については、当業者はごく定型的な実験によって確認することができる。
【0057】
調製剤は、例えば、ガラスバイアル、プレフィルドシリンジまたはアンプルに入れることができる。調製剤は、例えばD5W、生理食塩液、または乳酸リンガー液などの標準的な静注用希釈液と共に投与することができる。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は本発明のより良い理解を促すために提供される。本実施例は、限定的ではなく例示的なものとして見なされるべきである。O-ホスホノオキシメチルプロポフォールの2%水溶液は、以下の表1に示される組成物を用いて調製された。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例1
この実施例では、健常男性志願者の電気的脳活動および意識に対するプロポフォールおよびO-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩(AQUAVAN(商標))の目標制御注入(TCI)の影響を比較する。20mg/mLのAQUAVAN(商標)および0.4重量%NaClを用いて、20mL容バイアルに無菌溶液を調製した。溶液のpHは、必要に応じてHClまたはNaOHを用いて8.6±0.4に調整した。
【0061】
9名の男性志願者(年齢19〜35歳、体重70〜86kg)にプロポフォールを目標制御注入(TCI)として3段階の異なる目標濃度で60分間投与した。14日間のウォッシュアウト(washout)期間後、これらの同一志願者にAQUAVAN(商標)を同一のプロポフォール目標濃度でTCI注入した(クロスオーバーデザイン)。注入スキームは最初の20分間に最高5μg/mlまでプロポフォール濃度を直線的に増加させて、その後の20分間は目標濃度を3μg/mlとし、次の20分間は目標血漿中プロポフォール濃度を1.5μg/mlとした。60分の時点で注入を中止した。
【0062】
CATEEM(登録商標)システムを用いてEEGを記録し、データはリードO1-Czに基づいて解析した。意識消失および意識回復(LOCおよびROC)、ならびに角膜反射の消失および回復(LOCRおよびROCR)について、すべての被験者を1.5分毎に検査した。注入開始後最長240分までの予め定められた時期に、動脈血の試料を採取した。LC/MS/MSによるバリデートされた(validated)アッセイおよびHPLC-FLによるバリデートされたアッセイにより、AQUAVAN(商標)およびプロポフォールの血漿中濃度を測定した(図1を参照されたい)。
【0063】
血漿中プロポフォール濃度の上昇に伴って、双方の群がEEGにおける中効力周波数(Median Power Frequency, MPF)の減少、およびα波優勢EEGからδ波優勢EEGへの推移を示した。両群において同様の血漿中プロポフォール濃度が得られたが、プロポフォールからの血漿中プロポフォールに比べてAQUAVAN(商標)からの血漿中プロポフォールについてはMPFの顕著な減少が認められ、この影響は、注入中止後、より長期間持続した。
【0064】
臨床パラメータも、AQUAVAN(商標)の注入が有効であることを示している:AQUAVAN(商標)を注入した被験者は、プロポフォールを注入した被験者と注入開始後のほぼ同じ時期に麻酔のオンセットを示した。以下の表2に示す通り、同じくAQUAVAN(商標)の効果はプロポフォールの効果よりも長期持続性であった。
【0065】
【表2】

【0066】
実施例2
この実施例は、健常志願者の覚醒レベルおよび鎮静レベルに対するAQUAVAN(商標)の目標制御注入(TCI)の影響を示す。AQUAVAN(商標)の無菌溶液は、上記の実施例1において記載した通りに調製した。
【0067】
6名の女性(28±3歳、体重57±4kg)および6名の男性(32±6歳、体重78±9kg)の志願者について試験を行った。十分な鎮静を得るために、2時間の期間中、AQUAVAN(商標)のTCI注入が行われた。最初に選択されたAQUAVAN(商標)からの目標プロポフォール濃度は1.8μg/mlであった。鎮静は、修正(modified)観察者覚醒および鎮静評価スケール(Observers Assessment of Alertness and Sedation Scale, OAA/S)に従ってOAA/Sスケール値が2〜3である場合、十分と判定した。60分後、OAA/Sスケール値が4または5ならば目標濃度をそれぞれ2.4または3μg/mlに上げ、OAA/Sスケール値が0〜1ならば1.4μg/mlに下げた。Aspect(登録商標)A-1000モニターおよび2つの前面リードを用いて、BIS値を記録した。ECG、血圧、心拍数、SaO2およびGPI、ならびに血漿中プロポフォール濃度を測定した。値はすべて、平均値±標準偏差として示される。
【0068】
2時間の期間中に注入されたAQUAVAN(商標)の量は2534±506mgであった。60分後のOAA/Sスケール値は3.7±1.1であった。60分の時点で7名の志願者では目標濃度を2.4μg/mlに、2名の志願者では3.0μg/mlに上げなければならなかった。図2は、BISおよびOAA/Sスケール値の平均結果、ならびに血漿中プロポフォール濃度測定値を示す。TCI目標の変更後4.2±2.5分の時点でのOAA/Sスケール値は2〜3の目標範囲内であった。注入中止後18±3分の時点で、志願者のOAA/Sスケール値は5に回復していた。BIS値はOAA/Sスケール値の減少に伴って、注入前の96±2から注入開始直後の1時間には74±13に減少し、その後の1時間の注入中に64±14に減少した。注入開始直後の1時間およびその後の1時間における血漿中プロポフォール濃度の測定値は、それぞれ1.2±0.39および1.9±0.66μg/mlであった。収縮期血圧は134±14から106±10mmHgに、21%減少した。心拍数は64±14から72±8へと、13%増加した。
【0069】
これらの結果は、AQUAVAN(商標)の注入剤が2時間にわたって2〜3のOAA/Sスケール値を示す十分な鎮静レベルを維持するために投与可能であることを示している。TCI注入により、血中目標濃度の増加に伴って鎮静レベルは速やかに亢進する。
【0070】
実施例3
この実施例では、本発明記載のプロドラッグであるO-ホスホノオキシメチルプロポフォール二ナトリウム塩(AQUAVAN(商標))を単回ボーラス投与として投与した際のプロポフォールの薬物動力学を、そのように投与した際のプロポフォールの薬物動力学と比較する。無菌溶液である「試験調製物」は、20mg/mlのAQUAVAN(商標)および0.4重量%NaClを用いて20ml容バイアルに調製した。溶液のpHは、必要に応じてHClまたはNaOHを用いて8.6±0.4に調整した。
【0071】
24名の健常被験者(全員ASA 1、25±5歳、70±8kg)をそれぞれ男女3名の4つのコホートに無作為化した。4つの各コホートに、上記の表1に示す試験調製物の単回用量を投与した(それぞれ、AQUAVAN(商標)の5、10、20および25mg/kg)。麻酔効果は、BIS-XPモニター(Aspect Medical Systems, Natick, MA)を用いて継続的に測定した。最低BISレベル(BISpeak)を記録した。1週間後、ほぼ等しいBISpeakを得るために、同一被験者にプロポフォールを300ml/時の急速注入速度にて投与した。心拍数(HR)、酸素飽和度、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)を非侵襲的にモニターした。無呼吸の発生および期間、意識消失(LOC)および意識回復(ROC)、ならびに意識消失期間(DOU)はOAA/Sスコアにより測定した。有害事象を記録した。統計学的解析は、適宜、Wilcoxonの符号順位検定、Mann-WhitneyのU検定、カイ二乗検定およびPearson相関を用いて実施した。
【0072】
AQUAVAN(商標)の5および10mg/kgコホートでは、LOCに達しなかった。AQUAVAN(商標)の20および25mg/kgコホートでは、すべての被験者がLOCに達した。AQUAVAN(商標)とプロポフォールで、LOC到達時間における有意差はなかった。プロポフォールに比べて(AQUAVAN(商標))では、ROCの発生は有意に遅く、DOUは有意に長かった(表3)。BISの発生および減少はほぼ等しかったが、AQUAVAN(商標)のBISpeakはプロポフォールよりも遅れて発生した(AQUAVAN(商標):630±225秒;プロポフォール:358±315秒、p<0.05)。注射部位の疼痛はプロポフォールにおいてのみ報告されて、24名中10名の被験者で発現した。投与後、AQUAVAN(商標)群の24名中17名およびプロポフォール群の24名中4名の被験者では、SBPおよびDBPの増加に加えて、心拍数の初期増加(HR>90bpm)が認められた(p<0.05)。AQUAVAN(商標)群では、血圧の初期上昇はあまり明らかではなく、発現時期はさらに不明瞭であった。最初の上昇後、両薬剤で、臨床的に問題となる低血圧ではないSBPおよびDBPのほぼ等しい低下が認められた。しかし、最大減少は、プロポフォールよりもAQUAVAN(商標)において早期に発生した。用量依存性の無呼吸はAQUAVAN(商標)(24名中7名)よりもプロポフォール(24名中10名)においてより顕著であった。BISおよびOAA/Sは、AQUAVAN(商標)(r=0.8937)およびプロポフォール(r=0.7960)の双方において高い相関性を示した。
【0073】
AQUAVAN(商標)のボーラス投与は、等効力のプロポフォール急速注入と実質的にほぼ同時にLOCに到達することが示されたが、麻酔効果のピーク到達時間はより長く、オフセットはより緩慢であることが示された。短時間持続する注射後の刺痛感の発現中におけるAQUAVAN(商標)群の最初の頻脈を除いて、血行動態は両群でほぼ等しかった。注射時の疼痛および無呼吸は、AQUAVAN(商標)の投与よりもプロポフォールの投与においてより顕著であった。
【0074】
【表3】

* = AQUAVAN(商標)とプロポフォールとの間でp<0.05の差;平均値±標準偏差。
5mg/kg(コホート1)および10mg/kg(コホート2)のボーラス投与では、意識消失(LOC)は起こらなかった。
【0075】
また、意識消失の誘導および全身麻酔の期間(上記を参照されたい)に加えて、AQUAVAN(商標)に対する被験者の反応を鎮静の観点から検討した。この目的のため、2つの追加コホート(それぞれ、n=6)に対して、AQUAVAN(商標)の15および30mg/kgを上記のように投与した。6つの全コホートの被験者において、AQUAVAN(商標)投与後に到達した最低OAA/Sスコアおよび鎮静期間を記録した。OAA/Sスコアの5は鎮静なしを示し、4〜2のスコアは段階的により深い鎮静状態を示し、1のスコアは意識消失(LOC)を示した(但し、疼痛を伴う触覚刺激に対する無意識の反応を考慮に入れた)。この分析の結果を次の表4にまとめる。意識消失を伴わない意識鎮静は、5〜10mg/kgの用量範囲で認められた。15mg/kg以上のボーラス投与は意識消失状態を誘導し、その期間は用いた用量に依存して変動した。LOCに達した被験者では、典型的には先ず意識鎮静状態が発現して、その後、意識消失期間が認められた。表4に示す「平均鎮静/LOC期間」は、鎮静の発現からLOCを介して覚醒の回復(鎮静なし)までの総経過時間である。
【0076】
【表4】

【0077】
本発明の特定の態様について説明および例示したが、当業者によって変更を加えることが可能であって、本発明をそれらに限定するものではないことが理解されるべきである。本出願は、本明細書に開示される基本的発明の精神および範囲内にあるすべてのあらゆる変更を想定するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身麻酔を導入または維持する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の少なくとも1回のボーラス注射を行う工程を含み、化合物は、体重キログラム当たり10mgを超える量から約50mgの量で投与される、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項2】
意識消失を惹起するために化合物が体重キログラム当たり約15mgから約30mgの量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
意識消失を維持するために化合物が体重キログラム当たり10mgを超える量から約20mgの量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
全身麻酔を導入または維持する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を投与する工程、および第2の麻酔剤または鎮静剤を投与する工程を含む、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項5】
第2の麻酔剤または鎮静剤が、ミダゾラム、フェンタニル、メペリジン、プロポフォール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第2の麻酔剤または鎮静剤が、メペリジン、フェンタニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるオピエート鎮痛剤である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
式Iの化合物が非経口注入によって投与される、請求項4記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物が1回または複数回のボーラス注射によって投与される、請求項4記載の方法。
【請求項9】
対象に全身麻酔を導入および維持する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を意識消失を惹起するのに十分な第1の量で投与する工程、および該対象に式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を意識消失を維持するのに十分な第2の量で1回または反復投与する工程を含む、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項10】
第1の量が意識消失を惹起するために体重キログラム当たり約15mgから約30mgの用量でボーラス注射により投与されて、第2の量が意識消失を維持するために体重キログラム当たり約10mgから約20mgの用量でボーラス注射により投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第1の量が非経口注入により投与されて、第2の量が意識消失を維持するために約10〜約35mg/分の速度で非経口注入により投与される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
対象に鎮静状態を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含み、化合物は、約2mg/kgから15mg/kg未満の量で少なくとも1回の非経口ボーラス注射によって投与される、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項13】
化合物が約5mg/kg〜約10mg/kgの量で投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
対象において鎮静状態を導入および維持する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を鎮静状態を維持するのに十分な量で投与する工程、および該対象に式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を鎮静状態を維持するのに十分な第2の量で1回または反復投与する工程を含む、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項15】
第1の量が体重キログラム当たり約5mg〜約15mgの用量でボーラス注射により投与されて、第2の量が体重キログラム当たり約2mg〜約10mgの用量でボーラス注射により投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1の量が約5mg/分〜約25mg/分の速度で非経口注入により投与されて、第2の量が約5mg/分〜約15mg/分の速度で非経口注入により投与される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
対象に鎮静状態を導入する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を非経口注入によって投与する工程を含み、化合物は約5mg/分〜約25mg/分の量で投与される、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項18】
化合物が約7mg/分〜約20mg/分の量で投与される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
化合物が約7mg/分〜約15mg/分の量で投与される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
対象に鎮静状態を導入する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を投与する工程、ならびに麻酔剤、鎮痛剤、および鎮静剤から選択される第2の物質を投与する工程を含む、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項21】
第2の物質が、ミダゾラム、オピエート鎮痛薬、プロポフォール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
第2の物質が、メペリジン、フェンタニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるオピエート鎮痛薬である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
式Iの化合物が非経口注入によって投与される、請求項20記載の方法。
【請求項24】
式Iの化合物が1回または複数回のボーラス注射によって投与される、請求項20記載の方法。
【請求項25】
てんかん状態、悪心または嘔吐、そう痒症、酸化的組織損傷に関連する病的呼吸状態、および炎症要素を持つ病的状態からなる群より選択される少なくとも一つの状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を投与する工程を含む、方法:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項26】
化合物が非経口注入によって投与される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
化合物が1回または複数回のボーラス注射によって投与される、請求項25記載の方法。
【請求項28】
有効な麻酔剤である式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩;第2の麻酔剤または鎮痛剤;および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項29】
第2の麻酔剤または鎮静剤が、ミダゾラム、フェンタニル、メペリジン、プロポフォール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
第2の麻酔剤または鎮静剤が、メペリジン、フェンタニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるオピエート鎮痛剤である、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の制吐有効量;第2の制吐剤;および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項32】
第2の制吐剤が、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン作用薬、ブチロフェノン、フェノチアジン、カンナビノイド、ベンズアミド、糖質コルチコイド、ベンゾジアゼピン、セロトニン作動性アンタゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項33】
第2の制吐剤が、アトロピン、ヒオスシン、ジフェンヒドラミン、プロクロルペラジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、テトラヒドロカンナビノール、メトクロプラミド、トリメトベンズアミド、デキサメタゾン、ロラゼパム、オダンセトロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項32記載の薬学的組成物。
【請求項34】
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の鎮痒有効量;第2の鎮痒剤;および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物:

式中、それぞれのZは、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。
【請求項35】
第2の鎮痒剤が、抗ヒスタミン、コルチコステロイド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項34記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−195803(P2010−195803A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85646(P2010−85646)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2003−583432(P2003−583432)の分割
【原出願日】平成15年4月8日(2003.4.8)
【出願人】(509282066)エーザイ インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】