説明

ベローズ及びそれを用いた基板処理装置

【課題】上部と下部のバネ定数を変えることにより、上部における破損を防止することができるベローズを提供することができる。
【解決手段】ベローズ1は、伸縮部7における上部と下部が中間部に比べてバネ定数が大きくなるように設定されている。したがって、ベローズ1を垂直姿勢で取り付けて伸長させた場合であっても、伸縮部7の上部は、中間部よりも山部23と谷部25とが拡がりにくく、上部が自重により中間部より拡がることがない。その結果、伸縮部7の上部が破損するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状で軸方向に伸縮可能なベローズ及び、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を処理するために垂直方向に伸縮する機構にベローズを用いた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、山部と谷部とが交互に形成されて筒状を呈し、筒の軸方向に伸縮可能な合成樹脂で構成されたベローズがある(例えば、特許文献1,2参照)。これらのベローズは、ベローズの断面形状を工夫したり、山部と谷部の肉厚の関係を工夫したりして、ベローズの破損を防止するように構成されている。
【0003】
また、上述したベローズを用いた基板処理装置として、処理槽と、基板を保持するガイドと、ガイドに連結され、垂直姿勢の支持軸と、支持軸を鉛直方向に昇降する昇降機構とを備えたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
この基板処理装置は、処理槽内の雰囲気により支持軸が腐食したり、支持軸から発生したパーティクルが処理槽に侵入したりする不都合を防止するために、支持軸をベローズで覆っている。支持軸は昇降機構により垂直方向に昇降するが、伸縮可能なベローズで覆ってあるので、上記の不都合が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−30560号公報
【特許文献2】特開2001−193836号公報
【特許文献3】特開平10−275851号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、ベローズの山部と谷部とのピッチが全体において均等に構成されている。そのため垂直姿勢でベローズを使用すると、自重の負担が大きなベローズの上部において、山部と谷部との間隔がベローズの下部よりも大きく拡がる。したがって、ベローズの伸縮が繰り返されるとその部分の耐久性が低下し、ベローズの上部において破損が多発するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上部と下部のバネ定数を変えることにより、上部における破損を防止ないし抑制することができるベローズ及びそれを用いた基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、山部と谷部とが交互に形成されて中空状を呈した伸縮部を備え、中空状の軸方向に伸縮可能なベローズにおいて、前記伸縮部は、上部のバネ定数が中間部よりも大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、伸縮部の上部のバネ定数が中間部のバネ定数よりも大きく設定されている。したがって、伸縮部の上部は、中間部よりも山部と谷部とが拡がりにくく、上部が自重により中間部より拡がることが抑制される。その結果、伸縮部の上部が破損するのを防止できる。また、全体のバネ定数を大きくする場合と比較して、伸縮ストローク量を大きくできる。
【0010】
また、本発明において、前記伸縮部は、下部のバネ定数を上部と同じに設定されていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
下部のバネ定数を上部と同じにするので、ベローズの上下に関係なく使用することができる。したがって、ベローズの取り扱いを容易にすることができる。
【0012】
また、本発明において、前記バネ定数は、山部及び谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすることで大きく設定されていることが好ましい(請求項3)。
【0013】
山部と谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすると、山部から谷部へ延出された二辺の肉厚を厚くできるので、山部と谷部とが拡がりにくくできる。
【0014】
また、本発明において、端部から第1番目の山部の肉厚と、第1番目の谷部の肉厚と、第2番目の山部の肉厚と、第2番目の谷部の肉厚とは、第3番目以降の山部及び谷部の肉厚に向かって徐々に薄く設定されていることが好ましい(請求項4)。
【0015】
第3番目の山部及び谷部に徐々に肉厚を薄くすることにより、徐々にバネ定数を小さくすることができる。したがって、伸縮部が徐々に伸びるようにでき、バネ定数が極端に変わる部分に負荷がかかるのを抑制できる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、基板に対して処理を行う基板処理装置において、基板を収容する内部容器と、前記内部容器を覆う外部容器と、基板を保持する保持部と、前記外部容器を貫通して垂直姿勢で設けられ、前記保持部に連結された支持軸と、前記外部容器の外部に設けられ、前記支持軸を昇降駆動して、前記内部容器の内部に相当する処理位置と、前記内部容器の上方に相当する待機位置とにわたって前記保持部を昇降する昇降機構と、山部と谷部とが交互に形成されて中空状を呈した伸縮部を備え、中空状の軸方向に伸縮可能に構成され、前記伸縮部の上部のバネ定数が中間部の部分よりも大きく形成されているとともに前記支持軸に挿通されて前記外部容器内に設けられたベローズと、を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、昇降機構は、支持軸を昇降駆動して、内部容器の内部に相当する処理位置と、内部容器の上方に相当する待機位置とにわたって保持部を昇降する。外部容器及び内部容器内の雰囲気で腐食したり、昇降機構からのパーティクルが内部容器に侵入したりしないように支持軸にはベローズが挿通されている。このベローズは、伸縮部の上部のバネ定数が中間部のバネ定数よりも大きく設定されている。したがって、伸縮部の上部は、中間部よりも山部と谷部とが拡がりにくく、上部が自重により中間部より拡がることがない。その結果、伸縮部の上部が破損するのを防止できる。よって、ベローズの破損による交換作業のために処理を停止させる時間を低減でき、スループットを向上させることができる。
【0018】
また、本発明において、前記伸縮部は、下部のバネ定数を上部と同じに設定されていることが好ましい(請求項6)。
【0019】
下部のバネ定数を上部と同じにするので、ベローズの上下に関係なく使用することができる。したがって、ベローズを支持軸に取り付ける際の取り扱いを容易にすることができる。
【0020】
また、本発明において、前記バネ定数は、山部及び谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすることで大きく設定されていることが好ましい(請求項7)。
【0021】
山部と谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすると、山部と谷部とが拡がりにくくできる。
【0022】
また、本発明において、端部から第1番目の山部の肉厚と、第1番目の谷部の肉厚と、第2番目の山部の肉厚と、第2番目の谷部の肉厚とは、第3番目以降の山部及び谷部の肉厚に向かって徐々に薄く設定されていることが好ましい(請求項8)。
【0023】
第3番目の山部及び谷部に徐々に肉厚を薄くすることにより、徐々にバネ定数を小さくすることができる。したがって、伸縮部が徐々に伸びるようにでき、バネ定数が極端に変わる部分に負荷がかかるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るベローズによれば、伸縮部の上部のバネ定数が中間部のバネ定数よりも大きく設定されている。したがって、伸縮部の上部は、中間部よりも山部と谷部とが拡がりにくく、上部が自重により中間部より拡がることがない。その結果、伸縮部の上部が破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係るベローズが収縮した状態における縦断面図である。
【図2】実施例1に係るベローズが伸長した状態における縦断面図である。
【図3】ベローズを伸長させた際における山部間の開き量を本実施例と従来技術とで比較したグラフである。
【図4】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明について、ベローズとこれを備えた基板処理装置について以下に説明する。
【0027】
<ベローズ>
伸縮自在のベローズの実施例について以下に説明する。
【実施例1】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るベローズが収縮した状態における縦断面図である。また、図2は、実施例1に係るベローズが伸長した状態における縦断面図である。なお、図2は、ベローズの半面だけを図示している。
【0029】
ベローズ1は、第1取付部3と、第2取付部5と、伸縮部7とを備えている。ベローズ1は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene))などのフッ素樹脂製で一体的に構成されている。ベローズ1を構成する樹脂としては、基板の処理に用いられる際の処理雰囲気に対する耐性があればどのようなものであってもよい。第1取付部3及び第2取付部5は、平面視で円形状を呈している。なお、この説明においては、図1及び図2における上下関係を基本とし、第1取付部3を上とし、第2取付部5を下として説明する。
【0030】
第1取付部3は、第2取付部5よりも外径が大きく形成されている。第1取付部3の下面9には、中心部に貫通口11が形成され、その外周側に凹溝13が形成され、その外周側に複数個の取付穴15が形成されている。貫通口11は、ベローズ1の中心部を上下方向に貫通する。凹溝13は、第1取付部9の貫通口11を気密に保つための図示しないOリングが嵌め付けられる。取付穴15は、第1取付部3を固定するためのネジ止めに用いられる。
【0031】
第2取付部5は、その上面17の中心部に貫通口11が形成され、その外周側に凹溝19が形成され、その外周側に複数個の取付穴21が形成されている。貫通口11は、第1取付部3の貫通口11と連通している開口である。凹溝19は、第2取付部5の上面17を気密に保つための図示しないOリングが嵌め付けられる。取付穴21は、第2取付部5を固定するためのネジ止めに利用される。
【0032】
伸縮部7は、第1取付部3と第2取付部5との間に形成されている。伸縮部7は、横断面が環状を呈し、外周側からの複数の切れ目により山部23が形成され、内周側からの複数の切れ目により谷部25が交互に形成されている。山部23の数は、ベローズ1が使用される部位の伸長時及び縮小時の長さによって適した個数に設定される。ここでは、n個(n=整数)形成されているものとする。ここでは、伸縮部7の第1取付部3側を下部とし、伸縮部7の第2取付部5側を上部とし、それらの間を中間部と称する。
【0033】
この伸縮部7は、上部及び下部と、中間部とでバネ定数が異なるものとされている。具体的には、伸縮部7の上部と下部は、中間部よりも大きなバネ定数とされている。バネ定数は、バネに負荷を加えたときに、バネの伸びを荷重で除した比例定数である。換言すると、バネ定数が大きいと伸びにくく、バネ定数が小さいと伸びやすいことを表す。
【0034】
図2を参照して詳細に説明する。伸縮部7は、山部23の頂部23aと谷部25の頂部25aとの軸方向(図2の上下方向)における肉厚が上部と下部で中間部よりも厚くされている。
【0035】
具体的には、伸縮部7の上部においては、上から第1番目にあたる山部23−1の頂部23aの肉厚d23が最も厚く、上から第1番目にあたる谷部25−1の頂部25aの肉厚d25が次に厚く、上から第2番目にあたる山部23−2の頂部23aの肉厚d23が次に厚く、上から第2番目にあたる谷部25−2の頂部25aの肉厚d25が次に厚く、上から3番目にあたる山部23−3の頂部23aの肉厚d23が次に厚く、上から3番目にあたる谷部25−3の頂部25aの肉厚d25は、山部23−3の頂部23aの肉厚d23aの肉厚d23と同じ厚みに形成されている。それ以降の上から第4番目にあたる、中間部の山部23−4の頂部23aの肉厚d23及び、第4番目にあたる、中間部の谷部25−4の頂部25aの肉厚d25は、上から3番目にあたる山部23−3または谷部25−3の頂部における肉厚d23,d25と同じである。換言すると、上部から中間部に向かって、頂部23a、25aの肉厚が徐々に薄く設定されており、また中間部では、頂部23a,25aの肉厚d23,d25は一定であるように設定されている。
【0036】
このように、第1番目の山部23−1の肉厚d23>第1番目の谷部25−1の肉厚d25>第2番目の山部23−2の肉厚d23>第2番目の谷部25−2の肉厚d23>第3番目の山部23−3の肉厚d23=第4番目の山部d23−4の肉厚d23=……第3番目の谷部25−3の肉厚d25=第4番目の谷部25−4の肉厚d25=……とされている。また、山部23から第1取付部3と谷部25へ延出されている二辺と、山部23から谷部25に延出されている二辺も同様の関係の肉厚とされている。したがって、伸縮部7の上部は、中間部よりもバネ定数が大きく伸びが小さくなる。
【0037】
また、伸縮部7の下部は、上述した上部と同様に中間部よりもバネ定数が大きくなるように構成されている。但し、肉厚の厚い順序は上下逆になる。つまり、伸縮部7の下部においては、最下部の第n番目(下から第1番目)にあたる山部23−nの頂部23aの肉厚d23が最も厚く、最下部の第n−1番目(下から第1番目)にあたる谷部25−n−1の頂部25aの肉厚d25が次に厚く、第n−1番目(下から第2番目)にあたる山部23−n−1の頂部23aの肉厚d23が次に厚く、第n−2番目(下から2番目)にあたる谷部25−n−2の頂部25aの肉厚d25が次に厚く、第n−2番目(下から第3番目)にあたる山部23−n−2の頂部23aの肉厚d23が次に厚く、第n−3番目(下から第3番目)にあたる谷部25−n−3の頂部25aの肉厚d25は、山部23−n−2の頂部23aの肉厚d23と同じ厚みに形成されている。第n−3番目(下から第4番目)以上にあたる、中間部の山部23−n−3の肉厚d23及び、第n−4番目にあたる、中間部の谷部25−n−4の頂部25aにおける肉厚d25は、それぞれ下から3番目にあたる山部23−n−2または谷部25−n−3の頂部における肉厚d23,d25と同じである。換言すると、下部から中間部に向かって、頂部の肉厚が徐々に薄く設定されている。
【0038】
このように、第n番目の山部23−nの肉厚d23>第n−1番目の谷部25−n−1の肉厚d25>第n−1番目の山部23−n−1の肉厚d23>第n−2番目の谷部25−n−2の肉厚d23>第n−2番目の山部23−n−2の肉厚d23=第n−3番目の山部d23−n−3の肉厚d23=……第n−3番目の谷部25−n−3の肉厚d25=第n−4番目の谷部25−n−4の肉厚d25=……とされている。また、山部23から第2取付部5と谷部25へ延出されている二辺と、山部23から谷部25に延出されている二辺も同様の関係の肉厚とされている。したがって、伸縮部7の下部は、中間部よりもバネ定数が大きく、伸びが小さくなる。
【0039】
本実施例のベローズ1は、上述したように上部と下部が中間部に比べてバネ定数が大きくなるように設定されている。したがって、ベローズ1を垂直姿勢で取り付けて伸長させた場合であっても、伸縮部7の上部は、中間部よりも山部23と谷部25とが拡がりにくく、上部が自重により中間部より拡がることがない。その結果、伸縮部7の上部が破損するのを防止できる。
【0040】
また、ベローズ1の下部は、バネ定数を上部と同じに設定されているので、ベローズ1の上下に関係なく使用することができる。したがって、ベローズ1の取り扱いを容易にすることができる。
【0041】
また、山部23と谷部25の頂部23a、25aにおける軸方向の肉厚を厚くすると、山部23から谷部25へ延出された二辺の肉厚を厚くできるので、山部23と谷部25とが拡がりにくくできる。
【0042】
さらに、上部から中間部、下部から中間部への山部23及び谷部25の肉厚を徐々に薄くしているので、徐々にバネ定数を小さくすることができる。したがって、伸縮部7が徐々に伸びるようにでき、バネ定数が極端に変わる部分に負荷がかかるのを抑制できる。
【0043】
ここで図3を参照して、上述した本実施例のベローズ1と従来技術との比較を行う。なお、図3は、ベローズを伸長させた際における山部間の開き量を本実施例と従来技術とで比較したグラフである。
【0044】
ベローズ1に荷重を加えて伸長させ、その状態において山部23の間の長さを各山部23について測定した。その結果を示すのが図3のグラフである。伸縮部7の上部では、中間部と下部の荷重が加わるので開き量が大きくなる。しかしながら、従来技術に比較すると、伸縮部7の上部における開き量が小さいことが分かる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0046】
(1)上述した実施例では、ベローズ1が樹脂で一体的に構成されている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、複数個のベローズを用い、バネ定数が大きなベローズを上述したベローズ1の上部及び下部に配置し、バネ定数が小さなベローズを上述したベローズ1の中間部に配置するようにしてもよい。これにより、汎用品のベローズを組み合わせて本発明を構成することができ、コストを抑制することができる。
【0047】
(2)上述した実施例では、ベローズ1の上部と下部のバネ定数を中間部より大きくした。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ベローズ1を取り付けた際の上部にあたる部分のバネ定数だけをそれ以外よりも大きく設定してもよい。これにより、ベローズ1の上下方向の取り扱いに制限が加わるものの、ベローズ1の軽量化を図ることができる。
【0048】
(3)上述した実施例では、伸縮部7の横断面が環状を呈するとしたが、例えば、中空状であれば楕円形状や矩形状であってもよい。
【0049】
(4)上述した実施例では、山部23及び谷部25の頂部やそれらから延出された二辺の肉厚を厚くすることでバネ定数を大きくした。しかしながら、上部が下部よりも大なる直径の逆円錐形バネのように構成してもよい。つまり、直径が大きいとバネ定数が大きく、直径が小さいとバネ定数が小さくなるので、上述した実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
(4)上述した実施例では、ベローズ1を樹脂で一体成形したが、伸縮部7の上部を伸びにくい材料で構成し、上部のバネ定数を大きく構成するようにしてもよい。
【0051】
(5)上述した実施例では、上部と下部のバネ定数を中間部のバネ定数よりも大きくしたが、上部から下部に向かって全体的に徐々にバネ定数を小さくしてゆくように構成してもよい。
【0052】
<基板処理装置>
上述した実施例1のベローズ1を備えた基板処理装置について説明する。
【実施例2】
【0053】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図4は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0054】
基板処理装置51は、内部容器53と、外部容器55と、リフタ57と、昇降機構59とを備えている。
【0055】
内部容器53は、複数枚の基板Wを起立姿勢で収容可能な大きさを有し、上部に開口を備えている。内部容器53は、図示しない処理液供給ノズルから処理液を供給される。処理液は、内部容器53の上縁を超えて溢れ、外部容器55で回収される。内部容器55に貯留している処理液は、処理時に閉止されている排液口61が開放されることにより排出される。
【0056】
外部容器53は、上部に開口を有し、内部容器53の側方及び下方を囲うように配置されている。外部容器53は、内部容器53から回収した処理液を排液口63から排出し、図示しない廃液設備に処理液を送る。
【0057】
リフタ57は、保持部65と、支持アーム67と、支持部69と、支持軸71とを備えている。保持部65は、基板Wの下縁を当接支持し、複数枚の基板Wを起立姿勢に保持する。支持アーム67は、下部で保持部65を水平姿勢に片持ち支持する。支持部69は、支持アーム67の上部に連結されている。支持軸71は、支持部69の下面に上端部が連結され、下端部が外部容器55から外部に延出されている。
【0058】
昇降機構59は、支持軸71の下端部を連結されており、支持軸71の軸方向に支持軸71を昇降駆動する。昇降機構59を作動させると、支持軸71の昇降に連動して、保持部65が内部容器53の内部に相当する処理位置(図4に実線で示した位置)と、内部容器53の上方に相当する待機位置(図4に二点鎖線で示した位置)とにわたって昇降される。
【0059】
上述した支持軸71は、貫通口11によりベローズ1が挿通されている。ベローズ1の第2取付部5は、支持部69の下面にネジ止めされて固定され、ベローズ1の第1取付部3は、外部容器55の一部位にネジ止めされて固定されている。したがって、外部容器55を貫通して昇降する支持軸71をベローズ1で覆っているので、内部容器53及び外部容器55の雰囲気が外部に漏れることがない。したがって、昇降機構59が処理液雰囲気により腐食するのを防止したり、昇降機構59から発生したパーティクルが外部容器55や内部容器53に侵入して基板Wを汚染したりする不都合を防止できる。
【0060】
また、ベローズ1は、上述した実施例1のものであるので、伸縮部7の上部のバネ定数が中間部のバネ定数よりも大きく設定されている。したがって、伸縮部7の上部は、中間部よりも山部23と谷部25とが拡がりにくく、自重により上部が中間部より拡がることがない。その結果、特に支持軸71を上昇させたとき、伸縮部7の上部が破損するのを防止できる。よって、ベローズ1の破損による交換作業のために処理を停止させる時間を低減でき、スループットを向上させることができる。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0062】
(1)上述した実施例では、処理液を内部容器53に貯留して基板Wを処理する装置を例にとったが、気体や蒸気を内部容器53に供給して基板Wに処理を施す装置の気密を保つための部分等であっても本発明を適用することができる。
【0063】
(2)上述した実施例では、基板Wを複数枚保持する保持部65を備えているが、一枚の基板Wを保持する構成であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 … ベローズ
3 … 第1取付部
5 … 第2取付部
7 … 伸縮部
11 … 貫通口
23 … 山部
25 … 谷部
23a,25a … 頂部
d23,d25 … 軸方向の肉厚
51 … 基板処理装置
53 … 内部容器
55 … 外部容器
57 … リフタ
W … 基板
65 … 保持部
67 … 支持アーム
71 … 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部と谷部とが交互に形成されて中空状を呈した伸縮部を備え、中空状の軸方向に伸縮可能なベローズにおいて、
前記伸縮部は、上部のバネ定数が中間部よりも大きく形成されていることを特徴とするベローズ。
【請求項2】
請求項1に記載のベローズにおいて、
前記伸縮部は、下部のバネ定数を上部と同じに設定されていることを特徴とするベローズ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベローズにおいて、
前記バネ定数は、山部及び谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすることで大きく設定されていることを特徴とするベローズ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のベローズにおいて、
端部から第1番目の山部の肉厚と、第1番目の谷部の肉厚と、第2番目の山部の肉厚と、第2番目の谷部の肉厚とは、第3番目以降の山部及び谷部の肉厚に向かって徐々に薄く設定されていることを特徴とするベローズ。
【請求項5】
基板に対して処理を行う基板処理装置において、
基板を収容する内部容器と、
前記内部容器を覆う外部容器と、
基板を保持する保持部と、
前記外部容器を貫通して垂直姿勢で設けられ、前記保持部に連結された支持軸と、
前記外部容器の外部に設けられ、前記支持軸を昇降駆動して、前記内部容器の内部に相当する処理位置と、前記内部容器の上方に相当する待機位置とにわたって前記保持部を昇降する昇降機構と、
山部と谷部とが交互に形成されて中空状を呈した伸縮部を備え、中空状の軸方向に伸縮可能に構成され、前記伸縮部の上部のバネ定数が中間部の部分よりも大きく形成されているとともに前記支持軸に挿通されて前記外部容器内に設けられたベローズと、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記伸縮部は、下部のバネ定数を上部と同じに設定されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の基板処理装置において、
前記バネ定数は、山部及び谷部の頂部における軸方向の肉厚を厚くすることで大きく設定されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の基板処理装置において、
端部から第1番目の山部の肉厚と、第1番目の谷部の肉厚と、第2番目の山部の肉厚と、第2番目の谷部の肉厚とは、第3番目以降の山部及び谷部の肉厚に向かって徐々に薄く設定されていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−50187(P2013−50187A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188956(P2011−188956)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】