説明

ペプチドを含有するフケ防止組成物

本発明は、特に、頭髪用および皮膚用化粧品において用いることができる組成物中での特殊なペプチドの使用、ならびにそのようなペプチドを含有する組成物に関する。特に、本発明は、体内または環境中に蓄積しないフケの阻害または治療のための活性成分としてのそのようなペプチドの使用に関する。さらに、本発明は、そのような組成物の製造、用いられるペプチド自身、その製造およびそのようなペプチドのコードヌクレオチド配列、そのようなペプチドの分散系ならびに好適なさらなるペプチドを同定するためのスクリーニング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、頭髪用および皮膚用化粧品において用いることができる組成物における特殊なペプチドの使用、ならびにそのようなペプチドを含有する組成物に関する。特に、本発明は、保存用または予防用の、体内または環境中に蓄積しないフケの阻害または治療のための活性成分としてのそのようなペプチドの使用に関する。さらに、本発明は、そのような組成物の製造、用いられるペプチド自体、その製造およびそのようなペプチドのコードヌクレオチド配列、そのようなペプチドの分散系ならびに好適なさらなるペプチドを同定するためのスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野においては、微生物活性は体臭、フケの形成または広範囲の炎症およびシミなどの望ましくない変化を誘導し得る。従来技術は、調製物、例えば、化粧品または医薬品における抗微生物物質および/または抗菌物質の使用を開示している。しかしながら、新規抗微生物組成物および/または抗菌組成物の開発は、活性成分に対して耐性である細菌株または菌株の発生に起因して、常に必要である。それぞれ、ヒトの健康に対して負の効果を示さず、有害な細菌に対する良好な活性スペクトルを示す、新規抗微生物化合物および抗菌化合物の開発が特に興味深い。
【0003】
多様な抗微生物ペプチドが文献に既に記載されており、概説にまとめられている(Hancock, R.E.W.およびLehrer, R. 1998, Trends in Biotechnology, 16: 82-88; Hancock, R.E.W.およびSahl, H.G. 2006, Nature Biotechnology, 24: 1551-1557)。
【0004】
2個の有効なペプチドを組合わせる融合ペプチドも同様に文献に記載されている。Wadeらは、ヒアロフォラ・セクロピア(Hyalophora cecropia)に由来するセクロピンAと、ハチ毒メリチンとの様々な融合物の抗細菌効果を報告している(Wade, D.ら、1992, International Journal of Peptide and Protein Research, 40: 429-436)。Shinらは、20個のアミノ酸からなる、ヒアロフォラ・セクロピアに由来するセクロピンAとゼノプス・ラビス(Xenopus laevis)に由来するマガイニン2との融合ペプチドの抗細菌効果を記載している。セクロピンAは37個のアミノ酸からなり、グラム陰性細菌に対する活性を示すが、グラム陽性細菌に対してはより低い活性を示す。マガイニン2は23個のアミノ酸からなり、細菌に対しては活性であるが、腫瘍細胞系に対しても活性である。セクロピンAとメリチンとの融合物と比較して、この融合物は、比較可能な抗細菌効果に関してかなりより低い溶血活性を示す(Shin, S.Y. Kang, J.H., Lee, M.K., Kim, S.Y., Kim, Y., Hahm, K.S., 1998, Biochemistry and Molecular Biology International, 44: 1119-1126)。
【0005】
US 2003/0096745 A1およびUS 6,800,727 B2は、20個のアミノ酸からなるこれらの融合ペプチドならびにアミノ酸、特に、正に帯電したアミノ酸および疎水性アミノ酸の交換の結果として、より正に帯電し、より疎水性になったこの融合物の変異体を特許請求している。
【0006】
このセクロピンA-マガイニン-2融合ペプチドのさらなる開発は、Shinら、1999により記載されている。ここでは、構築物P18(HT2、配列番号3)が出発融合物と比較してより低い溶血活性を有するが、大腸菌およびバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)に対する抗細菌活性は損傷していないことが見出された(Shinら、1999 Journal of Peptide Research, 53: 82-90)。
【0007】
さらに、Shinら、2001は、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)またはプロテウス・バルガリス(Proteus vulgaris)などの他の標的細菌にも対するその抗細菌活性に関するP18構築物および類似構築物の活性を調査した(Shinら、2001, Journal of Peptide Research, 58: 504-514)。
【0008】
菌類に対するP18の有効性に関する最初の実験は、Shinらにより2002年1月に公開された。ここでは、マガイニン2と比較したカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対するP18ペプチドのより良好な有効性が確立された(Shinら、2002, Biochemical and Biophysical Research Communications, 290: 558-562)。
【0009】
カンジダ・アルビカンスに加えて、子嚢菌アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)および担子菌トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelli)がP18および該ペプチドの変異体により阻害された。しかしながら、最も効率的な阻害はP18の場合に達成された(Leeら、2004, Biotechnology Letters, 26: 337-341)。脂溶性菌類、特に、マラセジア(Malassezia)属の阻害は教示されていない。さらに、公知の市販の抗菌物質と比較した、セクロピン-マガイニン融合物のより有効な効果を証明する実験は記載されていない。
【0010】
マラセジア属は、部分的には、ヒト皮膚上の正常な常在菌叢に属する脂溶性菌類である。多くの保存剤は義務的に脂溶性であり、マラセジア・パチデルマティス(M. pachydermatis)のみが任意的に脂溶性であると記載されている。にもかかわらず、マラセジア種に関連する障害が記載されている。これらのものとしては、虹色粃糠疹、アトピー性皮膚炎、頭部粃糠疹、脂漏症およびマラセジア種が病原体である場合、ピチロスポルム・フォリクリティスまたはマラセジア・フォリクリティスが挙げられる(Cutsemら、1990, Journal of the American Academy of Dermatology, 22: 993-998, Nenoffら、2007, Aktuelle Dermatologie, 33: 26-32)。治療のためには、抗真菌剤、殺菌剤が通常用いられる。その例は、ケトコナゾール、クリンバゾール、亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、硫化セレンまたはいくつかの天然抽出物(例えば、杜松油、ローズマリー油など)であり、例えば、フケ防止用シャンプー製剤中、1桁の%(w/w)範囲で添加されることが多い。
【0011】
しかしながら、フケを阻害、治療または防止するための記載の物質のいくつかは、毒性的に許容できないか、または化粧品調製物は十分に有効ではない(Kosmetische Medizin 5+6/2006)。
【0012】
マラセジア・フルフル(Malassezia furfur)種は、他のマラセジア種と比較していくつかの抗真菌剤に対する感度が低い(Nenoffら、2007, Aktuelle Dermatologie, 33: 26-32)。同様に、低濃度でもカンジダ・アルビカンスの増殖をかなり阻害する物質は、あったとしても、高濃度でのみマラセジア・フルフルの増殖を阻害する。かくして、Nenoffらは、約152〜269μg/mlの濃度のフィトスフィンゴシンによるカンジダ・アルビカンスの阻害を記載するが、マラセジア・フルフルの阻害は塩基性フィトスフィンゴシンについては約25倍より高い濃度(6250μg/ml)でのみ起こったか、またはマラセジア・フルフルはフィトスフィンゴシン塩に対して耐性であるようであった(Nenoffら、2002, Acta Derm Venerol, 82: 170-173)。
【0013】
Hansonら、1989により、ペプチドシロフンギンについても同様の観察が為された。76%のカンジダ・アルビカンス株は0.62μg/mlのシロフンギン濃度では増殖しなかったが、義務的に脂溶性のマラセジア・フルフルはこれらの濃度では阻害されなかった。マラセジア・フルフルに関するシロフンギンの最小阻害濃度は記載されなかった。それは明らかに0.31μg/ml〜40μg/mlの調査された範囲内になかった(Hansonら、1989, Antimicrobial agents and chemotherapy, 33:1391-1392)。
【0014】
2006年に、Lopez-Garciaらは、セクロピンP1およびマガイニン2を用いるマラセジア・フルフルの増殖阻害を記載している。ここで、25μMの濃度で、セクロピンP1の中程度の抗菌効果および比較的良好なマガイニン2の効果が見出された(Lopez-Garciaら、2006, Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 57: 877-882)。
【0015】
EP-A-0 866 804は、化粧品または医薬製剤中の活性成分としてヒト皮膚に由来するβ-ディフェンシンの使用を記載している。しかしながら、従来技術の抗菌活性成分との内部比較は行われていない。
【0016】
WO-A-00/032220は、フケの治療のための抗菌活性成分としての菌類ポリペプチドの使用を記載している。しかしながら、従来技術の抗菌活性成分との内部比較はここでも行われていない。
【0017】
米国特許出願第2003/0096745号は、特定の微生物に対する抗細菌および抗菌活性を有する配列KWKKLLKKPPPLLKKLLKKLのポリペプチドを記載している。抗菌活性が、カンジダ・アルビカンスおよびトリコスポロン・ベイゲリに対して示された。特に、フケの治療のための化粧品用途は提唱されていない。
【0018】
しかしながら、抗微生物物質の使用、特に、常用は、人々においては過敏症、または健康への損傷さえもたらすことがある。過敏症は、皮膚の発赤、刺激または感作であってよい。ヒト体内での全身吸収は、身体機能の悪化をもたらすことがある。特に、いくつかの抗微生物物質の常用は、その濃度の増加をもたらし得る。1つの公知の例は、パラベンである(Dabreら、2004, Journal of Applied Toxicology, 24: 5-13)。用途に応じて、かくして、ヒト体内または環境中への蓄積がもたらされる。
【0019】
さらに、抗微生物物質の過剰かつ不適切な使用は、何回も標的生物の耐性をもたらす。
【0020】
従って、第1に抗菌剤としての有効性を有し、フケを回避するか、または治療するのに好適である新規化粧用抗微生物組成物を提供する必要がある。特に、これらは天然の環境中では分解することができないため、体内に蓄積すべきではない。
【0021】
特に、これまで公知の通常のフケ防止剤よりも、フケに対してより有効であり、特に、フケ菌類マラセジア・フルフルおよび他のマラセジア種に対して有効である抗菌活性成分を提供する必要がある。好ましくは、皮膚天然細菌叢は損傷を受けるべきではなく、活性成分も体内または環境中に蓄積するべきではないが、天然環境中で分解されるべきである。
【0022】
従って、本発明の課題は、フケ、特に、アカを回避、阻害および/または治療するための新規な、有効であるが生分解性の活性成分を提供することであった。有利には、化粧用および/もしくは皮膚化粧用製剤または調製物を製造するのに好適である活性成分化合物を同定すべきである。さらに、この活性成分の全身吸収を回避すべきである。さらに、前記調製物が低い細胞傷害性を有するか、細胞傷害性が全くないことを確保すべきである。特に、前記活性成分は酵母菌類マラセジア・フルフルに対して、およびまた他のマラセジア種、特に、義務的に脂溶性の種に対しても有効であるべきである。
【発明の概要】
【0023】
この課題を、添付の特許請求の範囲における定義に従う化粧品組成物により達成した。
【0024】
驚くべきことに、特許請求された構造または構造モチーフを有する少なくとも1種のペプチドを含む組成物が、脂溶性菌類種、特にマラセジア・フルフルに対して十分な有効性を有し、良好な皮膚適合性と関連することが見出された。さらに、亜鉛ピリチオンなどの従来のフケ防止用活性成分と比較して、より急速に進行する生分解性が認められた。さらに、驚くべきことに、その効果が、ペプチドセクロピンAまたはマガイニンIIをそのまま用いて達成される効果よりも良好であることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1. 一般的定義
「へリックス破壊剤」は、本発明に従うペプチド内の区分であって、ペプチド鎖のこの区分の領域が、らせん二次構造の形成を阻害する、前記区分を意味する。しかしながら、へリックス破壊剤からさらに遠くでのらせん構造の形成は抑制されない。典型的なへリックス破壊剤は、当業者には公知である。特に、アミノ酸プロリンは、へリックス破壊剤の特性を有するペプチド構成要素である。同じことが、プロリンを含有するペプチド断片についても真実である。
【0026】
本発明の文脈内では、「疎水性アミノ酸」は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニンおよびトリプトファンである。
【0027】
本発明の文脈内では、「親水性アミノ酸」は、特に、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンなどの極性側鎖を有するアミノ酸;アスパラギン酸およびグルタミン酸などの酸性アミノ酸;ならびに特に、リジン、アルギニンおよびヒスチジンなどの塩基性アミノ酸である。
【0028】
「α-へリックスアームを形成することができる」とは、好適な条件下でらせん構造の形成を促進する配列である。らせん構造を形成させるのに人工的に好適な条件は、例えば、α-へリックス形成を促進するトリフルオロ酢酸、およびまたSDSに基づく溶媒系である。
【0029】
「α-へリックス率」は、測定しようとするサンプルが、1 mmのパス長を有する測定セルと100μg/mlのペプチド濃度を用いて、特に、10 mMリン酸ナトリウムバッファー、pH 7.0中の50%(v/v)トリフルオロ酢酸、または10 mMリン酸ナトリウムバッファー、pH 7.0中の30 mM SDSなどの標準的な条件下で得られる、円偏光二色性(CD)分析の助けで決定された測定値を意味すると理解される。この計算を、以下の式:

に従って行う。
【0030】
好適な測定条件は、例えば、Shinら、1999, Journal of Peptide Research, 53:82-90(この参考文献は明確に本明細書に組み入れられるものとする)により記載されている。
【0031】
「反復配列モチーフ」は、直接的または間接的に一緒に、すなわち、本明細書で定義される「リンカー基」を介して連結された、好ましくは同一のペプチド配列の直線的配置を意味すると理解される。
【0032】
用語「突然変異体」および「変異体」は、同義語として用いられる。これらのものは、以下により詳細に記載されるように、所望の活性を依然として示し、かくして、フケ防止用ペプチドとしての適用性を示す、特に、「機能的」または「機能的に等価な」改変を意味すると理解される。
【0033】
用語「化粧品」、「皮膚化粧品」または「皮膚科学」も同様に同義語として用いられる。
【0034】
「融合産物」は、ペプチドとタンパク質の共有もしくは非共有結合(「融合ペプチド」)およびペプチドとポリマーの共有もしくは非共有結合(「融合ポリマー」)を意味すると理解される。連結される構成要素は、不可逆的または可逆的に一緒に、すなわち、生物学的に、特に、酵素的に、切断可能なように連結される。
【0035】
2. 好ましい実施形態
本発明は第1に、化粧品担体中に、以下の一般式I:
Hel1-HB-Hel2 (I)
(式中、
「HB」は1〜5個、特に、1、2もしくは3個の連続するアミノ酸残基を含み、へリックス破壊剤の機能を有する部分配列モチーフであり、ならびに
「Hel1」および「Hel2」は、親水性残基およびプロリンとは異なる疎水性の、特に、塩基性の残基から本質的に選択され、それぞれ、α-へリックスアームを形成することができ、へリックスアームの少なくとも1つが、その軸方向投影図において、すなわち、「らせんホイール」ダイアグラムに対応する上面図において、疎水性、特に、塩基性、および親水性の半らせんにおいて不完全な分離を有する、それぞれ5〜15個、例えば、6〜12個、特に、8、9もしくは10個の連続するアミノ酸残基を含む、同一もしくは異なる部分配列モチーフである)
の少なくとも1個の配列モチーフを含むペプチドを含む化粧品組成物を提供する。ここで、例えば、前記型(疎水性もしくは親水性)の半分の1、2、3または4個の位置が、他の型(それぞれ、親水性もしくは疎水性)のアミノ酸残基により占有されていてもよい。
【0036】
対照的に、完全に分離した疎水性および親水性半らせんは、上記定義に従う疎水性または親水性アミノ酸残基からのみなるであろう。言及される完全に親水的/疎水的に分離されたらせんの1例は、配列モチーフKLKKLLKKである。
【0037】
「半らせん」は、数値的な半分、すなわち、らせんのアミノ酸の総数の半分を意味すると理解する必要は必ずしもない。二等分の数値サイズは、例えば、1〜3個のアミノ酸により異なっていてもよい。
【0038】
本発明は第2に、化粧品担体中に、以下の一般式I:
Hel1-HB-Hel2(I)
(式中、
「HB」は1〜5個、特に、1、2もしくは3個の連続するアミノ酸残基を含み、へリックス破壊剤の機能を有する部分配列モチーフであり、ならびに
「Hel1」および「Hel2」は、親水性残基およびプロリンとは異なる疎水性の、特に、塩基性の残基から本質的に選択され、それぞれ、α-へリックスアームを形成することができ、前記ペプチドが、それぞれ、CD分析により決定する場合、50%(v/v)トリフルオロ酢酸、pH 7.0中で、約25〜98%、例えば、30〜80%もしくは30〜60%のαへリックス率(へリックス率%)を有するか、または30 mM SDS、pH 7.0中、約10〜70%、もしくは12〜55%もしくは12〜40%のへリックス率(%)値を有する、それぞれ5〜15個、例えば、6〜12個、特に、8、9もしくは10個の連続するアミノ酸残基を含む、同一もしくは異なる部分配列モチーフである)
の少なくとも1個の配列モチーフを含むペプチドを含む化粧品組成物を提供する。
【0039】
本発明は第3に、化粧品担体中に、配列番号1:
X1X2KX3X4X5KIPX10KFX6X7X8AX9KF(配列番号1)
(式中、
X10は、ペプチド結合または1もしくは2個の任意の塩基性もしくは疎水性アミノ酸残基または1もしくは2個のプロリン残基であり、および
X1〜X9は、任意の塩基性アミノ酸残基またはプロリンとは異なる疎水性アミノ酸残基であり;
ここで、反復配列モチーフは同一または異なっていてもよい)
に従う配列または反復配列モチーフを有する少なくとも1個のペプチド、
ならびに/またはその突然変異体もしくは誘導体を含む化粧品組成物を提供する。
【0040】
特に、本発明は、配列番号2:
X1X2KX3X4X5KIPX11X12KFX6X7X8AX9KF(配列番号2)
(式中、
X1はリジン、アルギニンもしくはフェニルアラニンであり、
X2はリジンもしくはトリプトファンであり、
X3はロイシンもしくはリジンであり、
X4はフェニルアラニンもしくはロイシンであり、
X5はロイシンもしくはリジンであり、
X6はロイシンもしくはリジンであり、
X7はヒスチジンもしくはリジンであり、
X8はアラニン、ロイシン、バリンもしくはセリンであり、
X9はロイシンもしくはリジンであり、
X10はプロリンもしくは化学結合であり、および
X12はプロリンもしくは化学結合であり、
ここで、反復配列モチーフは同一もしくは異なる)
に従う配列または反復配列モチーフを有する少なくとも1個のペプチド、
ならびに/またはその突然変異体もしくは誘導体を含む、上記定義に従う組成物を提供する。
【0041】
上記配列または配列番号3に従う反復配列モチーフの非限定例は、
P18 KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2 (配列番号3)
RP18 RWKLFKKIPKFLHLAKKF (配列番号4)
KKFP18 FKKLFKKIPKFLHAAKKF (配列番号5)
KKLP18 KWKLLKKIPKFKKLALKF (配列番号6)
AP18 KWKLFKKIPKFLHAAKKF (配列番号7)
KFLP18 KWKKFLKIPKFLHAAKKF (配列番号8)
KLLP18 KWKKLLKIPKFLHAAKKF (配列番号9)
および/またはその突然変異体もしくは誘導体である。
【0042】
本発明に従う組成物は、特に、反復配列モチーフを有するペプチドであって、複数の、例えば、2〜10個もしくは3〜5個の一般式Iもしくは配列番号1〜9に従うペプチドまたはその突然変異体もしくは誘導体がリンカー基を介して一緒にペプチド結合された前記ペプチドを含んでもよい。
【0043】
ここで、「リンカー基」は、好ましくは、アラニン、グリシン、トレオニンおよびセリン、例えば、GGSGGT、GGSGGS、もしくはポリ-アラニンリンカーおよびポリ-グリシンリンカー(式中、「ポリ」は2〜10である)から選択されるか、またはAsp、Pro、AsnおよびGly、例えば、Asp-ProおよびAsn-Glyから選択される、連続する同一の、または異なるアミノ酸残基を含んでもよい。
【0044】
さらに、C末端カルボキシル基がアミド化されたペプチドを用いることができる。
【0045】
本発明はまた、必要に応じて、少なくとも1種の化粧成分、好ましくはペプチド性補助成分もしくは活性成分と、少なくとも1種の上記定義に従うペプチドとの切断可能な融合ポリペプチドを含む組成物も提供する。そのような活性成分の例は、ヒドロフォビン、ケラチン結合ドメイン、アルブミン、ラクトフェリン、アビジン、抗体、好ましくは、ケラチン結合抗体、表面に対する結合ペプチド、好ましくは、ケラチン結合ペプチド、シルクタンパク質、スパイダーシルクタンパク質、好ましくは、C16、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、他の構造タンパク質、好ましくは、頭髪および皮膚の構造タンパク質、皮膚および頭髪の構造タンパク質に対する結合タンパク質、エナメル構築タンパク質、アメロゲニン、エナメル構築タンパク質の結合タンパク質、アメロゲニンの結合タンパク質であり、これらの融合物は永続的なものであっても、他に切断可能なものであってもよい。
【0046】
本発明はまた、少なくとも1種の化粧用ポリマーと、少なくとも1種の上記定義に従うペプチドとの融合ポリマーも提供する。そのようなポリマーの例は、ポリヒドロキシアルカノーエト、ヒアルロン酸、グルカン、スフェログルカン、セルロース、キサンタン、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ポリリジンおよびシリコンであり、共有または非共有結合として存在する。
【0047】
さらに、上記ペプチドは、パンテノール、ビサボロール、レチノール、カロテノイド、タンパク質加水分解物などの化粧用/医薬用活性成分への共有結合として前記組成物中に存在してもよい。
【0048】
本発明はまた、例えば、少なくとも1種の抗炎症活性成分、特に、マラセジア・フルフルなどの望ましくない細菌の増殖および/もしくは病態生理学的活性を阻害するための抗微生物活性成分、ならびに/または皮脂調節性活性成分などの、少なくとも1種のさらなる化粧用もしくは医薬用の活性成分をさらに含む、上記定義に従う組成物も提供する。
【0049】
抗炎症活性成分の例は、コルチコイド(例えば、コルチゾン)、アザチオプリン、ビサボロール、シクロスポリンA、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、パンテノール、カモミール抽出物またはアロエ抽出物などである。
【0050】
抗微生物剤の例は、アルコール、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリニルウレア、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などの当業者には公知の従来の保存剤である。そのような脱臭物質は、例えば、亜鉛リシノレアート、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロラミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである(以下の第3.5節も参照)。
【0051】
皮脂調節性活性成分の例は、アゼライン酸、セバシン酸、カリウムアレザオイルジグリシナート、10-ヒドロキシデカン酸、1,10-デカンジオール、アルミニウム塩、塩化アルミニウム水和物などである。
【0052】
前記ペプチドは、それぞれ、最終組成物の総重量に基づいて、0.0001〜50重量%、特に、0.001〜10重量%、および特に、0.005〜0.1重量%の少量で、本発明に従う組成物中に存在する。
【0053】
本発明のさらなる態様は、マラセジア・フルフルに対して、標準的な条件下で決定されるように、約1500〜0.1μM、例えば、500〜1μM、100〜5μMまたは50〜10μMの最小阻害濃度を示す、上記で定義された少なくとも1種のペプチドを含有する組成物に関する。この文脈での標準的な条件は、600 nmで0.1の初期光密度を示し、培養培地中に前記最小濃度で含まれる前記ペプチドとの24時間のインキュベーション後に、培養培地1μlあたり、2以上のコロニー形成単位(CFU)の前記微生物を含有する、マラセジア・フルフル培養物に関する。
【0054】
本発明はさらに、ペプチドが、特に、脂溶性菌類、特に、マラセジア・フルフルおよびマラセジア属の他の種の増殖および/もしくは病態生理活性を抑制するのに用いられる、フケ、特に、アカの治療もしくは予防のための化粧品組成物を製造するために、またはペプチドが保存剤として存在する化粧品組成物を製造するために、必要に応じて、少なくとも1種のさらなる従来の、例えば、低分子量の抗菌剤、例えば、ケトコナゾール、クリンバゾール、亜鉛ピリチオンもしくは硫化セレンと組合わせた、上記定義に従うペプチドまたは上記定義に従う融合ポリペプチドの使用を提供する。
【0055】
これに関連して、様々な天然皮膚生物は、フケ治療の間にその増殖および/または活性は本質的には阻害されないか、またはわずかに阻害される。
【0056】
本発明はさらに、上記定義に従う化粧品組成物を製造する方法であって、上記定義に従うペプチドを、少なくとも1種の通常の化粧用補助剤および必要に応じて、さらなる化粧用もしくは医薬用活性成分と一緒に製剤化して、所望の投与形態を与える、前記方法を提供する。
【0057】
本発明は、上記定義に従うペプチドおよびまたそのようなペプチドをコードする核酸、ならびにまた、ストリンジェントな条件下でそのようなコード核酸とハイブリダイズする相補的核酸をさらに提供する。
【0058】
さらに、本発明は、プローブとして上記定義に従う相補的核酸を用いて、核酸を含有するサンプルを、ストリンジェントな条件下で該プローブを用いてハイブリダイズする核酸についてスクリーニングする、フケ防止ペプチドのスクリーニング方法に関する。
【0059】
最後に、本発明は、前記ペプチドと、必要に応じて、存在するさらなる成分が、例えば、その中に存在する(溶解された、懸濁された、分散された)リポソーム、ゼオライト、シクロデキストリン、ポリエチレンイミンに基づくベクター系に結合する、上記定義に従うペプチドを遊離させるための分散系を提供する。
【0060】
P18(配列番号3)は、ヒアラフォラ・セクロピアに由来するセクロピンAおよびゼノプス・ラビスに由来するマガイニンの断片に由来する融合ペプチドから誘導された18アミノ酸長の鎖を有するペプチドである。殺菌活性は、実験ではカンジダ・アルビカンス、トリコスポロン・ベイゲリ、アスペルギルス・フラバスおよびフサリウム・オキシスポルムについて認められている(Leeら、(2004) Biotechnology Letters, 26:337-341)。しかしながら、当業者であれば、様々な生物に対する殺菌物質の効果が非常に異なってもよいことに気づくであろう。具体的には、脂溶性菌類マラセジア・フルフルおよびマラセジア属の脂溶性種に対する効果は、例えば、カンジダ・アルビカンスに対する効果とは有意に異なっていてもよい(Hansonら(1989) Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 33:1391-1392; Nenhoffら(2002) Acta Derm Venereol., 82:170-173)。従って、本発明に従って観察されたP18ならびに本明細書に記載の種の構造的かつ機能的に関連するペプチドの効果は、当業者にとっては完全に驚くべきことである。
【0061】
さらに特定の実施形態においては、本発明に従うペプチドの二次構造は、へリックス破壊アミノ酸により2個のらせんに中央で分割されるらせんである。「らせんホイール」としての描写においては、疎水性アミノ酸、特に、ロイシン残基が一方の側(またはらせんの半分)に現れ、正に帯電したアミノ酸、特に、リジン残基が他方の側に現れる。
【0062】
本発明に従うペプチドは、特に、D-および/またはL-アミノ酸、特に、L-アミノ酸から構成される。
【0063】
本明細書に記載のペプチドおよび/またはその誘導体を、化学的固相合成、液体合成または組換え産生株もしくは細胞培養物を用いるバイオテクノロジーなどの、自体公知の様式で製造することができる。
【0064】
3. 本発明のさらなる実施形態
3.1 さらに好適な配列モチーフの例
3.1.1 配列モチーフX1X2KX3X4X5KIPX11X12KFX6X7X8AX9KF(配列番号2)



































































































3.1.2 配列モチーフKX2KX3X4X5KIPX11X12KFLHX8AKKF(配列番号10)





3.1.3 配列モチーフHEL1-HB-HEL2
さらなる非限定例として、以下のものが挙げられる:

また、しかしながら、C末端がアミド化されていない上記配列および、結果として、カルボキシ基(その塩の形態で、もしくは遊離酸として)により末端化されたそのような配列も本発明に含まれる。
【0065】
3.1.4 配列番号3の改変物
これらの改変物においては、配列番号3に従うペプチドを、そのN末端および/またはC末端上で任意のアミノ酸残基により伸長させる。追加残基の非限定例は、Asp、Pro、AsnおよびGlyを含む。NおよびC末端を同時に伸長させる場合、それぞれ、追加のN末端残基はProまたはGlyであり、対応するC末端残基はAspおよびAsnであるのが好ましい。
【0066】
さらなる非限定例として、以下のものが挙げられる:
PKWKLFKKIPKFLHLAKKF- NH2 (配列番号4732)
KWKLFKKIPKFLHLAKKFD- NH2 (配列番号4733)
PKWKLFKKIPKFLHLAKKFD- NH2 (配列番号4734)
GKWKLFKKIPKFLHLAKKF- NH2 (配列番号4735)
KWKLFKKIPKFLHLAKKFN- NH2 (配列番号4736)
GKWKLFKKIPKFLHLAKKFN- NH2 (配列番号4737)
PKWKLFKKIPKFLHLAKKFN- NH2 (配列番号4738)。
【0067】
また、C末端がアミド化されていない上記配列、および、結果として、カルボキシ基により末端化された配列(その塩もしくは遊離酸の形態の)も含まれる。
【0068】
3.2 本発明に従うペプチドのさらなる改変物
上記のペプチド配列に加えて、この配列の機能的等価物、機能的誘導体および塩も好ましい。
【0069】
本発明に従えば、「機能的等価物」は、特に、上記アミノ酸配列の少なくとも1個の配列位置において、1個の具体的に特定されたもの以外のアミノ酸を有するが、それにも拘わらずフケを予防、阻害および治療する特性を有する突然変異体を意味するとも理解される。かくして、「機能的等価物」は、1個以上のアミノ酸の付加、置換、欠失および/もしくは反転により得られる突然変異体であって、該変化が本発明に従う特性のプロフィールを有する突然変異体をもたらすという条件で、任意の配列位置において生じてもよい、前記突然変異体を含む。機能的等価性は、特に、突然変異体と非改変ポリペプチドとの反応パターンが質的に一致する場合にも存在する。
【0070】
上記の意味における「機能的等価物」はまた、記載されたポリペプチドの「前駆体」およびまた、該ポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」でもある。
【0071】
ここで、「前駆体」は所望の生物活性を有するか、または有さないポリペプチドの天然または合成前駆体である。
【0072】
好適なアミノ酸置換の例を、以下の表に示す。
【0073】

表現「塩」は、本発明に従うペプチド分子のカルボキシル基の塩およびまたアミノ基の酸付加塩の両方を意味すると理解される。カルボキシル基の塩を、自体公知の様式で製造することができ、それらのものとしては、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄および亜鉛塩などの無機塩、ならびにまた、例えば、トリエタノールアミンなどのアミン、アルギニン、リジン、ピペリジンなどの有機塩基との塩が挙げられる。例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸との塩ならびに酢酸およびシュウ酸などの有機酸との塩などの酸付加塩も、同様に本発明により提供される。
【0074】
同様に、本発明に従うポリペプチドの「機能的誘導体」(または「誘導体」)を、公知の技術を用いて、機能的アミノ酸側鎖基上またはそのNもしくはC末端上で製造することができる。そのような誘導体としては、例えば、カルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアまたは一次もしくは二次アミンとの反応により得られるカルボン酸基のアミド;アシル基との反応により調製された、遊離アミノ基のN-アシル誘導体、またはアシル基との反応により調製された、遊離ヒドロキシ基のO-アシル誘導体が挙げられる。さらに、1〜5個、例えば、2、3もしくは4個などの任意のD-またはL-アミノ酸残基を、追加的にNおよび/もしくはC末端で共有(ペプチド)結合させることができる;または1〜5個、例えば、1、2、3もしくは4個の残基が、N末端および/もしくはC末端で失われていてもよい。さらなるN末端および/またはC末端残基の非限定例としては、Asp、Pro、Asn、Glyが挙げられる。N末端およびC末端を同時に伸長させる場合、N末端残基はProまたはGlyであるのが好ましく、対応するC末端残基は、それぞれAspおよびAsnであるのが好ましい。
【0075】
記載の抗微生物ペプチドのアミノ酸配列の変異およびさらなるタンパク質またはペプチド配列との融合を介して、特定の表面、例えば、皮膚、爪、頭髪を特異的に認識するか、またはこれらの表面もしくはその中に存在する受容体により認識され、結合する構造物を作製することができる。
【0076】
結果として、記載の抗微生物ペプチドを、所望の作用部位により効率的に持っていく、および/またはその吸収を改善することができる。記載の抗微生物ペプチドへの結合タンパク質のカップリングおよび/または融合を介して、それから得られるタンパク質-ペプチド融合産物を、より標的化された様式で、好適な作用部位、例えば、微生物の表面もしくは身体の区分に誘導し、および/またはこれらの部位により長く居住させ、ペプチド効果の延長および改善をもたらすことができる。さらに、記載の抗微生物ペプチドのアミノ酸配列の変異および/またはさらなるタンパク質もしくはペプチド配列との融合を介して、標的化された様式で該ペプチドを所望の作用部位に誘導して、かくして、例えば、より高いペプチド特異性、より低いペプチド消費またはペプチド用量、およびまた、より迅速な、もしくはより高いペプチド効果を達成することができる。
【0077】
3.3 本発明に従う核酸、発現構築物、ベクターおよび微生物
3.3.1 核酸
本発明はさらに、本発明に従って用いられるペプチドおよび融合ペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0078】
本明細書に記載の全ての核酸配列(一本鎖および二本鎖DNAおよびRNA配列、例えば、cDNAおよびmRNA)を、例えば、二重らせんの個々の重複する相補的核酸構成要素の断片縮合などによる、ヌクレオチド構成要素からの化学合成によって、自体公知の様式で調製することができる。オリゴヌクレオチドの化学合成は、例えば、ホスホアミダイト法(Voet, Voet、第2版、Wiley Press New York、896-897頁)に従う公知の様式で行うことができる。合成オリゴヌクレオチドのアニーリングおよびDNAポリメラーゼのKlenow断片を援用するギャップの充填、および連結反応ならびにまた一般的なクローニング方法は、Sambrookら(1989), Molecular Cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
【0079】
本発明は、本発明に従うポリペプチドもしくはタンパク質をコードする単離された核酸分子、またはその生物学的に活性な断片と、例えば、本発明に従うコード核酸の同定もしくは増幅のためのハイブリダイゼーションプローブもしくはプライマーとして用いることができる核酸断片の両方を提供する。
【0080】
本発明に従う核酸分子はさらに、遺伝子のコード領域の3'および/または5'末端の非翻訳配列を含んでもよい。
【0081】
「単離された」核酸分子は、天然起源の核酸中に存在する他の核酸分子から分離されたものであり、さらに、組換え技術により製造する場合、他の細胞材料もしくは培養培地を本質的に含まないか、または化学的に合成する場合、化学的前駆体もしくは他の化合物を含まないものであってよい。
【0082】
本発明に従う核酸分子を、標準的な分子生物学技術および本発明に従って提供される配列情報を用いて単離することができる。例えば、cDNAを、ハイブリダイゼーションプローブとしての、具体的に開示された完全な配列の1つ、またはその断片および標準的なハイブリダイゼーション技術を用いることにより、好適なcDNAライブラリーから単離することができる(例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載のように)。さらに、開示された配列の1つまたはその断片を含む核酸分子を、この配列に基づいて作製されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応により単離することができる。この方法で増幅された核酸を、好適なベクター中にクローニングし、DNA配列分析により特性評価することができる。本発明に従うオリゴヌクレオチドを、標準的な合成方法により、例えば、自動DNA合成装置を用いて調製することもできる。
【0083】
本発明はさらに、具体的に記載されたヌクレオチド配列、またはその断片と相補的な核酸分子を含む。
【0084】
本発明に従うヌクレオチド配列により、他の細胞型および生物中での相同配列の同定および/またはクローニングに用いることができるプローブおよびプライマーの作製が可能になる。そのようなプローブおよびプライマーは通常、ストリンジェントな条件下で、本発明に従う核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、例えば、約40、50もしくは75個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列範囲を含む。
【0085】
また、例えば、そのスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体などの天然変異体であるような、特定の起源生物または宿主生物のコドン使用に従って、具体的に特定された配列と比較して、いわゆるサイレント突然変異を含むか、または改変された核酸配列も本発明に含まれる。同様に、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、問題のアミノ酸を同一の電荷、サイズ、極性および/または可溶性のアミノ酸により置換する)により得られる配列も提供される。
【0086】
本発明はまた、配列多型性により具体的に開示された核酸から誘導された分子も提供する。これらの遺伝子多型は、天然の変異により、集団内の個体間に存在してもよい。これらの天然変異は通常、遺伝子のヌクレオチド配列中に1〜5%の相違をもたらす。
【0087】
さらに、本発明はまた、上記コード配列とハイブリダイズするか、またはそれと相補的である核酸配列も含む。ゲノムまたはcDNAライブラリーをスクリーニングする場合、これらのポリヌクレオチドを発見し、必要に応じて、好適なプライマーを用いるPCRによりそこから置換した後、例えば、好適なプローブを用いて単離することができる。さらなる可能性は、本発明に従うポリヌクレオチドもしくはベクターを用いる好適な微生物の形質転換、該微生物およびかくして、ポリヌクレオチドの複製ならびにその後のその単離である。さらに、本発明に従うポリヌクレオチドを、化学的方法により合成することもできる。
【0088】
ポリヌクレオチドに「ハイブリダイズする」ことができる特性は、ストリンジェントな条件下で、実際に相補的な配列に結合するが、非相補的パートナー間の非特異的結合はこれらの条件下では起こらない、ポリまたはオリゴヌクレオチドの能力を意味すると理解される。この目的のために、前記配列は70〜100%、好ましくは90〜100%相補的であるべきである。互いに特異的に結合することができる相補配列の特性を、例えば、ノーザンもしくはサザンブロット技術において、またはPCRもしくはRT-PCRにおけるプライマー結合の間に用いる。通常、この目的のために、30塩基対の長さの上記オリゴヌクレオチドを用いる。ストリンジェントな条件は、例えば、ノーザンブロット技術においては、50〜70℃、好ましくは、60〜65℃の熱洗浄溶液、例えば、非特異的にハイブリダイズしたcDNAプローブまたはオリゴヌクレオチドの溶出のための、0.1%SDSを含む0.1 x SSCバッファー(20 x SSC: 3M NaCl、0.3 M クエン酸ナトリウム、pH 7.0)の使用を意味すると理解される。上記のように、このプロセスにおいては、高度に相補的な核酸のみが互いに結合したままになる。ストリンジェントな条件の確立は、当業者には公知であり、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に記載されている。
【0089】
3.3.2 発現構築物およびベクター
本発明はさらに、調節核酸配列の遺伝子制御下に、本発明に従うポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現構築物、およびまた、少なくとも1個のこれらの発現構築物を含むベクターを提供する。好ましくは、本発明に従うそのような構築物は、それぞれコード配列に機能し得る形で連結された、特定のコード配列の5'側上流のプロモーターおよび3'側下流のターミネーター配列およびまた、必要に応じて、さらなる従来の調節エレメントを含む。「機能し得る形での連結」は、それぞれの調節エレメントが、意図されるコード配列の発現の間にその機能を実行することができるような、プロモーター、コード配列、ターミネーターおよび必要に応じて、さらなる調節エレメントの連続的配置を意味すると理解される。機能し得る形で連結可能な配列の例は、標的化配列およびまた、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどである。さらなる調節エレメントは、選択可能なマーカー、増幅シグナル、複製起点などを含む。好適な調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。
【0090】
人工調節配列に加えて、天然調節配列が実際の構造遺伝子の上流に依然として存在してもよい。遺伝子改変を介して、この天然調節のスイッチを、必要に応じて、切り、該遺伝子の発現を増加または減少させることができる。しかしながら、遺伝子構築物はまた、設計がより単純であってよく、すなわち、さらなる調節シグナルが構造遺伝子の上流に挿入され、その調節と共に天然プロモーターは除去されない。代わりに、調節がもはや起こらず、遺伝子発現が増加または減少するように、天然調節配列を突然変異させる。前記核酸配列は、遺伝子構築物中に1個以上のコピーで存在してもよい。
【0091】
用いることができるプロモーターの例は、グラム陰性細菌において有利に用いられる、cos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ-PRもしくはλ-PLプロモーター;およびまた、グラム陽性プロモーターamyおよびSPO2、酵母プロモーターADC1、MFa、AC、P-60、CYC1、GAPDHまたは植物プロモーターCaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33であるが、ユビキチンもしくはファセオリンプロモーターではない。例えば、PrP1プロモーターなどの、光誘導性、および特に温度誘導性プロモーターなどの誘導性プロモーターを用いるのが特に好ましい。原理的には、それらの調節配列を有する全ての天然プロモーターを用いることができる。さらに、合成プロモーターを有利に用いることもできる。
【0092】
核酸配列の標的化された発現およびタンパク質発現を許容する特定の調節配列が意図される。宿主生物に応じて、これは、例えば、前記遺伝子が誘導後にのみ発現もしくは過剰発現されるか、またはそれがすぐに発現および/もしくは過剰発現されることを意味してもよい。
【0093】
ここで、調節配列または因子は、発現に対する有益な効果を有し、それによって発現を増加または減少させることができるのが好ましい。かくして、調節エレメントを、プロモーターおよび/または「エンハンサー」などの強力な転写シグナルを用いることにより、転写レベルで有利に増強することができる。しかしながら、さらに、例えば、mRNAの安定性を改善することにより、翻訳を増強することもできる。
【0094】
好適なプロモーターと、好適なコードヌクレオチド配列およびターミネーターシグナルまたはポリアデニル化シグナルとを融合することにより、発現カセットを調製する。この目的のために、例えば、T.Maniatis, E.F. FritschおよびJ. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)ならびにT.J. Silhavy, M.L. Berman およびL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)ならびにAusubel, F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載されたような、従来の組換え技術およびクローニング技術を用いる。
【0095】
発現のために、組換え核酸構築物または遺伝子構築物を、好適な宿主生物中、宿主中での遺伝子の最適な発現を容易にする宿主特異的ベクター中に有利に挿入する。ベクターは当業者にはよく知られており、例えば、「Cloning Vectors」(Pouwels P. H.ら(編)、Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)に見出すことができる。プラスミドとは別に、ベクターは、例えば、ファージ、SV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファージミド、コスミド、および線状もしくは環状DNAなどの、当業者には公知の全ての他のベクターを意味するとも理解される。これらのベクターを、宿主生物中で自家的に複製させるか、または染色体的に複製させることができる。
【0096】
3.3.3 言及することができる好適な発現ベクターの例
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを組換え標的タンパク質に融合させた、pGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B.およびJohnson, K.S. (1988) Gene 67:31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, MA)およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)などの従来の融合発現ベクター。
【0097】
pTrc (Amannら(1988) Gene 69:301-315)およびpET 11d (Studierら、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60-89)などの非融合タンパク質発現ベクター。
【0098】
pYepSec1 (Baldariら(1987) Embo J. 6:229-234)、pMFa (KurjanおよびHerskowitz (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88 (Schultzら(1987) Gene 54:113-123)ならびにpYES2 (Invitrogen Corporation, San Diego, CA)などの、酵母サッカロミセス・セレビジア中での発現のための酵母発現ベクター。繊維性菌類などの他の菌類における使用にとって好適であるベクターの構築のためのベクターおよび方法は、van den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991)「Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi」、Applied Molecular Genetics of Fungi, J.F. Peberdyら(編)、S. 1-28, Cambridge University Press: Cambridgeに詳細に記載されたものを含む。
【0099】
培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中でのタンパク質の発現のために利用可能であるバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smithら、(1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers, (1989) Virology 170:31-39)を含む。
【0100】
Becker, D., Kemper, E., Schell, J.およびMasterson, R. (1992)「New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border」、Plant Mol. Biol. 20:1195-1197; およびBevan, M.W. (1984)「Binary Agrobacterium vectors for plant transformation」、Nucl. Acids Res. 12:8711-8721に詳細に記載されたものなどの植物発現ベクター。
【0101】
pCDM8 (Seed, B. (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC (Kaufmanら(1987) EMBO J. 6:187-195)などの哺乳動物発現ベクター。
【0102】
原核および真核細胞のためのさらに好適な発現系が、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T., Molecular cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989により第16および17章に記載されている。
【0103】
3.3.4 組換え微生物
本発明に従うベクターを援用して、例えば、本発明に従う少なくとも1個のベクターで形質転換され、本発明に従うポリペプチドを製造するのに用いることができる組換え微生物を調製することができる。本発明に従う上記組換え構築物を、好適な宿主系中に有利に導入し、発現させる。この文脈においては、例えば、共沈降、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションなどの、当業者には公知の従来のクローニングおよびトランスフェクション方法を用いて、特定の発現系中で前記核酸を発現させることが好ましい。好適な系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubelら(編)Wiley Interscience, New York 1997、またはSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている。
【0104】
本発明に従えば、相同組換え微生物を調製することもできる。このために、必要に応じて、少なくとも1個のアミノ酸欠失、付加または置換を導入して、例えば、機能的に破壊するために、本発明に従う配列を改変した、本発明に従う遺伝子またはコード配列の少なくとも1個の断片を含むベクターを調製する(「ノックアウトベクター」)。導入される配列は、例えば、関連する微生物に由来する相同体であってもよく、または哺乳動物、酵母もしくは昆虫起源から誘導されたものであってよい。あるいは、相同組換えに用いられるベクターを、内因性遺伝子が突然変異するか、またはさもなければ相同組換えの際に改変されるが、依然として機能的タンパク質をコードするように設計することができる(例えば、上流の調節領域を、結果として、内因性タンパク質の発現が改変されるように改変することができる)。本発明に従う遺伝子の改変された断片は、相同組換えベクター中にある。相同組換えのための好適なベクターの構築は、例えば、Thomas, K.R.およびCapecchi, M.R. (1987) Cell 51:503に記載されている。
【0105】
好適な宿主生物は、原理的には、本発明に従う核酸、その対立遺伝子変異体、その機能的等価物または誘導体の発現を許容する全ての生物である。宿主生物は、例えば、細菌、菌類、酵母、植物または動物細胞を意味すると理解される。好ましい生物は、例えば、大腸菌などのエシェリシア属、ストレプトミセス属、バチルス属またはシュードモナス属のものなどの細菌、サッカロミセス・セレビジア、アスペルギルスなどの真核微生物、動物もしくは植物に由来するより高等な真核細胞、例えば、Sf9もしくはCHO細胞である。
【0106】
うまく形質転換された生物の選択は、前記ベクターまたは発現カセット中に同様に存在するマーカー遺伝子により行うことができる。そのようなマーカー遺伝子の例は、抗生物質耐性のための遺伝子および形質転換細胞の染色をもたらす、色を知らせる反応を触媒する酵素のための遺伝子である。次いで、自動細胞選別によりこれらのものを選択することができる。ベクターでうまく形質転換され、好適な抗生物質耐性遺伝子(例えば、G418またはヒグロマイシン)を担持する微生物を、好適な抗生物質を含有する培地または栄養培地により選択することができる。細胞表面上に存在するマーカータンパク質を、アフィニティクロマトグラフィーを用いる選択に用いることができる。
【0107】
本発明に従う配列の代替的な調製方法として、固相合成または液相合成などの自体公知の化学的合成を参照することができる。
【0108】
3.4 ポリペプチドの組換え調製
本発明に従って用いられるペプチドを、ポリペプチドを産生する微生物を培養し、必要に応じて、該ポリペプチドの発現を誘導し、これらを培養物から単離する、自体公知の様式の組換え技術を用いて調製することができる。このポリペプチドを、必要に応じて、この方法で工業規模で製造することもできる。
【0109】
組換え微生物を培養し、公知の方法により発酵させることができる。細菌を、例えば、TBまたはLB培地中で、20〜40℃の温度で、6〜9のpHで複製させることができる。好適な培養条件は、例えば、T.Maniatis, E.F. FritschおよびJ. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に詳細に記載されている。
【0110】
前記ポリペプチドが培養培地中に分泌されない場合、細胞を破壊し、生成物を公知のタンパク質単離法により溶解物から取得する。あるいは、高周波数の超音波により、例えば、French圧力セル中などでの高圧により、浸透溶解により、洗剤、溶解酵素もしくは有機溶媒の作用により、ホモジェナイザーにより、または列挙された方法の2種以上の組合せにより、細胞を破壊することができる。
【0111】
前記ポリペプチドを、Q-セファロースクロマトグラフィーなどの分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィーなどの公知のクロマトグラフィー方法により、ならびに限外濾過、結晶化、塩析、透析および天然ゲル電気泳動などの他の従来の方法により精製することができる。好適な方法は、例えば、Cooper, F. G., Biochemische Arbeitsmethoden, Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New YorkまたはScopes, R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
【0112】
特定のヌクレオチド配列によりcDNAを伸長し、かくして、例えば、より単純な精製に役立つ改変ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードするベクター系またはオリゴヌクレオチドを使用することが、組換えタンパク質の単離にとって特に有利である。この型の好適な改変は、例えば、ヘキサヒスチジンアンカーとして知られる改変、または抗体の抗原として認識され得るエピトープなどのアンカーとして作用する、いわゆる「タグ」である(例えば、Harlow, E.およびLane,D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載されている)。これらのアンカーを用いて、例えば、クロマトグラフィーカラム中に充填することができるか、またはマイクロタイタープレートもしくは別の支持体上に用いることができるポリマーマトリックスなどの固相支持体に前記タンパク質を結合させることができる。
【0113】
これらのアンカーは同時に、前記タンパク質を認識するのにも用いることができる。さらに、該タンパク質を認識するために、蛍光染料、基質との反応後に検出可能な反応生成物を形成する酵素マーカー、または放射性標識などの従来のマーカーを、単独で、または前記タンパク質を誘導体化するためのアンカーと組合わせて用いることもできる。
【0114】
3.5 本発明に従う組成物の実施形態
3.5.1 用途の一般的な分野および製剤
本発明に従う抗微生物ペプチドは、ヒト用化粧品、特に、スキンケアおよびヘアケア、ならびにまた動物ケアにおける幅広い分野の用途を有するが、薬学的に使用することもできる。
【0115】
本発明に従う化粧品組成物は、特に、皮膚化粧品、爪用化粧品、頭髪用化粧品、皮膚科学、衛生または医薬組成物である。特に、本発明に従う抗微生物ペプチドを、皮膚化粧品、爪用化粧品および/もしくは頭髪用化粧品に、または口腔ケア組成物として用いる。それらにより、頭髪および皮膚に対する損傷、例えば、フケの形成、爪に対する損傷、例えば、爪の脆弱性の増加、爪の肥厚を引き起こすか、または掻痒もしくは熱傷を引き起こす望ましくない微生物の増殖阻害が可能になる。
【0116】
さらなる実施形態に従えば、本発明に従う頭髪用化粧品または皮膚化粧品調製物は、特に、皮膚もしくは頭髪のケアもしくは保護に役立ち、乳濁液、分散物、懸濁液、水性界面活性剤調製物、ミルク、ローション、クリーム、バルサム、軟膏、ゲル、顆粒、粉末、例えば、リップスティックなどのスティック調製物、気泡、エアロゾルまたはスプレーの形態にある。そのような製剤は局所調製物に高度に適している。好適な乳濁液は水中油乳濁液および油中水乳濁液または微小乳濁液である。
【0117】
一般に、頭髪用化粧品または皮膚化粧品調製物は、皮膚(局所)または頭髪への適用のために用いられる。これに関連して、「局所調製物」とは、活性成分を微細分布中で皮膚に適用するのに好適な調製物を意味すると理解されるべきである。この目的のために好適なものは、例えば、水性および水性-アルコール溶液、スプレー、気泡、気泡エアロゾル、軟膏、水性ゲル、O/WもしくはW/O型の乳濁液、微小乳濁液または化粧用スティック調製物である。
【0118】
本発明に従う化粧品組成物の一実施形態に従えば、それは担体を含む。好ましい担体は、水、気体、水に基づく液体、油、ゲル、乳濁液もしくは微小乳濁液、分散物またはその混合物である。前記担体は、良好な皮膚適合性を示す。水性ゲル、乳濁液または微小乳濁液が、局所調製物にとって特に有利である。
【0119】
通常の添加物および補助剤に加えて、本発明に従う化粧品組成物は、化粧用および/または皮膚科学用の活性成分をさらに含んでもよい。
【0120】
好適なさらなる活性成分の例は、以下の通りである。
【0121】
好適な化粧用および/または皮膚科学用の活性成分は、例えば、着色用活性成分、皮膚用および頭髪用着色料、着色剤、日焼け剤、漂白剤、ケラチン硬化物質、抗微生物活性成分、光フィルター活性成分、防虫活性成分、充血物質、角質溶解的および角質可塑的に有効な物質、フケ防止活性成分、消炎剤、角質化物質、抗酸化活性成分ならびにフリーラジカルスカベンジャーとして作用する活性成分、皮膚に潤いを与えるか、もしくは皮膚の湿度を維持する物質、再脂肪化活性成分、抗紅斑もしくは抗アレルギー活性成分、18-メチルエイコサン酸などの分枝状脂肪酸、ならびにその混合物である。
【0122】
UV光線を含む天然もしくは人工照射を用いずに皮膚を日焼けさせるのに好適である人工皮膚日焼け用活性成分;例えば、ジヒドロキシアセトン、アロキサンおよびクルミ殻抽出物が存在する。好適な角質硬化物質は、一般的には、例えば、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどの制汗剤として用いることもできる活性成分である。
【0123】
微生物を破壊するか、またはその増殖を阻害するために用いられる抗微生物活性成分。かくして、それらは保存剤および体臭の形成または強度を低下させる脱臭物質の両方として役立つ。これらのものとしては、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリニルウレア、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などの当業者には公知の従来の保存剤が挙げられる。そのような脱臭物質は、例えば、亜鉛レシノレアート、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロラミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである。
【0124】
頭髪用化粧品、爪用化粧品または皮膚化粧品の製造のための好適な補助剤および添加物は、当業者には公知であり、化粧品に関するハンドブック、例えば、Schrader, Grundlagen and Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], Huthig Verlag, Heidelberg, 1989, ISBN 3-7785-1491-1に見出すことができる。補助剤および添加物は、化粧上および/または製薬上許容し得る補助剤であるのが好ましい。製薬、食品技術の分野および関連分野における使用にとって公知の補助剤、特に、関連する薬局方(例えば、DAB、Ph. Eur.、BP、NF)に列挙されたもの、ならびに特性が生理学的適用を排除しない他の補助剤は製薬上許容し得るものである。
【0125】
好適な補助剤は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、抗刺激剤、キレート化剤、乳濁安定化剤、フィルム形成剤、ゲル形成剤、体臭遮蔽剤、親水コロイド、溶媒、溶解性促進剤、中和剤、浸透促進剤、色素、四級アンモニウム化合物、再脂肪化剤および超脂肪化剤、軟膏、クリームもしくは油基剤物質、シリコン誘導体、安定剤、滅菌剤、推進剤、乾燥剤、乳白剤、増粘剤、ワックス、柔軟剤、ホワイトオイルであってよい。これに関する実施形態は、例えば、Fiedler, H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields]、第4版、Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996に提供されるような技術的知識に基づくものである。
【0126】
さらに好適な添加物は、香油、頭髪ポリマー、頭髪および皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性もしくは分散性シリコン含有ポリマー、光保護剤、漂白剤、ケア剤、顔料、着色剤、日焼け剤、染料、稠度調節剤、保湿剤、再脂肪化剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、静電気防止剤、皮膚軟化剤、柔軟剤、過酸化物分解剤から選択される。
【0127】
好適な補助剤および添加物の特定例は、以下の通りである(これらを本発明に従うペプチドに共有または非共有結合させてもよい)。
【0128】
(1)アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンなどのペプチドおよびその誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオロドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにそのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、およびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオン酸、ジステアリルチオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに特に、非常に低い寛容量(例えば、pmol〜μmol/kgの範囲)のスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、また(金属)キレート化剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノレン酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールならびにその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよびその誘導体(例えば、酢酸ビタミンE、トコトリエノール)、ビタミンAおよびその誘導体(パルミチン酸ビタミンA)、ならびにベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾアート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリルイデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤシン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、トランス酸化スチルベン)から選択される酸化防止剤。
【0129】
(2)過酸化物分解剤、すなわち、過酸化物、特に好ましくは、脂質過酸化物を分解することができる化合物。これらは、例えば、ピリジン-2-チオール-3-カルボン酸、2-メトキシ-ピリミジノルカルボン酸、2-メトキシピリジンカルボン酸、2-ジメチルアミノ-ピリミジノルカルボン酸、2-ジメチルアミノピリジンカルボン酸などの有機物質を含むと理解されるべきである。
【0130】
(3)架橋ポリアクリル酸およびその誘導体、ポリサッカリドおよびその誘導体、例えば、キサンタンゴム、寒天、アルギナートもしくはタイロース、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースもしくはヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪アルコール、モノグリセリドおよび脂肪酸、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの増粘剤。非イオン性増粘剤を用いるのが好ましい。
【0131】
(4)そのE番号と共に以下に列挙される保存剤:

ジブロモジシアノブタン(2-ブロモ-2-ブロモメチル-グルタロジニトリル)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバミン酸、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、イミダゾリジニルウレア、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-クロロアセタミド、塩化ベンズアルコニウム、ベンジルアルコール、ホルムアルデヒド供与体などの、化粧品中の従来の保存剤または保存補助剤も、本発明に従って好適である。
【0132】
また、フェニルヒドロキシアルキルエーテル、特に、いくつかの微生物に対するその殺菌効果および殺真菌効果の理由で、フェノキシエタノールの名称の下で知られる化合物も、保存剤として好適である。
【0133】
他の抗微生物剤も、本発明に従う調製物中に組込むために同様に好適である。有利な物質は、例えば、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(イルガサン)、1,6-ジ(4-クロロフェニルビグアニド)-ヘキサン(クロルヘキシジン)、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、四級アンモニウム化合物、丁子油、ミント油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オール)、ならびにまた、特許公開明細書DE-37 40 186、DE-39 38 140、DE-42 04 321、DE-42 29 707、DE-43 09 372、DE-44 11 664、DE-195 41 967、DE-195 43 695、DE-195 43 696、DE-195 47 160、DE-196 02 108、DE-196 02 110、DE-196 02 111、DE-196 31 003、DE-196 31 004およびDE-196 34 019ならびに特許明細書DE-42 29 737、DE-42 37 081、DE-43 24 219、DE-44 29 467、DE-44 23 410およびDE-195 16 705に記載された活性成分および活性成分混合物である。炭酸水素ナトリウムも有利に用いられる。同様に、抗微生物ポリペプチドを用いることもできる。
【0134】
(5)UV-Bおよび/またはUV-A領域でUV光線を吸収する光フィルター活性成分。好適なUVフィルターは、例えば、アリール基が、好ましくは、それぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、具体的には、メトキシ、アルコキシカルボニル、具体的にはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル、ならびにその混合物から選択される少なくとも1個の置換基を担持する、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンである。また、p-アミノ安息香酸エステル、桂皮酸エステル、ベンゾフェノノン、樟脳誘導体、およびUV光線を遮断する色素、例えば、二酸化チタン、タルクおよび酸化亜鉛も好適である。
【0135】
好適なUVフィルター物質は、任意の所望のUV-AおよびUV-Bフィルター物質である。その例は以下の通りである。
【0136】


さらに、本発明に従う化粧品および皮膚科学調製物は、有利には、UV光線を遮断する無機色素を含んでもよく、亜鉛(ZnO)、チタン(TiO2)、鉄(例えば、Fe2O3)、ジルコニウム(ZrO2)、シリコン(SiO2)、マンガン(例えば、MnO)、アルミニウム(Al2O3)、セリウム(例えば、Ce2O3)の酸化物、対応する金属の混合酸化物およびそのような酸化物の混合物の群より選択される水に不溶性であるか、もしくは水に難溶性である金属酸化物および/または他の金属化合物に基づく。
【0137】
ここで、無機色素は、コーティングされた形態で存在してもよく、すなわち、表面処理してもよい。この表面処理は、例えば、DE-A-33 14 742に記載のような、自体公知の方法により薄い疎水性の層と共に色素を提供することからなってもよい。
【0138】
(6)防虫活性成分、すなわち、人々から、特定の動物、特に、昆虫を隔離するか、または撃退することができる化合物。これらのものとしては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミドなどが挙げられる。皮膚を通る血流を刺激する好適な充血物質は、例えば、ハイマツ針抽出物、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、ジュニパーベリー抽出物、トチノキ抽出物、バーチ葉抽出物、ヘイフラワー抽出物、酢酸エチル、樟脳、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油などのエッセンシャルオイルである。好適な角質溶解および角質可塑物質は、例えば、サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸およびその塩、硫黄などである。好適なフケ防止活性成分は、例えば、硫黄、硫黄ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、硫黄シリノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンなどである。皮膚刺激に対抗する好適な消炎剤は、例えば、アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール、カモミール抽出物、パンテノールなどである。
【0139】
(7)陽イオン性、両性および中性ポリマーなどの化粧品上または製薬上許容し得るポリマー。
【0140】
好適なポリマーは、例えば、ポリグアテルニウムのINCI名を有する陽イオンポリマー、例えば、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat FC, Luviquat HM, Luviquat MS, Luviquat, Care)、硫酸ジエチルで四級化された、N-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニル-イミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat E Hold)、陽イオンセルロース誘導体(ポリクオタニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)およびキトサンである。
【0141】
また、好適な陽イオン性(四級化)ポリマーは、Merquat(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドに基づくポリマー)、Gafquat(ポリビニルピロリドンと四級アンモニウム化合物との反応により形成される四級ポリマー)、ポリマーJR(陽イオン基を有するヒドロキシエチルセルロース)および植物に基づく陽イオン性ポリマー、例えば、グアーポリマー、例えば、Rhodia社製のJaguar等級である。
【0142】
また、さらに好適なポリマーは、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタムならびにN-ビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよびその塩との他のコポリマー、ポリビニルアミンおよびその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩およびその誘導体などの中性ポリマーである。これらのものとしては、例えば、Luviflex(登録商標)Swing(ポリビニル酢酸とポリエチレングリコールの部分鹸化されたコポリマー、BASF)が挙げられる。
【0143】
また、好適なポリマーは、非イオン性、水溶性または水分散性ポリマーもしくはオリゴマー、例えば、ポリビニルカプロラクタム、例えば、Luviskol(登録商標)Plus (BASF)、またはポリビニルピロリドンおよび特に、酢酸ビニルなどのビニルエステルとのそのコポリマー、例えば、Luviskol(登録商標)VA 37 (BASF)、例えば、DE-A-43 33 238に記載のような、イタコン酸および脂肪族ジアミンに基づくポリアミドである。
【0144】
また、好適なポリマーは、Amphomer(National Starch)の名称の下で取得可能なオクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマーなどの両性もしくは両性イオンポリマー、およびまた、例えば、独国特許出願DE 39 29 973、DE 21 50 557、DE 28 17 369およびDE 37 08 451に開示された両性イオンポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーならびにそのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が、好ましい両性イオンポリマーである。さらに、好適な両性イオンポリマーは、Amersette (AMERCHOL)の名称の下で市販されている、メタクロイルエチル-ベタイン/メタクリレートコポリマー、ならびにヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびアクリル酸のコポリマー(Jordapon (D))である。
【0145】
また、好適なポリマーは、非イオン性、シロキサン含有、水溶性または分散性ポリマー、例えば、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)およびBesi(Wacker)などのポリエーテルシロキサンである。
【0146】
3.5.2 本発明に従う特定の組成物
好ましい実施形態に従えば、本発明に従う組成物は皮膚または頭髪洗浄組成物である。
【0147】
好ましい皮膚または頭髪洗浄組成物は、液体からゲル状の稠度の石けん、例えば、透明な石けん、贅沢な石けん、脱臭石けん、クリーム石けん、ベビー石けん、皮膚保護石けん、研磨石けんおよび合成洗剤、ペースト状石けん、ソフト石けんおよび洗浄ペースト、ピーリング石けん、おしぼり、液体洗浄剤、シャワーおよび浴用調製物、例えば、洗浄ローション、シャワーバスおよびシャワーゲル、気泡バス、オイルバスおよびスクラブ調製物、シェービングフォーム、シェービングローションおよびシェービングクリームである。
【0148】
さらに好ましい実施形態に従えば、本発明に従う組成物は、シャワーゲル、シャンプー製剤または浴用調製物である。そのような製剤は、少なくとも1種の抗微生物ペプチドおよび通常は界面活性基剤としての陰イオン性界面活性剤ならびに共界面活性剤としての両性および/または非イオン性界面活性剤を含む。さらに好適な活性成分および/または補助剤は、一般的には、脂質、香油、染料、有機酸、保存剤および酸化防止剤、ならびにまた増粘剤/ゲル形成剤、皮膚コンディショナーおよび保湿剤から選択される。
【0149】
i)皮膚に適用するための組成物に関する特定の実施形態
好適な皮膚化粧品組成物は、例えば、顔用トニック、顔用マスク、脱臭剤および他の化粧用ローションである。装飾用化粧品における使用のための組成物は、例えば、コンシーリングスティック、ステージメーキャップ、マスカラおよびアイシャドウ、リップスティック、コールペンシル、アイライナー、頬紅、粉末、およびアイブローペンシルを含む。
【0150】
さらに、本発明に従う皮膚科学剤を、毛穴クレンジングのための毛穴パック、抗ニキビ組成物、防虫剤、シェービング組成物、アフターシェーブおよびプレシェーブケア組成物、アフターサンケア組成物、頭髪除去組成物、毛染め剤、インティメートケア組成物、足ケア組成物ならびにベビーケアにおいて用いることができる。
【0151】
本発明に従うスキンケア組成物は、特に、W/OもしくはO/W皮膚クリーム、デイおよびナイトクリーム、眼用クリーム、顔用クリーム、皺取りクリーム、日焼け防止クリーム、保湿クリーム、漂白クリーム、セルフタンニングクリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローションおよび保湿ローションである。
【0152】
皮膚化粧品および皮膚科学組成物は、好ましくは、該組成物の総重量に基づいて、約0.0001〜50重量%、好ましくは、0.001〜10重量%、非常に特に好ましくは、0.0057〜0.1重量%の量の少なくとも1種のペプチドを含む。
【0153】
適用の領域に応じて、本発明に従う皮膚化粧品組成物を、例えば、クリーム、フォーム、ゲル、スティック、ムース、ミルク、スプレー(ポンプスプレーもしくは推進剤含有スプレー)などとしての、スキンケアに好適な形態で適用することができる。
【0154】
本発明に従うペプチドおよび好適な担体に加えて、皮膚化粧品調製物はまた、以前に記載のように、皮膚化粧品中において従来のさらなる活性成分および補助剤を含んでもよい。これらのものとしては、好ましくは、乳化剤、保存剤、香油、化粧用活性成分、例えば、フィタントリオール、ビタミンA、EおよびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、光保護剤、漂白剤、顔料、着色剤、日焼け剤、コラーゲン、酵素、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調節剤、染料、塩、増粘剤、ゲル形成剤、稠度調節剤、シリコン、保湿剤、再脂肪化剤およびさらなる従来の添加物が挙げられる。
【0155】
皮膚化粧品および皮膚科学組成物の好ましい油および脂肪成分は、上記の鉱油および合成油、例えば、パラフィン、シリコン油および9個以上の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、動物および野菜油、例えば、ひまわり油、ココナッツ油、アボカド油、オリーブ油、ラノリン、もしくはワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、例えば、C6-C30-脂肪酸のトリグリセリド、ワックスエステル、例えば、ホホバ油、脂肪アルコール、ワセリン、水素化ラノリンおよびアセチル化ラノリン、およびその混合物である。
【0156】
例えば、触感、拡散作用、水耐性ならびに/または活性成分および色素などの補助剤の結合を改善するためなどの特定の特性を確立するために、皮膚化粧品および皮膚科学調製物はさらに、シリコン化合物に基づくコンディショニング物質を含んでもよい。好適なシリコン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコン樹脂である。
【0157】
化粧品または皮膚科学調製物を、当業者には公知の従来の方法に従って製造する。
【0158】
本発明に従う皮膚科学組成物を製造するために、活性成分を好適な補助剤(賦形剤)と混合するか、またはそれで希釈することができる。賦形剤は、活性成分のためのビヒクル、担体もしくは媒体として役立ち得る固体、半固体または液体材料であってよい。さらなる補助剤の混合を、必要に応じて、当業者には公知の様式で行う。さらに、ポリマーおよび分散物は、薬剤における補助剤として、好ましくは、固体薬剤形態のためのコーティングもしくは結合剤として好適である。
【0159】
好ましくは、化粧品および皮膚科学組成物は、乳濁液の形態で、特に、油中水(W/O)または水中油(O/W)乳濁液として存在する。しかしながら、他の型の製剤、例えば、ゲル、油、オレオゲル、例えば、W/O/WもしくはO/W/O乳濁液の形態の多重エマルジョン、無水軟膏または軟膏基剤などを選択することもできる。親水分散物、ヒドロゲルまたはPickering乳濁液などの無乳化剤製剤も有利な実施形態である。
【0160】
乳濁液の調製を、公知の方法により行う。本発明に従う少なくとも1種のペプチドに加えて、前記乳濁液は、一般的には脂肪アルコール、脂肪酸エステルおよび特に、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸、ラノリンおよびその誘導体、天然もしくは合成油またはワックスならびに水の存在下での乳化剤などの従来の構成要素を含む。乳濁液の型に特異的な添加物の選択および好適な乳濁液の調製は、例えば、Schrader, GrundlagenおよびRezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], Huthig Buch Verlag, Heidelberg、第2版、1989、第3部(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0161】
例えば、皮膚クリームなどのW/O乳濁液として好適な乳濁液は、一般的には、好適な乳化剤系により油または脂肪相中で乳化される水相を含む。高分子電解質複合体を、水相を製造するために用いることができる。
【0162】
乳濁液の脂肪相中に存在してもよい好ましい脂肪成分は、パラフィン油、Purcellin油、ペルヒドロスクアレンおよびこれらの油中の微結晶ワックスの溶液などの炭化水素油;スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィルム油、ラノリンおよびその誘導体、カストル油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ油、ホプロステサス油などの動物または野菜油;大気圧下での蒸留開始が約250℃であり、蒸留終点が410℃である鉱油、例えば、ワセリン油、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ブチルもしくはセチル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチルもしくはイソプロピル、オクタン酸もしくはデカン酸トリグリセリドおよびリシノール酸セチルなどの飽和もしくは不飽和脂肪酸のエステルである。
【0163】
脂肪相はまた、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの他の油ならびにシリコングリコールコポリマー、脂肪酸および脂肪アルコール中に溶解するシリコン油を含んでもよい。
【0164】
本発明に従うペプチドに加えて、例えば、カルナバワックス、カンデリラワックス、蜜蝋、微結晶ワックス、オゾケライトワックスならびにオレイン酸、ミリスチン酸、リノレン酸およびステアリン酸Ca、MgおよびAlなどのワックスを用いることもできる。
【0165】
さらに、本発明に従う乳濁液は、O/W乳濁液の形態にあってよい。そのような型の乳濁液は、通常、油相、水相中の油相を安定化する乳化剤、通常は濃縮形態で存在する水相を含む。好適な乳化剤は、好ましくは、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルまたは部分エステル化グリセリドなどのO/W乳化剤である。
【0166】
さらに好ましい実施形態に従えば、本発明に従う組成物は、シャワーゲル、シャンプー製剤または浴用調製物である。
【0167】
そのような製剤は、本発明に従う少なくとも1種のペプチドと、通常は塩基性界面活性剤としての陰イオン性界面活性剤と、共界面活性剤としての両性および/もしくは非イオン性界面活性剤とを含む。さらに好適な活性成分および/または補助剤を、一般的には、脂質、香油、染料、有機酸、保存剤および酸化防止剤、ならびに増粘剤/ゲル形成剤、皮膚コンディショナーおよび保湿剤から選択する。
【0168】
これらの製剤は、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、2〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含む。
【0169】
身体洗浄組成物において従来用いられる全ての陰イオン性、中性、両性または陽イオン性界面活性剤を、洗浄用、シャワー用および浴用調製物中で用いることができる。
【0170】
好適な陰イオン性界面活性剤は、例えば、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、N-アルコイルサルコシン酸、タウリン酸アシル、イソチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、α-オレフィンスルホン酸、特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびまたアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩である。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは、分子中に、1〜10個の酸化エチレンもしくは酸化プロピレン単位、好ましくは、1〜3個の酸化エチレン単位を有してもよい。
【0171】
これらのものとしては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0172】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシン酸、アルキルカルボキシグリシン酸、アルキルアンホ酢酸もしくはプロピオン酸、アルキルアンホ二酢酸もしくは二プロピオン酸である。
【0173】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン(ココアミドプロピルベタイン)またはコカンホプロピオン酸ナトリウム(ココアンホプロピオン酸ナトリウム)を用いることができる。
【0174】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖状もしくは分枝状であってよい、アルキル鎖中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物である。酸化アルキレンの量は、アルコール1モルあたり約6〜60モルである。また、酸化アルキルアミン、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミン、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステルも好適である。
【0175】
さらに、洗浄用、シャワー用および浴用調製物は、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチル塩化アンモニウムなどの従来の陽イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0176】
さらに、シャワーゲル/シャンプー製剤は、例えば、塩化ナトリウムPEG-55、プロピレングリコールオレイン酸、PEG-120メチルグルコースジオレイン酸および他のものなどの増粘剤、ならびにまた、保存剤、さらなる活性成分および補助剤ならびに水を含んでもよい。
【0177】
ii)頭髪トリートメント組成物のための特定の実施形態
さらに好ましい実施形態に従えば、本発明に従う組成物は、頭髪トリートメント組成物である。
【0178】
本発明に従う頭髪トリートメント組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、約0.0001〜50重量%、好ましくは、0.001〜10重量%、特に好ましくは0.0057〜0.1重量%の量の本発明に従う少なくとも1種のペプチドを含む。
【0179】
好ましくは、本発明に従う頭髪トリートメント組成物は、セッティングフォーム、ヘアムース、ヘアゲル、シャンプー、ヘアスプレー、ヘアフォーム、エンドフルイド、パーマネントウェーブ用の中和液、毛染め剤および漂白剤または「ホットオイルトリートメント」の形態にある。使用の領域に応じて、頭髪用化粧品調製物を、(エアロゾル)スプレー、(エアロゾル)フォーム、ゲル、ゲルスプレー、クリーム、ローションまたはワックスとして適用することができる。ここで、ヘアスプレーは、エアロゾルスプレーおよびまた気体推進剤を含まないポンプスプレーの両方を含む。ヘアフォームは、エアロゾルフォームおよびまた気体推進剤を含まないポンプフォームの両方を含む。ヘアスプレーおよびヘアフォームは、好ましくは主に、または専ら、水溶性または水分散性成分を含む。本発明に従うヘアスプレーおよびヘアフォーム中で用いられる成分が水分散性である場合、それらを、通常は1〜350 nm、好ましくは1〜250 nmの粒子径を有する水性微小分散物の形態で適用することができる。これらの調製物の固体含量は通常、約0.5〜20重量%の範囲である。これらの微小分散物は一般的には、その安定化のために乳化剤または界面活性剤を必要としない。
【0180】
本発明に従う頭髪用化粧品製剤は、好ましい実施形態においては、a)0.0001〜50重量%の本発明に従う少なくとも1種のペプチド、b)20〜99.95重量%の水および/もしくはアルコール、c)0〜50重量%の少なくとも1種の気体推進剤、d)0〜5重量%の少なくとも1種の乳化剤、e)0〜3重量%の少なくとも1種の増粘剤、およびまた最大25重量%のさらなる構成要素を含む。
【0181】
アルコールは、化粧品において従来の全てのアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノールを意味すると理解されるべきである。
【0182】
また、全く特異的な特性を設定しようとする場合、本発明に従うペプチドと共に用いることができる、化粧品において公知の全てのスタイリングおよびコンディショナーポリマーも含まれる。
【0183】
好適な従来の頭髪用化粧品ポリマーは、例えば、前記の陽イオン性、陰イオン性、中性、非イオン性および両性ポリマー(参照により本明細書に組み入れられるものとする)である。
【0184】
特定の特性を確立するために、前記調製物はさらに、シリコン化合物に基づくコンディショニング物質を含んでもよい。好適なシリコン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコン樹脂またはジメチコンコポリオール(CTFA)およびアモジメチコン(CTFA)などのアミノ官能化シリコン化合物である。
【0185】
本発明に従うポリマーは、特に、ヘアスタイリング調製物、特に、ヘアスプレー(エアロゾルスプレーおよび気体推進剤を含まないポンプスプレー)ならびにヘアフォーム(エアロゾルフォームおよび気体推進剤を含まないポンプフォーム)中のセッティング剤として好適である。
【0186】
好ましい実施形態においては、スプレー調製物は、a)0.0001〜50重量%の本発明に従う少なくとも1種のポリペプチド、b)20〜99.9重量%の水および/またはアルコール、c)0〜70重量%の少なくとも1種の推進剤、d)0〜20重量%のさらなる構成要素を含む。
【0187】
推進剤は、エアスプレーまたはエアロゾルフォームのために従来用いられる推進剤である。プロパン/ブタンの混合物、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、二酸化炭素、窒素または圧縮空気が好ましい。
【0188】
本発明に従って好ましいエアロゾルヘアフォームの製剤は、a)0.0001〜50重量%の本発明に従う少なくとも1種のペプチド、b)55〜99.8重量%の水および/もしくはアルコール、c)5〜20重量%の推進剤、d)0.1〜5重量%の乳化剤、e)0〜10重量%のさらなる構成要素を含む。
【0189】
用いることができる乳化剤は、ヘアフォームにおいて従来用いられる全ての乳化剤である。好適な乳化剤は、非イオン性、陽イオン性または陰イオン性または両性であってよい。
【0190】
非イオン性乳化剤(INCI命名法)の例は、ラウレス、例えば、ラウレス-4;セテス、例えば、セテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル、セテアレス、例えば、セテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、水酸化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシドである。
【0191】
陽イオン性乳化剤の例は、リン酸二水素セチジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、塩化セチルトリモニウム、臭化セチルトリモニウム、硫酸メチルココトリモニウム、クオタニウム-1〜x(INCI)である。
【0192】
陰イオン性乳化剤を、例えば、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、N-アルコイルサルコシン酸、タウリン酸アシル、イセチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、α-オレフィンスルホン酸、特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびまたアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩の群より選択することができる。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは、分子中に、1〜10個の酸化エチレンまたは酸化プロピレン単位、好ましくは、1〜3個の酸化エチレン単位を有してもよい。
【0193】
スタイリングゲルのための本発明に従って好適な調製物は、例えば、以下の組成:a)0.0001〜50重量%の本発明に従う少なくとも1種のペプチド、b)80〜99.85重量%の水および/もしくはアルコール、c)0〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%のゲル形成剤、d)0〜20重量%のさらなる構成要素を有してもよい。
【0194】
ゲル形成剤の使用は、ゲルの特異的な流動学的または他の適用特性を設定するのに有利であり得る。用いることができるゲル形成剤は、化粧品において従来的な全てのゲル形成剤である。これらのものとしては、軽度に架橋したポリアクリル酸、例えば、カルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、陽イオン改変セルロース、ポリサッカリド、例えば、キサンタンゴム、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、アクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリクオタニウム-32(および)流動パラフィン(INCI)、アクリル酸ナトリウムコポリマー(および)流動パラフィン(および)PPG-1トリデセス-6、塩化アクリルアミドプロピルトリモニウム/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10アリルエーテル、アクリル酸コポリマー、ポリクオタニウム-37(および)流動パラフィン(および)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム37(および)プロピレングリコールジカプリン酸(および)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-44が挙げられる。
【0195】
本発明に従うペプチドを含む調製物を、フケ防止剤としてシャンプー製剤中で用いることができるのが好ましい。好ましいシャンプー製剤は、a)0.0001〜50重量%の本発明に従う少なくとも1種のペプチド、b)25〜94.95重量%の水、c)5〜50重量%の界面活性剤、c)0〜5重量%のさらなるコンディショナー、d)0〜10重量%のさらなる化粧品構成要素を含む。
【0196】
シャンプー中で従来用いられる全ての陰イオン性、中性、両性または陽イオン性界面活性剤を、シャンプー製剤中で用いることができる。
【0197】
好適な陰イオン性界面活性剤は、例えば、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、N-アルコイルサルコシン酸、タウリン酸アシル、イソチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、α-オレフィンスルホン酸、特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムおよびトリエタノールアミン塩である。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは、分子中に、1〜10個の酸化エチレンまたは酸化プロピレン単位、好ましくは、1〜3個の酸化エチレン単位を有してもよい。
【0198】
例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンも好適である。
【0199】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシン酸、アルキルカルボキシグリシン酸、アルキルアンホ酢酸もしくはプロピオン酸、アルキルアンホ二酢酸もしくは二プロピオン酸である。
【0200】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインまたはコカンホプロピオン酸ナトリウムを用いることができる。
【0201】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖状もしくは分枝状であってよい、アルキル鎖中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物である。酸化アルキレンの量は、アルコール1モルあたり約6〜60モルである。また、酸化アルキルアミン、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミン、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステルも好適である。
【0202】
さらに、シャンプー製剤は、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウムなどの従来の陽イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0203】
特定の効果を達成するために、従来のコンディショナーを、シャンプー製剤中で本発明に従うペプチドと共に用いることができる。
【0204】
これらのものとしては、例えば、INCI名ポリクオタニウムを有する上記の陽イオン性ポリマー、特に、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat FC, Luviquat HM, Luviquat MS, Luviquat, Care)、硫酸ジエチルで四級化された、N-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat D Hold)、陽イオンセルロース誘導体(ポリクオタニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)が挙げられる。さらに、タンパク質加水分解物、ならびにまたシリコン化合物に基づくコンディショニング物質、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコン樹脂を用いることができる。さらに好適なシリコン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)およびアモジメチコン(CTFA)などのアミノ官能化シリコン化合物である。さらに、グアーヒドロキシプロピルとリモニウムクロリド(INCI)などの陽イオン性グアー誘導体を用いることができる。
【0205】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例を参照してさらに例示する。
【0206】
(実施例)
実験セクション
1. 試験例A
実施例1:P18によるマラセジア・フルフルの阻害
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/l モルト抽出物、
20 g/l 牛胆汁、
10 g/l Tween 40。
【0207】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0208】
2 g/lのオリーブ油を濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した。
【0209】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を増大させた。
【0210】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/lの寒天を培地に添加した。
【0211】
増殖試験を以下のように実行した:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコに、マラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩振とうしながらインキュベートした。
【0212】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ、100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、620 nmで測定した、0.02の光密度まで実験の開始時に調整した。阻害剤溶液の濃度は、水またはDMSO中で1 mMであった。
【0213】
以下のバッチの増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・阻害剤を添加しないマラセジア・フルフル懸濁液。
【0214】
・残りの実験と比較可能である、阻害剤を添加しないが、2.5μlのDMSOを添加したマラセジア・フルフル懸濁液。これは、阻害が単にDMSOの効果に帰するか、または偽陽性の結果が観察されることを排除するためであった。
【0215】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMで水性P18溶液の添加。
【0216】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中のP18溶液の添加。
【0217】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中の亜鉛ピリチオン(ZPT、Sigma-Aldrich)溶液の添加。
【0218】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中のケトコナゾール(Sigma-Aldrich)溶液の添加。
【0219】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0220】
増殖を、光密度を測定することにより40時間にわたって観察した。次いで、コロニー形成単位(CFU)を、それぞれの懸濁液に由来する10μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数することにより決定した。CFUを決定して、2相培地の影響およびまた、光密度に対するマラセジア・フルフルの増殖形態の影響を排除した。しかしながら、全ての実験において、CFUは測定された増殖曲線と相関した。CFU測定値は、測定不可能な増殖と比較した弱い増殖を検出するのに役立った。実験を、少なくとも3回の決定において実行し、独立に反復した。1つの例示実験の結果を表1および表2にまとめる。
【表1】

【表2】

【0221】
光密度およびCFUの測定値は、マラセジア・フルフルの増殖が観察された期間にわたって効率的に阻害されることを示している。最大で40時間、この阻害は亜鉛ポリチオン(ZPT)またはケトコナゾールなどの活性成分と比較してより有効であった。
【0222】
実施例2:マガイニン2およびセクロピンAと比較したP18によるマラセジア・フルフルの阻害
融合ペプチドP18は、マガイニン2およびセクロピンAに由来する。従って、P18が、マガイニン2またはセクロピンAのみよりもマラセジア・フルフルの増殖をより効率的に阻害するかどうかを調査した。このための手順は実施例1に記載の通りであった。DMSO中の融合ペプチドP18、マガイニン2およびセクロピンAの1 mM保存溶液を調製した。増殖実験におけるペプチドの最終濃度は25μMであった。同様に、同じ量のDMSOを、阻害剤を含まない懸濁液に添加して、DMSOの増殖阻害効果を排除した。
【0223】
以下の混合物の増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・残りの実験と比較可能である、阻害剤を添加しないが、2.5μlのDMSOを添加したマラセジア・フルフル懸濁液。これは、阻害が単にDMSOの効果に帰することを排除するためであった。
【0224】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中のマガイニン2溶液の添加。
【0225】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中のセクロピンA溶液の添加。
【0226】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMでDMSO中のペプチドP18(配列番号3)溶液の添加。
【0227】
例示実験の実験結果を以下の表3にまとめる。
【表3】

【0228】
ペプチドP18が、マガイニン2またはセクロピンAのみよりも効率的にマラセジア・フルフルの増殖を阻害することが見出された。
【0229】
実施例3:P18の長期安定性
P18の長期安定性を2週間の期間にわたって観察した。このために、水中の1 mMのP18溶液を、全期間にわたって37℃でインキュベートした。実験の開始時およびこれらの2週間の後、大腸菌の増殖の阻害を介して抗微生物活性を検出した。ここで用いた増殖培地は、複合培地としてのLB培地であった。この培地は、1リットルあたり、10 gのトリプトン、5 gの酵母抽出物および10 gのNaclを含んでいた。
【0230】
増殖試験を以下のように実行した:LB培地の振とうフラスコに大腸菌を接種し、37℃および200 rpmで振とうしながら一晩インキュベートした。96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのLB培地を充填し、大腸菌懸濁液の一晩培養物を接種した。大腸菌懸濁液を実験の開始時に、620 nmで測定された、約0.02の光密度に調整した。P18阻害剤溶液の濃度は、水中で1 mMであった。
【0231】
以下の混合物の増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・阻害剤を添加しない大腸菌懸濁液。
【0232】
・大腸菌懸濁液および最終濃度25μMで水性P18溶液の添加。水性P18溶液を新鮮に調製した。
【0233】
・大腸菌懸濁液および最終濃度25μMで水性P18溶液の添加。水性保存溶液を37℃で2週間インキュベートした。
【0234】
増殖を、光密度を測定することにより40時間にわたって観察した。抗微生物活性は37℃で2週間のインキュベーション後でも変化せず、40時間にわたって大腸菌の増殖を阻害することが見出された。この結果を表4にまとめる。
【表4】

【0235】
実施例4:P18の生分解性
最初に、ペプチドP18を、キモトリプシン(ウシ膵臓由来、Sigma)を添加することにより消化した。このために、1 mMのP18溶液を調製し、製造業者の説明書に従って処理した。サンプルを37℃で16時間インキュベートした。用いた陰性対照は、キモトリプシンを添加しないP18溶液のサンプルまたはキモトリプシンのみを含むが、P18を含まない対照溶液であった。次いで、大腸菌細胞に対するP18の抗微生物活性を調査した。試験を、実施例3に記載のように実行した。
【0236】
以下の混合物の増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・阻害剤を添加しない大腸菌懸濁液。
【0237】
・大腸菌懸濁液および最終濃度10μMで水性P18溶液の添加。P18溶液を37℃で16時間事前に保存した。
【0238】
・大腸菌懸濁液および最終濃度10μMで水性P18溶液の添加。P18溶液を37℃で16時間、製造業者の説明書に従って事前に保存し、キモトリプシンで処理した。
【0239】
・大腸菌懸濁液および対照として、キモトリプシンで消化したP18溶液と同じ量のキモトリプシンを含む水性キモトリプシン溶液の添加。この溶液も、37℃で16時間、事前に保存した。この混合物を選択して、キモトリプシンの抗微生物効果を排除した。
【0240】
増殖を、光密度を測定することにより16時間にわたって観察した。全サンプルの光密度が同様に生じ、すなわち、微生物増殖が起こることが見出された。これらの結果は、例えば、キモトリプシンなどのセリンプロテアーゼを用いるP18の消化が可能であることを示し、前記ペプチドの生分解性を証明している。この結果を表5にまとめる。
【表5】

【0241】
実施例5:グラム陽性およびグラム陰性細菌の阻害
P18による増殖阻害を、グラム陽性およびグラム陰性細菌について調査した。Shinら、1999(loc.cit.)は既に、最大18時間の期間内のモデル生物である大腸菌およびバチルス・サブチリスに対する阻害を検出している。しかしながら、この論文中の増殖実験により、P18による阻害がグラム陽性細菌とグラム陰性細菌に対して異なるように作用することが示された。
【0242】
これに用いた増殖培地は、生物大腸菌、バチルス・サブチリスおよびブレビバクテリウム・エピデルミディスのための複合培地としてのLB培地であった。この培地は、1リットルあたり、10 gのトリプトン、5 gの酵母抽出物および10 gのNaClを含んでいた。
【0243】
増殖試験を、以下のように実行した:培地を含む振とうフラスコに大腸菌、バチルス・サブチリスまたはブレビバクテリウム・エピデルミディスを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのLB培地を充填し、大腸菌、バチルス・サブチリスまたはブレビバクテリウム・エピデルミディス懸濁液の一晩培養物を接種した。細菌懸濁液を実験の開始時に、620 nmで測定された、約0.02の光密度に調整した。P18阻害剤溶液の濃度は、水中で1 mMであった。
【0244】
以下の混合物の増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・阻害剤を添加した細菌懸濁液;
・細菌懸濁液および最終濃度25μMで水性P18溶液の添加。水性P18溶液を新鮮に調製した。
【0245】
増殖を、光密度を測定することにより40時間にわたって観察した。P18はこの期間にわたってグラム陰性大腸菌の増殖を効率的に阻害することが見出された。グラム陽性細菌の増殖が最初に阻害された。しかしながら、40時間の実験期間内に、P18で阻害されたモデル生物であるバチルス・サブチリスおよびブレビバクテリウム・エピデルミディスは、阻害されていない培養物と比較可能な増殖密度を達成した。これらの結果は、グラム陽性およびグラム陰性生物に対するP18の異なる効果を示唆している。この特性は、ヒト皮膚細菌叢はグラム陽性細菌により集団化されるのが好ましく、結果として、P18の適用が長期間これを破壊しないため、この特性が有利である。この結果を以下の表6にまとめる。
【表6】

【0246】
2. 製剤例A
ペプチドP18を含む皮膚化粧品調製物を以下に記載する。ペプチドP18を、上記の他のペプチドの全ての代表により以下の実施例に特定する。本発明に従う他の特定のペプチドの全部を以下に与えられる調製物中で用いることもできる。
【0247】
AI=活性成分。
【0248】
実施例6:デイケア用乳濁液中でのP18の使用-O/W型

【0249】
調製:相AおよびBを互いに別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。相Cを合わせた相AおよびB中に攪拌し、再度均質化する。攪拌しながら、約40℃に冷却し、相Dを添加し、pHを相Eで約6.5に調整し、均質化し、攪拌しながら室温まで冷却する。
【0250】
製剤を、保護ガスを用いずに調製する。瓶詰めを、酸素不透過性パッケージング、例えば、アルミ管中で行わなければならない。
【0251】
実施例7:保護デイクリーム中でのP18の使用-O/W型

【0252】
調製:相AおよびBを互いに別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。相Cを合わせた相AおよびB中に入れ、均質化する。攪拌しながら約40℃に冷却する。相Dを添加し、pHを相Eを用いて約6.5に調整し、均質化する。攪拌しながら室温まで冷却する。
【0253】
実施例8:洗顔ローション中でのP18の使用-O/W型

【0254】
調製:相Aを溶解する。相Bを相A中に攪拌し、相Cを合わせた相AおよびBに入れる。相Dを溶解し、合わせた相A、BおよびC中に攪拌し、均質化する。その後15分間攪拌する。
【0255】
実施例9:デイリーケアボディスプレー中でのP18の使用

【0256】
調製:相Aの成分中で計量し、溶解させて、透明な溶液を得る。
【0257】
実施例10:スキンケアゲル中でのP18の使用

【0258】
調製:相Aを溶解させて、透明な溶液を得る。相Bを膨張させ、相Cで中和する。相Aを均質化した相B中に攪拌し、均質化する。
【0259】
実施例11:アフターシェーブローション中でのP18の使用

【0260】
調製:相Aの成分を混合する。相Bを溶解し、相A中に入れ、均質化する。
【0261】
実施例12:アフターサンローション中でのP18の使用

【0262】
調製:相Aの成分を混合する。相Bを、均質化しながら相A中に攪拌する。相Cで中和し、再度均質化する。
【0263】
実施例13:サンスクリーンローション中でのP18の使用

【0264】
調製:相AおよびBの成分を互いに別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。相Cを約80℃に加熱し、合わせた相AおよびB中に均質化しながら攪拌する。攪拌しながら約40℃に冷却し、相Dを添加し、再度均質化する。
【0265】
実施例14:サンスクリーンローション中でのP18の使用-O/W型

【0266】
調製:相Aを約80℃に加熱し、相B中で攪拌し、3分間均質化する。同様に、相Cを80℃に加熱し、合わせた相AおよびB中に均質化しながら攪拌する。約40℃に冷却し、相D中に攪拌し、再度均質化する。
【0267】
実施例15:サンスクリーンローション中でのP18の使用-O/W型

【0268】
調製:相Aを約80℃に加熱し、相B中に攪拌し、3分間均質化する。同様に、相Cを80℃に加熱し、合わせた相AおよびB中に均質化しながら攪拌する。約40℃に冷却し、相D中に攪拌し、再度均質化する。
【0269】
実施例16:フットバーム中でのP18の使用

【0270】
調製:相AおよびBの成分を互いに別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に均質化しながら攪拌する。攪拌しながら、約40℃に冷却し、相CおよびDを添加した後、簡単に均質化する。攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0271】
実施例17:ビサボロールを含むW/O乳濁液中でのP18の使用

【0272】
調製:相AおよびBを互いに別々に約85℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。攪拌しながら、約40℃に冷却し、相Cを添加し、再度簡単に均質化する。攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0273】
実施例18:セッティング剤を含むフォームコンディショナー

【0274】
調製:相Aの成分を一緒に計量し、全部が溶解するまで攪拌し、瓶詰めする。
【0275】
実施例19:フォームコンディショナー

【0276】
調製:相Aの成分を一緒に計量し、全部が溶解するまで攪拌して透明な溶液を得て、瓶詰めする。
【0277】
実施例20:フォームコンディショナー

【0278】
調製:相Aの成分を一緒に計量し、全部が溶解するまで攪拌して、透明な溶液を得て、瓶詰めする。
【0279】
実施例21:スタイリングフォーム

【0280】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を交互に添加し、溶解する。相Cと共に瓶詰めする。
【0281】
実施例22:スタイリングフォーム

【0282】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を交互に添加し、溶解する。相Cと共に瓶詰めする。
【0283】
実施例23:スタイリングフォーム

【0284】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を溶解して、透明な溶液を得た後、相Bを相A中に攪拌する。pHを6〜7に調整し、相Cと共に瓶詰めする。
【0285】
実施例24:スタイリングフォーム

【0286】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を交互に添加し、溶解する。相CをAおよびBの混合物中に溶解した後、pHを6〜7に調整する。相Dと共に瓶詰めする。
【0287】
実施例25:スタイリングフォーム

【0288】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を交互に添加し、溶解する。相Cを相AおよびBの混合物中に溶解した後、pHを6〜7に調整する。相Dと共に瓶詰めする。
【0289】
実施例26:スタイリングフォーム

【0290】
調製:相Aを可溶化する。相Bを相A中に計量し、溶解して透明な溶液を得る。pHを6〜7に調整し、相Cと共に瓶詰めする。
【0291】
実施例27:スタイリングフォーム

【0292】
調製:相Aを可溶化する。相Bを相A中に計量し、溶解して、透明な溶液を得る。pHを6〜7に調整し、相Cと共に瓶詰めする。
【0293】
実施例28:スタイリングフォーム

【0294】
調製:相Aを可溶化する。相Bを相A中に計量し、溶解して、透明な溶液を得る。pHを6〜7に調整し、相Cと共に瓶詰めする。
【0295】
実施例29:スタイリングフォーム

【0296】
調製:相Aの成分を混合する。相Bの成分を交互に添加し、溶解する。相Cと共に瓶詰めする。
【0297】
実施例30:ケアシャンプー

【0298】
調製:相Aの成分を混合し、溶解する。クエン酸を用いてpHを6〜7に調整する。
【0299】
実施例31:シャワーゲル

【0300】
調製:相Aの成分を混合し、溶解する。クエン酸を用いてpHを6〜7に調整する。
【0301】
実施例32:シャンプー

【0302】
調製:相Aの成分を混合し、溶解する。クエン酸を用いてpHを6〜7に調整する。
【0303】
実施例33:シャンプー

【0304】
調製:相Aの成分中に計量し、溶解する。pHを6〜7に調整する。相Bを添加し、約50℃に加熱する。攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0305】
実施例34:保湿ボディケアクリーム

【0306】
調製:相AおよびBを別々に約80℃に加熱する。相Bを簡単に予備均質化した後、相Bを相A中に攪拌し、再度均質化する。約40℃に冷却し、相Cを添加し、再度よく均質化する。クエン酸を用いてpHを6〜7に調整する。
【0307】
実施例35:保湿ボディケアクリーム

【0308】
調製:相AおよびBを別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。攪拌しながら、約40℃に冷却し、相Cを添加し、再度均質化する。攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0309】
実施例36:液体メーキャップ-O/W型

【0310】
調製:相AおよびBを別々に約80℃に加熱する。相Bを相A中に攪拌し、均質化する。攪拌しながら、約40℃に冷却し、相CおよびDを添加し、再度完全に均質化する。攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0311】
実施例37:皮膚化粧品調製物
本発明に従うペプチドP18を含む本発明に従う皮膚化粧品調製物を以下に記載する。濃度は本発明に従って変化してもよい。
【0312】
以下のデータは重量部である。
【0313】

【0314】

【0315】


【0316】

【0317】


【0318】

【0319】

【0320】


【0321】


【0322】



【0323】


【0324】


【0325】


【0326】


【0327】


【0328】


【0329】


【0330】

【0331】


【0332】


【0333】

【0334】


【0335】


【0336】
実施例38:日焼け止め化粧品調製物
以下の製剤は、少なくとも1種の無機色素、好ましくは、酸化亜鉛および/または二酸化チタンと、有機UV-AおよびUV-Bフィルターとの組合せを含む日焼け止め化粧品調製物を記載する。
【0337】
以下に与えられる製剤を、当業者には公知の従来の様式で調製する。
【0338】
P18の含量は100%の活性成分である。本発明に従う活性成分を、純粋な形態で、または水性溶液の形態で用いることができる。水性溶液の場合、特定の製剤中の水(water dem.)の含量を調整しなければならない。
【0339】

【0340】


【0341】

【0342】


【0343】

【0344】


【0345】

【0346】


【0347】

【0348】


【0349】

【0350】

【0351】


【0352】

【0353】


【0354】

【0355】


【0356】

【0357】

【0358】


【0359】

【0360】


【0361】

【0362】


【0363】

【0364】

【0365】


【0366】

【0367】


【0368】

【0369】


【0370】

【0371】


【0372】

【0373】


【0374】

【0375】

【0376】

【0377】


【0378】

【0379】


【0380】

【0381】


【0382】

【0383】


【0384】

【0385】


【0386】

【0387】


【0388】

【0389】

【0390】

【0391】


【0392】

【0393】


【0394】

【0395】


【0396】


【0397】

【0398】


【0399】

【0400】


【0401】

【0402】


【0403】

【0404】


【0405】

【0406】


【0407】

【0408】

【0409】

【0410】

【0411】


【0412】

【0413】


【0414】

【0415】


【0416】

【0417】


【0418】

【0419】


【0420】

【0421】


【0422】

【0423】


【0424】

【0425】


【0426】

【0427】


【0428】

【0429】


【0430】

【0431】


【0432】

【0433】


【0434】

【0435】

【0436】


【0437】

【0438】


【0439】

【0440】
実施例39:ヘアトニック中でのP18の使用

【0441】
調製:相Aを混合する。相Bを添加し、全部が溶解するまで攪拌する。pHを7.0に調整する。
【0442】
実施例40:ヘアゲル中でのP18の使用

【0443】
調製:相Aの成分中で計量し、均質化する。相Bを溶解し、相A中に攪拌する。pHを6.9に調整する。
【0444】
3. 試験例B
実施例41:マラセジア・フルフルに対して試験されたP18の長期安定性
より長期間にわたる保存が必要であるため、以下においては、1 mMのP18ペプチド溶液(P18配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)を37℃で12週間保存し、マラセジア・フルフルに対する保存溶液の抗菌活性を、新鮮に調製した1 mMのP18ペプチド溶液の活性と比較した。これを、以下のように実行する増殖試験を介して行った。
【0445】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0446】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0447】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌後、オートクレーブし、他の成分に添加した)。
【0448】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡張させた。
【0449】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0450】
増殖試験を以下のように実行した:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコに、マラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩振とうしながらインキュベートした。
【0451】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を実験の開始時に、600 nmで測定された、0.02の光密度に調整した。阻害剤溶液の濃度は、水中で1 mMであった。
【0452】
以下のバッチの増殖を比較した:
・阻害剤を添加しないマラセジア・フルフル懸濁液。
【0453】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度50μMで新鮮な水性P18溶液の添加。
【0454】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMで新鮮な水性P18溶液の添加。
【0455】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度50μMで、37℃で12週間保存したP18溶液の添加。
【0456】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度25μMで、37℃で12週間保存したP18溶液の添加。
【0457】
マイクロタイタープレートを30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0458】
増殖を、光密度を測定することにより24時間にわたって観察した。次いで、コロニー形成単位(CFU)を、それぞれの懸濁液から1μlおよび5μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数することにより決定した。CFUを決定して、2相培地の影響およびまた光密度に対するマラセジア・フルフルの増殖形態の影響を排除した。実験を少なくとも3回の決定において実行した。
【表7】

【0459】
増殖試験の結果により、コロニー形成単位として測定されるマラセジア・フルフルの増殖が、12週間保存されたP18ペプチド溶液ならびに新鮮なP18ペプチド溶液により効率的に阻害されることが示された。これは、P18ペプチド溶液の保存は溶液の活性に影響せず、結果として、溶液がこの期間にわたって保存可能であったことを意味する。
【0460】
実施例42:P18の製剤化可能性
ペプチドP18の製剤化可能性を、3つのシャンプー基本製剤において試験した。このために、第1段階において、以下の組成を有する製剤を調製した。
【表8】

【0461】
成分を混合し、溶解した。pHを、NaOHでpH 6-7に調整した。以下においては、ペプチドP18(P18配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)の2つの100 mM溶液を調製した。一方の溶液を溶媒としてDMSOを用いて調製し、他方の溶液を水を用いて調製した。対応する容量の100 mMペプチド溶液を、製剤31-1および31-2中の最終濃度が10 mMとなり、製剤31-3中のペプチドP18の最終濃度が5 mMとなるように、それぞれの製剤に添加した。かくして、得られた製剤は透明かつ均質であった。
【0462】
実施例43:成分としてP18を含むシャンプー基本製剤の効果
実験の目的は、成分としてペプチドP18(P18配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)を含むシャンプー基本製剤の効果を分析することであった。このために、この実験においては、ペプチドP18を製剤に直接添加した。第1段階においては、以下の組成を有する製剤を調製した。
【表9】

【0463】
成分Texapon NSOおよびTego Betain L7を混合し、溶解した。pHを、NaOHを用いてpH 6-7に調整した。以下においては、ペプチドP18(P18配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)の100 mM水性溶液を調製した。対応する容量の100 mM P18ペプチド溶液を、製剤31-3中のペプチドP18の最終濃度が5 mMとなるように、製剤に添加した。上記のように、かくして得られた製剤は透明かつ均質であった。次いで、菌類マラセジア・フルフルに対する前記製剤の有効性を、ペプチドP18を含まないシャンプー基本製剤と比較した。
【0464】
まとめると、試験を以下のように実行した。
【0465】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0466】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌した後、オートクレーブし、他の成分に添加した)。
【0467】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0468】
寒天プレートのために、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0469】
増殖試験を以下のように実行した:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩振とうしながらインキュベートした。
【0470】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ170μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、10μlのマラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。これは、620 nmで測定された、0.02〜0.1の光密度に対応していた。20μlのシャンプー基本製剤および成分としてP18を含有する20μlのシャンプー基本製剤31-3を、それぞれこの混合物に添加した。
【0471】
かくして、まとめると、以下の混合物をこの実験において比較した:
・マラセジア・フルフル懸濁液。
【0472】
・マラセジア・フルフル懸濁液および20μlのシャンプー基本製剤31-3の添加。
【0473】
・マラセジア・フルフル懸濁液および成分としてP18を含有する20μlのシャンプー基本製剤31-3の添加。
【0474】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0475】
24時間のインキュベーション後、コロニー形成単位(CFU)を、1μlの各懸濁液を10μlの培地中に再懸濁した後、得られた懸濁液を塗布することにより決定した。6日間インキュベートした後、プレート上のコロニーを計数した。CFUを決定して、2相培地およびまた、光密度に対するマラセジア・フルフルの増殖形態の影響を排除した。実験を、それぞれ2回の決定を含む、少なくとも2回の独立した実験において実行した。
【表10】

【0476】
この結果は、シャンプー基本製剤31-3自体が既に、マラセジア・フルフルに対する測定可能な増殖阻害効果を有することを示している。しかしながら、成分としてP18を含むシャンプー基本製剤31-3を用いる場合、測定可能な増殖は全く存在しない。これは、ペプチドP18の抗菌効果がこの製剤中で維持されることを示している。マラセジア・フルフルの増殖を測定することができなかったため、より低い濃度の成分P18もしくは比較可能なペプチドまたは他の比較可能な製剤を用いても、マラセジア・フルフルおよび他のマラセジア種の増殖を阻害することができると実際に仮定することができる。
【0477】
実施例44:重量%に基づいて(%(重量/重量))等濃度のペプチドP18、亜鉛ピリチオン、クリンバゾールおよびケトコナゾールを用いるマラセジア・フルフルの増殖阻害
ペプチドP18(P18ペプチド配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)のモル質量およびマラセジア・フルフル菌類の増殖を阻害するフケ防止用シャンプーの現在の市販の成分はかなり異なる。ペプチドP18は2300 g/molのモル質量を有し、亜鉛ピリチオンは317 g/molを有し、ケトコナゾールは531 g/molを有し、クリンバゾールは292 g/molのモル質量を有する。マラセジア・フルフルの増殖阻害を分析する実験は先行する実験においては比較可能なモル濃度を用いて行われたため、この実施例においては、マラセジア・フルフルの増殖阻害を、重量%(%(重量/重量))に基づいて等濃度のペプチドP18、亜鉛ピリチオン、クリンバゾールおよびケトコナゾールを用いて分析した。このための手順は以下の通りであった。
【0478】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0479】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0480】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0481】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0482】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0483】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0484】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.02の光密度に調整した。阻害剤溶液の濃度は、ペプチドP18についてはDMSO中で1 mMであり、亜鉛ピリチオン、ケトコナゾールおよびクリンバゾールについてはDMSO中で10 mMであった。DMSOの最終濃度を、全ての実験において同じに維持した。これは、より高い濃度の亜鉛ピリチオン、ケトコナゾールまたはクリンバゾール濃度の場合、対応する容量のDMSOを混合物に添加して、P18を含む混合物との比較可能性を確保した。
【0485】
以下のバッチの増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度50μM(0.0115%(w/w)に等しい)でP18溶液の添加。
【0486】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度362μM(50μMのペプチドP18を含む混合物と比較)で亜鉛ピリチオン(ZPT)溶液の添加。
【0487】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度216μM(50μMのペプチドP18を含む混合物と比較)でケトコナゾール溶液の添加。
【0488】
・マラセジア・フルフル懸濁液および最終濃度390μM(50μMのペプチドP18を含む混合物と比較)でクリンバゾール溶液の添加。
【0489】
マイクロタイタープレートを30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0490】
インキュベーションの24時間後、コロニー形成単位(CFU)を、各懸濁液に由来する10μlの培地を寒天プレート上に塗布することにより決定した。6日間インキュベートした後、プレート上のコロニーを計数した。CFUを決定して、2相培地およびまた光密度に対するマラセジア・フルフルの増殖形態の影響を排除した。実験を、それぞれ2回の決定を含む、少なくとも2回の独立した実験において実行した。
【表11】

【0491】
実験期間内に、ペプチドP18の添加はCFUを低下させ、結果として、参考物質である亜鉛ピリチオン、クリンバゾールおよびケトコナゾールよりも効率的にマラセジア・フルフルの増殖を低下させることが観察された。
【0492】
これらの結果は、重量%(%(w/w))に基づいて、等濃度の亜鉛ピリチオン、クリンバゾールおよびケトコナゾールと比較したペプチドP18によるマラセジア・フルフルの効率的な、少なくとも比較可能な増殖阻害を示している。
【0493】
実施例45:5分〜1時間のペプチドP18とのインキュベーション時間
ペプチドP18(P18ペプチド配列H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2)によるマラセジア・フルフルの増殖阻害は今までのところ1時間を超えるインキュベーション時間にわたって分析されているだけなので、ここで、マラセジア・フルフルの一晩培養物に添加した後の最初の数分間のインキュベーション(5分、10分および20分)から最大で1時間以内のペプチドP18の効果を試験し、参考物質である亜鉛ピリチオン(Sigma Aldrich)と比較した。このために、ペプチドP18および参考物質である亜鉛ピリチオンを、100μM、200μMおよび500μMの濃度で用いた。実験を以下のように行った。
【0494】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0495】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0496】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0497】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0498】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0499】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0500】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.1の光密度に調整した。
【0501】
以下のバッチの増殖を、光密度を測定することにより比較した:
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度100μMでペプチドP18の添加。
【0502】
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度200μMでペプチドP18の添加。
【0503】
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度500μMでペプチドP18の添加。
【0504】
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度100μMで亜鉛ピリチオンの添加。
【0505】
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度200μMで亜鉛ピリチオンの添加。
【0506】
・マラセジア・フルフル懸濁液および5分後、10分後、20分後および60分後に塗布する、最終濃度500μMで亜鉛ピリチオンの添加。
【0507】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0508】
上記のインキュベーション時間の後、コロニー形成単位(CFU)を、各懸濁液に由来する50μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数することにより決定した。CFUを決定して、2相培地およびまた光密度に対するマラセジア・フルフルの増殖形態の影響を排除した。実験を独立に反復した。以下は、1000個未満のコロニーおよびかくして有意な増殖阻害を示した、これらのコロニー形成単位を示すものである。
【表12】

【0509】
この結果は、ペプチドP18とのインキュベーションの最初の10分後、生存するマラセジア・フルフル細胞の数は既に、亜鉛ピリチオンとのインキュベーションと比較してかなり低下していたことを示している。さらにより低い濃度のペプチドP18とのインキュベーションの60分後に、コロニー形成単位はより短いインキュベーション時間と比較してかなり低下した。これは、ペプチドP18の作用機序が、亜鉛ピリチオンの作用機序と明確に異なり、ペプチドP18が短いインキュベーション時間の後でもマラセジア・フルフルに対して有効であることを意味している。
【0510】
実施例46:P18変異体の効果
マラセジア・フルフルに対する以下のP18変異体の阻害効果を分析した:
H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2 (P18; カルボキシ末端アミド化)
H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-OH (P18-OH; カルボキシ末端非改変)
H-PKWKLFKKIPKFLHLAKKFD-OH (P18AC-OH; カルボキシ末端非改変)
H-PKWKLFKKIPKFLHLAKKFN-NH2 (P18AC-NH2; カルボキシ末端アミド化)。
【0511】
実験を以下のように実行した。
【0512】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0513】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0514】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0515】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0516】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0517】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0518】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.1の光密度に調整した。
【0519】
ペプチド変異体を、最終濃度1 mMでジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した。必要に応じて、DMSOを省略し、純粋な水性ペプチド溶液を代わりに用いることができる。5μlの前記溶液を100μlのマラセジア・フルフル懸濁液に添加した(最終濃度50μMのペプチドP18)。参照混合物中では、ペプチドP18を含まない同じ量のDMSOを添加した。
【0520】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0521】
24時間後、コロニー形成単位(CFU)を、各懸濁液に由来する10μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数することにより決定した。それぞれ3つの同一の混合物を用いる2回の独立した実験を行って、コロニー形成単位数を平均した。
【表13】

【0522】
この実験は、溶媒DMSO自体が既にCFUを低下させることを示している。しかしながら、全てのP18変異体は、DMSOと比較してマラセジア・フルフルに対する増加した阻害効果を示し、P18AC-OH、P18-OH、P18の順に有効性が増加する。同じ順序に従って、負に帯電したカルボキシル基の数はペプチド分子中で増加する。従って、弱いマイナス電荷を担持するペプチド変異体が最も有効であると結論付けることができる。
【0523】
実施例47:シャンプー基本製剤の存在下でのマラセジア・フルフルに対するペプチドP18の効果の動力学
亜鉛ピリチオンおよびクリンバゾールと比較したペプチドP18 (H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF‐NH2;カルボキシ末端アミド化)の効果を、シャンプー基本製剤の存在下および様々なインキュベーション時間で試験した(表14)。実験を以下のように行った。
【0524】
以下のシャンプー基本製剤を調製した。
【表14】

【0525】
成分Texapon NSOおよびTego Betain L7を混合し、溶解した。pHをNaOHでpH 6-7に調整した。
【0526】
マラセジア・フルフルに対するP18、ZPTおよびクリンバゾールの効果を以下のように分析した。
【0527】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0528】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0529】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0530】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0531】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0532】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0533】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.1の光密度に調整した。10%(v/v)のシャンプー基本製剤31-3を、マラセジア・フルフル懸濁液に添加した(表14を参照)。
【0534】
ペプチドP18を、230 g/lの濃度で水中に溶解した。活性成分亜鉛ピリチオンおよびクリンバゾールを、230 g/lの濃度でDMSO中に溶解し、活性成分は部分的に、不溶性に懸濁したままであった。ペプチド溶液および活性成分溶液をそれぞれ、2.3 g/l、1.15 g/l、0.46 g/lおよび0.23 g/lの最終濃度で、シャンプー基本製剤を含むマラセジア・フルフル懸濁液に添加した。
【0535】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0536】
混合物を5分間、10分間、20分間、60分間および24時間インキュベートした後、各懸濁液に由来する1μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数することにより、コロニー形成単位を決定した。
【0537】
この試験においては、P18が亜鉛ピリチオンまたはクリンバゾールと比較して優れた特性を示すことが観察された。
【0538】
実施例48:マラセジア・フルフルに対して試験されたシャンプー基本製剤中でのペプチドP18の長期安定性
シャンプー基本製剤中のペプチドP18(H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2;カルボキシ末端アミド化)の長期安定性を試験した。
【0539】
以下のシャンプー基本製剤を調製した。
【表15】

【0540】
成分Texapon NSOおよびTego Betain L7を混合し、溶解した。pHを、NaOHを用いてpH 6-7に調整した。以下においては、100 mMの水性P18ペプチド溶液を調製した。対応する容量の100 mM P18ペプチド溶液を各製剤に添加して、表15に示されたペプチドP18の最終濃度を得た。
【0541】
製剤を40℃で保存した。
【0542】
0、12および22日後、マラセジア・フルフルに対する製剤の効果を分析した。
【0543】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0544】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0545】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0546】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0547】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0548】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0549】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.1の光密度に調整した。
【0550】
10%(v/v)の保存製剤31-1-10、31-3-5、31-3-2(表15)を、マラセジア・フルフル懸濁液に添加した。
【0551】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0552】
24時間後、コロニー形成単位(CFU)を決定した。このために、各懸濁液に由来する1μlおよび10μlを塗布し、6日間インキュベートした後、コロニーを計数した。
【0553】
P18は試験した条件で安定な特性を示すことが観察された。
【0554】
実施例49:シャンプー基本製剤の存在下でのP18ペプチドの最小阻害濃度(MIC)の決定
シャンプー基本製剤31-3(表16)の存在下でのペプチドP18(H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2;カルボキシ末端アミド化)の最小阻害濃度(MIC)を以下のように試験した。
【0555】
以下のシャンプー基本製剤を調製した。
【表16】

【0556】
シャンプー基本製剤を、成分Texapon NSOおよびTego Betain L7を混合し、溶解することにより調製した。pHを、NaOHを用いてpH 6-7に調整した。
【0557】
マラセジア・フルフルに対するペプチドの効果を、以下のように分析した。
【0558】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0559】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0560】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0561】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0562】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0563】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0564】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ100μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物を接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.02〜0.1の光密度に調整した。20μlのシャンプー基本製剤31-3をこの混合物に添加した。ペプチドP18を、10 mMの濃度でDMSO中に溶解した。対応する量のP18溶液を添加して、表17に示される最終濃度を得た。
【0565】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0566】
24時間インキュベートした後、各懸濁液の1μlを10μlの培地中に再懸濁した後、得られた懸濁液を塗布することにより、コロニー形成単位(CFU)を決定した。6日間インキュベートした後、プレート上のコロニーを計数した。実験を2回の決定において実行した。
【表17】

【0567】
この結果は、マラセジア・フルフルが100μMを超えるP18濃度により完全に阻害されることを示している。従って、シャンプー基本製剤31-3の存在下での最小阻害濃度は、50μM〜100μMである。これは、ペプチドP18の抗菌効果が、シャンプー製剤を含まない混合物と比較しても、この製剤中で維持され(実施例41を参照)、活性が用いたシャンプー基本製剤によりわずかに低下することを示している。
【0568】
実施例50:ペプチドP18と従来の殺菌活性成分との組合せ
従来の殺菌活性成分である亜鉛ピリチオン、ケトコナゾールまたはクリンバゾールと、ペプチドP18(H-KWKLFKKIPKFLHLAKKF-NH2;カルボキシ末端アミド化)との割合を含む活性成分の組合せの効果を、以下のように水性溶液中、およびシャンプー製剤31-3の存在下で試験した。
【0569】
以下のシャンプー基本製剤を調製した。
【表18】

【0570】
シャンプー基本製剤を、成分Texapon NSOおよびTego Betain L7を混合し、溶解することにより調製した。pHを、NaOHを用いてpH 6-7に調整した。
【0571】
マラセジア・フルフルに対するペプチドP18および前記従来の薬剤の効果を、以下のように分析した。
【0572】
増殖培地:DSMZに従うM472-ピチロスポルム培地
40 g/L モルト抽出物
20 g/L 牛胆汁
10 g/L Tween 40。
【0573】
成分を121℃、1バールの超大気圧下で20分間滅菌した。
【0574】
2 g/Lのオリーブ油(濾過により滅菌し、オートクレーブした後、他の成分に添加した)。
【0575】
それは2相培地であったため、完全な培地を超音波で処理して、相の境界を拡大させた。
【0576】
寒天プレートのために、必要に応じて、150 g/Lの寒天を培地に添加した。
【0577】
増殖試験を以下のように行った:M472-ピチロスポルム培地を含む振とうフラスコにマラセジア・フルフルを接種し、30℃および200 rpmで一晩、振とうしながらインキュベートした。
【0578】
96穴マイクロタイタープレートに、それぞれ170μlのM472-ピチロスポルム培地を充填し、マラセジア・フルフル懸濁液の一晩培養物10μlを接種した。マラセジア・フルフル懸濁液を、実験の開始時に、600 nmで測定された、0.02〜0.1の光密度に調整した。20μlのシャンプー基本製剤31-3またはあるいは水をこの混合物に添加した。ペプチドP18を、10 mMの濃度で水中に溶解した。従来の殺菌活性成分を、10 mMの濃度でDMSO中に溶解した。対応する量のP18溶液および従来の殺菌活性成分溶液を混合物に添加して、表19に示される最終濃度を得た。
【表19】


【0579】
マイクロタイタープレートを、30℃で振とうしながらインキュベートした。
【0580】
24時間インキュベートした後、各懸濁液の1μlを10μlの培地中に再懸濁した後、得られた懸濁液を塗布することにより、コロニー形成単位(CFU)を決定した。6日間インキュベートした後、プレート上のコロニーを計数した。P18と従来の殺菌活性成分との組合せは、単独で摂取された従来の殺菌活性成分と比較して、優れた特性を示すことがわかった。
【0581】
4. 製剤例B
ペプチドP18を含む化粧用フケ防止シャンプー調製物を以下に記載する。ペプチドP18を、上記の他のペプチドの全部の代表により以下の実施例で特定する。当業者であれば、本発明に従う他の特定のペプチドの全部を、以下に与えられる調製物において用いることもできることを理解できるであろう。
【0582】
ペプチドP18は、前記調製物中に含まれる唯一の活性成分であってよく、またはそれを他のフケ防止用活性成分と共に用いることができる(説明を参照)。
【0583】
実施例51:

【0584】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、EDTA四ナトリウムおよび/または塩化ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0585】
実施例52:

【0586】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、セルロースゴムおよび/またはアクリル酸/ベヘネス-25メタクリル酸コポリマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0587】
実施例53:

【0588】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーおよび/または水酸化ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0589】
実施例54:

【0590】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0591】
実施例55:

【0592】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0593】
実施例56:

【0594】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0595】
実施例57:

【0596】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0597】
実施例58:

【0598】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0599】
実施例59:

【0600】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0601】
実施例60:

【0602】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0603】
実施例61:

【0604】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、カルボマーを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0605】
実施例62:

【0606】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0607】
実施例63:

【0608】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、EDTA四ナトリウムおよび/または塩化ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0609】
実施例64:

【0610】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、炭酸水酸化マグネシウムおよび/またはポリナフタレンスルホン酸ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0611】
実施例65:

【0612】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、EDTA四ナトリウムおよび/または塩化ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0613】
実施例66:

【0614】
調製:相Aの成分を混合および溶解する。相Bを用いてpHをpH 5-7に調整する。粘度を、EDTA四ナトリウムおよび/または塩化ナトリウムを介して調整することができる。好ましい粘度は、5000〜15000 mPasである。
【0615】
別途記述しない限り、用語「P18」とは配列番号3のペプチドを指す。
【0616】
本明細書に引用される文書の開示は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品担体中に、以下の一般式I:
Hel1-HB-Hel2 (I)
(式中、
HBは1〜5個の連続するアミノ酸残基を含み、へリックス破壊剤の機能を有する部分配列モチーフであり、ならびに
Hel1およびHel2は、それぞれ親水性残基およびプロリンとは異なる疎水性残基から本質的に選択される5〜15個の連続するアミノ酸残基を含み、それぞれ、へリックスアームの少なくとも1つが、その軸方向投影図において、疎水性および親水性の半らせんへの不完全な分離を有するα-へリックスアームを形成することができる、同一または異なる部分配列モチーフである)
の少なくとも1個の配列モチーフを含むペプチドを含む化粧品組成物。
【請求項2】
化粧品担体中に、以下の一般式I:
Hel1-HB-Hel2 (I)
(式中、
HBは1〜5個の連続するアミノ酸残基を含み、へリックス破壊剤の機能を有する部分配列モチーフであり、ならびに
Hel1およびHel2は、それぞれ親水性残基およびプロリンとは異なる疎水性残基から本質的に選択される5〜15個の連続するアミノ酸残基を含み、それぞれα-へリックスアームを形成することができる、同一または異なる部分配列モチーフである)
の少なくとも1個の配列モチーフを含むペプチドを含む化粧品組成物であって、該ペプチドが、それぞれCD分光分析により決定された、50%(v/v)トリフルオロ酢酸、pH 7.0中で約25〜98%、または30 mM SDS、pH 7.0中で約10〜70%のα-へリックス値(%)を有する、前記化粧品組成物。
【請求項3】
化粧品担体中に、配列番号1:
X1X2KX3X4X5KIPX10KFX6X7X8AX9KF (配列番号1)
(式中、
X10はペプチド結合または1もしくは2個の任意の塩基性もしくは疎水性アミノ酸残基または1もしくは2個のプロリン残基であり、
X1〜X9は任意の塩基性アミノ酸残基またはプロリンとは異なる疎水性アミノ酸残基であり、
反復配列モチーフは同一であるか、または異なっていてもよい)
に記載の配列または反復配列モチーフを有する少なくとも1個のペプチド、ならびに/またはその突然変異体もしくは誘導体を含む化粧品組成物。
【請求項4】
配列番号2:
X1X2KX3X4X5KIPX11X12KFX6X7X8AX9KF (配列番号2)
(式中、
X1はリジン、アルギニンまたはフェニルアラニンであり、
X2はリジンまたはトリプトファンであり、
X3はロイシンまたはリジンであり、
X4はフェニルアラニンまたはロイシンであり、
X5はロイシンまたはリジンであり、
X6はロイシンまたはリジンであり、
X7はヒスチジンまたはリジンであり、
X8はアラニン、ロイシン、バリンまたはセリンであり、
X9はロイシンまたはリジンであり、
X11はプロリンまたは化学結合であり、および
X12はプロリンまたは化学結合であり、
反復配列モチーフは同一であるか、または異なっている)
に記載の配列または反復配列モチーフを有する少なくとも1個のペプチド、ならびに/またはその突然変異体もしくは誘導体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
配列番号3:
KWKLFKKIPKFLHLAKKF (配列番号3)
に記載の配列または反復配列モチーフを有するペプチド、ならびに/またはその突然変異体もしくは誘導体を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
一般式Iまたは配列番号1、2もしくは3に記載の複数のペプチドまたはその変異体もしくは誘導体を、リンカー基を介して一緒にペプチド結合させる、反復配列モチーフを有するペプチドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
リンカーが、好ましくはアラニン、グリシン、トレオニンおよびセリンから選択される、1〜10個の連続する同一の、または異なるアミノ酸残基を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ペプチドのC末端カルボキシル基がアミド化された、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
標準的な条件下で、約1500〜0.1μMのマラセジア・フルフルに対する最小阻害濃度を示す、上記で定義された少なくとも1個のペプチドを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の化粧用補助剤または活性成分と、請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種のペプチドとの融合産物を含む組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のさらなる化粧用または医薬用活性成分をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の抗炎症活性成分をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
望ましくない細菌の増殖および/または活性を阻害するための抗微生物活性成分をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
皮脂調節活性成分をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ペプチドが、最終組成物の総重量に基づいて、わずかに0.0001〜50重量%で存在する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
フケ、特に、アカの治療もしくは予防のための化粧品組成物、または前記ペプチドが保存剤として存在する化粧品組成物中での使用のための、必要に応じて、少なくとも1種のさらなる抗菌剤と組合わせた、請求項1〜9のいずれか1項の定義に記載のペプチドまたは請求項10に記載の融合ポリペプチド。
【請求項17】
前記ペプチドを、脂溶性菌類、特に、マラセジア種、特に、マラセジア・フルフルなどの増殖および/または活性を阻害するのに用いる、請求項16に記載のペプチドまたは融合ポリペプチド。
【請求項18】
天然皮膚生物が、フケ防止治療の間にその増殖および/または活性を本質的に阻害されない、請求項16および17のいずれか1項に記載のペプチドまたは融合ポリペプチド。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか1項の定義に記載のペプチドを、少なくとも1種の通常の化粧品補助剤および、必要に応じて、さらなる化粧用または医薬用活性成分と一緒に製剤化して、所望の投与形態を得る、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化粧品組成物を製造する方法。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項22】
ストリンジェントな条件下で請求項21に記載の核酸とハイブリダイズする相補核酸。
【請求項23】
ストリンジェントな条件下でプローブとして請求項22に記載の相補核酸を用いて、核酸含有サンプルを、該プローブを用いてハイブリダイズする配列についてスクリーニングする、フケ防止ペプチドのスクリーニング方法。
【請求項24】
前記ペプチド、および必要に応じて、存在するさらなる成分が、リポソーム、ゼオライト、シクロデキストリン、ポリエチレンイミンに基づくベクター系と結合する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチドを放出させるための分散系。

【公表番号】特表2011−508728(P2011−508728A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538479(P2010−538479)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010912
【国際公開番号】WO2009/080306
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】