説明

ポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)

本発明は、式(I)[式中、Rは、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;Rは、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;Xは、N、CF又はCHであり;Lは、−NR−、−NHC(R−、−O−、−OC(R−、−CR4’−であり;Rは、水素又は低級アルキルであり;R/R4’は、互いに独立に、水素又は低級アルキルであり;cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;nは、1、2又は3である]で示されるフェニルエチニル誘導体、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体に関する。今や驚くべきことに、一般式(I)で示される化合物が代謝調節型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)のポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)であることが見出されている。それらは、統合失調症又は認知症の処置のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
Lは、−NR−、−NHC(R−、−O−、−OC(R−、−CR4’−であり;
は、水素又は低級アルキルであり;
/R4’は、互いに独立に、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示されるフェニルエチニル誘導体、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体に関する。
【0002】
今や驚くべきことに、一般式(I)で示される化合物が代謝調節型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)のポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)であることが見出されている。
【0003】
中枢神経系(CNS)において、刺激の伝達は、ニューロンによって送出される神経伝達物質と、神経受容体との相互作用によって起こる。
【0004】
グルタミン酸は、脳における主要な興奮性神経伝達物質であり、様々な中枢神経系(CNS)機能において独自の役割を果たす。グルタミン酸依存性刺激受容体は、2つの主要なグループに分けられる。第1の主要なグループ、すなわちイオンチャネル型受容体は、リガンド制御型イオンチャネルを形成する。代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)は、第2の主要なグループに属し、更にGタンパク質共役型受容体のファミリーに属する。
【0005】
現在、これらmGluRの8つの異なるメンバーが公知であり、これらの一部はサブタイプまでも有している。それらの配列相同性、シグナル伝達機構及びアゴニスト選択性にしたがって、これらの8つの受容体は3つのサブグループに細分することができる:mGluR1及びmGluR5は、グループIに属し、mGluR2及びmGluR3は、グループIIに属し、並びにmGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8は、グループIIIに属する。
【0006】
第1グループに属する代謝調節型グルタミン酸受容体のリガンドは、精神病、癲癇、統合失調症、アルツハイマー病、認知障害及び記憶障害のような急性及び/又は慢性神経障害、並びに慢性及び急性疼痛の治療又は予防のために使用することができる。
【0007】
これに関連して他の治療可能な適応症は、バイパス手術又は移植に起因する制限された脳機能、脳への血液供給低下、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠に起因する低酸素症、心停止及び低血糖である。更に処置可能な適応症は、虚血、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、眼損傷、網膜症、特発性パーキンソニズム又は薬剤に起因するパーキンソニズム、並びに、例えば筋痙縮、痙攣、片頭痛、尿失禁、ニコチン中毒、アヘン中毒、不安症、嘔吐、ジスキネジア、及び鬱病のようなグルタミン酸欠損機能に至る病状である。
【0008】
mGluR5が全部又は一部介在する障害は、例えば、アルツハイマー病、老年性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症のような神経系の急性、外傷性及び慢性の変性過程;統合失調症及び不安症のような精神疾患、鬱病、疼痛及び薬物依存症である(Expert Opin. Ther. Patents (2002), 12, (12))。
【0009】
選択的モジュレータを開発するための新たな道は、高度に保存されているオルソステリック結合部位とは異なる部位に結合することによって受容体を調節する、アロステリック機構を通じて作用する化合物を同定することである。mGluR5のポジティブアロステリックモジュレータは、この魅力的な選択肢を提供する新規な医薬実体として最近になって出現した。ポジティブアロステリックモジュレータは、例えば、WO2008/151184, WO2006/048771, WO2006/129199及びWO2005/044797に、並びにMolecular Pharmacology, 40, 333 - 336, 1991; The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol 313, No. 1, 199-206, 2005に記載されている。
【0010】
ポジティブアロステリックモジュレータは、それ自身によって受容体を直接活性化しないが、しかし、アゴニスト刺激応答を著しく増強し、効力及び最大の効能を増大させる化合物である。これらの化合物の結合は、その細胞外N末端結合部位においてグルタミン酸結合部位アゴニストの親和性を増大させる。したがってポジティブアロステリック調節は、適切な生理学的受容体活性化を増強するための魅力的な機構である。mGluR5受容体に対する選択的ポジティブアロステリックモジュレータが不足している。従来のmGluR5受容体モジュレータは、典型的には、十分な水溶解度が欠如し、低い経口バイオアベイラビリティを呈している。したがって、これらの欠点を克服し、mGluR5受容体に対して選択的ポジティブアロステリックモジュレータを効果的に提供する化合物の必要性が依然として存在する。
【0011】
式(I)の化合物は、有益な治療特性を有することにより際立っている。それらは、mGluR5受容体に対するポジティブアロステリックモジュレータに関する障害の治療又は予防において使用することができる。
【0012】
ポジティブアロステリックモジュレータである化合物にとって最も好ましい適応症は、統合失調症及び認知症である。
【0013】
本発明は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩、薬学的に活性な物質としてのこれらの本化合物、その製造方法、並びにmGluR5受容体に対するポジティブアロステリックモジュレータに関連する障害(例えば、統合失調症、結節性硬化症及び認知症)の治療又は予防における使用、そして式(I)の化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0014】
本明細書で使用する一般的用語の下記の定義は、当該用語が単独で又は組み合されて現れるかにかかわらず、適用される。
【0015】
本明細書で使用されるように、用語「低級アルキル」とは、炭素原子1〜4個を有する、直鎖状又は分岐状炭素鎖を含む、飽和、すなわち脂肪族炭化水素基を表わす。「アルキル」の例は、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルである。
【0016】
用語「アルコキシ」は、基−O−R’(ここで、R’は、先に定義されたとおりの低級アルキルである)を表わす。
【0017】
用語「エチニル」は、基−C≡C−を表わす。
【0018】
用語「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」は、先に定義されたとおりの低級アルキル基を表わし、ここで、少なくとも1個の水素原子は、ハロゲンにより置き換えられている。
【0019】
用語「ヒドロキシにより置換されている低級アルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がOHにより置き換えられている、先に定義されたとおりの低級アルキル基を表わす。例は、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル、特にヒドロキシメチルである。
【0020】
用語、シクロアルキルは、炭素環原子3〜7個を含有する飽和炭素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表わす。
【0021】
用語、ヘテロシクロアルキルは、シクロアルキルに関して先に記載されたとおりの飽和4、5又は6員の炭素環を表わし、ここで、1個以上の炭素原子は、N、O又はSより選択されるヘテロ原子(好ましいヘテロ原子は、N又はOである)により置き換えられている。かかる環に関する例は、テトラヒドロピラン−2,3もしくは4−イル、オキセタン−3−イル、オキサゾリジニル、ピロリジニル、1,3−オキサジナニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はモルホリニルである。少なくとも1個の環原子がNである場合、下記式:
【化2】


で示されるヘテロシクリル基(モルホリン−3−オン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、[1,3]オキサジナン−2−オン、イミダゾリン−2−オン又はピリミジン−2−オンからなる群より選択される)が、好ましい。
【0022】
用語「薬学的に許容しうる塩」又は「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0023】
本発明の実施態様は、式(IA):
【化3】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0024】
本発明の更なる実施態様は、式(IA−1):
【化4】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0025】
本発明の実施態様は、式(IA−2):
【化5】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される更なる化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0026】
本発明の実施態様は、式(IA−3):
【化6】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される更なる化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0027】
本発明の実施態様は、式(IB):
【化7】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0028】
本発明の実施態様は、式(IC):
【化8】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
/R4’は、互いに独立に、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0029】
本発明の実施態様は、式(ID):
【化9】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0030】
本発明の実施態様は、式(IE):
【化10】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0031】
本発明の更なる実施態様は、式(IF):
【化11】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
Lは、−NR−、−NHC(R−、−O−、−OC(R−、−CR4'−であり;
下記式:
【化12】


で示される基は、モルホリン−3−オン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、[1,3]オキサジナン−2−オン、イミダゾリン−2−オン又はピリミジン−2−オンからなる群より選択される5もしくは6員ヘテロシクロアルキルであり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0032】
本発明の実施態様は、Lが、−NR−であり、そしてXが、Nである、式(I)の化合物、例えば、式(IA−1)により包含される下記化合物:
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
rac−(2,2−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
rac−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
(2,6−ジメトキシ−シクロヘキシル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの異性体混合物
trans−[4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−メタノール
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノールのcisとtransの混合物
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
シクロヘキシル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン、
2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール、又は
(1S,4S又は1R,4R)−2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノールである。
【0033】
この群からの更に好ましい化合物は、式(IA−2)により包含される、Lが、−NR−であり、そしてXが、CHである、式(I)の化合物、例えば、下記化合物:
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン、又は
(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミンである。
【0034】
本発明の更なる実施態様は、式(IB)により包含される、式(I)[式中、Lは、−O−であり、そしてXは、Nである]の化合物、例えば、下記化合物:
rac−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール、又は
trans−[3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロブチル]−メタノールである。
【0035】
本発明の更なる実施態様は、式(IC)により包含される、式(I)[式中、Lは、−CR4’−であり、そしてXは、CHである]の化合物、例えば、下記化合物:
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−フェニル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン、又は
rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オンである。
【0036】
本発明の更なる実施態様は、式(IC)により包含される、式(I)[式中、Lは、−CR4’−であり、そしてXは、Nである]の化合物、例えば、下記化合物:
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである。
【0037】
本発明の更なる実施態様は、式(ID)により包含される、式(I)[式中、Lは、−OC(R−であり、そしてXは、Nである]の化合物、例えば、下記化合物:
2−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−5−フェニルエチニル−ピリミジンである。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、式(IE)により包含される、式(I)[式中、Lは、NHC(R−であり、そしてXは、Nである]の化合物、例えば、下記化合物:
(3−メチル−オキセタン−3−イルメチル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン、又は
メチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミンである。
【0039】
本発明の更なる実施態様は、式(IE)により包含される、式(I)[式中、Lは、−NHC(R−であり、そしてXは、CHである]の化合物、例えば、下記化合物:
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである。
【0040】
本発明の更なる実施態様は、式(IF)[式中、ヘテロシクロアルキルは、下記式:
【化13】


で示される]の化合物、例えば、下記化合物:
4−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−モルホリン−3−オン
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
4,4−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−[1,3]オキサジナン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−フェニル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
rac−3−メチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン
rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オン、又は
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである。
【0041】
本発明の実施態様は、式(I’):
【化14】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、=O、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ、S(O)−低級アルキル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N又はCHであり;
Lは、−NH−、−NHC(R−、−O−、−CHR−又は−S(O)−であり;
は、水素又は低級アルキルであり;
は、水素、ヒドロキシ又は低級アルコキシであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0042】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の化合物の合成を、以下のスキーム1〜8に示す。反応及び得られた生成物の精製を実施するために必要な技術は、当業者に公知である。以下のプロセスの説明に使用する置換基及び指標は、本明細書で先に示した意味を有する。
【0043】
式(I)の化合物は、以下で示す方法によって、実施例で示す方法によって、又は類似方法によって、製造することができる。個々の反応工程に対する適切な反応条件は、当業者にとって公知である。反応順序は、スキームに示された反応順序に限定されないが、出発物質及びそれぞれの反応性に依存して、反応工程の順序は、自由に変更することができる。出発物質は、市販のものであるか、或いは以下に示した方法に類似する方法によって、説明もしくは実施例に引用した参考文献に記載されている方法によって、又は当技術分野で公知の方法によって調製することができるかのいずれかである。
【0044】
式(I)の本発明の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、当技術分野において公知の方法によって、例えば、以下に記載した変法によって調製することができ、該方法は、
a) 式(5):
【化15】


で示される化合物を、式(6):
【化16】


で示される適切なアミンと、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IA):
【化17】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
b) 式(8):
【化18】


で示される化合物を、式(9):
【化19】


で示される化合物で還元的アミノ化をして、式(IA):
【化20】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
c)a) 式(11):
【化21】


で示される化合物を、式(2):
【化22】


で示される適切なフェニルアセチレン化合物と、ビス−(tpp)−Pd(II)Cl、CuI、並びにトリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IA−3):
【化23】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
d)a) 式(5):
【化24】


で示される化合物を、式(12):
【化25】


で示される適切なアミンと、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IE):
【化26】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
e) 式(5):
【化27】


で示される化合物を、式(13):
【化28】


で示される適切な化合物と、CsCO及びジオキサンの存在下、反応させて、式(IB):
【化29】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
f) 式(5):
【化30】


で示される化合物を、式(14):
【化31】


で示される適切な化合物と、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(ID):
【化32】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
g) 式(16):
【化33】


で示される化合物を、式(17):
【化34】


で示される適切な化合物と、MeSOClの存在下、反応させて、式(IC):
【化35】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む。
【0045】
式(I)の化合物の調製は、スキーム1〜8及び実施例1〜44により詳細に更に記載されている。
【0046】
【化36】

【0047】
式(IA)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)と5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン(3)との薗頭カップリングにより、対応するメタンスルファニル誘導体(4)を生成して、得ることができる。ジクロロメタンのような溶媒中、mCPBAのような酸化剤でチオエーテル化合物の酸化により、対応するスルホン誘導体(5)を生成する。トリエチルアミンのような塩基の存在下、THFのような溶媒中、スルホン誘導体と適切に置換されたアミン(6)との反応により、所望の式(IA)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを生成する。
【0048】
【化37】

【0049】
式(IA)の(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミンは、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)とアミン(7)との薗頭カップリングにより、対応する5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン誘導体(8)を生成して、得ることができる。2−ピコリンボランのような還元剤を用いて、メタノール:酢酸(10:1 v/v)のような溶媒混合物中、5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン誘導体の、適切に置換されたケトン(9)での還元的アミノ化により、所望の式(IA)の(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミンを生成する。
【0050】
【化38】

【0051】
式(IA−3)の(5−フェニルエチニル−3−フルオロピリジン−2−イル)−アミンは、CsCOのような塩基の存在下、ジオキサンのような溶媒中、2,3−ジフルオロ−5−ヨードピリジンと適切に置換されたアミン(6)との反応により、所望の(5−ヨード−3−フルオロピリジン−2−イル)−アミン(11)を生成して、得ることができる。適切に置換されたフェニルアセチレン(2)との薗頭カップリングにより、所望の式(IA−3)の(5−フェニルエチニル−3−フルオロピリジン−2−イル)−アミンを生成する。
【0052】
【化39】

【0053】
式(IE)(X=N)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)と5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン(3)との薗頭カップリングにより、対応するメタンスルファニル誘導体(4)を生成して、得ることができる。mCPBAのような酸化剤を用いて、ジクロロメタンのような溶媒中、チオエーテル化合物の酸化により、対応するスルホン誘導体(5)を生成する。トリエチルアミンのような塩基の存在下、THFのような溶媒中、スルホン誘導体と適切に置換されたアミン(12)との反応により、所望の式(IE)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを生成する。
【0054】
【化40】

【0055】
式(IB)(X=−N=又は−CH=)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルオキシ)−誘導体は、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)と5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン又はピリジン(3)との薗頭カップリングにより、対応するメタンスルファニル誘導体(4)を生成して、得ることができる。mCPBAのような酸化剤を用いて、ジクロロメタンのような溶媒中、チオエーテル化合物の酸化により、対応するスルホン誘導体(5)を生成する。CsCOのような塩基の存在下、ジオキサンのような溶媒中、スルホン誘導体と適切に置換されたアルコール(13)との反応により、所望の式(IB)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルオキシ)−誘導体を生成する。
【0056】
【化41】

【0057】
式(ID)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルオキシ)−誘導体は、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)と5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン又はピリジン(3)との薗頭カップリングにより、対応するメタンスルファニル誘導体(4)を生成して、得ることができる。mCPBAのような酸化剤を用いて、ジクロロメタンのような溶媒中、チオエーテル化合物の酸化により、対応するスルホン誘導体(5)を生成する。CsCOのような塩基の存在下、ジオキサンのような溶媒中、スルホン誘導体と適切に置換されたアルコール(14)との反応により、所望の式(ID)の(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルオキシ)−誘導体を生成する。
【0058】
【化42】

【0059】
式(IC)の(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アルコール誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アルコール誘導体は、適切に置換されたフェニルアセチレン(2)と対応する(5−ブロモ−2−ピリジン−2−イル)−アルコール又は(5−ブロモ−2−ピリミジン−2−イル)−アルコール(15)との薗頭カップリングにより、対応するアルコール誘導体(16)を生成して、得ることができる。トリエチルアミンのような塩基の存在下、ジクロロメタンのような溶媒中、対応するメタンスルホニルエステルへの、アルコール(16)とメタンスルホニルクロリドとの反応;これに続く、適切に置換されたラクタム、複素環式ウレア又は複素環式カルバマート(17)(これは、DMFのような溶媒中、水素化ナトリウムですでに脱プロトン化されている)とのカップリング;により、所望の式(IC)の(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アルコール誘導体又は(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アルコール誘導体を生成する。
【0060】
【化43】

【0061】
式(IA)(式中、Rは、低級アルキルである)の第三級(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン又は(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、DMFのような溶媒中、水素化ナトリウムのような強塩基で、適切に置換された第二級アミン(IA)の脱プロトン化、続く、対応するハロゲン化アルキルでのアルキル化により得られ、所望の式(IA)の第三級(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン又は(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを生成する。
【0062】
好ましくは、本明細書において記載されている式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩を、精神病、癲癇、統合失調症、アルツハイマー病、認知障害及び記憶欠損、慢性及び急性疼痛、バイパス手術又は移植に起因する脳機能の制限、脳への血液供給低下、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠に起因する低酸素症、心停止及び低血糖症、虚血、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、眼損傷、網膜症、特発性パーキンソニズム又は薬剤に起因するパーキンソニズム、筋痙攣、痙攣、片頭痛、尿失禁、消化管逆流障害、薬物又は疾患が誘発した肝損傷又は肝不全、脆弱X症候群、ダウン症候群、自閉症、ニコチン中毒、アヘン中毒、不安症、嘔吐、ジスキネジア、摂食障害(特に過食症又は神経性食欲不振症)、及び鬱病の治療又は予防において、特に急性及び/又は慢性神経障害、不安症の治療及び予防のために、慢性及び急性疼痛、尿失禁及び肥満の治療のために使用する。
【0063】
好ましい適応症は、統合失調症及び認知障害である。
【0064】
本発明は更に、医薬の製造のための、好ましくは上記の障害の治療及び予防のための、本明細書において記載されている式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩の使用に関する。
【0065】
生物学的アッセイ及びデータ:
細胞内Ca2+動員アッセイ
ヒトmGlu5a受容体をコードするcDNAを安定的にトランスフェクトされたモノクローナルHEK−293細胞株を、産生した;mGlu5ポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)を用いた試験のために、低受容体発現レベル及び低恒常的受容体活性を有する細胞株を選択して、アゴニスト活性対PAM活性の差別化を可能にした。標準プロトコル(Freshney, 2000)に従って、高グルコースを含み、1mM グルタミン、10%(vol/vol)加熱不活性化子ウシ血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、50μg/mL ハイグロマイシン及び15μg/mL ブラストサイジンを補充したダルベッコ変法イーグル培地中で、細胞を培養した(全ての細胞培養試薬及び抗生物質は、Invitrogen, Basel, Switzerlandより)。
【0066】
試験の約24時間前、5×10細胞/ウェルを、ポリ−D−リシンのコーティング処理した黒色/透明底の96−ウエルプレートに播種した。細胞に、ローディング緩衝液(1×HBSS、20mM HEPES)中の2.5μM Fluo−4AMを、37℃で1時間負荷し、ローディング緩衝液で5回洗浄した。細胞を、Functional Drug Screening System 7000 (Hamamatsu, Paris, France)に移し、11回の半対数の段階希釈法で得た試験化合物を37℃で加え、オンラインで蛍光の記録を取りながら、細胞を10〜30分間インキュベートした。この予備インキュベーション工程に続き、オンラインで蛍光の記録を取りながら、アゴニストのL−グルタミン酸をEC20に相当する濃度(典型的には、およそ80μM)で細胞に加えた;細胞の応答性における日々の変化を報告するために、グルタミン酸のEC20は、グルタミン酸の総用量反応曲線の記録によって、各試験の直前に決定した。
【0067】
応答は、蛍光増加ピークから基底値(すなわち、L−グルタミン酸の添加なしの蛍光)を差し引いたものとして測定し、L−グルタミン酸の飽和濃度で得た最大刺激作用に対して基準化した。グラフは、XLfit、つまりLevenburg Marquardtアルゴリズムを使用するデータを反復的にプロットする曲線当て嵌めプログラムを使用して、%最大刺激でプロットした。使用するシングルサイト競合分析式は、y=A+((B−A)/(1+((x/C)D)))[式中、yは、%最大刺激作用であり、Aは、最小yであり、Bは、最大yであり、Cは、EC50であり、xは、競合化合物の濃度のlog10であり、そしてDは、曲線の傾き(Hill係数)である]であった。これらの曲線から、EC50(半数最大刺激が達成された濃度)、Hill係数、及びL−グルタミン酸の飽和濃度で得た最大刺激作用の最大応答(%表示)を計算した。
【0068】
PAM試験化合物での予備インキューべションの間に得たポジティブシグナル(すなわち、L−グルタミン酸のEC20濃度の適用前)は、アゴニスト活性を表わしており、かかるシグナルの非存在はアゴニスト活性の欠如を示していた。EC20濃度のL−グルタミン酸の添加後で観察されたシグナルの低下は、試験化合物の阻害活性を表わしていた。
【0069】
以下の表において、EC50<1000nMを有する好ましい化合物の対応する結果を示す。
【表1】



【0070】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0071】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである;しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースなどである。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などのような佐剤は、式(I)の化合物の水溶性塩の水性注射用液剤に使用することができるが、原則として必要ではない。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオールなどである。
【0072】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、他の治療上価値のある物質も更に含有することができる。
【0073】
前述のとおり、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩及び治療上不活性な賦形剤を含有する医薬も本発明の目的であり、1種以上の式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩と、所望により、1種以上の他の治療上価値のある物質とを、1種以上の治療上不活性な担体と共にガレヌス製剤の投与形態にすることを含む、かかる医薬の製造方法も本発明の目的である。
【0074】
更に前述のとおり、上述の疾患の予防及び/又は治療において有用な医薬の製造のための式(I)の化合物の使用も本発明の目的である。
【0075】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然、それぞれの特定の症例における個別の要求に適合される。一般に、経口投与又は非経口投与のための有効用量は、0.01〜20mg/kg/日であり、0.1〜10mg/kg/日の用量が、記載された適応症全てにとって好ましい。したがって、体重70kgの成人の場合の1日投与量は、1日当たり0.7〜1400mg、好ましくは1日当たり7〜700mgである。
【0076】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製:
実施例I
下記の成分を含有する錠剤を、常法により製造する:
mg/錠
活性成分 100
粉末乳糖 95
ホワイトトウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリドン 8
Naカルボキシメチルデンプン 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
【0077】
実験部:
実施例1
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化44】

【0078】
工程1: 2−メチルスルファニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン
【化45】


二塩化ビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(120mg、0.16mmol)を、THF 50mLに溶解し、5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン(840mg、4.1mmol)及びフェニルアセチレン(410μL、4.1mmol)を室温で加えた。トリエチルアミン(1.36mL、12.3mmol)、トリフェニルホスフィン(28mg、0.12mmol)及びヨウ化銅(I)(19mg、0.08mmol)を加え、混合物を65℃で3時間撹拌した。反応混合物を冷却し、飽和NaHCO溶液で一回、そして酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル 100:0→50:50)により精製した。所望の化合物を明黄色の固体(400mg、44%)として得た。MS:m/e=227.3(M+H)。
【0079】
工程2: 2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン
【化46】


2−メチルスルファニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(360mg、1.60mmol)を、ジクロロメタン20mLに溶解し、3−クロロ過安息香酸(870mg、3.50mmol)を数回に分けて0〜5℃で加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。飽和NaHCO溶液を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製した。所望の化合物を、白色の固体(400mg、97%)として得た。MS:m/e=259.2(M+H)。
【0080】
工程3: シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(100mg、3.11mmol)、シクロペンチルアミン(80μL、6.22mmol)及びEtN(110μL、6.22mmol)を、THF 1mLに懸濁し、65℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗物質をシリカゲルカラムに直接ロードし、そして溶離(ヘプタン:酢酸エチル 100:0→0:100)するフラッシュクロマトグラフィーにより、残留物を精製した。所望の化合物を白色の固体(85mg、83%)として得た。MS:m/e=264.2(M+H)。
【0081】
実施例2
(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
【化47】


標記化合物(MS:m/e=280.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びテトラヒドロ−ピラン−4−イルアミンから調製することができた。
【0082】
実施例3
rac−(2,2−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化48】


標記化合物(MS:m/e=308.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びrac−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミンから調製することができた。
【0083】
実施例4
rac−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化49】


標記化合物(MS:m/e=292.1(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びrac−(7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)アミン(特許EP 1958666に記載の文献に従って調製することができる)から調製することができた。
【0084】
実施例5
(2,6−ジメトキシ−シクロヘキシル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの異性体混合物
【化50】


標記化合物(MS:m/e=338.4(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び2,6−ジメトキシ−シクロヘキシルアミンの異性体混合物から調製することができた。
【0085】
実施例6
trans−[4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−メタノール
【化51】

【0086】
工程1: trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
標記化合物(MS:m/e=336.4(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びtrans−4−アミノ−シクロヘキシルカルボン酸メチルエステル塩酸塩から調製することができた。
【0087】
工程2: trans−[4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−メタノール
THF 10mL中のLiAlH(17mg、0.44mmol)の懸濁液に、THF 5mL中のtrans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(40mg、0.12mmol)の溶液を、0〜5℃で15分以内に加えた。反応混合物を0〜5℃で30分間撹拌した。飽和NaHCO溶液及びブラインを反応混合物に加え、これをジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル 2:1)により精製した。所望の化合物を、明黄色の固体(29mg、81%)として得た。MS:m/e=308.5(M+H)。
【0088】
実施例7
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化52】


標記化合物(MS:m/e=294.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びtrans−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩から調製することができた。
【0089】
実施例8
cis−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化53】


標記化合物(MS:m/e=294.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びcis−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩から調製することができた。
【0090】
実施例9
trans−(4−メトキシ−シクロヘキシル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化54】


標記化合物(MS:m/e=308.5(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びtrans−4−メトキシシクロヘキサンアミン塩酸塩から調製することができた。
【0091】
実施例10
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノールのcisとtransの混合物
【化55】


標記化合物(MS:m/e=294.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び2−アミノシクロヘキサノールのcisとtransの混合物から調製することができた。
【0092】
実施例11
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
【化56】


標記化合物(MS:m/e=280.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び3−アミノシクロペンタノールのcisとtransの混合物から調製することができた。
【0093】
実施例12
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
【化57】


標記化合物(MS:m/e=280.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び2−アミノシクロペンタノールのcisとtransの混合物から調製することができた。
【0094】
実施例13
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン
【化58】

【0095】
工程1: 5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン
【化59】


二塩化ビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(320mg、0.45mmol)を、THF 50mLに溶解し、2−アミノ−5−ヨードピリジン(2.0g、9.1mmol)及びフェニルアセチレン(2.0mL、18.2mmol)を室温で加えた。EtN(3.8mL、27.3mmol)、トリフェニルホスフィン(72mg、0.27mmol)及びヨウ化銅(I)(52mg、0.27mmol)を加え、混合物を65℃で2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、飽和NaHCO溶液で1回、そして酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をジクロロメタン5mLに懸濁し、15分間撹拌し、濾過した。結晶を少量のジクロロメタンで洗浄し、50℃及び<20mbarで1時間乾燥させた。所望の化合物を明黄色の固体(1.1g、63%)として得た。MS:m/e=195.3(M+H)。
【0096】
工程2: シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン
5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン(100mg、0.515mmol)、シクロペンタノン(77mg、0.927mmol)及び2−ピコリンボラン(85mg、0.927mmol)を、MeOH:AcOH 5.5mL(10:1 v/v)に溶解し、40℃で48時間撹拌した。次にMeOHを蒸発させ、残留物を10%HCl 6mLでpH1に酸性化した。得られた白色の懸濁液を2時間撹拌した。混合物をジクロロメタン及びブラインで抽出した。濃NaOHの添加により水層のpHを12に調整し、混合物をジクロロメタンで2回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 100:0→50:50の勾配)により精製した。所望の化合物を明黄色の固体(70mg、53%)として得た。MS:m/e=263.3(M+H)。
【0097】
実施例14
(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
【化60】


標記化合物(MS:m/e=279.3(M+H))を、実施例13、工程2の一般的方法に従って、5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン(実施例13、工程1)及びテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンから調製することができた。
【0098】
実施例15
シクロヘキシル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化61】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=278.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びシクロヘキサンアミンから調製することができた。
【0099】
実施例16
2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化62】

【0100】
工程1: 4−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−シクロヘキサノン
【化63】


標記化合物を、文献Journal of Medicinal Chemistry, 2006, Vol. 49, No. 11中の実施例7に従って調製することができた。
【0101】
工程2: 4−ベンジルアミノ−2,2−ジメチル−シクロヘキサノール
【化64】


4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルシクロヘキサノン(0.43g、3.0mmol)(実施例16、工程1)を、ジクロロメタン(15mL)に溶解し、混合物を0〜5℃に冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリム(640mg、3.0mmol、1.0当量)、ベンジルアミン(400μL、3.63mmol、1.2当量)及び酢酸(173μL、3.0mmol、1.0当量)を0℃で加えた。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液で処理し、少量のCHClで2回抽出した。有機層をシリカゲルカラムに直接ロードし、粗物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20g、メタノール/ジクロロメタンの勾配、0:100→10:90)により精製した。所望のdiast. rac 4−ベンジルアミノ−2,2−ジメチル−シクロヘキサノール(420mg、収率60%)を無色の半固体として得た。MS:m/e=234.2(M+H)。
【0102】
工程3: 4−アミノ−2,2−ジメチル−シクロヘキサノール
【化65】


標記化合物(無色の油状物、MS:m/e=144.1(M+H)を、4−ベンジルアミノ−2,2−ジメチル−シクロヘキサノール(実施例16、工程2)から、酢酸エチル中のPd/C(10%)を用いて室温で16時間の水素化により調製することができた。
【0103】
工程4: 2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化66】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=322.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びdiast. rac 4−アミノ−2,2−ジメチル−シクロヘキサノール(実施例16、工程3)から調製することができた。
【0104】
実施例17
(1S,4S又は1R,4R)−2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化67】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=322.2(M+H)を、キラルカラム(Chiralpak AD、溶媒としてヘプタン:イソプロパノール 80:20を用いる)を用いて、2,2−diast. rac ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール(実施例16)の分離により、調製することができた。
【0105】
実施例18
trans−4−(3−フルオロ−5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化68】

【0106】
工程1: trans−4−(3−フルオロ−5−ヨード−ピリジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化69】


2,3−ジフルオロ−5−ヨードピリジン(300mg、1.24mmol)をジオキサン(3mL)に溶解し、trans−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩(227mg、1.49mmol、1.2当量)及びCsCO(1.01g、3.11mmol、2.5当量)を室温で加えた。混合物を100℃で3時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、飽和NaHCO溶液で処理し、少量のCHClで2回抽出した。有機層をシリカゲルカラムに直接ロードし、粗物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20g、酢酸エチル/ヘプタンの勾配、0:100→0:100)により精製した。所望のtrans−4−(3−フルオロ−5−ヨードピリジン−2−イルアミノ)シクロヘキサノール(65mg、収率16%)を白色の固体として得た。MS:m/e=337.1(M+H)。
【0107】
工程2: trans−4−(3−フルオロ−5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
【化70】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=311.2(M+H))を、実施例1、工程1の一般的方法に従って、trans−4−(3−フルオロ−5−ヨードピリジン−2−イルアミノ)シクロヘキサノール(実施例18、工程1)及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0108】
実施例19
trans−(4−メチル−シクロヘキシル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化71】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=292.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び4−メチル−シクロヘキシルアミンから調製することができた。
【0109】
実施例20
(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミン
【化72】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=294.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メタンアミンから調製することができた。
【0110】
実施例21
(3−メチル−オキセタン−3−イルメチル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
【化73】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=280.2(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び(3−メチルオキセタン−3−イル)メタンアミンから調製することができた。
【0111】
実施例22
rac−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール
【化74】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=295.3(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及びシクロヘキサン−1,4−ジオールから、塩基としてCsCO及び溶媒としてジオキサンを、100℃で16時間、用いることにより調製することができた。
【0112】
実施例23
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール
【化75】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=295.1(M+H)を、キラルカラム(Chiralpak AD、溶媒としてヘプタン:イソプロパノール 82:18を用いる)を使用して、rac−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール(実施例22)の分離により、調製することができた。
【0113】
実施例24
2−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−5−フェニルエチニル−ピリミジン
【化76】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=281.1(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び(3−メチル−オキセタン−3−イル)−メタノールから、塩基としてCsCO及び溶媒としてジオキサンを、100℃で16時間、用いることにより調製することができた。
【0114】
実施例25
trans−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシメチル)−シクロブタノール
【化77】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=281.1(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び3−(ヒドロキシメチル)シクロブタノールから、塩基としてCsCO及び溶媒としてジオキサンを、100℃で16時間、用いることにより、そしてキラルカラム(Lux2 Cellulose、溶媒としてヘプタン:イソプロパノール 85:15を用いる)を使用して得られた異性体−混合物の分離により、調製することができた。
【0115】
実施例26
trans−[3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロブチル]−メタノール
【化78】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=281.1(M+H))を、実施例1、工程3の一般的方法に従って、2−メタンスルホニル−5−フェニルエチニル−ピリミジン(実施例1、工程2)及び3−(ヒドロキシメチル)シクロブタノールから、塩基としてCsCO及び溶媒としてジオキサンを、100℃で16時間、用いることにより、そしてキラルカラム(Lux2 Cellulose、溶媒としてヘプタン:イソプロパノール 85:15を用いる)を使用して得られた異性体−混合物の分離により、調製することができた。
【0116】
実施例27
rac−4−(3−フルオロ−5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール
【化79】


標記化合物(黄色の油状物、MS:m/e=312.1(M+H))を、実施例18の一般的方法に従って、2,3−ジフルオロ−5−ヨードピリジン、シクロヘキサン−1,4−ジオール及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0117】
実施例28
2−シクロへキシルオキシ−5−フェニルエチニル−ピリジン
【化80】


標記化合物(褐色の油状物、MS:m/e=278.1(M+H))を、実施例18、工程2の一般的方法に従って、2−(シクロへキシルオキシ)−5−ヨードピリジン及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0118】
実施例29
3−フルオロ−2−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−5−フェニルエチニル−ピリジン
【化81】


標記化合物(黄色の固体、MS:m/e=298.3(M+H))を、実施例18の一般的方法に従って、2,3−ジフルオロ−5−ヨードピリジン、(3−メチルオキセタン−3−イル)メタノール及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0119】
実施例30
4−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−モルホリン−3−オン
【化82】

【0120】
工程1: (5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール
【化83】


標記化合物(明褐色の固体、MS:m/e=210.2(M+H))を、実施例1、工程1の一般的方法に従って、(5−ブロモピリジン−2−イル)メタノール及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0121】
工程2: 4−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−モルホリン−3−オン
(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(0.20g、0.96mmol)(実施例31、工程1)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、メタンスルホニルクロリド(75μL、0.96mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(270μL、1.91mmol、2当量)を0〜5℃で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、DMF 2mLに溶解し、モルホリン−3−オン(97mg、0.96mmol、1.0当量)の懸濁液(予め、DMF 2mL中の水素化ナトリウム(60%)(69mg、1.43mmol、1.5当量)で処理した)に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液で処理し、EtOAcで2回抽出した。有機層を水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20g、酢酸エチル/ヘプタンの勾配、0:100→0:100)により精製した。所望の4−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−モルホリン−3−オン(150mg、収率54%)を明褐色の固体として得た。MS:m/e=293.1(M+H)。
【0122】
実施例31
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
【化84】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=279.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及びオキサゾリジン−2−オンから調製することができた。
【0123】
実施例32
1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
【化85】


標記化合物(褐色の油状物、MS:m/e=291.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及びピペリジン−2−オンから調製することができた。
【0124】
実施例33
4,4−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
【化86】


標記化合物(明褐色の油状物、MS:m/e=305.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び4,4−ジメチル−ピロリジン−2−オンから調製することができた。
【0125】
実施例34
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化87】


標記化合物(明褐色の固体、MS:m/e=293.1(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び1,3−オキサジナン−2−オンから調製することができた。
【0126】
実施例35
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
【化88】


標記化合物(明褐色の固体、MS:m/e=293.1(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び1−メチル−イミダゾリジン−2−オンから調製することができた。
【0127】
実施例36
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
【化89】


標記化合物(明黄色の油状物、MS:m/e=305.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び5,5−ジメチル−ピロリジン−2−オンから調製することができた。
【0128】
実施例37
1−フェニル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
【化90】


標記化合物(明黄色の固体、MS:m/e=354.3(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び1−フェニル−イミダゾリジン−2−オンから調製することができた。
【0129】
実施例38
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
【化91】


標記化合物(黄色の油状物、MS:m/e=319.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び5,5−ジメチル−ピペリジン−2−オンから調製することができた。
【0130】
実施例39
rac−3−メチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
【化92】


標記化合物(明黄色の油状物、MS:m/e=291.1(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及びrac−3−メチル−ピロリジン−2−オンから調製することができた。
【0131】
実施例40
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン
【化93】


標記化合物(明黄色の油状物、MS:m/e=306.2(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−メタノール(実施例31、工程1)及び1−メチル−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オンから調製することができた。
【0132】
実施例41
rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オン
【化94】

【0133】
工程1: rac−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エタノール
【化95】


標記化合物(褐色の固体、MS:m/e=224.2(M+H))を、実施例31、工程1の一般的方法に従って、rac−1−(5−ブロモピリジン−2−イル)エタノール及びフェニルアセチレンから調製することができた。
【0134】
工程2: rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オン
【化96】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=293.1(M+H))を、実施例31、工程2の一般的方法に従って、rac−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エタノール(実施例42、工程1)及びオキサゾリジン−2−オンから調製することができた。
【0135】
実施例42
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
【化97】


標記化合物(白色の固体、MS:m/e=280.2(M+H))を、実施例31、工程1及び工程2の一般的方法に従って、(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−メタノール(Synlett(2008), (4), 543-546)、フェニルアセチレン及びオキサゾリジン−2−オンから調製することができた。
【0136】
実施例43
メチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
【化98】


(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン(12mg、43μmol)(実施例2)を、DMF(0.2mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60%)(2mg、52μmol、1.2当量)を室温で加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、ヨードメタン(3μL、52μmol、1.2当量)を加えた。混合物を40℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液で処理し、少量のCHClで2回抽出した。有機層をシリカゲルカラムに直接ロードし、粗物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20g、EtOAc/ヘプタンの勾配、0:100→60:40)により精製した。所望のメチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン(7.4mg、収率59%)を無色の油状物として得た。MS:m/e=294.2(M+H)。
【0137】
実施例44
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
【化99】


標記化合物(無色の油状物、MS:m/e=293.2(M+H))を、実施例44の一般的方法に従って、(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン(実施例14)から調製することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化100】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
Lは、−NR−、−NHC(R−、−O−、−OC(R−、−CR4’−であり;
は、水素又は低級アルキルであり;
/R4’は、互いに独立に、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示されるフェニルエチニル誘導体、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項2】
式(IA):
【化101】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項3】
式(IA−1):
【化102】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項4】
式(IA−2):
【化103】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項5】
式(IA−3):
【化104】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項6】
式(IB):
【化105】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項7】
式(IC):
【化106】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
/R4’は、互いに独立に、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項8】
式(ID):
【化107】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項9】
式(IE):
【化108】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
cycは、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであるか、又は7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルより選択される非芳香族二環式基であり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項10】
式(IF):
【化109】


[式中、
は、水素、ハロゲン、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル、=O、低級アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
Xは、N、CF又はCHであり;
Lは、−NR−、−NHC(R−、−O−、−OC(R−、−CR4'−であり;
下記式:
【化110】


で示される基は、モルホリン−3−オン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、[1,3]オキサジナン−2−オン、イミダゾリン−2−オン又はピリミジン−2−オンからなる群より選択される5もしくは6員ヘテロシクロアルキルであり;
nは、1、2又は3である]で示される、請求項1記載の化合物、或いはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応する鏡像異性体及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体。
【請求項11】
化合物が、下記:
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
rac−(2,2−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
rac−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン
(2,6−ジメトキシ−シクロヘキシル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの異性体混合物
trans−[4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキシル]−メタノール
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノールのcisとtransの混合物
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
2−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロペンタノールのcisとtransの混合物
シクロヘキシル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン、
2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノール、又は
(1S,4S又は1R,4R)−2,2−ジメチル−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−シクロヘキサノールである、
請求項1〜3のいずれか一項記載の式(IA−1)の化合物。
【請求項12】
化合物が、
シクロペンチル−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−アミン、又は
(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミンである、
請求項1、2又は4のいずれか一項記載の式(IA−2)の化合物。
【請求項13】
化合物が、
rac−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール
trans−4−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキサノール、又は
trans−[3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロブチル]−メタノールである、
請求項1又は6のいずれか一項記載の式(IB)の化合物。
【請求項14】
化合物が、
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−フェニル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン、又は
rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オンである、
請求項1又は7のいずれか一項記載の式(IC)の化合物。
【請求項15】
化合物が、3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである、請求項1又は7のいずれか一項記載の式(IC)の化合物。
【請求項16】
化合物が、2−(3−メチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−5−フェニルエチニル−ピリミジンである、請求項1又は8のいずれか一項記載の式(ID)の化合物。
【請求項17】
化合物が、
(3−メチル−オキセタン−3−イルメチル)−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−アミン、又は
メチル−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミンである、
請求項1又は9のいずれか一項記載の式(IE)の化合物。
【請求項18】
化合物が、3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである、請求項1又は9のいずれか一項記載の式(IE)の化合物。
【請求項19】
化合物が、下記:
4−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−モルホリン−3−オン
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オン
1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
4,4−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−[1,3]オキサジナン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−フェニル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2−オン
5,5−ジメチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−2−オン
rac−3−メチル−1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−ピロリジン−2−オン
1−メチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イルメチル)−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン
rac−3−[1−(5−フェニルエチニル−ピリジン−2−イル)−エチル]−オキサゾリジン−2−オン、又は
3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンである、
請求項1又は10のいずれか一項記載の式(IF)の化合物。
【請求項20】
請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法であって、以下の変法:
a) 式(5):
【化111】


で示される化合物を、式(6):
【化112】


で示される適切なアミンと、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IA):
【化113】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
b) 式(8):
【化114】


で示される化合物を、式(9):
【化115】


で示される化合物で還元的アミノ化をして、式(IA):
【化116】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
c)a) 式(11):
【化117】


で示される化合物を、式(2):
【化118】


で示される適切なアミンと、ビス−(tpp)−Pd(II)Cl、CuI、並びにトリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IA−3):
【化119】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
d)a) 式(5):
【化120】


で示される化合物を、式(12):
【化121】


で示される適切なアミンと、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(IE):
【化122】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
e) 式(5):
【化123】


で示される化合物を、式(13):
【化124】


で示される適切な化合物と、CsCO及びジオキサンの存在下、反応させて、式(IB):
【化125】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
f) 式(5):
【化126】


で示される化合物を、式(14):
【化127】


で示される適切な化合物と、トリエチルアミンより選択される塩基及びTHFより選択される溶媒の存在下、反応させて、式(ID):
【化128】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
g) 式(16):
【化129】


で示される化合物を、式(17):
【化130】


で示される適切な化合物と、MeSOClの存在下、反応させて、式(IC):
【化131】


[式中、置換基は、先に記載されている]で示される化合物を生成すること、又は
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む、方法。
【請求項21】
請求項6記載の方法により調製される、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
治療上活性な物質として使用されるための、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物及び治療上不活性な担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
統合失調症又は認知症の処置のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項25】
統合失調症又は認知症の処置用の医薬の製造のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項26】
統合失調症又は認知症の処置のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
統合失調症又は認知症の処置のための方法であって、有効量の請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
本明細書に前述のとおりの発明。

【公表番号】特表2013−508434(P2013−508434A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535759(P2012−535759)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066016
【国際公開番号】WO2011/051201
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】