説明

ポリオレフィン反応器における静電荷を制御するための方法及び装置

気相反応器におけるシーティングを制御するための方法であって、少なくとも一つの気相反応器において少なくとも一つのメタロセン触媒及び少なくとも一つの静電気制御剤を用いてポリオレフィンを製造する工程と、静電気プローブを用いて同伴静電気を測定する工程と、測定した同伴静電気の変化に応じて前記静電気制御剤の濃度を調整する工程とを含む方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、静電気制御剤を用いるオレフィンの重合のための方法に関する。特に、本発明は、メタロセン触媒系を用いる気相重合プロセスにおける静電気のレベルを測定及び制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合技術における主な進歩の一つは、商業的に有益なメタロセンベースの触媒系の開発であった。利点の中でもとりわけ、メタロセン触媒は、狭い分子量分布等のユニークな特性を有するポリオレフィンの製造を可能にする。これらの特性は、ひいては、該ポリマー(ポリマー)を有する製品に、例えばフィルムの高い衝撃強さ及び清澄性等の改善した構造上の性能をもたらす。
【0003】
メタロセン触媒は改善した特徴を有するポリマーをもたらしたが、その一方、それらは、伝統的な重合システムにおいて使用される場合に新しい課題を提示した。一つのそのような領域は、米国特許第5,436,304号及び第5,405,922号に記述されるような流動床反応器にメタロセン触媒が使用される場合の「シーティング(sheeting)(シート化もしくはシート形成)」及び関連する現象「ドルーリング(drooling)(垂れ落ち)」の制御管理にあった。「シーティング」は、反応器の壁に対する溶融した触媒及び樹脂粒子の付着である。「ドルーリング」もしくはドームシーティングは、溶融ポリマーのシートが反応器壁(通常、反応器の拡張区域すなわち「ドーム」における反応器壁)上に生じ、かつ反応器の壁に沿って流れて反応器のベースに蓄積する場合に起こる。ドームシートは、一般に、反応器の格段に高い所、すなわち、ドームの円錐区域上又は反応器の上部における半球形ヘッド上に形成される。
【0004】
シーティングは、長年、商業的気相ポリオレフィン製造反応器における問題であった。該問題は、反応器の壁上におけるポリマーの大きい固体の塊の形成によって特徴付けられる。これらの固体塊もしくはポリマー(該シート)は、最終的に壁から離脱して反応器区域内へと落下し、ここで、それらは流動化を妨げ、製品放出口を塞ぎ、更に洗浄のため反応器の停止を余儀なくさせる。
【0005】
シーティングを制御するための種々の方法が開発されてきた。これらは、シーティングが成長(発生)することが知られている領域における反応器壁付近で静電荷(静電気)を監視すること、及び、静電気レベルが所定範囲外になった場合に静電気制御剤を反応器内へ導入することをしばしば伴う。例えば、米国特許第4,803,251号及び第5,391,657号は、反応器の静電荷を制御するため、流動床反応器において種々の化学添加剤を使用することを開示している。静電荷がマイナスの場合、正電荷発生添加剤が使用され、静電荷がプラスの場合、負電荷発生添加剤が用いられる。反応器における静電荷は、電圧プローブもしくは電極等の静電気電圧インジケータを用いて、シート形成が通常生じる箇所又はその下における反応器壁又はその付近にて測定される。
【0006】
米国特許第4,803,251号及び第5,391,657号は、チーグラー−ナッタ触媒を用いるシーティングプロセスにおいて静電気が重要な役割を果たすことを開示している。触媒及び樹脂粒子における静電荷レベルがある臨界レベルを超えると、静電気力によって該粒子が反応器の接地金属壁に付着するようになる。反応しやすい環境下で壁上に十分長く存在することが許容されると、過剰な温度が粒子溶解及び融解をもたらし、シーツ又はドルールを生み出す。
【0007】
反応器シーティングの第1の記述の一つが米国特許第4,532,311号に与えられる。この‘311特許はまた、流体床の帯電の程度の兆候(表れ/表示)を得るため、反応器静電気プローブ(電圧プローブ)を使用することを教示している。米国特許第4,855,370号では、反応器における静電気のレベルを制御するため、静電気プローブと反応器に対する追加の水(エチレン供給の1〜10ppmの量)とを組み合わせている。この方法は、チーグラー−ナッタ触媒に対して効果的であることが判明したが、メタロセン触媒には有効ではなかった。
【0008】
伝統的なチーグラー−ナッタ触媒もしくはクロムベース触媒等の慣用の触媒系では、流動床の下方部分にシート形成が通常生じる。ドームシートの形成は、チーグラー−ナッタ触媒ではめったに生じない。このため、静電気プローブ又は電圧インジケータは、伝統的に反応器の下方部分に配置されている。例えば、米国特許第5,391,657号は、電圧インジケータは、反応器分配板付近に配置される。米国特許第4,855,370号も参照のこと。該インジケータはまた、反応器壁に近接して配置され、通常該壁から2cm未満である。
【0009】
米国特許第6,548,610号は、ファラデードラムを用いて静電荷を測定すると共に、反応器に、所定範囲内に測定電荷を維持するために必要とされる静電気制御剤を供給することにより、ドームシーティング(又は「ドルーリング」)を防止する方法を記述する。米国特許第6,548,610号はまた、米国特許第6,008,662号、第5,648,581号及び第4,532,311号に記述される静電気プローブ等、慣用の静電気プローブを開示する。米国特許第6,548,610号(に記述される静電気測定の方法ファラデードラム)は、比較的複雑である。他の背景参考文献は、WO99/61485号、WO2005/068507号、EP 0 811 638 A号、EP 1 106 629 A号、及び米国特許出願公開第2002/103072号を含む。
【0010】
上述したように、チーグラー−ナッタ触媒に対して観察される典型的な壁シーティングと対比して、メタロセン触媒の使用は、壁シート及びドームシートの一方又は両方をもたらし得る。メタロセンのシーティング問題を管理するために種々の方法が開発されてきたが、根本原因の解決策はない。何故なら、メタロセン触媒についてのシーティングのメカニズムが突き止められていないからである。
【0011】
メタロセン触媒のシーティング問題の最も困難な側面の一つは、事前の警告が無いことであった。メタロセンのほとんどのシーティングインシデント(シーティングが発生する事態/事象)は、慣用の静電気プローブを含む既知のプロセス器具のいずれによっても事前の兆候無しに発生している。慣用器具でのこの兆候の欠如は、メタロセンを使用する際に生じるシーティング問題に対処してこれを是正する努力に著しい試練を与えている。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5436304号明細書
【特許文献2】米国特許第5405922号明細書
【特許文献3】米国特許第4803251号明細書
【特許文献4】米国特許第5391657号明細書
【特許文献5】米国特許第4532311号明細書
【特許文献6】米国特許第4855370号明細書
【特許文献7】米国特許第6548610号明細書
【特許文献8】米国特許第6008662号明細書
【特許文献9】米国特許第5648581号明細書
【特許文献10】国際公開第99/61485号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2005/068507号パンフレット
【特許文献12】EP 0 811 638 A号
【特許文献13】EP 1 106 629 A号
【特許文献14】米国特許出願公開第2002/103072号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、流動床反応器、特にメタロセン触媒系を使用する流動床反応器における静電荷を特定して制御する効果的な方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一側面において、本発明は、気相反応器におけるシーティングを制御するための方法に関連する。該方法は、少なくとも一つの気相反応器において少なくとも一つのメタロセン触媒及び少なくとも一つの静電気制御剤を用いてポリオレフィンを製造する工程と、静電気プローブを用いて同伴静電気を測定する工程と、測定した同伴静電気の変化に応じて静電気制御剤の濃度を調整する工程とを含む。
【0015】
本発明の他の側面及び利点は、以下の説明及び添付図面によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
一側面において、ここに記述する実施形態は、気相反応器におけるシーティングの発生を低減するために一つ又は複数の静電気プローブを使用することに関する。他の側面において、ここに記述する実施形態は、気相反応器の流動床における静電荷を測定すると共に、測定した電荷に応じて反応器における静電気制御剤の濃度を調整することによって、シーティングの発生を低減するための方法に関する。
【0017】
気相ポリオレフィン反応器におけるシーティングは、流動床、反応器及び再循環(リサイクル)システム(系)における樹脂粒子上に蓄積する電荷である静電気の測定及び制御を伴うプロセスを通じて低減もしくは除去され得る。この静電荷の大部分は、触媒及び細かい樹脂粒子が流体床から同伴(連行)され、反応器再循環システムを通って比較的高速で運ばれる際に形成され得る。ある実施形態において、シーティングの制御は、この静電気を、静電気制御剤の付加によって強制的にプラスの値にすることによって成し遂げられ得る。
【0018】
静電気プローブ:静電気の測定
図1は、ここに記述した反応器静電気を測定するのに有用な静電気プローブ10の一実施形態の概略図を示す。プローブ要素12が金属(例えば炭素鋼もしくはステンレス鋼)ハウジング14内に設けられる。金属ハウジング14はフランジ16と共に、 ユーザーによって指定された長さLを有し得る。フランジ16、ハウジング14及び反応器壁18はグラウンド電位にあり得る。フランジ16は、別のフランジ20を介して、電子機器回路エンクロージャ22と結合し、電子機器回路エンクロージャ22内には反応器静電気を測定するための回路がある。該回路は電流又は電圧を測定し得、この二つの回路は米国特許第6,008,662号に記載されかつ上述したように本質的に等価である。該回路は、電流又は電圧を計器23に対して中継し得る。計器23は、使用する回路に応じて電流メーター又は電圧メーターであり得る。
【0019】
ハウジング14は、反応器壁18における開口24内に適合し、絶縁体26及びプローブ要素12の内側プローブ部分28が反応室30内へと突き出ることを許容する。絶縁体26の周囲には、炭素鋼もしくはステンレス鋼等の金属材料から成る外側プローブシース32が存在し得る。例えば、内側プローブ部分28は固体(中実)金属ロッドであり得、絶縁体26は、部分28周りの管状スリーブであり得、更に、絶縁体26周りの外側シース32は別の管状スリーブであり得る。シース32は、反応器壁18及びハウジング14と同様にグラウンド電位にあり得る。
【0020】
図示のように、静電気プローブ10はフランジ取付け型の器具である。他の実施形態において、静電気プローブ10は、反応器に対しねじで取り付けられるか、又は工業上一般的な他の手段を用いて反応器に取り付けられ得る。
【0021】
静電気プローブ10は、プローブチップ(プローブ先端)28に衝突する粒子の影響(結果)としてプローブチップ28から流れる電流の非常に低いレベルを測定し得る。ここで、上記粒子は触媒粒子又は樹脂粒子であり得る。プローブチップ28からの測定電流は、反応器壁18全体で生じている電荷移動の見積もり(概算)を与える。更に、通過する粒子のイメージ電荷(鏡像電荷)もプローブ10によって記録され得る。これは、粒子がプローブに近付く際及びプローブを去る際に信号の交互(交流)のサインをもたらす。イメージ電荷はまた、反応器床における電荷を表す。
【0022】
プローブチップ28は、電荷流を測定するために器具に取り付けられた反応器壁18の一部分を効果的に代理(表示)し得る。プローブチップ28は、反応器壁18の材料と同様の材料から作成され得る。例えば、炭素鋼は、炭素鋼反応器壁18からの電荷流を測定するプローブチップ28として使用され得る。反応器プローブで測定される典型的な電流レベルは、ある実施形態において0.1〜10ナノアンプであり得る。
【0023】
反応器における静電荷のレベルは、反応器の種々の位置で測定され得る。例えば、反応器における静電荷のレベルは、例えば分配板のわずかな距離上方等の流動床の下方区域に挿入された静電気プローブを用いて測定され得る。この下方床プローブは、流動床内の静電気のレベルである床静電気の測定を与え得る。床静電気の測定は壁シーティングの制御にとって有益であり得る。
【0024】
反応器における静電気のレベルはまた、例えば流動床の上部(頂部)のわずかな距離下方等の流動床の上部付近に位置付けられた静電気プローブを用いて測定され得る。この上方静電気プローブは、流動床の上部もしくはその付近における静電気又は反応器出力ストリームもしくはその付近における静電気である同伴静電気の測定を与え得る。上記反応器出力ストリームは、壁、及び反応器再循環システムにおける他の金属部品に対する同伴された触媒と樹脂微粉間の摩擦接触に起因し得る。同伴静電気の測定は、平均床をより表しかつ静電気制御剤により応じ得る信号を与え得る。同様に、静電気のレベルは、反応器の解放域、反応器の出口ストリーム付近、反応器再循環ストリーム内、又は反応器もしくは反応器システムにおける他の種々の位置にて測定され得る。
【0025】
他の実施形態において、静電気のレベルは、反応器の上方区域及び下方区域の両方で測定され得る。この態様において、反応器内の静電気制御剤の濃度は、一方又は両方の静電気プローブによって与えられた測定の変化に応じて制御され得る。例えば、同伴静電気及び床静電気に対する測定値は、デジタル制御システム(DCS)への入力として用いられ得、ここで、静電気制御剤濃度を制御するために用いられるDCSからの出力は、一つの又は両方の入力を用いる関数(機能)に基づき得る。
【0026】
他の実施形態において、例えば、後述する段階的反応器システムもしくは二つ以上の反応器を使用する反応器システム等では、静電気のレベルは、単一の反応器のみで又は両方の反応器で測定され得る。例えば、一つの反応器が高分子量ポリマー成分を製造しかつ別の反応器が低分子量成分を製造する段階的反応器システムにおいて、該反応器の静電気レベルの制御は、より高い分子量成分がより高い静電気レベルをもたらし得るので、高分子量成分を製造する反応器の静電荷レベルを測定することによって行われ得る。
【0027】
静電気制御剤
ここで用いる静電気制御剤は、流動床反応器内に導入されると、流動床における静電荷に影響を及ぼすか又は該静電荷を(プラスへ、マイナスへ、又はゼロへと)駆動し得る化学組成物である。使用される特定の静電気制御剤は、静電荷の性質によって決められ得、また、静電気制御剤の選択は、製造されるポリマー及び使用される触媒に応じて変わり得る。例えば、静電気制御剤の使用は、ヨーロッパ特許第0229368号及び米国特許第5,283,278号、並びにそれらに引用される参考文献に開示されている。
【0028】
例えば、静電荷がマイナスの場合、正電荷発生化合物等の静電気制御剤が使用され得る。静電荷発生化合物は、例えば、MgO、ZnO、Al23及びCuOを含み得る。加えて、マイナス静電荷を制御するためにアルコール、酸素及び酸化窒素も用いられ得る。例えば、米国特許第4,803,251号及び第4,555,370号を参照のこと。
【0029】
プラス静電荷では、V25、SiO2、TiO2及びFe23等のマイナス静電荷発生無機化学物質が使用され得る。更には、水又は7炭素原子までのケトンが正電荷を低減するために用いられ得る。
【0030】
実施形態のあるクラスにおいて、流動床重合プロセスにて例えばメタロセン触媒等の触媒が使用される際、ステアリン酸アルミニウム等の制御剤も使用され得る。用いられる静電気制御剤は、生産性に悪影響を与えることなく、流動床において正電荷を受けるその機能に対して選択され得る。適切な静電気制御剤は、ジステアリン酸アルミニウム、エトキシル化アミン、及び、Innospec社が商品名「OCTASTAT2000」の下で供給するような帯電防止組成物、ポリスルホンコポリマーとポリマー状ポリアミンと油溶性スルホン酸の混合物を含み得る。
【0031】
上述の制御剤のいずれか、並びに、例えばWO01/44322号において、加熱カルボン酸金属塩下で掲載され、かつそれらの化学物質及び帯電防止剤として挙げられた組成物を含むものとして記載された制御剤が、制御剤として単独で又は組み合わせで使用され得る。例えば、カルボン酸金属塩は、アミン含有制御剤と組み合わされ得る(例えば、カルボン酸金属塩+生成物のKEMAMINE(登録商標)又はATMER(登録商標)族に属する任意の族メンバー)。
【0032】
上記は、本発明の実施に有用な静電気制御剤の単なる例示である。本発明の実施に有用な他の静電気制御剤は当業者には周知である。どの静電気制御剤が使用されるかにかかわらず、反応器内への毒物の導入を避けるため、適切な静電気制御剤の選択に注意を働かすべきである。加えて、選択された実施形態において、正電荷を望ましい範囲内に調整にするために必要な最少量の剤が用いられるべきである。
【0033】
ある実施形態において、反応器に加えられる静電気制御剤は、上記に挙げた静電気制御剤の二つ以上の組合せであり得る。他の実施形態において、静電気制御剤は、溶液又はスラリーの形態で反応器に加えられ得、また、個別の供給ストリームとして反応器に加えられ得、又は、反応器への付加前に他の供給物と組み合わされ得る。例えば、静電気制御剤は、組み合わされた触媒−静電気制御剤混合物を反応器へ供給する前に触媒又は食材スラリーと組み合わされ得る。
【0034】
ある実施形態において、静電気制御剤は、再循環を除く反応器への全供給物の重量ベースで0.05〜200ppmの量で反応器に加えられ得る。他の実施形態において、静電気制御剤は2〜100ppmの量で反応器に加えられ得、更に別の実施形態では4〜50ppmであり得る。他の実施形態において、静電気制御剤は、再循環を除く反応器への全供給物の重量ベースで4ppm以上の量で反応器に加えられ得る。
【0035】
ある実施形態において、静電気制御剤は、0.05〜10kg/hの供給速度で反応器に加えられ得る。他の実施形態において、静電気制御剤は、0.1〜5kg/hの供給速度で反応器に加えられ得、更に別の実施形態において0.2〜2kg/hであり得る。他の実施形態において、静電気制御剤は0.2kg/h以上の供給速度で反応器に加えられ得る。
【0036】
静電気レベルの制御
床静電気測定、同伴静電気測定、又は床及び同伴静電気の組合わせ測定は、反応器における静電気の量及び静電気の変化を制御するために使用され得る決定的(明示的)な信号を供給し得る。上述したように測定された静電気の制御は、反応器に静電気制御剤を付加することにより、又は反応器における粒子の量に対する反応器における静電気制御剤の濃度を調整することにより、成し遂げられ得る。ある実施形態において、反応器における静電気制御剤の濃度は、反応器への静電気制御剤の供給速度を増減することにより調整され得る。静電気のレベルを制御することにより、床もしくはドームシーティングの発生を最小にすることが可能となり得る。
【0037】
他の実施形態において、例えば、プロセス操作条件は、反応器における固形物(固体)もしくは粒子の量を増減し、これにより反応器における静電気制御剤の濃度に変化をもたらすため、変更され得る。変更され得る操作条件は、モノマー、コモノマー、触媒、又は水素の供給速度、反応器の温度及び圧力、再循環流れ速度、及び、反応器固形物濃度に影響を与えるために一般に用いられる他の変数を含む。
【0038】
重合プロセス
ここに開示したポリオレフィンポリマーを製造するための実施形態は、流動床反応器を利用する気相重合法を用いる。この種の反応器及び該反応器を操作するための手段は周知であり、例えば、米国特許第3,709,853号、第4,003,712号、第4,011,382号、第4,302,566号、第4,543,399号、第4,882,400号、第5,352,749号、第5,541,270号、EP−A−0 802 202号、及びベルギー特許第839,380号に完全に記載されている。これらの特許は、重合媒体がガス状モノマー及び希釈剤の連続流によって機械的にかき混ぜらるか又は流動化される気相重合法を開示する。上述したように、静電荷レベルを測定及び制御するための方法及び態様は、使用する反応器システムの形式に依存し得る。
【0039】
本発明の方法によって企図される他の気相法は、連続重合法又は多段重合法を含む。また、本発明によって企図される気相法は、米国特許第5,627,242号、第5,665,818号及び第5,677,375号、及び、欧州文献EP−A−0 794 200号、EP-Bl-0 649 992号、EP−A−0 802 202号及びEP-B-634 421号に記載されたものを含む。これらの文献はすべて参照によりここに完全に組み込まれる。
【0040】
一般に、本発明の重合法は、流体床プロセス等の連続気相法であり得る。本発明の方法に使用するための流体床反応器は、反応域といわゆる減速域(解放域)を有する。反応域は、反応域を通るガス状モノマー及び希釈剤の連続流によって流動化される成長するポリマー粒子と、形成されたポリマー粒子と、少量の触媒粒子とから成る床を含む。付随的に、再循環される気体(ガス)のいくつかは、冷却され圧縮されて液体を形成し得る。該液体は、反応域に再び入る際、再循環気体ストリームの熱除去能力を高める。気体流の適切な速度は、簡易な実験によって容易に決定され得る。再循環する気体ストリームに対するガス状モノマーの構成(形成)は、粒子状ポリマー生成物及びこれに関連するモノマーが反応器から引き出される速度と等しい速度であり、また、反応器を通過する気体の組成は、反応域内の本質的に定常状態であるガス状組成物を維持するために調整される。反応域を去る気体は減速域へと送られ、減速域において同伴された粒子が除去される。より細かい同伴粒子及びダストは、サイクロン及び/又は微細フィルタにおいて除去され得る。該気体は、熱交換器を通過させられ、そこで重合の熱が除去され、圧縮機で圧縮され、次いで反応域へと戻される。
【0041】
本発明の方法は、エチレンを含むオレフィンのホモポリマー(単独重合体)、及び/又は、エチレン及び少なくとも一つの又は複数の他のオレフィンを含むオレフィンのコポリマー、ターポリマー等の製造に適している。オレフィンはアルファ−オレフィンであり得る。オレフィンは、例えば、一実施形態において2〜16炭素原子を含み得、別の実施形態においてエチレン及び3〜12炭素原子を含むコモノマーを含み得、別の実施形態においてエチレン及び4〜10炭素原子を含むコモノマーを含み得、更に、別の実施形態においてエチレン及び4〜8炭素原子を含むコモノマーを含み得る。
【0042】
実施形態において、ポリエチレンが本発明の方法によって調整され得る。このようなポリエチレンは、エチレンのホモポリマーと、エチレン及び少なくとも一つのアルファ−オレフィンのインターポリマー(エチレン含有率は含まれる総モノマーの重量で少なくとも約50%である)を含み得る。ここで用いられ得るオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチルペンタ−1−エン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン等を含む。また、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニルシクロヘキサ−1−エン、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン、及び、重合媒体において現場で形成されるオレフィンを含む。オレフィンが重合媒体において現場で形成される場合、長鎖分岐を含むポリオレフィンの形成が生じ得る。
【0043】
ここに記述した方法において有用な他のモノマーは、エチレン性不飽和モノマー、4〜18の炭素原子を有するジオレフィン、共役ジエンもしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー、及び環状オレフィンを含む。本発明において有用な限定されないモノマーは、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジクロペンタジエン、及びシクロペンテンを含み得る。ここに記述した方法の別の実施形態において、エチレン又はプロピレンは、少なくとも二つの異なるコモノマー(付随的にそのうちの一つはジエンであり得る)により重合され、ターポリマーを形成する。
【0044】
一実施形態において、コポリマー中に組み込まれるアルファ−オレフィンの含有率は、合計で30モル%以下、他の実施形態において3〜20モル%であり得る。用語「ポリエチレン」は、ここで使用される場合、上述したエチレンを含むいずれかの又はすべてのポリマーを意味するように総称的に用いられる。
【0045】
ポリオレフィンの最終特性を制御するため、オレフィン重合において水素ガスがしばしば使用される。本発明の触媒系の使用により、上昇する水素の濃度(分圧)が、生じたポリオレフィンのメルトフローインデックス(MFI)及び/又はメルトインデックス(MI)を高め得ることが知られている。MFI又はMIは、従って、水素濃度に影響され得る。重合における水素の量は、重合可能な総モノマー(例えば、エチレン、又は、エチレンとヘキセンもしくはプロピレンのブレンド)に対するモル比として表すことができる。本発明の重合プロセスに用いられる水素の量は、最終ポリオレフィン樹脂の望ましいMFI又はMIを得るために必要な量である。
【0046】
更に、連続する(直列の)二つ以上の反応器を用いることは一般的であり、該段階的反応器では、一つ反応器が例えば高分子量成分を作り出し、別の反応器が低分子量成分を作り出し得る。本発明の一実施形態において、ポリオレフィンは、段階的気相反応器を用いて作り出される。そのような商業的重合システムは、例えば、2 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS(メタロセンベースのポリオレフィン)366−378(John Scheirs & W. Kaminsky, eds. John Wiley & Sons, Ltd. 2000年)、米国特許第5,665,818号、米国特許第5,677,375号、及びEP−A−0 794 200号に開示されている。
【0047】
一実施形態において、気相もしくは流動床重合法における一つ又は複数の反応器は、約0.7〜約70bar(約10〜1000psia)の圧力を有し得、別の実施形態において、圧力は約14〜約42bar(約200〜約600psia)であり得る。一実施形態において、一つ又は複数の反応器は、約10℃〜150℃の温度を有し得、別の実施形態において約40℃〜約125℃であり得る。一実施形態において、反応器温度は、反応器中のポリマーの焼結温度を考慮に入れて最高の実現可能な温度で操作され得る。一実施形態において、一つ又は複数の反応器における表面気体速度は、約0.2〜1.1メートル/秒(0.7〜3.5フィート/秒)の範囲であり得、別の実施形態では約0.3〜0.8メートル/秒(1.0〜2.7フィート/秒)であり得る。
【0048】
本発明の一実施形態において、重合プロセスは連続気相法であり、該連続気相法は、(a)再循環(リサイクル)ストリーム(エチレン及びアルファオレフィンモノマーを含む)を反応器内へ導入する工程と、(b)支持された触媒系を導入する工程と、(c)反応器から再循環ストリームを引き出す工程と、(d)再循環ストリームを冷却する工程と、(e)重合したモノマーと置換するため、追加のモノマーを反応器内に導入する工程と、(f)反応器内へ再循環ストリームもしくはその一部を再導入する工程と、(g)ポリマー製品(生成物)を反応器から引き出す工程とを含む。
【0049】
本発明の実施形態において、エチレンもしくはプロピレン又はこれらの組合せを含む一つ又は複数のオレフィン(C2〜C30オレフィンもしくはアルファ−オレフィン)が、主重合前に上述したメタロセン触媒系の存在下で予備重合(プレ重合)され得る。予備重合は、気体、溶液又はスラリー相において回分式にて又は連続的に高圧で実行され得る。予備重合は、いかなるオレフィンモノマーもしくは組合せと共にでも生じ得、及び/又は、水素等の剤(物質)を制御するいかなる分子量の存在下でも生じ得る。予備重合手順の例は、米国特許第4,748,221号、第4,789,359号、第4,923,833号、第4,921,825号、第5,283,278号及び第5,705,578号、及び欧州文献EP−B−0279 863号、及び、WO97/44371号を参照のこと。該文献のすべては参照によりここに組み込まれる。
【0050】
本発明は、いかなる特定の種類の流動もしくは気相重合反応に限定されず、単一の反応器、又は複数の反応器、例えば直列(連続)の二つ以上の反応器において実行され得る。実施形態において、本発明は、流動床重合(機械的に撹拌されるか及び/又は気体流動化され得る)において、又は、上述したものと同様に、気相を利用したそれらにより実行され得る。周知慣用の気相重合プロセスに加えて、気相重合の「誘導凝縮モード」及び「液体モノマー」操作を含む「凝縮モード」が使用され得る点も本発明の範囲内にある。
【0051】
本発明の実施形態は、米国特許第4,543,399号、第4,588,790号、第4,994,534号、第5,352,749号、第5,462,999号、及び第6,489,408号に開示されるような凝縮モード重合を使用し得る。これら各文献は参照によりここに組み込まれる。凝縮モードプロセスは、より高い冷却能力、従って、より高い反応器生産性を実現するために使用され得る。重合プロセス自体の凝縮できる流体に加え、重合に不活性な他の凝縮できる流体が、米国特許第5,436,304号(該文献は参照によりここに組み込まれる)に記述される方法等によって凝縮モード操作を誘発するために導入され得る。
【0052】
本発明の他の実施形態はまた、米国特許第5,453,471号、米国シリアル番号第08/510,375号、PCT95/09826号(US)及びPCT95/09827号(US)に開示されるような液体モノマー重合モードを使用し得る。液体モノマーモードの操作時において、実質的な自由液体モノマーが存在しない限り、床に存在する液体モノマーが床に存在する固体粒状物質(例えば、製造中のポリマーもしくは不活性粒状材料(例えば、カーボンブラック、シリカ、粘土、タルク、及びこれらの混合物))上又は該固体粒状物質内に吸着されるならば、液体は、ポリマー床全体にわたって存在し得る。液体モノマーモードにおける操作はまた、慣用のポリオレフィンが製造される凝縮温度よりも格段に高い凝縮温度を有するモノマーを用いて気相反応器内でポリマーを製造することが可能であり得る。
【0053】
本発明の方法の一実施形態において、気相法は、メタロセンタイプの触媒系の存在下でかついかなる補足剤(例えば、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、及び、ジブチル亜鉛等)も不存在の下、すなわちいかなる補足剤も実質的に無い状態で操作され得る。「本質的に無い」とは、これらの物質が反応器又はいかなる反応器部品にも意図的には加えられないことを意味する。もし存在しても、反応器において1ppm未満である。
【0054】
静電気制御システムのより具体的な実施形態が以下の実施例によって例示される。
【実施例】
【0055】
静電気制御剤(Chemtura Corporationから市販されるドライ(乾燥)ジステアリン酸アルミニウム)が、テキサス州ヒューストン所在のUnivation Technologiesから市販される、2.9重量%荷重(ローディング)のビス−(n−ブチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウムメタロセン及びメチルアルムオキサン共触媒から成るメタロセン触媒系と物理的にブレンドされた。触媒及び静電気制御剤の混合物は、二つのMark Vドライ触媒フィーダーを用いて反応器に供給された。各フィーダーは反応器への二つの移送ラインを備えている(総計4移送ライン)。いくつかのデータも1.5重量%静電気制御剤を有する触媒を用いて操作(動作)中に集められたが、これは、該データの少数を表す。静電気制御剤供給速度は、反応供給物のポンド/時間及び100万分のいくつ(ppm)(重量基準)報告された。
【0056】
反応器に配置された二つの静電気プローブからの読取り値が電流の形式で測定された。一つの静電気プローブが床静電気を測定し、他の静電気プローブは同伴静電気を測定した。これらプローブは、流動床の下方区域と、床の上部(頂部)付近とにそれぞれ独立に配置された。高速データ収集システムが、未処理静電気信号の平均値、標準偏差及び二乗平均平方根値を計算して格納した。6ヶ月間にわたって集めた反応器静電気データは、次いで分析された。
【0057】
静電気データは、反応器静電気に最も重要な独立制御変数が静電気制御剤(ジステアリン酸アルミニウム)供給速度であることを表した。これは、図2及び3に例示され、これらの図において、静電気制御剤のより高いレベルが望ましいプラス静電気レベルにリンクされた。床濃度(ppm)も関連することを示すが、静電気制御剤供給速度よりも小さい程度である。静電気制御剤供給速度(ppm又はマスフロー(質量の流れ))は、反応器及び循環ガスにおける他の静電気プローブに影響を与えることが分かった。しかし、上方床静電気プローブは、最良の統計的連係を与えた。
【0058】
商業上懸念される二種類のシーティングは、壁シーティングとドームシーティングである。メタロセン触媒系作動中の壁シーティングは、反応器の下方区域におけるマイナス静電気に関連付けられ得る。図2及び3に例示されるデータは、以前は知られていなかった重要な結果を提供した。即ち、反応器の下方区域における静電気は、静電気制御剤(このケースではジステアリン酸アルミニウム)を4ppm以上(供給物重量基準で)維持することにより、プラスの値へと駆動され得る。
【0059】
同様に、ドームシーティング、特に始動時のドームシーティングは、樹脂/微粉/触媒の床からドーム及び再循環システム内への過度のキャリーオーバー(持ち越し)に関連付けられ得ることが示された。このキャリーオーバーは、上方床静電気によって実質的に制御され得る。上方床静電気がマイナスの場合、樹脂/微粉/触媒は反応器壁上に保持されてここに蓄積する。高レベルの触媒を含む材料の壁における蓄積は、シート、特にドームシートの形成をもたらし得る。図2及び3に示すデータは、ジステアリン酸アルミニウム供給速度を0.5lb/時間以上に維持することにより、上方床静電気がプラス値へと駆動されることを示す。
【0060】
与えられたデータは、特定のメタロセン触媒を用いる一反応器の操作の特定のケースに属する。寸法が異なり、異なる速度で操作され、触媒、原材料及び樹脂グレードが異なる他の反応器は、異なるレベル又は異なる種類の静電気制御剤を必要とし得る。当業者は、過度の実験を伴うことなく、静電気制御剤の量が決定され得ることを認識するであろう。
【0061】
メタロセン触媒によるシーティングは、反応器再循環ライン及び分配板における同伴静電気の測定と相関され得る。これらの結果は、メタロセンによるシーティングに対する根本的原因のメカニズムが、チーグラー−ナッタ触媒に対するもの、すなわち帯電と類似し得ることの強力な証拠を提供する。しかしながら、メタロセン触媒によるシーティングは、チーグラー−ナッタ触媒に対するものとは異なり得る。メタロセンでは、静電気帯電は、再循環ラインで起こり得るか、又は床の二極性帯電への電荷分離によって生じ得る。
【0062】
いかなる特定の理論によっても縛られることなく、これらの結果は、メタロセンによるシーティングが、同伴された粒子が再循環システム、及び/又は同伴静電気として測定される二極性帯電を通って運ばれる際に生じる触媒及び/又は樹脂微粉の静電気帯電から主に派生することを示唆する。これらの発見に基づき、メタロセン触媒によるシーティングの機械論的モデルが想定された。該モデルは、メタロセン触媒によるシーティングに対して三段階のメカニズムを提案する。すなわち、(1)再循環システム及び/又は二極性帯電における同伴した触媒微粉の静電気帯電、(2)よどみ(停滞)域が存在する反応器壁への触媒微粉の付着、及び、(3)多数の触媒粒子の集合的加熱の結果としての壁上の触媒粒子の過熱、である。該モデルは、試験工場及び商業反応器におけるシーティングの従前の観察と整合すると思われる。
【0063】
従って、データは、操作中の動作において環境及びジステアリン酸アルミニウム等の静電気制御剤がプラス電荷を発現させる場合、メタロセンPEはマイナス電荷を生じさせることを示す。反応器への十分な濃度又は量のジステアリン酸アルミニウムの追加は、図4に例示されるように、反応器における電荷の正味バランスを望ましいプラス値に向かって変化させた。静電気制御剤のより高いレベルは、静電気を更にプラス方向に駆動した。不純物等の他のファクターが静電気レベルに影響を与えることも示された。反応器に対するジステアリン酸アルミニウム供給速度を調整することにより、これらの他のファクターを補償し、静電気を望ましいプラス範囲に維持し又は該範囲へと駆動することが可能であった。
【0064】
有利には、本発明は、メタロセン触媒系が気相重合反応器で使用される場合において、ドームシーティング及び壁シーティングの発生を制御し又は最小にするための方法を提供する。反応器内の静電気レベルは、一つ又は複数の位置(上方床及び下方床又は同等の箇所)で測定され得る。これらの測定値は、床静電気を所定範囲内に維持するために静電気制御剤供給制御装置と組み合わせて使用され得る。
【0065】
ここに開示した実施形態は、メタロセン触媒(該触媒は流体床反応器においてシート化する傾向にあった)のより信頼できる操作のための手段を有利に供給する。本発明はまた、他の触媒系にも同様に有益であり得る。
【0066】
本発明は限られた数の実施形態に関して記述されたが、この開示の利益を有する分野の当業者は、ここに開示した本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態が案出され得ることを認識するであろう。従って、本発明の範囲は、付随の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0067】
すべての優先権書類は、そのような組込みが許容されるすべての権限に対して参照によりここに十分に組み込まれる。更に、ここに引用したすべての書類は、そのような開示が本発明の記述と整合する限り、そのような組込みが許容されるすべての権限に対して参照によりここに十分に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】反応器静電気プローブの一実施形態の概略図である。
【図2】静電気制御剤濃度の関数として反応器静電気レベルを測定した実験結果である。
【図3】静電気制御剤供給速度の関数として反応器静電気レベルを測定した実験結果である。
【図4】静電気制御剤供給速度の関数として上方反応器床及び分配板静電気レベルを測定した実験結果である。
【符号の説明】
【0069】
10 静電気プローブ
12 プローブ要素
14 金属ハウジング
16 フランジ
18 反応器壁
20 フランジ
22 電子機器回路エンクロージャ
23 計器
24 開口
26 絶縁体
28 内側プローブ部分
30 反応室
32 外側プローブシース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相反応器におけるシーティングを制御するための方法であって、
少なくとも一つの気相反応器において少なくとも一つのメタロセン触媒及び少なくとも一つの静電気制御剤を用いてポリオレフィンを製造する工程と、
静電気プローブを用いて同伴静電気を測定する工程と、
測定した同伴静電気の変化に応じて前記静電気制御剤の濃度を調整する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記同伴静電気の測定値を望ましい範囲内に維持する工程を更に含む請求項1の方法。
【請求項3】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、前記反応器への静電気制御剤の供給速度を調整することを含む請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、触媒供給ストリームにおける静電気制御剤の濃度を調整することを含む請求項1〜3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、反応器固形含有率に影響を与える少なくとも一つの反応器操作条件を調整することを含む請求項1〜4のいずれか一つの方法。
【請求項6】
前記反応器操作条件は、モノマー供給速度、コモノマー供給速度、触媒供給速度、水素供給速度、反応器温度、反応器圧力、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項5の方法。
【請求項7】
前記静電気プローブは、気相反応器における流動床の上部付近に配置される請求項1〜6のいずれか一つの方法。
【請求項8】
前記静電気プローブは、気相反応器における流動床の上部上方に配置される請求項1〜6のいずれか一つの方法。
【請求項9】
前記静電気プローブは、反応器の解放域内、再循環出口付近、又は再循環ライン内に配置される請求項1〜6のいずれか一つの方法。
【請求項10】
前記静電気制御剤の供給速度は0.2kg/h以上である請求項1〜9のいずれか一つの方法。
【請求項11】
前記反応器における静電気制御剤の濃度は重量基準で4ppm以上である請求項1〜10のいずれか一つの方法。
【請求項12】
気相反応器におけるシーティングを制御するための方法であって、
気相反応器においてメタロセン触媒及び静電気制御剤を用いてポリオレフィンを製造する工程と、
第1静電気プローブを用いて床静電気を測定する工程と、
第2静電気プローブを用いて同伴静電気を測定する工程と、
測定した同伴静電気及び測定した床静電気の少なくとも一方の変化に応じて前記静電気制御剤の濃度を調整する工程とを含む方法。
【請求項13】
前記同伴静電気及び床静電気の測定値を望ましい範囲内に維持する工程を更に含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記第1静電気プローブは、気相反応器内の流動床の下方区域近傍の反応器壁付近にプローブチップを備える請求項12又は13の方法。
【請求項15】
前記反応器壁及びプローブチップは、類似の導電特性を有する金属から成る請求項12〜14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
前記第1静電気プローブのプローブチップ及び反応器壁は炭素鋼から成る請求項15の方法。
【請求項17】
前記第2静電気プローブは、気相反応器内の流動床の上部近傍の反応器壁付近にプローブチップを備える請求項12〜16のいずれか一つの方法。
【請求項18】
前記反応器壁及び第2静電気プローブチップは、類似の導電特性を有する金属から成る請求項17の方法。
【請求項19】
前記第2静電気プローブのプローブチップ及び反応器壁は炭素鋼から成る請求項18の方法。
【請求項20】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、前記反応器への静電気制御剤の供給速度を調整することを含む請求項12〜19のいずれか一つの方法。
【請求項21】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、触媒供給ストリームにおける静電気制御剤の濃度を調整することを含む請求項12〜19のいずれか一つの方法。
【請求項22】
前記静電気制御剤の濃度を調整する工程は、反応器固形含有率に影響を与える少なくとも一つの操作条件を調整することを含む請求項12〜19のいずれか一つの方法。
【請求項23】
前記反応器操作条件は、モノマー供給速度、コモノマー供給速度、触媒供給速度、水素供給速度、反応器温度、反応器圧力、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項22の方法。
【請求項24】
前記調整工程は、測定した床静電気をプラス値に維持する結果となる請求項12〜23のいずれか一つの方法。
【請求項25】
前記静電気制御剤の供給速度は0.2kg/h以上である請求項12〜24のいずれか一つの方法。
【請求項26】
前記静電気制御剤の濃度は重量基準で4ppm以上である請求項12〜25のいずれか一つの方法。
【請求項27】
前記第2静電気プローブは、気相反応器における流動床の上部上方に配置される請求項12〜26のいずれか一つの方法。
【請求項28】
前記第2静電気プローブは、反応器の解放域内、再循環出口付近、又は再循環ライン内に配置される請求項12〜26のいずれか一つの方法。
【請求項29】
オレフィンモノマーが気体媒体流動条件下で流動床において連続的に触媒作用により重合され得る流動床反応器システムであって、
円筒状の下方区域及び該下方区域の断面よりも大きい断面を有する上方区域を有する垂直反応器と、下方区域内における下方区域の基部に向かう流動媒体分配板と、同伴静電気を測定するための第1静電気プローブとを備え、
下方区域は、気体媒体流動床条件下で触媒重合反応が行われ得る重合域を収容するように適合され、前記上方区域は、下方区域から上方区域に入る流動媒体に同伴された粒子の回収のための減速域として機能するように適合され、
流動媒体分配板は、下方区域内の流動床を通って流動媒体を上方に拡散させるように適合され、
第1静電気プローブは、反応器の下方区域内の流動床の上方部分近傍の反応器壁付近にプローブチップを有する反応器システム。
【請求項30】
床静電気を測定するための第2静電気プローブを更に備え、第2静電気プローブは、反応器の下方区域内で前記分配板上方の流動床の下方区域近傍の反応壁付近にプローブチップを有する請求項29の反応器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−545647(P2009−545647A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522770(P2009−522770)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/016048
【国際公開番号】WO2008/016478
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】