説明

ポリブタジエン熱硬化性樹脂プリント回路基板組成物およびその製造方法

【課題】ポリブタジエンを主材料として生成される回路基板の電気性、化学性及び耐熱性を改良し、即ち、ポリブタジエンの耐燃性、熱膨張係数、誘電係数、損耗因子、粘度、接合強度などを改善し、生産コストを下げ、新たなポリブタジエン熱硬化性樹脂回路基板組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】回路基板組成物が、70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、からなる熱硬化性樹脂基材と、ガラス繊維布と、無機粒子充填料と、メタリック コエージェントと、臭素難燃剤と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリブタジエン熱硬化性樹脂プリント回路基板組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリブタジエンを主材料として、その上に不繊布補強材、粒子充填料、硬化開始剤、臭素難燃剤素難燃剤などを加えて、生成された回路基板は例えば、
アメリカ4,241,132号特許の回路基板組成物では、ポリブタジエン重合体(リコン150、 70wt% 1, 2-付加 ポリブタジエン ゴム、 Sartomer)と繊維補強材、例えばポリプロピレンからできた繊維がある。しかしながら、この絶縁組成では、その樹脂の誘電係数或いは損耗因子が繊維補強材とあいあわせなければならない欠点がある。その欠点が、
1. 採用されたポリブタジエンは、そのビニル基が不足のため、基板強度が弱い。
2. 難燃性なし
ということである。
【0003】
アメリカ4,997,702号特許では、エポキシ樹脂のほか、無機充填料或いは繊維補強材を含み、合わせて総量の20〜70wt%を占め、繊維はガラス繊維或いは重合繊維で、無機充填料は粘土或いは鉱物(シリカなど)のような粒子充填料が含まれているものが示されている。明白な欠点としては、
1. エポキシ樹脂で生成された基板は、電気性 (Dk, Df)が弱く、吸湿率も高い。
2. 不織布採用のため、基板強度が弱い。
【0004】
アメリカ5,223,568号特許で提案されている回路基板の熱硬化性組成物では、
a. 室温では液体であり、分子量が5000より少ないポリブタジエン、或いはポリイソプレン樹脂であり、
b. ポリブタジエン或いはポリイソプレン樹脂は架橋重合反応によって、生成されたブタジエン、或いはイソプレン固体重合物である。
c. 高温で硬化されるので、温度は250℃より高く、組成物の熱分解温度より低い、という組成物が開示されている。
この回路基板の材料物性は良好だが、まだ以下のような欠点がある。
1. 高温で硬化しなければならない(熱圧温度が250℃より高い)。伝統的な回路基板の製造設備が常に180℃であるという制限があり、そして臭素難燃剤も又250℃に耐えがたく、この温度下なれば、分解(decompositon)されたり、熱分解(pyrolysis)されたりして材料の物性が破壊される。
2. ポリブタジエン或いはポリイソプレン樹脂で生成されたフィルムは、粘度が大きいので、連続的な自動化の回路基板の熱圧プロセスにはかなり困難がある。
【0005】
アメリカ6,048,807号特許で提案されている基板の組成は以下のようなものである。
a. 体積の10〜75%が熱硬化性の樹脂からなるもので、分子量が5000より少ないポリブタジエン、或いはポリイソプレン樹脂、及びブタジエンの不飽和ジブロック重合体を含む、
b. 体積の14%より少ないエチレン プロピレン(分子量が5000より少ない)の液体ゴム、エチレン プロピレン からできるコポリマー、或いはエチレン プロピレンのジエン(例えばジシクロペンタジエン又はエチリデン ノルボルネン)のターポリマー、又はそれらの組成物、
c. 粒子充填料、及び
d. 織布
その欠点としては、
1. 回路基板が高温高圧(300℃、500大気圧以上)の製造プロセス環境でないと生成できず、その中の臭素難燃剤はこの高温反応によって、分解或いは熱分解されて、難燃性がなくなる。
2. 充填料の比率が50wt%以上に達し、70 wt%さえとなる場合もある。今使用されている数多くの設備から見れば、含浸処理の困難さ、回路基板がボーリングされる時のドリル損耗がかなり甚だしく、同時にその製造プロセスに及ぼす困難性が高い。
【0006】
アメリカ6,071,836号特許で提案された回路基板の組成物は、以下のような特徴を持っている。
a. 粒子充填料の比率範囲に余裕があるので、フィルムの粘度が少なくなり、操作しやすくなる一方、加工もしやすい。
b. 電気性質(誘電係数、損耗因子、及び誘電力)の差によって、よい断熱性と絶縁性を持つ、
c. 高い比率の粒子充填料に対して、少ないガラス繊維布補強材の使用量でZ軸方向の熱膨張係数を改良することができる。
d. 熱圧プロセスの温度が250℃より低く、熱分解を避けることができる、それに、
e. シランがあるため、樹脂と、銅箔及び織物との接着強度が高められている。
この回路基板の組成物は質的に相当優れているが、まだ以下のような欠点を改善する必要がある、
1. 剥離強度はかなり弱く、シランを加えたとはいえ、51bf/inchより低い、
2. 水に対してもトルエンに対しても、その吸湿率が尚高い、
3. 充填料の比率が50wt%以上に達し、70 wt%とさえなる場合もある。今使用されている数多くの設備から見て、含浸処理する時の困難さ、回路基板がボーリングされる時のドリル損耗がかなり甚だしく、同時にその製造プロセスに及ぼす困難性が高い。
【0007】
米国特許のほか、他の技術文献にもポリブタジエンが回路基板の材料として採用された例がある。例えば、「N.Sawatari et al., Ieee Transactions on Electrical Insulation, Vol. EI-18, No.2, Apr. 1983 」刊行物では、新たな防火材料1,2-ポリブタジエン基板について、1,2-ポリブタジエンが半硬化状態にて操作されるのは困難で、粘性がないのは非常に難しく、それに又燃えやすく、銅箔との接着性も弱いと指摘されている。この文献は、それらの問題点についていくつかの解決方針を出している。すなわち、その組成物に高分子量のポリブタジエンを多く使い、半硬化状態の粘度を除去する外、銅箔との接合プロセスと熱圧プロセスの流動性をスムースに働くために、低分子量変性ポリブタジエン樹脂を少量に使う。しかしながら、具体的にどのような充填料を使うべきかについては何も言っていない。
【0008】
ヨーロッパ0202488 A2号特許ではポリブタジエンが主な樹脂として生産された回路基板の中に高分子量臭素プレポリマーを加えて、ポリブタジエンフィルムの粘度と可燃性とを下げたということに言及している。又、日本の特開H04-258658号公報では、フィルムの粘度をコントロールするために、高分子量化合物を加えた。この化合物は主に難燃性を向上させ、銅箔との接着性と、耐熱性とをよりよくさせる。それ以外に、ほかの充填料が使われたかなかったは不明である。しかしながら、この回路基板の損耗因子が尚たくさん存在しているのが明らかな欠点である。
【0009】
「電子工業の1,2-ポリブタジエン高性能樹脂 (R.E Drake, ANTEC 84 pp. 730-733, 1984 より)」の文献では、伝統的なポリブタジエンを、回路基板として使われ、且つ明確にポリブタジエンと組み合わせ、共硬化反応作用した反応性単体のことを記載している。
【0010】
英国2172892号特許出願では、普通の回路基板はスチレンと不飽和二重結合、及びポリブタジエンからなる熱可塑性樹脂コポリマーであると述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の先行技術に関連する文献に鑑み、本発明の目的はポリブタジエンを主材料として生成される回路基板の電気性、化学性及び耐熱性を改良し、即ち、ポリブタジエンの耐燃性、熱膨張係数、誘電係数、損耗因子、粘度、接合強度などを改善し、生産コストを下げ、新たなポリブタジエン熱硬化性樹脂回路基板組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
即ち、本発明の第一目的は大量の不飽和ビニル基で架橋反応することによって、高温に強い物性を持つ回路基板組成物を提供するにある。
本発明の第二目的は適当な充填料の量と類を提供し、粘度のかなり低いフィルムを生成し、熱圧プロセスをやさしくさせて、優良な電気性、即ちより低い誘電係数及び損耗因子を持つ回路基板の組成物を提供するにある。
本発明の第三目的は普通の銅箔を使っても、剥離強度が4〜5lbf/inch以上である回路基板の組成物を提供するにある。
本発明の第四目的は今まで一般的に使われている銅箔基板の吸湿率より低い回路基板の組成物を提供するにある。
本発明の第五目的は、臭素難燃剤が分解され、回路基板の耐熱性が悪くなることを防ぐために、より低い(170〜220℃)温度環境で基板を熱圧できるプロセスを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、新規なポリブタジエン熱硬化性樹脂プリント回路基板組成物を提供するにある。ポリブタジエン熱硬化性樹脂を主材料とし、過酸化物硬化開始剤と架橋剤を加えて、銅箔基板の上に絶縁層を形成させ、製造プロセスにあわせて選択的に高い表面積を有する無機粒子充填料(例えばシリカなど)及びメタッリク コエージエントを加える。こうして生成されたフィルムは粘性が少なくなり、操作者はこの低い粘度特性で自動化の製造過程を有利に処理しやすく、普通の熱圧プロセスにも適している。本発明で生成されたフィルムは、粘度が相当に低いため、常温下での押しはり付けの時、互いに滑ることはない。又この本発明の樹脂組成物には独特のメタリック コエージエント(metallic coagents)が添加されてあるため、剥離強度が高く、高周波の電子回路基板にもっとも適応するものである。
【0014】
本発明は、ビニル基を大量(70wt%以上)に含む高分子量ポリブタジエン (モル質量が100,000g/mol以上)と、低分子量ポリブタジエン(モル質量が5,000〜10,000 g/mol)と、二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸とアクリル酸ニトリルとブタジエンとが重合反応で得られた高分子重合体からなる20〜35wt%の樹脂重合体と、10〜30wt%のガラス繊維布と、25〜50wt%の無機粒子充填料(その成分が凝集されたシリカであると最良)と、10〜30wt%の臭素難燃剤(耐燃性を上げるため)と、1〜10wt%のメタリック コエージエント(樹脂と金属との剥離強度を上げるため)及び過酸化物硬化開始剤からなるものである。
【0015】
即ち、前記目的を達成するため、本発明の高性能な回路基盤組成物は、
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)10〜30wt%のガラス繊維布と、
(3)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(4)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(5)10〜30wt%の臭素難燃剤と、からなる。
【0016】
また、熱硬化性樹脂基材の総量に占める割合が25〜32wt%であることが好適である。
また、ポリブタジエン熱硬化性樹脂の熱硬化性樹脂基材に占める割合が40〜90wt%であることが好適である。
【0017】
また、二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と、アクリル酸、アクリル酸ニトリル及びブタジエンの高分子重合体の熱硬化性樹脂基材に占める割合が10〜60wt%であることが好適である。
【0018】
また、1,2-付加ビニル基の、高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂に占める割合が80wt%以上であることが好適である。
【0019】
また、モル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂との割合が40対80から、60対20までの範囲であることが好適である。
【0020】
また、ガラス繊維布の総量に占める割合が10〜20wt%であることが好適である。
【0021】
また、無機粒子充填料の総量に占める割合が30〜45wt%であることが好適である。
【0022】
また、メタリック コエージエント(metallic coagents)の総量に占める割合が1〜5wt%であることが好適である。
また、メタリック コエージエントが、アルカリ金属族と、アルカリ土類金属族或いは亜鉛と、アクリル酸とを反応して生成された錯化合物であることが好適である。
また、メタリック コエージエントがメタリック ジアクリレイト又はメタリック ジメチャクリレートであることが好適である。
【0023】
また、無機粒子充填料が、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、又はシリカであることが好適である。
また、シリカが無定形シリカ、或いは焼結されたシリカであることが好適である。
【0024】
また、臭素難燃剤の総量に占める割合が15〜25wt%であることが好適である。
また、臭素難燃剤が、エチレン ビステトラブロムフタルイミド(ethylene bistetrabromophthalimide)、テトラデカボロモジフェノキシ ベンゼン (tetradecabromodiphenoxy benzene)、又はデカボロモ ジフェノキシ オキシド (decabromo diphenoxy oxide)であることが好適である。
【0025】
さらに、本発明の高性能な回路基盤組成物の製造方法は、
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(3)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(4)10〜30wt%の臭素難燃剤と、
を溶剤で希釈して一定の粘度となし、10〜30wt%のガラス繊維布を含浸させ、さらに170〜220℃の温度と20〜50kg/cm2圧力環境で熱圧して回路基板を生成すること、からなる。
【0026】
さらに、本発明の高性能な回路基盤組成物の製造方法は、
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(3)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(4)10〜30wt%の臭素難燃剤と、
を溶剤で希釈して一定の粘度となし、10〜30wt%のガラス繊維布を含浸させ、130℃で半硬化した5〜8枚のガラス繊維布のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を銅箔にて包み、圧力が30kg/cm2、温度195℃下で3時間熱圧して回路基板を生成すること、からなる。
【0027】
本発明は上記のような組成で、ビニル基を大量に含むポリブタジエン熱硬化性樹脂である。このような樹脂が総量の85%を占めている1,2-付加ビニル基が含まれており、大量の不飽和ビニル基で架橋反応することによって、硬化後に最高の架橋密度ができるので、回路基板に優秀な耐高温性を提供することができる。
【0028】
本発明のもう一つの特徴は、その回路基板の組成物が適当な充填料の量と類により、ワニスの粘度が低く、含浸されやすい。そして半硬化後のフィルム層と層の間には粘りがほとんどなく、熱圧プロセスがたやすく、Z軸熱膨張係数と誘電性(例えば損耗因子)とを改善し、生産コストを下げるものである。もっとも重要な点は、現今使われている基板熱圧プロセスにも使用でき、或いは普通より低い低温の熱圧プロセスにも使えるものである。
【0029】
上記本発明の技術特徴の外、本発明のもっとも肝心とする技術は、
1. 1〜10wt%メタリック コエージエントを加えることで、樹脂と金属との剥離強度が高まり、樹脂と金属との接着強度を向上することである。
2. 熱圧する時の硬化温度が低いので、熱圧プロセスが常に170〜220℃の範囲内で行われる。低温硬化であるので、添加した臭素難燃剤の分解を防ぐ一方、普通の回路基板の製造設備にも採用できる。又同時に、より低い硬化温度にて適量な有機過酸化物を使うことができる。例えばジクミル ペルオキシド(dicumyl peroxide、DCP)と、ティーブチル ペルベンゾアート ペルオキシド(t-butyl perbenzoate peroxide TBPB)など。
【0030】
次に、本発明に使われる樹脂、充填料、メタリック コエージエント、架橋剤、ガラス繊維布、難燃剤、過酸化物硬化開始剤と、そのものの出所について詳しく説明する。
【0031】
1. 樹脂基材
本発明によれば、回路基板の材料として採用される樹脂基材は熱硬化性樹脂であって、(1)ポリブタジエンと、(2)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合シクロレフィン化合物と/或いは(3)アクリル酸と、アクリル酸ニトリルと、ブタジエンとが重合して得た高分子重合物などが硬化の時架橋反応をしてできたものである。
【0032】
その中の(1)ポリブタジエンは、室温では固体或いは液体であるが、高分子量固体樹脂(モル質量が100,000g/mol以上)と、低分子量液体樹脂(モル質量が5,000〜10,000 g/mol)との混合物であって、1,2-付加ビニル基の含量が70wt%以上であり、90wt%以上であればもっとよい。ビニル基を大量に含むポリブタジエン樹脂は硬化架橋反応をする時、必要な不飽和ビニル基を大量に供給する一方、架橋反応をする時にも架橋密度をも向上させ、回路基板に優良な耐高温特性を提供する。最良な高分子量樹脂とはRB系樹脂であり、例えば、RB810、RB820、RB830樹脂、90wt%以上の1,2-付加ビニル基固体樹脂などである。RB系樹脂は商業上Japan Synthetic Rubber 会社から獲得できる。低分子量液体樹脂では、例えばリコン153樹脂、リコン154樹脂(Sartomer会社の商品)、B3000樹脂とB1000樹脂(Nippon Soda会社の商品)などがもっとも好ましい。
【0033】
本発明の熱硬化性樹脂(2)は、二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合シクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合して得られた高分子重合物である。その中、二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合シクロレフィン化合物はビニル基二重結合によって架橋反応をすることができるほか、その分子鎖上のシクロレフィン化合物も又吸湿率と、誘電係数と、誘電損失とを下げることができ、上記のこれらのシクロレフィン化合物はメタロセン(metallocene)金属触媒を用いてビニル基と、ボルニレンと、ビニル基ボルニレンなどの単体を反応させて合成される。
【0034】
(a) シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の合成;
高純度ノルボルネン(NB, norbornene)4.01kgと、5-エチリデン-2-ノルボルネン(5-Ethylidene-2-norbornene)2.27kgと、トルエン2.59kgとを高圧反応槽に入れる。温度が100℃になったのち、10wt%の助触媒(MAO/トルエン)0.2kgと、メタロセン触媒6×10-5kgとを入れ、そしてエチレン(800ml/min)と水素(50ml/min)とのミクスト気体を通入して圧力18kg/cm2の環境下で重合反応させる。反応後、トルエンを入れ、液体の中の沈殿固形物を10wt%以下までに希釈する。塩酸で中和したのち濾過し、濾液を大量のアセトン溶液中に入れ、晶出した固体物を乾燥してシクロオレフィンコポリマー(COC-A)となる。モル質量が41000g/molで、Tgが125℃である。
【0035】
(b) シクロオレフィンコポリマー(COC-B)の合成;
DCPDに1-ヘキセンを入れて高温で反応し、ブチル-ノルボルネンを合成する。高純度ブチル-ノルボルネン2kgと、NB(ノルボルネン)1kgと、5-エチリデン-2-ノルボルネン2kgと、トルエン1kgとを高圧反応槽に入れる。温度が100℃になった時、10wt%の助触媒(MAO/トルエン)0.08kgと、メタロセン触媒2×10-5kgとを入れ、そしてエチレン(800ml/min)と水素(50ml/min)とのミクスト気体を通入して圧力10kg/cm2の環境下で重合反応をさせる。反応後、トルエンを入れ、液体中の沈殿固形物を10wt%以下までに希釈する。塩酸で中和したのち濾過し、濾液を大量のアセトン溶液中に入れ、晶出した固体物を乾燥、シクロオレフィンコポリマー(COC-B)となる。モル質量が66000g/mol、Tgが123℃である。
【0036】
(c) シクロオレフィンコポリマー(COC-C)の合成;
DCPDに1-オクテンを入れて長鎖のヘキシル-ノルボルネンを合成する。高純度ヘキシル-ノルボルネン 2.2kgと、5-エチリデン-2-ノルボルネン2.8kgと、トルエン1kgとを高圧反応槽に入れる。温度が100℃になったのち、10wt%助触媒(MAO/トルエン)0.08kgと、メタロセン触媒2×10-5kgとを入れ、そしてエチレン(800ml/min)と水素(50ml/min)とのミクスト気体を通入して圧力10kg/cm2の環境下で重合反応をさせる。反応後、トルエンを入れ、液体中の沈殿固形物を10wt%以下まで希釈する。さらに、塩酸で中和したのち濾過し、濾液を大量のアセトン溶液に入れ、晶出した固体物を乾燥してシクロオレフィンコポリマー(COC-C)となる。モル質量が70500g/molで、Tgが107℃である。又別の一種の樹脂(3)は アクリル酸と、アクリル酸ニトリルと、ブタジエンとが重合して得られた高分子重合物であって、この樹脂は樹脂と銅箔の接着強度を向上する。例えばカルボキシ 整合(terminated)ブタジエン アクリロニトリル ゴム シリーズ(例えばCTBN1300×8、CTBN1300×13、CTBN1300×31など)で、商業上Noveon会社から獲得できる。
【0037】
2. 粒子充填料
本発明によれば、本発明に使われている粒子充填料は、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(無定形シリカと焼結されたシリカを含む)である。シリカが総量の25〜50wt%を占めているが、30〜45wt%が好ましい。これらは単独に、或いは組み合わせて採用することができる。最良な充填料が無定形シリカである。できるだけ高い表面積例えば焼き凝集されたシリカを選び、なぜかというと、高い表面積のシリカが粘度を下げる面ではスタンダードの無定形シリカより効果的である。優良なシリカが焼き凝集されたシリカはAEROSIL200であり、Degussa会社から獲得できる。その表面積が約200m2/gで、粒径が12nmであるという特徴を持っている。その他、CE44I (10ミクロン アモリフォアス シリカ, CE Minerals)と、 FB-35 (溶融珪酸〈Fused Silica〉, Minco)と、Minsil 5(溶融珪酸〈Fused Silica〉,Minco)と、Minsil 20(溶融珪酸〈Fused Silica〉,Minco)と、Novacite325 (ナチュラル結晶シリカ〈Natural crystalline silica〉, Minerals)と、 GP7I (溶融珪酸〈Fused Silica〉, Harbison Walker)などの充填料がある。
【0038】
3. メタッリク コエージエント
本発明によれば、使われているメタッリク コエージエントは、アルカリ金属族と、アルカリ土類金属族と/或いは亜鉛と、アクリル酸が反応して生成される錯化合物である。これらはメタリック ジアクリレート(metallic diacrylate例えばSR633、SR636、SR638、SR705、SR706など)、メタリック ジメタクリレート(metallic dimethacrylateSR634、SR708)、メタリック モノメタクリレート(metallic monomethacrylateSR709)などであり、Sartomer会社から獲得できる。製造プロセスの一環である熱硬化プロセスをする時に、メタリック コエージエントとの反応が複雑のため、まず先に過酸化物硬化開始剤と反応して、フリーラジカル(Free Radical)化合物を生成する。このフリーラジカル化合物は、ポリブタジエンと、或いはその他の二重結合樹脂と架橋反応し、一つ一つの分子鎖にアクリレート(acrylate) を含有させる。このようにして樹脂と銅箔との接着強度を向上する目的を達成することができる。
【0039】
4. 架橋剤
熱硬化性樹脂の架橋係数を高めるため、本発明の架橋剤は、シアネル酸トリアリルと、イソシアネル酸トリアリルと、フタル酸ジアリルと、ジビニルベンゼンと、或いはそれらの混合物である。
【0040】
5. ガラス繊維布
本発明に使われているガラス繊維布は、総量の10〜30wt%を占め、台湾、南アジアプラスチック会社で生産されたガラス繊維布を補強材とし、基板によって同じくない厚さのガラス繊維布を使う。その規格は以下の表の通りである。

【0041】
6. 難燃剤
本発明によれば、使われる難燃剤が主に臭素難燃剤であり、総量の10〜30wt%を占める。好ましい臭素難燃剤とは、Saytex BT 93Wエチレン ビステトラブロムフタルイミド(ethylene bistetrabromophthalimide)と、Saytex 120テトラデカボロモジフェノキシ ベンゼン(tetradecabromodiphenoxy benzene)と、或いはSaytex 102デカボロモ ジフェノキシ オキシド(decabromo diphenoxy oxide)などである。
【0042】
7. 硬化開始剤
フリーラジカル硬化開始剤が架橋反応のスピードを速め、本発明の組成物が加熱処理する時に、開始剤がフリーラジカルに分解され、架橋重合反応が始まる。より良いフリーラジカル硬化開始剤が、例えば有機過酸化物、ジクミル ペルオキシド(dicumyl peroxide(DCP))と、ティーブチルペルベンゾアート(t-butylperbenzoate(TBPB))と、テェーブチルペロシ ヘキシン-3 (t-butylperoxy hexyne-3)などが、よく用られる開始剤であり、普通使用量は0.2〜3wt%である。
【実施例】
【0043】
本発明の実施例で用いられている材料は上記三種のシクロオレフィンコポリマーのほか、その他の材料は下表の通りである。

【0044】
実施例1
104.3重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と63.6重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、85.9重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と12.5重量部のCTBN1300×8に混合し、よく攪拌したのち、さらに13.3重量部のSARET633と、429.5重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、163.2重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8重量部の架橋剤(TAIC)と、8重量部の硬化開始剤(DCP)とを加えかき混ぜた後、その溶液に111.7重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸させる。130℃で半硬化されたガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して、回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表1に示す。
【0045】
実施例2
シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の使用量を多くし、その量は高分子量ポリブタジエン樹脂ゴムRB810の使用量の一部分である。即ち、61.3重量部の高分子量ポリブタジエン樹脂ゴムRB810と63.6重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、128.9重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と12.5重量部のCTBN1300×8に混合し、よく攪拌したのち、さらに13.3重量部のSARET633と、429.5重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、163.2重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8重量部の架橋剤(TAIC)と、8重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせた後その溶液に111.7重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化されたガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して、回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表1に示す。
【0046】
実施例3
シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の使用量を少なくし、その替わり高分子量ポリブタジエンゴムRB810の使用量を増加する。即ち、147.2重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と63.6重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、43.0重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と、12.5重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに13.3重量部のSARET633と、429.5重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、163.2重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8重量部の架橋剤(TAIC)と、8重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせた後、その溶液に111.7重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成する。その物性の測定値を表1に示す。
【0047】
実施例4
低分子量ポリブタジエンゴムRicon 154樹脂を、低分子量ポリブタジエンゴムRicon 153樹脂に取り替える。即ち、104.3重量部の高分子量ポリブタジエン樹脂ゴムRB810と63.6重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon153を取り、85.9重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と12.5重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに13.3重量部のSARET633と、429.5重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、163.2重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8重量部の架橋剤(TAIC)と、8重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせた後、その溶液に111.7重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表1に示す。
【0048】
比較例1
SARET633が入れられていない。105.7重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と64.5重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、87.1重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と、12.6重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに、435.3重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、165.4重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8.1重量部の架橋剤(TAIC)と、8.1重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせた後、その溶液に113.2重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表1に示す。
【0049】
比較例2
高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂を多くして、低分子量ポリブタジエンゴムRicon153樹脂の一部分を取り替える。即ち、104.3重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon153、85.9重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と、12.5重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに、163.2重量部のSARET633と、429.5重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、163.2重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、8重量部の架橋剤(TAIC)と、8重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせた後、その溶液に111.7重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表1に示す。
【0050】

【0051】
物性分析
上記のデーターから、シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の使用量を増加することによって、剥離強度が少し強くなり、吸湿率がさがることがわかる。組成の中で、低分子量ポリブタジエンゴムRicon153樹脂(分子量が5000より低い)を、低分子量ポリブタジエンゴムRicon154樹脂に取り替えた時の影響はあまり大きくないが、それが高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂(分子量が5000より多い)と替れば、剥離強度が弱くなり、半田耐熱性がはっきりと足りない。それゆえ、表1から見れば、SARET633を加えれば(使用量が熱硬化性樹脂使用量の5phr)、剥離強度が強くなり、加えなければ剥離強度が弱いことがわかる。
【0052】
実施例5
充填料の使用量を少なく用いる。141.5重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂と、75.9重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、85.4重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と14.9重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに15.9重量部のSARET633と、341.6重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、194.7重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、9.5重量部の架橋剤(TAIC)と、9.5重量部の硬化開始剤(DCP)とを混入してよく混ぜ合わせ、その溶液に111.0重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す。
【0053】
実施例6
シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の使用量を多くして、高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂の一部分を取り替える。即ち、98.8重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と75.9重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、128.1重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と、14.9重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに15.9重量部のSARET633と、341.6重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、194.7重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、9.5重量部の架橋剤(TAIC)と、9.5重量部の硬化開始剤(DCP)とを混入してよく混ぜ合わせ、その溶液に111.0重量部の南アジアガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す。
【0054】
実施例7
シクロオレフィンコポリマー(COC-A)の使用量を少なくし、高分子量ポリブタジエンゴムRB810の使用量を増加する。即ち、184.2重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と75.9重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、42.7重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と14.9重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに15.9重量部のSARET633と、341.6重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、194.7重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、9.5重量部の架橋剤(TAIC)と、9.5重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせ、その溶液に111.0重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す。
【0055】
実施例8
低分子量ポリブタジエンゴムRicon154樹脂を、低分子量ポリブタジエンゴムRicon153樹脂に替える。即ち、141.5重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と75.9重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon153を取り、85.4重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と14.9重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに15.9重量部のSARET633と、341.6重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、194.7重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、9.5重量部の架橋剤(TAIC)と、9.5重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせ、その溶液に111.0重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す。
【0056】
比較例3
SARET633が加えていない。143.8重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂と77.1重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、86.8重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と15.1重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに、347.1重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、197.9重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、9.7重量部の架橋剤(TAIC)と、9.7重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせ、その溶液に112.8重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す。
【0057】
比較例4
高分子量ポリブタジエンゴムRB810樹脂を、低分子量ポリブタジエンゴムRicon153に取り替える。その他は実施例5と同じ。
【0058】
比較例5
充填料の割合が25wt%に下げ、臭素難燃剤の使用量を回路基板が難燃基準に達するまで増加する。即ち、164.1重量部の高分子量ポリブタジエンゴムRB810と88.1重量部の低分子量ポリブタジエンゴムRicon154を取り、99.0重量部のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)と16.6重量部のCTBN1300×8に混入してよく攪拌したのち、さらに、18.4重量部のSARET633と、254.7重量部の二酸化珪素充填料(FB-35)と、225.9重量部の臭素難燃剤(SAYTEX8010)と、11.1重量部の架橋剤(TAIC)と、11.1重量部の硬化開始剤(DCP)とを加え、よく混ぜ合わせ、その溶液に111.0重量部の南アジア製のガラス繊維布(1080ウッブン ガラス)を含浸する。130℃で半硬化したガラス繊維布8枚のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を南アジア製のloz銅箔にて包み、30kg/cm2(426psi)、195℃下で3時間熱圧して回路基板組成物を生成した。その物性の測定値を表2に示す
【0059】

【0060】
物性分析
上記のデーターから、熱硬化性樹脂使用量の割合とSARET633使用量(熱硬化性樹脂使用量の5phr)の割合を上げれば、剥離強度は強くなるが、誘電係数が下がる。もし充填料の使用量が総量の30wt%より少ないと、耐熱性と難燃性とは悪くなる。
【0061】
実施例9〜16
実施例1〜8と同じくただ、組成物のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)を、シクロオレフィンコポリマー(COC-B)に置き換えた丈で、その回路基板組成物の測定値は表3と表4の通りである。
【0062】
比較例6〜10
比較例1〜5と同じ。ただし、組成物のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)を、シクロオレフィンコポリマー(COC-B)に置き換えている。その回路基板組成物の測定値は表3と表4の通りである。
【0063】

【0064】

【0065】
実施例17〜24
実施例1〜8と同じ。ただし、組成物のシクロオレフィンコポリマー(COC-A)を、シクロオレフィンコポリマー(COC-C)に置き換えている。回路基板組成物の測定値は表5と表6の通りである。
【0066】
比較例11〜15
比較例1〜5と同じ。ただし、組成物のシクロオレフィンコポリマー(COC-C)を、シクロオレフィンコポリマー(COC-B)に置き換えている。回路基板組成物の測定値は表5と表6の通りである。
【0067】

【0068】

【0069】
物性分析
上記のデーターから、熱硬化性樹脂組成物シクロオレフィンコポリマーの種類を変えても、誘電係数と損耗因子に及ぼす影響がかなり少ない。シクロオレフィンコポリマー(COC-C)は長い側鎖があるため、強靭性はシクロオレフィンコポリマー(COC-B)より強く、性質上ゴムと似ている。又半田耐熱性も良い。側鎖のないシクロオレフィンコポリマー(COC-A)が最低である。しかしながら、シクロオレフィンコポリマーの側鎖が長いほど、吸水しやすく、剥離強度も下がリ弱くなる。
【0070】
本発明で述べた上記の各実施例、比較例及びその物性の測定値から見れば、本発明の(1)銅箔基板の剥離強度は、主にSARET633の使用量(熱硬化性樹脂使用量の5phrとなる)と、シクロオレフィンコポリマーの使用量との関わりがあり、両者使用量の割合を大きくすればするほど、その剥離強度が強くなる。(2)誘電係数(Dk、Df)は熱硬化性樹脂の総量による影響が大きい。熱硬化性樹脂の割合が高くなるほど、Dk、Dfが低くなり、逆に吸湿率が高まる。(3) シクロオレフィンコポリマーを多く使うと、吸湿率が下がるが、その影響は顕著ではない。(4)半田耐熱性は熱硬化性樹脂組成物の高分子量樹脂(分子量が5000より少ない)の割合と充填料の使用量に関係があり、それは、熱硬化性樹脂の高分子量樹脂(例えばRB810、COC-A、COC-B、COC-Cなど)の 比率が少なくとも15wt%以上にあってこそ始めて優良な耐熱性がある。そして、その充填料の割合は必ず総量の30wt%以上にし、つまり熱硬化性樹脂の割合は総量の35wt%を超えてはいけない。(5)難燃性がUL-94 V-0という基準に応じ得るには、主に臭素族難燃剤と充填料の割合に関われている。即ち、本発明が臭素族難燃剤に含まれる臭素の比率を30wt%左右(充填料とウッベン ガラスの分を除く)に控えているゆえ、もしその充填料の割合が30wt%より低い場合であれば、難燃性が悪くなり、且つフィルムの粘度があがり、製造プロセスはよくない。
【0071】
又、本発明を普通の銅箔基板と比べた時、本発明の回路基板組成は確かに電気性がもっと優れている。それは、低い誘電係数と、低い損耗因子と、低い吸湿率と、を持っているためである。剥離強度の面では、普通の銅箔を使っても4〜5lbf/inchに達し、又その他の方法によって普通の銅箔を使ったPCB基板の0.25lbf/inch より質がかなり改善されている。さらに、耐熱性の面でもいうまでもなく、硬化するときに熱圧温度がわずか195℃でよく、高温(250℃)以上の環境下で再硬化プロセスをすることなく、回路基板の物性が極めて優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、
からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)10〜30wt%のガラス繊維布と、
(3)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(4)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(5)10〜30wt%の臭素難燃剤と、
からなることを特徴とする高性能の回路基板組成物。
【請求項2】
熱硬化性樹脂基材の総量に占める割合が25〜32wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項3】
ポリブタジエン熱硬化性樹脂の熱硬化性樹脂基材に占める割合が40〜90wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板組成物。
【請求項4】
二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と、アクリル酸、アクリル酸ニトリル及びブタジエンの高分子重合体の熱硬化性樹脂基材に占める割合が10〜60wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項5】
1,2-付加ビニル基の、高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂に占める割合が80wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項6】
モル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂との割合が40対80から、60対20までの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項7】
ガラス繊維布の総量に占める割合が10〜20wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項8】
無機粒子充填料の総量に占める割合が30〜45wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項9】
メタリック コエージエント(metallic coagents)の総量に占める割合が1〜5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項10】
メタリック コエージエントが、アルカリ金属族と、アルカリ土類金属族或いは亜鉛と、アクリル酸とを反応して生成された錯化合物であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項11】
メタリック コエージエントがメタリック ジアクリレイト又はメタリック ジメチャクリレートであることを特徴とする請求項1又は10に記載の回路基板組成物。
【請求項12】
無機粒子充填料が、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、又はシリカであることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項13】
シリカが無定形シリカ、或いは焼結されたシリカであることを特徴とする請求項12に記載の回路基板組成物。
【請求項14】
臭素難燃剤の総量に占める割合が15〜25wt%であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項15】
臭素難燃剤が、エチレン ビステトラブロムフタルイミド(ethylene bistetrabromophthalimide)、テトラデカボロモジフェノキシ ベンゼン (tetradecabromodiphenoxy benzene)、又はデカボロモ ジフェノキシ オキシド (decabromo diphenoxy oxide)であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組成物。
【請求項16】
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、
からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(3)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(4)10〜30wt%の臭素難燃剤と、
を溶剤で希釈して一定の粘度となし、10〜30wt%のガラス繊維布を含浸させ、さらに170〜220℃の温度と20〜50kg/cm2圧力環境で熱圧して回路基板を生成することを特徴とする高性能の回路基板の製造方法。
【請求項17】
(1) 総量の約20〜35wt%を占める、
(a)70wt%以上のビニル基を含んだモル質量が100,000g/mol以上の高分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂と、モル質量が5,000〜10,000 g/molの低分子量ポリブタジエン熱硬化性樹脂をミックスしたものと、
(b)二つ或いは二つ以上のビニル基二重結合のシクロレフィン化合物と/或いは、アクリル酸、アクリル酸ニトリル、ブタジエンとが重合反応してなる高分子重合体と、
からなる熱硬化性樹脂基材と、
(2)25〜50wt%の無機粒子充填料と、
(3)1〜10wt%のメタリック コエージェント(metallic coagents)と、
(4)10〜30wt%の臭素難燃剤と、
を溶剤で希釈して一定の粘度となし、10〜30wt%のガラス繊維布を含浸させ、130℃で半硬化した5〜8枚のガラス繊維布のフィルムを畳み合せ、その上部と下部を銅箔にて包み、圧力が30kg/cm2、温度195℃下で3時間熱圧して回路基板を生成することを特徴とする高性能の回路基板の製造方法。

【公開番号】特開2008−181909(P2008−181909A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12141(P2007−12141)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(507024080)ナン ヤ プラスティクス コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】