説明

ポリマー層をパターニングする方法およびマイクロバッテリ実装方法

【課題】マイクロバッテリー実装に関し、ポリマー材料層を支持部に簡易かつ即座にパターニングする方法を提供する。
【解決手段】支持部4に配置されるポリマー層22のパターニング方法であって、リチウム含有重合抑制材料16からなる層を支持部の第1の領域18a、18b上に堆積する工程と、カチオン重合可能材料20を重合抑制剤層と支持部の第2の領域18c上に堆積する工程と、重合処理を行った結果、第1の領域に非凝固犠牲層20と第2の領域に前記ポリマー層22を形成する工程と、犠牲層20を除去する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー層を支持部にパターニングする方法に関し、特に、ポリマー層と障壁層とを用いたマイクロバッテリ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、リチウムマイクロバッテリは電解質によって分離された2つの電極(陽極と陰極)によって形成される。リチウムマイクロバッテリはさらに、プラチナまたはタングステンからなる金属製電流コレクタを備える。陽極は高イオン伝導率材料、例えばオキシ硫酸チタン(TiOS)からなる。電解質はリチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)などの高イオン伝導率電気絶縁体である。陰極は金属リチウムまたはリチオ化材料からなる。
【0003】
リチウム含有材料は非常に空気、特に酸素と水分に敏感であるため、不活性耐密障壁で覆わなければならない。実装化を習得することが、マイクロバッテリの時間効率を決定づける根本要因である。
【0004】
実装のための1つの方策は、薄層をマイクロバッテリに堆積させることにある。その実装素子は、マイクロバッテリに配置されるポリマー材料からなる第1の層と第1の層を覆うセラミックまたは金属材料からなる第2の層とを備える。ポリマー層の目的は、一つには、基板の粗さに関連する不具合を抑えること、他方には、マイクロバッテリが使用中に変形した場合にそれを吸収することである。セラミックまたは金属材料層は酸素および水分に対する保護障壁を形成する。
【0005】
ポリマー層は一般的には基板全体にわたりスピンコーティングされ、障壁層は物理蒸着法(PVD)またはプラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって形成される。
【0006】
実装素子のパターニングには2つの技術が主に用いられる。1つは、マスクを用いてパターンニングする技術である。しかしながら、陰影効果およびミスアライメント効果が発生し、形成するパターンの位置またはサイズを不正確にするという問題が生じる。これら陰影効果とミスアライメント効果は、微細寸法のマイクロバッテリにおいて顕著となる。そのため、もはやマスクを使わず、「第2の技術」、すなわちフォトリソグラフィを用いる傾向がある。
【0007】
図1は、支持部4に配置されるマイクロバッテリ2の実装素子を描写するためのフォトリソグラフィ処理の概略図である。実装素子は、ポリマー層6と、マイクロバッテリ2と支持部4全体に既に堆積された障壁層8とを備える。フォトレジストからなるエッチングマスク10が実装素子上に形成され、その後、層6と層8とがマスク10を介してエッチングされる。このフォトリソグラフィ処理によってさらにマイクロバッテリの電気接続が確立され、マイクロバッテリ2の端部に位置する電流コレクタ12を一部リリースする。
【0008】
パターニング技術はマイクロバッテリの側方保護を保証するものではない。実際、図1に示すように、障壁層8はマイクロバッテリの側面(エッチング側面)上ではポリマー層6を覆っていない。ポリマー層を低いレベルでしか保護できないため、酸素および水が層6を通って拡散し、マイクロバッテリ2を破壊しやすい。
【0009】
マイクロバッテリの破壊は、主に、その上面で寸法の大きな部品について生じるのであるが、マイクロバッテリの側面保護はサイズの小さな部品にとって基本的な要件となる。したがって、微細化を見越せば、マイクロバッテリ全体を障壁層で覆って寿命を延ばす必要がある。
【0010】
フォトリソグラフィではエッチング溶液を用いてパッケージ層6および8をエッチングして、洗浄液を用いてエッチングマスク10を除去する。これらの溶液もまたマイクロバッテリ2に染み込んで破壊しやすい。層6および8のオーバーエッチングも行われ、構成要素の側方保護性がさらに低下する。最後に、フォトリソグラフィにはマイクロバッテリ製造方法の持続時間を有意に増加させる多数の工程を備える。
【0011】
ポリマー材料層は基板全体に通常スピンコーティングで容易に堆積されるため、特にマイクロバッテリを実装する層の場合にはこれらの層を同程度に単純にパターニングするための方法が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、ポリマー材料層を支持部に簡易かつ即座にパターニングする方法の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
リチウム含有重合抑制材料からなる層を支持部の第1の領域上に堆積し、カチオン重合可能材料を重合抑制剤層上と支持部の第2の領域上に堆積し、カチオン重合可能材料に重合処理を行い、前記第1の領域に非凝固犠牲層を、前記第2の領域にポリマー層を形成し、前記犠牲層を除去することによってこの要求が満足される。
【0014】
また、支持部に配置されるリチウムマイクロバッテリを実装するための、簡易かつ即座に実行される方法が提供され、マイクロバッテリの側方保護が確実に行われる。
【0015】
本発明による実装方法は、リチウム含有重合抑制材料からなる層をマイクロバッテリの周囲で支持部上に堆積する工程と、カチオン重合可能材料をマイクロバッテリ全体と重合抑制剤層上に堆積する工程と、カチオン重合可能材料に重合処理を行い、マイクロバッテリの周囲に非凝固犠牲層とマイクロバッテリを覆うポリマー層とを形成する工程と、ポリマー層上に保護障壁層を形成してマイクロバッテリ全体を覆う層を堆積する工程と、犠牲層と重合抑制剤層を除去する工程と、を含む。
【0016】
その他の効果および特徴は、発明を限定するものではなく一例としてのみの目的で記載され、添付の図面に例示されている特定の実施形態でより明確に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術であるフォトリソグラフィによってマイクロバッテリのパッケージ層をパターニングすることを示した図。
【図2】本発明の一実施形態による重合層のパターニング方法工程を示した図。
【図3】本発明の一実施形態による重合層のパターニング方法工程を示した図。
【図4】本発明の一実施形態による重合層のパターニング方法工程を示した図。
【図5】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【図6】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【図7】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【図8】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【図9】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【図10】図2〜4の方法を用いたマイクロバッテリの実装方法の工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
連鎖重合とは、共有結合する反応分子間、通常は線形モノマーまたはプリポリマー間の化学反応を意味する。この連鎖反応は、開始剤によって開始される。開始剤は熱反応または紫外線反応によってモノマーが結合する活性中心を放出する。これらの活性中心の特性に応じて、2つの重合機構、ラジカル重合とカチオン重合が存在する。
【0019】
ラジカル重合では、活性中心はラジカル、すなわち1個以上の非対電子を持つ化学種である。ジベンゾイルとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が開始剤として一般的によく用いられる。この種の重合に関係するモノマーとしては、たとえばアクリレートまたはメタクリル酸がある。
【0020】
ラジカル重合は空気中の酸素によって抑制されることがよく知られている。空気がフリーラジカルに付着し、不活性な過酸化ラジカルを形成する。しかし、増感剤を用いるまたは放射強度を高めることによって酸素存在下であってもラジカル重合を実行することが可能となる。
【0021】
カチオン重合では、活性中心はフリーイオンまたは可能であればイオン対である。開始剤は通常硫酸またはトリフルオロメタンスルホン酸などのプロトニック酸である。ラジカル重合とは異なり、カチオン重合は酸素に無反応である。
【0022】
他方で、カチオン重合はリチウム存在下で抑制されることが発明者によって発見されている。実際、リチウム含有材料は、重合反応のベクターであるイオン(活性中心)を補足する能力を示す。このような材料を以後重合抑制剤と呼ぶ。
【0023】
重合可能材料を堆積する前に重合抑制剤層を堆積することでカチオン重合を局在化させるようこの現象を用いることが提案されている。
【0024】
図2〜4は、本発明の一実施形態による、リチウム含有材料を用いたポリマー層のパターニング方法の工程概略図を示したものである。
【0025】
図2は、任意の種類の支持部4上にリチウム含有抑制材料からなる層16を堆積する工程を示す。抑制材料層16は、たとえば、支持部の2つの異なる領域18aと18bとに堆積される。抑制材料は金属リチウム、リチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)、リチオ化オキシ硫酸チタン(LiTiOS)、リチオ化二硫化チタン(LiTiS)またはリチオ化五酸化バナジウム(LiV)が好ましい。金属リチウムはたとえば、真空蒸着で堆積され、LiPONはPVDによって堆積できる。層16の厚さは50nmから3μmの範囲で変化するが好ましい。
【0026】
その後、重合可能材料層20を、層16、および、領域18aと18bとの間の支持部4の領域18cにも堆積する。この堆積はスピンコーティングによってフルシート、すなわち支持部4の上面全体に行うのが好ましい。その後、層20の厚さは回転速度に応じて1μmから5μmの範囲で変化する。スクリーン印刷、微粒分散または散布などその他の堆積方法を用いることも可能である。層20の厚さは通常1μmから5μmの間である。
【0027】
重合可能材料とは、モノマー(またはプリポリマー)と、少なくとも1つのカチオン型開始剤からなる溶液を意味する。ビニルエーテル含有モノマーまたは複素環モノマー(エポキシド、ラクトン、環状エーテル、シリコンエポキシなど)が用いられる。特にエポキシドモノマーとビニルエーテルは、反応が早いので、急速重合化にはエポキシドモノマーとビニルエーテルが優先的に用いられる。
【0028】
光重合または熱硬化性樹脂と一般的に呼ばれる市販の特定の製品はこれらのモノマーからなり、特に「OG」製品(OG146−178、UVO−114、OG115、OG114−4、OG146など)と「Epo−Tek」製品(Epo−Tek−301、Epo−Tek−354、Epo−Tek−305、Epo−Tek−H705など)がEpoxy Technology社から販売されている。
【0029】
開始剤は、プロトニック酸(HSO、CFSOHなど)、無機ハロゲン化物(BF、SnClなど)、有機金属化合物(Al(CH、サレン錯体など)および有機塩(R)から選択されるものであるのが好ましい。開始剤は通常上記樹脂に含まれる。
【0030】
図3において、材料20は材料の開始剤がイオンを生成して連鎖反応を開始するように重合処理がなされる。材料20は(熱開始剤の場合)熱処理されるか(光開始剤の場合)放射線にさらされるのが好ましい。一例としては、層20は300〜600nmの波長の紫外線放射を10分未満の持続時間で、約100mW/cm受ける。
【0031】
領域18aおよび18bでは、架橋連鎖を引き起こす役目を果たす層20のイオンの大部分がリチウム含有材料16の原子と反応して重合反応が開始できない。したがって領域18aおよび18bにある層は重合されないままになっているか、僅かに重合する。他方、材料16のない領域18cでは、重合反応が通常通り行われる。ポリマー物質のパターン22は処理完了後に得られる。
【0032】
換言すると、この工程で特性が異なる部分を持つ層が得られる(即ち、層16上部の非重合または弱重合部と、その他の重合部)。材料16に接触する非重合部は現像液可溶性であり重合部は不溶性である。
【0033】
非重合部は高さ方向で最大約5μm(すなわち層20の厚さ5μm以下)、側方最大1μm(通常層16の両側で0.2μmから1μmの間)まで延長可能である。
【0034】
図4の工程では、領域18aと18bにそのまま残された重合可能材料を除去する。除去工程は水、アセトンやエタノールなどの1つかいくつかの溶剤を用いて実行するのが好ましい。所望のパターン22のみを支持部4に残すよう抑制材料層16を同時に除去することもできる。
【0035】
したがって、この方法では簡便な手法でポリマー物質層をパターニングすることができる。従来技術とは異なり、この方法は、正確、即座、かつ容易に実行できる。とりわけ、ポリマー層を用いてマイクロバッテリを実装する場合に、超小型電子技術分野では特に好適である。
【0036】
図5〜10はリチウムマイクロバッテリの実装方法の工程を示したものである。好ましい実施形態においては、マイクロバッテリの形成工程も含まれる。マイクロバッテリを構成する様々な層をパターニングするために、マスクを使用することができる。上記のパターニング方法によってマイクロバッテリに配置される実装素子をパターニングすることができる。
【0037】
図5は、チタン、タングステンまたは金からなる陰極電流コレクタ12aと陽極電流コレクタ12bとを備える初期基板4を示したものである。これらの金属製電流コレクタはたとえばPVDによって薄層(約200nm)状に堆積される。
【0038】
その後、陰極24をたとえば真空蒸着または陰極スパッタによって陰極コレクタ12a上に堆積する。陰極はオキシ硫酸チタンTiOS、五酸化バナジウムVまたは二硫化チタンなどのリチウム挿入材料層からなる。厚さは約1.5μmである。
【0039】
図6において、電解質層26、好ましくはLiPON含有電解質が陰極24、陽極コレクタ12bの一部および基板分離コレクタ12aおよび12b上に堆積される。層26は陰極24を完全に覆うのが好ましい。厚さ約1.5μmの欠陥のないLiPON層が得られるよう堆積はたとえば陰極スパッタによって行われる。
【0040】
重合開始剤材料16のパターンは、マイクロバッテリの周囲に形成される。抑制材料16は、層26とは異なる閉鎖周辺パターンを形成するよう電解質層26の周りの基板4に堆積するのが好ましい。図6の断面図に示されるように、パターン16はコレクタ12aと12bの一部を覆うのが好ましい。この実施形態においては、パターン16は電解質26同様、LiPONからなり、パターン16はマスクを用いて層26と同時に堆積される。
【0041】
図7の工程は、層26への陽極28の形成に対応する。陽極は金属リチウムからなるのが好ましく、真空蒸着で堆積される。厚さは1μmと3μmの範囲で変化する。その後、たとえばチタン、金、アルミニウムまたは銅からなる金属層30を陽極28の上面およびコレクタ12bの一部に堆積する。このようにして、層30は陽極28と陽極コレクタ12bとの間を電気接続する。この金属層によって、リチウム層28の粗さを軽減することができる。陽極電流電導はコレクタ12bまで延びるようなリチウム層28と比べてもさらに向上する。
【0042】
図8〜10はマイクロバッテリ実装素子の製造工程を示したものである。実装素子は、マイクロバッテリに配置されるポリマー型の層6と、ポリマー層に配置される保護層8あるいは障壁層とからなる。
【0043】
上述の通り、ポリマー層は基板粗さに関連する不具合を抑え障壁層の保護効果を向上させる。また、充電放電でのマイクロバッテリの変形を吸収することができる。このために、機械的柔軟性の高い絶縁ポリマーを用いることが好ましい。取り付けが簡単でマイクロバッテリの起伏を平坦にすることができるポリマーがさらに望ましい。また、ポリマーが熱的に安定しているのが好ましい。実際、マイクロバッテリ(およびその実装素子)に、マイクロバッテリを外部素子への統合する際に温度約260℃で熱処理を行うことができる。
【0044】
エポキシド含有材料は、特に上記Epoxy Technology社から市販されている製品については、これらのマイクロバッテリ技術要件を満たす。
【0045】
図8は、図3に関連して説明したように、重合可能材料からなる層20からポリマー層6をマイクロバッテリ上に形成する形成工程を示す。
【0046】
層20をスピンコーティングにより、好ましくはフルシート状態で堆積する。材料20は基板4、コレクタ12aと12b、パターン16およびマイクロバッテリを覆う。
【0047】
材料20に重合処理を行うことにより、材料が凝固して抑制材料からなるパターン16の領域を除くマイクロバッテリの周囲で、ポリマー材料が形成される。マイクロバッテリの大部分を覆う所要ポリマー層6が得られて非重合材料20に囲まれる。
【0048】
図8の例で、マイクロバッテリの側方領域32が層6に覆われていないのは、材料20がこの領域で電解質層26と直接接触しているからである。LiPON層26は実際、パターン16と同様に材料20の重合を防ぐ。しかし、このポリマー6に覆われていない領域32はマイクロバッテリ保護になんら影響を及ぼさない。マイクロバッテリ全体を覆う障壁層8をこの後形成することでマイクロバッテリの化学種に対する耐密は確実となる。
【0049】
図9は障壁層8をポリマー層6とポリマーに覆われていないマイクロバッテリの領域へ堆積する工程を示す。
【0050】
層8の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン窒化酸化物およびアルミナから選択されるものであることが好ましい。障壁層はPVD、CVDまたはALV(原子層成長法)によって共形的に平らに堆積されるのが好ましい。厚さは50nmから300nmの間である。
【0051】
この工程で、材料8はフレームとも呼ばれるプロファイルに沿って堆積され、固相材料からなる層によって規定される。図9の例では、このフレームは領域32ではポリマー層6と電解質層26からなる。非重合材料20はフレームの一部をなさない。
【0052】
換言すれば、層8の材料は層6の上面に堆積され、固体層6と液体材料20の間にあるマイクロバッテリの側面の高さまたは固体層26と液体材料20の間に挿入される。
【0053】
こうして、抑制材料によってポリマー層6をパターニングした後、障壁層8をマイクロバッテリの側面と上面の両方に堆積させる。したがってマイクロバッテリは完全に実装される。
【0054】
図10において、非重合材料および抑制材料を現像液で除去する。たとえば、リン酸溶液(HPO)によってLiPON層16と残りの材料20とを除去して、その後、水で濯ぐ。
【0055】
障壁層8がマイクロバッテリ全体を覆うので、現像液とすすぎ液とがマイクロバッテリに浸透して破壊することもない。基板の上面におけるマイクロバッテリの電気接続はさらに容易になる。抑制材料が金属コレクタ12aおよび12bに部分的に堆積しているので、現像処理時にはコレクタは実際にリリースされる。
【0056】
図5〜10に関連して記載したマイクロバッテリ実装方法には、マイクロバッテリ形成時にリチウム含有抑制材料を堆積させるという工程を有するという効果的特徴がある。実際、材料16および電解質16はLiPONからなり同時に堆積される。しかし、金属リチウムからなる陽極またはLiTiOS、LiTiS、LiVからなる陰極の堆積と同時に抑制材料を堆積することも可能である。
【0057】
実施形態の変形例として、マイクロバッテリが基板に形成された後、抑制材料を堆積させる。この堆積によって、上記の好ましい実施形態に比べて工程が1つ追加される。たとえば、電解質がLiPON以外の材料からなる場合、陽極が金属リチウム以外からなる場合、または陰極がLiTiOS、LiTiS、LiV以外からなる場合、この変形例が用いられる。
【0058】
実装方法は手早く簡単に実行できる。実際、従来のフォトリソグラフィ処理に比べて工程数が減り、これらの工程は超小型電子技術とも適合可能である。
【符号の説明】
【0059】
4 基板
16 リチウム含有材料
18a、18b 領域
18c 材料16のない領域
20 重合可能材料層
22 パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部(4)に配置されるポリマー層(6、22)のパターニング方法であって、
リチウム含有重合抑制材料(16)からなる層を支持部の第1の領域(18a、18b)上に堆積する工程と、
カチオン重合可能材料(20)を、前記重合抑制剤層(16)および前記支持部の第2の領域(18c)上に堆積する工程と、
前記カチオン重合可能材料(20)に重合処理を行い、前記第1の領域に非凝固犠牲層(20)を、前記第2の領域に前記ポリマー層(6、22)を形成する工程と、
前記犠牲層(20)を除去する工程と、
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記重合抑制材料(16)が、金属リチウム、リチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)、リチオ化オキシ硫酸チタン(LiTiOS)、リチオ化二硫化チタン(LiTiS)およびリチオ化五酸化バナジウム(LiV)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記犠牲層(20)の除去と同時に、前記重合抑制材料(16)を除去する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カチオン重合材料(20)が、紫外線照射または熱処理によって重合する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カチオン重合材料(20)が、エポキシドもしくはビニルエーテルモノマーと、プロトニック酸含有開始剤とを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
支持部(4)に配置されるリチウムマイクロバッテリ(2)の実装方法であって、
リチウム含有重合抑制材料(16)からなる層をマイクロバッテリの周囲で支持部上に堆積する工程と、
カチオン重合可能材料(20)を前記マイクロバッテリ(2)全体および重合抑制剤層(16)上に堆積する工程と、
前記カチオン重合可能材料に重合処理を行い、前記マイクロバッテリの周囲に非凝固犠牲層(20)およびマイクロバッテリ(2)を覆うポリマー層(6)を形成する工程と、
前記ポリマー層(6)上に保護障壁層を形成して前記マイクロバッテリ全体を覆う層(8)を堆積する工程と、
前記犠牲層(20)および重合抑制剤層(16)を除去する工程と、
を含んでなる、方法。
【請求項7】
前記重合抑制材料(16)が、金属リチウム、リチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)、リチオ化オキシ硫酸チタン(LiTiOS)、リチオ化二硫化チタン(LiTiS)およびリチオ化五酸化バナジウム(LiV)から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロバッテリ(2)を前記支持部(4)に形成する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロバッテリ(2)が、金属リチウム、リチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)、リチオ化オキシ硫酸チタン(LiTiOS)、リチオ化二硫化チタン(LiTiS)またはリチオ化五酸化バナジウム(LiV)からなる電極(24、28)を備え、電極の堆積が同時に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロバッテリ(2)が、リチウムリン酸窒素酸化物(LiPON)からなる電解質(26)を備え、電解質の堆積が同時に行われる、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74373(P2012−74373A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−201306(P2011−201306)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】