説明

マニピュレータ

【課題】開閉するエンドエフェクタを機械的に駆動操作する操作部における操作性を向上させる。
【解決手段】マニピュレータ10は、グリッパ軸入力部104を含む操作部14bと、エンドエフェクタ1300の向きを変える1以上の姿勢軸を含む先端動作部12と、操作部14bと先端動作部12を連結する連結シャフト18と、姿勢軸を駆動するモータ60、62と、グリッパ軸入力部104の人手による操作を機械的に伝達して、エンドエフェクタ1300を駆動するエンドエフェクタ駆動機構1320aとを有する。グリッパ軸入力部104は、開閉軸106を基準にして開閉する第1指掛部108及び第2指掛部110を備える。第1指掛部108は固定され、第2指掛部110が第1指掛部108に対して相対的に開閉動作し、第1指掛部108と第2指掛部110が閉じることによってエンドエフェクタ1300が閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドエフェクタを含む先端動作部を有するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下手術においては、患者の腹部等に小さな孔をいくつかあけて内視鏡、マニピュレータ(又は鉗子)等を挿入し、術者が内視鏡の映像をモニタで見ながら手術を行っている。このような腹腔鏡下手術は、開腹を必要としないため患者への負担が少なく、術後の回復や退院までの日数が大幅に低減されることから、適用分野の拡大が期待されている。
【0003】
一方、腹腔鏡下手術で用いるマニピュレータには、患部の位置及び大きさに応じて迅速且つ適切な手技が可能であることが望まれており、しかも患部切除、縫合及び結紮等の様々な手技が行われる。このため、本出願人は、操作の自由度が高くしかも簡便に操作することのできるマニピュレータの提案をしている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0004】
これらのマニピュレータは、基本的な構成としては、腹腔内に挿入されて手技を行う先端動作部と、操作者(一般には医師)が把持及び操作を行う操作部と、先端動作部と操作部とを接続するシャフトとを有している。操作部には、操作者が把持するグリップハンドルと、先端動作部を駆動するための複数のモータと、先端動作部のグリッパの開閉動作を指示するトリガレバーと、その他の所定の部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−102248号公報
【特許文献2】特開2008−104854号公報
【特許文献3】特開2008−253463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軟性鏡下・腹腔鏡下手術に用いられている従来の一般的な鉗子では、先端動作部に加わる外力や把持する把持力等は、直接的ではないが、鉗子本体を介して手元に反作用として伝わることから、操作者はこれらの力をある程度は感じ取ることができ、適度によい操作性が得られる。しかしながら、従来の鉗子は自由度が少なく(例えば1自由度である。)、組織を把持する方向や切断する方向、縫合針の刺入方向が限られていて不便であるとともに、操作に熟練性が要求される。
【0007】
より高い自由度を得るためには、例えば、マスタ・スレーブ方式の遠隔操作型手術ロボットを適用することが考えられる。該ロボットは、高い自由度を有するとともに、患部に対して任意の方向からのアプローチが可能で、操作性に優れるという利点があるものの、先端動作部に加わる外力や把持力等はマスタ側には伝わらない。
【0008】
マスタ・スレーブ方式のロボットにおいて、マスタ側で力感覚を得るためには、高感度な力覚センサシステムや高速なサンプリングタイムを有する計算機システムによる高度なバイラテラル制御が必須となり、高価で複雑なシステムとなる。また、バイラテラル制御は実用に値する十分な性能が得られていないのが現状である。
【0009】
それに対して、本出願人は、特願2007−283323号において、高い自由度が得られ、操作者が先端動作部に加わる外力等をより確実に感知することができるようなマニピュレータを提案している。このマニピュレータでは、進退動作する部材に受動ワイヤを設け、複数のプーリを介して先端のグリッパを開閉できるようにしている。これにより、グリッパとトリガが機械的に接続され、グリッパの開閉力がトリガに伝えられるとともに、グリッパの把持力を高めることができる。
【0010】
一方、グリッパに対して効率的に力を加えるため、その力を適度に調整するため、さらに、グリッパからトリガに伝えられた力をさらに操作者に適切に伝達するためにはグリッパに相当する箇所の構成が重要となってくる。
【0011】
本発明はこれに関連してなされたものであり、人手による操作力が機械的に伝達されて開閉するエンドエフェクタをより好適に操作することのできるマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るマニピュレータは、人手によって操作する入力部を含む操作部と、開閉するエンドエフェクタ軸、及び該エンドエフェクタ軸の向きを変える1以上の姿勢軸を含む先端動作部と、前記操作部と前記先端動作部を連結する連結シャフトと、前記姿勢軸を駆動する姿勢軸アクチュエータと、前記入力部の人手による操作を機械的に伝達して、前記エンドエフェクタ軸を駆動する操作伝達部とを有し、前記入力部は、開閉軸を基準にして開閉する第1指掛部及び第2指掛部を備え、前記第1指掛部は固定され、前記第2指掛部が前記第1指掛部に対して相対的に開閉動作し、前記第1指掛部と前記第2指掛部が閉じることによって前記エンドエフェクタ軸が閉じることを特徴とする。
【0013】
このように、固定された第1指掛部に対して第2指掛部が接近して、閉じる操作をすることによって、力をかけやすくなり操作性が向上する。また、第1指掛部と第2指掛部が閉じることによってエンドエフェクタも閉じることから、直感的な操作が可能となる。
【0014】
前記第1指掛部及び前記第2指掛部には、それぞれ指挿入輪が設けられていてもよい。これにより、はさみの柄と似た構成となり、慣れがあり、扱いやすい。また、エンドエフェクタに加わる力を感じやすい。閉じ方向だけでなく、開く方向にも操作しやすい。
【0015】
前記第1指掛部における前記指挿入輪は、前記第2指掛部における前記指挿入輪よりも広く、前記第1指掛部の延在方向に長くしてもよい。
【0016】
前記第2指掛部で、前記第1指掛部に対向する側と逆の側は、前記開閉軸を中心として略径方向に延在する直線形状であってもよい。これにより、親指の根元側腹部で力を加えやすく、また、エンドエフェクタに加わる力を感じやすい。
【0017】
前記先端動作部は、前記連結シャフトの基端側から先端側に延在する軸線と非平行に回動可能なピボット軸を有し、前記連結シャフトの軸に対して直交する軸を基準として回転し、前記ピボット軸に対して動作指令を与える操作つまみを有してもよい。
【0018】
前記開閉軸は、前記連結シャフトの軸線上又はその近傍に設けられ、前記第1指掛部は、前記連結シャフトの軸線を基準として側方に延在し、前記第2指掛部は、前記第1指掛部よりも基端側斜め側方に延在していてもよい。これにより、手がシャフトの軸線と略直角な向きとなり、操作性が向上する。
【0019】
前記第2指掛部は、弾性体によって設定される非操作時の初期姿勢から、前記第1指掛部の方向へ接近して閉じられるようにしてもよい。
【0020】
前記開閉軸は、前記連結シャフトの軸線上又はその近傍に設けられ、前記第1指掛部は、前記連結シャフトの軸線方向に沿って基端側に延在し、前記第2指掛部は、基端側斜め側方に延在し、弾性体によって設定される非操作時の初期姿勢から、前記連結シャフトの軸線方向に接近して前記第1指掛部の方向へ閉じられてもよい。これにより、しっかりと握ることができて力を加えやすい。非操作時には、弾性体によって初期姿勢に戻すことができる。
【0021】
前記姿勢軸アクチュエータは、前記エンドエフェクタ軸を回転させるロール軸アクチュエータと、前記ロール軸アクチュエータを動作させるためのロール回転指令入力手段とを有し、前記ロール回転指令入力手段は、前記連結シャフトの軸と略同軸の軸を基準として回転することにより指令信号を発するものであってもよい。
【0022】
前記姿勢軸アクチュエータは、前記エンドエフェクタ軸を傾動させるヨー軸アクチュエータと、前記ヨー軸アクチュエータを動作させるためのヨー軸動作指令入力手段とを有し、前記ヨー軸動作指令入力手段は、前記ロール回転指令入力手段の基端側に設けられていてもよい。
【0023】
前記ロール回転指令入力手段は、表面に複数の凹凸を有してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るマニピュレータによれば、固定された第1指掛部に対して第2指掛部が接近して、閉じる操作をすることによって、力をかけやすくなり操作性が向上する。また、第1指掛部と第2指掛部が閉じることによってエンドエフェクタも閉じることから、直感的な操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】マニピュレータの側面図である。
【図2】マニピュレータの平面図である。
【図3】操作部の斜視図である。
【図4】図4Aは、ロール軸入力部の正面図であり、図4Bは、変形例に係るロール軸入力部の正面図である。
【図5】第1の変形例に係る操作部の側面図である。
【図6】図5と異なる把持方法で把持された第1の変形例に係る操作部の側面図である。
【図7】第2の変形例に係る操作部の側面図である。
【図8】モータがY2方向に突出している場合の操作部の側面図である。
【図9】トリガレバーを十分に引いたときの、先端動作部の模式側面図である。
【図10】トリガレバーを押し出したときの、先端動作部の模式側面図である。
【図11】先端動作部の模式構造図である。
【図12】先端動作部の断面側面図である。
【図13】先端動作部の断面平面図である。
【図14】先端動作部で、グリッパを閉じた状態の断面側面図である。
【図15】先端動作部の分解斜視図である。
【図16】エンドエフェクタ駆動機構の一部を示す模式構造図である。
【図17】トリガレバーを操作しないときの、エンドエフェクタ駆動機構の模式側面図である。
【図18】受動ワイヤの端部の接続箇所の模式断面平面図である。
【図19】受動ワイヤの端部の接続箇所の模式断面側面図である。
【図20】トリガレバーを押し出したときの、第2エンドエフェクタ駆動機構の一部断面平面図である。
【図21】トリガレバーを十分に引いたとき、第2エンドエフェクタ駆動機構の一部断面平面図である。
【図22】トリガレバーを押し出したときの、第2エンドエフェクタ駆動機構の一部断面側面図である。
【図23】変形例に係る先端動作部の模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るマニピュレータについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図23を参照しながら説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態に係るマニピュレータ10は、コントローラ11に接続されている。マニピュレータ10は、基本的には医療用である。
【0028】
コントローラ11は、マニピュレータ10の電気的な制御をする部分であり、グリップハンドル(第1指掛部)26の下端部から延在するケーブルに対してコネクタを介して接続されている。コントローラ11は、マニピュレータ10を独立的に複数台同時に制御することができる。もちろん、1台のマニピュレータ10を制御するコントローラを用いてもよい。
【0029】
マニピュレータ10は、先端動作部12に生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うためのものであり、通常、把持鉗子やニードルドライバ(持針器)等とも呼ばれる。
【0030】
図1、図2及び図3に示すように、マニピュレータ10は、人手によって把持及び操作される操作部14aと、該操作部14aに固定された作業部16とを有する。作業部16は、作業を行う先端動作部12と、該先端動作部12と操作部14aとを連接する長尺で中空の連結シャフト18とを有する。先端動作部12及び連結シャフト18は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール20から体腔22内に挿入可能であり、複合入力部24の操作により体腔22内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。操作部14aと作業部16とは一体構成であるが、条件に応じて分離可能な構成にしてもよい。
【0031】
以下の説明では、図1及び図2における幅方向をX方向、高さ方向をY方向及び、連結シャフト18の延在方向をZ方向と規定する。また、先端側から見て右方をX1方向、左方をX2方向、上方向をY1方向、下方向をY2方向、前方をZ1方向、後方をZ2方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載はマニピュレータ10が中立姿勢である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、マニピュレータ10は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることはもちろんである。
【0032】
操作部14aは、人手によって把持されるグリップハンドル26と、該グリップハンドル26の上部から延在するブリッジ28と、該ブリッジ28の先端に接続されたアクチュエータブロック30とを有する。グリップハンドル26は、人手によって把持されるのに適した長さであり、上部の傾斜面に複合入力部24を有する。グリップハンドル26は、ブリッジ28の端部から略Y2方向に向かって延在している。このような角度にすることにより、マニピュレータ10の全体を動かす際の操作性が高まるとともに、複合入力部24の操作性が高まることが確かめられている。
【0033】
作業部16は、アクチュエータブロック30に接続されているプーリボックス32と、プーリボックス32からZ1方向に延在している連結シャフト18と、該連結シャフト18の先端に設けられた先端動作部12と、プーリボックス32からZ2方向に延在する筒部34と、該筒部34の基端側に軸支されたトリガレバー(入力部、第2指掛部)36とを有する。
【0034】
先端動作部12は、ロール軸入力部(ロール回転指令入力手段)54、複合入力部(操作つまみ)24及びトリガレバー36の操作に基づいて3軸の動作が可能である。すなわち、基端側から順に、Y軸を基準に傾動するヨー軸動作、先端を指向する軸(中立姿勢時にはZ軸)を基準に回転するロール軸、及び開閉可能なグリッパ軸である。ヨー軸及びロール軸は、ヨー軸入力部56及びロール軸入力部54の左右方向の操作に基づいて、対応する所定のスイッチがオンになることによって電気的に駆動される。このとき、モータ60及び62は動作に応じて協働し、ロール軸アクチュエータ及び(又は)ヨー軸アクチュエータとして作用する。
【0035】
グリッパ軸(エンドエフェクタ1300)はトリガレバー36の操作に基づいて機械的に駆動される。ここで機械的とはワイヤ、チェーン、タイミングベルト、リンク、ロッド、ギア等を介して駆動する方式であり、主に、動力伝達方向に非弾性な固体の機械部品を介して駆動する方式である。ワイヤやチェーン等は、張力により不可避的な多少の伸びが発生する場合があるが、これらは非弾性な固体の機械部品とする。
【0036】
図3に示すように、複合入力部24は、ベースブロック50と、ベースブロック50の上に設けられたハウジング52と、ヨー軸入力部56と、3つのスイッチ操作子58a、58b及び58cとを有する。トリガレバー36を引き寄せる操作をするとロッド192aも一体的に引き寄せられる。トリガレバー36については、押し引き操作によってロッド192a及び192bを操作することができ、特に初期姿勢は設定されていないが、例えば、所定の弾性体によって設定される非操作時の初期姿勢から、グリップハンドル26の方向へ接近して閉じられるようにしてもよい。
【0037】
スイッチ操作子58bは、ロール軸入力部54及びヨー軸入力部56の有効及び無効の切換や、ピボット軸機構を所定の初期姿勢に戻す(一度押すと初期姿勢まで自動的に移動し、停止する。)、又は初期姿勢方向に移動させる(押しているときだけ初期姿勢方向に移動し、初期姿勢になったら自動的に停止する。)ためのスイッチとして用いることができる。
【0038】
同様にスイッチ操作子58a及び58cは、ロール回転機構を所定の初期姿勢に戻す、又は初期姿勢方向に移動させるためのスイッチとして用いることができる。
【0039】
図1及び図2に示すように、アクチュエータブロック30は、2つのモータ(姿勢軸アクチュエータ)100及び102と、該モータ60及び62を支持するアクチュエータブラケット90と、モータ60及び62の回転方向を変換して作業部16に伝達するギア機構部92とを有する。アクチュエータブロック30は、ブリッジ28の先端に接続されている。
【0040】
モータ60及び62は、円柱形状であり、アクチュエータブラケット90によってZ方向に延在する向きでX方向に並列している。Z1方向には出力軸60a、62aが設けられている。
【0041】
ギア機構部92は、アクチュエータブラケット90におけるZ1方向側の3つのプレートで囲まれた空間でX方向に対称構成として設けられている。
【0042】
図1及び図2に示すように、ギア機構部92は、2本の駆動シャフト116a、116bと、2つの駆動傘歯車118a、118bと、2つの従動傘歯車120a、120bとを有する。
【0043】
駆動シャフト116aは、上端及び中央部がベアリングに軸支され、下端は軸孔を貫通して所定量突出して、Y方向に延在している。駆動シャフト116a及び116bには、ワイヤ1052、1054(図11参照)が巻き掛けられており、後述するワイヤガイド部160a、160bを経由して連結シャフト18の中空部分を通って先端動作部12まで延在している。ワイヤ1052、ワイヤ1054はそれぞれ同種、同径のものを用いることができる。
【0044】
操作部14aにおける複合入力部24、トリガレバー36の位置、形態や操作方法などは、本構成に限定されない。例えば、複合入力部24の代わりに、操作ローラやボタン、ジョイスティックなどを設けてもよく、操作しやすい位置や方法を適宜選択して設計すればよい。
【0045】
トリガレバー36の人手による操作は機械的に伝達されてエンドエフェクタ1300の開閉が行われる。トリガレバー36とエンドエフェクタ1300との間で、人手による操作を機械的に伝達する手段である荷重リミッタ210a、トリガワイヤ210b、ロッド192a及び後述するエンドエフェクタ駆動機構1320a、1320b(図11参照)等は操作伝達部を形成している。
【0046】
駆動傘歯車118aと従動傘歯車120aは互いに噛合し、出力軸60aの回転を90°変換して駆動シャフト116aに伝達している。
【0047】
プーリボックス32は、第1の機能として、操作部14aのギア機構部92に接続されて、駆動シャフト116a及び116bの回転を連結シャフト18に中継する機能を有し、第2の機能として、筒部34に接続されて、トリガレバー36の操作を連結シャフト18に中継する機能を有し、第3の機能として、連結シャフト18内の気密状態を維持する機能を有する。
【0048】
プーリボックス32は、その内部の空洞部にワイヤガイド部160a、160bと、シャフト支持部154とを有する。
【0049】
ワイヤガイド部160a、160bには円筒アイドラが設けられており、駆動シャフト116a、116bによって駆動されるワイヤ1052及び1054を連結シャフト18の内部へ案内している。
【0050】
このようなワイヤガイド部160a、160bを用いることにより、連結シャフト18は、モータ60及び62の径に依存することなく十分に細くでき、例えば、トラカール20に挿入するのに適した5mm〜10mm程度に設定することができる。
【0051】
次に、筒部34とトリガレバー36の構成について説明する。
【0052】
図1に示すように、トリガレバー36は、ブリッジ28のトリガ軸28bに回動自在に軸支されており、該トリガ軸28bに軸支されるアーム部200と、該アーム部200のY2側に設けられた指輪部202と、さらにY2側に設けられた指掛け突起204と、Z2方向側に突出したラチェット爪206とを有する。指輪部202は、主に人差し指が挿入され、指掛け突起204は、主に中指及び薬指を掛けるのに適している。
【0053】
ラチェット爪206は、ラチェットリリース208と一体構成であり、図示しない弾性体によって、先端の爪を上方に向けて付勢している。トリガレバー36をZ2方向に大きく変位させると、ラチェット爪206は、グリップハンドル26内の係合部に係合して、閉状態にロックさせることができる。このロック状態はラチェットリリース208の操作によって解除される。
【0054】
筒部34は、プーリボックス32とトリガレバー36との間に設けられた筒体210と、該筒体210の外側に設けられたロール軸入力部54と、ロール軸入力スイッチ212a、212bとを有する。
【0055】
該筒体210内には荷重リミッタ210a及びトリガワイヤ210bが設けられており、ロッド192a及び192bをアーム部200に中継している。荷重リミッタは、ロッド192aとアーム部200におけるトリガ軸28bよりも下の部分とを中継し、トリガワイヤはロッド192bとアーム部200におけるトリガ軸28bよりも上の部分とを中継している。
【0056】
ロール軸入力部54は、先端動作部12に対してロール方向(軸回転方向)の入力指令を与える手段であり、非操作時には図示しない弾性体によって所定の初期角度に維持されており、基端側から見て時計方向に回転させるとロール軸入力スイッチ212aがオンとなって先端動作部12のロール軸が所定速度で時計方向に回転する。基端側から見て反時計方向に回転させるとロール軸入力スイッチ212bがオンとなって先端動作部12のロール軸が所定速度で反時計方向に回転する。ロール軸入力部54は、連結シャフト18と同軸構成になっており、ロール軸の直感的な操作が可能である。ロール軸入力部54は、トリガレバー36から近い位置に設けられており、例えば親指及び人差し指による操作が可能である。
【0057】
図4Aに示すように、ロール軸入力部54は、正面視で変形六角形状であって、外側の6つの円弧部と、それらの各間に設けられた6つの円弧凹部とを有しており、指でつまみやすい。ロール軸入力部54は、例えば図4Bに示すように、4つの円弧部及び円弧凹部からなる変形四角形状(又は変形八角形状等)でもよい。ロール軸入力部54には、表面に複数の凹凸を有することにより、指を掛けやすく操作性が向上する。各凹凸は、回転軸方向(つまりZ方向)に延在する形状であるとよい。
【0058】
このように構成される操作部14aでは、グリップハンドル26は本体部及び連結シャフト18に対して固定されており、トリガレバー36は、グリップハンドル26に対して相対的に開閉動作し、これらが閉じることによってエンドエフェクタ1300が閉じる。これによって、エンドエフェクタ1300に対して力をかけやすくなり操作性が向上する。また、トリガレバー36とグリップハンドル26が閉じることに応じてエンドエフェクタ1300も閉じることから、直感的な操作が可能となる。
【0059】
また、ロール軸入力部54は、連結シャフト18の軸Jを略同軸の軸を基準として回転することにより指令信号を発することから、ロール軸の直感的な操作が可能である。
【0060】
通常のラパロ鉗子では、クリッパを長手方向に回転させるとき、シャフトそのものを回転させる場合もあるが、大きな角度に回転させる場合には人差し指で指掛け部を回し、シャフトの回転を行う。
【0061】
本願実施例のマニピュレータ10における操作部14aは、先端のグリッパの回転は、ロール軸によって行うが、ロール軸入力部54が連結シャフト18回りに回転する構成であることから、ラパロ鉗子と操作感及び操作方法が同様であり、操作を間違うことがなく、操作性が向上する。特に、ラパロ鉗子とマニピュレータ10とを併用する場合などに、操作方法が共通していると混乱がなくて好適である。
【0062】
また、ヨー軸入力部56は、使用していない(空いている)親指で操作することを想定しているため、人差し指で操作するロール軸入力部54よりも基端側に設けることにより自然な操作が可能となって好適である。
【0063】
ロール軸入力部54は、グリップハンドル26よりも適度に離れていることから、人差し指による操作が窮屈にならない。
【0064】
次に、操作部14aについての2つの変形例について説明する。各変形例において、操作部14aと同じ箇所については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、第1変形例に係る操作部14bは、ロール軸入力部54と、ヨー軸入力部(操作つまみ)102と、グリッパ軸入力部104とを有する。
【0066】
ロール軸入力部54は、連結シャフト18と同軸状に設けられた回転体であり、回転操作の方向に応じて先端動作部12のロール軸が回転する。ヨー軸入力部102は、ブリッジ28の下方に設けられたノブであり、左右操作の方向に応じて先端動作部12のヨー軸が動作する。ヨー軸入力部102は、前記のヨー軸入力部56に相当する。ヨー軸入力部102の操作端子は下向きとなっている。
【0067】
ロール軸入力部54及びヨー軸入力部102は、左右いずれの側からも操作が可能に設けられており、主に人差し指によって操作される。
【0068】
グリッパ軸入力部104は、前記のトリガレバー36に相当し、エンドエフェクタ1300に対して機械的に接続され、該エンドエフェクタ1300の開閉操作を行う部分である。
【0069】
グリッパ軸入力部104は、マニピュレータ10の最も基端側に設けられており、開閉軸106を基準にして開閉する第1指掛部108及び第2指掛部110を備える。開閉軸106は、連結シャフト18の軸線J上又はその近傍に設けられたX方向の軸であり、第2指掛部110はY−Z平面上で回転する。
【0070】
第1指掛部108は、接続機構112を介して本体部分に固定され、開閉軸106を基準として略Y2方向に延在しており、順に、略Y2方向に延在するバー114と、指が2本挿入可能な第1指挿入輪116と、1本の指を掛けるのに適した円弧部118とを有する。
【0071】
第1指挿入輪116は、バー114の延在軸線よりもZ1側寄りに設けられており、Y方向に長く、Y1側よりもY2側がやや狭くなっており、Y2方向に向かってZ2方向に寄る緩やかな円弧形状である。円弧部118は、バー114のほぼ真下にある略半円形状部であって、Z1方向とY2方向の中間方向に開口している。第1指挿入輪116のZ2方向面で、円弧部118の上方部には、円弧凹部120が形成されている。
【0072】
第1指掛部108は接続機構112の部分で着脱自在であり、異なる形状のものに交換可能である。
【0073】
第2指掛部110は、第1指掛部108よりも基端側斜め側方(Z2方向とY2方向の中間方向)に延在し、開閉軸106を基準として回動可能に形成され、ロッド192a(図11参照)をZ方向に進退させることによって、エンドエフェクタ1300を開閉させることができる。第2指掛部110は、開閉軸106から延在するバー122と、該バー122の先端に設けられた第2指挿入輪124と、開閉軸106のY1側に設けられたロッド接続部125aと、Y2側に設けられた円弧ガイド125bとを有する。
【0074】
第2指挿入輪124は、バー122の延在軸線よりも第1指挿入輪116に近い側に配置されており、その逆の側は、開閉軸106を中心として略外径方向に延在する直線部126が形成されている。
【0075】
ロッド接続部125aは、第2指掛部110を開いたときにブリッジ28の一部に当接してストッパとして作用するとともに、その基端部は荷重リミッタ210aを介してロッド192aと接続されている。
【0076】
円弧ガイド128は、トリガワイヤ210bをガイドして、ロッド192bに接続されている。
【0077】
第1指挿入輪116は、第2指挿入輪124よりも広く、Y2方向に長いことから、図5のように把持することが容易となっている。つまり、第1指挿入輪116は主に中指及びくすり指を挿入するのに適し、円弧部118は主に小指を掛けるのに適し、第2指挿入輪124は主に親指を挿入するのに適している。直線部126は主に親指の根元腹部を当てるのに適している(図6参照)。
【0078】
グリッパ軸入力部104は、例えば、図5に示すように把持されて、第2指挿入輪124に挿入された親指の作用下に開閉され、エンドエフェクタ1300を開閉させることができる。グリッパ軸入力部104を閉じたときには、第2指挿入輪124は円弧凹部120に入り込んで、十分に閉じる。
【0079】
このようなグリッパ軸入力部104によれば、握力を掛けやすくなり操作性が向上する。また、第1指掛部108と第2指掛部110が閉じることによってエンドエフェクタ1300も閉じることから、直感的な操作が可能となる。第1指掛部108及び第2指掛部110には、第1指挿入輪116及び第2指挿入輪124が設けられていることからはさみの柄と似た構成で、慣れがあり、扱いやすく、特に、閉じ方向だけでなく、開く方向にも操作しやすいことから、対象物を押し広げる操作(例えば剥離操作)にも適用できる。
【0080】
また、第1指挿入輪116及び第2指挿入輪124によって、指との接触面積が大きくなり、エンドエフェクタ1300に加わる力を感じやすい。
【0081】
第1指掛部108と第2指掛部110は、開閉軸106を基準として開閉することから、いわゆる梃子の原理により大きな力を発生させることができるとともに、エンドエフェクタ1300に加わる力が指に伝達されやすい。
【0082】
さらに、第1指掛部108は、連結シャフト18の軸線Jを基準として側方(Y2方向)に延在していることから、手が軸線Jと略直角な向きとなり、操作性が向上する。このことは、ピストルにおける銃身とグリッパとの位置関係からも了解されよう。
【0083】
グリッパ軸入力部104は、図6に示すように、直線部126に親指の根元腹部を当てて把持することも可能である。これにより、第1指掛部108と第2指掛部110とをより強い力で閉じさせることができる。親指の根元腹部は、直線部126に対して広い面積で当接し、把持しやすいとともに、エンドエフェクタ1300に加わる力を知覚しやすい。
【0084】
図5及び図6に示す例に限らず、グリッパ軸入力部104は種々の持ち方が可能である。
【0085】
次に、第2変形例に係る操作部14cについて説明する。
【0086】
図7に示すように、操作部14cは、ロール軸入力部54と、ヨー軸入力部102と、グリッパ軸入力部130とを有する。グリッパ軸入力部130は、前記のトリガレバー36に相当する部分であって、エンドエフェクタ1300に対して機械的に接続され、該エンドエフェクタ1300の開閉操作を行う部分である。
【0087】
グリッパ軸入力部130は、前記のトリガレバー36に相当する部分であって、エンドエフェクタ1300に対して機械的に接続され、該エンドエフェクタ1300の開閉操作を行う部分である。
【0088】
グリッパ軸入力部130は、マニピュレータ10の最も基端側に設けられており、開閉軸106を基準にして開閉する第1指掛部132及び第2指掛部134を備える。
【0089】
第1指掛部132は、先端上面が緩やかな円弧状の長尺部材であって、本体部分に固定され、連結シャフト18の軸線J方向に沿って基端側(Z2側)に延在している。第1指掛部132は人手による主把持部であり、第2指掛部134よりもやや太く構成されている。
【0090】
第1指掛部132における先端部近傍には、ロール軸入力部54及びヨー軸入力部102がZ方向に並列して設けられており、例えば親指による操作が可能である。ロール軸入力部54は、ヨー軸入力部56よりもややZ1側に設けられており、連結シャフト18と同軸に配置されている。ヨー軸入力部102の操作端子は上向きとなっている。
【0091】
第2指掛部134は、第1指掛部132と略上下対称形状であって、開閉軸106を基準にして、基端側にやや斜め側方に延在しおり、図示しない弾性体によって弾性付勢され、非操作時の初期姿勢(実線部参照)として第1指掛部132からやや離間した角度に配置されている。第2指掛部134は、開閉軸106よりもY2側で荷重リミッタ210aに接続されるレバー部136と、Y1側でトリガワイヤ210bに接続される円弧ガイド部138とを有する。
【0092】
初期姿勢時には、エンドエフェクタ1300は開いている。第2指掛部134は、人手による操作で、初期姿勢から軸線J方向に接近して第1指掛部132の方向へ閉じられ(仮想線部参照)、これに応じてエンドエフェクタ1300も閉じる。
【0093】
このようなグリッパ軸入力部130では、しっかりと握ることができて力を加えやすい。また、非操作時には、弾性体によって初期姿勢に戻すことができる。ここでいう初期姿勢とは操作部としてのグリッパ軸入力部130に関するものであり、エンドエフェクタ1300に関して規定される基準姿勢とは別である。
【0094】
上述した操作部14a、14b及び14cは、開閉するエンドエフェクタ1300に対して好適であり、対象物を把持するグリッパ形式及び切断をする鋏み形式のいずれにも適用可能である。
【0095】
上記の各操作部14a〜14cでは、モータ60及び62を上方部分においてZ方向に延在して、X方向に並列した形態で示したが、これに限らず、例えば、図8(操作部14bをベースにして示す。)に示すように、モータ60及び62は、X方向に並列させたままプーリボックス32からY2方向に突出して、駆動シャフト116a及び116bを直接的に駆動する形態でもよい。これによれば、傘歯車機構が不要の簡便構成となる。
【0096】
次に、先端動作部12の構成について説明する。
【0097】
図9に示すように、先端動作部12には、ロッド192a、受動ワイヤ1252a、アイドルプーリ1140a、ガイドプーリ1142a、受動プーリ1156aを含む第1エンドエフェクタ駆動機構1320aと、これに対応した第2エンドエフェクタ駆動機構1320bが設けられている。第1エンドエフェクタ駆動機構1320a及び第2エンドエフェクタ駆動機構1320bは、エンドエフェクタ1300を開閉させる基本的な構成である。
【0098】
第1エンドエフェクタ駆動機構1320aにおける構成要素には符号にaを付し、第2エンドエフェクタ駆動機構1320bにおける構成要素には符号にbを付して区別する。第1エンドエフェクタ駆動機構1320aにおける構成要素と第2エンドエフェクタ駆動機構1320bにおける構成要素で同じ機能のものについては、煩雑とならないよう、代表的に第1エンドエフェクタ駆動機構1320aについてのみ説明する場合がある。
【0099】
図9、図10においては、理解が容易となるように、第1エンドエフェクタ駆動機構1320aと第2エンドエフェクタ駆動機構1320bを紙面上で並列して示すが、実際のマニピュレータ10に適用する場合には、図11に示すように、各プーリの軸方向(つまりY方向)に並列させ、アイドルプーリ(円柱部材、伝達部材)1140a及び1140bと、ガイドプーリ(円柱部材、伝達部材)1142aと1142bの回転軸は、それぞれ同軸上に配置するとよい。つまり、アイドルプーリ1140a及び1140bは軸1110(図11参照)に共通的に軸支することができ、ガイドプーリ1142aと1142bは軸1112に共通的に軸支することができる。ガイドプーリ1142aとガイドプーリ1142bを同軸構成とすることにより、ヨー軸動作機構が簡便になる。
【0100】
図12、図13、図14、図15に示すように、先端動作部12は、ワイヤ受動部1100と、複合機構部1102と、エンドエフェクタ1300とを有し、Y方向の第1回転軸Oyを中心にして、それよりも先の部分がヨー方向に回動する第1自由度と、第2回転軸Orを中心にしてロール方向に回動する第2自由度と、第3回転軸Ogを中心として先端のエンドエフェクタ1300を開閉させる第3自由度とを有する合計3自由度の機構となっている。
【0101】
第1自由度の機構である第1回転軸Oyは、連結シャフト18の基端側から先端側に延在する軸線Cと非平行に回動可能に設定するとよい。第2自由度の機構である第2回転軸Orは先端動作部12における先端部(つまりエンドエフェクタ1300)の延在方向の軸線を中心として回動可能な機構とし、先端部をロール回転可能に設定するとよい。
【0102】
第1自由度の機構(つまりヨー方向)は、例えば±90°又はそれ以上の稼動範囲を有する傾動機構(又は屈曲機構)である。第2自由度の機構(つまりロール方向)は、例えば±180°又はそれ以上の稼動範囲を有する回動機構である。第3自由度の機構(つまりエンドエフェクタ1300)は、例えば40°又はそれ以上開くことのできる開閉機構である。
【0103】
エンドエフェクタ1300は、手術において実際の作業を行う部分であり、第1回転軸Oy及び第2回転軸Orは、作業を行い易いようにエンドエフェクタ1300の姿勢を変えるための姿勢変更機構を構成する姿勢軸である。一般に、エンドエフェクタ1300を開閉させる第3自由度に係る機構部はグリッパ(又はグリッパ軸)とも呼ばれ、ヨー方向に回動する第1自由度に係る機構部はヨー軸とも呼ばれ、ロール方向に回動する第2自由度に係る機構部はロール軸とも呼ばれる。
【0104】
ワイヤ受動部1100は、一対の舌片部1058の間に設けられており、ワイヤ1052、ワイヤ1054のそれぞれの往復動作を回転動作に変換して複合機構部1102に伝達する部分である。ワイヤ受動部1100は、軸孔1060a、1060aに挿入される軸1110と、軸孔1060b、1060bに挿入される軸1112とを有する。軸1110及び1112は、軸孔1060a、1060bに対して、例えば圧入若しくは溶接により固定される。軸1112は第1回転軸Oyの軸上に配置される。
【0105】
軸1112のY方向両端には、Y方向に対称形状の歯車体1126及び歯車体1130が設けられている。歯車体1126は、筒体1132と、該筒体1132の上部に同心状に設けられた歯車1134とを有する。歯車体1130は、歯車体1126と略同形状であって、該歯車体1126に対してY方向に配置されている。歯車体1130は、筒体1136と、該筒体1136の下部に同心状に設けられた歯車1138とを有する。歯車1134及び歯車1138は、後述するギア体1146のフェイスギア1165の上端部及び下端部に噛合する。
【0106】
筒体1136は筒体1132と略同径、同形状である。筒体1132及び筒体1136には、ワイヤ1052及び1054が所定の固定手段によって一部が固定されて巻き掛けられている。ワイヤ1052及び1054の巻き掛けられる角度は、例えば1.5回転(540°)である。
【0107】
ワイヤ1052及び1054(図11参照)を回転動作させることにより、歯車体1126及び歯車体1130を軸1112に対して回転させることができる。歯車体1126と歯車体1130を同方向に同速度で回転させると、ギア体1146は軸1112を基準として揺動し、ヨー方向動作が行われる。歯車体1126と歯車体1130を逆方向に同速度で回転させると、ギア体1146は第2回転軸Orを基準として回転し、ロール回転動作が行われる。歯車体1126と歯車体1130を異なる速度で回転させると、ギア体1146は、ヨー方向動作とロール回転動作の複合動作が行われる。つまり、歯車体1126、歯車体1130及びギア体1146は差動機構(例えば、特許文献3における図23に示される構成に相当する。)を構成している。
【0108】
先端動作部12の機構は差動機構に限らず、例えば、ワイヤ1052が歯車1134を介してフェイスギア1165を駆動するのに対してワイヤ1054は主軸部材1144を直接的に回転駆動する形式(例えば、特許文献3における図7に示される構成に相当する。)としてもよい。
【0109】
軸1110の略中央部にはアイドルプーリ(円柱部材、伝達部材)1140aが回転自在に軸支されており、軸1112の略中央部にはガイドプーリ(円柱部材、伝達部材)1142aが回転自在に軸支されている。アイドルプーリ1140aは、ガイドプーリ1142aに巻きかける受動ワイヤ(可撓性部材、伝達部材)1252aの巻き掛け角度を常に一定(両側あわせて約180°)に保つためにある。アイドルプーリ1140aの代わりに、ガイドプーリ1142aに受動ワイヤ1252aを1巻き以上してもよい。アイドルプーリ1140a及びガイドプーリ1142aは、受動ワイヤ1252a(図17参照)に対するすべり、及び摩擦による摩耗を低減するために、表面を滑らかにし、又は摩擦の少ない材質を用いるとよい。ガイドプーリ1142aは、姿勢変更機構におけるヨー軸Oyに設けられている。
【0110】
軸1112における、歯車体1126とガイドプーリ1142aとの間、及びガイドプーリ1142aと歯車体1130との間には主軸部材1144が回転自在に軸支されている。主軸部材1144は、複合機構部1102に向けて突出する筒部を有する。主軸部材1144の軸心部には方形の孔1144aが設けられている。主軸部材1144のZ2方向端部には、ガイドプーリ1142aのY方向両面を保持するとともに軸1112が挿通する孔を有する2枚の補助板1144bが設けられている。補助板1144bはZ1方向に向かって幅広となる山形であって、糸等の異物の侵入を防止する。
【0111】
複合機構部1102は、エンドエフェクタ1300の開閉動作機構と、該エンドエフェクタ1300の姿勢を変化させる姿勢変更機構とを含む複合的な機構部である。
【0112】
複合機構部1102は、主軸部材1144の筒部周面に対して回転自在に嵌挿されたギア体1146と主軸部材1144の先端に設けられたナット体1148と、Z2方向端部が孔1144aに挿入される断面四角の伝達部材1152と、該伝達部材1152のZ2方向端部に対してピン1154により回転自在に軸支される受動プーリ(円柱部材、伝達部材)1156aと、受動板(伝達部材)1158と、円筒状のカバー1160とを有する。
【0113】
主軸部材1144におけるギア体1146と当接する部分には、樹脂製のスラスト軸受部材1144cが設けられている。ナット体1148におけるギア体1146と当接する部分には、樹脂製のスラスト軸受部材1148aが設けられている。スラスト軸受部材1144c及び1148aは低摩擦材であって、当接部分の摩擦及びトルクを低減するとともに、フェイスギア1165に負荷が直接的にかかることを防止する。スラスト軸受部材1144c及び1148aは、いわゆる滑り軸受である。
【0114】
ギア体1146は、段付き筒形状であって、Z2方向の大径部1162と、Z1方向の小径部1164と、大径部1162のZ2方向端面に設けられたフェイスギア1165とを有する。フェイスギア1165は、歯車1134及び歯車1138に噛合する。ギア体1146は、ナット体1148が主軸部材1144に対する抜けることを防止する。大径部1162の外周には、ねじが設けてある。
【0115】
受動板1158は、Z2方向の凹部1166と、該凹部1166の底面に設けられた係合部1168と、Y方向両面にそれぞれ設けられた軸方向のリブ1170と、リンク孔1172とを有する。係合部1168は、伝達部材1152の先端に設けられたきのこ状の突起1174に係合する形状である。この係合により、受動板1158と伝達部材1152は、相対的なロール軸の回転が可能になる。受動板1158の幅はカバー1160の内径に略等しい。
【0116】
カバー1160は、複合機構部1102の略全体を覆う大きさであり、複合機構部1102及びエンドエフェクタ1300に異物(生体組織、薬剤、糸等)が入り込むことが防止される。カバー1160の内面には、受動板1158の2つのリブ1170が嵌る軸方向の2本の溝1175が対向する向きに設けられている。溝1175にリブ1170が嵌ることにより受動板1158が軸方向にガイドされる。受動板1158の係合部1168には突起1174が係合することから、受動プーリ1156aは孔1144a内において、受動板1158及び伝達部材1152とともに軸方向に進退可能であるとともに、伝達部材1152を基準としてロール回転が可能である。カバー1160は、ギア体1146の大径部1162に対して螺入、圧入等の手段により固定されている。
【0117】
カバー1160は、ギア体1146と基部側で結合(螺合、圧入、溶接等)されており、ギア体1146の回転とともにカバー1160及びエンドエフェクタ1300はロール軸動作を行う。
【0118】
レバー部1310と受動板1158は、グリッパリンク1220により連接されている。つまり、各グリッパリンク1220の一端の孔1220aは、孔1218とともにピン1222が挿入され、他端の孔1220bは、受動板1158のリンク孔1172とともにピン1224が挿入されて連接されている。
【0119】
図16に示すように、アイドルプーリ1140aは、同軸上の第1層アイドルプーリ(第1層アイドル円柱体)1232と第2層アイドルプーリ(第2層アイドル円柱体)1234の2枚が並列して構成されており、ガイドプーリ1142aは、同軸上の第1層ガイドプーリ(第1層ガイド円柱体)1236と第2層ガイドプーリ(第2層ガイド円柱体)1238の2枚が並列して構成されている。
【0120】
図17に示すように、ロッド192aのZ1方向端部は、ワイヤ係合部1250aによって受動ワイヤ(可撓性部材)1252aの両端部に接続されている。
【0121】
図18及び図19に示すように、ワイヤ係合部1250aは、ロッド192aの先端部1414にローラ1416が設けられ、該ローラ1416に受動ワイヤ1252aが巻き掛けられている。ローラ1416はピン1418に軸支されており回転自在である。これにより、受動ワイヤ1252aはローラ1416に巻きかけられながら適度に進退し、ロッド192aをZ2方向に引くときに、特にヨー軸が屈曲しないような状態でも、受動ワイヤ1252aをX方向のバランスよく引くことができる。先端部1414は、ロッド192aに螺設されている。この実施例では、受動ワイヤ1252aのY方向一対の張力が均一となり、長寿命化を図ることができるとともに、上下両方のY方向一対の平行化を図ることができる。
【0122】
図16及び図17に戻り、受動ワイヤ1252aは、一部がワイヤ係合部1250aに接続された環状の可撓性部材であり、ワイヤ以外にもロープ、樹脂線、ピアノ線及びチェーン等を用いることができる。ここで、環状とは広義であり、必ずしも全長にわたって可撓性部材が適用されている必要はなく、少なくとも各プーリに巻き掛けられる箇所が可撓性部材であればよく、直線部は剛体で接続されていてもよいことはもちろんである。
【0123】
受動ワイヤ1252aは、駆動部材のロッド192aから、アイドルプーリ1140aのX1方向(第1の側方)を通り、X2方向(第2の側方)に向かい、ガイドプーリ1142aのX2方向の面を通り受動プーリ1156aのX2方向面に至る。受動ワイヤ1252aは、さらに、受動プーリ1156aのZ1方向面に半周巻き掛けられてX1方向面に至り、ガイドプーリ1142aのX1方向の面を通り、X2方向に向かいアイドルプーリ1140aのX2方向を通りワイヤ係合部1250aに至る経路で配設されている。
【0124】
つまり、受動ワイヤ1252aは、ワイヤ係合部1250aを基点及び終点とする一巡の経路を構成し、アイドルプーリ1140aの両側方を通り、受動プーリ1156aに巻き掛けられ、アイドルプーリ1140aとガイドプーリ1142aとの間で交差して、略8字形状をなす。これにより、ワイヤ係合部1250a及び受動ワイヤ1252aは、ロッド192aを介してトリガレバー36に対して機械的に接続されていることになる。
【0125】
アイドルプーリ1140a、ガイドプーリ1142a及び受動プーリ1156aは略同径であり、受動ワイヤ1252aがあまり屈曲しないように、レイアウト上の可能な範囲で適度に大径にしている。ワイヤ係合部1250aは、受動ワイヤ1252aが過度に屈曲しないように、アイドルプーリ1140aよりも適度に離れた位置に設けられており、受動ワイヤ1252aの両端部はワイヤ係合部1250aを頂部として鋭角を形成している。アイドルプーリ1140aとガイドプーリ1142aとの間は狭く、例えば、受動ワイヤ1252aの幅と略等しい隙間が形成されている。
【0126】
アイドルプーリ1140a、ガイドプーリ1142a及び受動プーリ1156aには、受動ワイヤ1252aの抜け止めのために、上面及び下面に小さいフランジを設け、又は側面を凹形状にしてもよい。
【0127】
図17から明らかなように、第1エンドエフェクタ駆動機構1320aでは、基端側から先端側に向かって、受動ワイヤ1252a、アイドルプーリ1140a、ガイドプーリ1142a及び受動プーリ1156aが中心線に沿って配置されている。エンドエフェクタ1300は、伝達部材1152等を介して受動プーリ1156aに連結されている。
【0128】
このように構成される第1エンドエフェクタ駆動機構1320aでは、ロッド192a(図17参照)をZ2方向に引き寄せると、平面視で、第1層アイドルプーリ1232及び第2層ガイドプーリ1238は反時計方向に回転し、第2層アイドルプーリ1234及び第1層ガイドプーリ1236は時計方向に回転する。このように、アイドルプーリ1140a及びガイドプーリ1142aは、それぞれ同軸上で2枚のプーリが並列する構成であることから、当接する受動ワイヤ1252aの動きに従って逆方向に回転可能であり、動作がスムーズである。
【0129】
エンドエフェクタ1300は、一対のグリッパ1302が動作をするいわゆる両開き型である。エンドエフェクタ1300は、カバー1160に対して一体構成のグリッパベース1304と、該グリッパベース1304に設けられたピン1196を基準にして動作する一対のエンドエフェクタ部材1308と、一対のグリッパリンク1220とを有する。
【0130】
各エンドエフェクタ部材1308は、L字形状であって、Z1方向に延在するグリッパ1302と、該グリッパ1302に対して略35°に曲がって延在するレバー部1310とを有する。L字形状の屈曲部には、孔1216が設けられ、レバー部1310の端部近傍には孔1218が設けられている。孔1216にピン1196が挿入されることにより一対のエンドエフェクタ部材1308は第3回転軸Ogを中心として揺動自在となる。
【0131】
各エンドエフェクタ部材1308は側方の1つのグリッパリンク1220によって、受動板1158のピン1224に連接されている。エンドエフェクタ1300の受動板1158ではリンク孔1172が図13のY方向に対称位置に2つ設けられており、一対のグリッパリンク1220は側面視で交差する配置である。
【0132】
図12、図13、図14及び図15に示すように、第2エンドエフェクタ駆動機構1320bは、第1エンドエフェクタ駆動機構1320a(図17参照)に対して、基本的には、折り返しプーリ(円柱部材、伝達部材)1350が付加された構成である。受動プーリ1156a及び受動プーリ1156bは同軸構成となっている。
【0133】
主軸部材1144には、ピン1352が挿入及び固定される径方向の軸孔1354が設けられている。軸孔1354は、孔1144aを経由して主軸部材1144の筒部を貫通している。
【0134】
伝達部材1152には、ピン1352が挿通可能な幅で軸方向に延在する長孔1356が設けられている。伝達部材1152は、作業部16の軸心よりY1方向にややオフセットした位置に設けられるが、先端の突起1174だけは軸心に配置させるとよい(図17参照)。もちろん、伝達部材1152は中心に配置してもよい。
【0135】
ピン1154は、伝達部材1152を通り抜けてY2方向に突出し受動プーリ1156bを軸支する。受動プーリ1156bは、受動ワイヤ1252bが2巻き可能な幅を有する。孔1144aは、受動プーリ1156a、1156b及び伝達部材1152が挿入可能な高さを有する。受動プーリ1156a及び1156bは、孔1144a内でピン1154によって同軸に軸支されており、独立的に回転自在である。
【0136】
ピン1352は、孔1144a内でY1方向からY2方向に向かって、長孔1356及び折り返しプーリ1350の中心孔に挿入されて、伝達部材1152と受動プーリ1156a及び1156bが軸方向に進退可能である。折り返しプーリ1350はピン1352に軸支されて回転自在であり、位置は固定である。折り返しプーリ1350は受動ワイヤ1252bが2巻き可能な幅を有する。また、折り返しプーリ1350を2層化することにより、開閉動作のときに反対方向に回転できる構成となり、受動ワイヤ1252bとプーリの摩擦を低減させることができる。
【0137】
図20、図21及び図22に示すように、第2エンドエフェクタ駆動機構1320bにおいては、受動プーリ1156bよりも先端側に折り返しプーリ1350が設けられ、受動ワイヤ1252bは、受動プーリ1156bと折り返しプーリ1350とにわたって巻き掛けられている。つまり、受動ワイヤ1252bは、駆動部材のロッド192bのワイヤ係合部1250bから、アイドルプーリ1140bのX1方向を通り、X2方向に向かい、ガイドプーリ1142bのX2方向を通り受動プーリ1156bのX2方向面に至る。受動ワイヤ1252bはそのままZ1方向に向かって延在し、折り返しプーリ1350のX2方向の面に達し、該折り返しプーリ1350のZ1方向の面に半回転巻き付けられてZ2方向に折り返す。
【0138】
受動ワイヤ1252bは受動プーリ1156bのZ2方向の面に半回転巻き付けられてX2側を通って再度折り返しプーリ1350に至り、再び該折り返しプーリ1350のZ1方向の面に半回転巻き付けられてZ2方向に折り返す。この後、受動ワイヤ1252bはガイドプーリ1142bのX1方向からアイドルプーリ1140bのX2方向に至り、ロッド192bのワイヤ係合部1250bに接続される。ワイヤ係合部1250a及び受動ワイヤ1252bは、ロッド192bを介してトリガレバー36に対して機械的に接続されていることになる。
【0139】
先端動作部12の構造について理解を容易にするために、その模式図を図11に示す。
【0140】
このように構成される先端動作部12では、図9に示すように、人手によりトリガレバー36を十分に引くと、ロッド192aは受動ワイヤ1252aを引き寄せ、受動プーリ1156a、伝達部材1152をZ2方向に移動させることからエンドエフェクタ1300を閉じさせることができる。つまり、ロッド192aや受動ワイヤ1252a、受動プーリ1156a等の伝達部材が牽引されることによりエンドエフェクタ1300が閉じられる。
【0141】
この場合、第2エンドエフェクタ駆動機構1320bについては、ロッド192bは、押し出されるように配置されているため、伝達部材1152の動作を阻害しない。
【0142】
また、図10に示すように、人手によりトリガレバー36を十分に押し出すと、伝達部材1152及び受動プーリ1156aは先端側にZ1方向に移動してエンドエフェクタ1300を開くことができる。
【0143】
エンドエフェクタ1300には、トリガレバー36を人手によって押し出す力が第2エンドエフェクタ駆動機構1320bによって機械的に直接伝えられることから、弾性体のような所定の力ではなく任意の強い力で開くことができる。したがって、エンドエフェクタ1300の外側面を用いて生体組織を剥離させ、又は孔部を拡開させるような手技に対して好適に用いることができる。
【0144】
また、エンドエフェクタ1300の外側面に対象物が接触した場合には、受動ワイヤ1252b、ロッド192b及びトリガレバー36もそれ以上Z1方向に動かなくなり、操作者はエンドエフェクタ1300の外側面が対象物に接触したこと、及び該対象物の硬さ等を指先で知覚することができる。
【0145】
先端動作部12は、ヨー軸動作及びロール軸動作が可能である。図示を省略するが、先端動作部12では、ヨー軸動作をする場合、ガイドプーリ1142a及びガイドプーリ1142bの軸(図11参照)を中心にして、それよりも先端の複合機構部1102及びエンドエフェクタ1300がヨー方向に揺動する。先端動作部12は、非干渉機構であることから、ヨー軸動作をしてもエンドエフェクタ1300の開度が変化することはなく、逆にエンドエフェクタ1300の開度を変化させてもヨー軸が動作することはない。エンドエフェクタ1300とロール軸の関係についても同様である。
【0146】
次に、先端動作部12の変形例としての先端動作部12aを図23に示す。
【0147】
図23に示すように、先端動作部12aは、前記の先端動作部12(図10参照)と比較して第1エンドエフェクタ駆動機構1320aを有している点で共通するが、第2エンドエフェクタ駆動機構1320bが省略された構成となっている。先端動作部12aについて、先端動作部12と同一の構成要素については同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0148】
先端動作部12aは、前記の両開き型のエンドエフェクタ1300に代えて片開き式のエンドエフェクタ1300aが設けられている。エンドエフェクタ1300aは、固定のグリッパ1202とピン1196を中心として軸開閉動作をするグリッパ1212と、伝達部材1152をZ1方向に弾性付勢するスプリング1305とを有している。グリッパ1212は、伝達部材1152が進退することにともなってグリッパリンク1220を介して開閉駆動される。すなわち、トリガレバー36をZ2方向に引くと第1エンドエフェクタ駆動機構1320aによって伝達部材1152もZ2方向に変位し、グリッパ1212は図23における反時計方向に回動してエンドエフェクタ1300aが閉動作をする。一方、トリガレバー36を開放すると、伝達部材1152はスプリング1305の付勢によってZ1方向に変位し、エンドエフェクタ1300aは開状態に復帰する。また、トリガレバー36はZ1方向に復帰する。
【0149】
上述したように、本実施の形態に係るマニピュレータ10によれば、固定された第1指掛部108に対して第2指掛部110が接近して、閉じる操作をすることによって、力をかけやすくなり操作性が向上する。また、第1指掛部108と第2指掛部110が閉じることによってエンドエフェクタ1300も閉じることから、直感的な操作が可能となる。
【0150】
本発明に係るマニピュレータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0151】
10…マニピュレータ 12、12a…先端動作部
14a〜14c…操作部 16…作業部
18…連結シャフト 26…グリップハンドル
28…ブリッジ 30…アクチュエータブロック
36…トリガレバー 54…ロール軸入力部
56、102…ヨー軸入力部 60、62…モータ
104、130…グリッパ軸入力部 106…開閉軸
108、132…第1指掛部 110、134…第2指掛部
116…第1指挿入輪 124…第2指挿入輪
126…直線部 1052、1054…ワイヤ
1300、1300a…エンドエフェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人手によって操作する入力部を含む操作部と、
開閉するエンドエフェクタ軸、及び該エンドエフェクタ軸の向きを変える1以上の姿勢軸を含む先端動作部と、
前記操作部と前記先端動作部を連結する連結シャフトと、
前記姿勢軸を駆動する姿勢軸アクチュエータと、
前記入力部の人手による操作を機械的に伝達して、前記エンドエフェクタ軸を駆動する操作伝達部と、
を有し、
前記入力部は、開閉軸を基準にして開閉する第1指掛部及び第2指掛部を備え、
前記第1指掛部は固定され、前記第2指掛部が前記第1指掛部に対して相対的に開閉動作し、前記第1指掛部と前記第2指掛部が閉じることによって前記エンドエフェクタ軸が閉じることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
請求項1記載のマニピュレータにおいて、
前記第1指掛部及び前記第2指掛部には、それぞれ指挿入輪が設けられていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項3】
請求項2記載のマニピュレータにおいて、
前記第1指掛部における前記指挿入輪は、前記第2指掛部における前記指挿入輪よりも広く、前記第1指掛部の延在方向に長いことを特徴とするマニピュレータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記第2指掛部で、前記第1指掛部に対向する側と逆の側は、前記開閉軸を中心として略径方向に延在する直線形状であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記先端動作部は、前記連結シャフトの基端側から先端側に延在する軸線と非平行に回動可能なピボット軸を有し、
前記連結シャフトの軸に対して直交する軸を基準として回転し、前記ピボット軸に対して動作指令を与える操作つまみを有することを特徴とするマニピュレータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記開閉軸は、前記連結シャフトの軸線上又はその近傍に設けられ、
前記第1指掛部は、前記連結シャフトの軸線を基準として側方に延在し、
前記第2指掛部は、前記第1指掛部よりも基端側斜め側方に延在していることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項7】
請求項6記載のマニピュレータにおいて、
前記第2指掛部は、弾性体によって設定される非操作時の初期姿勢から、前記第1指掛部の方向へ接近して閉じられることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記開閉軸は、前記連結シャフトの軸線上又はその近傍に設けられ、
前記第1指掛部は、前記連結シャフトの軸線方向に沿って基端側に延在し、
前記第2指掛部は、基端側斜め側方に延在し、弾性体によって設定される非操作時の初期姿勢から、前記連結シャフトの軸線方向に接近して前記第1指掛部の方向へ閉じられることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記姿勢軸アクチュエータは、前記エンドエフェクタ軸を回転させるロール軸アクチュエータと、
前記ロール軸アクチュエータを動作させるためのロール回転指令入力手段と、
を有し、
前記ロール回転指令入力手段は、前記連結シャフトの軸と略同軸の軸を基準として回転することにより指令信号を発するものであることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項10】
請求項9記載のマニピュレータにおいて、
前記姿勢軸アクチュエータは、前記エンドエフェクタ軸を傾動させるヨー軸アクチュエータと、
前記ヨー軸アクチュエータを動作させるためのヨー軸動作指令入力手段と、
を有し、
前記ヨー軸動作指令入力手段は、前記ロール回転指令入力手段の基端側に設けられていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項11】
請求項9又は10記載のマニピュレータにおいて、
前記ロール回転指令入力手段は、表面に複数の凹凸を有することを特徴とするマニピュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−253205(P2010−253205A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110054(P2009−110054)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】