説明

モータ制御装置並びにこれを備えた氷破砕機,給水機及び冷蔵庫

【課題】ブレーキ動作の信頼性を向上し、高速回転しているモータを短時間で停止させることを目的とする。
【解決手段】電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置並びにこれを備えた氷破砕機,給水機及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
氷破砕装置において、破砕用モータの回転指令をOFFしてから破砕用モータが止まるまでには慣性とモータに接続された負荷に応じた時間を要する。そのため、前記回転指令をOFFしたにも関わらず、破砕された氷が出続けてしまう場合があった。
【0003】
尚、高速回転している前記モータを短時間で停止させるには、機械的/電気的ブレーキをかければ良い。但し機械的ブレーキをかけるには、構造の巨大化,コストアップにつながる。また、電気的ブレーキにおいても、モータ線間に抵抗を付ける場合、切替素子やワット数の大きい抵抗が必要となりスペースやコストアップの問題がある。
【0004】
また、モータドライバICの上アームと還流ダイオードを経由する電流を流しブレーキをかける方法においては、モータドライバICのブレーキ動作領域が狭い時や、抵抗や電源電圧のばらつきが大きい時に対処することができずブレーキ動作を働かせることが困難なため、モータドライバICの逆回転動作領域に入るなど故障の原因となる問題があった。
【0005】
従来、高速回転しているモータを短時間で停止させる手段として、特許文献1と特許文献2のブレーキ制御が知られている。
【0006】
特許文献1に記載の構成は、モータ制御用として、ドライブ信号を出力可能なマイコン,ドライブ回路,IPMやIGBT等のパワー素子を用いた回路構成を持つ。尚、マイコンにはモータ制御用に作られたプログラムを書込み、モータ制御及びブレーキ制御を行っている。また、ブレーキ時に発生する電圧の跳ね上がり防止用放電抵抗を小さくするために、マイコンは電圧検出回路による電圧検出結果に基づいて回生ブレーキ用の通電信号の位相指令または電圧指令を調整し、回生による充電電圧が大きくなりすぎないようにブレーキ制御を行っている。
【0007】
特許文献2に記載の構成は、インバータのスイッチング素子の寿命消費率を上下アームで標準化するために、ブレーキ制御時上アームのスイッチング素子短絡と下アームのスイッチング素子短絡を切り替える機能を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−325996号公報
【特許文献2】特開2007−245966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、モータを制御するドライブ信号を出力可能なマイコン及びプログラミングが必要になると共に、コスト及び開発期間を要する、という課題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の構成では、モータ制御機能を持つマイコン及びモータ制御用のプログラミングが必要になると共に、コスト及び開発期間を要する、という課題があった。
【0011】
また、安価で開発期間が短いモータドライバICを用いる場合、指令電圧信号をブレーキ領域の値で正確に制御することは難しい、という課題があった。
【0012】
そこで、上記従来課題を解決するために、本発明は、ブレーキ動作の信頼性を向上し、高速回転しているモータを短時間で停止させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係るモータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る氷破砕機は、氷を貯蔵するアイスバンクと、該アイスバンクの下部に設けられた氷破砕容器と、前記アイスバンクと前記氷破砕容器とを連通する氷供給口と、前記氷破砕容器内に設けられて前記氷供給口を通して該氷破砕容器に供給された氷を破砕する回転刃と、該回転刃を駆動するモータと、該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る給水機は、水を貯蔵する給水タンクと、該給水タンクの水を供給する水供給口と、前記給水タンクの水を汲み上げて前記水供給口から供給する給水ポンプと、該給水ポンプを駆動するモータと、該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る冷蔵庫は、冷凍温度帯室と冷蔵温度帯室が断熱箱体の左右に断熱的に区画されて設けられ、該冷凍温度帯室及び該冷蔵温度帯室の前方開口をそれぞれ開閉する冷凍温度帯室扉及び冷蔵温度帯室扉がそれぞれ設けられた冷蔵庫において、前記冷凍温度帯室扉の前面から奥行き方向に凹形状に設けられて氷又は水を供給する供給部と、該供給部の後部に設けられた駆動スイッチと、該駆動スイッチの入力に基づいて氷又は水を供給する駆動部と、該駆動部を駆動するモータと、該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブレーキ動作の信頼性を向上し、高速回転しているモータを短時間で停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る冷蔵庫の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る冷蔵庫の概略構造図である。
【図3】本発明の実施例に係る給水タンク及び給水ポンプを示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る氷破砕機及びその周辺部分の断面を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る制御回路構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係るモータドライバICの指令電圧信号に対する動作仕様を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係るモータドライバICの正転/逆転設定信号と指令電圧信号におけるモータ動作状態を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係るモータドライバICの内部及び周辺の回路構成並びにホール素子信号に対する正転時のモータ出力信号のタイミングチャートを示す図である。
【図9】本発明の実施例に係る正回転動作からブレーキ制御を行い停止するまでにおける指令電圧値,モータ回転数及び正転/逆転設定について示す図である。
【図10】本発明の実施例に係るブレーキ処理のアルゴリズムを示す流れ図である。
【図11】ブレーキ動作が無い場合と有る場合との比較を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係るモータが正回転方向に動作中からブレーキ動作してモータが停止するまでにおける指令電圧信号,回転数信号及びモータ電流の波形を示す図である。
【図13】本発明の実施例に係るブレーキ動作機能を有する冷蔵庫において氷落下について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例として、氷破砕用モータ制御装置の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の氷破砕用モータ制御装置を備えた冷蔵庫の外観斜視図である。本実施形態に係る冷蔵庫本体101は、図1に示すような外観を有し、冷凍室扉102に設けられた供給部112において、水や氷を提供する機能を有するものである。
【0021】
冷蔵庫本体101は、前方が開口した断熱箱体104を有し、断熱箱体104の内部には、冷凍室105,冷蔵室106及び野菜室107が設けられる。具体的に、冷凍室105は、断熱箱体104の左側に設けられ、冷蔵室106及び野菜室107は、断熱箱体104の右側であって、上下に設けられる。すなわち、冷凍室105と、冷蔵室106及び野菜室107は断熱箱体104の左右に断熱的に区画されて設けられる。また、冷凍室105,冷蔵室106及び野菜室107は前方が開口しており、それぞれの開口を開閉する冷凍室扉102,冷蔵室扉108及び野菜室扉109が設けられている。なお、各扉は、各扉の上下に設けられたヒンジ機構を介して回転自在の回転扉である。
【0022】
冷凍室105内には、氷破砕機110が設置されている。氷破砕機110は、冷凍室扉102に設けられている。冷凍室扉102には、表示パネル111,供給部112,氷取り出し口103,駆動スイッチ113を有する。
【0023】
具体的に、表示パネル111は、冷凍室扉102の正面であって、供給部112の上部に設けられる。表示パネル111は、氷破砕機110を含む冷蔵庫の運転状態を表示するものであり、操作ボタン,表示ランプ、及びブザー等を有する。
【0024】
供給部112は、冷凍室扉102の前面から奥行き方向に凹形状に設けられている。氷取り出し口103は、供給部112の上部に設けられ、氷破砕機110で破砕された氷を冷蔵庫外部に供給する。駆動スイッチ113は、供給部112の後部に設けられる。使用者が、受け皿(コップ等の容器)54で駆動スイッチ113を押すと、表示パネル111で選択された氷、または破砕氷、または水等の各種類に応じた駆動部を駆動させる(図13参照)。
【0025】
受け皿(コップ等の容器)54内には、所望の供給物が供給される。例えば、氷121が選択された場合、モータ114(図4参照)に通電して、氷破砕機110を駆動する。これにより、使用者は、受け皿(コップ等の容器)54を持ち、駆動スイッチ113を押すことで、モータ114に通電して氷破砕機110を駆動することができる。
【0026】
また、水が選択された場合、モータに通電して、給水ポンプ474を駆動する(図2及び図3参照)。給水ポンプ474は、冷蔵室106内であって、冷蔵室106と野菜室107とを区画する横仕切壁500に載置された給水タンク400から水を汲み上げられて、供給部112の水供給口390から供給される。
【0027】
これにより、使用者は、受け皿(コップ等の容器)54を持ち、駆動スイッチ113を押すことで、モータに通電して給水ポンプ474を駆動することができる。
【0028】
なお、給水タンク400は冷蔵室106から取り出し可能であり、使用者が水を補給して、冷蔵室106内に設置することで、当該給水タンク400内の水が冷却される。
【0029】
製氷水ポンプ473と給水ポンプ474は、給水タンク400と同じ高さ位置に配置している。また、製氷水ポンプ473は、給水ポンプ474より高い位置に配置される。そして、製氷水ポンプ473は、給水タンク400の上部の高さ位置に配置され、給水ポンプ474は、給水タンク400の下部の高さ位置に配置される。
【0030】
製氷水ポンプ473は、製氷用給水配管473aが引き出され、この製氷用給水配管6によって、冷凍室105の上部に設置される自動製氷装置125に接続される。また、給水ポンプ474は、冷水用給水配管474aが引き出され、この冷水用給水配管7によって、水供給口390に接続される。
【0031】
図4は、図1の氷破砕機110及びその周辺部分の断面図である。氷破砕機110は、破砕氷排出口116を下部に有する、氷破砕容器117が設けられる。また、駆動装置であるモータ114の回転軸118に固定されて、氷破砕容器117内で正逆方向に回転される、回転刃119を有する。また、回転刃119と対向して配置され且つ氷破砕容器117に固定された、固定刃120を有する。なお、回転刃119と固定刃120は、回転軸118方向に交互に複数枚設けられており、互いに接触することはない。
【0032】
氷破砕機110は、回転刃119を正方向に回転させることにより、固定刃120との間に氷121を挟んで破砕するものである。氷破砕機110を駆動するためのモータ114は、氷破砕機110の下方に配置されている。回転軸118は、モータ114から上方に設けられ、氷破砕容器117内に連通している。また、氷破砕容器117内では、回転軸118に回転刃119が設けられ、モータ114の動力が回転刃119に伝えられる。
【0033】
氷破砕機110の上方には、氷121を貯蔵するアイスバンク122が設けられている。アイスバンク122の下部には、氷121が通過できる大きさの氷供給口123が設けられている。この氷供給口123は、アイスバンク122の内部空間と氷破砕容器117の内部空間とを連通している。これにより、アイスバンク122内の氷121を、アイスバンク122の下部に設けられた氷破砕容器117内に落下させる。
【0034】
アイスバンク122内には、回転軸118に設けられた撹拌部材124を有する。撹拌部材124は、アイスバンク122内に貯蔵された氷121を撹拌して、当該アイスバンク122の氷供給口123から、氷破砕容器117内に供給する。なお、撹拌部材124は、回転軸118の上端部に固定されており、回転刃119と同期して回転する。
【0035】
アイスバンク122の上方には、自動製氷装置125が設けられる。自動製氷装置125は、ブロック形状の氷を作るためのものであり、冷凍室105の上部に設けられる。自動製氷装置125で作られた氷121は、自動製氷装置125の下方のアイスバンク122内に落下させて蓄えられる。
【0036】
破砕氷排出口116の下方には、氷ダクト126の一端部が設けられる。氷破砕機110で破砕された氷は、破砕氷排出口116を通して、氷ダクト126に落下する。氷ダクト126の他端部は、供給部112の上部の氷取り出し口103に繋がっている。これにより、破砕された氷は、氷ダクト126を通って氷取り出し口103から排出される。
【0037】
次に、図5は、本実施例の制御回路構成である。マイコン127は、モータドライバIC128に指令電圧信号129及び正転/逆転設定信号130を送る。ホール素子131は、モータドライバIC128にホール素子入力信号20を送る。整流回路14では、AC電源13のAC電圧をDC電圧にする。モータドライバIC128では、整流回路14から得たDC電圧を指令電圧信号129及び正転/逆転設定信号130及びホール素子信号20を元にチョッピングし、モータ114に電圧を印加する。また、回転数信号132をマイコン127に送信する。
【0038】
図6は、指令電圧信号129に対するモータドライバIC128の、上アーム16及び下アーム17の動作仕様について示す。縦軸が指令電圧信号129の電圧値である。指令電圧信号129が0Vから切替Atyp値1までの間は、上下アーム停止領域135である。切替Atyp値1から切替Btyp値2の間は、上アーム動作/下アーム停止領域3である。切替Btyp値2から印加電圧最大値(7.5V)の間は、上下アーム動作領域134である。
【0039】
尚、切替Atyp値1及び切替Btyp値2は、モータドライバIC128の特性によるばらつきが考えられ、上アーム動作/下アーム停止領域3の幅は、各切替閾値が切替Amax値4/切替Bmin値5の時に最も狭くなり、上アーム動作/下アーム停止領域6となる。
【0040】
次に、図7は、モータドライバIC128に与える正転/逆転設定信号130と、指令電圧信号129におけるモータ動作状態について示す。モータ114が正転動作中の動作状態において、正転設定35かつ上下アーム停止領域135では、慣性動作7となり、一定時間モータ114が回り続けてその後停止する。正転中かつ正転設定35で上アーム動作領域3では慣性動作8となり、一定時間モータ114が回り続けその後停止する。正転中かつ正転設定35で上下アーム動作領域134では正回転方向に動作9となり、AC電源13の電圧や指令電圧信号129の電圧値やモータに接続された負荷に応じた回転数で正回転方向に動作9し続ける。正回転中かつ逆転設定39で上下アーム停止領域135では慣性動作10となり、一定時間モータ114が回り続けその後停止する。
【0041】
正回転中かつ逆転設定39で上アーム動作領域3では、ブレーキ動作11となり、慣性動作7より短時間で停止する。尚、本モータドライバICでは、上アームのみの動作はできるが、下アームのみの動作をすることができないため、下アームのみ動作については記載していない。しかし、下アームのみ動作も上アームのみ動作と同様にブレーキ動作11となる。正転中かつ逆転設定39で上下アーム動作領域134では、逆回転方向に動作12となり、大電流が発生するため、AC電源13の電圧やモータ114の回転数によってはモータ114に流れる電流がモータドライバIC128の規格を超え、破損する場合がある。又、逆回転方向に磁界が発生しているため、動作としては正転動作でモータ114の回転数が短時間で低下していき、瞬間的に停止状態となるが、逆回転してしまう。このため、逆回転動作から停止までの時間を発生させてしまい、ブレーキとしてはデメリットが大きい。又、逆回転中の動作については正回転中の動作と逆の動作となる。
【0042】
次に、図8は、モータドライバIC128の内部と周辺の回路構成、及びホール素子信号20に対する正転時のモータ出力信号21とブレーキ時のモータ出力信号22のタイミングチャートを示してある。モータの回転方向と同じ方向の正転/逆転設定で上下アーム動作領域である通常のモータ動作では、AC電源13の交流電圧を整流機133及び平滑コンデンサ15で直流電圧にし、上アーム16と下アーム17をホール素子入力信号20に合わせて回転磁界が発生させるように通常時モータ出力信号21を出力する。また、本ブレーキ動作11においては、上アーム16のみをモータの回転方向とは逆の回転磁界を発生させるためのブレーキ時モータ出力信号22を出力する。前記ブレーキ動作11の時はモータ114から上アーム16とダイオード999を通る経路でブレーキ動作11となるモータ電流19が流れる。
【0043】
次に、図9は、正回転動作からブレーキ制御を行い停止までの指令電圧値32、モータ回転数33、正転/逆転設定34について示してある。正転設定35で上下アーム動作となる指令電圧36をモータドライバIC128に印加している状態(例えばここでは指令電圧値32が5Vで指令電圧値に応じた回転数37を3000min-1とする)からブレーキ制御を行う場合、指令を一定時間オフ38し、正転/逆転設定34を正転設定35から逆転設定39に変更し、その後一定時間40待ち、モータドライバIC128の特性や電圧や抵抗のばらつきを考慮した上下アーム動作領域に入ることの無い停止状態継続可能な電圧41を印加する。尚、指令電圧値32を0Vから上昇41Bさせると、ブレーキ領域136に達するまでの時間が長くなるため、前記電圧を印加している。電圧印加後モータドライバIC128の特性や電圧や抵抗のばらつきを考慮し、上アーム動作領域3を越えて上下アーム動作領域134に誤って入ることの無い電圧傾き42で上昇させていく。前記電圧を上昇中に規定回転数(ブレーキ判断)43を下回り、ブレーキ領域136の回転数となったことを確認したら、指令電圧を一定44に保ちブレーキ動作11を継続させる。前記動作継続中に規定回転数(停止判断)45を下回り停止又は停止寸前状態を確認できたら指令電圧信号をオフ46しブレーキ動作11を終了する。
【0044】
次に、図10は、本実施例のブレーキ処理のアルゴリズムを例示する流れ図である。尚、本実施例では正回転方向にモータが回転している時にブレーキ動作11を行う例で説明する。ブレーキ動作11では、まず回転時に出力していた指令電圧信号をオフ23し、指令電圧信号129がオフすることを待つため設定時間待ち(指令OFF時間)24を行い、その後正転から逆転に設定変更25する。前記設定変更に要する時間を待つため設定時間待ち(回転方向変更時間待ち)26を行い、電源電圧や抵抗やモータドライバIC128等のばらつきを考慮し、上下アーム停止領域135を継続可能な設定電圧の出力27を行う。前記出力後一定時間ごとに設定電圧値上昇28を行う。前記電圧上昇継続中は、モータの回転数が規定回転数(ブレーキ判断)43より低下でブレーキ動作判定29し、モータ回転数の低下が確定しない時は前記電圧上昇を続け、モータ回転数の低下が確定した時はブレーキ動作継続及び逆転防止のために指令電圧信号129を一定に保ちブレーキ動作11を継続させる。ブレーキ動作中は低回転判定30し、停止又は停止寸前状態になれば指令OFF31しブレーキ動作11を終了する。
【0045】
次に、図11は、本実施例のブレーキ無時と有時のモータ停止時間について示してある。ブレーキ無時の通常時の停止時間47は指令電圧信号129をオフ後、慣性動作7で回り続けるため、停止までの時間が非常に長い。一方、ブレーキ動作時の停止時間48はブレーキ動作開始142からブレーキが作動するため急激に回転数が低下し短時間で停止することができる。
【0046】
次に、図12は、本実施例のモータ114が正回転方向に動作9中の状態からブレーキ動作11しモータ114が停止するまでの指令電圧信号波形49、回転数信号波形50(電気角60度ごとに反転)、モータ電流波形51を示している。横軸は時間で縦軸は指令電圧信号波形49及び回転数信号波形50においては電圧を示し、モータ電流波形51においては電流を示している。指令電圧信号129オフ後、電圧を上昇させいていく最中にブレーキ電流52が流れ、回転信号波形50の周期が急激に長くなり(回転数が低下)、その後回転停止53する。
【0047】
図13は、本実施例のブレーキ動作機能を有する冷蔵庫において氷の落下時について示してある。ブレーキ機能が無い状態ではモータ114が停止するまでに時間を要するため、給水及び氷破砕動作中に受け皿(コップ等)54を素早く放した場合、水や氷121が落下する場合がある。しかし、ブレーキ機能が有る状態では高速で回転しているモータ114を短時間で停止することができるため、受け皿(コップ等)54を素早く放した場合でも水や氷121の落下を防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
13 AC電源
14 整流回路
15 平滑コンデンサ
16 上アーム
17 下アーム
19 モータ電流
54 受け皿(コップ等の容器)
101 冷蔵庫本体
102 冷凍室扉
103 氷取り出し口
104 断熱箱体
105 冷凍室
106 冷蔵室
107 野菜室
108 冷蔵室扉
109 野菜室扉
110 氷破砕機
111 表示パネル
112 供給部
113 駆動スイッチ
114 モータ
115 氷破砕機
116 破砕氷排出口
117 氷破砕容器
118 回転軸
119 回転刃
120 固定刃
121 氷
122 アイスバンク
123 氷供給口
124 撹拌部材
125 自動製氷装置
126 氷ダクト
127 マイコン
128 モータドライバIC
131 ホール素子
133 整流機
999 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、
該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、
前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
氷を貯蔵するアイスバンクと、
該アイスバンクの下部に設けられた氷破砕容器と、
前記アイスバンクと前記氷破砕容器とを連通する氷供給口と、
前記氷破砕容器内に設けられて前記氷供給口を通して該氷破砕容器に供給された氷を破砕する回転刃と、
該回転刃を駆動するモータと、
該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、
該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、
該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、
前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする氷破砕機。
【請求項3】
水を貯蔵する給水タンクと、
該給水タンクの水を供給する水供給口と、
前記給水タンクの水を汲み上げて前記水供給口から供給する給水ポンプと、
該給水ポンプを駆動するモータと、
該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、
該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、
該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、
前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする給水機。
【請求項4】
冷凍温度帯室と冷蔵温度帯室が断熱箱体の左右に断熱的に区画されて設けられ、該冷凍温度帯室及び該冷蔵温度帯室の前方開口をそれぞれ開閉する冷凍温度帯室扉及び冷蔵温度帯室扉がそれぞれ設けられた冷蔵庫において、
前記冷凍温度帯室扉の前面から奥行き方向に凹形状に設けられて氷又は水を供給する供給部と、
該供給部の後部に設けられた駆動スイッチと、
該駆動スイッチの入力に基づいて氷又は水を供給する駆動部と、
該駆動部を駆動するモータと、
該モータを制御するモータ制御装置と、を備え、
該モータ制御装置は、電圧信号によってインバータのアームの動作/停止が切り替わるモータドライバICと、
該モータドライバICに前記電圧信号を入力し且つ正転/逆転設定信号によってモータの正転/逆転設定を切り替える制御回路と、を有し、
前記モータドライバICは前記モータの回転数に応じて前記電圧信号の電圧値を増減させて該モータを停止させることを特徴とする冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−24277(P2011−24277A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164353(P2009−164353)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】