説明

ユニット鉄筋の製造装置

【課題】少なくとも縦筋の先端部が当該縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げて主筋に巻き付ける機構を備えたユニット鉄筋の製造装置を提供する。
【解決手段】両端側に配置される主筋2、2及び主筋2、2の間に複数配置される腹筋3、3をそれぞれガイドするガイド手段12、13と、ガイド手段12、13に案内された主筋2、2及び腹筋3、3と直交する位置に縦筋1を供給する縦筋供給手段30と、縦筋1の両端側を湾曲させ、少なくとも縦筋1の先端部が縦筋1の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げて主筋2に巻き付ける曲げ加工手段20と、腹筋3、3と縦筋1との交点を溶接する溶接手段と、縦筋1の折り曲げ及び腹筋3と縦筋1との溶接が終了したユニット鉄筋を所定のピッチ幅で移動させる引張装置50とを備えて構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット鉄筋の製造装置に関し、さらに詳しくは、建築物などの基礎やコンクリート構造物をはじめとするコンクリート製の建造物や構造物を補強するためにコンクリート内部に埋設される格子状のユニット鉄筋の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、鉄筋コンクリート構造物を建設する際に、鉄筋を所定間隔で縦横に配置する配筋作業は、職人の手作業によって行なわれており、横方向の両端側に配置される主筋と、両主筋との間に平行に配置される複数の腹筋と直交するように配置した縦筋とによって縦横に枠組みした各交差部分を軟鋼線材よりなる結束線で結束するかもしくは溶接によって連結することにより、ユニット鉄筋が構成されていた。
【0003】
ユニット鉄筋に用いられる鉄筋には、端部を所定角度に折曲したフック付き鉄筋が規格化されており、例えば、鉄筋の端部を直角に曲げた90度フックや、135度、180度に折り曲げた135度フック、180度フックなどがある。
しかし、これらのフックは交差方向に配設される鉄筋との枠組み作りに利用されている程度にすぎず、縦横双方の鉄筋の連結には、結束線や溶接が用いられていた。
【0004】
また、低層の工業化住宅(プレハブ住宅)や在来木造住宅の鉄筋コンクリート(RC)基礎では、予め工場段階でユニット鉄筋を組立したものを用いるのが一般的である。このユニット鉄筋は、目的のプレハブ住宅に予め設定された基本モジュールに配置し、その後、配置されたユニット鉄筋の周囲に型枠を設置し、この型枠にコンクリートを打設してRC基礎を構築する。
ユニット鉄筋の公知技術として、例えば、特開平11−36589号公報(特許文献1)や特開平06−57874号公報(特許文献2)があり、横筋(主筋及び腹筋)と縦筋とは全て結束もしくは溶接を用いて連結されている。
【0005】
特許文献1、2のユニット鉄筋では、横筋と縦筋の連結箇所が多く、枠組みや連結の作業に多大な時間と労力を要していた。また、溶接による連結では、母材である鉄筋を溶かすことから、断面積の欠損や熱管理のむずかしさ、鉄筋の構造的強度の低下といった不具合がある。特に、ユニット鉄筋にあっては、剪断補強筋に保持される両サイドの主筋に溶接熱がかかると、主筋の強度が低下したり材質が変化する虞があり、好ましくない。
【0006】
そこで、本願発明者は、鉄筋を格子状に連結してユニット鉄筋を製作する場合に、結束線や溶接箇所を極力減少して生産性と作業性の向上を図り、また溶接熱による強度の低下や材質変化といった不具合を極力防止することのできるユニット鉄筋の連結方法を提供すべく特許出願を行った(特願2007−045923)。この縦筋の定着方法は、従来、端部を135°又は180°に折り曲げて行っていたのに対して縦筋の端部を主筋に密着するようにして例えば225°まで折り曲げて定着させるという方法であり、従来の方法に比べて鉄筋の強度や安定性を大幅に増大させることが可能となる。
【0007】
上記ユニット鉄筋の連結方法では、一方の鉄筋の端部先端側をその鉄筋まで曲げ戻して重ね合わせするため、スプリングバックが生じにくいという特性がある。また、鉄筋の端部の先端側は、その鉄筋から折り曲げ部と反対側へ突き出すことによりスプリングバックがさらに生じにくくなる。
【0008】
一方、特開2003−205319には、鉄筋の折り曲げ加工とユニットとそれを使用する鉄筋の折り曲げ加工装置が開示されている(特許文献3)。この鉄筋の折り曲げ加工とユニットとそれを使用する鉄筋の折り曲げ加工装置にはガイド軸のまわりに旋回する曲げ爪を備えており、曲げ爪がガイド軸の径に倣って曲げ加工を行うというものである。
【0009】
【特許文献1】特開平11−36589号公報
【特許文献2】特開平06−57874号公報
【特許文献3】特開2003−205319公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のユニット鉄筋の連結方法は従来にないユニット鉄筋を提供するものであり、本発明の課題はそのようなユニット鉄筋の製造装置を提供することを目的とする。そして、安定性及び強度の高いユニット鉄筋の量産化、コスト低減を図ることを目的とする。
【0011】
ここで、前記特許文献3における鉄筋の折り曲げ加工とユニットとそれを使用する鉄筋の折り曲げ加工装置は、あくまで鉄筋の両端をリング状に折り曲げ形成するものであり、上述のユニット鉄筋の連結方法のように、少なくとも縦筋の先端部が当該縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げる機構を備えたものではない。また、特許文献3の鉄筋の折り曲げ加工とユニットとそれを使用する鉄筋の折り曲げ加工装置によって縦筋を横筋に巻き付けた場合、180°を超えて225°まで折り曲げようとした際、縦筋の先端が当該縦筋と当たってしまい、主筋と密接するようにして縦筋を巻き付けることはできない。
【0012】
そこで、本発明は、縦筋を180°を超えて225°まで折り曲げることか可能であり、上述のユニット鉄筋の連結方法を実現するための装置を提供することを目的とする。具体的には、少なくとも縦筋の先端部が当該縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げて主筋に巻き付ける機構を備えたユニット鉄筋の製造装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、縦筋を所定の間隔で主筋及び腹筋と直交する方向に自動的に配設し、腹筋と縦筋との交差部分を溶接し、順次それを繰り返すことでユニット鉄筋を自動的に製造することが可能なユニット鉄筋の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために請求項1に記載の本発明は、鉄筋を格子状に組み合わせたユニット鉄筋の製造装置において、両端側に配置される主筋及び主筋の間に複数配置される腹筋をそれぞれガイドするガイド手段と、ガイド手段に案内された主筋及び腹筋と直交する位置に縦筋を供給する縦筋供給手段と、縦筋の両端側を湾曲させ、少なくとも縦筋の先端部が縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げて主筋に巻き付ける曲げ加工手段と、腹筋と縦筋との交点を溶接する溶接手段と、縦筋の折り曲げ及び腹筋と縦筋との溶接が終了したユニット鉄筋を所定のピッチ幅で移動させる引張装置とを備えて構成されてなることを特徴とする。
【0015】
上記課題を達成するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のユニット鉄筋の製造装置において、曲げ加工手段は、主筋が挿入される筒状の主筋ガイドであって、主筋が突出する側の先端部が傾斜して形成された主筋ガイドと、主筋ガイドの先端から突出した縦筋の先端近傍に当接して主筋に巻き付けるローラ部材とを備えて構成されてなることを特徴とする。
【0016】
上記課題を達成するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のユニット鉄筋の製造装置において、曲げ加工手段は、縦筋の先端に当接して位置決めを行う位置決め機構を備えていることを特徴とする。
【0017】
上記課題を達成するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のユニット鉄筋の製造装置において、ガイド手段によってガイドされる主筋及び複数の腹筋の後端部を当接することにより主筋及び複数の腹筋の位置合わせを行う位置決めプッシャを備えていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を達成するために請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のユニット鉄筋の製造装置において、所定の数の縦筋の取り付け作業が完了したユニット鉄筋を順次積層してストックするストックコンベアであって、予め定められた数のユニット鉄筋が積層された時点で次工程へ移送するストックコンベアをさらに備えて構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るユニット鉄筋の製造装置によれば、縦筋の両端側を湾曲させ、少なくとも縦筋の先端部が縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げるようにして主筋に巻き付けるため従来に比べてコンクリート内での主筋の定着性を高め、品質の安定性及び強度を大幅に増大させたユニット鉄筋を自動的に短時間かつ安価に製造することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明に係るユニット鉄筋の製造装置によれば、完成したユニット鉄筋を所定の枚数積層した状態でストックコンベアに移載することとしたので搬送、保管にも便利であるという効果がある。
【0021】
また、本発明に係るユニット鉄筋の製造装置によれば、主筋に熱を加えないため、主筋の機械的性質を損なうことがなく、主筋溶接部の管理が不要とり、主筋を溶接するための電気エネルギを大幅に削減できるという効果がある。
【0022】
また、本発明に係るユニット鉄筋の製造装置によれば、ユニット鉄筋を工場管理された中で製造するため、現場組の鉄筋と比べて品質が安定し加工時間の短縮を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るユニット鉄筋の製造装置について図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は本発明に係るユニット鉄筋の製造装置の一実施形態の平面図、(b)はその側面図である。
【0024】
図示されたユニット鉄筋の製造装置10は、概略として、両端側に配置される主筋2、2をガイドするガイド手段であるガイド部12と、主筋2、2の間に複数配置される腹筋3、3をガイドするガイド手段であるガイド部13と、ガイド部12、13に案内された主筋2、2及び腹筋3、3と直交する位置に縦筋1を供給する縦筋供給手段である縦筋供給装置30と、縦筋1の両端側を湾曲させ、少なくとも縦筋1の先端部1bが縦筋1の直線状部分である非折り曲げ部1aと交差する位置に至るまで折り曲げて主筋2、2に巻き付ける曲げ加工手段である折り曲げ装置20と、腹筋3、3と縦筋1との交点6を溶接する溶接手段であるスポット溶接装置40、40と、縦筋1の折り曲げ及び腹筋3、3と縦筋1との溶接が終了したユニット鉄筋5を所定のピッチ幅で移動させる引張装置50とを備えて構成されている。
【0025】
主筋2及び腹筋3は、一般に、所定の長さに形成された長尺状の部材であり、鋼鉄製材料によって形成されている。また、主筋2及び腹筋3は、断面円形の丸鉄筋や外周面にリブを持つ異形鉄筋その他の形状であってもよく、高強度鉄筋や超高強度鉄筋なども用いることができるが形状や材質はこれに限定されるものではない。
【0026】
主筋2が挿入される主筋ガイドであるガイド部12は、図3に示すように、内部に主筋2が挿通可能な筒状体に形成され、後述する折り曲げ装置20の一部として配置されている。そして、主筋2が突出する側のガイド部12の先端部12aは斜めに傾斜するようにして形成されている。後述するように、この傾斜に沿って縦筋1を曲げ加工することにより縦筋1が自身と接触することなくその先端1b側が非折り曲げ部1aとぶつかることなく少なくとも225°以上に曲げることができるようになっている。
【0027】
一方、ガイド部13は、ガイド部12と同様に、内部が空洞の円筒状部材によって形成され、両ガイド部12、12の間に配置されている。そして、ガイド部13の内部に腹筋3、3を挿通配置することで腹筋3、3をガイドする。尚、図1(a)ではガイド部13が2ヶ所に設けられているがこれに限定されるものではなく、ユニット鉄筋5の構成に即して適宜の数だけ設置することができる。
【0028】
ここで、ユニット鉄筋の製造装置10は、ガイド部12、13にそれぞれ配置された所定の長さの主筋2、2と腹筋3、3の後端部に当接してその位置決めを行うための位置決めプッシャ60を備えている。位置決めプッシャ60は、当接板65と、当接板65を前方に押し出すためのシリンダ部材61が所定高さの基台63上に配置されて構成されている。これにより、ガイド部12及びガイド部13にそれぞれセットされた主筋2、2及び腹筋3、3の後端を当接板65が押圧することで横筋の相対的な位置決めが行われるようになっている。尚、本実施形態では、位置決めプッシャ60とガイド部12、13との間には主筋2、2及び腹筋3、3を支持するガイド台70が配置されている。
【0029】
折り曲げ装置20は、両端側の2ヶ所にそれぞれ配置されており、図3に示すように、ガイド部12の先端12aから突出する主筋2と直交するようにして配置された縦筋1の先端部1b近傍と当接して回転するローラ部材21を備えており、ローラ部材21は、モータ25、アイドルギア26、メインギア27を有して構成される駆動機構からの動力をアーム23を介して伝達することで駆動するようになっている。そして、図4に示すように、ローラ部材21は、回転中心Aとするドラム22に沿って回転することによって縦筋1の端部1b近傍と当接しつつ押圧し、それによって縦筋1の端部1b近傍を主筋2に巻き付けるようにして折り曲げられるようになっている。このとき、ガイド部12の先端12a側が傾斜しているので、縦筋1の端部1b近傍は主筋2に斜めに巻き付けられるので、縦筋1の先端部1bが自己の非折り曲げ部1aとぶつかることなく、例えば、225°に折り曲げることができるようになっている(図5参照)。
【0030】
また、図4に示されているように、主筋2をガイドするガイド部12は、折り曲げ装置20の回転中心Aから僅かに偏心した位置に配置されている。これにより、ローラ部材21が縦筋1の端部1b近傍に接触しつつ押圧して225°に至るま折り曲げることが可能となる。
【0031】
一方、折り曲げ装置20には、縦筋1の端部1bに当接して位置決めを行う位置決め機構29を備えている。位置決め機構29は、本体29aと、本体29aから突出するようにして配置された当接体29bを備えており、両側に配置された折り曲げ装置20の両方にそれぞれ当接体29bが向き合う方向で取り付けられている。そして、後述する縦筋供給装置30から縦筋1が供給されてくると両当接体29b、29bがそれぞれ所定の長さだけ進展し、縦筋1を挟持するようにして位置合わせを行うようになっている。
【0032】
両側に配置された折り曲げ装置20、20の間には、図2示すように、縦筋1と腹筋3、3との交点6を溶接するスポット溶接装置40、40が配置されている。これにより、縦筋1と腹筋3、3の交点6は強固に結合される。尚、本実施形態ではスポット溶接装置40、40は2ヶ所に配置されているが、もちろんこれに限定されるものではなく、ユニット鉄筋5の腹筋3の構成に応じて適宜の数を設置可能であることはいうまでもない。
【0033】
図1(b)に示すように、折り曲げ装置20よりも前方側で、ラインの上部位置には、縦筋供給装置30が配置されている。縦筋供給装置30は、多数の縦筋1を収容する収容ボックス31と、収容ボックス31から縦筋1を1本づつ搬送し、折り曲げ装置20による折り曲げに位置に縦筋1を供給する供給コンベア33を備えて形成されている。収容ボックス31内に収容された縦筋1を供給コンベア33へ1本づつ供給する手段は適宜の方法が採用可能である。尚、図1(a)では縦筋供給装置30は省略している。
【0034】
一方、縦筋供給装置30の下部側には縦筋1の巻き付け及び溶接が終了したユニット鉄筋5を所定のピッチサイズで移動させる引張装置50が設けられている。引張装置50は、巻き付け及び溶接が終了した縦筋1を挟持する2本のチャックアーム51、51を備えており、左右の両側に配置されたレール53、53に沿って移動可能に構成されている。チャックアーム51、51を予め定められた距離分だけ引張装置50側へ引っ張ることで次に取り付けるべき縦筋1の位置決めを行う。そして、縦筋1の巻き付け及び溶接が終了するごとにユニット鉄筋5を所定の間隔だけ引っ張る。そして、予め定められた数の縦筋1の取り付けが終了したことを引っ張り回数によって判断し、再び元の位置に戻り作業を繰り返すようになっている。
【0035】
また、ユニット鉄筋の製造装置10は、所定の数の縦筋1の取り付け作業が完了したユニット鉄筋5を順次積層してストックするストックコンベア80を備えている。ストックコンベア80は、全ての縦筋1の取り付けが完了したユニット鉄筋5を載置するコンベアで、それを支持する架台81は上下方向に伸縮可能とされ、完成品のユニット鉄筋5が次々と積層されていくのに従って次第にストックコンベア80の高さ位置を下げることができるようになっている。そして、予め定められた所定の数のユニット鉄筋5が積層されてストックコンベア80の搬送面の高さが搬送ローラ90と同じ高さ位置となった時点で、積層されたユニット鉄筋5を搬送ローラ90に移載し、そして搬送するようになっている。
【0036】
尚、上述の各機構の動作は、図示しない汎用のコンピュータによって構成さっれる制御装置によって予め定められたシーケンスに従って自動的に動作するようにプログラム制御されている。
【0037】
次に上述したユニット鉄筋の製造装置10の動作について説明する。はじめに、両側に配置されたガイド部12、12に主筋2、2をそれぞれ挿入してセットする。また、ガイド部12、12の間に配置されたガイド部13、13に腹筋3、3をそれぞれ挿入してセットする。そして、図示しない制御装置によって以下ののような動作が連続して行われる。すなわち、位置決めプッシャ60が主筋2、2及び腹筋3、3の終端側の端面を押圧し、全体の長さを揃える位置合わせを行う。
【0038】
主筋2、2及び腹筋3、3の位置合わせが完了すると、縦筋供給装置30の供給コンベア33によって1本の縦筋1が主筋2、2及び腹筋3、3の延伸方向と直交する方向に供給される。このとき左右の折り曲げ装置20に設けられた位置決め機構29によって縦筋1の位置が調整される。
【0039】
縦筋1の位置決めが完了したら縦筋1と腹筋3、3との交点6がスポット溶接装置40、40によって溶接される。それと同時に縦筋1の両側端部がそれぞれ折り曲げ装置20、20によって主筋2、2に巻き付けられるようにして折り曲げられる。具体的には、アーム23に取り付けられたローラ部材21がドラム22に沿って回転中心Aを中心として約260°回転して、縦筋1の端部1b近傍と当接ながら押圧し、縦筋1の端部1b近傍を主筋2に巻き付けていく。このとき、ガイド部12の先端部12aが傾斜しているので縦筋1の端部1b近傍は縦筋1の本体である直線状部分である非折り曲げ部1aにぶつかることなく225°に折り曲げられる(図6参照)。尚、縦筋1の折り曲げが完了したらアーム23は逆回転して元の位置に戻る。
【0040】
縦筋1の先端部1bの折り曲げ及び交点6の溶接が完了したら、引張装置50はチャックアーム51、51を最前部の縦筋1に係止して所定のピッチ幅だけ引張装置50側に引っ張る。そして、縦筋供給装置30から次の縦筋1を供給し上記動作を所定回数繰り返す。
【0041】
予め定められた本数の縦筋1の取り付けが終了したらユニット鉄筋5はストックコンベア80上に載置される。ストックコンベア80は1枚分のユニット鉄筋5の高さ分だけ下降し、次に作業が完了したユニット鉄筋5をその上に積層可能な位置で待機する。そして、完成したユニット鉄筋5が次々と送られてくるごとにその動作を繰り返し、所定の枚数のユニット鉄筋5が積層されてストックコンベア80の搬送面の高さが搬送ローラ90と同じ高さ位置となったら積層されたユニット鉄筋5を搬送ローラ90に移載して次工程に搬送する。
【0042】
以上のように、本発明に係るユニット鉄筋の製造装置によれば、従来に比べてコンクリート内での主筋の定着性を高め、品質の安定性及び強度を大幅に増大させたユニット鉄筋を自動的に短時間かつ安価に製造することができる。
【0043】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は本発明に係るユニット鉄筋の製造装置の一実施形態の平面図、(b)はその側面図である。
【図2】主筋と腹筋への縦筋の取り付けを示す説明図である。
【図3】折り曲げ装置の部分拡大断面図である。
【図4】ローラ部材による縦筋先端部の折り曲げを説明するための説明図である。
【図5】縦筋の主筋への巻き付け状態を示す平面図である。
【図6】(a)は縦筋の折り曲げ前を示す図、(b)は縦筋の端部を折り曲げた状態を示す図である。
【図7】ユニット鉄筋の一実施形態の平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 縦筋
2 主筋
3 腹筋
6 交点
10 ユニット鉄筋の製造装置
12 ガイド部
13 ガイド部
20 折り曲げ装置
21 ローラ部材
22 ドラム
23 アーム
25 モータ
26 アイドルギア
27 メインギア
29 位置決め機構
29a 本体29
29b 当接体
30 縦筋供給装置
31 収容ボックス
33 供給コンベア
40 スポット溶接装置
50 引張装置
51 チャックアーム
53 レール
60 位置決めプッシャ
70 ガイド台
80 ストックコンベア
81 架台
90 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を格子状に組み合わせたユニット鉄筋の製造装置において、
両端側に配置される主筋及び当該主筋の間に複数配置される腹筋をそれぞれガイドするガイド手段と、
前記ガイド手段に案内された前記主筋及び腹筋と直交する位置に縦筋を供給する縦筋供給手段と、
前記縦筋の両端側を湾曲させ、少なくとも縦筋の先端部が当該縦筋の非折り曲げ部分と交差する位置に至るまで折り曲げて主筋に巻き付ける曲げ加工手段と、
前記腹筋と前記縦筋との交点を溶接する溶接手段と、
前記縦筋の折り曲げ及び前記腹筋と前記縦筋との溶接が終了したユニット鉄筋を所定のピッチ幅で移動させる引張装置と、
を備えて構成されてなることを特徴とするユニット鉄筋の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット鉄筋の製造装置において、
前記曲げ加工手段は、
前記主筋が挿入される筒状の主筋ガイドであって、当該主筋が突出する側の先端部が傾斜して形成された主筋ガイドと、
前記主筋ガイドの先端から突出した縦筋の先端近傍に当接して当該主筋に巻き付けるローラ部材と、
を備えて構成されてなることを特徴とするユニット鉄筋の連結装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のユニット鉄筋の製造装置において、
前記曲げ加工手段は、
前記縦筋の先端に当接して位置決めを行う位置決め機構を備えていることを特徴とするユニット鉄筋の連結装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のユニット鉄筋の製造装置において、
前記ガイド手段によってガイドされる前記主筋及び複数の前記腹筋の後端部を当接することにより当該主筋及び複数の当該腹筋の位置合わせを行う位置決めプッシャを備えていることを特徴とするユニット鉄筋の連結装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のユニット鉄筋の製造装置において、
所定の数の縦筋の取り付け作業が完了したユニット鉄筋を順次積層してストックするストックコンベアであって、予め定められた数のユニット鉄筋が積層された時点で次工程へ移送するストックコンベアをさらに備えて構成されてなることを特徴とするユニット鉄筋の連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−42428(P2010−42428A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208821(P2008−208821)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(593004843)メークス株式会社 (4)
【出願人】(591142437)山陽電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】