説明

リニア駆動ドライバー回路

【課題】本発明のリニア駆動ドライバー回路は、発熱を抑えて、入力電圧VINの急激な変化にBTLドライバー部の出力電圧差が対応できるように、降圧型DC−DCコンバータ部の出力信号VCの応答性能を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明のリニア駆動ドライバー回路は、リニア駆動ドライバー部からの制御信号を微分処理する微分回路と、及び微分回路からの微分信号の電位が所定値を超えたとき、異常動作時であるとして異常動作駆動信号を生成する波形整形回路とを有し、波形整形回路の異常動作駆動信号により降圧型DC−DCコンバータ部のスイッチング・トランジスタを駆動制御するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリニア駆動させるドライバー回路に関し、特にBTL(Bridged Transformer Less)ドライバー回路を用いて駆動時の消費電力を低減させたリニア駆動ドライバー回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスク装置などのアクチュエータを駆動するドライバーICの集積回路において、消費電力を減らすためにPWMドライバー回路が用いられている。PWMドライバー回路を用いることは、ドライバーICのパワー出力トランジスタの消費電力が低減し、このドライバーICを搭載した回路における低消費電力化、回路の発熱の低減化、機器の小型化等の発展に寄与している。しかしながら、PWMドライバー回路を搭載する回路にとってPWMドライバー回路から発生するノイズが問題になることがある。特に、書き込み再生する光ディスク装置においては、光ピックからの読み取り信号が非常に小さい場合があり、PWMドライバー回路で光ピックの対物レンズを動かすアクチュエータを駆動した時、PWMドライバー回路から出る電気的なPWMノイズが光ピックからの電気的な読み取り信号に混入し、光ディスク装置が誤動作する恐れがある。
【0003】
したがって、このような書き込み再生する従来の光ディスク装置においては、PWMドライバー回路を用いることなく依然としてリニア駆動のBTLドライバー回路を用いて、光ピックの対物レンズを動かすアクチュエータを駆動させる構成のものがあった。
しかし、このような光ディスク装置は、リニア駆動の従来のBTLドライバー回路を用いているため、アクチュエータを駆動させるために必要な電流が小さくても、この駆動電流を供給するパワー電源の電圧が高い場合、この駆動電流を駆動させるパワー出力トランジスタの消費電力(このパワー出力トランジスタがバイポーラ・トランジスタであればコレクタ損失)が大きくなる。このため、従来の光ディスク装置においては、BTLドライバー回路を搭載したICの発熱、またはこのICを搭載した回路の発熱が問題となっていた。
【0004】
この発熱の問題を解決するために、電源電圧を必要以上に高くしないことにより、BTLドライバー回路を搭載したIC、及びこのICを搭載した回路の発熱を下げることが対策として行われることがある。しかしながら、通常動作以上のばらつき要因があった場合、例えば光ディスク装置に目標規格ギリギリの面振れディスクや偏芯ディスク等のばらつきディスクが挿入されたときには、光ピックの対物レンズを動かすアクチュエータの駆動電流が足りなくなる場合があった。したがって、これらのばらつきディスクが挿入された光ディスク装置においては、プレイ・アビリティを劣化させることがあった。つまり電源電圧による発熱対策とプレイ・アビリティとの関係においてトレード・オフが生じていた。
【0005】
PWMノイズの問題を解決するために、リニア駆動のBTLドライバー回路を使用することにより生じたICの発熱及び、その発熱対策と駆動装置のプレイ・アビリティ劣化のトレード・オフという問題を解決する従来の装置としては、出力電圧を可変制御できる降圧型DC−DCコンバータによりBTLドライバー回路に電源電圧を供給するよう構成されたリニア駆動ドライバー回路がある。
このリニア駆動ドライバー回路においては、出力電圧を可変制御できる降圧型DC−DCコンバータがBTLドライバー回路へアクチュエータを駆動させるのに必要な電流を供給でき、且つ無駄なICの発熱を起こさないようにパワー電源電圧を供給することができる構成となっている。
【0006】
以下、従来の技術として図10及び図11を参照にしつつ、従来のリニア駆動ドライバー回路について説明する。
図10は従来のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。図11は従来のリニア駆動ドライバー回路の動作を示す各信号の波形図である。図10に示す従来のリニア駆動ドライバー回路においては、出力電圧を可変に制御できる降圧型DC−DCコンバータ部101を用いて、BTLドライバー部102に電源電圧を供給し、アクチュエータ107をリニア駆動するよう構成されている。
【0007】
図10において、BTLドライバー部102の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕は、下記式(1)に示すように、BTLドライバー部102への入力電圧VINから所定の値の基準電圧VREFを引いた電圧値(VIN−VREF)に比例定数であるゲインGを乗算して算出される。
【0008】
{(VO+)−(VO−)}=G・(VIN−VREF) ・・・(1)
但し、G>0
【0009】
式(1)が示すように、VIN>VREFならば(VO+)>(VO−)となり、VIN<VREFならば(VO+)<(VO−)となる。図10の第1のパワー出力トランジスタQ1のベース電位VQ1/Bは正相出力電圧VO+から第1のパワー出力トランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧だけ高くなり、同様に第2のパワー出力トランジスタQ2のベース電位VQ2/Bは逆相出力電圧VO−から第2のパワー出力トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧だけ高くなる。
【0010】
図11において、下部に示す出力信号群に正相出力電圧VO+、及び逆相出力電圧VO−の出力波形を示す。図10の降圧型DC−DCコンバータ部101への入力信号である制御信号VBは、第1のパワー出力トランジスタQ1のベース電圧VQ1/Bと第2のパワー出力トランジスタQ2のベース電圧VQ2/Bとを比較し、その最大値を選択したものである。制御信号VBは、2つのベース電圧VQ1/BとVQ2/Bの最大値を包絡した信号波形である。
【0011】
降圧型DC−DCコンバータ部101の回路構成について図10を参照して説明する。図10に示すように、従来の降圧型DC−DCコンバータ部101は降圧型DC−DC制御部103と降圧型DC−DC駆動部104とにより構成されている。
降圧型DC−DC制御部103のgmアンプ109においては、制御信号VBに所定のオフセット電圧VOFFを付加した電圧が非反転入力端子に入力され、反転入力端子には降圧型DC−DCコンバータ部101からの出力信号で、且つBTLドライバー部102の電源電圧となる出力信号VCが入力される。gmアンプ109の出力端子には抵抗110の一端が接続され、抵抗110の他端とGND間にはコンデンサー111が設けられている。
【0012】
また、gmアンプ109の出力端子はPWMコンパレータ112の反転入力端子に接続されている。PWMコンパレータ112の非反転入力端子には三角波波形の電圧信号が入力されて、PWMコンパレータ112がPWMスイッチングを行うための信号を出力する。PWMコンパレータ112の出力端子には降圧DC−DCコンバートをする為のスイッチング・PNPトランジスタ113のベース端子が接続される。
【0013】
スイッチング・PNPトランジスタ113のエミッタ端子はパワー供給電源114に接続され、スイッチング・PNPトランジスタ113のコレクタ端子はアノードがGNDに接続された回生電流用のスイッチング・ダイオード116のカソード端子とスイッチング・コイル115の一端が接続される。スイッチング・コイル115の他端は、一端がGNDに接続された充電用コンデンサー117が接続されている。そして、スイッチング・コイル115と充電用コンデンサー117の接続点が降圧型DC−DCコンバータ部101の出力端子となる。
上記のように構成された降圧型DC−DCコンバータ部101は、パワー供給電源114の供給電圧を降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧に降圧DC−DCコンバートする。
【0014】
次に、降圧型DC−DCコンバータ部101の動作について説明する。
gmアンプ109は電圧(VB+VOFF)と出力信号VCの電圧とを比較する。gmアンプ109の出力端子は電圧(VB+VOFF)が出力信号VCの電圧より高い場合に、gmアンプ109の出力端子とGND間に設けられた抵抗110とコンデンサー111との直列接続で構成されたフィルタに電流を流す。これにより、gmアンプ109の出力端子の電圧が上昇し、gmアンプ109の出力端子が接続される次段のPWMコンパレータ112の反転入力端子の電圧を上昇させる。PWMコンパレータ112は反転入力端子の電圧と非反転端子に入力された三角波波形の電圧信号とを比較し、gmアンプ109の出力端子の電圧が上昇すると降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧を上昇させるように、スイッチング・PNPトランジスタ113を駆動させる。
【0015】
逆に、電圧(VB+VOFF)が出力信号VCの電圧より低い場合、gmアンプ109の出力端子の電圧は下がる方向に動き、降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧が下降する。この負帰還動作の結果、降圧型DC−DCコンバータ部101は電圧(VB+VOFF)と出力信号VCが等しい電圧になるように動作する。したがって、降圧型DC−DCコンバータ部101に入力される制御信号VBを変化させると、それに追従して降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧が変化する。図11において、出力制御用入力信号VBと出力電圧VCと正相出力電圧VO+と逆相出力電圧VO−の出力波形を示す。
【0016】
前述したように制御信号VBは第1のパワー出力トランジスタQ1のベース電圧VQ1/Bと第2のパワー出力トランジスタQ2のベース電圧VQ2/Bとを比較し、その最大値を選択したものである。また、出力信号VCはBTLドライバー部102の電源電圧でもある。オフセット電圧VOFFの値を適切に選べば(VOFF<0 でも良い。)、BTLドライバー部102のパワー出力トランジスタQ1、Q2のコレクタ損失を抑えて、すなわちICの発熱を抑えて、なおかつアクチュエータ107を駆動させるに必要な電流を供給できるようになる。また、面振れディスク、偏芯ディスク等のばらつきディスクに対しても、アクチュエータ107に十分な駆動電流を供給できるようにBTLドライバー部102の電源電圧である出力信号VCを必要なだけ可変できるので、前述の電源電圧を下げることによる発熱対策と、ばらつきディスクに対するプレイ・アビリティ劣化のトレード・オフの問題も解決できる。
【特許文献1】特開平4−26929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前述の従来のリニア駆動ドライバー回路では、BTLドライバー部102の入力電圧VINが急激に変化した場合に、降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧が入力電圧VIN及び制御信号VBに応答できず、その結果として、入力電圧VINに応じて出力されるべきBTLドライバー部102の出力電圧差が所望の電圧差〔(VO+)−(VO-)〕として出力されないことがあった。
【0018】
このような状態の期間を図11において「異常動作」と記載し、その期間における各波形の状態を示す。入力電圧VINが基準電圧VREFに対して急激に正の方向に増大変化した為に、制御信号VBもそれに応じて急激に立ち上がり大きく変化する。制御信号VBの急激な立ち上がりの変化に応じて、出力信号VCも急激に立ち上がろうとする。しかし、降圧型DC−DCコンバータ部101の応答特性は、前述の抵抗110とコンデンサー111による降圧型DC−DC制御部103のフィルタ特性とスイッチング・コイル115と充電用コンデンサー117により遅れるため、この応答特性の遅れにより、出力電圧VCは入力信号VBに応じて急激に立ち上がらない。BTLドライバー部102は入力電圧VINの変化に応じて、BTLドライバー部102の正相出力電圧VO+を立ち上げようとするが、降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCは急激に立ち上がらない為、つまり図1において第1のパワー出力トランジスタQ1のコレクタ電圧が立ち上がらない為、この第1のパワー出力トランジスタQ1は飽和状態になり、正相出力電圧VO+も急激に立ち上がらない。結果として、入力電圧VINに応じてBTLドライバー部102の出力電圧差が所望の電圧差〔(VO+)−(VO-))とならないことになる。
【0019】
このように、従来のリニア駆動ドライバー回路においては、BTLドライバー部102の入力電圧VINが急激に変化した場合、その入力電圧VINに応じて出力されるべきBTLドライバー部102の出力電圧差が所望の電圧差〔(VO+)−(VO-)〕とならないという問題がある。この問題は、光ディスク装置においては重要な問題である。光ディスクを駆動する装置において、光ピックの対物レンズを動かすアクチュエータを駆動するためのドライバー回路の入力信号の電圧値は、簡略化して説明すると、対物レンズの位置と対物レンズが焦点を合わせる光ディスク上に書き込まれた信号bitとの距離に比例した値となる。光ディスク装置のサーボ制御のため、このドライバー回路の入力電圧値は通常の動作状態ではそれほど大きな値とはならない。しかし、光ディスク装置に機械的振動が外乱として与えられた場合、その機械的振動によって光ディスク上に書き込まれた信号bitと光ピックにおける対物レンズの位置が瞬時にして離れてしまう。この結果、光ディスク装置のサーボ制御はこの異常な動作状態から正常な動作状態に戻すために、ドライバー回路の入力電圧値を急激に変化させる。この時、ドライバー回路は入力電圧値に対応した出力電圧値を出力しなければ、光ディスク上に書き込まれた信号bitと光ピックにおける対物レンズとの距離が離れてしまい、光ディスク装置のサーボ制御が外れてしまうという問題がある。
【0020】
したがって、光ディスク装置において、光ピックの対物レンズを動かすアクチュエータを駆動させるリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧VINが急激に変化した場合においても、BTLドライバー部の出力電圧差が入力電圧VINに応じて出力されるように構成することが解決すべき重要な課題である。
【0021】
本発明は、発熱を抑えて、入力電圧の急激な変化にリニア駆動ドライバー部であるBTLドライバー部の出力電圧差が対応できるように、降圧型DC−DCコンバータ部の出力信号の入力電圧に対する応答性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のリニア駆動ドライバー回路は、上記の目的を達成するために、請求項1に記載したように、電源電圧が供給されスイッチング・パワートランジスタの駆動により所望の電圧を持つ出力信号を形成する降圧型DC−DC駆動部と、前記スイッチング・パワートランジスタの駆動信号を形成する降圧型DC−DC制御部とを有する降圧型DC−DCコンバータ部、
前記降圧型DC−DC制御部に制御信号を出力するリニア駆動ドライバー制御部と、前記降圧型DC−DC駆動部からの出力信号が入力され、アクチュエータを駆動制御するリニア駆動パワー出力部とを有するリニア駆動ドライバー部、
前記リニア駆動ドライバー制御部からの制御信号を微分処理する微分回路、及び
前記微分回路からの微分信号が入力され、前記微分信号の電位が所定値を超えたとき、異常動作時であるとして前記降圧型DC−DCコンバータ部の前記スイッチング・トランジスタを駆動制御する異常動作駆動信号を生成する波形整形回路、
を具備する。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【0023】
請求項2に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1の前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、無駄なICの発熱を起こさないようにパワー電源電圧を供給することができる。
【0024】
請求項3に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1の前記リニア駆動ドライバー部が、基準電圧を有する信号を入力する基準端子と、入力信号が入力される入力端子と、逆相の出力信号を出力する2つの出力端子とを有し、
入力信号から基準電圧の減算値に前記リニア駆動ドライバー部の固有のゲインを乗算して2つの前記出力端子の出力電圧差を形成し、2つの前記出力端子からの出力電圧の最大値を包絡した制御信号を出力するように構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が変化した場合に、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに無駄なICの発熱を起こさないようにパワー電源電圧を供給することができる。
【0025】
請求項4に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1の前記降圧型DC−DCコンバータ部が、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベース端子に接続され、エミッタ端子が電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が変化した場合に、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに無駄なICの発熱を起こさないようにパワー電源電圧を供給することができる。
【0026】
請求項5に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1の前記降圧型DC−DC制御部が、制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧と、前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧とを比較し、その比較結果を電流値として出力する増幅器と、
前記増幅器からの出力された電流値から電圧値出力に変換し、且つ前記降圧型DC−DC制御部の周波数特性を設定する抵抗とコンデンサーからなるフィルターと、
前記電圧値出力と三角波信号とを比較し、前記スイッチング・トランジスタを駆動するPWM出力信号を出力するPWMコンパレータとを具備する。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が変化した場合に、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに無駄なICの発熱を起こさないようにパワー電源電圧を供給することができる。
【0027】
請求項6に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1の前記微分回路及び前記波形整形回路で構成された回路が、制御信号の傾きを検出し、前記制御信号の立上りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記降圧型DC−DC制御部による駆動制御を無視して、前記スイッチング・トランジスタを強制的に駆動制御し、
前記制御信号の立下りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記スイッチング・トランジスタを前記降圧型DC−DC制御部が駆動制御するよう切り換えるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【0028】
請求項7に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項2の前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【0029】
請求項8に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項5のDC−DC制御部のPWMコンパレータがイネーブル端子を有し、前記波形整形回路からの信号が前記イネーブル端子に入力されるよう構成されており、前記イネーブル端子に入力された信号が前記異常動作制御信号のとき、前記PWMコンパレータの出力に接続された前記スイッチング・トランジスタを前記異常動作制御信号により強制的に駆動制御するよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧を急峻に立ち上げることができる。
【0030】
請求項9に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項8の前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧を急峻に立ち上げることができる。
【0031】
請求項10に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項2の前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力端子となるコイルと充電コンデンサーとの接続点にコレクタ端子を接続し、電源にエミッター端子を接続し、ベース端子を前記波形整形回路の出力端子に接続された強制駆動用・トランジスタをさらに具備している。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、降圧型DC−DCコンバータ部からの出力信号の立ち上がりは早くなり、異常動作時において優れた応答性を有する。
【0032】
請求項11に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項10の前記微分回路及び前記波形整形回路で構成された回路が、制御信号の傾きを検出し、前記制御信号の立上りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記強制駆動用・トランジスタを強制的に駆動制御し、
前記制御信号の立下りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記強制駆動用・トランジスタの駆動を止めるように構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、降圧型DC−DCコンバータ部からの出力信号の立ち上がりは早くなり、異常動作時において優れた応答性を有する。
【0033】
請求項12に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項10の前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【0034】
請求項13に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項10の前記波形整形回路の出力端子と前記強制駆動用・トランジスタのベース端子との間に異常動作制御回路を設け、
前記異常動作制御回路が、制御信号が非反転入力端子に入力され、降圧型DC−DCコンバータ部の出力信号が反転入力端子に入力される2入力コンパレータ、
前記2入力コンパレータの出力信号と前記波形整形回路の出力信号が入力される2入力AND回路、及び
前記2入力AND回路の出力信号が入力され、前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に出力信号が入力されるドライブ回路を具備する。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならないよう制御することが可能となる。
【0035】
請求項14に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項13の前記ドライブ回路が、Hレベルの信号が入力されたとき、Lレベルの信号を前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に出力して当該強制駆動用・トランジスタを強制的に駆動し、Lレベルの信号が入力されたとき、Hレベルの信号を前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に入力して、当該強制駆動用・トランジスタをOFF状態とするように構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならないよう制御することが可能となる。
【0036】
請求項15に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項13の前記降圧型DC−DCコンバータ部が、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベース端子に接続され、エミッタ端子が電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、通常動作においては、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成されており、
前記異常動作制御回路の前記2入力コンパレータの反転入力端子と非反転入力端子間に前記オフセット電圧と実質的に同じ値のオフセット電圧を印加するよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならず、ほぼ通常動作時の制御信号に対する追従動作と同じように制御されることが可能となる。
【0037】
請求項16に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項13の前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならず、ほぼ通常動作時の制御信号に対する追従動作と同じように制御することが可能となる。
【0038】
請求項17に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項13のDC−DC制御部のPWMコンパレータがディス・イネーブル端子を有し、前記波形整形回路からの信号が前記ディス・イネーブル端子と前記2入力AND回路の入力端子に入力されるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならないよう制御することが可能となる。
【0039】
請求項18に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項17の前記PWMコンパレータの前記ディス・イネーブル端子にLレベルの信号が入力されたとき、前記PWMコンパレータは前記電圧値出力と三角波信号とを比較し、前記スイッチング・パワートランジスタを駆動するPWM出力信号を出力し、
前記ディス・イネーブル端子にHレベルの信号が入力されたとき、前記PWMコンパレータの出力に接続された前記スイッチング・パワートランジスタを強制的にOFF状態とするよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならないよう制御することが可能となる。
【0040】
請求項19に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項17の前記降圧型DC−DCコンバータ部が、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベース端子に接続され、エミッタ端子が電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、通常動作においては、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成されており、
前記異常動作制御回路の前記2入力コンパレータの反転入力端子と非反転入力端子間に前記オフセット電圧と実質的に同じ値のオフセット電圧を印加するよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならず、ほぼ通常動作時の制御信号に対する追従動作と同じように制御されることが可能となる。
【0041】
請求項20に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項17の前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するとともに、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならず、ほぼ通常動作時の制御信号に対する追従動作と同じように制御されることが可能となる。
【0042】
請求項21に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1、請求項8、請求項10、請求項13、又は請求項17のいずれか一項に記載の前記微分回路が、演算増幅器で構成され、前記演算増幅器の非反転入力端子には基準電圧が入力され、反転入力端子にはコンデンサーの一端と抵抗の一端が接続され、前記抵抗の他端は前記演算増幅器の出力端子に接続されて前記微分回路の出力となり、前記コンデンサーの他端は微分回路の入力端子となるよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【0043】
請求項22に記載した発明のリニア駆動ドライバー回路においては、請求項1、請求項8、請求項10、請求項13、又は請求項17のいずれか一項に記載の前記波形整形回路が、第1のコンパレータと、第2のコンパレータと、フリップフロップ回路と、波形整形ドライブ回路とにより構成され、
前記第1のコンパレータの非反転入力端子には前記基準電圧に所定の値のオフセット電圧が印加され、前記第1のコンパレータの反転入力端子には前記微分回路の出力電圧が印加され、そして前記第1のコンパレータの出力端子は前記フリップフロップ回路のセット端子に入力されており、
前記第2のコンパレータの反転入力端子には前記基準電圧に所定の値のオフセット電圧が印加され、前記第2のコンパレータの非反転入力端子には前記微分回路の出力電圧が印加され、そして前記第2のコンパレータの出力端子は前記フリップフロップ回路のリセット端子に入力されており、
前記波形整形ドライブ回路は、前記フリップフロップ回路からの出力信号に応じて、前記リニア駆動ドライバー部に対する信号を生成するよう構成されている。
このように構成されたリニア駆動ドライバー回路は、入力電圧が急激に変化した場合においても、リニア駆動ドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有する。
【発明の効果】
【0044】
本発明のリニア駆動ドライバー回路は、記録再生可能な光ディスク装置において、特に光ピックからの読み取り信号が小さい光ディスク装置において、DC−DCコンバータ部とリニア駆動ドライバー部と異常動作検出部とを用いた構成であり、PWMドライバー回路を用いない構成であるため、PWMドライバー回路を用いた場合のようにPWM駆動によるノイズが光ピックからの信号に入る恐れが無く、PWMドライバー回路の代替のドライバー回路として優れた効果を奏する。
また、本発明のリニア駆動ドライバー回路は、従来のリニア駆動のドライバー回路固有の問題、例えばドライバー回路の電源電圧が高い場合に問題となるICの発熱の問題や、この発熱問題のためにドライバー回路の電源電圧の大きさを制限することによる面振れディスク、偏芯ディスク等のばらつきディスクによるプレイ・アビリティ劣化のトレード・オフの問題を解決するものである。
さらに、本発明のリニア駆動ドライバー回路においては、ドライバー回路の入力―出力の応答性が速いため、光ディスク装置に機械的振動の外乱が加えられた場合においても、この光ディスク装置のサーボ制御が外れることが無く、安定して記録再生動作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明のリニア駆動ドライバー回路の好適な実施の形態を添付の図面を参照しつつ説明する。
【0046】
《第1の実施の形態》
図1は本発明に係る第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、降圧型DC−DCコンバータ部1とリニア駆動ドライバー部であるBTLドライバー部2と異常動作検出部30とにより構成されている。リニア駆動ドライバー部であるBTLドライバー部2は、リニア駆動ドライバー制御部であるBTLドライバー制御部5と、バイポーラ・トランジスタ又はMOSトランジスタで構成された4つのパワー出力トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4によりHブリッジ接続されたリニア駆動パワー出力部であるBTLパワー出力部6とにより構成されている。降圧型DC−DCコンバータ部1は4つのパワー出力トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4でHブリッジ構成されたBTLパワー出力部6のパワー供給電源となる。異常動作検出部30は微分回路8と波形整形回路9とを有している。微分回路8は、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力電圧VCを制御するBTLドライバー制御部5からの出力信号VBを微分する。波形整形回路9は、微分回路8の出力信号VBDを波形整形して、降圧型DC−DCコンバータ部1のスイッチング・PNPトランジスタ15のベースを駆動する。
【0047】
第1の実施の形態の降圧型DC−DCコンバータ部における基本的な降圧動作は前述の「背景技術」の欄の従来技術として説明した降圧型DC−DCコンバータ部の動作説明と同じであるため、その説明を援用してここでは省略する。
【0048】
図2は第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図である。図2においては、BTLドライバー部2の入力信号VIN、基準電圧VREF、BTLドライバー部2から出力された降圧型DC−DCコンバータ部1に対する制御信号VB、この制御信号VBの微分後の信号VBD、波形整形回路9の出力信号VF、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VC、及びBTLドライバー部2の出力信号(VO+)と(VO−)の各波形を示す。図2において、横軸は時間軸であり、通常動作時(第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路が搭載されている光ディスク装置が正常に動作しているときの状態)、光ディスク装置が機械的振動を受けた異常動作時、及び異常動作から復帰した通常動作時を時間軸に沿って各期間に分けて各信号波形を示している。
【0049】
光ディスク装置が機械的振動を受けた異常動作時において、光ディスク装置のサーボ制御機能により、入力電圧VINは基準電圧VREFから、機械的振動により正か負の方向に大きな振幅で瞬時に振れる。図2に示されるように、第1の実施の形態におけるBTLドライバー制御部5は、制御信号VBを入力電圧VINに同期して瞬時に大きく動かし、それに応じて降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCを瞬時に大きな電圧に立ち上げさせる。この結果、第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、BTLドライバー部2の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕を(VIN−VREF)に比例した電圧で瞬時に出力させることができ、光ディスク装置の対物レンズを瞬時に大きく動かすことが可能となる。上記と同様な異常動作時において、前述の図10に示した従来のリニア駆動ドライバー回路の場合には、図11に示したように制御信号VBが瞬時に大きく動いても降圧型DC−DCコンバータ部101の出力信号VCの電圧が急激に立ち上がらず、結果としてBTLドライバー部102の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕を瞬時に(VIN−VREF)に比例した電圧にはならなかった。
【0050】
本発明に係る第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路では、異常動作時において、微分回路8及び波形整形回路9で構成された異常動作検出部30からの出力信号VFがスイッチング・PNPトランジスタ15を強制的に駆動する構成である。このように構成された第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、制御信号VBが瞬時に大きく動いたとき、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCが急激に立ち上げられ、優れた応答性を示す構成となる。
【0051】
第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において、異常動作検出部30の微分回路8と波形整形回路9は以下のように構成してスイッチング・PNPトランジスタ15を強制的に駆動している。
微分回路8は制御信号VBを微分した信号VBDを所定のバイアス電圧VRを中心にして出力する。制御信号VBが急激に立上り、その微分出力値である信号VBDが所定のスレッショルド電圧(VR−Vth)を超えたとき、波形整形回路9の出力信号VFはLレベルの信号となる。通常動作時における波形整形回路9は、不定状態出力である。波形整形回路9の出力信号VFがLレベルの信号になると、スイッチング・PNPトランジスタ15は降圧型DC−DC制御部3による制御から外れ、強制的にフル・ON状態となる。この結果、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCの電圧は急激に立ち上がる。その後、制御信号VBが急激に立下り、微分回路8の出力信号VBDが所定のスレッショルド電圧(VR+Vth)を超えたとき、波形整形回路9の出力信号VFはLレベル出力から通常動作時の不定状態出力に変わる。この結果、スイッチング・PNPトランジスタ15の制御は降圧型DC−DC制御部3のPWMコンパレータ14の出力が行うよう復帰する。
【0052】
前述の図10に示した従来のBTLドライバー回路の構成においては、微分回路と波形整形回路が設けられていないため、制御信号VBが急激に変化したとき、瞬時にスイッチング・PNPトランジスタ113を強制的にフル・ON状態としたくても、降圧型DC−DC制御部103のgmアンプ109とPWMコンパレータ112の間にある抵抗110とコンデンサー111とで構成された位相補償のフィルタの為に、スイッチング・PNPトランジスタ113を瞬時にフル・ON状態とすることは不可能である。
【0053】
本発明に係る第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、微分回路8と波形整形回路9を設けて、制御信号VBが急激に変化したとき波形整形回路9の出力信号VFが瞬時にLレベルを出力することにより、スイッチング・PNPトランジスタ15を瞬時に強制的フル・ON状態とさせることができ、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCの電圧を急峻に立ち上げることができる。
【0054】
なお、第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、スイッチング・PNPトランジスタ15とスイッチング・ダイオード17は、2つのMOSパワートランジスタに置き換えて、この2つのMOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるように構成したものでもよい。この場合、波形整形回路9とPWMコンパレータ14は、2つの同期整流方式のMOSパワートランジスタを、通常動作時と異常動作時において、上記の第1の実施の形態1で説明したように選択的に制御することができるよう構成されている。
【0055】
図3は第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において用いられる異常動作検出部30の微分回路8と波形整形回路9の具体的構成を示す回路図である。
降圧型DC−DCコンバータ部1に対する制御信号VBを微分する微分回路8は、コンデンサー81、演算増幅器であるオペアンプ82、抵抗83で構成されている。コンデンサー81の一端は微分回路8の入力端子に接続されており、コンデンサー81の他端はオペアンプ82の反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ82の反転入力端子には抵抗83の一端が接続されており、抵抗83の他端はオペアンプ82の出力端子に接続され、微分回路8の出力となる。オペアンプ82の非反転入力端子には基準電圧VRが接続されている。
【0056】
微分回路8の入力信号である制御信号VBの電圧波形がある傾きを持つと、制御信号VBの時間微分にコンデンサー81の値を乗算した値の電流がコンデンサー81を通して流れる。この電流は抵抗83を通してオペアンプ82の出力端子に流れ込む。オペアンプ82の反転入力端子は非反転入力端子の入力電圧である基準電圧VRに対して仮想接地されているため、微分回路8の出力端子の電圧(出力信号VBDの電圧)は以下の式(2)により表わされる。
【0057】
VBD=VR−RD・CD・(dVB/dt) ・・・(2)
【0058】
なお、式(2)において、CDはコンデンサー81の容量[F]、RDは抵抗83の抵抗値[Ω]である。また、ここでVBDは微分回路8の出力信号VBDの電圧とし、VBは制御信号の電圧とする。
【0059】
波形整形回路9は、2つのコンパレータ91と93、リセット子とセットの入力端子を有するフリップフロップ回路であるR−Sフリップフロップ回路95、及びドライブ回路96を具備している。第1のコンパレータ91の非反転入力端子には基準電圧VRに所定の値のオフセット電圧(−Vth)が付加された電圧が入力され、反転入力端子には微分回路8の出力信号VBDが入力される。第1のコンパレータ91の出力端子はR−Sフリップフロップ回路95のセット端子(S)に接続される。
【0060】
第2のコンパレータ93の反転入力端子には基準電圧VRに所定の値のオフセット電圧(+Vth)が付加された電圧が入力され、非反転入力端子には微分回路8の出力信号VBDが入力される。第2のコンパレータ93の出力端子はR−Sフリップフロップ回路95のリセット端子(R)に接続される。R−Sフリップフロップ回路95の出力端子(Q)は波形整形ドライブ回路96の入力端子(EN)に接続される。
【0061】
上記のように構成された波形整形ドライブ回路96は、R−Sフリップフロップ回路95の出力端子(Q)からの信号に対応して、第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路に応じた必要な信号を出力するように構成される。
なお、後述する第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、及び第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においても、上記の図3に示した微分回路8と波形整形回路9が設けられており、実質的に同じ動作を行う。
【0062】
《第2の実施の形態》
図4は本発明に係る第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、降圧型DC−DC制御部3AのPWMコンパレータ14Aが1つのイネーブル端子(EN)を持ち、波形整形回路9の出力信号VFがこのイネーブル端子に入力される。第2の実施の形態における、それ以外の回路構成は前述の図1の第1の実施の形態と同じである。したがって、第2の実施の形態の説明において、第1の実施の形態における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、それらの説明は第1の実施の形態における説明を適用する。第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において、イネーブル端子つきのPWMコンパレータ14Aと波形整形回路9以外の構成要素の動作は同じである。
【0063】
第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において、微分回路8が制御信号VBの立上りの微分係数が所定の値を超え、急峻に立ち上がった異常動作を検出した場合、波形整形回路9はPWMコンパレータ14Aのイネーブル端子へディス・イネーブルを意味する信号を送り、PWMコンパレータ14Aの出力に接続されるスイッチング・PNPトランジスタ15を強制的に駆動する。その後、制御信号VBの立下りの微分係数が所定の値を超え、急峻に立ち下がった場合、波形整形回路9はPWMコンパレータ14Aのイネーブル端子へイネーブルを意味する信号を送り、通常動作の降圧型DC−DCコンバータ制御が行われる。
【0064】
第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、異常動作検出部30の微分回路8と波形整形回路9を用いて、制御信号VBが急激に変化する異常動作となったとき、波形整形回路9が瞬時にイネーブル端子つきのPWMコンパレータ14Aに対してLレベルの信号を出力する。これにより、第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、スイッチング・PNPトランジスタ15が、瞬時に強制的フル・ON状態となり、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力電圧VCを急峻に立ち上げることができる。
【0065】
《第3の実施の形態》
図5は本発明に係る第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。
第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において、図1に示した第1の実施の形態の構成と異なる点は、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20が設けられている点である。第3の実施の形態において、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力端子となるスイッチング・コイル18の一端と充電コンデンサー19の一端の接続点に強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20のコレクタ端子が接続されている。強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20のエミッタ端子にはパワー供給電源16とスイッチング・PNPトランジスタ15のエミッタ端子が接続されている。第3の実施の形態においては、このように強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20が設けられており、波形整形回路9の出力端子が強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20のベース端子に接続されている。
【0066】
以下、第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路に関して、前述の第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路と異なる点について説明し、同じ機能、構成を有する構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は第1の実施の形態の説明を適用する。
第3の実施の形態における波形整形回路9は、通常動作において、Hレベルの信号を出力し、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を駆動しない。微分回路8において制御信号VBの立上りの微分係数が所定の値を超え、急峻に立ち上がった異常動作を検出したとき、波形整形回路9の出力信号VFはLレベルとなり、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を強制駆動する。その後、制御信号VBの立下りの微分係数が所定の値を超え、急峻に立ち下がった場合、波形整形回路9の出力電圧VFはHレベルとなり、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を駆動しなくなり、通常動作の降圧型DC−DCコンバータ制御が行われる。
【0067】
第3の実施の形態において、降圧型DC−DCコンバータ部1は第1の実施の形態における降圧型DC−DCコンバータ部1より出力電圧VCを急峻に立ち上げることが可能な構成となる。第3の実施の形態における降圧型DC−DCコンバータ部1の充電コンデンサー19への充電動作は、第1の実施の形態のようにスイッチング・PNPトランジスタ15を用いてスイッチング・コイル18を通して行わず、別途、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を設けて直接に充電コンデンサー19へ行うよう構成されている。
【0068】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、充電コンデンサー19への充電動作がスイッチング・コイル18を介して行う構成であるため、スイッチング・PNPトランジスタ15から充電コンデンサー19への電流が急激に増えない特性がある。第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20が設けて異常動作時に波形整形回路9がこの強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を直接駆動して、出力信号VCを制御する構成である。したがって、第3の実施の形態の構成においては、降圧型DC−DCコンバータ部1からの出力信号VCの立ち上がりは早くなり、異常動作時において優れた応答性を有する。
【0069】
《第4の実施の形態》
図6は本発明に係る第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。図7は第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図である。
【0070】
第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、図5に示した第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路に異常動作制御部31を設けたものである。この異常動作制御部31は、2入力コンパレータ22と、2入力AND回路23と、ドライブ回路24とを有している。2入力コンパレータ22は、制御信号VBが非反転入力端子に接続され、DC−DCコンバータ部1の出力信号VCが反転入力端子に接続される。このとき、図6に示すように、2入力コンパレータ22の非反転入力端子には、降圧DC−DC制御部3のgmアンプ11の非反転入力端子に入力される第1のオフセット電圧VOFFと実質的に同じ値を有する第2のオフセット電圧VOFF2を有するオフセット電源21が接続されるよう構成しても良い。好ましい設定としては、第2のオフセット電圧VOFF2が第1のオフセット電圧VOFFより小さい値に設定すると良い。
【0071】
2入力AND回路23は2入力コンパレータ22の出力と波形整形回路9の出力を入力として、その演算結果をドライブ回路24へ出力する。ドライブ回路24は2入力AND回路23の出力が入力端子(EN)に入力され、その出力端子(OUT)が強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20のベース端子に接続されている。
ドライブ回路24の入力端子(EN)に入力された信号がHレベルであれば、ドライブ回路24の出力端子(OUT)の出力信号VFはLレベルとなる。Lレベルの出力信号VFが強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20のベース端子に入力されて、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20は強制的に駆動される。一方、ドライブ回路24の入力端子(EN)に入力される信号がLレベルであれば、出力端子(OUT)の信号VFはHレベルとなり強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20をOFF状態とする。
【0072】
次に、図6を用いて、第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における動作について説明する。
光ディスク装置が機械的振動を被る異常動作期間においては、制御信号VBが急峻に立ち上がり、その後に急峻に立ち下がる。この異常動作期間では波形整形回路9の出力信号VAはHレベルを維持する。制御信号VBが急峻に立ち上がる期間は、降圧DC−DCコンバータ部1の出力信号VCの立ち上がりが遅く、結果として出力信号VCは制御信号VBより低い状態となる。この間、異常動作制御部31における2入力コンパレータ22の出力信号VGは、Hレベルを出力する。このとき、2入力AND回路23の出力信号VEもHレベルの信号を出力し、ドライブ回路24の出力信号VFはLレベルを出力する。この結果、ドライブ回路24が出力するLレベルの出力信号VFにより強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を強制的にON状態とし、降圧DC−DCコンバータ部1の出力信号VCを急激に立ち上げる。その後、出力信号VCが制御信号VBより第2のオフセット電圧VOFF2だけ高くなると、2入力コンパレータ22の出力信号VGはLレベルとなり、結果としてドライブ回路24の出力信号VFはHレベルとなり、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20の強制的なON状態の動作が終了する。そして、第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路は、通常動作の降圧型DC−DCコンバータ部1の制御モードに移行する。この時、オフセット電圧が、VOFF2<VOFFであれば、この制御モードへの移行がスムーズになる。
【0073】
前述の第1の実施の形態から第3の実施の形態の構成では、図2における出力波形図に示したように、異常動作の期間が長いと、図2における信号VFがLレベルの期間、すなわち第1の実施の形態及び第2の実施の形態ではスイッチング・PNPトランジスタ15が強制的なON期間、及び第3の実施の形態では強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20が強制的なON期間が長いため、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力電圧VCはパワー供給電源16の電源電圧の値近くまで到達する可能性がある。この結果、第1の実施の形態から第3の実施の形態の構成においては、ICの発熱に関して多少の問題がある。
【0074】
第4の実施の形態においては、上記のICの発熱の問題を解決するために、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20で出力信号VCを急激に立ち上げた後、この出力信号VCが制御信号VBより大きくなったのを確認して、降圧型DC−DCコンバータ部1に制御を戻すよう構成されている。したがって、第4の実施の形態においては、異常動作の期間が長いときでも、出力信号VCが不必要に高い電圧にならないよう制御することが可能となる。
【0075】
《第5の実施の形態》
図8は本発明に係る第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図である。図9は第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図である。
【0076】
第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路においては、前述の図6に示した第4の実施の形態における降圧型DC−DC制御部3のPWMコンパレータ14をディス・イネーブル端子(DEN)付きのPWMコンパレータ14Dに置き換え、波形整形回路9の出力信号VAが2入力AND回路23とPWMコンパレータ14Dのディス・イネーブル端子に入力されるよう構成されている。その他の構成は、第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成と同じである。このため、第5の実施の形態の説明においては、同じ機能、構成を有する構成要素には同じ符号を付し、それらの構成要素の説明は第4の実施の形態の説明を適用する。
【0077】
第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において、ディス・イネーブル端子付きのPWMコンパレータ14Dは、ディス・イネーブル端子への入力信号がLレベルの場合には、PWMコンパレータ14Dの通常の機能を維持し、降圧型DC−DCコンバータ制御が行われる。一方、ディス・イネーブル端子への入力信号がHレベルの場合には、PWMコンパレータ14Dの出力に接続されるスイッチング・PNPトランジスタ15を強制的にOFF状態とするよう構成されている。
【0078】
図8に示すように、異常動作制御部31における2入力コンパレータ22の非反転入力端子には、降圧型DC−DC制御部3Dのgmアンプ11の非反転入力端子に入力される第1のオフセット電圧VOFFと実質的に同じ値の第3のオフセット電圧VOFF3を有するオフセット電源21Dが接続されるよう構成しても良い。
【0079】
図9を用いて、第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における動作について説明する。
制御信号VBが急峻に立ち上がり、急峻に立ち下がる光ディスク装置が機械的振動を被る異常動作期間において、波形整形回路9の出力信号VAはHレベルを維持する。制御信号VBが急峻に立ち上がる期間は、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCの立ち上がりが遅く、結果としてこの出力信号VCは制御信号VBより低い状態となる。この期間、2入力コンパレータ22の出力信号VGはHレベルを出力する。この結果、2入力AND回路23の出力信号VEもHレベルとなり、ドライブ回路24の出力信号VFはLレベルとなる。これにより、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20は強制的にON状態となり、出力信号VCを急激に立ち上げる。その後、出力信号VCが制御信号VBより第3のオフセット電圧VOFF3だけ高くなると、2入力コンパレータ22の出力信号VGはLレベルとなり、結果としてドライブ回路24の出力信号VFはHレベルとなる。このように、出力信号VFがHレベルになると、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20における強制的なON動作は終了する。しかし、異常動作期間において、波形整形回路9はPWMコンパレータ14Dのディス・イネーブル端子にHレベルの信号VAを出力しているので、PWMコンパレータ14Dは降圧型DC−DCコンバータ部1のスイッチング・PNPトランジスタ15を強制的にOFF状態とし、降圧型DC−DCコンバータ部1の制御を停止している。その結果、以下の(1)及び(2)の動作が繰り返し行われる。
【0080】
(1)スイッチング・PNPトランジスタ15及び強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20はともにOFF状態の為に、出力信号VCの電位は下がり、2入力コンパレータ22の出力信号VGが再度Hレベルとなる。この期間は波形整形回路の出力信号VAがHレベルを維持しているので、2入力AND回路23の出力信号VEもHレベルに戻り、ドライブ回路24の出力信号VFはLレベルとなる。この結果、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20は強制的にON状態となり、出力信号VCを急激に立ち上げる。
【0081】
(2)その後、出力信号VCが制御信号VBより第3のオフセット電圧VOFF3だけ高くなると、2入力コンパレータ22の出力信号VGはLレベルとなり、結果としてドライブ回路24の出力信号VFはHレベルとなる。この結果、強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20は強制的にON動作が終了させられる。
【0082】
上記(1)及び(2)の動作は、波形整形回路9の出力信号VAがHレベルのときの異常動作期間中繰り返し行われる。
したがって、第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路を搭載した光ディスク装置が機械的振動を被る異常動作期間中においては、一旦、降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCがアクチュエータ7を駆動するのに十分な電圧に瞬時に立ち上がった後、2入力コンパレータ22と2入力AND回路23とドライブ回路24と強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20とで構成される帰還回路でレギュレータ的な動作で出力信号VCの電位を(VB+VOFF3)に制御する。異常動作期間が終了すると波形整形回路9の出力信号VAがLレベルとなるため、通常動作の降圧型DC−DCコンバータ部1により出力信号VCが制御される。
【0083】
前述の第4の実施の形態では、図7の出力波形図により示されているように、異常動作期間のうちドライブ回路24の出力信号VFがLレベルの期間だけ、すなわち、制御信号VBと降圧型DC−DCコンバータ部1の出力信号VCが急峻に立ち上がる期間だけ強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20を強制的にON状態とする。しかし、この時、降圧型DC−DCコンバータ部1も制御動作を行っているため、降圧型DC−DCコンバータ部1のスイッチング・PNPトランジスタ15は動作している。そのため、スイッチング・PNPトランジスタ15と強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ20の2つのPNPトランジスタが動作しているため、パワー供給電源16に過度的な電流が流れるおそれがあった。
【0084】
また、前述の第4の実施の形態においては、出力信号VCが急峻に立ち上がった後、異常動作期間において出力信号VCが高い電圧を維持している間も降圧型DC−DCコンバータ部1による制御が行われている。そのため、降圧型DC−DCコンバータ部1の制御の帰還ループ特性の最適値は、出力信号VCの電位が低い通常動作において設定されていた場合、出力信号VCの電位が高い異常動作期間では降圧型DC−DCコンバータ部1による制御が不安定になる可能性がある。このように第4の実施の形態の構成では、出力信号VCの電位が高い異常動作期間において制御が不安定になるという課題があった。
【0085】
第5の実施の形態は、前述の第4の実施の形態における課題を解決するものであり、波形整形回路9の出力信号VAがHレベルである異常動作期間中においては、降圧型DC−DCコンバータ部1の制御をOFF状態とし、2入力コンパレータ22と2入力AND回路23とドライブ回路24と強制駆動用・PNPトランジスタ20とにより構成され帰還回路で出力信号VCを急峻に立ち上げ、高い電圧を維持することができるよう構成されている。
【0086】
前述の各実施の形態において、図3に示した微分回路8と波形整形回路9は実質的に同じ構成のものが用いられており、本発明の微分回路(8)と波形整形回路(9)は第1の実施の形態において図2で説明したような制御信号VBから変換された波形整形回路9の出力信号VFの波形や、第4の実施の形態において図7で説明したような制御信号VBから変換された波形整形回路9の出力信号VAの波形や、第5の実施の形態において図9で説明したような制御信号VBから変換された波形整形回路9の出力信号VAの出力波形を整形できるよう構成されている。
【0087】
以上のように、本発明のリニア駆動ドライバー回路は、各実施の形態において具体的な構成で詳細に説明したように、発熱を抑えて、入力電圧VINの急激な変化にBTLドライバー部の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕が優れた応答性を有して対応することができる。すなわち、本発明においては、降圧型DC−DCコンバータ部の出力信号VCの応答性能を向上させて、BTLドライバー部の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕の応答性を高めている。
また、本発明においては、リニア駆動ドライバー回路のパワー出力トランジスタのコレクタ損失を抑制して、すなわちICの発熱を抑えて、アクチュエータを駆動させるために必要な電流を優れた応答性を有して供給できる。
【0088】
本発明のリニア駆動ドライバー回路は、出力電圧を可変に制御できる降圧型DC−DCコンバータ部によりBTLドライバー部の電源電圧を供給する構成を用いて、入力電圧VINの急激な変化にBTLドライバー部の出力電圧差〔(VO+)−(VO-)〕が瞬時に対応することができる。
以上のように、本発明のリニア駆動ドライバー回路は、BTLドライバー部の入力―出力の応答性を劣化させることなく、パワー出力トランジスタの発熱の問題を解決することができ、各種負荷をリニア駆動する装置に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のリニア駆動ドライバー回路は、リニア駆動ドライバー回路の入力電圧が急激に変化した場合においても、BTLドライバー部の出力電圧差が瞬時に入力電圧に応じて出力され、優れた応答性を有するため、リニア駆動する装置において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図
【図3】第1の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路において用いられる微分回路と波形整形回路の具体的構成を示す回路図
【図4】本発明に係る第2の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図5】本発明に係る第3の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図6】本発明に係る第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図7】第4の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図
【図8】本発明に係る第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図9】第5の実施の形態のリニア駆動ドライバー回路における各構成要素の動作を示す波形図
【図10】従来のリニア駆動ドライバー回路の構成を示すブロック図
【図11】従来のリニア駆動ドライバー回路の動作を示す各信号の波形図
【符号の説明】
【0091】
1 降圧型DC−DCコンバータ部
2 BTLドライバー部
3 降圧型DC−DC制御部
4 降圧型DC−DC駆動部
5 BTLドライバー制御部
6 BTLパワー出力部
7 アクチュエータ
8 微分回路
9 波形整形回路
10 オフセット電源
11 gmアンプ
12 抵抗
13 コンデンサー
14 PWMコンパレータ
15 スイッチング・PNPトランジスタ
16 パワー供給電源
17 スイッチング・ダイオード
18 スイッチング・コイル
19 充電コンデンサー
20 強制駆動用スイッチング・PNPトランジスタ
21 2入力コンパレータ
22 2入力AND回路
23 ドライブ回路
30 異常動作検出部
31 異常動作制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が供給されスイッチング・パワートランジスタの駆動により所望の電圧を持つ出力信号を形成する降圧型DC−DC駆動部と、前記スイッチング・パワートランジスタの駆動信号を形成する降圧型DC−DC制御部とを有する降圧型DC−DCコンバータ部、
前記降圧型DC−DC制御部に制御信号を出力するリニア駆動ドライバー制御部と、前記降圧型DC−DC駆動部からの出力信号が入力され、アクチュエータを駆動制御するリニア駆動パワー出力部とを有するリニア駆動ドライバー部、
前記リニア駆動ドライバー制御部からの制御信号を微分処理する微分回路、及び
前記微分回路からの微分信号が入力され、前記微分信号の電位が所定値を超えたとき、異常動作時であるとして前記降圧型DC−DCコンバータ部の前記スイッチング・トランジスタを駆動制御する異常動作駆動信号を生成する波形整形回路、
を具備することを特徴とするリニア駆動ドライバー回路。
【請求項2】
前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成された請求項1に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項3】
前記リニア駆動ドライバー部は、基準電圧を有する信号を入力する基準端子と、入力信号が入力される入力端子と、逆相の出力信号を出力する2つの出力端子とを有し、
入力信号から基準電圧の減算値に前記リニア駆動ドライバー部の固有のゲインを乗算して2つの前記出力端子の出力電圧差を形成し、2つの前記出力端子からの出力電圧の最大値を包絡した制御信号を出力するように構成された請求項1に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項4】
前記降圧型DC−DCコンバータ部は、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベースに接続され、エミッターが電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成された請求項1に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項5】
前記降圧型DC−DC制御部は、制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧と、前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧とを比較し、その比較結果を電流値として出力する増幅器と、
前記増幅器からの出力された電流値から電圧値出力に変換し、且つ前記降圧型DC−DC制御部の周波数特性を設定する抵抗とコンデンサーからなるフィルターと、
前記電圧値出力と三角波信号とを比較し、前記スイッチング・トランジスタを駆動するPWM出力信号を出力するPWMコンパレータとを具備する請求項1に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項6】
前記微分回路及び前記波形整形回路で構成された回路は、制御信号の傾きを検出し、前記制御信号の立上りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記降圧型DC−DC制御部による駆動制御を無視して、前記スイッチング・トランジスタを強制的に駆動制御し、
前記制御信号の立下りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記スイッチング・トランジスタを前記降圧型DC−DC制御部が駆動制御するよう切り換えるよう構成された請求項1に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項7】
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成された請求項2に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項8】
DC−DC制御部のPWMコンパレータがイネーブル端子を有し、前記波形整形回路からの信号が前記イネーブル端子に入力されるよう構成されており、前記イネーブル端子に入力された信号が前記異常動作制御信号のとき、前記PWMコンパレータの出力に接続された前記スイッチング・トランジスタを前記異常動作制御信号により強制的に駆動制御するよう構成された請求項5に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項9】
前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成された請求項8に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項10】
前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力端子となるコイルと充電コンデンサーとの接続点にコレクタ端子を接続し、電源にエミッター端子を接続し、ベース端子を前記波形整形回路の出力端子に接続された強制駆動用・トランジスタをさらに具備した請求項2に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項11】
前記微分回路及び前記波形整形回路で構成された回路は、制御信号の傾きを検出し、前記制御信号の立上りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記強制駆動用・トランジスタを強制的に駆動させ、
前記制御信号の立下りの微分係数が所定の値を超えたとき、前記強制駆動用・トランジスタの駆動を止めるように構成された請求項10に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項12】
前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成された請求項10に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項13】
前記波形整形回路の出力端子と前記強制駆動用・トランジスタのベース端子との間に異常動作制御回路を設け、
前記異常動作制御回路は、制御信号が非反転入力端子に入力され、降圧型DC−DCコンバータ部の出力信号が反転入力端子に入力される2入力コンパレータ、
前記2入力コンパレータの出力信号と前記波形整形回路の出力信号が入力される2入力AND回路、及び
前記2入力AND回路の出力信号が入力され、前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に出力信号が入力されるドライブ回路を具備する請求項10に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項14】
前記ドライブ回路は、Hレベルの信号が入力されたとき、Lレベルの信号を前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に出力して当該強制駆動用・トランジスタを強制的に駆動し、Lレベルの信号が入力されたとき、Hレベルの信号を前記強制駆動用・トランジスタのベース端子に入力して、当該強制駆動用・トランジスタをOFF状態とするように構成された請求項13に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項15】
前記降圧型DC−DCコンバータ部は、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベースに接続され、エミッターが電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、通常動作においては、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成されており、
前記異常動作制御回路の前記2入力コンパレータの反転入力端子と非反転入力端子間に前記オフセット電圧と実質的に同じ値のオフセット電圧を印加するよう構成された請求項13に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項16】
前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成された請求項13に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項17】
DC−DC制御部のPWMコンパレータがディス・イネーブル端子を有し、前記波形整形回路からの信号が前記ディス・イネーブル端子と前記2入力AND回路の入力端子に入力されるよう構成された請求項13に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項18】
前記PWMコンパレータの前記ディス・イネーブル端子にLレベルの信号が入力されたとき、前記PWMコンパレータは前記電圧値出力と三角波信号とを比較し、前記スイッチング・パワートランジスタを駆動するPWM出力信号を出力し、
前記ディス・イネーブル端子にHレベルの信号が入力されたとき、前記PWMコンパレータの出力に接続された前記スイッチング・パワートランジスタを強制的にOFF状態とするよう構成された請求項17に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項19】
前記降圧型DC−DCコンバータ部は、前記降圧型DC−DC制御部と、前記降圧型DC−DC制御部の出力がベースに接続され、エミッターが電源に接続されたスイッチング・パワートランジスタと、アノードが接地された回生電流用のスイッチング・ダイオードと、前記降圧型トランジスタのコレクタ端子と前記スイッチング・ダイオードのカソード端子とに一端が接続されたコイルと、一端が接地され、他端が前記コイルの他端に接続された充電用コンデンサーとで構成され、
前記降圧型DC−DCコンバータ部の出力電圧が、通常動作においては、前記降圧型DC−DC制御部に入力される制御信号に所定のオフセット電圧を加えた電圧に追従動作するように構成されており、
前記異常動作制御回路の前記2入力コンパレータの反転入力端子と非反転入力端子間に前記オフセット電圧と実質的に同じ値のオフセット電圧を印加するよう構成された請求項17に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項20】
前記リニア駆動パワー出力部が、4つのバイポーラNPNトランジスタまたはMOSのNチャンネルトランジスタをHブリッジで構成し、
前記リニア駆動パワー出力部の電源電圧供給回路である降圧型DC−DC駆動部が、PNPの前記スイッチング・トランジスタとスイッチング・ダイオードとコイルと充電コンデンサーとにより構成されており、
前記スイッチング・トランジスタと前記スイッチング・ダイオードを2つのMOSパワートランジスタに置き換えて構成し、2つの前記MOSパワートランジスタを同期整流方式で動作させるよう構成された請求項17に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項21】
前記微分回路は、演算増幅器で構成され、前記演算増幅器の非反転入力端子には基準電圧が入力され、反転入力端子にはコンデンサーの一端と抵抗の一端が接続され、前記抵抗の他端は前記演算増幅器の出力端子に接続されて前記微分回路の出力となり、前記コンデンサーの他端は微分回路の入力端子となるよう構成された請求項1、請求項8、請求項10、請求項13、又は請求項17のいずれか一項に記載のリニア駆動ドライバー回路。
【請求項22】
前記波形整形回路は、第1のコンパレータと、第2のコンパレータと、フリップフロップ回路と、波形整形ドライブ回路とにより構成され、
前記第1のコンパレータの非反転入力端子には前記基準電圧に所定の値のオフセット電圧が印加され、前記第1のコンパレータの反転入力端子には前記微分回路の出力電圧が印加され、そして前記第1のコンパレータの出力端子は前記フリップフロップ回路のセット端子に入力されており、
前記第2のコンパレータの反転入力端子には前記基準電圧に所定の値のオフセット電圧が印加され、前記第2のコンパレータの非反転入力端子には前記微分回路の出力電圧が印加され、そして前記第2のコンパレータの出力端子は前記フリップフロップ回路のリセット端子に入力されており、
前記波形整形ドライブ回路は、前記フリップフロップ回路からの出力信号に応じて、前記リニア駆動ドライバー部に対する信号を生成するよう構成された請求項1、請求項8、請求項10、請求項13、請求項17のいずれか一項に記載のリニア駆動ドライバー回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−129679(P2006−129679A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318501(P2004−318501)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】