説明

リーンバーンIC内燃機関を備えた装置、及びそのための排気システム

本発明は、i)リーンバーン内燃機関と、(ii)前記機関から流出する排気ガスを処理する排気システムと、前記システムが、(a)NO吸着触媒(NAC)を備えてなる第一基材モノリスと、及び(b)フィルタ基材を備えてなる触媒化煤フィルタ(CSF)を備えてなるものであり、並びに(iii)通常のリーン走行運転中に、断続的にエンリッチされた排気ガス組成物を供給し、前記NACに吸着された硫黄を除去する、排気ガスをエンリッチ化する手段とを備えてなるものであり、前記排気システムが、(c)前記NACの少なくとも一部の下流に配置された化合物を備えてなるものであり、前記化合物が、NACに吸着された硫黄を除去することにより得られるエンリッチされた排気ガス中の少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効なものである、装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンバーン内燃機関、特にディーゼルエンジンを備えた、特に車両に適用される装置、及び機関から流出する排気ガスを処理する排気システムに関する。特に、本発明はNO吸収触媒(NAC)と触媒化煤フィルタ(CSF)を有する排気システムを備えてなる装置に関する。
【0002】
NACは、例えば、US特許番号第5,473,887号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)により知られており、リーン排気ガス(ラムダ>1)から窒素酸化物(NO)を吸収し、且つ、排気ガス中の酸素濃度が減少した時に当該NOを脱着するように設計されている。脱着されたNOは、例えばNACそれ自体の、又はNACの下流に配置されたロジウム等の触媒成分により促進されたディーゼル燃料等の好適な還元剤を用いて、Nに還元することができる。実際には、酸素濃度が、断続的に、NACの計算上の残留NO吸収能力に応じて、例えば通常のエンジン走行運転よりリッチ(しかしストイキオメトリよりリーンな組成物、又はラムダ=1の組成物)、ストイキオメトリ、又はストイキオメトリよりリッチ(ラムダ<1)にして、好ましいレッドクス(酸化還元)組成に調節される。酸素濃度は、多くの手段、例えばスロットリング、追加の炭化水素燃料をエンジンシリンダに、例えば排気ストローク中に噴射すること、又は炭化水素燃料をエンジンマニホールドの下流の排気ガスに直接噴射することなどの手段により、調節することができる。ディーゼルエンジンにおけるより洗練された一般的なレール燃料インジェクタシステムを使用して、非常に正確な燃料量を計量して排気ガス組成(物)を調節することもできる。
【背景技術】
【0003】
典型的なNAC組成物は、プラチナ等の触媒酸化成分と、バリウム等のNO吸蔵成分と、ロジウム等の還元触媒を含んでなる。この組成物による、リーン排気ガスからのNO吸蔵に通常付与されるメカニズムは、以下の反応式(1)及び(2)で説明される。
NO+1/2O→NO (1)
BaO+NO+1/2O→Ba(NO (2)
反応式(1)において、酸化窒素がプラチナ上の活性酸化部位にある酸素と反応してNOを形成する。反応式(2)は、無機硝酸塩の形態の吸蔵物質によるNOの吸着を伴う。
【0004】
低い酸素濃度及び/又は高温において、硝酸塩種は熱力学的に不安定になり、下記の反応式(3)に示すように、分解してNO又はNOを生成する。好適な還元剤の存在のもとでは、これらの窒素酸化物は、その後、一酸化炭素、水素、及び炭化水素によってN2に還元される。この反応は、還元触媒上で発生する(反応式(4)参照)。
Ba(NO→BaO+2NO+3/2O又はBa(NO→BaO+2NO+1/2O (3)
NO+CO→1/2N+CO (及び他の反応物) (4)
【0005】
上記の反応式(1)〜(4)において、反応性バリウム種は酸化物として与えられる。しかし、空気の存在下においては、バリウムの殆どが、炭酸塩又は場合により水酸化物の形態をとることが理解されている。従って、当業者は、上記の反応スキームを、酸化物以外のバリウムの種に適合させることができる。
【0006】
例えばディーゼル用途において、NACの使用における問題とは、ディーゼルエンジン燃料もまた硫黄を含有するため、燃料燃焼中に、この硫黄が二酸化硫黄(SO)に変換されてしまうことである。SOは、NACの酸化触媒成分により酸化してSOとなり、そして、NOの吸着メカニズムと同様のメカニズムにより、このSOがNO吸着剤に吸着される。もちろん、NOxを吸着するNO吸蔵成分上の活性部位の数は限られているため、NOx吸蔵成分上の硫酸塩の存在によって、NO吸蔵成分全体としてのNO吸着能力が損なわれる。したがって、十分なNO吸着能力を維持するためには、硫酸塩を定期的にNACから除去しなければならない。しかしながら、リーン排気ガス中において、バリウム等のNO吸蔵成分の硫酸塩は硝酸塩より安定しているため、NO脱着よりも、より長期に亘る高温及び/又はリッチ条件が、通常必要とされている。
【0007】
通常の排気ガス組成物よりもリッチな排気ガス組成物を使用してNACを脱硫する場合の顕著な問題は、硫酸塩が硫化水素として除去されてしまうことである。この化合物は、特徴のある不快な腐敗した卵の臭いを有するため、大気中への排出が防止されることが望ましい。
【0008】
この問題は、超低硫黄ディーゼル(Ultra Low Sulfur Diesel)(硫黄の最大含有量が15ppm(wt)である燃料)がアメリカ合衆国において入手可能になってきたため、近年ではある程度まで解消されてきている。欧州においては、最大硫黄含有限度が50ppmのディーゼル燃料が、2005年初頭から入手可能になっており、また、「硫黄フリー」の10ppm硫黄ディーゼル燃料が1991年からスウェーデンで、そして更に最近ではデンマークと英国において入手可能となっている。したがって、NAC脱硫が必要とされることは少なくなっている。
【0009】
CSFは、例えば米国特許番号第5,100,632号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)により知られている。通常、CSFは、ある特定の運転条件下で、例えばエンジンが高負荷のときに、フィルタが受動的に再生する受動−能動混合再生をしながら用いられる。例えば低負荷運転等の他の条件下では、排気ガス温度を積極的に−典型的には約550〜600℃に−上昇させて、フィルタが任意の煤負荷に達した場合はいつでも(例えば背圧センサを用いて検知される)、又は車両が所定距離を走行した後に、定期的な再生を起こさせる。温度の上昇は、例えばエンジンの管理により、又は燃料を排気ガス中に噴射することにより実現され、その後ウォームアップ触媒(これはCSFそれ自体に存在してもよい)上でHC酸化が行われる。
【0010】
NAC及び下流CSFを備えてなるディーゼル排気システムは、例えば、名称を「カミンズライトトラックディーゼルエンジンプログレスレポート」とするSAE2001−01−2065号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)により知られている。
【0011】
WO01/12320号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)、内燃機関の排気システム用ウォールフローフィルタを開示しており、このウォールフローフィルタは、フィルタの上流端部の実質的に気体非透過性領域上に、酸化触媒を備えてなる。選択的に、NO吸収剤をフィルタの下流端部の実質的に気体非透過性領域に配置することができる。
【0012】
炭質煤粒子及びNOを排出するリーンバーン内燃機関用、特にディーゼルエンジン用の排気システムに対する必要性は依然として存在する。このような排気システムは、炭質煤粒子を処理する手段にNAC機能を一体化させて、HS排出を削減又は防止しつつ、選択的にリッチ条件下でNAC脱硫を可能とする。本発明者等は、NAC及びCSFの両方を備えたリーンバーン内燃機関用の排気システムについて研究を重ね、このような必要性にかなう構成を見いだした。
【発明の概要】
【0013】
一の実施形態によれば、本発明は、
(i)リーンバーン内燃機関と、
(ii)前記機関から流出する排気ガスを処理する排気システムと、並びに
前記システムが、
(a)NO吸着触媒(NAC)を備えてなる第一基材モノリスと、及び
(b)フィルタ基材を備えてなる触媒化煤フィルタ(CSF)を備えてなるものであり、
(iii)通常のリーン走行運転中に、断続的にエンリッチされた排気ガス組成物を供給し、前記NACに吸着された硫黄を除去する、排気ガスをエンリッチ化する手段とを備えてなるものであり、
前記排気システムが、
(c)前記NACの少なくとも一部の下流に配置された化合物を備えてなるものであり、
前記化合物が、NACに吸着された硫黄を除去することにより得られるエンリッチされた排気ガス中の少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効なものである、装置を提供する。
【0014】
本明細書において、「エンリッチ化された(濃縮された:enriched)」とは、「通常の走行運転に対して」という意味である。したがって、エンリッチ化された(濃縮された)排気ガス組成物は、ストイキオメトリより正味にリーン(例えばラムダ>1)な状態であっても、正味にストイキオメトリ(ラムダ=1)な状態であっても、正味にリッチ(ラムダ<1)な状態であってもよい。ここで、ラムダ=実際の空燃比/理論空燃比である。しかしながら、好適には濃縮された状態とは正味にリッチな状態、すなわちラムダ<1である。
【0015】
フィルタ基材は、例えばEP1276549号及びEP1057519号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)に開示されたウォールフローフィルタ、焼結金属フィルタ、及びパーシャルフィルタを含む、ディーゼル粒子物質をトラップして保持する目的に適していればいずれのものでもよい。第一基材モノリスは、フロースルーモノリス又はパーシャルフィルタ基材等のフィルタ基材であってよい。
【0016】
CSF触媒は、アルミナ、セリア、又はセリアとジルコニアの混合酸化物又は複合酸化物を含む好適なサポート材上にサポートされたプラチナ及び/又はパラジウムを含む目的に適していればいずれのものでもよい。しかしながら、本発明の第二の実施態様においては(下記参照)、第一基材モノリスがフィルタ基材であり、NAC組成物がCSF触媒の機能を果たす。
【0017】
典型的には、NACは、プラチナ、パラジウム、又はプラチナとパラジウムの両方等の触媒酸化成分と、アルカリ性土類金属酸化物、アルカリ性金属酸化物、又は例えばセリア、ランタン、イットリア、又はこれらの酸化物のうちに二種以上の組み合わせ等からなるランタニド金属の酸化物等のNOx吸蔵成分と、ロジウム等の還元触媒を含んでなるが、ロジウムはフィルタの出口チャネルに配置されてもよいし、フィルタの下流全体に亘って、例えばフロースルー基材の下流に配置されてもよい。NACは、典型的にはハニカムモノリス基材にウォッシュコートとして塗布されるが、第一基材モノリスを押出タイプのハニカムとして提供することも可能である。NACが押出品として存在する場合、他の触媒コーティングをこの押出品に塗布して、単一の「ブリック」に触媒機能を組み合わせることも可能である。
【0018】
好ましくは、濃縮手段が、マイクロプロセッサ(ECU)を備えてなり、この濃縮(エンリッチ)手段が機関制御ユニットの一部をなす。
【0019】
本発明の第一の実施態様において、前記フィルタ基材が、前記第一基材モノリスの上流に配置されているものである。特定の実施形態においては、前記第1基材モノリスが、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を備えてなる。例えば、前記第一基材モノリスが、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、前記NACが、上流端部における前記第一基材モノリスの前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリスに沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第一領域に配置されてなり、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点と、下流端部における前記第一基材モノリスの前記出口端部とによって規定された、実質的に均一な長さの第二領域に配置されてなるように構成することができる。
【0020】
本発明の第一の実施態様の他の特定の実施態様において、第二基材モノリスが前記第一基材モノリスの下流に配置され、この第二基材モノリスが少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる。
【0021】
本発明による上記の第二の実施態様によれば、前記第一基材モノリスが前記フィルタ基材である。このような排気システムの特徴を組み合わせることにより、排気システム内の省スペース化が図れて車両への適用に有用であるとともに、フィルタ基材内の保温がしやすくなり、これにより内部で生じる触媒化化学反応を促進することができる。ある特定の実施態様において、前記フィルタ基材が、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物の両方を含んでなる。したがって、このような特定の実施態様においては、前記フィルタ基材が、その入口端部から出口端部に延在する長さを有し、前記NACが、上流端部における前記フィルタ基材の前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材に沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの領域に配置されるとともに、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分以上の地点によって規定され、且つ、下流端部における前記フィルタ基材それ自体の前記出口端部によって規定された、実質的に均一な長さの第四領域に配置されてなるように構成する。
【0022】
本発明の第二の実施態様の他の特定の実施態様において、第二基材モノリスが、フィルタ基材の下流に配置されてもよく、この第二基材モノリスは、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物を備えてなる。
【0023】
本発明の第三の実施態様によれば、前記フィルタ基材が入口端部と出口端部を備えてなり、
前記フィルタ基材の前記入口端部が、排気ガスの流れ方向において、前記第一基材モノリスの下流に配置されてなる。少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、前記第一基材モノリスと前記フィルタ基材との間に設置された第三基材モノリスに配置されてもよく、及び/又は、前記第一基材モノリスが、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物の両方を含んでもよい。後者の構成による実施態様において、前記第一基材モノリスが、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、前記NACが、上流端部における前記第一基材モノリスの前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第一領域に配置されるとともに、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点と、下流端部における前記第一基材モノリスの前記出口端部とによって規定された、実質的に均一な長さの第二領域に配置されてなる。
【0024】
本発明の第三の実施態様による更なる実施態様において、前記フィルタ基材が、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる。これらの実施態様において、前記化合物は、フィルタ基材の全長に亘って塗布してもよいし、フィルタ基材の上流端部における入口端部によって規定された(において定められた)領域に塗布してもよいし、フィルタ基材の下流端部における出口端部によって規定された(において定められた)領域に塗布してもよいし、又はこのような入口端部それ自体及び出口端部それ自体によって規定されていない(によって定められてない)、フィルタ基材の入口端部と出口端部の間の任意の地点において規定された(において定められた)領域に塗布してもよい。ある特定の実施態様において、前記フィルタ基材が、その入口端部から出口端部に延在する長さを有し、
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部それ自体と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分までの地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第五領域に配置されてなる。
【0025】
他の特定の実施態様によれば、前記フィルタ基材が、その入口端部から出口端部に延在する長さを有し、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分以上の地点によって規定され、且つ、下流端部における前記フィルタ基材それ自体の前記出口端部によって規定された、実質的に均一な長さの領域に配置されてなる。
【0026】
本発明の第二又は第三の実施態様に関して上述のように開示された、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物の配置箇所の他に、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる第四基材モノリスが、前記フィルタ基材の下流に設置されてもよい。
【0027】
要するに、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、前記排気システム内における、下記
(1)前記NACと前記フィルタ基材との間の位置、
(2)前記NACの下流の前記第一基材上の位置、
(3)前記フィルタ基材上の位置、
(4)前記フィルタ基材と前記排気システムの大気への出口との間の位置、
(5)上記の位置(1)及び(2)の両方の位置、
(6)上記の位置(2)及び(3)の両方の位置、
(7)上記の位置(1)及び(3)の両方の位置、及び
(8)上記の位置(1)、(2)、(3)の全ての位置、のうちの一つに配置されてなることができる。
【0028】
前記排気システムが、前記機関と前記NACとの間に設けられた酸化触媒を含んでなることができる。酸化触媒は、ディーゼル煤粒子に吸着された未燃焼の炭化水素と炭化水素の可溶性有機フラクション、及び排気ガス中の一酸化炭素を酸化することができる。このような酸化触媒の組成は当業界では周知であり、例えば、米国特許番号第5,491,120号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)を含む。酸化触媒は、HC類及びCOを酸化することの他に、窒素酸化物を酸化するように構成することもできる。通常、DOC類がフロースルーモノリス基材に塗布されているが、これをディーゼル粒子フィルタに塗布して触媒化煤フィルタ(CSF)を形成してもよい。本発明の第二の実施態様において、フィルタ基材がNACを備えてなり、WO01/12320に記載されているように、酸化触媒がNOをNOに酸化することができるとともに、フィルタ基材にトラップされた粒子物質をNOに酸化することができる。
【0029】
実施形態のあるセットにおいて(これは、本発明の第一、第二、及び第三のいずれの実施形態と組み合わせて利用できる)、酸化触媒を、機関と第一基材モノリスの間に設置された別個の基材モノリス上に配置することができる。
【0030】
或いは、前記第一基材モノリスが、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、
前記酸化触媒が、上流端部における前記第一基材モノリスの前記入口端部と、下流端部におけるNACによって規定された、実質的に均一な長さの第六領域に配置されてなることができる。すなわち、NACを含む領域が、酸化触媒を含んでなる領域の上流端部における下流端部によって規定されてもよい。このような構成は、本発明のいずれの第一、第二、及び第三の実施形態とともに利用できる。
【0031】
従って、ある特定の実施形態において、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さ又は前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分以上の地点によって規定され、且つ、下流端部における前記第一基材モノリス又は前記フィルタ基材それ自体の前記出口端部によって規定された、実質的に均一な長さの第七領域に配置されてなるものである。
【0032】
排気ガスを濃縮する手段が、断続的に機関に濃縮排気ガスを排出させるように構成された機関管理ユニットを備えてなることができる。或いは、又はこれに加えて、排気ガスを濃縮する手段が、機関の下流の排気システムにより運搬される流動排気ガス中に還元剤を噴射するインジェクタを備えてなることができる。或いは、又はこれに加えて、例えばエンジン燃料と排気ガスの一部を改質触媒に供給し、次いでこのようにして得られた混合物をNAC上流の排気ガスに供給し返すことにより形成された水素と一酸化炭素を用いて、排気ガスを濃縮することができる。この反応に適した触媒は改質触媒として知られており、代表的な例にはプラチナ群金属類(PGMs)及びニッケル(Ni)に基づく触媒が含まれる。更なる詳細については、D.L.Trimm及びZ.I.Onsanによる触媒レビュー−Science and Engeneering、第43巻(2001年)、31〜84頁(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)を参照されたい。
【0033】
本発明の本実施形態による更に好適で有用な改質触媒は、セリウム及びジルコニウムの陽イオンを含んでなる耐火性酸化物サポート材上に分散させた2wt%、例えば1wt%までのロジウムを含んでいる。例えば、出願人のWO99/48805号(この公報の内容すべてを本願明細書の内容として包含する)を参照されたい。2wt%、例えば1wt%までのサポートされたRhの他に、他の触媒は、(0.5wt%、例えば0.1wt%までの)Pt、及び2wt%までのRh(例えば1wt%までのRh)と0.5wt%までのPt(例えば0.1wt%までのPt)を含むRh−Ptの低いローディングを含んでなる。Rh、Pt、Rh−Pt、及びNiのサポート材には、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、シリカ、シリカ−アルミナ、及びこれらのうちの2種以上を含む混合酸化物が含まれる。
【0034】
硫化水素除去及び/又は吸着化合物は、リッチ条件下で硫化水素を吸蔵及び/又は変換可能ないずれの物質でもよい。一実施形態において、硫化水素除去及び/又は変換化合物が、NiO、CaO、Fe、及びBaOからなる群から選択される。
【0035】
硫化水素除去及び/又は変換化合物におけるHSの吸着は反応式(5)で説明され、リーン条件下での脱着は反応式(6)で説明される。
2HS+NiO+2/1O→NiS+2HO (5)
NiS+21/2O→NiO+2SO (6)
【0036】
硫化水素除去及び/又は変換化合物は、NAC及び/又はCSFの、例えばプラチナ及び/又はパラジウム等のプラチナ群金属酸化触媒成分と共存させることもできるが、好適な化合物であるNiOは、PGM触媒の炭化水素及び一酸化炭素活性を失わせる場合がある。このため、これらの材料物質を分離した別個の領域又は基材に配置することにより、このような硫化水素除去及び/又は変換化合物を隔離することが望ましい。
【0037】
濃縮手段は、濃縮工程中にNACの温度を制御してNACから硫酸塩を除去する手段を備えてなることができる。
【0038】
一実施態様において、前記濃縮手段が、正味のリッチ排気ガス組成物(ラムダ<1)を提供し、前記温度制御手段が、排気ガス濃縮工程中に断続的に排気ガス組成物をリーン側(ラムダ>1)に調整して、前記NACに吸着された硫黄を除去及び/又は変換する手段を備えてなる。断続的に排気ガス組成物をリーン側(ラムダ>1)に調整する前記手段が、エンジン空燃比、及び前記機関の下流の排気ガス中に空気を噴射するインジェクタ、及び/又はディーゼル燃料及び排気ガスの改質触媒への供給を制御することができる。これにより、特に、硫化水素除去及び/又は変換化合物が、CSFの下流端部か、又はCSFの下流に設置された別の基材モノリス上に配置されている場合、硫化水素除去及び/又は変換化合物に吸蔵された硫黄が、大気にそのまま排出可能な二酸化硫黄として放出されるという有益な効果が更に得られる。CSFの上流で放出された二酸化硫黄は、CSF触媒において三酸化硫黄に酸化でき、この三酸化硫黄は排気ガス中の水分(蒸気)と結合すると、テストサイクルにおいて検出される総粒子状物質に寄与して適切な排出基準を満たすことが可能な硫酸の微粒子を形成することができる。
【0039】
実際には、NACのリッチな排気ガス組成物とその後のリーンな排気ガスへの接触は、周期的に、又は例えばネガティブフィードバックにより制御して非周期的に行い、これによりNACを望ましい温度ウィンドウに維持して、NACそれ自体の熱水失活を制限しつつ最適な脱硫を実現する。
【0040】
リーンバーン内燃機関は、関連するレジスレーションに規定された軽量車用ディーゼルエンジン又は重量車用ディーゼルエンジン等のディーゼルエンジンであってよい。しかしながら、必要に応じて、ガソリンリーンバーンエンジンであってもよい。
【0041】
第二の実施形態によれば、本発明は、本発明による装置を備えてなる車両を提供する。
【0042】
第三の実施形態によれば、本発明は、NO吸着触媒(NAC)と、フィルタ基材を備えてなる触媒化煤フィルタ(CSF)を備えてなるリーンバーン内燃機関の排気システムにおけるNO吸着触媒(NAC)を脱硫する方法であって、(i)十分な時間と温度において、硫酸化されたNACをエンリッチされた排気ガスに接触させ、吸着された硫黄含有種を脱着し、これにより硫化水素を生成し、及び(ii)硫化水素を含有する排気ガスを、リッチ排気ガスから少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物に接触させる、工程を含んでなり、前記少なくとも一部の硫化水素を排気ガスから除去及び/又は変換するのに有効な化合物の少なくとも一部が、前記NACの下流に設置されてなる、方法を提供する。
【0043】
一実施態様において、本発明の方法は、上記工程(i)の間に、リッチ排気ガスから少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物を、リーンな排気ガスに断続的に接触させることにより、二酸化硫黄を前記化合物から放出させる工程を備えてなる。
【0044】
本発明が更に十分に理解されることを目的として、本発明の実施態様を添付図面を参照しつつ説明する。
【0045】
図1は、燃料噴射ターボディーゼルエンジン12と、排気システム14と、フィルタ基材がEP1276549号に記載されたパーシャルフィルタである触媒化煤フィルタ(CSF)20を備えてなる装置10を示す。排気システム14は、ターボ(ターボは図示せず)の下流に配置されたディーゼル酸化触媒(DOC)16と、流れ方向(矢印により示す)においてその後に位置するNOx吸着触媒(NAC)18を備えてなる。パーシャルフィルタの出口端部の別領域22には、リッチな排気ガス中の硫化水素を吸着するニッケルを含んでなるウォッシュコートが設けられている(リッチ条件下において、ニッケルはニッケル金属として存在し、リーン走行条件下では場合によりカーボネートとして存在する。従って、「ニッケルを含んでなる」ものとは、ニッケル化合物を意味する)。DOC及びNACのそれぞれは、フロースルーセラミック基材モノリスに塗布されている。
【0046】
通常の運転において、NAC18のNOを吸着する能力が低下して再生する必要があると決定された場合、正常なリーン走行運転中に、マイクロプロセッサを備えてなるエンジン制御ユニット24が、エンジンの燃料噴射レジームを断続的に(例えば2〜3分)制御して、排気システム中の排気ガスを一時的に(例えば数秒以下)濃縮する。
【0047】
車両を、例えば数千マイルを超えるほど走行させると、燃料及び潤滑油中の硫黄がNACに吸着され、これによりNACの有限なNO吸着性能を低下させる可能性がある。NACが脱硫されるべきであると決定されたとき、エンジン制御ユニットが、例えば10分間以下の脱硫レジームを開始させる。この脱硫レジームにおいて、エンジン燃料噴射が、排気ガスがリッチ(ラムダ<1)となるように制御される。DOC16とNAC18それ自体の酸化触媒成分に付着した未燃焼の炭化水素及びCOの燃焼により、NACの温度が、硫黄がNACからリッチ排気ガス中の硫化水素として除去される温度まで上昇する。少なくとも一部の硫化水素が、フィルタ20の下流端部に位置する領域22のニッケル含有ウォッシュコート成分に接触した排気ガスから除去される。
【0048】
吸蔵された硫黄を二酸化硫黄として放出することにより、領域22において硫化水素吸着剤を再生し、且つNACへの過度な熱水ダメージを阻止するために、脱硫レジームの間に、排気ガス組成物を制御してリーン側(ラムダ>1)に短時間戻す。本実施態様において、リーンな排気ガス組成物は、エンジン制御ユニット24によって、エンジンの空燃比を制御することにより得られる。しかしながら、リーンな排気ガスは、エンジン制御ユニット24により制御されるエンジンの下流の排気ガスに、空気を噴射するインジェクタを設けることによっても得ることができる。
【0049】
図2は、本発明による装置の別の実施態様を示す。図2において、図1を参照して開示された構成部材と同一の構成部材には、同様の番号が付されている。装置30は、排気システム32を備えてなる。参照番号34はフロースルーセラミック基材モノリスであり、この基材モノリス34は、その入口端部から全長「L」の半分未満の距離を、領域36において酸化触媒組成物に被覆されてなる。また、基材モノリス34は、上流端部における領域36と、下流端部におけるモノリス基材の出口端部とによって規定される領域38において、NAC組成物に被覆されてなる。基材モノリス34の下流には、別個の比較的短いフロースルー基材モノリス40が設けられ、この基材モノリス40は、酸化カルシウム系の硫化水素吸着組成物に被覆されてなる。基材モノリス40の下流にはセラミックウォールフローフィルタ基材を備えてなるCSFが設置されている。
【0050】
参照番号44は、燃料インジェクタを示す。この燃料インジェクタ44は、リザーバ46から、エンジン12と基材モノリス34との間の排気システム30の内部を流れる排気ガスに、炭化水素還元剤を噴射して供給するよう構成されている。還元剤のインジェクタノズルへの流れは、アクチュエータ48により制御され、このアクチュエータ48は、エンジン制御ユニット24により制御される。空気インジェクタ28が、基材モノリス34と硫化水素吸着剤で被覆されたモノリス基材40との間の排気システム30の内部を流れる排気ガスに空気を噴射するよう設けられている。空気の噴射は空気ポンプ52によりなされ、この空気ポンプ52はエンジン制御ユニット24により制御される。
【0051】
図2に示す実施形態の利用方法は(図1に示す)第一の実施形態に関して上記された利用方法に非常に類似している。ただし、NAC再生とNAC脱硫を目的とする排気ガスの濃縮が、燃料インジェクタ44を使用して実施され、また、NACの過熱を防止し、且つ硫化水素吸着剤を再生するための排気ガスの酸化還元が、アクチュエータ48と空気ポンプ52の相互作用と、これによる還元成分と空気の排気ガス中への進入を制御することによりなされる点を除く。これ以上の具体的な説明は不要と思われる。
【0052】
以下の実施例は、例示のみを目的とするものである。
【0053】
適切な濃度のニッケル硝酸塩水溶液に、650℃の空気中で2時間に亘って含浸させたAlの粒子を焼成して得た、0.01gの33%NiO/Al触媒の粉末を、同重量の粉末コーディエライトに混合した。このようにして得られた粉末混合物を、合成触媒活性テスト(SCAT)装置において、140ppmのHS、1%のH、残部のHe/Nのリッチガス混合物に41.7分間に亘り曝し、0.8%のOと残部のHeのリーンガス混合物に8.3分に亘り曝すことを繰り返した。図3は、450℃で繰り返し循環終了後の、触媒の下流のガスにおいて検出されたSO及びHS含有量を示している。この図から、NiSとして吸蔵された硫黄間の質量バランスが、入口ガス混合物がリッチからリーンに切り替わった直後にSOとして排出された量と等しいことが理解される。550℃と650℃において実験を繰り返したが、同様の結果が得られた。テストの終了までに、吸着/脱着活性におけるロスなしに、同じサンプルが35時間未満の間、循環された。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の装置の第一実施態様を示す構成図である。
【図2】本発明の装置の第二実施態様を示す構成図である。
【図3】合成触媒活性テスト(SCAT)装置において試験された33%NiO/Alコーディエライト触媒粉末サンプル上の、リッチ/リーンサイクルレジームの間に、下流で検出されたHS及びSOを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)リーンバーン内燃機関と、
(ii)前記機関から流出する排気ガスを処理する排気システムと、並びに
前記システムが、
(a)NO吸着触媒(NAC)を備えてなる第一基材モノリスと、及び
(b)フィルタ基材を備えてなる触媒化煤フィルタ(CSF)を備えてなるものであり、
(iii)通常のリーン走行運転中に、断続的にエンリッチされた排気ガス組成物を供給し、前記NACに吸着された硫黄を除去する、排気ガスをエンリッチ化する手段とを備えてなるものであり、
前記排気システムが、
(c)前記NACの少なくとも一部の下流に配置された化合物を備えてなるものであり、
前記化合物が、NACに吸着された硫黄を除去することにより得られるエンリッチされた排気ガス中の少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効なものである、装置。
【請求項2】
前記フィルタ基材が、前記第一基材モノリスの上流に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1基材モノリスが、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を備えてなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一基材モノリスが、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、
前記NACが、上流端部における前記第一基材モノリスの前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリスに沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第一領域に配置されてなり、
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点と、下流端部における前記第一基材モノリスの前記出口端部とによって規定された、実質的に均一な長さの第二領域に配置されてなる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一基材モノリスの下流に配置され、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる第二基材モノリスを備えてなる、請求項2〜4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第一基材モノリスが前記フィルタ基材である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタ基材が、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物の両方を含んでなる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタ基材が、その入口端部から出口端部に延在する長さを有し、
前記NACが、上流端部における前記フィルタ基材の前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材に沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第三領域に配置されるとともに、
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分以上の地点によって規定され、且つ、下流端部における前記フィルタ基材それ自体の前記出口端部によって規定された、実質的に均一な長さの第四領域に配置されてなる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタ基材の下流に配置され、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる第二基材モノリスを備えてなる、請求項6〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ基材が入口端部と出口端部を備えてなり、
前記フィルタ基材の前記入口端部が、排気ガスの流れ方向において、前記第一基材モノリスの下流に配置されてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、前記第一基材モノリスと前記フィルタ基材との間に設置された第三基材モノリスに配置されてなる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第一基材モノリスが、前記NACと、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記第一基材モノリスが、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、
前記NACが、上流端部における前記第一基材モノリスの前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第一領域に配置されるとともに、
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以上の地点と、下流端部における前記第一基材モノリスの前記出口端部とによって規定された、実質的に均一な長さの第二領域に配置されてなる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記フィルタ基材が、少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる、請求項10〜13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタ基材が、その入口端部から出口端部に延在する長さを有し、
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部それ自体と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分までの地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第五領域に配置されてなる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物を含んでなる第四基材モノリスが、前記フィルタ基材の下流に設置されてなる、請求項6〜15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、前記排気システム内における、下記
(1)前記NACと前記フィルタ基材との間の位置、
(2)前記NACの下流の前記第一基材上の位置、
(3)前記フィルタ基材上の位置、
(4)前記フィルタ基材と前記排気システムの大気への出口との間の位置、
(5)上記の位置(1)及び(2)の両方の位置、
(6)上記の位置(2)及び(3)の両方の位置、
(7)上記の位置(1)及び(3)の両方の位置、及び
(8)上記の位置(1)、(2)、(3)の全ての位置、のうちの一つに配置されてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記排気システムが、前記機関と前記NACとの間に設けられた酸化触媒を含んでなる、請求項1〜17の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記酸化触媒が、前記機関と前記第一基材モノリス又はフィルタ基材との間に設置された第五基材モノリスに配置されてなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第一基材モノリス又は前記フィルタ基材が、前記NACの上流に配置された酸化触媒を含んでなる、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記第一基材モノリス又は前記フィルタ基材が、その入口端部と出口端部との間に延在する長さを有し、
前記酸化触媒が、上流端部における前記第一基材モノリス又はフィルタ基材の前記入口端部と、下流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さに沿った距離の半分以下の地点とによって規定された、実質的に均一な長さの第六領域に配置されてなる、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な前記化合物が、上流端部における前記入口端部から計測した時の前記第一基材モノリス長さ又は前記フィルタ基材長さに沿った距離の半分以上の地点によって規定され、且つ、下流端部における前記第一基材モノリス又は前記フィルタ基材それ自体の前記出口端部によって規定された、実質的に均一な長さの第七領域に配置されてなるものである、請求項3、7、又は12を引用する請求項21に記載の装置。
【請求項23】
排気ガスを濃縮する前記手段が、
(a)断続的に機関に濃縮排気ガスを排出させるように構成された機関管理ユニットと、
(b)機関の下流の排気システムにより運搬される流動排気ガス中に還元剤を噴射するインジェクタと、
(c)排気ガス及びディーゼル燃料から、HとCOを含んでなるガス混合物を生成する改質触媒からなる群から選択されてなるものである、請求項1〜22の何れか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記硫化水素除去及び/又は変換化合物が、NiO、CaO、Fe、及びBaOからなる群から選択されてなるものである、請求項1〜23の何れか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記濃縮手段が、濃縮工程中に前記NACの温度を制御して前記NACから硫黄を除去及び/又は変換する手段を備えてなる、請求項1〜24の何れか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記濃縮手段が、正味のリッチ排気ガス組成物(ラムダ<1)を提供し、
前記温度制御手段が、排気ガス濃縮工程中に断続的に排気ガス組成物をリーン側(ラムダ>1)に調整して、前記NACに吸着された硫黄を除去及び/又は変換する手段を備えてなる、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
断続的に排気ガス組成物をリーン側(ラムダ>1)に調整する前記手段が、エンジン空燃比、及び前記機関の下流の排気ガス中に空気を噴射するインジェクタのうちの一方又は両方を制御してなるものである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記濃縮手段が、マイクロプロセッサ(ECU)を備えてなる、請求項1〜27の何れか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記リーンバーン内燃機関が、ディーゼルエンジン、選択的に重量車用ディーゼルエンジンである、請求項1〜28の何れか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1〜29の何れか一項に記載の装置を備えた車両。
【請求項31】
NO吸着触媒(NAC)と、フィルタ基材を備えてなる触媒化煤フィルタ(CSF)を備えてなるリーンバーン内燃機関の排気システムにおけるNO吸着触媒(NAC)を脱硫する方法であって、
(i)十分な時間と温度において、硫酸化されたNACをエンリッチされた排気ガスに接触させ、吸着された硫黄含有種を脱着し、これにより硫化水素を生成し、及び
(ii)硫化水素を含有する排気ガスを、リッチ排気ガスから少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物に接触させる、工程を含んでなり、
前記少なくとも一部の硫化水素を排気ガスから除去及び/又は変換するのに有効な化合物の少なくとも一部が、前記NACの下流に設置されてなる、方法。
【請求項32】
上記工程(i)の間に、エンリッチされた排気ガスから少なくとも一部の硫化水素を除去及び/又は変換するのに有効な化合物を、よりリーンな排気ガスに断続的に接触させることにより、二酸化硫黄を前記化合物から放出させる工程を備えてなる、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−513788(P2010−513788A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542238(P2009−542238)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050781
【国際公開番号】WO2008/075111
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】