説明

レジスト剥離方法およびその装置

【課題】 半導体ウエハをレジスト剥離液中で回転させて、半導体ウエハの一面に設けられたレジスト膜を剥離するとき、半導体ウエハに反りがあっても、半導体ウエハを安定良く回転させるようにする。
【解決手段】 開口部を有するウエハカセット11内に複数枚の半導体ウエハ18を間隔をおいて並列に収容する。次に、ウエハカセット11を一対のウエハカセット挟持部41で挟持し、このままレジスト剥離液3中に位置させる。次に、モータ49の回転により、プーリ40をウエハカセット挟持部41およびウエハカセット11と共に回転させる。この場合、半導体ウエハ18はウエハカセット11と共に回転されるため、半導体ウエハ18に反りがあっても、半導体ウエハ18を安定良く回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はレジスト剥離方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の半導体ウエハ用のレジスト剥離装置には、複数枚の半導体ウエハをバッチ処理するために、複数枚の半導体ウエハを収容することができるウエハカセットを用いるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、ウエハカセットは、上方が開放された箱状であって、底部の一部に開口部が設けられた構造となっている。
【0003】
そして、ウエハカセット内に複数枚の半導体ウエハを起立させた状態で間隔をおいて並列に収容し、ウエハカセットをレジスト剥離槽内に収容されているレジスト剥離液中に位置させている。この状態では、ほぼ円形状の半導体ウエハは、ウエハカセットの底部の開口部を介して、レジスト剥離槽内の底部に平行に設けられた2本のローラ上に載置されている。そして、ローラが回転すると、半導体ウエハはレジスト剥離槽内のレジスト剥離液中において回転され、これにより半導体ウエハの一面に設けられたレジスト膜を剥離している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−327962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のレジスト剥離装置では、ウエハカセット内に起立した状態で間隔をおいて並列に収容された複数枚の半導体ウエハを2本のローラ上に載置し、ローラの回転により複数枚の半導体ウエハを直接回転させているので、特に、半導体ウエハに反りがある場合には半導体ウエハの回転が不安定となり、半導体ウエハが破損するおそれがあるという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、レジスト剥離液中において複数枚のウエハを安定良く回転させることができるレジスト剥離方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、内部に複数枚のウエハが間隔をおいて並列に収容されたウエハカセットをレジスト剥離槽内のレジスト剥離液中において回転させ、これにより前記ウエハの一面に設けられたレジスト膜の剥離を行なうことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、請求項1に記載の発明において、前記ウエハカセットは、一対の円形状または多角形状の支持板の相対向する内面外周部間に3本以上の支持棒が間隔をおいて設けられ、前記支持棒の内側に複数のウエハ固定用溝が間隔をおいて設けられた構造であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、請求項2に記載の発明において、前記3本以上の支持棒のうちの少なくとも1本は、前記3本以上の支持棒の内側における空間に対する前記ウエハの出し入れのために、可動式となっていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、請求項2に記載の発明において、前記ウエハカセットは、その支持棒を水平とされた状態で、前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中においてその支持板の中心を中心にして回転されることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、請求項4に記載の発明において、前記レジスト剥離槽の外側に設けられたウエハカセット載置台上にその支持棒を水平とされた状態で載置された前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側からウエハカセット挟持兼回転手段で挟持する工程と、前記ウエハカセット挟持兼回転手段をそれに挟持された前記ウエハカセットと共に移動させて、挟持された前記ウエハカセットを前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中に位置させる工程と、前記ウエハカセット挟持兼回転手段により前記ウエハカセットを前記レジスト剥離液中において回転させる工程と、を有することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明に係るレジスト剥離方法は、請求項5に記載の発明において、前記ウエハカセットを前記レジスト剥離液中において回転させる工程後に、前記ウエハカセット挟持兼回転手段をそれに挟持された前記ウエハカセットと共に移動させて、挟持された前記ウエハカセットを前記ウエハカセット載置台上に載置し、前記ウエハカセット挟持兼回転手段による前記ウエハカセットに対する挟持を解除することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、内部に複数枚のウエハが間隔をおいて並列に収容されたウエハカセットをレジスト剥離槽内のレジスト剥離液中において回転させ、これにより前記ウエハの一面に設けられたレジスト膜の剥離を行なうレジスト剥離装置であって、前記ウエハカセットを挟持し、且つ、挟持された前記ウエハカセットを回転させるウエハカセット挟持兼回転手段と、前記ウエハカセット挟持兼回転手段を移動させて、該ウエハカセット挟持兼回転手段に挟持された前記ウエハカセットを前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中に位置させるウエハカセット移動手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、請求項7に記載の発明において、前記ウエハカセットは、一対の円形状または多角形状の支持板の相対向する内面外周部間に3本以上の支持棒が間隔をおいて設けられ、前記支持棒の内側に複数のウエハ固定用溝が間隔をおいて設けられた構造であることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、請求項8に記載の発明において、前記3本以上の支持棒のうちの少なくとも1本は、前記3本以上の支持棒の内側における空間に対する前記ウエハの出し入れのために、可動式となっていることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、請求項7に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持兼回転手段は、前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側から挟持し、且つ、該挟持を解除する一対のウエハカセット挟持部材を有することを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、請求項10に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持部材は、前記レジスト剥離槽の外側に配置されたウエハカセット載置台上にその支持棒を水平とされた状態で載置された前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側から挟持することを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明に係るレジスト剥離装置は、請求項10に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持兼回転手段は、前記一対のウエハカセット挟持部材と共に前記ウエハカセットをその支持棒を水平とした状態でその支持板の中心を中心として回転させるウエハカセット回転手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、レジスト剥離液中においてウエハカセットをそれに収容された複数枚のウエハと共に回転させているので、ウエハに反りがあっても、複数枚のウエハを安定良く回転させることができ、ひいてはウエハが破損しにくいようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の一実施形態としてのレジスト剥離装置の基本的な動作を簡単に説明するために示す概略構成の正面図である。このレジスト剥離装置はフレーム1を備えている。フレーム1の上面の所定の箇所にはレジスト剥離槽2が設けられている。レジスト剥離槽2内にはレジスト剥離液3が収容されるようになっている。
【0010】
フレーム1の上面においてレジスト剥離槽2の外側(図1では左側)にはウエハカセット載置台4が設けられている。ウエハカセット載置台4上にはウエハカセット11が載置されるようになっている。ウエハカセット載置台4およびウエハカセット11の詳細については後で説明する。
【0011】
ウエハカセット載置台4およびレジスト剥離槽2の上方にはウエハカセット移動機構21が左右方向および上下方向に移動可能に設けられている。ウエハカセット移動機構21の詳細については後で説明するが、ここでは簡単に説明すると、一対の支持棒25間にガイド棒26が設けられ、ガイド棒26に一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が左右方向に移動可能に取り付けられた構造となっている。
【0012】
次に、図1に示すレジスト剥離装置の基本的な動作について簡単に説明する。このレジスト剥離装置の初期状態では、図1において実線で示すように、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分はウエハカセット載置台4の上方に位置させられ、且つ、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31は互いに離間した位置に位置させられている。また、ウエハカセット載置台4上にはウエハカセット11が載置されている。
【0013】
そして、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が下降して下限位置に至り、次いで、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が互いに接近する方向に移動すると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31間にウエハカセット11が挟持される(図1の一点鎖線参照)。次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が上昇して上限位置に至ると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31間に挟持されたウエハカセット11が持ち上げられる。
【0014】
次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が右方向に移動して右方向移動限位置に至ると、図1において一点鎖線で示すように、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分はレジスト剥離槽2の上方に位置する状態となる。次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が下降して下限位置に至ると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31間に挟持されたウエハカセット11がレジスト剥離槽2内のレジスト剥離液3中に位置する状態となる。
【0015】
次に、後述する如く、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31による回転動作により、ウエハカセット11がレジスト剥離槽2内のレジスト剥離液3中において回転される。すると、ウエハカセット11内に収容された複数枚の半導体ウエハ(ここでは図示せず)がウエハカセット11と共に回転し、これにより半導体ウエハの一面に設けられたレジスト膜の剥離が行なわれる。
【0016】
次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が上昇して上限位置に至り、次いで、左方向に移動して左方向移動限位置に至ると、図1において実線で示すような位置に至り、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分はウエハカセット載置台4の上方に位置する状態となる。次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が下降して下限位置に至ると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31間に挟持されたウエハカセット11がウエハカセット載置台4上に載置される状態となる。
【0017】
次に、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が互いに離間する方向に移動すると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31によるウエハカセット11に対する挟持が解除される。次に、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が上昇して上限位置に至ると、図1において実線で示す初期状態に戻る。
【0018】
次に、図2(A)および(B)はウエハカセット11の2つの状態における斜視図を示す。このウエハカセット11は、一対の円形状の支持板12の内面外周部間に4本の円柱状の支持棒13が等間隔に設けられた構造となっている。この場合、一対の支持板12の各外面中央部には十字形状の係合凸部14が設けられている。
【0019】
また、所定の1本の支持棒13の両端部には円弧状のアーム15が設けられている。一方、一対の支持板12の各内面外周部の所定の箇所には円弧状の凹部16が設けられている。そして、所定の1本の支持棒13の各アーム15の先端部は各支持板12の凹部16の一端部に回動可能に取り付けられている。すなわち、所定の1本の支持棒13は可動式となっている。
【0020】
図2(A)に示すように、所定の1本の支持棒13の各アーム15を各支持板12の凹部16内に収納した状態では、4本の支持棒13は一対の支持板12の内面外周部間に等間隔に配置されている。この状態から、所定の1本の支持棒13をその各アーム15の先端部を中心にして回動させると、図2(B)に示すように、残りの3本の支持棒13の内側における空間に対してほぼ円形状の半導体ウエハ18を出し入れすることが可能な状態となる。
【0021】
ここで、図2(A)に示す状態において、4本の支持棒13の各内側には、図3に示すように、複数のほぼV字状のウエハ固定用溝17が等間隔に設けられている。そして、半導体ウエハ18は、その外周部において等間隔に離間する4箇所が4本の支持棒13の各ウエハ固定用溝17に食い込むことにより、ウエハカセット11内に収容されるようになっている。
【0022】
次に、図4はウエハカセット載置台4上にウエハカセット11を載置した状態の正面図を示し、図5は図4のV−V線に沿う縦断面図を示す。ウエハカセット載置台4は方形状のベース板5を備えている。ベース板5の上面の所定の2箇所には載置板6が起立した状態で設けられている。載置板6の上部にはほぼ半円形状の収容溝7が設けられている。収容溝7の底部にはほぼ半円形状の係合溝8が設けられている。
【0023】
そして、ウエハカセット11は、その4本の支持棒13の部分がウエハカセット載置台4の載置板6の収容溝7内に収容され、且つ、そのいずれか1本の支持棒13がウエハカセット載置台4の載置板6の係合溝8に係合されることにより、ウエハカセット載置台4上に載置されるようになっている。
【0024】
ここで、図5に示すように、ウエハカセット11において、4本の支持棒13は十字形状の係合凸部14の「十」の字の各延長線上に配置されている。この結果、ウエハカセット11の4本の支持棒13のいずれをウエハカセット載置台4の載置板6の係合溝8に係合させても、十字形状の係合凸部14の「十」の字の各延長方向は上下左右方向であり、十字形状の係合凸部14の実質的な位置は常に一定である。
【0025】
次に、図6はウエハカセット移動機構21の要部の斜視図を示す。このウエハカセット移動機構21は平面長方形状の支持板22を備えている。支持板22の中央部は、垂直に配置されたエアーシリンダ23のピストンロッド23aの上端部に取り付けられている。なお、図示していないが、エアーシリンダ23のシリンダ本体はケース内に設けられている。ケースはレール上に移動可能に配置されている。
【0026】
そして、一例として、ケース内に設けられたモータの駆動によりケース外に設けられたピニオンが回転し、該ピニオンがレールと平行に配置されたラック上を転動すると、ケースおよびエアーシリンダ23と共に支持板22が図6において左右方向に移動するようになっている。
【0027】
支持板22の前面両側にはアーム24を介して支持棒25が設けられている。一対の支持棒25間には2本のガイド棒26が設けられている。これらのガイド棒26には一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が左右方向に移動可能に取り付けられている。なお、図6では、ウエハカセット挟持兼回転機構31は長方形状の平板の如く図示しているが、これは図示の簡略化のためであり、その詳細については後で説明する。
【0028】
一対の支持棒25の各上面両端部にはエアーシリンダ27のシリンダ本体28が設けられている。エアーシリンダ27のピストンロッド29の先端部は、それぞれ対応するウエハカセット挟持兼回転機構31上に設けられた取付金具30に取り付けられている。そして、4つのエアーシリンダ27のピストンロッド29が共に前進すると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が互いに接近する方向に移動し、4つのエアーシリンダ27のピストンロッド29が共に後退すると、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が互いに離間する方向に移動するようになっている。
【0029】
次に、図7は一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分の縦断面図を示し、図8は図7のVIII−VIII線に沿う縦断面図を示す。この場合、図7は図8のVII−VII線に沿う縦断面図である。一対のウエハカセット挟持兼回転機構31は左右対称な構造であるので、代表として、図7において右側のウエハカセット挟持兼回転機構31について説明する。
【0030】
ウエハカセット挟持兼回転機構31は長方形状の支持板32を備えている。支持板32の内面のほぼ4角には支柱33が設けられている。支柱33の先端面には、支持板32と同じサイズのカバー34が配置されている。カバー34は、支柱33にねじ込まれたねじ35により、支持板32の内面側に一定の間隔をおいて取り付けられている。支持板32およびカバー34の上部両側には、ガイド棒26が挿通されるガイド孔36が設けられている。
【0031】
支持板32の下部中央部には円形状の貫通孔37が設けられている。支持板32の貫通孔37の周囲における内側には円筒形状の支持部38が設けられている。カバー34の下部中央部には、支持板32の支持部38よりもある程度大きめの円形状の貫通孔39が設けられている。
【0032】
支持板32とカバー34との間において支持板32の支持部38にはプーリ40が回転可能に取り付けられている。プーリ40は、支持板32の支持部38の内側においてカバー34の貫通孔39内に回転可能に配置された円板形状のウエハカセット挟持部41を有する。すなわち、プーリ40はウエハカセット挟持部材を兼ねている。ウエハカセット挟持部41の内面中央部には十字形状の係合凹部42が設けられている。
【0033】
支持板32およびカバー34の上部中央部には軸43が回転可能に設けられている。支持板32とカバー34との間における軸43にはプーリ44が取り付けられている。両プーリ40、44にはベルト45が巻回されている。カバー34の内側に突出された軸43にはウォームホイール46が取り付けられている。
【0034】
支持板32およびカバー34の上面の一方側および他方側には取付金具47、48が設けられている。一方側の取付金具47上にはモータ49が設けられている。モータ49の出力軸(ウォーム軸)50の先端部は他方側の取付金具48に回転可能に取り付けられている。モータ49の出力軸50はウォームホイール46に噛み合わされている。そして、モータ49の出力軸50の回転は、ウォームホイール46、軸43、プーリ44およびベルト45を介してプーリ40に伝達されるようになっている。
【0035】
次に、上記構成のレジスト剥離装置の動作について説明する。このレジスト剥離装置の初期状態では、図1において実線で示すように、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分はウエハカセット載置台4の上方に位置させられ、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31は互いに離間した位置に位置させられている。すなわち、図6において、エアーシリンダ23のピストンロッド23aは前進し、4つのエアーシリンダ27のピストンロッド29は共に後退している。
【0036】
また、図4に示すように、ウエハカセット11は、その支持棒13を水平とされた状態で、ウエハカセット載置台4上に載置されている。また、ウエハカセット11内には複数枚の半導体ウエハ18が起立した状態で等間隔で並列に収容されている。また、図5に示すように、ウエハカセット11のいずれか1本の支持棒13がウエハカセット載置台4の載置板6の係合溝8に係合されていることにより、ウエハカセット11の十字形状の係合凸部14の「十」の字の各延長方向は上下左右方向となっている。
【0037】
さて、エアーシリンダ23のピストンロッド23aが後退すると、図9に示すように、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が下降して下限位置に至り、一対のウエハカセット挟持部41の十字形状の係合凹部42がウエハカセット11の両側の十字形状の係合凸部14と対向する状態となる。
【0038】
次に、4つのエアーシリンダ27のピストンロッド29が共に前進すると、図10に示すように、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31が互いに接近する方向に移動し、一対のウエハカセット挟持部41の十字形状の係合凹部42がウエハカセット11の両側の十字形状の係合凸部14と係合し、一対のウエハカセット挟持部41間にウエハカセット11が挟持される。
【0039】
次に、エアーシリンダ23のピストンロッド23aが前進すると、図11に示すように、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が上昇して上限位置に至り、一対のウエハカセット挟持部41間に挟持されたウエハカセット11が持ち上げられる。次に、図1において、ウエハカセット移動機構21が右方向に移動して右方向移動限位置に至ると、一点鎖線で示すように、ウエハカセット移動機構21の一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分がレジスト剥離槽2の上方に位置する状態となる。
【0040】
次に、エアーシリンダ23のピストンロッド23aが後退すると、図12に示すように、一対のウエハカセット挟持兼回転機構31の部分が下降して下限位置に至り、一対のウエハカセット挟持部41間に挟持されたウエハカセット11がレジスト剥離槽2内のレジスト剥離液3中に位置する状態となる。
【0041】
次に、モータ49が駆動し、プーリ40が回転すると、一対のウエハカセット挟持部41間に挟持されたウエハカセット11がレジスト剥離槽2内のレジスト剥離液3中においてその支持板12の中心を中心にして回転される。すると、ウエハカセット11内に収容された複数枚の半導体ウエハ18がウエハカセット11と共に回転し、これにより半導体ウエハ18の一面に設けられたレジスト膜の剥離が行なわれる。なお、以下の工程は上記説明から容易に理解し得るので省略する。
【0042】
以上のように、このレジスト剥離装置では、レジスト剥離液3中においてウエハカセット11をそれに収容された複数枚の半導体ウエハ18と共に回転させているので、半導体ウエハ18に反りがあっても、複数枚の半導体ウエハ18を安定良く回転させることができ、ひいては半導体ウエハ18が破損しにくいようにすることができる。
【0043】
なお、例えば、図1において、一点鎖線で示すウエハカセット移動機構21をさらに右方向に移動させ、洗浄工程、乾燥工程等を行ない、その後に、ウエハカセット11をウエハカセット載置台4上に載置するようにしてもよい。また、ウエハカセット11の支持棒13は3本あるいは5本以上であってもよい。また、ウエハカセット11において、可動式の支持棒13は少なくとも1本あればよく、したがって例えば相隣接する2本としてもよい。さらに、ウエハカセット11において、支持板12の形状は、支持棒13の本数に応じた多角形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施形態としてのレジスト剥離装置の基本的な動作を簡単に説明するために示す概略構成の正面図。
【図2】(A)および(B)はウエハカセットの2つの状態における斜視図。
【図3】ウエハカセットの支持棒の溝を説明するために示す図。
【図4】ウエハカセット載置台上にウエハカセットを載置した状態の正面図。
【図5】図4のV−V線に沿う縦断面図。
【図6】ウエハカセット移動機構の要部の斜視図。
【図7】一対のウエハカセット挟持兼回転機構の部分の縦断面図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う縦断面図。
【図9】レジスト剥離装置の当初の動作を説明するために示す縦断面図。
【図10】図9に続く動作を説明するために示す縦断面図。
【図11】図10に続く動作を説明するために示す縦断面図。
【図12】図11に続く動作を説明するために示す縦断面図。
【符号の説明】
【0045】
1 フレーム
2 レジスト剥離槽
3 レジスト剥離液
4 ウエハカセット載置台
11 ウエハカセット
12 支持板
13 支持棒
14 係合凸部
17 ウエハ固定用溝
18 半導体ウエハ
21 ウエハカセット移動機構
22 支持板
23 エアーシリンダ
24 アーム
25 支持棒
26 ガイド棒
27 エアーシリンダ
31 ウエハカセット挟持兼回転機構
32 支持板
34 カバー
40 プーリ
41 ウエハカセット挟持部
42 係合凹部
44 プーリ
45 ベルト
46 ウォームホイール
49 モータ
50 出力軸(ウォーム軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数枚のウエハが間隔をおいて並列に収容されたウエハカセットをレジスト剥離槽内のレジスト剥離液中において回転させ、これにより前記ウエハの一面に設けられたレジスト膜の剥離を行なうことを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記ウエハカセットは、一対の円形状または多角形状の支持板の相対向する内面外周部間に3本以上の支持棒が間隔をおいて設けられ、前記支持棒の内側に複数のウエハ固定用溝が間隔をおいて設けられた構造であることを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、前記3本以上の支持棒のうちの少なくとも1本は、前記3本以上の支持棒の内側における空間に対する前記ウエハの出し入れのために、可動式となっていることを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項4】
請求項2に記載の発明において、前記ウエハカセットは、その支持棒を水平とされた状態で、前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中においてその支持板の中心を中心にして回転されることを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、
前記レジスト剥離槽の外側に設けられたウエハカセット載置台上にその支持棒を水平とされた状態で載置された前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側からウエハカセット挟持兼回転手段で挟持する工程と、
前記ウエハカセット挟持兼回転手段をそれに挟持された前記ウエハカセットと共に移動させて、挟持された前記ウエハカセットを前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中に位置させる工程と、
前記ウエハカセット挟持兼回転手段により前記ウエハカセットを前記レジスト剥離液中において回転させる工程と、
を有することを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項6】
請求項5に記載の発明において、前記ウエハカセットを前記レジスト剥離液中において回転させる工程後に、前記ウエハカセット挟持兼回転手段をそれに挟持された前記ウエハカセットと共に移動させて、挟持された前記ウエハカセットを前記ウエハカセット載置台上に載置し、前記ウエハカセット挟持兼回転手段による前記ウエハカセットに対する挟持を解除することを特徴とするレジスト剥離方法。
【請求項7】
内部に複数枚のウエハが間隔をおいて並列に収容されたウエハカセットをレジスト剥離槽内のレジスト剥離液中において回転させ、これにより前記ウエハの一面に設けられたレジスト膜の剥離を行なうレジスト剥離装置であって、前記ウエハカセットを挟持し、且つ、挟持された前記ウエハカセットを回転させるウエハカセット挟持兼回転手段と、前記ウエハカセット挟持兼回転手段を移動させて、該ウエハカセット挟持兼回転手段に挟持された前記ウエハカセットを前記レジスト剥離槽内の前記レジスト剥離液中に位置させるウエハカセット移動手段とを備えていることを特徴とするレジスト剥離装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発明において、前記ウエハカセットは、一対の円形状または多角形状の支持板の相対向する内面外周部間に3本以上の支持棒が間隔をおいて設けられ、前記支持棒の内側に複数のウエハ固定用溝が間隔をおいて設けられた構造であることを特徴とするレジスト剥離装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発明において、前記3本以上の支持棒のうちの少なくとも1本は、前記3本以上の支持棒の内側における空間に対する前記ウエハの出し入れのために、可動式となっていることを特徴とするレジスト剥離装置。
【請求項10】
請求項7に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持兼回転手段は、前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側から挟持し、且つ、該挟持を解除する一対のウエハカセット挟持部材を有することを特徴とするレジスト剥離装置。
【請求項11】
請求項10に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持部材は、前記レジスト剥離槽の外側に配置されたウエハカセット載置台上にその支持棒を水平とされた状態で載置された前記ウエハカセットの一対の支持板をその両側から挟持することを特徴とするレジスト剥離装置。
【請求項12】
請求項10に記載の発明において、前記ウエハカセット挟持兼回転手段は、前記一対のウエハカセット挟持部材と共に前記ウエハカセットをその支持棒を水平とした状態でその支持板の中心を中心として回転させるウエハカセット回転手段を有することを特徴とするレジスト剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−141035(P2009−141035A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314139(P2007−314139)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】