説明

レーザリフトオフ技術を用いて発光ダイオードを製造する方法及びヒータを有するレーザリフトオフ装置

【課題】レーザリフトオフ技術を用いて発光ダイオードを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るレーザリフトオフ技術を用いて発光ダイオードを製造する方法は、第1の基板上に第1の導電型化合物半導体層、活性層及び第2の導電型化合物半導体層を備えるエピ層を成長させ、前記第1の基板の温度が室温より高い第1の温度で、前記エピ層に前記第1の基板の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する第2の基板をボンディングさせ、前記第1の基板の温度が室温より高くて前記第1の温度以下の第2の温度で、前記第1の基板を介してレーザビームを照射し、前記エピ層から前記第1の基板を分離することを含む。これにより、レーザリフトオフ工程でレーザビームの焦点を合せることが容易で、またエピ層のクラックを防止できる。また、ヒータを有するレーザリフトオフ装置が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードの製造方法及び発光ダイオードの製造に用いられるレーザリフトオフ装置に関し、特にレーザリフトオフ技術を用いて発光ダイオードを製造する方法及びヒータを有するレーザリフトオフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)などのようなIII族元素の窒化物は、熱的安定性に優れて直接遷移型のエネルギバンド構造を有しており、近年、可視光線及び紫外線領域の発光素子用物質としてかなりの脚光を浴びている。特に、窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いた青色及び緑色の発光素子(発光ダイオード)は、大型のフルカラーフラットパネルディスプレイ装置、信号灯、室内照明、高密度光源、高解像度出力システムと光通信など、多様な応用分野に活用されている。
【0003】
このIII族元素の窒化物半導体層が上に成長する同種の基板を製作するのが難しく、III族元素の窒化物半導体層は、類似の結晶構造を有する異種基板上に金属有機化学気相成長法(MOCVD)または分子線蒸着法(MBE)などの工程を通じて成長する。異種基板としては、六方晶系の構造を有するサファイア基板が主に用いられる。しかし、サファイアは絶縁体なので、発光ダイオードの構造が制限される。これにより、最近は、サファイアのような異種基板上に窒化物半導体層のようなエピ層(エピタキシャル層)を成長させた後、異種基板を分離して垂直型構造の発光ダイオードを製造する技術が研究されている。
【0004】
異種基板を分離する方法としては、レーザリフトオフ方法が主に用いられる。レーザリフトオフ方法は、異種基板、例えばサファイア基板の上にエピ層を成長させ、前記エピ層上に第2の基板をボンディングした後、前記サファイア基板の側からレーザビームを照射し、エピ層から異種基板を分離する技術である。この時、レーザビームをサファイア基板サイズに形成することは、光学的に困難である。従って、最終チップサイズ程度のレーザビームサイズでラインスキャンをする方式が主に用いられている。
【0005】
ところが、上述の従来の方法によると、サファイア基板と同種の基板またはサファイア基板と熱膨張係数が類似の第2の基板を用いる場合、レーザビームの照射によるサファイア基板の分離が大きな問題なく行われるが、サファイア基板と第2の基板の熱膨張係数が異なる場合、レーザリフトオフ方法でサファイア基板を分離する間にエピ層にクラックや割れが頻繁に発生する。さらに、サファイア基板と第2の基板の熱膨張係数が異なる場合、第2の基板をボンディングした後、サファイア基板に反り(bowing)が発生する。この反りにより、サファイア基板の位置によってはレーザビームの焦点が合わなくなり、レーザビームのエネルギーをサファイアとエピ層の界面に正確に与えるのが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態として、レーザリフトオフ方法を用いて基板を分離する時に、エピ層内にクラックや割れが発生するのを防止できる、発光ダイオードの製造方法について開示を行なう。
【0007】
本発明の他の実施形態として、レーザリフトオフ方法を用いて基板を分離する時に、成長基板の反りを緩和させてレーザビームの焦点合わせが容易となる、発光ダイオードの製造方法について開示を行なう。
【0008】
本発明の他の実施形態として、レーザリフトオフ方法を用いて基板を分離する時に、エピ層内にクラックや割れが発生するのを防止できるレーザリフトオフ装置について開示を行なう。
【0009】
本発明の他の実施形態として、レーザリフトオフ方法を用いて基板を分離する時に、成長基板の反りを緩和させてレーザビームの焦点合わせが容易なレーザリフトオフ装置について開示を行なう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によると、レーザリフトオフ技術を用いた発光ダイオードの製造方法が提供される。この発光ダイオードの製造方法は、第1の基板上に第1の導電型化合物半導体層、活性層及び第2の導電型化合物半導体層を備えるエピ層を成長させ、前記第1の基板の温度が室温より高い第1の温度で、前記エピ層に前記第1の基板の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する第2の基板をボンディングし、前記第1の基板の温度が室温より高く、前記第1の温度以下の第2の温度で、前記第1の基板を通してレーザビームを照射し、前記エピ層から前記第1の基板を分離することを含む。
【0011】
従来、レーザリフトオフ技術においては、第1の温度で第2の基板をボンディングした後、第1の基板を室温に冷却し、その後、前記第1の基板を通してレーザビームを照射し、第1の基板をエピ層から分離する。この時、前記第1の基板と第2の基板の熱膨張係数差によって第1の基板の反りが発生し、レーザを照射して第1の基板を分離するとき、エピ層にクラックや割れが発生しやすい。
【0012】
これに対し、本発明の上記態様によると、前記第1の基板の温度が室温より高い温度である前記第2の温度の時、レーザビームが照射される。従って、前記第1の基板の反りが緩和された状態で前記第1の基板をエピ層から分離でき、その結果、エピ層にクラックや割れが発生するのを防止できる。
【0013】
一方、レーザビームの照射の前に、前記第1の基板が前記第2の温度に加熱される。例えば、前記第2の基板をボンディングした後、前記第1の基板は、一旦室温に冷却される。その後、前記第1の基板が加熱手段により前記第2の温度に加熱される。これに加え、前記レーザビームの照射中に、前記第1の基板が加熱され前記第2の温度に維持される。あるいは、前記第1の温度で前記第2の基板をボンディングした後、前記第1の基板の温度が室温に冷却される前に前記第1の基板を通してレーザビームが照射されてもよい。
【0014】
前記第1の基板の加熱は、熱伝導、対流または輻射を用いて行われる。例えば、抵抗ヒータ、赤外線ランプ及び/又は熱風器を用いて前記第1の基板が加熱される。これら加熱手段は、レーザリフトオフ装置内に設けられる。
【0015】
一方、前記第1の基板が2インチサファイア基板の場合、前記第2の温度は、前記第1の基板の反り値が平均3mm以下になる温度であってもよい。さらに望ましくは、前記第2の温度は、前記第1の基板の反り値が平均1.5mm以下になる温度である。
【0016】
前記第2の基板は、特に限定されるわけではないが、例えばボンディング金属の共晶ボンディング(eutectic bonding)を通じて前記エピ層にボンディングされる。この時、前記ボンディング金属は、AuSnであってもよい。この場合、前記第2の温度は、200℃以上300℃以下の範囲内の温度であってもよい。
【0017】
本発明の実施例において、前記エピ層全体の厚さは、10μmを超えない。このエピ層全体の厚さは、レーザリフトオフ方法に用いられる前記第1の基板及び第2の基板の厚さの1/10を超えない相対的に薄い厚さである。従って、前記エピ層と第1の基板との間の熱膨張係数差による基板の反りは、無視できる程度に小さい。
【0018】
本発明の他の態様によると、ヒータを有するレーザリフトオフ装置が提供される。この装置は、レーザビームを放出するレーザ発振器、作業対象物を支持するステージ及び前記作業対象物を加熱するヒータを備える。
【0019】
前記作業対象物は、第1の基板、前記第1の基板上に成長したエピ層及び前記エピ層にボンディングされた第2の基板を備える。
【0020】
本発明の前記態様によると、前記ヒータを用いて前記第1の基板を加熱できる。従って、前記第1の基板の反りが緩和された状態で前記第1の基板を通してレーザビームの照射ができ、その結果、エピ層にクラックや割れが発生するのを防止できる。
【0021】
一実施例において、前記ヒータは抵抗ヒータであってもよい。また、前記ステージは移動可能なメインステージを備え、前記抵抗ヒータは前記メインステージ上に設けられる。または、前記抵抗ヒータは、前記メインステージ内に設けられることもできる。
【0022】
また、前記ステージは、前記メインステージと前記抵抗ヒータとの間に配置された絶縁体、前記抵抗ヒータ上に位置するヒータ固定板及び前記ヒータ固定板を固定させるための固定ピンをさらに備えることができる。前記絶縁体、ヒータ固定板及び/又は前記固定ピンは、セラミックまたはプラスチックで製造される。望ましくは、前記絶縁体、ヒータ固定板及び固定ピンは、同一の材質である。
【0023】
他の実施例において、前記ヒータは、赤外線ランプまたは熱風器であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、レーザリフトオフ方法を用いて成長基板を分離するとき、成長基板の反りを緩和してレーザビームの焦点を容易に合せることができ、また、クラックや割れが発生するのを防止できる。また、レーザリフトオフ装置内のヒータを用いて前記成長基板を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための概略的な断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための概略的な断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための概略的な断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための概略的な断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための概略的な断面図である。
【図6】第2の基板をボンディングした後の加熱温度に対する第1の基板の反りの値を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施例に係るレーザリフトオフ装置を説明するための概略図である。
【図8】本発明の一実施例に係る抵抗ヒータを有するステージを説明するための断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る赤外線ランプまたは熱風器を有するステージを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。以下に説明する実施例は、当業者に本発明の思想を十分に開示できるようにするための例示として提供するものである。従って、本発明は以下に説明する実施例に限定されず、他の形態で具体化することもできる。また、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜上、誇張して表現することもある。また、明細書全体に渡って同様の構成要素には、同一の参照符号を付す。
【0027】
図1ないし図5は、本発明の一実施例に係るレーザリフトオフ技術を用いて、発光ダイオードを製造する方法を説明するための概略的な断面図である。
【0028】
図1を参照して説明する。第1の基板10上に、第1の導電型化合物半導体層21、活性層23及び第2の導電型化合物半導体層25を備えるエピ層26が形成される。第1の基板10は、エピ層26を成長させることが可能な成長基板であり、例えばサファイア基板であってもよい。
【0029】
エピ層26は、窒化ガリウム系列の化合物半導体層であってもよく、金属有機化学気相成長(MOCVD)または分子線蒸着(MBE)の技術を用いて第1の基板10上に成長させることができる。図示はしていないが、エピ層26は、第1の基板10とその上に成長するエピ層26の格子不整合を緩和するためのバッファ層を備えてもよい。また、活性層23は、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造であってもよい。ここで、第1の導電型化合物半導体層21及び第2の導電型化合物半導体層25は、それぞれn型半導体及びp型半導体、またはp型半導体及びn型半導体であってもよい。
【0030】
エピ層26は、その全体の厚さが10μmを超えない厚さに形成される。エピ層26の全体の厚さは、成長基板として用いられる第1の基板10の厚さに比べて小さい。例えば、第1の基板10は、普通100μm以上の厚さを有するので、エピ層26の厚さは、第1の基板10の厚さの1/10を超えない。エピ層26全体の厚さを10μm以下とすることによって、エピ層26により第1の基板10に印加されるストレスが相対的に減少される。
【0031】
エピ層26は、真空チャンバ内で成長させる。エピ層の成長が完了した後、次の工程のために、エピ層26がその上に成長した第1の基板10が上記のチャンバから取り出される。
【0032】
次に図2を参照して説明する。エピ層26の最上層、例えば第2の導電型化合物半導体層25上に第2の基板30がボンディングされる。第2の基板30は、熱伝導、電気伝導など、その用途に応じて多様に選択することができる。例えばシリコン基板または金属基板であってもよい。特に、垂直型発光ダイオードを製造する場合、第2の基板30は、導電性基板である。第2の基板30は、一般に第1の基板10と異なる熱膨張係数を有する。
【0033】
一方、第2の基板30は、ボンディング金属31の共晶ボンディングを用いてエピ層26にボンディングすることができる。ボンディング金属31はAuSnであってもよく、AuSnは約330℃の融点を有する。AuSnより高い融点のボンディング金属も用いることができる。ボンディング金属31がエピ層26の一方の側及びその側に対向する第2の基板30の側にそれぞれ形成された後、室温(人間が活動できる温度)より高い第1の温度、例えば約300℃の温度に加熱されることによって共晶ボンディングされ、その結果、第2の基板30がエピ層26にボンディングされる。
【0034】
ボンディング金属31を形成する前に、エピ層26上に、反射層27及び拡散防止層29を形成してもよい。反射層27は、活性層23で生成され第2の基板30へ向かう光を反射させて光出力を向上させる。反射層27はまた、第2の導電型化合物半導体層25とオーミックコンタクトさせることができ、Al、Ag、Ni、Ph、Pd、Pt、Ruまたはこれらの合金として形成することができる。一方、拡散防止層29は、ボンディング金属31が反射層27に拡散することによって発生する反射層27の反射率の低下を防止する。
【0035】
次に図3を参照して説明する。第2の基板30のボンディング後、第1の基板10及び第2の基板30を、まず、室温に冷却してもよい。その後、第1の基板10を分離するために、第1の基板10がレーザリフトオフ装置内に配置される。
【0036】
レーザ照射の前に、第1の基板10は、室温以上の温度に加熱される。この時、第1の基板10の温度(以下、「第2の温度」という)は、ボンディング金属の融点を考慮し、ボンディング金属の共晶温度である第1の温度を超えないことが望ましい。第1の温度を超えると、ボンディング金属の過度な熱膨張によりエピ層26が破壊されることがある。従って、ボンディング金属31が例えばAuSnの場合、第1の基板10は300℃以下の温度、好ましくは200〜300℃の範囲内の温度に加熱するのが望ましい。
【0037】
第1の基板10は、加熱手段、即ちヒータを有し特殊製作されたレーザリフトオフ装置内で加熱することができる。特殊製作されたレーザリフトオフ装置については後述する。あるいは、第1の基板10は、レーザリフトオフ装置外部で加熱された後、室温に冷却する前にレーザリフトオフ装置内部に移送してもよい。
【0038】
次に図4を参照して説明する。続いて第1の基板10を通してレーザビームを照射し、エピ層26を第1の基板10から分離する。この時、第1の基板10の温度は、室温より高く第1の温度を超えない温度範囲内にある。従って、第1の基板10と第2の基板30との間の熱膨張係数差により発生し、第1の基板10または第2の基板30に印加されるストレスが減少する。従って、第1の基板10の反りが緩和されてレーザビームの焦点を合せるのが容易となり、また、第1の基板10が部分的に分離する間に、エピ層26にクラックや割れが発生するのが防止できる。
【0039】
図5を参照すると、第1の基板10が分離された後、露出された第1の導電型化合物半導体層21上に電極パッド33が形成され、第2の基板30に電極パッド35が形成される。続いて、第2の基板30とともにエピ層26を個別発光ダイオードに分離することによって垂直型構造の発光ダイオードが製造される。
【0040】
本実施例において、レーザビーム照射の前に、第1の基板10が加熱されるものとして説明したが、第2の基板30をエピ層26にボンディングした後、第1の基板10を冷却しながら第1の基板10をレーザリフトオフ装置に装着してレーザを照射し、第1の基板10を分離することもできる。
【0041】
本実施例において、第2の基板30がボンディング金属31を用いてエピ層26にボンディングされるものとして説明したが、第2の基板30のエピ層26へのボンディングはこれに限定されず、他の多様な技術も用いられる。
【0042】
図6は、第2の基板30をエピ層26へボンディングした後の加熱温度による反りの値を示すグラフである。ここで、第1の基板10は2インチサファイア基板であり、第2の基板30はシリコン基板であり、第2の基板30はAuSnの共晶ボンディングを用いて300℃でエピ層26にボンディングされたものである。反りの値は、第2の基板30が平らな面に接するようにウエハを置き、平らな面からの第2の基板30のそれぞれの縁の高さを測定して得た平均値である。
【0043】
図6を参照すると、第2の基板30をエピ層26へボンディングした後、室温で約3.2mmの反りが発生する。このウエハを加熱すると反りが減少し、200℃で反りが室温に比べて1/2未満に減少する。一方、250℃以上では0.5mm以下の反りとなり、さらに加熱しても反りは大きく減少しないことが分かる。
【0044】
従って、第2の基板30をエピ層26へボンディングした後、第1の基板10を加熱することによって第1の基板10の反りを緩和できることが分かる。上記の例は2インチサファイア基板に関して得られたものであるが、反り値はサファイア基板のサイズに応じて線形的に増加すると予想される。
【0045】
図6の例によると、2インチサファイア基板の場合、反り値が少なくとも3mm以下になる温度、好ましくは反り値が1.5mm以下になる温度に第1の基板10を加熱できることが分かる。上述したように、反り値はサファイア基板のサイズに応じて線形的に増加すると予想されるので、Nインチサファイア基板の場合、反り値が3*N/2mm以下になる温度、好ましくは、反り値が1.5*N/2mm以下になる温度に第1の基板10を加熱できることが分かる。
【0046】
図7は、本発明の一実施例に係るレーザリフトオフ装置を説明するための概略図である。
【0047】
図7を参照して説明すると次のようになる。レーザリフトオフ装置は、レーザビームを発振するためのレーザ発振器100、レーザビームの方向を変更するためのミラー110、レーザビームをフォーカシングするための光学レンズ120及びレーザビームの照射対象である作業対象物、即ちウエハ300を支持するためのステージ200を有する。一方、レーザリフトオフ装置は、レーザビームの経路を真空状態に維持するために、レーザビームの経路を内部に備えるハウジング400を有することができる。
【0048】
レーザ発振器100は、KrFまたはArFエキシマレーザであってもよい。レーザ発振器100で放出されたビームは、ミラー110で反射されて方向が変更される。このミラー110がレーザビームの方向を変更するために複数設けられる。一方、光学レンズ120は、ステージ200の上部に位置し、ウエハ300に入射されるレーザビームをフォーカシングする。
【0049】
ステージ200は、移動手段(図示せず)によりx方向及び/又はy方向に移動し、従ってその上に置かれたウエハ300を移動する。ウエハ300は、第1の基板10、第1の基板上に形成されたエピ層26及びエピ層26にボンディングされた第2の基板30を含む。レーザビームは、第1の基板10を通して照射され、主に第1の基板10とエピ層26との間の界面で吸収される。レーザビームは、スポットビームの形態で照射してもよく、ウエハ300の移動によりレーザビームがウエハ300をスキャンすることができる。
【0050】
また、ステージ200は加熱手段を有し、その加熱手段により、レーザビームの照射の前及びレーザビームの照射の間、ウエハ300を加熱できる。
【0051】
図8は、本発明の一実施例における加熱手段として抵抗ヒータを有するステージを説明するための断面図である。
【0052】
図8を参照して説明すると次のようになる。ステージ200は、メインステージ201、抵抗ヒータ205、絶縁体203、ヒータ固定板207、固定ピン209を備えることができる。メインステージ201は、抵抗ヒータ205及びウエハ300を支持し、移動手段によりx及び/又はy方向にウエハ300を移動させる。
【0053】
一方、抵抗ヒータ205は、電源から電力の供給を受けて抵抗熱を発生する。抵抗ヒータ205で生成された抵抗熱が抵抗ヒータ205に接触している作業対象物300に伝達され、作業対象物300が加熱される。
【0054】
絶縁体203は、メインステージ201を抵抗ヒータ205から絶縁し、抵抗ヒータ205で発生した熱がメインステージ201に伝達されるのを遮断して熱効率を上げる。絶縁体203は、例えばセラミックまたはプラスチックで製造され、メインステージ201に固定される。
【0055】
一方、ヒータ固定板207は、ヒータ205上に配置されてメインステージ201とヒータ固定板207との間に抵抗ヒータ205を固定させる。ヒータ固定板207は、固定ネジまたは固定ピン209によりメインステージ201または絶縁体203に固定される。ヒータ固定板207及び固定ピン209も、セラミックまたはプラスチックで製造することができる。
【0056】
本実施例で、メインステージ201上に抵抗ヒータ205が配置されるとして説明したが、抵抗ヒータ205は、メインステージ201内に配置することもできる。
【0057】
本実施例によると、抵抗ヒータ205を用いてウエハ300を加熱できるので、レーザビームの照射の前及び/又はレーザビームの照射中に作業対象物300を加熱し、ウエハの反りを緩和できる。
【0058】
図9は、本発明の一実施例における加熱手段として赤外線ランプまたは熱風器を有するステージを説明するための概略図である。
【0059】
図9を参照して説明すると次のようになる。メインステージ201上に、赤外線ランプまたは熱風器などのヒータ215が配置される。赤外線ランプは赤外線を放出してメインステージ201上に配置されたウエハ300を加熱でき、また、熱風器は抵抗熱の強制対流によりウエハ300を加熱できる。
【0060】
上述の説明において、いくつかのウエハ加熱手段について説明したが、種々の方式の加熱手段を用いることができ、そのような加熱手段は、熱伝導、対流及び/又は輻射によりウエハを加熱する。
【0061】
本発明の実施形態によれば、成長した基板を、レーザリフトオフ方法を用いて分離する時に、成長した基板の反りを減少させ、レーザビームのフォーカシングを容易にし、エピ層内にクラックや割れが発生するのを防止できる。また、成長した基板を、レーザリフトオフ装置のヒータを用いて加熱することができる。
【0062】
以上、本発明について、いくつかの実施例を例に挙げて説明したが、本発明は先に説明した実施例に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱せずに当業者により多様に変形及び変更が可能である。このような変形及び変更は、請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10:基板、21:半導体層、23:活性層、25:半導体層、26:エピ層、27:反射層、29:拡散防止層、30:基板、31:ボンディング金属、33:電極パッド、35:電極パッド、100:レーザ発振器、110:ミラー、120:光学レンズ、200:ステージ、201:メインステージ、203:絶縁体、205:抵抗ヒータ、207:ヒータ固定板、209:固定ピン、215:ヒータ、300:ウエハ、400:ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に第1の導電型化合物半導体層、活性層及び第2の導電型化合物半導体層を備えるエピ層を成長させ、
前記第1の基板の温度が室温より高い第1の温度で、前記エピ層に前記第1の基板の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する第2の基板をボンディングし、
前記第1の基板の温度が室温より高く前記第1の温度以下の第2の温度で、前記第1の基板を通してレーザビームを照射し、前記エピ層から前記第1の基板を分離することを含む発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記レーザビームを照射する前に、前記第1の基板を前記第2の温度に加熱することをさらに含む請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記レーザビームの照射中に、前記第1の基板を加熱し、前記第2の温度に維持する請求項2に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記第1の基板の加熱は、レーザリフトオフ装置内の加熱手段を用いて行われる請求項2に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記第2の温度は、前記第1の基板が2インチサファイア基板であるとき、前記第1の基板の反り値が平均3mm以下になる温度である請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記第2の温度は、前記第1の基板が2インチサファイア基板であるとき、前記第1の基板の反り値が平均1.5mm以下になる温度である請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
前記第2の温度は、前記第1の基板がNインチサファイア基板であるとき、前記第1の基板の反り値が平均(1.5*N)mm以下になる温度である請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記第2の温度は、前記第1の基板がNインチサファイア基板であるとき、前記第1の基板の反り値が平均(0.75*N)mm以下になる温度である請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記第2の基板を、ボンディング金属の共晶ボンディングにより前記エピ層にボンディングする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記ボンディング金属は、AuSnである請求項9に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
前記第2の温度は、200℃以上300℃以下の範囲内である請求項10に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項12】
前記レーザビームの照射は、前記エピ層に前記第2の基板をボンディングした後、前記第1の基板が冷却される間に行われる請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項13】
前記エピ層全体の厚さは、10μmを超えない請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項14】
レーザビームを放出するレーザ発振器と、
作業対象物を支持するステージと、
前記作業対象物を加熱するヒータと、
を備えるレーザリフトオフ装置。
【請求項15】
前記作業対象物は、第1の基板、前記第1の基板上に成長したエピ層及び前記エピ層にボンディングされた第2の基板を備える請求項14に記載のレーザリフトオフ装置。
【請求項16】
前記ヒータは、抵抗ヒータである請求項15に記載のレーザリフトオフ装置。
【請求項17】
前記ステージは、移動可能なメインステージを備え、
前記抵抗ヒータは、前記メインステージ上に設けられた請求項16に記載のレーザリフトオフ装置。
【請求項18】
前記ステージは、
前記メインステージと前記抵抗ヒータとの間に配置された絶縁体と、
前記抵抗ヒータ上に位置するヒータ固定板と、
前記ヒータ固定板を固定させるための固定ピンをさらに備える請求項17に記載のレーザリフトオフ装置。
【請求項19】
前記絶縁体、前記ヒータ固定板及び前記固定ピンは、同一材質のセラミックまたはプラスチックである請求項18に記載のレーザリフトオフ装置。
【請求項20】
前記ヒータは、赤外線ランプまたは熱風器である請求項15に記載のレーザリフトオフ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−49518(P2011−49518A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5542(P2010−5542)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(506029004)ソウル オプト デバイス カンパニー リミテッド (101)
【Fターム(参考)】