説明

レーザ加工装置、及び、レーザ加工方法

【課題】 良好な加工品質で加工を行う。
【解決手段】 外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの半径を(r+r)/2、幅をr−rで定義するとき、レーザビームを出射するレーザ光源と、加工対象物を保持する保持台と、レーザ光源を出射したレーザビームから、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成し、保持台に保持された加工対象物に半径可変に入射させる光学系と、輪帯状のレーザビームの半径が変化したとき、輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変化を抑制する向きに、レーザ光源の出力または輪帯状のレーザビームの幅を変化させる制御装置とを有するレーザ加工装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象物にレーザビームを照射して加工を行うレーザ加工装置、及び、レーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)及び(B)を参照して、半導体ウエハの活性化アニールの従来技術について説明する。
【0003】
図6(A)に示すように、活性化アニールは、たとえば精密位置決め移動ステージ50上に載置された半導体ウエハ51に、細長く整形されたライン状レーザビーム52を照射することによって行う。精密位置決め移動ステージ50を駆動して半導体ウエハ51をX軸方向に走査することにより、半導体ウエハ51の全面にレーザビームを照射する。
【0004】
ライン状レーザビーム52を用いて円形の半導体ウエハ51の活性化アニールを行う場合、半導体ウエハ51以外の部分にもレーザビームが照射されることになり、エネルギ効率が悪くなる。また、半導体ウエハ51以外の部分に照射されたレーザビームにより塵等が発生して飛散し、半導体ウエハ51に付着して、半導体ウエハ51を汚染することがある。更に、精密位置決め移動ステージ50は高価であるため、レーザアニール装置全体のコストが高くなる。また、X軸方向への走査だけで半導体ウエハ51の全面を照射可能なライン状レーザビーム52の整形が困難でもある。
【0005】
図6(B)を参照する。活性化アニールに短いライン状レーザビーム54が用いられることもある。この場合、精密位置決め移動ステージ53を駆動して半導体ウエハ51をX軸方向及びY軸方向に走査することにより、半導体ウエハ51の全面にレーザビームを照射する。
【0006】
短いライン状レーザビーム54を用いると、長いライン状レーザビーム52を用いた場合に比べて、エネルギ効率を向上させることができる。また、半導体ウエハ51の汚染量を低減することができる。しかし半導体ウエハ51以外の部分に照射される無駄なエネルギや汚染物を完全になくすことはできない。
【0007】
また、X軸方向及びY軸方向に何度も半導体ウエハ51を走査させるため、活性化アニールに時間を要するという問題が生じる。更に、半導体ウエハ51をX軸方向に走査すればよい精密位置決め移動ステージ50とは異なって、精密位置決め移動ステージ53は半導体ウエハ51をX軸方向及びY軸方向に走査する必要があるため、これを用いたレーザアニール装置は一層高価になる。加えて、ライン状レーザビーム54照射位置の繋ぎ目部分における加工品質の問題が生じる。
【0008】
加熱手段の先端部を半導体ウエハの中心部の上方に配置し、半導体ウエハと所定間隔を保ちながら、一定の移動速度で、当該配置位置から当該配置位置を中心にその回転半径が大きくなるように螺旋状に移動させて、半導体層に未溶融再結晶化部分が生じないように、半導体層の全体を溶融再結晶化するための装置及び方法の発明が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。この装置または方法によれば、結晶粒径が従来よりも拡大化した半導体層を得ることができる。
【0009】
【特許文献1】特開平8−78328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高いエネルギ効率で加工を行うことのできるレーザ加工装置を提供することである。
【0011】
また、高い時間効率で加工を行うことのできるレーザ加工装置を提供することである。
【0012】
更に、良好な加工品質で加工を行うことのできるレーザ加工装置を提供することである。
【0013】
更に、安価なレーザ加工装置を提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、高いエネルギ効率で加工を行うことのできるレーザ加工方法を提供することである。
【0015】
更に、高い時間効率で加工を行うことのできるレーザ加工方法を提供することである。
【0016】
また、良好な加工品質で加工を行うことのできるレーザ加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一観点によれば、外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの半径を(r+r)/2、幅をr−rで定義するとき、レーザビームを出射するレーザ光源と、加工対象物を保持する保持台と、前記レーザ光源を出射したレーザビームから、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成し、前記保持台に保持された加工対象物に半径可変に入射させる光学系と、前記輪帯状のレーザビームの半径が変化したとき、前記輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変化を抑制する向きに、前記レーザ光源の出力または前記輪帯状のレーザビームの幅を変化させる制御装置とを有するレーザ加工装置が提供される。
【0018】
また、本発明の他の観点によれば、外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの半径を(r+r)/2で定義するとき、(a)第1の半径の輪帯状レーザビームを、加工対象物に入射させる工程と、(b)前記第1の半径とは異なる第2の半径の輪帯状レーザビームを、前記加工対象物に入射させる工程とを有し、前記輪帯状レーザビームの半径が変化したとき、前記輪帯状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変化を抑制するレーザ加工方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高いエネルギ効率で加工を行うことが可能なレーザ加工装置を提供することができる。
【0020】
また、高い時間効率で加工を行うことが可能なレーザ加工装置を提供することができる。
【0021】
更に、良好な加工品質で加工を行うことが可能なレーザ加工装置を提供することができる。
【0022】
更に、安価なレーザ加工装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、高いエネルギ効率で加工を行うことが可能なレーザ加工方法を提供することができる。
【0024】
更に、高い時間効率で加工を行うことが可能なレーザ加工方法を提供することができる。
【0025】
また、良好な加工品質で加工を行うことが可能なレーザ加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1(A)及び(B)を参照し、以下に挙げる実施例に共通するレーザ加工方法について説明する。
【0027】
図1(A)を参照する。以下の実施例においては、固定ステージ60上に載置された円形の半導体ウエハ51に、円輪状(輪帯状、円環状)に整形されたレーザビームを照射することによって半導体ウエハ51の活性化アニールを行う。円輪状に整形されたレーザビームが照射される半導体ウエハ51上の領域の数例を、本図には照射領域55a〜55dと示した。照射領域55a〜55dはそれぞれ円形の半導体ウエハ51の中心を中心とする2つの円(同心円)に囲まれた領域である。
【0028】
円輪状に整形されたレーザビームは、照射面における半径及び幅を変化されて半導体ウエハ51全面に照射される。照射はたとえば、円輪状のレーザビームの半径を大きくしながら、照射領域が半導体ウエハ51の半径方向に沿って、内側から外側に向かって移動するように行われる。円輪状のレーザビームの半径を小さくしながら、照射領域が半導体ウエハ51の半径方向に沿って、外側から内側に向かって移動するように行ってもよい。活性化アニールに用いられるレーザビームがパルスレーザビームであるとき、その照射は、たとえばオーバーラップ率が一定となるように行われる。
【0029】
なお、たとえば図1(B)に示す円輪状レーザビームの照射領域55eにおいて、外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとするとき、円輪状レーザビームの半径は(r+r)/2、幅はr−rで定義される。
【0030】
このように円輪状のレーザビームの半径を変化させながら、半導体ウエハ51の中心を中心とする同心円状にレーザビームを走査することにより、固定ステージ60上にレーザビームを入射させることなく、半導体ウエハ51の全面にレーザビームを照射し、半導体ウエハ51の活性化アニールを行うことができる。
【0031】
円輪状のレーザビームは、加工中、光強度が一定となる条件で、半導体ウエハ51に入射させる。また、活性化アニールにおいて、半導体ウエハ51に投入する単位面積当たりのエネルギは、半導体ウエハ51上の場所によらず一定とする。このため、パルスレーザビームを用いて活性化アニールを行う場合、半導体ウエハ51上に照射されるレーザパルスのショット数は場所によらず一定となる。また連続波のレーザビームを用いて活性化アニールを行う場合、半導体ウエハ51上に照射されるレーザビームの照射時間は場所によらず一定となる。
【0032】
このためレーザビームが固定ステージ60に照射されることで発生する塵等による半導体ウエハ51の汚染を防止することができる。また、図6(B)を参照して説明した、短いライン状レーザビーム照射位置の繋ぎ目部分における加工品質の問題は生じない。このため良好な品質のレーザアニールを実現することができる。
【0033】
また、半導体ウエハ51以外の部分にレーザビームが照射されないため、高いエネルギ効率でレーザアニールを実施することができる。
【0034】
更に、固定ステージ60を用いて活性化アニールを行うので、半導体ウエハの移動ステージによる移動や位置決めに要する時間が不要となる。このため高い時間効率でレーザアニールを行うことができる。
【0035】
また、高価な精密位置決め移動ステージでなく、半導体ウエハ51を保持する安価な固定ステージ60を利用するため、安価な装置構成でのレーザアニールを実現することができる。
【0036】
図2(A)〜(C)を参照して、第1の実施例によるレーザ加工方法について説明する。
【0037】
図2(A)は、第1の実施例によるレーザ加工装置を示す概略図である。第1の実施例によるレーザ加工装置は、レーザ光源10、バリアブルアッテネータ11、強度分布調節器12、アキシコンレンズ(円錐状レンズ)13、レンズ移動機構13a、結像レンズ14、制御装置15及び固定ステージ60を含んで構成される。
【0038】
たとえばNd:YLFレーザ発振器を備えるレーザ光源10からNd:YLFレーザの2倍高調波(波長527nm)であるパルスレーザビーム30が出射する。パルスレーザビーム30の断面形状はたとえば円形であり、断面内の光強度はガウス分布である。パルスレーザビーム30は入射するレーザビームの光強度(単位面積を単位時間に通過するエネルギの時間平均値)を可変の減衰率で減衰させることができるバリアブルアッテネータ11に入射して光強度を減衰され、強度分布調節器12でビーム断面内の光強度を均一化された後、ビームの進行方向に垂直な断面形状が円輪状となるビームを形成するアキシコンレンズ13に入射する。アキシコンレンズ13はレンズ移動機構13aに、パルスレーザビーム30の進行方向(光軸方向)に移動可能に保持されている。アキシコンレンズ13によって円輪状に整形されたパルスレーザビーム30は、結像レンズ14を経て固定ステージ60上に保持された半導体ウエハ51に入射し、半導体ウエハ51の活性化アニールが行われる。結像レンズ14は、パルスレーザビーム30の光路上の仮想面40におけるパルスレーザビーム30を半導体ウエハ51上に結像(転写)する。固定ステージ60は、XYステージ等とは異なり、半導体ウエハ51を移動させる機能を有していない。このため半導体ウエハ51は、活性化アニールの期間中、空間的に固定されている。バリアブルアッテネータ11によるパルスレーザビーム30の光強度の減衰率の制御、及びレンズ移動機構13aによるアキシコンレンズ13の移動の制御は、制御装置15によって行われる。
【0039】
図2(B)を参照して、強度分布調節器12の構成及び作用について説明する。図2(B)は、強度分布調節器12を、それに入射するレーザビームの光軸に直交する視線で見た断面図である。強度分布調節器12は、2枚の非球面レンズであるレンズ12a(強度変換レンズ)及びレンズ12b(位相補正レンズ)を含んで構成される。強度分布調節器12は、以下に説明するように、断面内の強度分布がガウス分布で、断面形状が円形のレーザビームが入射したとき、ビーム断面内の強度分布を、強度がビーム断面内で一定である分布(トップフラットな分布)に近づける。
【0040】
バリアブルアッテネータ11を出射したパルスレーザビーム30が、レンズ12aに入射する。図2(B)の左端のグラフに示すように、入射光のビーム断面内の強度は、ビーム断面の中心で高く、周辺に向かうにつれ低くなる。レンズ12aは、ビーム断面の中心が入射する部分で薄く、そこからレンズの縁に向かうにつれ厚くなり、ある位置で厚さが最大となり、厚さが最大の位置からさらにレンズの縁に向かうにつれ薄くなる。レンズ12aが、ビーム断面の中心部分に対し凹レンズとして作用して入射光を拡散させ、ビーム断面の周辺部分に対し凸レンズとして作用して入射光を収束させる。
【0041】
これにより、レンズ12aから出射したレーザビームの断面内で、中心部分の強度が相対的に低下し、周辺部分の強度が相対的に上昇する。レンズ12aから所定距離だけ離れた仮想面12cにおいて、図2(B)の右端のグラフに示すように、ビーム断面内の強度がほぼ一定となる。
【0042】
仮想面12cを通過した後、レンズ12aの作用により、ビーム断面の中心部分の光は、さらに拡散し、周辺部分の光は、さらに収束される。よって、仮想面12cを通過したレーザビームの断面内で、均一化された強度分布が保たれなくなる。均一化された強度分布が保たれるようにするため、仮想面12cの近傍に、レンズ12bが配置される。
【0043】
レンズ12bは、ビーム断面の中心が入射する部分で厚く、そこからレンズの縁に向かうにつれ薄くなり、ある位置で厚さが最小となり、厚さが最小の位置からさらにレンズの縁に向かうにつれ厚くなる。レンズ12bが、ビーム断面の中心部分に対し凸レンズとして作用し、ビーム断面の周辺部分に対し凹レンズとして作用することにより、レンズ12bから出射したレーザビームが、ビーム断面内でほぼ均一な強度を有する平行光となるようにできる。
【0044】
なお、図2(B)に示すのは強度分布調節器の一例であって、たとえばDOEを用いて同様の機能を実現することも可能である。
【0045】
図2(C)は、アキシコンレンズ13を含む概略的な斜視図である。アキシコンレンズ13に、均一な光強度分布を有する平行ビームであるパルスレーザビーム30が入射する。パルスレーザビーム30は、円錐の母線方向に沿って広がり、全体としては円錐の中心軸方向に進行するレーザビームに整形されてアキシコンレンズ13から出射する。当該レーザビームを進行方向に垂直な平面で切った断面は円輪状である。円輪状のレーザビームの半径は、アキシコンレンズ13からビーム進行方向への距離が大きくなるに従って大きくなる。他方、円輪状のレーザビームの幅は、アキシコンレンズ13からの距離によらず一定となり、アキシコンレンズ13に入射するパルスレーザビーム30の半径に等しい。
【0046】
レンズ移動機構13aでアキシコンレンズ13を移動させることにより、仮想面40の位置における円輪状レーザビームの半径が変化する。仮想面40の位置における円輪状のレーザビームの半径をレーザパルスごとに変化させながら、当該位置のビーム断面を結像レンズ14で半導体ウエハ51上に結像させることにより、半導体ウエハ51上において、半導体ウエハ51の中心を中心とする同心円状にレーザビームを走査することができる。
【0047】
アキシコンレンズ13をパルスレーザビーム30の進行方向と反対方向に移動させることで、半導体ウエハ51上における円輪状照射領域の半径をレーザパルスごとに増加させながら、半導体ウエハ51の半径方向に沿い内側から外側に向かってビーム走査を行うことができる。また逆に、アキシコンレンズ13をレーザビーム30の進行方向と同じ方向に移動させることで、半導体ウエハ51上における円輪状照射領域の半径をレーザパルスごとに減少させながら、半導体ウエハ51の半径方向に沿い外側から内側に向かってビーム走査を行うことが可能である。
【0048】
制御装置15は、ビーム照射領域における光強度が、加工中、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値となる条件で、各レーザパルスが半導体ウエハ51に入射するように、アキシコンレンズ13の移動に応じてバリアブルアッテネータ11の減衰率を制御する。また、加工において、半導体ウエハ51に投入する単位面積当たりのエネルギが、半導体ウエハ51上の場所によらず一定となるように、半導体ウエハ51上へのレーザビームの入射を制御する。
【0049】
第1の実施例においては、半導体ウエハ51上における円輪状照射領域の幅は半径によらず一定であるから、円輪状照射領域の半径を増加させる場合には、バリアブルアッテネータ11の減衰率を小さくする。
【0050】
こうして固定ステージ60上にレーザビームを入射させることなく、半導体ウエハ51にレーザビームを照射し、半導体ウエハ51の活性化アニールを行う。
【0051】
図3(A)及び(B)を参照して、第2の実施例によるレーザ加工方法について説明する。
【0052】
図3(A)は、第2の実施例によるレーザ加工装置を示す概略図である。移動可能に保持されたアキシコンレンズ13の代わりにレーザビームの光路上に固定的に配置された2つのアキシコンレンズ13x、13yを備えている点、及び、結像レンズ14に代えて拡大・縮小結像光学系16を含んでいる点において、第1の実施例によるレーザ加工装置とは異なる。
【0053】
図3(B)は、アキシコンレンズ13x、13yを含む概略的な斜視図である。アキシコンレンズ13x、13yは、円錐状部分の頂点が互いに対向するように、同軸に(中心軸が一致するように)配置される。パルスレーザビーム30は、アキシコンレンズ13xにより円錐の母線方向に沿って広がり、全体として円錐の中心軸方向に進行するレーザビームに整形された後、アキシコンレンズ13yの円錐状部分の側面に入射する。アキシコンレンズ13yを出射するレーザビームは、円筒面をその中心軸と平行な方向に進行する平行ビームとなる。
【0054】
当該レーザビームを進行方向に垂直な平面で切った断面は円輪状である。円輪状のレーザビームの半径及び幅は、アキシコンレンズ13yからビーム進行方向への距離によらず一定である。なお、円輪状のレーザビームの幅は、アキシコンレンズ13xに入射するパルスレーザビーム30の半径に等しい。
【0055】
アキシコンレンズ13yを出射した円輪状の平行ビームは、拡大・縮小結像光学系16に入射する。拡大・縮小結像光学系16は、円輪状ビームを、その半径と幅の比率を一定に保ったまま、拡大、縮小して、半導体ウエハ51上に結像させる。
【0056】
拡大・縮小結像光学系16が、平行ビームの円輪状断面を、レーザパルスごとに結像(転写)倍率を変えながら、半導体ウエハ51上に結像(転写)することにより、半導体ウエハ51上において、半導体ウエハ51の中心を中心とする同心円状にレーザビームを走査することができる。
【0057】
拡大・縮小結像光学系16の結像倍率をレーザパルスごとに増加させることで、半導体ウエハ51の半径方向に沿い内側から外側に向かってビーム走査を行うことができる。また逆に、結像倍率をレーザパルスごとに減少させることで、半導体ウエハ51の半径方向に沿い外側から内側に向かってビーム走査を行うことが可能である。
【0058】
制御装置15は、ビーム照射領域における光強度が、加工中、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値となる条件で、各レーザパルスが半導体ウエハ51に入射するように、結像倍率に応じてバリアブルアッテネータ11の減衰率を制御する。結像倍率を増加させる場合には、バリアブルアッテネータ11の減衰率を小さくする。また、半導体ウエハ51に入射する円輪状レーザビームの半径が拡大する速さの絶対値と、当該円輪状レーザビームの幅とが比例するように、レーザビームの走査を制御する。更に、加工において、半導体ウエハ51に投入する単位面積当たりのエネルギが、半導体ウエハ51上の場所によらず一定となるように、半導体ウエハ51上へのレーザビームの入射を制御する。
【0059】
こうして固定ステージ60上にレーザビームを入射させることなく、半導体ウエハ51にレーザビームを照射し、半導体ウエハ51の活性化アニールを行う。
【0060】
図4(A)及び(B)を参照して、第3の実施例によるレーザ加工方法について説明する。
【0061】
図4(A)は、第3の実施例によるレーザ加工装置を示す概略図である。アキシコンレンズ13yと拡大・縮小結像光学系16との間のレーザビームの光路上に、トーラス型レンズ(円輪シリンドリカルレンズ)17を備えている点において、第2の実施例によるレーザ加工装置とは異なる。また、第3の実施例によるレーザ加工装置は、トーラス型レンズ17をレーザビームの進行方向(光軸方向)に移動可能に保持するレンズ移動機構17aを備えている。更に、第3の実施例によるレーザ加工装置は、バリアブルアッテネータを含んでいない。
【0062】
図4(B)は、トーラス型レンズ17を含む概略的な斜視図である。円錐状部分の頂点が互いに対向するように、同軸に(中心軸が一致するように)配置されたアキシコンレンズ13x、13yにより、断面形状を円輪状の平行ビームとされてアキシコンレンズ13yを出射したレーザビームは、トーラス型レンズ17に入射する。トーラス型レンズ17はドーナツ型の特殊レンズで、その半径は入射する円輪状の平行ビームの半径と等しい。また、トーラス型レンズ17は、入射する円輪状平行ビームの幅以上の幅を有している。
【0063】
トーラス型レンズ17を出射するレーザビームは、ビームの進行方向に垂直な断面形状を円輪状とするレーザビームである。この円輪状レーザビームの幅は、レーザビームの進行方向に沿う距離が大きくなるにしたがって小さくなる。他方、この円輪状レーザビームの半径は、レーザビームの進行方向に沿う距離によらず一定である。
【0064】
第3の実施例によるレーザ加工方法においては、レンズ移動機構17aでトーラス型レンズ17をレーザビームの進行方向と平行な方向に移動させて、拡大・縮小結像光学系16により半導体ウエハ51上に転写される位置(共役な位置)の円輪状ビームの幅を変化させる。これを1つのパラメータとして、半導体ウエハ51に照射される円輪状ビームの幅を制御することができる。また、拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率を変化させて、半導体ウエハ51に照射される円輪状ビームの半径及び幅を変化させることができる。
【0065】
制御装置15は、半導体ウエハ51上における円輪状入射ビームの半径と幅との積が、活性化アニール中常に一定となるように、レンズ移動機構17aによるトーラス型レンズ17の移動と、拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率とを、レーザパルスごとに制御する。このような制御を行うことにより、半導体ウエハ51上のビーム照射領域における光強度を、加工中、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値とすることができる。また、半導体ウエハ51に入射する円輪状レーザビームの半径が拡大する速さの絶対値と、当該円輪状レーザビームの幅とが比例するように、レーザビームの走査を制御する。更に、加工において、半導体ウエハ51に投入する単位面積当たりのエネルギが、半導体ウエハ51上の場所によらず一定となるように、半導体ウエハ51上へのレーザビームの入射を制御する。
【0066】
半導体ウエハ51上におけるレーザビームの走査については、第2の実施例と同様である。拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率をレーザパルスごとに増加させる、または減少させることで、半導体ウエハ51の半径方向に沿い、半導体ウエハ51の中心を中心とする同心円状にレーザビームを走査することができる。
【0067】
こうして固定ステージ60上にレーザビームを入射させることなく、半導体ウエハ51にレーザビームを照射し、半導体ウエハ51の活性化アニールを行う。
【0068】
第1及び第2の実施例によるレーザ加工方法においては、制御装置15は、ビーム照射領域における光強度が、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値となる条件で、各レーザパルスが半導体ウエハ51に入射するように、バリアブルアッテネータ11の減衰率を制御した。これらのレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置においては、簡易な装置構成を採用することができるという利点がある。
【0069】
しかし半径の小さい円輪状レーザビームを照射する場合など、ビーム照射領域の面積が小さいときには、バリアブルアッテネータ11の減衰率を大きくして、レーザパルスのパルスエネルギを小さくしなければならない。
【0070】
これに対し、第3の実施例によるレーザ加工方法においては、レーザ光源10を出射したレーザビームの光強度を、バリアブルアッテネータで減衰させる必要がないため、高エネルギ効率、高生産性で活性化アニールを行うことができる。この点は、以下に説明する第4の実施例によるレーザ加工方法においても同様である。
【0071】
図5(A)〜(C)を参照して、第4の実施例によるレーザ加工方法について説明する。
【0072】
図5(A)は、第4の実施例によるレーザ加工装置を示す概略図である。第4の実施例によるレーザ加工装置は、トーラス型レンズとトーラス型レンズを移動可能に保持するレンズ移動機構を含まない点、及びアキシコンレンズ13yをレーザビームの進行方向(光軸方向)に移動可能に保持するレンズ移動機構13bを備える点において、第3の実施例によるレーザ加工装置と異なる。
【0073】
図5(B)及び(C)は、アキシコンレンズ13x、13yを含む概略的な斜視図である。円錐状部分の頂点が互いに対向するように、同軸に(中心軸が一致するように)配置されたアキシコンレンズ13x、13yにより、図3(B)を参照して説明したように、進行方向に垂直な断面が円輪状の平行レーザビームがアキシコンレンズ13yを出射する。
【0074】
アキシコンレンズ13x、13y間の距離が変動する場合、アキシコンレンズ13yを出射する円輪状レーザビームの半径は変化する。図5(B)は、アキシコンレンズ13x、13y間の距離が小さい場合を示し、図5(C)は、両者間の距離が大きい場合を示す。両図からわかるように、アキシコンレンズ13x、13y間の距離が大きくなるにしたがって、アキシコンレンズ13yを出射する円輪状レーザビームの半径は大きくなる。
【0075】
他方、円輪状のレーザビームの幅は、アキシコンレンズ13x、13y間の距離が変動しても一定で、アキシコンレンズ13xに入射するパルスレーザビーム30の半径に等しい。
【0076】
また、アキシコンレンズ13yを出射する円輪状レーザビームは平行ビームであるため、円輪状レーザビームの半径及び幅は、ビーム進行方向への距離によらず、アキシコンレンズ13y出射時と等しい。
【0077】
アキシコンレンズ13yを出射した円輪状レーザビームは、拡大・縮小結像光学系16に入射する。レンズ移動機構13bでアキシコンレンズ13yをレーザビームの進行方向と平行な方向に移動することにより、一定幅の円輪状レーザビームを、半径を変化させながら、拡大・縮小結像光学系16に入射させることができる。
【0078】
第4の実施例によるレーザ加工方法においては、レンズ移動機構13bでアキシコンレンズ13yをレーザビームの進行方向と平行な方向に移動させて、拡大・縮小結像光学系16により半導体ウエハ51上に転写される位置(共役な位置)の円輪状ビームの半径を変化させる。これを1つのパラメータとして、半導体ウエハ51に照射される円輪状ビームの半径を制御することができる。また、拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率を変化させて、半導体ウエハ51に照射される円輪状ビームの半径及び幅を変化させることができる。
【0079】
制御装置15は、半導体ウエハ51上における円輪状入射ビームの半径と幅との積が、活性化アニール中常に一定となるように、レンズ移動機構13bによるアキシコンレンズ13yの移動と、拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率とを、レーザパルスごとに制御する。このような制御を行うことにより、半導体ウエハ51上のビーム照射領域における光強度を、加工中、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値とすることができる。また、半導体ウエハ51に入射する円輪状レーザビームの半径が拡大する速さの絶対値と、当該円輪状レーザビームの幅とが比例するように、レーザビームの走査を制御する。更に、加工において、半導体ウエハ51に投入する単位面積当たりのエネルギが、半導体ウエハ51上の場所によらず一定となるように、半導体ウエハ51上へのレーザビームの入射を制御する。
【0080】
半導体ウエハ51上におけるレーザビームの走査については、第2及び第3の実施例と同様である。拡大・縮小結像光学系16の結像(転写)倍率をレーザパルスごとに増加させる、または減少させることで、半導体ウエハ51の半径方向に沿い、半導体ウエハ51の中心を中心とする同心円状にレーザビームを走査することができる。
【0081】
こうして固定ステージ60上にレーザビームを入射させることなく、半導体ウエハ51にレーザビームを照射し、半導体ウエハ51の活性化アニールを行う。
【0082】
第4の実施例によるレーザ加工方法においては、トーラス型レンズを使用しない。このため、第3の実施例に比べ安価な装置構成で活性化アニールを行うことができる。
【0083】
なお、第4の実施例によるレーザ加工方法においては、出射側アキシコンレンズ13yをレーザビームの進行方向と平行な方向に移動させたが、入射側アキシコンレンズ13xを移動させてもよい。
【0084】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
たとえば、実施例においてはパルスレーザビームを用い、半導体ウエハ上のビーム照射領域における光強度が、すべてのレーザパルスに共通して等しい一定値となるように制御した。連続波のレーザビームを用い、半導体ウエハ上のビーム照射領域における光強度が一定となるように制御してもよい。
【0086】
光強度は厳密に一定値とならなくてもよい。円輪状レーザビームの半径が変化したとき、円輪状レーザビームの同一方位上(半径方向)のピーク強度の変化を抑制する向きに、レーザ光源の出力または円輪状レーザビームの幅を変化させることで効果は得られるだろう。
【0087】
また、円輪状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が10%以下となるように、より好ましくは5%以下となるように、更に好ましくは2%以下となるように、レーザ光源の出力または円輪状レーザビームの幅を変化させることで好適に活性化アニールを行うことが可能であろう。ここで変動係数とは、標準偏差を平均値で除したもので、単位は「%」で表される。これと関連して、光強度のピーク値の変動係数が当該範囲内にあるように、半導体ウエハ51上における円輪状入射ビームの半径と幅との積を、活性化アニール中常にほぼ一定とすればよい。
【0088】
また、実施例においては、半導体ウエハに投入する単位面積当たりのエネルギを、半導体ウエハ上の場所によらない一定値としたが、単位面積当たりの投入エネルギの変動係数が20%以下となるように、より好ましくは10%以下となるように、更に好ましくは5%以下となるようにすれば問題はないであろう。
【0089】
更に、実施例においては、半導体ウエハ51を移動させる機能を有さない固定ステージ60を用いたが、たとえばXYステージ上に半導体ウエハ51を保持してもよい。XYステージにより、半導体ウエハ51をX方向またはY方向に移動させることなく活性化アニールを行うことができる。
【0090】
また、第1及び第2の実施例においては、バリアブルアッテネータを用いてレーザビームの強度を調整したが、バリアブルアッテネータを用いず、レーザ発振器から出射されるレーザビーム自体の強度を変化させてもよい。
【0091】
更に、実施例においては円周方向及び半径方向に均一化された円輪状のレーザビームを半導体ウエハ51に照射したが、たとえば少なくとも円周方向にのみ均一化された円輪状のレーザビームを半導体ウエハ51に照射してもよい。
【0092】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0093】
レーザ加工一般、殊にレーザアニールに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】(A)及び(B)は、実施例に共通するレーザ加工方法について説明するための図である。
【図2】(A)〜(C)は、第1の実施例によるレーザ加工方法について説明するための図である。
【図3】(A)及び(B)は、第2の実施例によるレーザ加工方法について説明するための図である。
【図4】(A)及び(B)は、第3の実施例によるレーザ加工方法について説明するための図である。
【図5】(A)〜(C)は、第4の実施例によるレーザ加工方法について説明するための図である。
【図6】(A)及び(B)は、半導体ウエハの活性化アニールの従来技術について説明するための図である。
【符号の説明】
【0095】
10 レーザ光源
11 バリアブルアッテネータ
12 強度分布調節器
12a、12b 非球面レンズ
12c 仮想面
13 アキシコンレンズ
13a、13b レンズ移動機構
13x、13y アキシコンレンズ
14 結像レンズ
15 制御装置
16 拡大・縮小結像光学系
17 トーラス型レンズ
17a レンズ移動機構
30 レーザビーム
40 仮想面
50、53 精密位置決め移動ステージ
51 半導体ウエハ
52、54 ライン状レーザビーム
55a〜55e 照射領域
60 固定ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの半径を(r+r)/2、幅をr−rで定義するとき、
レーザビームを出射するレーザ光源と、
加工対象物を保持する保持台と、
前記レーザ光源を出射したレーザビームから、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成し、前記保持台に保持された加工対象物に半径可変に入射させる光学系と、
前記輪帯状のレーザビームの半径が変化したとき、前記輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変化を抑制する向きに、前記レーザ光源の出力または前記輪帯状のレーザビームの幅を変化させる制御装置と
を有するレーザ加工装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が10%以下となるように、前記レーザ光源の出力または前記輪帯状のレーザビームの幅を変化させる請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が5%以下となるように、前記レーザ光源の出力または前記輪帯状のレーザビームの幅を変化させる請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記輪帯状のレーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が2%以下となるように、前記レーザ光源の出力または前記輪帯状のレーザビームの幅を変化させる請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記制御装置は、加工において、前記保持台に保持された加工対象物上の場所によらず、該加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が20%以下となるように、前記光学系を制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記制御装置は、加工において、前記保持台に保持された加工対象物上の場所によらず、該加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が10%以下となるように、前記光学系を制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記制御装置は、加工において、前記保持台に保持された加工対象物上の場所によらず、該加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が5%以下となるように、前記光学系を制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記光学系は、レーザビームの光軸方向と平行な方向に移動可能に保持され、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成するアキシコンレンズを含み、
前記制御装置は、前記アキシコンレンズの移動に応じて前記レーザ光源を出射するレーザビームの強度を調整する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記光学系は、
円錐状部分の頂点が互いに対向するように同軸に配置され、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成する2つのアキシコンレンズと、
前記2つのアキシコンレンズで生成された輪帯状ビームを、その半径と幅の比率を一定に保ったまま、拡大、縮小して前記加工対象物上に結像させる、結像倍率可変の結像光学系と
を含み、
前記制御装置は、前記結像光学系の結像倍率に応じて前記レーザ光源を出射するレーザビームの強度を調整する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記光学系は、
円錐状部分の頂点が互いに対向するように同軸に配置され、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成する2つのアキシコンレンズと、
前記2つのアキシコンレンズで生成された輪帯状のレーザビームの光軸方向と平行な方向に移動可能に保持され、前記輪帯状のレーザビームの半径を変化させずに幅を変化させる円輪シリンドリカルレンズと、
前記円輪シリンドリカルレンズを出射した輪帯状のビームを、その半径と幅の比率を一定に保ったまま、拡大、縮小して前記加工対象物上に結像させる、結像倍率可変の結像光学系と
を含み、
前記制御装置は、前記加工対象物上における輪帯状のレーザビームの半径と幅との積がほぼ一定となるように、前記円輪シリンドリカルレンズの移動と、前記結像光学系の結像倍率とを制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記光学系は、
円錐状部分の頂点が互いに対向するように同軸に、距離可変に配置され、断面形状が輪帯状のレーザビームを生成する2つのアキシコンレンズと、
前記2つのアキシコンレンズで生成された輪帯状のビームを、その半径と幅の比率を一定に保ったまま、拡大、縮小して前記加工対象物上に結像させる、結像倍率可変の結像光学系と
を含み、
前記制御装置は、前記加工対象物上における輪帯状のレーザビームの半径と幅との積がほぼ一定となるように、前記2つのアキシコンレンズ間の距離と、前記結像光学系の結像倍率とを制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記保持台に保持された加工対象物に入射する輪帯状のレーザビームの半径が拡大する速さの絶対値と、前記輪帯状のレーザビームの幅とが比例するように、前記加工対象物上における前記輪帯状のレーザビームの走査を制御する請求項9〜11のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記光学系は、前記保持台に保持された加工対象物に、光強度が円周方向に均一化された輪帯状のレーザビームを入射させる均一化光学系を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記光学系は、前記保持台に保持された加工対象物に、光強度が円周方向及び半径方向に均一化された輪帯状のレーザビームを入射させる均一化光学系を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの半径を(r+r)/2で定義するとき、
(a)第1の半径の輪帯状レーザビームを、加工対象物に入射させる工程と、
(b)前記第1の半径とは異なる第2の半径の輪帯状レーザビームを、前記加工対象物に入射させる工程と
を有し、
前記輪帯状レーザビームの半径が変化したとき、前記輪帯状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変化を抑制するレーザ加工方法。
【請求項16】
前記輪帯状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が10%以下となるように、ピーク強度の変化を抑制する請求項15に記載のレーザ加工方法。
【請求項17】
前記輪帯状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が5%以下となるように、ピーク強度の変化を抑制する請求項15に記載のレーザ加工方法。
【請求項18】
前記輪帯状レーザビームの同一方位上のピーク強度の変動係数が2%以下となるように、ピーク強度の変化を抑制する請求項15に記載のレーザ加工方法。
【請求項19】
加工において、前記加工対象物上の場所によらず、前記加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が20%以下となるように、前記加工対象物にレーザビームを入射させる請求項15〜18のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【請求項20】
加工において、前記加工対象物上の場所によらず、前記加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が10%以下となるように、前記加工対象物にレーザビームを入射させる請求項15〜18のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【請求項21】
加工において、前記加工対象物上の場所によらず、前記加工対象物に投入される単位面積当たりのエネルギの変動係数が5%以下となるように、前記加工対象物にレーザビームを入射させる請求項15〜18のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【請求項22】
前記工程(a)と(b)とにおいて、輪帯状レーザビームが加工対象物に入射する領域の面積が異なる請求項15〜21のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【請求項23】
外側の同心円の半径をr、内側の同心円の半径をrとし、輪帯状レーザビームの幅をr−rで定義するとき、前記工程(a)と(b)とにおいて、半径と幅との積がほぼ等しい輪帯状レーザビームを加工対象物に入射させる請求項15〜21のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【請求項24】
前記輪帯状レーザビームの半径が拡大する速さの絶対値と、前記輪帯状レーザビームの幅とが比例するように、前記加工対象物上において前記輪帯状レーザビームを走査する請求項15〜23のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−259860(P2009−259860A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103675(P2008−103675)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】