説明

レーザ計測用ターゲット治具及びレーザ計測システム

【課題】計測システム全体の小型化及び軽量化を図るとともに、配管の取付位置を正確に特定することができる、レーザ計測用ターゲット治具及びレーザ計測システムを提供する。
【解決手段】第一フランジ11に一端部2a及び中間部2bが固定される計測器用固定治具2と、第二フランジ12に固定されるレーザ計測用ターゲット治具3と、計測器用固定治具2の他端部2cに固定されるレーザ計測器4と、第一フランジ11及び第二フランジ12の位置を算出する演算手段5と、を備え、レーザ計測用ターゲット治具3は、第二フランジ12に配置される台座31と、レーザ光を反射可能な表面32aを有し台座31に表面の一部が突出するように固定された球体32と、台座31を第二フランジ12に固定する固定手段33と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ計測用ターゲット治具及びレーザ計測システムに関し、特に、配管等の接続部品の接続位置を計測するためのレーザ計測用ターゲット治具及び該レーザ計測用ターゲット治具を使用したレーザ計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶、プラント、橋梁等の大型構造物では、一般に、両端にフランジを有する配管を連結しながら、長距離の配管を敷設している。また、船舶の建造時によく行われているようなブロック建造では、船体を複数のブロックに分割し、ブロックごとに製造してから各ブロックを連結して船体を建造している。このとき、ブロック間においても配管を連結する必要がある。しかしながら、配管の製造誤差、ブロック建造時の組立誤差等の関係から、設計どおりの配管では適切に配管を接続できないことが多い。そこで、例えば、余長を有する配管を現場で切断して長さを調整する合わせ管、現場で配管を切断しアングル等を溶接して長さや形状を調整する金型管、現場で連結するフランジの位置をスケッチして配管の形状を特定するスケッチ管等を使用して、現場に仮の配管や製図用具等を持ち込み、現場で長さや形状を調整・特定し、工場にて正式な配管を製造して現場に調達し、配管を連結している。
【0003】
このように現場で調整が必要な配管(以下、現場調整管という)では、長さや形状を正確に特定することが重要である。かかる現場調整管の取付位置を計測する方法として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された方法が既に提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された計測方法は、デジタルカメラとパソコンを使用した三次元写真計測方法であって、配管の取付位置を構成するフランジのボルト孔の外周又は機器取合部に嵌合されたオフセット治具の表面に、光反射部を有するシール状の計測用ターゲットを貼り付け、この計測用ターゲットをデジタルカメラで撮影することにより、計測ターゲットの座標を算出し、ボルト孔の中心座標やフランジの中心座標等を割り出し、配管の取付位置を特定している。
【0005】
特許文献2に記載された計測方法は、一方のフランジ上に位置測定装置を配置し、他方のフランジのボルト孔にリングピンを嵌着し、位置測定装置からワイヤを導出してリングピンに係止することによって、ワイヤの長さや角度を測定し、フランジの位置を特定している。また、かかる計測方法により得られた計測データは、パソコンに取り込まれて管加工データに変換される。そして、管加工データに曲げ数、曲げ位置、管の種類(エルボー、ベンダー等)、抜き代、パッキン代等の条件を設定することにより、現場調整管の制作仕様書を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−361265号公報
【特許文献2】特開2009−258018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、計測ターゲットを貼り付ける位置によって計測精度が変動し、安定した計測を行うことができないという問題があった。また、配管の取付位置の座標を算出するためには、デジタルカメラの位置を固定して両方の計測ターゲットを一度に撮影できる位置を探し出す必要があり、船舶のような複雑で狭隘な作業現場では最適な撮影ポイントを確保することが難しいという問題もあった。
【0008】
また、特許文献2に記載されたようなワイヤを使用した計測方法では、位置測定装置が大型化・重量化し易く、持ち運びに不便であるという問題があった。特に、船舶のような大型構造物では、移動距離が長く、現場調整管の本数も多い(数百〜数千本)ことから、取り扱い難く、作業員の負担が大きい。また、ワイヤを物理的に係止させていることから、他の構成機器との位置関係や取付位置の高さ等の関係で、ワイヤを係止できない、ワイヤを係止することに労力を要する等の問題もあった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、計測システム全体の小型化及び軽量化を図るとともに、配管の取付位置を正確に特定することができる、レーザ計測用ターゲット治具及びレーザ計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、レーザ光を照射して反射光を受光することにより対象物の位置を計測する際に、前記対象物に配置される反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具であって、前記対象物に配置される台座と、前記レーザ光を反射可能な表面を有し前記台座に表面の一部が突出するように固定された球体と、前記台座を前記対象物に固定する固定手段と、を有することを特徴とするレーザ計測用ターゲット治具が提供される。
【0011】
前記球体が固定された側の前記台座の表面は、前記レーザ光を散乱又は吸収させる加工が施されていてもよい。
【0012】
前記固定手段は、磁石を備えていてもよいし、前記台座の背面に立設されたアンカーボルトと、前記対象物に形成された貫通孔に挿通された前記アンカーボルトに螺合されるとともに前記貫通孔に食い込むテーパ面を有するナットと、を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、配管によって接続される第一フランジ及び第二フランジの位置をレーザ光の反射光を受光することにより計測するレーザ計測システムであって、前記第一フランジに一端部及び中間部が固定されるとともに他端部が前記第一フランジから外方に延出された計測器用固定治具と、前記第二フランジに固定されるとともに反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具と、前記計測器用固定治具の前記他端部に固定されるとともに前記レーザ光を投受光して前記レーザ計測用ターゲット治具までの距離を計測するレーザ計測器と、前記レーザ計測器の出力データ、前記計測器用固定治具の形状、前記レーザ計測器の形状及び前記レーザ計測用ターゲット治具の形状に基づいて前記第一フランジ及び前記第二フランジの位置を算出する演算手段と、を備え、前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記第二フランジに配置される台座と、前記レーザ光を反射可能な表面を有し前記台座に表面の一部が突出するように固定された球体と、前記台座を前記第二フランジに固定する固定手段と、を有することを特徴とするレーザ計測システムが提供される。
【0014】
前記計測器用固定治具は、前記第一フランジの直径よりも長く形成された板状部材と、前記一端部に形成された治具固定用孔と、前記中間部に形成された治具固定用長孔と、前記他端部に形成された計測器固定用孔と、前記治具固定用孔及び前記第一フランジ並びに前記治具固定用長孔及び前記第一フランジに挿通される治具固定用ボルトと、該治具固定用ボルトに螺合されるとともに前記第一フランジに食い込むテーパ面を有する治具固定用ナットと、を備えていてもよい。
【0015】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記球体が固定された側の前記台座の表面に前記レーザ光を散乱又は吸収させる加工が施されていてもよい。
【0016】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記固定手段が、磁石を備えていてもよいし、前記台座の背面に立設されたアンカーボルトと、前記第二フランジに形成されたボルト孔に挿通された前記アンカーボルトに螺合されるとともに前記ボルト孔に食い込むテーパ面を有するナットと、を備えていてもよい。また、前記板状部材は、ジェラルミン素材により構成されていてもよいし、前記治具固定用ボルト及び前記治具固定用ナットは、ステンレス素材により構成されていてもよい。
【0017】
前記レーザ計測器は、前記レーザ計測用ターゲット治具を含む範囲に前記レーザ光を走査させて最大の反射光強度が得られる位置の距離を計測するようにしてもよい。
【0018】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、少なくとも前記第二フランジの三箇所に固定され、前記演算手段は、前記レーザ計測用ターゲット治具が配置された箇所の座標を算出することにより前記第二フランジの面及び中心位置を特定するようにしてもよい。
【0019】
前記演算手段は、前記第一フランジ及び前記第二フランジを含む構造物の三次元モデルに、前記第一フランジ及び前記第二フランジの位置座標を取り込み、前記配管が他の構造物と干渉しないように前記配管の長さ及び形状を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明に係るレーザ計測用ターゲット治具及びレーザ計測システムによれば、計測手段としてレーザ計測を選択し、レーザ計測用ターゲット治具にレーザ光を反射する球体を配置したことにより、レーザ計測用ターゲット治具の位置(距離)を正確に計測することができ、機器の小型化及び軽量化を図ることもできる。
【0021】
また、計測器用固定治具を介してレーザ計測器を固定することにより、レーザ光を照射又は受光し易い位置にレーザ計測器を配置することができる。また、レーザ計測器の小型化及び軽量化を図ることにより、容易に持ち運ぶことができ、高所部や天井部に容易に取り付けることができ、レーザ光をレーザ計測用ターゲット治具に向かって照射させるだけで容易に計測することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0022】
したがって、計上述した本発明によれば、計測システム全体の小型化及び軽量化を図るとともに、配管の取付位置を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係るレーザ計測システムの概要を示す全体構成図である。
【図2】図1に示した計測器用固定治具を示す図であり、(a)は取付状態の平面図、(b)は取付状態の側面図、を示している。
【図3】本発明の第一実施形態に係るレーザ計測用ターゲット治具を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は正面図、(c)は第一変形例、(d)は第二変形例、を示している。
【図4】図1に示した演算手段により得られる配管を示す側面図であり、(a)はエルボー管、(b)はイナズマ管、(c)はベンド管、を示している。
【図5】本発明の第二実施形態に係るレーザ計測システムの概要を示す全体構成図である。
【図6】図1に示したレーザ計測器及びレーザ計測用ターゲット治具の取付位置を示す図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るレーザ計測システムの概要を示す全体構成図である。図2は、図1に示した計測器用固定治具を示す図であり、(a)は取付状態の平面図、(b)は取付状態の側面図、を示している。図3は、本発明の第一実施形態に係るレーザ計測用ターゲット治具を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は正面図、(c)は第一変形例、(d)は第二変形例、を示している。
【0025】
本発明の第一実施形態に係るレーザ計測システム1は、図1に示したように、配管によって接続される第一フランジ11及び第二フランジ12の位置をレーザ光の反射光を受光することにより計測するレーザ計測システム1であって、第一フランジ11に一端部2a及び中間部2bが固定されるとともに他端部2cが第一フランジ11から外方に延出された計測器用固定治具2と、第二フランジ12に固定されるとともに反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具3と、計測器用固定治具2の他端部2cに固定されるとともにレーザ光を投受光してレーザ計測用ターゲット治具3までの距離を計測するレーザ計測器4と、レーザ計測器4の出力データ、計測器用固定治具2の形状、レーザ計測器4の形状及びレーザ計測用ターゲット治具3の形状に基づいて第一フランジ11及び第二フランジ12の位置を算出する演算手段5と、を備え、レーザ計測用ターゲット治具3は、第二フランジ12に配置される台座31と、レーザ光を反射可能な表面32aを有し台座31に表面の一部が突出するように固定された球体32と、台座31を第二フランジ12に固定する固定手段33と、を有する。
【0026】
前記第一フランジ11及び前記第二フランジ12は、例えば、船舶、プラント等の大型構造物において隣接するブロックに配置された取り合い部を構成している。第一フランジ11は、例えば、第一ブロックBL1の床面100に上方を向いて配置されており、第二フランジ12は、例えば、第二ブロックBL2の壁面200に下方を向いて配置されている。第一ブロックBL1及び第二ブロックBL2は、個別に種々の艤装品が取り付けられて組み立てられた後、互いに溶接等に接続される。その後、第一ブロックBL1と第二ブロックBL2とを繋ぐ配管が第一フランジ11及び第二フランジ12に接続される。かかる配管は、製造誤差や組立誤差を吸収する配管であり、いわゆる現場調整管である。したがって、第一ブロックBL1と第二ブロックBL2とを接続して第一フランジ11及び第二フランジ12の位置が確定してから、第一フランジ11及び第二フランジ12の位置を計測し、現場調整管を製作することとなる。本実施形態は、かかる第一フランジ11及び第二フランジ12の位置の計測に適したものである。
【0027】
前記計測器用固定治具2は、図2(a)及び(b)に示したように、第一フランジ11の直径よりも長く形成された板状部材21と、一端部2aに形成された治具固定用孔22と、中間部2bに形成された治具固定用長孔23と、他端部2cに形成された計測器固定用孔24と、治具固定用孔22及び第一フランジ11並びに治具固定用長孔23及び第一フランジ11に挿通される治具固定用ボルト25と、治具固定用ボルト25に螺合されるとともに第一フランジ11に食い込むテーパ面26aを有する治具固定用ナット26と、を備えている。
【0028】
また、板状部材21は、例えば、ジェラルミン素材により構成され、治具固定用ボルト25及び治具固定用ナット26は、例えば、ステンレス素材により構成される。かかる素材の組み合わせにより、締結力を向上させつつ、部材の磨耗や切削を抑制することができる。
【0029】
前記板状部材21を第一フランジ11の直径よりも長く形成することにより、第一フランジ11から偏心した位置にレーザ計測器4を配置することができる。また、板状部材21の固定位置を変更することにより、第一フランジ11の外周における任意の位置にレーザ計測器4を配置することができる。したがって、第一フランジ11と第二フランジ12との間に障害物が存在している場合であっても、その障害物を避けてレーザ光を投受光できるように、レーザ計測器4を配置することができる。
【0030】
なお、板状部材21は、第一フランジ11の直径の変化に対応できるように、例えば、大中小のように複数の長さのものを予め用意しておき、作業現場の環境等に応じて所望の長さの板状部材21を選択できるようにしてもよい。
【0031】
前記治具固定用長孔23は、板状部材21の中間部2bに長手方向に沿って形成されている。かかる治具固定用長孔23を形成することにより、第一フランジ11の直径の大きさが変わった場合であっても、容易に対応することができ、計測器用固定治具2を第一フランジ11に固定することができる。ところで、第一フランジ11には、複数のボルト孔11aが形成されており、任意に選択した二箇所のボルト孔11aに治具固定用孔22及び治具固定用長孔23を対応させた状態で治具固定用ボルト25が挿通される。固定用に使用する一対のボルト孔11aは、対角線上にあってもよいし、隣接していてもよい。
【0032】
前記計測器固定用孔24は、レーザ計測器4の下端部に接続可能なアンカーボルト4aが挿通される貫通孔である。アンカーボルト4aには、板状部材21の背面側からナット4bが螺合され、締め付けられることによって、レーザ計測器4は板状部材21上に固定される。図2(a)において、計測器固定用孔24の外周に配置された凹部24aは、レーザ計測器4の下端部に形成された凸部(図示せず)と係止可能に形成されており、レーザ計測器4の位置決めに寄与する。
【0033】
前記治具固定用ボルト25は、第一フランジ11の上面に配置された板状部材21の治具固定用孔22及び治具固定用長孔23に挿通され、第一フランジ11のボルト孔11aに挿通される。そして、第一フランジ11の背面から治具固定用ナット26が螺合され、締め付けられる。このように、第一フランジ11の背面から治具固定用ナット26を接続することにより、締付力を向上させることができる。
【0034】
前記治具固定用ナット26は、側面が円錐面状に形成されており、円錐面がテーパ面26aを構成している。かかるテーパ面26aを形成することにより、治具固定用ボルト25に治具固定用ナット26を螺合させると、治具固定用ナット26の先端がボルト孔11aに進入し、楔効果により第一フランジ11に食い込んで治具固定用ボルト25を強固に固定することができるとともに、容易に治具固定用ボルト25の中心とボルト孔11aの中心とを一致させることができる。
【0035】
前記レーザ計測用ターゲット治具3は、レーザ光を照射して反射光を受光することにより対象物(例えば、第二フランジ12)の位置を計測する際に、対象物に配置される反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具である。レーザ計測用ターゲット治具3は、図3(a)に示したように、台座31と、球体32と、固定手段33と、を有する。
【0036】
前記台座31は、第二フランジ12に形成されたボルト孔12aよりも大きな面積を有する板状部材である。ここでは、図3(b)に示したように、台座31は円板形状を有しているが、かかる形状に限定されるものではなく、多角形状であってもよい。また、レーザ計測用ターゲット治具3は、球体32が固定された側の台座31の表面31aにレーザ光を散乱又は吸収させる加工が施されている。かかる加工は、表面31aに凹凸や溝を形成する機械加工であってもよいし、黒色や灰色に着色する加工であってもよいし、薄膜やコーティング層を形成する加工であってもよいし、フェルト等の布部材を貼付する加工であってもよい。このような加工を表面31aに施すことにより、台座31から反射するレーザ光を低減したり、強度を弱くしたりすることができ、反射体である球体32の誤検知を抑制することができる。
【0037】
前記球体32は、例えば、鉄球等の金属球により構成される。ただし、球体32は、レーザ光を反射し易い素材であれば、金属に限定されるものではなく、表面32aに反射を強化するコーティングが施されていてもよい。球体32は、台座31の中心部にスポット溶接等により固定される。また、球体32の表面32aの一部が台座31から突出するように固定されていることから、レーザ計測用ターゲット治具3に照射されたレーザ光は、球体32の表面32aで効率よく反射する。
【0038】
球体32の表面32aで反射した反射光は、球体32の中心点Ctを通る直線上の計測点Pで強度が最大となる。中心点Ctを逸れたレーザ光は、入射角度に対して垂直に反射しないため、レーザセンサ41で計測される反射光強度は低下する。それに対して、中心点Ctを通る直線上に入射したレーザ光は、入射角度に対して垂直に反射するため、レーザセンサ41で計測される反射光強度は最大となる。したがって、レーザ光の飛行時間からレーザセンサ41と球体32との距離L(すなわち、計測点Pの座標)を容易に算出することができる。
【0039】
前記固定手段33は、例えば、台座31の背面に立設されたアンカーボルト33aと、対象物(第二フランジ12)に形成された貫通孔(ボルト孔12a)に挿通されたアンカーボルト33aに螺合されるとともに貫通孔(ボルト孔12a)に食い込むテーパ面33bを有するナット33cと、を備えている。アンカーボルト33aは、台座31の背面に溶接されていてもよいし、ネジ結合により固定されていてもよい。
【0040】
ナット33cは、側面が円錐面状に形成されており、円錐面がテーパ面33bを構成している。かかるテーパ面33bを形成することにより、アンカーボルト33aにナット33cを螺合させると、ナット33cの先端がボルト孔12aに進入し、楔効果により第二フランジ12に食い込んでレーザ計測用ターゲット治具3を強固に固定することができるとともに、容易にレーザ計測用ターゲット治具3の中心とボルト孔12aの中心とを一致させることができる。なお、ナット33cの後からスピードボルト33dを螺合させて、ナット33cの脱落を抑制するようにしてもよい。
【0041】
また、固定手段33は、図3(c)に示したように、台座31の背面に配置された磁石33eを有していてもよい。第二フランジ12が鋼材等のように磁石を吸着可能な素材である場合には、磁石33eを利用することにより、レーザ計測用ターゲット治具3を第二フランジ12等の対象物に固定することができる。磁石33eは、永久磁石であってもよいし、吸着力のオン/オフを切替可能な電磁石であってもよい。固定手段33を磁石33eで構成することにより、ボルト孔12aを有しないフランジ、天井面、壁面、床面、艤装品等の構造物の表面にレーザ計測用ターゲット治具3を容易に配置することができる。
【0042】
また、図3(d)に示したように、ボルト孔12a等に嵌合可能な突起部33fを有していてもよい。かかる突起部33fを形成することにより、容易にレーザ計測用ターゲット治具3の位置決めを行うことができる。
【0043】
前記レーザ計測器4は、レーザ計測用ターゲット治具3を含む範囲にレーザ光を走査させて最大の反射光強度が得られる位置の距離を計測する機器である。具体的には、レーザ計測器4は、レーザ光を投受光可能なレーザセンサ41と、レーザセンサ41を回動可能に支持する本体部42と、本体部42の下端部に配置された回転台43と、を有する。
【0044】
レーザセンサ41は、本体部42に配置された駆動モータ(図示せず)により駆動軸周りに回動可能に構成されている。本体部42は、回転台43上に配置されており、回転台43を計測器用固定治具2に固定した状態で回転可能に構成されている。また、本体部42には、レーザ光の投光、レーザ光の走査(スキャン)、距離の演算等を処理する信号処理部42aが配置されている。本体部42は、駆動モータ(図示せず)を介して回転台43に接続されていてもよいし、手動で回転可能に回転台43に接続されていてもよい。
【0045】
信号処理部42aは、レーザ光の投光タイミング及び反射光の受光タイミングを計測し、レーザ光の飛行時間から飛行距離(往復距離)を算出し、レーザセンサ41から対象物までの距離を演算する。また、信号処理部42aは、反射光強度を計測し、所定の計測時間内における最大値を検出し、その最大値を計時したときの対象物の距離をレーザセンサ41からレーザ計測用ターゲット治具3までの距離として出力する。なお、距離演算は、受光強度の最大値を検出してから処理してもよいし、常時距離を算出しておいて受光強度が最大となるときの距離を選択するようにしてもよい。
【0046】
また、信号処理部42aは、レーザセンサ41を回動させる駆動モータ及び本体部42を回転台43上で回転させる駆動モータを制御して、レーザ光を一定の範囲内で走査(スキャン)させるようにしてもよい。なお、レーザ光の走査範囲内に計測対象のレーザ計測用ターゲット治具3が含まれるようにレーザ計測器4をセットする際には手動で行うようにしてもよい。
【0047】
上述したレーザ計測器4は、比較的小型の電子部品、駆動モータ等を組み合わせて製作することができ、物理的に距離を計測するワイヤ計測よりも、小型化及び軽量化を図ることができる。例えば、従来のワイヤ計測器は25kg程度の重量であったが、レーザ計測器4を使用することにより2〜3kg以下にまで重量を軽くすることができる。
【0048】
前記演算手段5は、例えば、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置、キーボード等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置により構成された、いわゆるパソコン等の演算処理可能な機器により構成される。演算手段5は、図1に示したように、レーザ計測器4の信号処理部42aと電気的に接続されており、レーザセンサ41からレーザ計測用ターゲット治具3までの距離を出力信号として受信可能に構成されている。
【0049】
また、演算手段5の記憶装置には、第一フランジ11の形状(例えば、第一フランジ11の半径Rf1及び高さH1、ボルト孔11aの位置及び直径等)、計測器用固定治具2の形状(例えば、治具固定用孔22と計測器固定用孔24との中心間距離L2、板状部材21の厚さD2等)、レーザ計測器4の形状(例えば、本体部42及び回転台43の高さH4、本体部42とレーザセンサ41との距離L4等)に関するデータが予め記憶されている。演算手段5は、これらのデータに基づいて幾何学的な計算を行うことにより、第一フランジ11のフランジ面の位置、第一フランジ11の中心線Mf1の位置、ボルト孔11aの位置等を特定することができる。
【0050】
また、演算手段5の記憶装置には、図3に示したような、第二フランジ12の形状(例えば、第二フランジ12の半径Rf2、ボルト孔12aの位置及び直径等)、レーザ計測用ターゲット治具3の形状(例えば、球体32の半径Rt、台座31の背面から球体32の中心点Ctまでの高さHt等)に関するデータが予め記憶されている。したがって、演算手段5は、レーザ計測用ターゲット治具3がボルト孔12aの中心線Mbと一致するように固定されていれば、ボルト孔12aの第二フランジ12上における中心点Qの位置(XYZ座標)を幾何学的な計算により容易に算出することができる。
【0051】
また、レーザ計測用ターゲット治具3は、図1に示したように、少なくとも第二フランジ12の三箇所(例えば、ボルト孔12a)に固定され、演算手段5は、レーザ計測用ターゲット治具3が配置された箇所の座標(XYZ座標)を算出することにより第二フランジ12の面及び中心位置(中心線Mf2の位置)を特定する。レーザ計測用ターゲット治具3を少なくとも対象物の三箇所に配置することにより、対象物の面を容易に特定することができる。
【0052】
演算手段5は、レーザ計測器4の出力(レーザセンサ41からレーザ計測用ターゲット治具3までの距離L)及び記憶装置の形状データに基づいて、第一フランジ11及び第二フランジ12の面及び中心位置を正確に特定することができる。
【0053】
また、演算手段5は、特定された第一フランジ11及び第二フランジ12の位置から、第一フランジ11及び第二フランジ12を接続する配管の形状を設定できるように構成されていてもよい。例えば、演算手段5は、第一フランジ11及び第二フランジ12を含む構造物(第一ブロックBL1及び第二ブロックBL2)の三次元モデルに、第一フランジ11及び第二フランジ12の位置座標を取り込み、配管が他の構造物と干渉しないように配管の長さ及び形状を算出し、管製作図を作成する。三次元モデルの表示や管製作図の作成には、3D−CADや3Dビューワ等のソフトウェアを使用する。
【0054】
なお、管製作図には、製造された配管6の位置決めに使用する合わせマークを記入するようにしておくとよい。配管6を作業現場で取り付ける際に、配管6の向きを変更すると、接続したいフランジとは別のフランジと近接した位置に配管6の端部が配置されることがあり、接続箇所を誤ってしまうおそれがあるためである。
【0055】
ここで、図4は、図1に示した演算手段により得られる配管を示す側面図であり、(a)はエルボー管、(b)はイナズマ管、(c)はベンド管、を示している。第一フランジ11及び第二フランジ12の位置及び他の構造物の位置関係から、図4(a)〜(c)に示したように、配管6(現場調整管)は、例えば、エルボー管、イナズマ管、ベンド管の形状が選択され、曲がり位置や曲がり角度、各部の長さ等の条件が設定される。なお、図示した配管6の形状は単なる一例であり、図示した形状に限定されるものではない。
【0056】
ここで、図5は、本発明の第二実施形態に係るレーザ計測システムの概要を示す全体構成図である。なお、図1に示した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図5に示した第二実施形態に係るレーザ計測システム1は、演算手段5をインターネット等の電気通信回線7に接続したものである。電気通信回線7は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線、ISDN回線、ADSL回線等の公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型のIP網であり、このIP網には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワーク等のLANも含まれる。
【0058】
電気通信回線7には、演算手段5の他に、三次元モデルを表示するための三次元データ等を記憶し、三次元モデルの表示や管製作図の作成に必要なデータを演算手段5に送受信可能なサーバ71等が接続されている。演算手段5及びサーバ71の接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。演算手段5は、例えば、現場調整管の計測を行う現場に持ち込み可能な携帯端末であることが好ましく、ノート型PC、タブレット型PC、スマートフォン等が使用される。
【0059】
また、演算手段5をクラウド化し、三次元モデルの表示や管製作図の作成に必要なソフトウェア及びデータ(第一フランジ11、第二フランジ12、計測器用固定治具2の形状等)は、電気通信回線7を介して利用できるようにしてもよい。
【0060】
船舶のような大型構造物では、移動距離が長く、現場調整管の本数も多い(数百〜数千本)ことから、電気通信回線7に接続可能な演算手段5を採用することにより、演算手段5の軽量化及び小型化を図ることができ、作業員の負担を軽減することができる。また、電気通信回線7には、複数の演算手段5やサーバ71を接続することができ、同時に作業を行うこともできる。また、演算手段5が記憶しているレーザ計測器4の出力データ等をサーバ71に転送し、記憶させることによって、演算手段5の負担を更に軽減することもできる。
【0061】
また、電気通信回線7には、配管6を製作する工場に配置された工場端末72を接続するようにしてもよい。演算手段5と工場端末72とを電気通信回線7により接続することにより、演算手段5により作成した管製作図を容易に工場端末72に転送することができ、出図する手間や管制作図を搬送する手間を省略することができ、配管6を準備する工期を短縮することができる。
【0062】
上述した実施形態に係るレーザ計測用ターゲット治具3及びレーザ計測システム1によれば、計測手段としてレーザ計測を選択し、レーザ計測用ターゲット治具3にレーザ光を反射する球体32を配置したことにより、レーザ計測用ターゲット治具3の位置(距離)を正確に計測することができ、レーザ計測に必要な機器の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0063】
また、第一フランジ11に計測器用固定治具2を固定し、第二フランジ12にレーザ計測用ターゲット治具3を固定し、レーザ計測器4を計測器用固定治具2に固定し、レーザ計測器4のスイッチを入れてレーザ光を投受光させるだけで、対象物(例えば、第二フランジ12)の位置を特定することができ、作業時間の短縮を図ることができる。例えば、従来のワイヤ計測では治具や計測器等を固定した後、第二フランジ12の複数のボルト孔12aごとにワイヤを導出して一つずつ物理的に計測しなければならなかったことから、一つの現場調整管の計測に要する作業時間が長時間(例えば、数十分程度)に及んでいたが、本実施形態によれば、数分程度(例えば、5分前後)にまで作業時間を短縮することができる。
【0064】
また、レーザ計測器4の小型化及び軽量化を図ることにより、容易に持ち運ぶことができ、高所部や天井部に容易に取り付けることができる。ここで、図6は、図1に示したレーザ計測器及びレーザ計測用ターゲット治具の取付位置を示す図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、を示している。説明の便宜上、各図において、演算手段5の図は省略してある。なお、図1に示した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0065】
図6(a)に示した第一変形例は、第二ブロックBL2の壁面200に垂直に延出された配管の先端に第二フランジ12が配置されている場合を示したものである。かかる場合には、図1に示した第一実施形態と同様に、第一フランジ11に計測器用固定治具2を介してレーザ計測器4を固定し、第二フランジ12のボルト孔12aにレーザ計測用ターゲット治具3を固定し、レーザ計測を行う。本実施形態(変形例を含む)では、レーザ計測を採用していることから、図6(a)に示したように、第一フランジ11と第二フランジ12とが、略垂直な配置関係にある場合であっても、レーザ計測用ターゲット治具3にレーザ光を照射することができれば、容易に計測を行うことができる。
【0066】
また、第二フランジ12が第一フランジ11の真上にあるような場合であっても、本実施形態(変形例を含む)では、計測器用固定治具2を介してレーザ計測器4を固定していることから、レーザ計測器4の位置を第一フランジ11の中心位置から偏心させることができ、レーザ計測用ターゲット治具3にレーザ光を照射可能な位置にレーザ計測器4を容易に配置することができる。
【0067】
図6(b)に示した第二変形例は、第一ブロックBL1が壁面101及び天井部102を有し、天井部102から垂直に延出された配管の先端に第一フランジ11が配置され、第二ブロックBL2が床面201を有し、床面201から上方に延出された配管の先端に第二フランジ12が配置されている場合を示したものである。このように、第一フランジ11が天井部102や壁面101の高所に配置されている場合であっても、レーザ計測器4や計測器用固定治具2は小型化及び軽量化されていることから、第一フランジ11に計測器用固定治具2を介してレーザ計測器4を容易に固定することができる。なお、第二フランジ12には、レーザ計測用ターゲット治具3が固定される。
【0068】
例えば、床面又は低所側のフランジ(ここでは、第二フランジ12)にレーザ計測器4を固定する空間がないような場合には、天井部又は高所側のフランジ(ここでは、第一フランジ11)にレーザ計測器4を固定することが好ましい。なお、図1及び図6(a)に示した実施形態において、第一フランジ11と第二フランジ12とを入れ替えて、高所側のフランジにレーザ計測器4を固定するようにしてもよい。
【0069】
本発明は上述した実施形態に限定されず、船舶以外のプラント、橋梁、鉄道車両、ビル等の大型構造物にも適用することができる、配管以外の接続部品にも適用することができる、同一ブロック内又は同一構造物内の接続部品に対しても適用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
1 レーザ計測システム
2 計測器用固定治具
2a 一端部
2b 中間部
2c 他端部
3 レーザ計測用ターゲット治具
4 レーザ計測器
5 演算手段
6 配管
11 第一フランジ
12 第二フランジ
21 板状部材
22 治具固定用孔
23 治具固定用長孔
24 計測器固定用孔
25 治具固定用ボルト
26 治具固定用ナット
26a テーパ面
31 台座
31a 表面
32 球体
32a 表面
33 固定手段
33a アンカーボルト
33b テーパ面
33c ナット
33e 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射して反射光を受光することにより対象物の位置を計測する際に、前記対象物に配置される反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具であって、
前記対象物に配置される台座と、
前記レーザ光を反射可能な表面を有し前記台座に表面の一部が突出するように固定された球体と、
前記台座を前記対象物に固定する固定手段と、
を有することを特徴とするレーザ計測用ターゲット治具。
【請求項2】
前記球体が固定された側の前記台座の表面は、前記レーザ光を散乱又は吸収させる加工が施されている、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ計測用ターゲット治具。
【請求項3】
前記固定手段は、磁石を備えている、又は、前記台座の背面に立設されたアンカーボルトと、前記対象物に形成された貫通孔に挿通された前記アンカーボルトに螺合されるとともに前記貫通孔に食い込むテーパ面を有するナットと、を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ計測用ターゲット治具。
【請求項4】
配管によって接続される第一フランジ及び第二フランジの位置をレーザ光の反射光を受光することにより計測するレーザ計測システムであって、
前記第一フランジに一端部及び中間部が固定されるとともに他端部が前記第一フランジから外方に延出された計測器用固定治具と、
前記第二フランジに固定されるとともに反射体を構成するレーザ計測用ターゲット治具と、
前記計測器用固定治具の前記他端部に固定されるとともに前記レーザ光を投受光して前記レーザ計測用ターゲット治具までの距離を計測するレーザ計測器と、
前記レーザ計測器の出力データ、前記計測器用固定治具の形状、前記レーザ計測器の形状及び前記レーザ計測用ターゲット治具の形状に基づいて前記第一フランジ及び前記第二フランジの位置を算出する演算手段と、を備え、
前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記第二フランジに配置される台座と、前記レーザ光を反射可能な表面を有し前記台座に表面の一部が突出するように固定された球体と、前記台座を前記第二フランジに固定する固定手段と、
を有することを特徴とするレーザ計測システム。
【請求項5】
前記計測器用固定治具は、前記第一フランジの直径よりも長く形成された板状部材と、前記一端部に形成された治具固定用孔と、前記中間部に形成された治具固定用長孔と、前記他端部に形成された計測器固定用孔と、前記治具固定用孔及び前記第一フランジ並びに前記治具固定用長孔及び前記第一フランジに挿通される治具固定用ボルトと、該治具固定用ボルトに螺合されるとともに前記第一フランジに食い込むテーパ面を有する治具固定用ナットと、を備えている、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。
【請求項6】
前記板状部材は、ジェラルミン素材により構成され、前記治具固定用ボルト及び前記治具固定用ナットは、ステンレス素材により構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のレーザ計測システム。
【請求項7】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記球体が固定された側の前記台座の表面に前記レーザ光を散乱又は吸収させる加工が施されている、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。
【請求項8】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、前記固定手段が、磁石を備えている、又は、前記台座の背面に立設されたアンカーボルトと、前記第二フランジに形成されたボルト孔に挿通された前記アンカーボルトに螺合されるとともに前記ボルト孔に食い込むテーパ面を有するナットと、を備えている、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。
【請求項9】
前記レーザ計測器は、前記レーザ計測用ターゲット治具を含む範囲に前記レーザ光を走査させて最大の反射光強度が得られる位置の距離を計測する、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。
【請求項10】
前記レーザ計測用ターゲット治具は、少なくとも前記第二フランジの三箇所に固定され、前記演算手段は、前記レーザ計測用ターゲット治具が配置された箇所の座標を算出することにより前記第二フランジの面及び中心位置を特定する、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。
【請求項11】
前記演算手段は、前記第一フランジ及び前記第二フランジを含む構造物の三次元モデルに、前記第一フランジ及び前記第二フランジの位置座標を取り込み、前記配管が他の構造物と干渉しないように前記配管の長さ及び形状を算出する、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ計測システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−247292(P2012−247292A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118940(P2011−118940)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【出願人】(503223223)株式会社IHIエスキューブ (27)
【Fターム(参考)】