説明

ロッド係合具

【課題】ロッド連結部材が所定の初期回動位置に精度よく位置することを保証した上で、ロッド連結部材を所定の初期回動位置に位置させる作業負担を軽減すること。
【解決手段】ロッド連結部材50は、脚部58がベース部材20の受入れ凹部28に第1の所定量挿入された第1挿入位置と、脚部58が受入れ凹部28に前記第1の所定量より少ない第2の所定量挿入された第2挿入位置との間に移動可能で、前記第1挿入位置ではベース部材20に回り止め係合してベース部材20に対して一つの回動位置にて回動不能になり、前記第2挿入位置ではベース部材20との回り止め係合より離脱して前記ベース部材20に対して回動可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド係合具に関し、特に、ロッド部材の先端部を固定側部材に係脱可能に連結するためのロッド係合具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントフードは、基端を車体側に回動可能に取り付けられたロッド部材の先端部を、フロントフードのインナパネルに取り付けられたロッド係合具に係脱可能に係合させることにより、車体本体より跳ね上げた開状態を維持する。
【0003】
このような用途に用いられるロッド係合具として、インナパネル(固定側部材)に固定されるベース部材と、ロッド部材の先端部を係脱可能に掛け止め式に連結される連結部(ロッド係合部)を含み、ベース部材に回動可能に取り付けられる保持部材(ロッド連結部材)とにより構成されたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このロッド係合具によれば、インナパネルに固定されるベース部材に対してロッド連結部材が回動可能であるので、ロッド連結部材のロッド係合部にロッド部材の先端部を掛け止めする方向の自由度が増し、ロッド係合部にロッド部材の先端部を掛け止めする操作性が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−53073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の如き従来のロッド係合具では、インナパネルに固定されるベース部材に対してロッド連結部材が回動可能であることから、インナパネルにロッド係合具を組み付ける時のロッド連結部材の回動位置が個々にまちまちになり、組み付け後にロッド連結部材を所定の初期回動位置(ディフォルト位置)に位置させる作業が追加になる。このことは、ベース部材に対するロッド連結部材の回動の自由度が高いほど顕著なものなり、ロッド連結部材を所定の初期位置に位置させる作業負担が大きくなる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ベース部材に対するロッド連結部材の回動の自由度が高くても、ロッド連結部材が所定の初期回動位置に精度よく位置することを保証した上で、ロッド連結部材を所定の初期回動位置に位置させる作業負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるロッド係合具は、ロッド部材(104)の先端部を固定側部材(102)に係脱可能に連結するためのロッド係合具(10)であって、内側に受入れ凹部(28)を画定する筒状突起部(24)を含み前記固定側部材(102)に固定されるベース部材(20)と、前記ベース部材(20)の前記受入れ凹部(28)に挿入されて前記ベース部材(20)に連結される脚部(58)と当該脚部(58)と一体形成され前記ロッド部材(104)の先端部(104A)が係脱可能に係合するロッド係合部(54)とを含むロッド連結部材(50)とを有し、前記ロッド連結部材(50)は、前記脚部(58)が前記受入れ凹部(28)に第1の所定量挿入された第1挿入位置と、前記脚部(58)が前記受入れ凹部(28)に前記第1の所定量より少ない第2の所定量挿入された第2挿入位置との間に移動可能で、前記第1挿入位置では前記ベース部材(20)に回り止め係合して前記ベース部材(20)に対して一つの回動位置にて回動不能になり、前記第2挿入位置では前記ベース部材(20)との回り止め係合より離脱して前記ベース部材(20)に対して回動可能になる。
【0009】
この構成によれば、固定側部材(102)に対する組付作業時には、ロッド連結部材(50)が第1挿入位置にあることにより、ロッド連結部材(50)がベース部材(20)に回り止め係合し、ロッド連結部材(50)がベース部材(20)に対して予め定義された一つの回動位置、つまり、所定の初期回動位置にて回転不能になっているから、ロッド連結部材(50)が所定の初期回動位置に精度よく位置した状態で、ロッド係合具(10)を固定側部材(102)に組み付けことができる。
【0010】
これにより、球面継手式等によってベース部材(20)に対するロッド連結部材50の回動の自由度が高くても、組付作業後にロッド連結部材(50)を所定の初期回動位置に位置させる作業を行う必要がなくなる。
【0011】
本発明によるロッド係合具は、一つの好ましい実施形態として、前記脚部(58)は球面状外周部(66)を含み、前記受入れ凹部(28)は前記脚部が前記第2挿入位置にある前記脚部(58)の前記球面状外周部(66)と球面接触する球面状内周部(36)を含んでいる。
【0012】
この構成によれば、ロッド連結部材(50)は、ベース部材(20)に対して係止用凹部(28)の中心周りに360度回転可能で、且つ垂直軸線に対して小さい傾斜角をもって首振り可能になり、ベース部材(20)に対するロッド連結部材(50)の回動の自由度が高くなる。そして、脚部(58)の球面状外周部(66)と受入れ凹部(28)の球面状内周部(36)とは球面接触によって比較的広い面積をもって面接触するので、ベース部材(20)に対するロッド連結部材(50)の回動時にきしみ音が発生することが抑制、防止される。
【0013】
本発明によるロッド係合具は、一つの好ましい実施形態として、前記脚部(58)と前記受入れ凹部(28)の一方には係止用凸部(64)が形成され、他方には前記係止用凸部(64)が嵌合可能な係止用凹部(32)が形成され、前記第1挿入位置では、前記係止用凸部(66)が前記係止用凹部(32)に嵌合することにより、前記ロッド連結部材(50)が前記ベース部材(20)に回り止め係合して前記ベース部材(20)に対して一つの回動位置にて回転不能になり、前記第2挿入位置では、前記係止用凸部(66)が前記係止用凹部(32)との嵌合より離脱することにより、前記ロッド連結部材(50)が前記ベース部材(20)との回り止め係合より離脱して前記ベース部材(20)に対して回動可能になる。
【0014】
この構成によれば、係止用凸部(64)と係止用凹部(32)との嵌合により、簡単で確実な構造をもってロッド連結部材(50)がベース部材(20)に回り止め係合する。
【0015】
本発明によるロッド係合具は、好ましくは、更に、前記受入れ凹部(28)の内周部に、前記脚部(58)が前記第1挿入位置と前記第2挿入位置との間の移動する際に当該脚部(58)が乗り越えるクリックストップ用凸部(34)を有する。
【0016】
この構成によれば、ロッド連結部材(50)の第1挿入位置より第2挿入位置へ移動が、脚部(58)がクリックストップ用凸部(34)を乗り越えることを伴って節度感を与えられて行われ、しかも、第2挿入位置では、脚部(58)がクリックストップ用凸部(34)を乗り越ているので、ロッド連結部材(50)が不用意に第2挿入位置より第1挿入位置に戻ることがない。
【0017】
本発明によるロッド係合具は、一つの好ましい実施形態として、前記筒状突起部(24)は外周部に弾性係止片(38)を有し、前記ベース部材(20)は前記筒状突起部(24)を前記固定側部材(102)に形成されている取付孔(106)に挿入され、前記弾性係止片(38)が前記取付孔(106)の開口縁部に係合することにより、前記固定側部材(102)に抜け止め状態で固定され、前記脚部(58)が前記第2挿入位置に位置することにより、当該脚部(58)が前記弾性係止片(38)に当接し、当該弾性係止片(38)が前記開口縁部との係合より離脱する方向へ弾性変形することを阻止する。
【0018】
この構成によれば、弾性係止片(38)によるベース部材(20)の固定側部材(102)に対する取り付けが強固なものになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるロッド係合具は、固定側部材に対する組付作業時には、ロッド連結部材が第1挿入位置にあることにより、ロッド連結部材がベース部材に回り止め係合し、ロッド連結部材がベース部材に対して予め定義された一つの回動位置、つまり、所定の初期回動位置にて回転不能になっているから、ロッド連結部材が所定の初期回動位置に精度よく位置した状態で、ロッド係合具を固定側部材に組み付けことができる。
【0020】
これにより、ベース部材に対するロッド連結部材の回動の自由度が高くても、ロッド連結部材が所定の初期回動位置に精度よく位置することを保証した上で、ロッド連結部材を所定の初期回動位置に位置させる作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるロッド係合具を自動車のフロントフードの開状態維持用ロッド部材のためのロッド係合具に適用した使用例を示す車体前部の斜視図。
【図2】本発明によるロッド係合具の一つの実施形態を示す側面図。
【図3】本実施形態によるロッド係合具の縦断面図。
【図4】図2の線IV-IVに沿った第1挿入位置状態での断面図。
【図5】図2の線IV-IVに沿った第2挿入位置状態での断面図。
【図6】本実施形態によるロッド係合具の一構成部品であるベース部材の平面図。
【図7】本実施形態によるロッド係合具の一構成部品であるロッド連結部材の側面図。
【図8】本実施形態によるロッド係合具の一構成部品であるロッド連結部材の底面図(図7のVIII矢視図)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明によるロッド係合具の使用例を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態のロッド係合具10を自動車のフロントフード100の開状態維持用のロッド部材104のためのロッド係合具に適用した使用例を示している。ロッド係合具10はフロントフード100のインナパネル102に取り付けられる。フロントフード100は、基端を車体側に回動可能に取り付けられたロッド部材104の先端部104Aをロッド係合具10に係脱可能に係合させることにより、車体本体より跳ね上げた開状態を維持する。
【0023】
つぎに、ロッド係合具10の一つの実施形態を、図2〜図7を参照して説明する。
【0024】
ロッド係合具10は、ベース部材20と、ロッド連結部材50とにより構成されている。ベース部材20とロッド連結部材50は、ともにポリアセタール等の合成樹脂による射出成形品である。
【0025】
ベース部材20は、板状部22と、板状部22より図2〜図5で見て下方に突出形成された筒状突起部24および位置決め突起部26とを有する。
【0026】
筒状突起部24は、図3〜図5に示されているように、円筒形状をしていて内側に受入れ凹部28を画定している。受入れ凹部28は、有底の略円筒状をしていて、底部30にスリット溝状の係止用凹部32が複数個形成されている。係止用凹部32は、位置決め突起部26の配置位置と関連する配置位置であって、受入れ凹部28の中心に対して点対称でない配置であることを要求される。本実施形態では、係止用凹部32は、図6に示されているように、3個あり、受入れ凹部28の中心周りに互いに90度の回転角をもって離れた位置に配置されている。
【0027】
受入れ凹部28の内周部の所定深さ位置には、図3に示されているように、クリックストップ用凸部34が形成されている。クリックストップ用凸部34は、後述するロッド連結部材50の脚部58が後述する第1挿入位置と第2挿入位置との間の移動する際に脚部58の上半分半球部62が乗り越える深さ位置にある。そして、クリックストップ用凸部34より開口端側(図3で見て上側)の受入れ凹部28の内周部は、凹の球面状内周部36に形成されている。
【0028】
筒状突起部24の外周部には、筒状突起部24に形成されたスリット36(図2参照)と板状部22に形成されたスリット37(図4〜図6参照)によって弾性係止片38が形成されている。弾性係止片38は、受入れ凹部28の底部30の側だけを筒状突起部24と一体に接続された片持ち片状をなして受入れ凹部28の径方向にばね片的に弾性変形可能になっている。
【0029】
弾性係止片38は、受入れ凹部28の中心周りに互いに180度の回転角をもって離れた位置に各々設けられている。本実施形態では、2個の弾性係止片38は、3個の係止用凹部32のうち、互いに180度回転変位の2個の係止用凹部32と同じ回転角位置にある(図6参照)。しかも、弾性係止片38は、クリックストップ用凸部34より受入れ凹部28の開口端側にあって、内周側を球面状内周部34によって与えられ、外周側に逆止爪形状の突起部40を突出形成されている。
【0030】
位置決め突起部26は、筒状突起部24より十分離れた位置にあり、本実施形態では中空の四角柱形状に形成されている(図6参照)。
【0031】
ロッド連結部材50は、図3〜図5、図7に示されているように、フランジ部52と、フランジ部52より他方の側(図3〜図5、図7で見て上側)に突出形成されたロッド係合部54と、フランジ部52より一方の側(図3〜図5、図7で見て下側)に突出形成された脚部58とを有する。
【0032】
ロッド係合部54は、開口部56を有する環状に形成されており、開口部56にロッド部材104の鉤形状をした先端部104Aが抜き差し可能に挿入される。これによりロッド部材104の先端部104Aがロッド係合部54に係脱可能に係合する。このロッド係合部54は、開口部56の開口方向によりロッド部材104の先端部104Aの係脱について、開口部56の貫通方向(図2、図3で見て左右方向)に方向性を有するものになる。
【0033】
脚部58は、フランジ部52より垂下されたシャンク部60と、シャンク部60の先端(下端)に形成れた上半分半球部62と、上半分半球部62の下底部に突出形成された係止用凸部64とを含む。上半分半球部62は、受入れ凹部28の球面状内周部34と球面接触する凸の球面状外周部66になっている。
【0034】
係止用凸部64は、開口部56の貫通方向と関連する配置位置であって、脚部58の中心軸線に対して点対称でない配置であることを要求される。本実施形態では、係止用凸部64は、図8に示されているように、3個あり、脚部58の中心軸線周りに互いに90度の回転角をもって離れた位置に配置されている。
【0035】
ロッド連結部材50は、図3、図4に示されているように、脚部58が受入れ凹部28に、第1の所定量挿入された、つまり深く挿入された第1挿入位置と、図5に示されているように、脚部58が受入れ凹部28に前記第1の所定量より少ない第2の所定量挿入された、つまり浅く挿入された第2挿入位置との間に移動になっている。
【0036】
上述の第1挿入位置では、3個の係止用凸部64がすべて各係止用凹部32に嵌合することにより、ロッド連結部材50がベース部材20に回り止め係合し、ロッド連結部材50がベース部材20に対して予め定義された一つの回動位置にて回転不能になる。この予め定義された一つの回動位置とは、初期回動位置であって、ロッド係合部54の開口部56の開口方向が、例えば、図3に示されている方向になる回動位置である。
【0037】
上述の第2挿入位置では、3個の係止用凸部65がすべて各係止用凹部32との嵌合より離脱することにより、ロッド連結部材50がベース部材20との回り止め係合より離脱してベース部材20に対して回動可能になる。この第2挿入位置では、図5に示されているように、脚部58の球面状外周部66が受入れ凹部28の球面状内周部36に球面接触する。これにより、第2挿入位置では、ロッド連結部材50とベース部材20とは球面継手式に接続され、ロッド連結部材50は、ベース部材20に対して係止用凹部28の中心周りに360度回転可能で、且つ垂直軸線に対して小さい傾斜角をもって首振り可能になる。
【0038】
ロッド係合具10を固定側部材であるインナパネル102に組み付ける組付作業時には、ロッド連結部材50が第1挿入位置をもってベース部材20に結合された状態で、ベース部材20の筒状突起部24をインナパネル102に形成されている丸孔による取付孔106(図3参照)に挿入すると共に、ベース部材20の位置決め突起部26をインナパネル102に形成されている四角孔による位置決め孔108(図3参照)に挿入する。
【0039】
位置決め突起部26が位置決め孔108に挿入されることにより、インナパネル102に対するベース部材20の位置決めがなされ、図4、図5に示されているように、ベース部材20の弾性係止片38の突起部40が取付孔106の開口縁部を乗り越え、弾性係止片38が取付孔106の開口縁部に係合することにより、ベース部材20がインナパネル102に対して抜け止め装着される。
【0040】
この組付作業時には、ロッド連結部材50が第1挿入位置にあることにより、3個の係止用凸部64がすべて各係止用凹部32に嵌合してロッド連結部材50がベース部材20に回り止め係合し、ロッド連結部材50がベース部材20に対して予め定義された一つの回動位置、つまり、所定の初期回動位置にて回転不能になっているから、ベース部材20がインナパネル102に位置決め装着されることと相まって、ロッド連結部材50がインナパネル102に対して所定の初期回動位置に精度よく位置した状態で、ロッド係合具10がインナパネル102に組み付けられる。
【0041】
これにより、球面継手式等によってベース部材20に対するロッド連結部材50の回動の自由度が高くても、組付作業後にロッド連結部材50を所定の初期回動位置に位置させる作業を行う必要がなくなる。
【0042】
組付作業が完了すれば、ロッド連結部材50を第1挿入位置より第2挿入位置へ移動させる。ロッド連結部材50が第2挿入位置に位置することにより、3個の係止用凸部65がすべて各係止用凹部32との嵌合より離脱してロッド連結部材50がベース部材20との回り止め係合より離脱し、ロッド連結部材50がベース部材20に対して回動可能になる。第2挿入位置では、脚部58の球面状外周部66が受入れ凹部28の球面状内周部36に球面接触し、ロッド連結部材50とベース部材20とは球面継手式に接続される。
【0043】
これにより、ロッド連結部材50は、ベース部材20に対して係止用凹部28の中心周りに360度回転可能で、且つ垂直軸線に対して小さい傾斜角をもって首振り可能になり、ベース部材20に対するロッド連結部材50の回動の自由度が高くなる。そして、脚部58の球面状外周部66と受入れ凹部28の球面状内周部36とは球面接触によって比較的広い面積をもって面接触するので、ベース部材20に対するロッド連結部材50の回動時の面圧によるきしみ音の発生が抑制、防止される。
【0044】
第1挿入位置より第2挿入位置へ移動は、脚部58の上半分半球部62がクリックストップ用凸部34を乗り越えることを伴って節度感を与えられて行われる。しかも、第2挿入位置では、脚部58の上半分半球部62がクリックストップ用凸部34を乗り越ているので、ロッド連結部材50が不用意に第2挿入位置より第1挿入位置に戻ることがない。
【0045】
この第2挿入位置では、脚部58の上半分半球部62が弾性係止片38の裏面に球面状内周部34をもって当接するから、弾性係止片38が取付孔106の開口縁部との係合より離脱する方向(径方向内方)へ弾性変形することを阻止される。これにより、弾性係止片38によるベース部材20のインナパネル102に対する取り付けが強固なものになる。併せて、弾性係止片38は、取付孔106の開口縁部との係合により、径方向外方への弾性変形も阻止されるから、脚部58の球面状外周部66と受入れ凹部28の球面状内周部36との球面係合と相まって、第2挿入位置にあるロッド連結部材50の抜け止めも行われる。
【0046】
本発明によるロッド係合具10は、上述の実施形態に限られることなく、本発明による技術的思想の範囲内において種々の実施形態、変形が可能である。たとえば、係止用凹部32がロッド連結部材50に形成され、係止用凸部64がベース部材20に形成されていてもよい。また、ロッド連結部材50のロッド係合部54は環状に代えて鉤形形状であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 ロッド係合具
20 ベース部材
24 筒状突起部
26 位置決め突起部
28 受入れ凹部
32 係止用凹部
34 クリックストップ用凸部
36 球面状内周部
38 弾性係止片
50 ロッド連結部材
54 ロッド係合部
56 開口部
58 脚部
62 上半分半球部
64 係止用凸部
66 球面状外周部
102 インナパネル(固定側部材)
104 ロッド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド部材の先端部を固定側部材に係脱可能に連結するためのロッド係合具であって、
内側に受入れ凹部を画定する筒状突起部を含み前記固定側部材に固定されるベース部材と、
前記ベース部材の前記受入れ凹部に挿入されて前記ベース部材に連結される脚部と当該脚部と一体形成され前記ロッド部材の先端部が係脱可能に係合するロッド係合部とを含むロッド連結部材とを有し、
前記ロッド連結部材は、前記脚部が前記受入れ凹部に第1の所定量挿入された第1挿入位置と、前記脚部が前記受入れ凹部に前記第1の所定量より少ない第2の所定量挿入された第2挿入位置との間に移動可能で、前記第1挿入位置では前記ベース部材に回り止め係合して前記ベース部材に対して一つの回動位置にて回動不能になり、前記第2挿入位置では前記ベース部材との回り止め係合より離脱して前記ベース部材に対して回動可能になるロッド係合具。
【請求項2】
前記脚部は球面状外周部を含み、前記受入れ凹部は前記脚部が前記第2挿入位置にある前記脚部の前記球面状外周部と球面接触する球面状内周部を含んでいる請求項1に記載のロッド係合具。
【請求項3】
前記脚部と前記受入れ凹部の一方には係止用凸部が形成され、他方には前記係止用凸部が嵌合可能な係止用凹部が形成され、前記第1挿入位置では、前記係止用凸部が前記係止用凹部に嵌合することにより、前記ロッド連結部材が前記ベース部材に回り止め係合して前記ベース部材に対して一つの回動位置にて回転不能になり、前記第2挿入位置では、前記係止用凸部が前記係止用凹部との嵌合より離脱することにより、前記ロッド連結部材が前記ベース部材との回り止め係合より離脱して前記ベース部材に対して回動可能になる請求項1または2に記載のロッド係合具。
【請求項4】
前記受入れ凹部の内周部に、前記脚部が前記第1挿入位置と前記第2挿入位置との間の移動する際に当該脚部が乗り越えるクリックストップ用凸部を有する請求項1から3の何れか一項に記載のロッド係合具。
【請求項5】
前記筒状突起部は外周部に弾性係止片を有し、前記ベース部材は前記筒状突起部を前記固定側部材に形成されている取付孔に挿入され、前記弾性係止片が前記取付孔の開口縁部に係合することにより、前記固定側部材に抜け止め状態で固定され、
前記脚部が前記第2挿入位置に位置することにより、当該脚部が前記弾性係止片に当接し、当該弾性係止片が前記開口縁部との係合より離脱する方向へ弾性変形することを阻止する請求項1から4の何れか一項に記載のロッド係合具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−112414(P2012−112414A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260441(P2010−260441)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】