説明

ロボットの把持装置

【課題】ロボットの組立作業において、ワークの把持動作を確実に行う。
【解決手段】把持部材2a、2bの間にワークWを把持する工程において、各把持部材2a、2bに設けられた接触押圧部21a、21bがワークWを押圧して把持することによって発生する光学縞を検出して、把持力の制御を行う。このとき、把持部材2aに設けられたワーク有無検出部22aがワークWに接触することによって発生する光学縞を検出することで、把持部材2a、2bの間にシート状のワークWが有ることを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの自動組立を行うためのロボットの把持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの自動組立を行うロボットの制御において、ロボットアームにかかる荷重を検出するために、ロボットアームに応力センサを設置していた。応力センサとしては、例えば、圧電素子による応力センサ、ひずみゲージ等が用いられていた。
【0003】
また、ロボットハンドでワークを把持して所定の作業を行う場合、作業の確実性を向上させる目的でワークの把持検出を行うものがある。ワークの把持検出には、ハンドに搭載された圧力センサ、コンタクトスイッチあるいは光電スイッチ等を用いる。また、ワークを撮影するためのカメラを設けた装置では、ワークを撮影してワークの有無を確認し、把持制御するものもある。例えば、特許文献1には、ビデオカメラ画像からロボットアームの可視画像を取得し、取得された可視画像に基づき、ロボットアームを制御する装置が開示されている。また、特許文献2には、把持力に対応した光学縞を発生する把持部材を用いた方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−352203号公報
【特許文献2】特開2008−197000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンドでワークを把持したか否かを判断するため、ハンド関節に設けたエンコーダ等からの関節角で確認することができる。しかしながら、ワークが薄いシートや細い線材の場合は、その関節のエンコーダ出力である関節角の差が小さくて把持検出の信頼性が低かった。また、特許文献2に開示されたように、光弾性縞のような光学縞を検出して把持制御する構成では、図8(a)に示すように、把持部材202a、202bの対向面221a、221bによってシート状のワークWを把持する。図8(b)に示すように、把持を行う前の状態では、把持に伴う光学縞は発生していない。シート状のワークWの厚みが極めて薄い場合、ワークWの検出が困難となり、把持したか否かを直接CCDカメラの画像で判断するのが難しい。図8(c)、(d)は、同じ押圧力の条件で、シート状のワークの有り無しの差を示す把持部材の光学縞を示す。シート状のワークが極めて薄いと光学縞に差が現れず、把持したか否かの検出が困難となる。同様に、細い線状のワークでも把持したか否かの検出が困難となる。このように薄いワークや、細いワークの検出が課題となる。
【0006】
ハンドでワークを把持したか否かを確認するためにコンタクトセンサや圧力センサを用いた装置では、コンタクトセンサや圧力センサをハンドに実装するため、それだけで大型化してしまう。加えて、コンタクトセンサや圧力センサへの電力供給や信号授受のための配線が必要で、装置が煩雑になってしまう。
【0007】
また、ワークを把持した後にワークが滑ったか否かを確認するには以下の課題があった。透明なガラス等の物体や暗い物体は、カメラでの撮影が困難であり、画像の変化で滑りを検出することはできない。非常に微小な滑りを検出するには高解像度カメラが必要であり、高コストであった。
【0008】
コンタクセンサや圧力センサを用いて、把持検出と滑り検出を行う方法では二つ以上のセンサが必要で、装置の大型化及び高コスト化を招く。また、コンタクセンサや圧力センサは一方向の検出となるので、滑り検出をするためにはセンサの検出方向と滑り方向を略一致させる必要があるが、検出方向とワーク滑り方向を一致させることは装置構成での支障となる。
【0009】
本発明は、簡単な構成でワークの把持検出等を正確に行うことのできるロボットの把持装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のロボットの把持装置は、ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、開閉自在な複数の把持部材と、前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの有無を検出するために前記ワークに接触するワーク有無検出部と、各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、前記ワーク有無検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの把持を確認する把持確認部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、開閉自在な複数の把持部材と、前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの滑りを検出するために前記ワークに接触するワーク滑り検出部と、各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、前記ワーク滑り検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの滑りを確認するワーク滑り確認部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、開閉自在な複数の把持部材と、前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの位置を検出するために前記ワークに接触するワーク位置検出部と、各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、前記ワーク位置検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの把持位置を確認する把持位置確認部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
少なくとも1つの把持部材に、ワークを把持する接触押圧部とは別にワーク有無検出部、ワーク滑り検出部、ワーク位置検出部を設けて光学縞の検出を行うことで、ワークの把持確認、ワークの滑り確認、ワークの把持位置確認を行う。コンタクトセンサや圧力センサを用いることなく、光学縞によってワークの把持確認等を行い、接触押圧部の把持力を制御することで、確実な把持動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1によるロボットの把持装置を示すもので、(a)はその斜視図、(b)は側面図である。
【図2】図1の装置の動作を説明するもので、(a)はシート状のワークの把持前の状態を示す斜視図、(b)はその正面図、(c)はワークを把持した状態を示す正面図、(d)はワークがない状態を示す正面図である。
【図3】実施例1に係るもので、(a)は把持制御部の構成を説明するブロック図、(b)は把持工程を示すフローチャートである。
【図4】実施例2に係るもので、(a)は把持制御部の構成を説明するブロック図、(b)は把持工程を示すフローチャートである。
【図5】実施例2によるロボットの把持装置の動作を説明するもので、(a)はワークを把持する前の状態、(b)はワークを把持した状態、(c)はワークが滑った状態をそれぞれ示す正面図である。
【図6】実施例3に係るもので、(a)は把持制御部の構成を説明するブロック図、(b)は把持工程を示すフローチャートである。
【図7】実施例3によるロボットの把持装置の動作を説明するもので、(a)はワークを把持する前の状態、(b)はワークを所定の位置に把持した状態、(c)、(d)はそれぞれワーク位置がずれた状態を示す正面図である。
【図8】従来の把持装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1によるロボットの把持装置を示す。この装置は、筐体1に保持された開閉自在な複数の把持部材2a、2bから構成され、これらは、それぞれ矢印Rの方向に移動し、図2に示すように、所定の把持力(押圧力)でワークWに接触し、押圧されることにより、ワークWを把持する。ワークWは、例えば、ロボットアームなどによる組立作業の際に把持される製品の一部品である。
【0016】
本実施例は、2つの把持部材2a、2bでワークWを把持する構成であるが、3つ以上の把持部材で構成してもよい。把持部材2a、2bは、開閉手段である駆動モータなどのアクチュエータに接続され、駆動モータが駆動することにより、矢印Rの方向へ移動する。把持部材2a、2bは、ワークを把持するときの反力による歪みに応じて光学縞を発生させる。
【0017】
図3に示すように、把持部材2a、2bを開閉駆動するための把持制御部101は、把持部材2a、2bに配置された光学縞発生部102の光学縞を取得する光学縞取得部103に接続される。
【0018】
光学縞発生部102は、例えば、透明なガラスやアクリル等の部材を2枚の偏光板の間に配置することにより作成した光学弾性部材により構成する。光学弾性部材に外力を加えると、反力による応力が発生した部分に応力に応じた歪みが生じ分子構造が変化する。分子構造が変化するため、歪みが発生している部分に光を照射すると、複屈折が生じる。どのように複屈折するかは、応力の大きさに依存する。従って、部材の部位に応じて応力の大きさは変化するため、光学弾性部材に荷重を負荷した場合、複数の複屈折が生じ、光学縞の縞模様が発生する。発生した光学縞のうち、同じ色の縞にはほぼ同じ応力が発生しているとみなせるため、発生した縞模様から応力分布を算出できる。また、光学縞の色と応力は対応しているため、光学縞の色を検出し、応力を算出することもできる。光学縞は部材に掛かる応力の対応情報となり、光学縞の密度が大きい領域は、応力の変化が大きい領域であることを示す。光学弾性部材に発生する光学縞は、光弾性縞と呼ばれる。このような光学弾性部材を各把持部材2a、2bに用いることで光学縞発生部102を構成する。
【0019】
光学縞発生部102は、応力に応じた光学縞として光干渉縞(ニュートン縞)を発生させてもよい。レンズやガラス板等を組み合わせた微小な隙間を作り、光を照射することにより、光学縞を発生させることができる。反力による応力に応じて、微小な隙間の幅が変化し、光学縞も変化する。
【0020】
また、金属等の光を透過しない材料に適用するために、その表面に光弾性皮膜を貼付して応力に応じた光学縞を発生させることができる。その他に、応力に応じた光学縞を発生させることができるものであれば、どのような部材を用いてもよい。
【0021】
光学縞取得部103は、光学縞を検出する手段として機能し、光学縞発生部102で発生した光学縞を検出し、光学縞のデータを取得する。光学縞取得部103は、可視光用の光検出センサを用いる。図1(a)に示すように、光検出センサは、光を発生させる光発生装置3と、CCD素子により可視光を検出することができるCCDセンサ4とから構成される。光発生装置3から発生した光は、把持部材2a、2bを透過し、CCDセンサ4により検出される。光学縞を検出するためには、ワークWに入射する光と、透過する光との波長及び方向を揃える必要があるので、偏光子5と検光子6を設置する。
【0022】
把持部材2aは、リンク7a、8aに接続され、把持部材2bは、リンク7b、8bに接続されている。これら複数のリンクの回転方向で把持動作しているが、リニアシリンダを組み合わせて直線方向で把持動作しても問題ない。いずれの方向でも把持を行うことは可能である。
【0023】
また、光の検出精度が落ちてしまうが、光学縞取得部103として、一般的なビデオカメラを用いることも可能である。
【0024】
把持部材駆動部104は、把持部材2a、2bを駆動して把持力を発生させるための駆動手段であり、把持力は制御部105によって制御される。把持部材駆動部104は、駆動モータ及び伝達運動機構を有し、外部から制御指示を受け、駆動モータを駆動させ、把持部材2a、2bを移動させる。リンク7a、7b、8a、8bは、把持部材2a、2bを任意の位置と姿勢に制御する。筐体1は、駆動制御回路やロボットアームのインターフェースを格納する。また、筐体1に設けたメカニカルインターフェースを介して、市販の直交ロボットや垂直多関節ロボットに接続して使用する。
【0025】
把持確認部106は、光学縞発生部102に発生する光学縞により、ワークWの把持状態を確認する。図1及び図2に示すように、シート状のワークWを把持する把持部材2a、2bは、それぞれワークWに接触し、これを押圧して把持する接触押圧部21a、21bを有する。複数の把持部材のうちの少なくとも1つの把持部材2aは、ワーク側へ突出する凸部であるワーク有無検出部22aを有し、残りの把持部材2bは、ワーク有無検出部22aに干渉しないために凸部に対向する凹部22bを有する。ワーク有無検出部22aは、ワークWとの接触により変形して光学縞を発生する。図2(c)はワークWを把持した状態、図2(d)はワークがない状態を示している。予め、図2(d)に示すように、ワークのない状態の光学縞を認識しておくことで、把持状態の違いを比較して、ワークを把持したか否かを検出する。
【0026】
制御部105は、光学縞取得部103の検出結果に基づき、把持部材駆動部104を制御する。制御部105は、CPU、駆動制御プログラム及びデータ解析プログラムが格納されたRAMなどから構成される。
【0027】
把持部材駆動部104を制御する際には、まず、CPUは、駆動制御プログラムをRAMから読み出す。そして、駆動制御プログラムに従い、所定の動作(例えば、ワークを把持するなど)を達成するために、把持部材駆動部104に駆動信号を送信する。
【0028】
一方で、CPUは、データ解析プログラムをRAMから読み出す。そして、データ解析プログラムで光学縞のデータを解析する。解析の結果、例えば、把持部材2a、2bの把持力が、あらかじめ設定された許容値よりも大きい場合、把持部材駆動部104に送信する駆動信号を停止させる。把持部材駆動部104の制御は、上述した他の方法もあるが、その他の制御方法については、後述する。
【0029】
図3(b)は、本実施例における把持動作を示すフローチャートである。ステップS1では、光学縞取得部103が、光学縞発生部102に発生している光学縞のデータを取得する。ステップS2では、制御部105が、把持部材2a、2bを駆動するための駆動量を算出し、ワークを把持しているか否かを判定するため、図2(c)、(d)を用いて説明したワーク有無検出部22aの光学縞のパターンを検討する。予め、把持していない状態の光学縞パターンや、把持している光学縞パターンを学習しておいてもよい。把持状態により、所定のエラーフラグを立てる等の処理を行う。また、パターン形状の検出の際、処理の高速化のために所定の特定領域の画像のみを用いて、状態判別を行ってもよい。
【0030】
ステップS3では、制御部105が、把持部材2a、2bを駆動させるか否かの判断を行い、把持制御を変更する。ステップS2においてワークを把持していないエラーフラグが生成された場合、把持動作を終了させるため、停止処理を行う。把持動作の終了は、把持部材の開放や把持機構を所定位置に移動させることである。把持動作の終了後にリトライ動作や上位コンピュータへのメッセージ送信等を行う。エラーフラグがない場合、把持部材2a、2bを駆動させるため、ステップS4に進む。
【0031】
ステップS4では、制御部105が把持部材駆動部104にステップS2で算出された駆動量に基づく駆動指示を送信し、把持部材駆動部104に把持部材2a、2bを駆動させる。駆動後、把持部材2a、2bの状態が変化するため、再び、ステップS1へ戻り、光学縞取得を行う。以上、ステップS1からステップS4までの処理により、光学縞に基づく把持制御を行うことができる。
【0032】
本実施例では、把持状態を判別するために把持部材2a、2bに応力センサ等を設ける必要がない。従って、把持部材2a、2bを簡素化することができる。また、光学縞が発生する部材と、一般的なビデオカメラ等を用いることで本装置を構築することができるため、応力検知センサなどを用いた装置よりも、装置構築のコストを下げることができる。さらに、光学縞によりワークを把持したか否かの判断ができるため、確実な把持動作が行える。
【0033】
光学縞の画像データから応力を算出するためには、応力と光学縞のパターン形状もしくは色との対応関係を示す対応情報が必要である。例えば、把持部材2a、2bを用いた応力試験を行い、試験より得られた実験データから応力と光学縞のパターン形状もしくは色との対応情報を求めることができる。また、有限要素法を用いた数値計算により、応力と光学縞のパターン形状もしくは色との対応関係を求めてもよい。前述したように、同じ色の光学縞には、ほぼ同じ応力が発生しているとみなすことができる。よって、同じ色の領域にラインを引くことによって、光学縞による応力線を引くことにより、応力分布を求めることができる。応力分布を用いると、所定の領域における応力を詳細に算出することが可能であるため、より精度の良く、応力に基づいた把持制御を行うことができる。
【0034】
本実施例によれば、ワークを把持したか否かの確認のためにコンタクトスイッチや光電スイッチなどを用いた把持装置に比べて、装置構成を簡素化し信頼性を高めることができる。
【実施例2】
【0035】
本実施例では、把持されたワークの滑りを検出し、確実な把持作業を可能にするために、図4(a)に示すように、ワーク滑り確認部107を付加し、図5に示すように、把持部材2aに凸部であるワーク滑り検出部23a、把持部材2bに凹部23bを形成した。ワーク滑り検出部23aは、実施例1のワーク有無検出部22aよりわずかに突出量を大きくした凸部であり、その他の構成は実施例1と同様であるから説明は省略する。
【0036】
図5(a)は、ワークWを把持する前の状態を示し、接触による光学縞は発生していない。図5(b)は、ワークWを把持した状態であり、図2(c)と同様の光学縞が発生する。図5(c)は、図示下方向にワークWが滑りを生じ、ワーク滑り検出部23aの先端にはワークWの摩擦力により図示下方向への力が掛かり、この力に応じた光学縞が発生している。このように、ワークWに滑りが生じた場合は、ワーク滑り検出部23aに特有の光学縞が発生し、この光学縞からワークWの滑りを検出する。
【0037】
図4(b)は、実施例2における把持動作を示すフローチャートである。実施例1のフローチャートとの差異は、ステップS14の後にステップS15がある点である。ステップS11〜S14は、実施例1のステップS1〜S4と同様である。ステップS15では、ワーク滑り検出部23aにより、ワークWの滑りを判断する。ワークWに滑りが生じたと判断された場合は、上記の作業の終了動作等、把持制御の変更を行う。このようにしてワークWの滑りを検出し、その結果に応じて把持制御を行うことで確実な把持制御が可能となる。
【0038】
ワーク把持作業中に把持部材に生じる光学縞を随時比較しながら、適切な作業が可能となる。特に、カメラでの検出が困難なガラスのような透明物体や微小移動の滑り検出に有効である。
【実施例3】
【0039】
本実施例では、把持後のワーク位置を検出して、確実に把持作業ができるようにした。図6(a)に示すように、ワークWの把持位置を確認する把持位置確認部108を設け、図7に示すように、把持部材2aには複数の凸部からなるワーク位置検出部24a、把持部材2bには凹部24bが形成される。その他の構成は実施例1と同様であるから説明は省略する。
【0040】
図7(a)は、ワークWを把持する前の状態で、把持部材2a、2bとワークWの接触による光学縞は発生しない。図7(b)は、ワークWを所定の把持位置に把持した状態を示す。図7(c)は、図示下方向にワークWの位置がずれた状態、(d)は、(c)よりさらに下方向にワークWがずれた場合を示す。図7(b)、(c)、(d)に示すように、各ワーク位置検出部24aに発生する光学縞がそれぞれ異なり、この縞パターンの違いからワークWの位置検出を行う。ワークWの位置は、2つ以上の光学縞のパターンから検出される。図7では、ワークWが図示下方向のみにずれた場合を説明したが、上方向にずれた場合でも同様にワーク位置を検出できる。
【0041】
図6(b)は、実施例3における把持動作を示すフローチャートである。実施例1のフローチャートとの差異は、ステップS21の後にステップS25がある点である。ステップS21〜S24は、実施例1のステップS1〜S4と同様である。ステップS25では、ワーク位置検出部24aにより、ワークWの把持位置を判断する。ワークWの把持位置が所定位置でないと判断された場合は、上記の作業の終了動作等、把持制御の変更を行う。このように把持部材2a、2bに生じる光学縞を随時比較参照しながら、適切な作業を行うことが可能となる
【符号の説明】
【0042】
1 筐体
2a、2b 把持部材
3 光発生装置
4 CCDセンサ
5 偏光子
6 検光子
21a、21b 接触押圧部
22a ワーク有無検出部
22b、23b、24b 凹部
23a ワーク滑り検出部
24a ワーク位置検出部
102 光学縞発生部
103 光学縞取得部
104 把持部材駆動部
105 制御部
106 把持確認部
107 ワーク滑り確認部
108 把持位置確認部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、
開閉自在な複数の把持部材と、
前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、
各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、
前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの有無を検出するために前記ワークに接触するワーク有無検出部と、
各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、
前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、
前記ワーク有無検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの把持を確認する把持確認部と、を有することを特徴とするロボットの把持装置。
【請求項2】
前記ワーク有無検出部は、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに形成された凸部を有し、
残りの把持部材には、前記凸部に対向する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロボットの把持装置。
【請求項3】
ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、
開閉自在な複数の把持部材と、
前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、
各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、
前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの滑りを検出するために前記ワークに接触するワーク滑り検出部と、
各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、
前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、
前記ワーク滑り検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの滑りを確認するワーク滑り確認部と、を有することを特徴とするロボットの把持装置。
【請求項4】
前記ワーク滑り検出部は、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに形成された凸部を有し、
残りの把持部材には、前記凸部に対向する凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のロボットの把持装置。
【請求項5】
ワークの組立作業を行うロボットの把持装置において、
開閉自在な複数の把持部材と、
前記複数の把持部材を開閉する開閉手段と、
各把持部材に配置された、前記ワークを把持するための接触押圧部と、
前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに配置された、前記ワークの位置を検出するために前記ワークに接触するワーク位置検出部と、
各把持部材に発生する歪による光学縞を検出する手段と、
前記接触押圧部の歪による光学縞に基づいて前記ワークに対する把持力を制御する制御部と、
前記ワーク位置検出部の歪による光学縞に基づいて前記ワークの把持位置を確認する把持位置確認部と、を有することを特徴とするロボットの把持装置。
【請求項6】
前記ワーク位置検出部は、前記複数の把持部材のうちの少なくとも1つに形成された複数の凸部を有し、
残りの把持部材には、前記複数の凸部に対向する凹部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のロボットの把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−115924(P2011−115924A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277717(P2009−277717)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】