説明

ロードロック装置および昇圧方法

【課題】ロードロック装置内へのパーティクルの進入を効果的に防止でき、しかも、大気圧に復帰させた後、すぐにチャンバ内を大気開放できるロードロック装置を提供する。
【解決手段】密閉可能なチャンバ51と、チャンバ51内に基板Gを搬入出させる開閉自在な搬入出口52、53と、チャンバ51内において基板Gの温度を調節する温度調節部材50、56を有し、チャンバ51内にガスを供給するガス供給路70と、チャンバ51内を排気する排気路71が接続されたロードロック装置5であって、チャンバ51内の雰囲気を、外部との圧力差で排出させるリーク路120がチャンバ51に接続され、ガス供給路70は、比較的流量の大きい大流量配管105と、比較的流量の小さい小流量配管106とを有し、それら大流量配管105と小流量配管106とを選択自在であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードロック装置とロードロック装置の昇圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLCD基板等の製造工程においては、減圧雰囲気下で基板にCVD等の所定の処理を施す基板処理装置を複数備えた、いわゆるマルチチャンバー型の処理システムが使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような処理システムには、基板を搬送する基板搬送装置を備えた搬送室と、その周囲に設けられた複数の基板処理装置とを有する処理部が備えられている。そして、基板搬送装置の搬送アームにより、基板が各基板処理装置に対して搬入出されるようになっている。また、この処理システムには、外部に対して基板を搬入出させる搬入出部が備えられており、搬入出部と処理部との間には、ロードロック装置が備えられる。搬入出部に搬入された基板は、ロードロック装置を介して処理部に搬入され、処理部で処理された後、再びロードロック装置を介して搬入出部に搬出される。
【0003】
ロードロック装置は、処理部内を真空に保持し、大気圧となっている搬入出部側に開放させないことを目的に設けられる。搬入出部に搬送された基板は、先ずロードロック装置の搬入出部側に設けた搬入出口を通じて、ロードロック装置内に収納される。そして、ロードロック装置内が減圧され真空になった後、ロードロック装置の処理部側に設けた搬入出口が開かれて搬送室に連通させられると、基板搬送装置の搬送アームにより、基板がロードロック装置から搬出され、各基板処理装置に搬送される。また、各基板処理装置で処理された基板は、基板搬送装置の搬送アームにより取り出され、ロードロック装置の搬入出部側の搬入出口を通じて、ロードロック装置内に収納される。そして、ロードロック装置内が昇圧され大気圧に戻ると、ロードロック装置の搬入出部側の搬入出口が開かれて、基板が搬入出部に戻されるようになっている。
【0004】
かかるロードロック装置としては、ロードロック装置内で基板を予備加熱するためのヒータを備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、加熱用プレートと冷却用プレートとを備え、基板を搬入出部から処理部に搬入するときは、加熱用プレートによって基板を加熱し、基板を処理部から搬入出部に搬出するときは、冷却用プレートによって基板を冷却できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
一方、ロードロック装置に関するものではないが、半導体製造装置に関しては、処理室内を昇圧させて大気圧に戻す際に、昇圧後、大気圧を利用して処理室内の圧力を安定させてから、大気開放する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特表2006−303013号公報
【特許文献2】特開2001−239144号公報
【特許文献3】特表2004−523880号公報
【特許文献4】特開平10−294283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のロードロック装置にあっては、ロードロック装置内を大気圧にして、搬入出部側の搬入出口が開かれた際に、外部からロードロック装置内にパーティクルが進入する場合があった。ロードロック装置内に進入したパーティクルが処理部に持ち込まれた場合、基板処理に悪影響を与えることになりかねない。
【0008】
一方、上記特許文献4のように、処理室内の圧力を安定させてから、ロードロック装置を大気開放することも可能であるが、そうすると、処理室内の圧力を安定するまで待たなければならない。そのため、処理時間が長くなり、スループットが良くないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、ロードロック装置内へのパーティクルの進入を効果的に防止でき、しかも、大気圧に復帰させた後、すぐにチャンバ内を大気開放できるロードロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ロードロック装置に関し、減圧されていたチャンバ内にガスを供給して大気圧に復帰させる際の、チャンバ内の圧力の動向について種々検討した。その結果、減圧されていたチャンバ内にガスを供給して大気圧に復帰させた場合、チャンバ内の圧力は一旦大気圧に復帰しても、その後しばらくは不安定であることが分かってきた。本発明者らがその原因について鋭意研究したところ、チャンバ内に基板の温度を調節する加熱プレートや冷却プレートなどの温度調節部材があるが、チャンバ内の雰囲気の温度が、この温度調節部材による熱の影響で、チャンバ内の圧力が変動することが判明した。更に、本発明者らが研究を続けたところ、チャンバ内が−500〜1000Paのゲージ圧の範囲であれば、ロードロック装置を大気開放する際に、外部からチャンバ内にパーティクルが実質的に進入しないことが分かってきた。
【0011】
本発明は、かかる新規な知見に基いてなされたものである。即ち、本発明によれば、密閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に基板を搬入出させる開閉自在な搬入出口と、前記チャンバ内において基板の温度を調節する温度調節部材を有し、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給路と、前記チャンバ内を排気する排気路が接続されたロードロック装置であって、前記チャンバ内の雰囲気を、外部との圧力差で排出させるリーク路が前記チャンバに接続され、前記ガス供給路は、比較的流量の大きい大流量配管と、比較的流量の小さい小流量配管とを有し、それら大流量配管と小流量配管とを選択自在であることを特徴とする、ロードロック装置が提供される。
【0012】
このロードロック装置にあっては、前記チャンバ内の圧力変動を吸収するアキュームレータを有しても良い。
【0013】
また本発明によれば、密閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に基板を搬入出させる開閉自在な搬入出口と、前記チャンバ内に基板の温度を調節する温度調節部材を有し、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給路と、前記チャンバ内を排気する排気路が接続されたロードロック装置の昇圧方法であって、前記搬入出口が閉じられた状態で、減圧されていた前記チャンバ内にガスを供給して大気圧に復帰させる復帰工程と、大気圧に復帰させた後、更に、前記チャンバ内にガスを供給し続けるとともに、前記チャンバ内の雰囲気を外部との圧力差で排出させるリーク工程を有し、前記リーク工程において、前記搬入出口が開かれることを特徴とする、ロードロック装置の昇圧方法が提供される。
【0014】
この昇圧方法において、前記復帰工程では、例えば600〜100リットル/minといった比較的大きい流量で前記チャンバ内にガスを供給し、前記リーク工程では、例えば100〜10リットル/minといった比較的小さい流量で前記チャンバ内にガスを供給しても良い。また、前記リーク工程では、前記チャンバ内が例えば1000Pa以下のゲージ圧にされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロードロック装置内を大気開放する際に、チャンバ内をゲージ圧で1000Pa以下の範囲とすることにより、ロードロック装置内へのパーティクルの進入を効果的に防止できるようになる。本発明によれば、大気圧に復帰させた後、更に、チャンバ内にガスを供給し続けつつ、チャンバ内の雰囲気を外部との圧力差で排出させることにより、チャンバ内を実質的に大気圧と等しく保つことができる。そのため、大気圧に復帰させた後、すぐにロードロック装置内を大気開放しても、外部からパーティクルが進入せず、ロードロック装置内を清浄な状態に保つことができる。そのため、従来のように圧力が安定するまで待つ必要がなく、処理時間が短くなり、スループットが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、基板の一例としてのLCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)用のガラス基板Gに対して、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)処理により薄膜を成膜する工程を実施する処理システムに基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるロードロック装置5、6を備えた処理システム1の概略的な構成を示した平面図である。図2は、処理システム1の概略的な構成を示した側面図である。図1に示す処理システム1は、いわゆるマルチチャンバー型の処理システムであり、処理システム1の外部に対して基板Gを搬入出させる搬入出部2と、基板GのCVD処理を行う処理部3とを備えている。搬入出部2と処理部3との間には、2つのロードロック装置5、6が上下に設置されている。なお説明のため、図1、2において、水平面方向であって搬入出部2の巾方向(図1において上下方向、図2において図面に垂直な方向)をX方向、水平面方向であって搬入出部2、ロードロック装置5、6および処理部3の並び方向(水平面方向であってX方向と直交する方向)をY方向、鉛直方向をZ方向と定義する。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
搬入出部2には、複数枚の基板Gを収納したカセットCを載置する載置台11と、基板Gを搬送する第一の搬送装置12とが設けられている。載置台11上には、X方向に沿って、複数のカセットCが並べられる。載置台11上のカセットC内には、略長方形の薄板状の基板Gが、略水平な姿勢で複数枚上下に並べて収納されている。
【0018】
搬送装置12は、載置台11とロードロック装置5、6の間に備えられている。搬送装置12は、X方向に沿って延設されたレール13と、レール13に沿って水平方向に移動可能な搬送機構14とを備えている。搬送機構14は、基板Gを載せて略水平に保持する一対の搬送アーム15を備えており、搬送アーム15を、Z方向に昇降させ、Y方向に移動させ、Z方向を中心に略水平面内で旋回可能である。即ち、載置台11上の各カセットCの正面に設けられた開口16を通じて、搬送アーム15を各カセットC内に進入させて、基板Gを一枚ずつカセットC内から取り出したり、カセットC内に収納したりすることができる構成になっている。また、搬送装置12を挟んで載置台11と対向する側(Y軸方向において搬送装置12の後方)に設けられたロードロック装置5、6に対して、搬送アーム15を進入させて、基板Gを一枚ずつロードロック装置5、6に搬入させ、ロードロック装置5、6から搬出させることができる。
【0019】
図2に示すように、ロードロック装置5、6は、上下に積み重ねて配置されている。下のロードロック装置5の搬入出部2側には、後述するロードロック装置5の搬入口52を開閉するゲートバルブ20が設けられており、ロードロック装置5の処理部3側には、後述するロードロック装置5の搬出口53を開閉するゲートバルブ21が設けられている。同様に、上のロードロック装置6の搬入出部2側には、後述するロードロック装置6の搬出口77を開閉するゲートバルブ22が設けられており、ロードロック装置6の処理部3側には、後述するロードロック装置6の搬入口76を開閉するゲートバルブ23が設けられている。かかる構成において、各ゲートバルブ20、22を閉じることにより、搬入出部2の雰囲気とロードロック装置5、6内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。また、各ゲートバルブ21、23を閉じることにより、処理部3の雰囲気とロードロック装置5、6内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。各ロードロック装置5、6の構造については、後に詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、処理部3には、基板Gを収納してプラズマCVD処理を施す複数の基板処理装置、例えば5つの基板処理装置30A〜30E、および、ロードロック装置5、6と各基板処理装置30A〜30Eとの間で基板Gを搬送する第二の搬送装置31が備えられている。第二の搬送装置31は、密閉構造の搬送チャンバ32内に設けられた搬送室33に格納されている。搬送チャンバ32は、ロードロック装置5に隣接して設けられている。また、ロードロック装置5、6および各基板処理装置30A〜30Eは、搬送チャンバ32の周囲を囲むように配置されている。
【0021】
搬送室33とロードロック装置5、6の間には、前述したゲートバルブ21、23がそれぞれ設けられており、各ゲートバルブ21、23によって搬送室33内の雰囲気とロードロック装置5、6内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。搬送室33と各基板処理装置30A〜30Eとの間には、それぞれゲートバルブ35が設けられており、各ゲートバルブ35によって基板処理装置30A〜30Eの開口を気密に閉塞し、搬送室33内の雰囲気と各基板処理装置30A〜30E内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。また、図2に示すように、搬送室33内を強制排気して減圧させるための排気路36が設けられている。処理システム1における処理時には、処理部3の搬送室33、基板処理装置30A〜30E内は、搬入出部2よりも減圧雰囲気にされ、例えば真空状態にされる。
【0022】
第二の搬送装置31は、例えば多関節構造を有する搬送機構40を備え、搬送機構40は、基板Gを載せて略水平に保持する一対の搬送アーム41を備えている。搬送機構40は、搬送アーム41を、Z方向に昇降させ、Z方向を中心に略水平面内で旋回させ、水平面内において任意の方向に向けて搬送アーム41を進退させることが可能である。これにより、搬送機構40は、各ロードロック装置5、6、基板処理装置30A〜30Eに、各ゲートバルブ21、23、35を介して搬送アーム41を進入させて、基板Gを一枚ずつ搬入および搬出させることができるように構成されている。
【0023】
次に、前述したロードロック装置5、6の構成について説明する。図3は、X方向に対して垂直な断面で切断したロードロック装置5、6の内部構造を説明するための縦断面図である。
【0024】
先ず、下のロードロック装置5は、密閉構造のチャンバ51を備えている。チャンバ51の搬入出部2側、即ち、図3において左側面には、チャンバ51内に基板Gを搬入するための搬入口52が設けられている。搬入口52には、前述したゲートバルブ20が設けられており、ゲートバルブ20によって気密に閉塞可能になっている。チャンバ51の処理部3側、即ち、図3において右側面には、チャンバ51内から基板Gを搬出するための搬出口53が設けられている。搬出口53には、前述したゲートバルブ21が設けられており、ゲートバルブ21によって気密に閉塞可能になっている。
【0025】
搬出口53内には、基板Gを支持する複数の保持部材55が備えられている。各保持部材55は略棒状をなし、チャンバ51の底部から上方に突出するように設けられている。各保持部材55の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に支持するようになっている。
【0026】
さらに、チャンバ51内には、保持部材55に支持された基板Gを下から加熱する加熱プレート50と上から加熱する補助ヒータ56が備えられている。これら加熱プレート50および補助ヒータ56は、それぞれ交流電源57に接続されており、交流電源57から供給される電力によってそれぞれ昇温されるようになっている。
【0027】
補助ヒータ56は略長方形板状をなし、チャンバ51の天井に沿って略水平に備えられている。補助ヒータ56は、保持部材70に支持された基板Gの上面に対して略平行な姿勢で対向するようになっている。なお、補助ヒータ56の下面の面積は基板Gの上面の面積より大きく、基板Gの上面全体を覆うようにして加熱することができる。
【0028】
加熱プレート50は略長方形板状をなし、チャンバ51の底面に沿って略水平に備えられている。前述した保持部材55は、加熱プレート50に形成された複数の孔60内にそれぞれ配置されている。加熱プレート50は、保持部材55によって保持された基板Gの下面に対して略平行な姿勢で対向する。
【0029】
また、加熱プレート50は上下に昇降可能に構成されており、補助ヒータ56に対して近接及び離隔することができる。例えば図3に示すように、チャンバ51の下方に昇降機構としてのシリンダ61が設けられており、シリンダ61に接続されたロッド62が、チャンバ51の底部を上下に貫通するように設けられている。加熱プレート50は、ロッド62の上端部に取り付けられている。そして、シリンダ61の駆動によって、ロッド62がZ軸方向に昇降することにより、加熱プレート50がロッド62と一体的に、各孔60をそれぞれ保持部材55に沿って移動させながら昇降するようになっている。
【0030】
さらに、加熱プレート50の上面には、加熱時に基板Gを支持するための複数の支持部材65が設けられている。加熱プレート50を待機位置P1に下降させたとき、支持部材65は、保持部材55の上端部より下方に位置する。そのため、保持部材55に基板Gが保持されていても、支持部材65は基板Gに接触しないようになっている。一方、加熱プレート50を待機位置P1から上昇させることにより、支持部材65を保持部材55の上端部より上方に移動させることができる。即ち、保持部材55に保持された基板Gを、支持部材65によって持ち上げ、支持部材65によって基板Gを支持する状態にすることができる。支持部材65は、各支持部材65の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に支持するようになっている。支持部材65に支持された基板Gの下面と加熱プレート50の上面との間には、略均一な幅の隙間が形成され、基板Gと加熱プレート50が互いに近接配置されるように構成されている。基板Gの加熱時、加熱プレート50は、加熱処理位置P2に上昇させられ、この状態では、複数の支持部材65によって基板Gが支持されるようになっており、また、支持部材65に支持された基板Gと前述した補助ヒータ56が近接し、支持部材65に支持された基板Gの上面と前述した補助ヒータ56の下面との間に、略均一な幅の隙間が形成されるようになっている。
【0031】
また、チャンバ51内に例えばN(窒素)ガスやHe(ヘリウム)ガス等の不活性ガスを供給するガス供給路70、及び、チャンバ51内を強制排気する排気路71が接続されている。即ち、ガス供給路70からのガス供給と排気路71による強制排気により、チャンバ51内の圧力を調節することができる。
【0032】
次に、上のロードロック装置6の構成について詳細に説明する。ロードロック装置6は、密閉構造のチャンバ75を備えている。図示の例では、チャンバ75は下段のロードロック装置5のチャンバ51の上面に載せられている。
【0033】
チャンバ75の処理部3側、即ち、図3において右側面には、チャンバ75内に基板Gを搬入するための搬入口76が設けられている。搬入口76には、前述したゲートバルブ23が設けられており、ゲートバルブ23によって気密に閉塞可能になっている。チャンバ75の搬入出部2側、即ち、図3において左側面には、チャンバ75内から基板Gを搬出するための搬出口77が設けられている。搬出口77には、前述したゲートバルブ22が設けられており、ゲートバルブ22によって気密に閉塞可能になっている。
【0034】
チャンバ75内には、基板Gを保持するための複数の支持部材80が備えられている。各支持部材80は略棒状をなし、チャンバ75の底部から上方に突出するように設けられており、各支持部材80の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に保持するようになっている。
【0035】
さらに、チャンバ75内には、基板Gを冷却する冷却プレート81と補助クーラ82が備えられている。これら冷却プレート81および補助クーラ82には、冷却水を送水する冷却水送水路83、84がそれぞれ内蔵されており、冷却水送水路83、84を流れる冷却水の冷熱によって冷却プレート81および補助クーラ82が冷却されるようになっている。
【0036】
補助クーラ82は略長方形板状をなし、チャンバ75の天井に沿って略水平に備えられており、支持部材80に支持された基板Gの上面側に配置される。また、支持部材80に支持された基板Gの上面に対して略平行な姿勢で対向するようになっている。
【0037】
また、補助クーラ82は、上下に昇降可能に構成されており、支持部材80に支持された基板Gに対して近接及び離隔することができる。例えば図3に示すように、チャンバ75の上方に昇降機構としてのシリンダ85が設けられており、シリンダ85のロッド86が、チャンバ75の天井を上下に貫通するように設けられている。補助クーラ82は、ロッド86の下端部に取り付けられている。そして、シリンダ85の駆動によって、ロッド86がZ軸方向に昇降することにより、補助クーラ82がロッド86と一体的に昇降するようになっている。補助クーラ82は、例えば支持部材80に支持された基板Gから離隔する上方の待機位置P3と、基板Gに近接する下方の冷却処理位置P4とに移動する。なお、補助クーラ82の下面の面積は基板Gの上面の面積より大きく、支持部材80に支持された基板Gの上面全体を覆うようにして冷却することができる。
【0038】
冷却プレート81は略長方形板状をなし、チャンバ51の底面に沿って略水平に備えられており、支持部材80に支持された基板Gの下面側に配置される。前述した支持部材80は、冷却プレート81に形成された複数の孔90内にそれぞれ配置されている。冷却プレート81は、支持部材80によって支持された基板Gの下面に対して略平行な姿勢で対向する。また、基板Gと冷却プレート81との間に、略均一な幅の隙間が形成された状態で、基板Gと冷却プレート81が互いに近接配置されるようになっている。冷却プレート81の上面の面積は基板Gの下面の面積より大きく、支持部材80に支持された基板Gの下面全体を覆うようにして冷却することができる。
【0039】
また、チャンバ75内に例えばN(窒素)ガスやHe(ヘリウム)ガス等の不活性ガスを供給するガス供給路91、及び、チャンバ75内を強制排気する排気路92が接続されている。即ち、ガス供給路91からのガス供給と排気路92による強制排気により、チャンバ75内の圧力を調節することができる。
【0040】
図4は、ロードロック装置5、6に対する給排気系統の説明図である。なお、ロードロック装置5、6に対する給排気系統は同様であるので、代表してロードロック装置5に対する給排気系統を説明する。ガス供給路70の上流側に、例えば0.7MPaに加圧された不活性ガスの供給源100が接続されている。この供給源100から出た不活性ガスが、圧力スイッチ101とレギュレータにより0.5MPaに調整されてロードロック装置5のチャンバ51内に供給される。ガス供給路70の途中には、比較的流量の大きい大流量配管105と、比較的流量の小さい小流量配管106とが設けられている。大流量配管105のCv値は例えば0.6〜0.1であり、小流量配管106のCv値は例えば0.1以下である。なお、ガスの場合、Cv値は次の式によって求めることができる。
Cv=0.024・Qg・(S.G.・T)−1/2/ΔP
但し、Qg:1分間あたりに流れる気体の体積(sccm)、△P:バルブ一次側の絶対圧力、単位(Pa)、S.G.=20℃1気圧(100kPa)の空気を1としたときのガスの比重、T:温度(K)である。これら大流量配管105と小流量配管106には開閉弁107、108が設けられており、この開閉弁107、108の開閉操作によって、大流量配管105に不活性ガスを通すことにより、例えば600〜100リットル/minといった比較的大きい流量でロードロック装置5のチャンバ51内に不活性ガスを供給する状態と、例えば100〜10リットル/minといった比小流量配管106に不活性ガスを通すことにより、比較的小さい流量でロードロック装置5のチャンバ51内に不活性ガスを供給する状態とに切り替えることができる。なお、小流量配管106には、ニードル弁110が設けられており、小流量配管106に通して比較的小さい流量でチャンバ51内に不活性ガスを供給する状態では、このニードル弁110によって流量を調整することができる。
【0041】
排気路71は、真空ポンプ等の排気装置115に接続されている。排気路71には、可変式バタフライバルブである自動圧力制御弁(automatic pressure control valve)116が設けられており、この自動圧力制御弁116によってチャンバ51内の圧力が制御されている。
【0042】
チャンバ51には、チャンバ51内の雰囲気を、外部との圧力差で排出させるリーク路120が接続されている。リーク路120には、チェックバルブ121が取り付けてある。このチェックバルブ121があるため、リーク路120を介してチャンバ51内に外部から空気が入らない。
【0043】
また、チャンバ51には、チャンバ51内の圧力を検出する圧力計125と、チャンバ51内の瞬間的な圧力変動を吸収するアキュームレータ126が取り付けられている。なお、ロードロック装置5に対する給排気系統を説明したが、ロードロック装置6に対する給排気系統も同様の構成を有している。
【0044】
次に、以上のように構成された処理システム1における基板Gの処理工程について説明する。先ず、複数枚の基板Gが収納されたキャリアCが、開口16を搬送装置12側に向けた状態で載置台11上に載置される。そして、搬送装置12の搬送アーム15が開口16に進入させられ、一枚の基板Gが取り出される。基板Gを保持した搬送アーム15は、下段に配置されたロードロック装置5のゲートバルブ20の前方に対向する位置に移動させられる。
【0045】
一方、ロードロック装置5は、閉塞状態のゲートバルブ20、21によって、搬入口52、搬出口53がそれぞれ気密に封じられており、チャンバ51内が密閉されている。これにより、搬入出部2の雰囲気と処理部3の搬送室33内の雰囲気とは、ロードロック装置5を介して互いに遮断された状態となっている。搬入出部2の雰囲気は例えば大気圧となっているのに対して、搬送室33内は排気路36からの排気により真空引きされている。
【0046】
ロードロック装置5においては、先ず、チャンバ51内を所定の圧力、即ち搬入出部2と略同一の略大気圧に昇圧させる。この場合、先ず、ガス供給路70において開閉弁107を開き、供給源100の不活性ガスを、大流量配管105に通して、比較的大きい流量でチャンバ51内に不活性ガスを供給することによる復帰工程を行う。これにより、減圧されていたチャンバ51内に不活性ガスを大流量で供給し、チャンバ51内の圧力を瞬時に大気圧に復帰させることができる。
【0047】
次に、こうしてチャンバ51内を大気圧に復帰させた後、開閉弁107を閉じて開閉弁108を開き、不活性ガスを小流量配管106に通して、比較的小さい流量でチャンバ51内に供給する。なお、開閉弁107を閉じる前に開閉弁108を開き、予め開閉弁108を開いている状態で開閉弁107を閉じることによって、比較的小さい流量でチャンバ51内に供給することもできる。また一方で、チャンバ51内の雰囲気を、外部との圧力差によってリーク路120から排出させる。こうして、比較的小さい流量でチャンバ51内に不活性ガスを供給し続けると共に、チャンバ51内の雰囲気をリーク路120から排出させることによるリーク工程を行う。
【0048】
このリーク工程では、チャンバ51内に供給される不活性ガスの流量が比較的小さく、また、チャンバ51内の雰囲気はリーク路120から外部に排出されるので、チャンバ51内は実質的に大気圧に保たれる。この場合、小流量配管106に設けられたニードル弁110を調整することにより、チャンバ51内の圧力が1000Pa以下のゲージ圧となるように調整すると良い。
【0049】
こうしてチャンバ51内を大気圧に維持した状態で、搬出口53をゲートバルブ21によって閉じたまま、ゲートバルブ20を開放状態にして、搬入口52を開口させる。これにより、チャンバ51内は搬入口52を介して搬入出部2の雰囲気と連通した状態になる。搬入口52を開口させている間も、搬出口53をゲートバルブ21によって閉塞することにより、搬送室33内の真空状態を維持することができる。
【0050】
そして、基板Gを保持した搬送アーム15をY軸方向に移動させ、ゲートバルブ20、搬入口52を介して、チャンバ51内に進入させ、搬送アーム15から保持部材55上に基板Gを受け渡す。その後、搬送アーム15がチャンバ51内から退出したら、ゲートバルブ20を閉じ、チャンバ51内を密閉状態にして、チャンバ51内を排気路71によって強制排気することにより、チャンバ51内を所定の圧力、即ち、搬送室33内と略同圧の真空状態に減圧する。なお、チャンバ51内にガス供給路70から不活性ガスを供給しながら、即ちチャンバ51内を不活性ガスによってパージしながら減圧するようにしても良く、この場合、基板Gの加熱の促進を図ることができる。
【0051】
一方、チャンバ51内に収納された基板Gは、加熱プレート50と補助ヒータ56とによって加熱される。先ず、シリンダ61の駆動により加熱プレート50が待機位置P1から上昇させられる。すると、加熱プレート50が上昇する途中で、基板Gは支持部材65によって保持部材55から持ち上げられ、支持部材65によって支持された状態になる。支持部材65に支持された基板Gは、加熱プレート50と一体的に上昇して、補助ヒータ56に近接させられる。こうして、加熱プレート50が加熱処理位置P2に配置され、基板Gが加熱プレート50と補助ヒータ56とによって加熱される。このように、基板Gを両面から加熱することにより、基板Gを均一に加熱することができ、また、短時間で効率的に加熱することができる。
【0052】
なお、チャンバ51内における基板Gの加熱は、チャンバ51内の減圧と並行して行うと良い。そうすれば、チャンバ51内での処理時間を短縮することができ、効率的である。
【0053】
チャンバ51内が略真空状態になり、かつ、基板Gの加熱が終了したら、搬入口52をゲートバルブ20によって閉じたまま、ゲートバルブ21を開放状態にして、搬出口53を開口させる。これにより、チャンバ51内は搬出口53を介して搬送室33の雰囲気と連通した状態になる。搬出口53を開口させている間も、搬入口52をゲートバルブ20によって閉塞することにより、チャンバ51内及び搬送室33内の真空状態を維持することができる。
【0054】
また、加熱プレート50は加熱処理位置P2から下降させ、待機位置P1に戻す。すると、加熱プレート50が下降する途中で、基板Gの下面に保持部材55が当接し、基板Gが支持部材65から保持部材55に受け渡される。これにより、基板Gは、保持部材55によって支持された状態になる。
【0055】
こうして、搬出口53を開口させるとともに、加熱プレート50を待機位置P1に配置した状態にしたら、第二の搬送装置31の搬送アーム41をY軸方向に移動させ、ゲートバルブ21、搬出口53を介して、チャンバ51内に進入させる。そして、搬送アーム41によって保持部材55から基板Gを受け取り、基板Gを保持した搬送アーム41をチャンバ51内から退出させる。こうして、基板Gが、チャンバ51内から搬出口53、ゲートバルブ21を通じて搬出され、処理部3の搬送室33に搬入される。
【0056】
搬送室33に搬入された基板Gは、搬送アーム41によって搬送室33から基板処理装置30A〜30Eのいずれかに搬入され、所定のプラズマCVD処理による成膜が行われる。基板処理装置30A〜30Eにおいては、減圧雰囲気下で基板Gが加熱されるとともに、処理室内に反応ガスが供給され、マイクロ波のエネルギによって反応ガスがプラズマ化される。これにより、基板Gの表面上に所定の薄膜が形成される。ここで、搬入された基板Gはチャンバ51内において予備加熱されているので、基板処理装置30A〜30Eにおける基板Gの加熱時間を短くすることができ、効率的に処理することができる。
【0057】
基板処理装置30A〜30Eにおいて基板Gの処理が終了したら、搬送アーム41によって基板処理装置30A〜30Eから基板Gを取り出し、搬送室33に搬出させる。このとき、基板Gは高温状態となっている。
【0058】
一方、上段に配置されたロードロック装置6は、閉塞状態のゲートバルブ23、22によって、搬入口76、搬出口77をそれぞれ気密に封じ、チャンバ75内を密閉した状態にしておく。また、排気路92の強制排気によって、チャンバ75内を所定の圧力、即ち搬送室33と略同一の真空状態に減圧しておく。この状態で、搬出口77をゲートバルブ22によって閉じたまま、ゲートバルブ23を開放状態にして、搬入口76を開口させる。これにより、チャンバ75内は搬入口76を介して搬送室33の雰囲気と連通した状態になる。搬入口76を開口させている間も、搬出口77をゲートバルブ22によって閉塞することにより、チャンバ75内及び搬送室33内の真空状態を維持することができる。また、補助クーラ82はシリンダ85の駆動により上昇させておき、待機位置P3に待機させる。
【0059】
搬入口76を開口させるとともに、補助クーラ82を待機位置P3に配置した状態にしたら、基板Gを保持した搬送アーム41をY軸方向に移動させ、ゲートバルブ23、搬入口76を介して、チャンバ75内に進入させ、基板Gを搬送アーム41から支持部材80上に受け渡す。
【0060】
このようにして、基板処理装置30A〜30Eから搬出された高温状態の基板Gが、ゲートバルブ23、搬入口76通じて搬入され、チャンバ75内に収納され、搬送アーム41がチャンバ75内から退出したら、ゲートバルブ23閉じ、チャンバ75内を密閉状態にする。そして、チャンバ75内にガス供給路91から不活性ガスを供給して、チャンバ75内が所定の圧力、即ち搬入出部2と略同一の略大気圧になるまで昇圧させる。
【0061】
この場合も、先ず、ガス供給路91において開閉弁107を開き、供給源100の不活性ガスを、大流量配管105に通して、比較的大きい流量でチャンバ75内に不活性ガスを供給することによる復帰工程を行う。これにより、減圧されていたチャンバ75内に不活性ガスを大流量で供給し、チャンバ75内の圧力を瞬時に大気圧に復帰させることができる。
【0062】
次に、こうしてチャンバ75内を大気圧に復帰させた後、開閉弁107を閉じて開閉弁108を開き、不活性ガスを小流量配管106に通して、比較的小さい流量でチャンバ75内に供給する。また一方で、チャンバ75内の雰囲気を、外部との圧力差によってリーク路120から排出させる。こうして、比較的小さい流量でチャンバ75内に不活性ガスを供給し続けると共に、チャンバ75内の雰囲気をリーク路120から排出させることによるリーク工程を行う。
【0063】
このリーク工程では、チャンバ75内に供給される不活性ガスの流量が比較的小さく、また、チャンバ75内の雰囲気はリーク路120から外部に排出されるので、チャンバ75内は実質的に大気圧に保たれる。この場合、小流量配管106に設けられたニードル弁110を調整することにより、チャンバ75内の圧力が1000Pa以下のゲージ圧となるように調整すると良い。
【0064】
一方、基板Gは補助クーラ82と冷却プレート81とによって冷却される。冷却時は、シリンダ85の駆動により補助クーラ82を下降させて冷却処理位置P4に配置し、基板Gの上面に近接させる。即ち、基板Gの上面全体に補助クーラ82を近接させ、下面全体に冷却プレート81を近接させて、基板Gを両面から冷却することにより、基板Gを均一に冷却することができ、また、短時間で効率的に冷却することができる。
【0065】
なお、チャンバ75内における基板Gの冷却は、チャンバ75内の加圧と並行して行うと良い。そうすれば、チャンバ75内での処理時間を短縮することができ、効率的である。また、ガス供給路91から供給される不活性ガスの冷風によって、基板Gの冷却の促進を図るようにしても良い。
【0066】
そして、基板Gの冷却が終了したら、チャンバ75内を大気圧に維持した状態で、搬入口76をゲートバルブ23によって閉じたまま、ゲートバルブ22を開放状態にして、搬出口77を開口させる。これにより、チャンバ75内は搬出口77を介して搬入出部2の雰囲気と連通した状態になる。搬出口77を開口させている間も、搬入口76をゲートバルブ23によって閉塞することにより、搬送室33内の真空状態を維持することができる。
【0067】
そして、搬送装置12の搬送アーム15をY軸方向に移動させ、ゲートバルブ22、搬出口77を介して、チャンバ75内に進入させる。そして、搬送アーム15によって支持部材80から基板Gを受け取り、基板Gを保持した搬送アーム15をチャンバ75内から退出させる。
【0068】
こうして、基板Gはチャンバ75内から搬出口77、ゲートバルブ22を通じて搬出され、搬入出部2に搬出される。そして、搬送アーム15によって載置台11上のキャリアCに戻される。以上のようにして、処理システム1における一連の処理工程が終了する。
【0069】
かかる処理システム1にあっては、ロードロック装置5、6のチャンバ51、75内を大気開放する際に、減圧されていたチャンバ51、75内に不活性ガスを大流量で供給することにより、チャンバ51、75内の圧力を瞬時に大気圧に復帰させることができる。また、大気圧に復帰させた後においては、比較的小さい流量でチャンバ51、75内に不活性ガスを供給し続けつつ、チャンバ51、75内の雰囲気をリーク路120から排出させることにより、チャンバ51、75内を実質的に大気圧と等しく保つことができる。この場合、例えばチャンバ51、75内を、ゲージ圧で1000Pa以下の範囲に保つことができる。そのため、大気圧に復帰させた後、すぐにチャンバ51、75内を大気開放しても、外部からパーティクルが進入せず、チャンバ51、75内を清浄な状態に保つことができる。これにより、従来のように圧力が安定するまで待つ必要がなく、処理時間が短くなってスループットが向上する。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、処理システムは、複数の基板処理装置を備えたマルチチャンバー型のものでなくても良い。処理部に備える基板処理装置の台数は1台でも良い。また、以上の実施形態では、処理部3においてプラズマCVD処理を行う処理システム1について説明したが、処理部で行われる処理は他の処理であっても良い。本発明は、その他の減圧雰囲気下で行う処理、例えば熱CVD処理、エッチング処理、アッシング処理等を処理部において行う処理システムに備えられるロードロック装置に適用できる。また、以上の実施形態では、LCD用基板Gを処理する場合について説明したが、基板は他のもの、例えば半導体ウェハ等であっても良い。
【実施例】
【0072】
図3で説明したロードロック装置において、チャンバ内の圧力変動を調べた。先ず図5に示すように、減圧されていたチャンバ内に不活性ガスを450SLMの大流量で供給し、120秒付近でチャンバ内の圧力を大気圧よりも約8000Pa程度陽圧にまで昇圧させた。その後、チャンバ内を密閉した。なお、チャンバ内の容積(加熱プレート等の温度調節部材などが無い状態での容積)は230リットルである。すると、密閉後、チャンバ内の圧力は徐々に低下した。これは、チャンバ内に供給された不活性ガスが、供給後に冷却されて収縮したためと考えられる。昇圧を開始してから67秒を経過した時点でチャンバ内の圧力が安定と見なすことができた。
【0073】
次に、図6に示すように、減圧されていたチャンバ内に不活性ガスを600SLMの大流量で供給し、340秒付近でチャンバ内の圧力がほぼ大気圧となった時点で大流量での供給を停止し、更に、チャンバ内にガスを5SLMの小流量で供給し続けつつ、チャンバ内の雰囲気を外部との圧力差で排出させてリークさせた。なお、チャンバ内の容積(加熱プレート等の温度調節部材などが無い状態での容積)は230リットルである。昇圧を開始してから30秒を経過した時点Aでチャンバ内の圧力は既に、900Paのゲージ圧となり、チャンバ内を開放できる状態となった。
【0074】
次に、チャンバ内を大気開放した際に、チャンバ内と外部との差圧によってチャンバ内に進入するパーティクルの個数を調べた。その結果を図7に示す。チャンバ内がゲージ圧で−500〜1000Pa以下の範囲の場合、チャンバ内に進入するパーティクルが著しく少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば基板の処理を行う処理システムのロードロック装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】処理システムの構成を説明する概略平面図である。
【図2】処理システムの構成を説明する概略側面図である。
【図3】ロードロック装置の概略縦断面図である。
【図4】給排気系統の説明図である。
【図5】大気圧よりも約8000Pa程度陽圧にまで昇圧させた後、チャンバ内を密閉した場合のチャンバ内の圧力変動のグラフである。
【図6】本発明に従うチャンバ内の圧力変動のグラフである。
【図7】チャンバ内と外部との差圧とパーティクルの個数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0077】
G 基板
1 処理システム
2 搬入出部
3 処理部
5、6 ロードロック装置
51、75 チャンバ
50 加熱プレート
56 補助ヒータ
70、91 ガス供給路
71、92 排気路
81 冷却プレート
82 補助クーラ
105 大流量配管
106 小流量配管
110 ニードル弁
115 排気装置
116 自動圧力制御弁
120 リーク路
125 圧力計
126 アキュームレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に基板を搬入出させる開閉自在な搬入出口と、前記チャンバ内において基板の温度を調節する温度調節部材を有し、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給路と、前記チャンバ内を排気する排気路が接続されたロードロック装置であって、
前記チャンバ内の雰囲気を、外部との圧力差で排出させるリーク路が前記チャンバに接続され、
前記ガス供給路は、比較的流量の大きい大流量配管と、比較的流量の小さい小流量配管とを有し、それら大流量配管と小流量配管とを選択自在であることを特徴とする、ロードロック装置。
【請求項2】
前記チャンバ内の圧力変動を吸収するアキュームレータを有することを特徴とする、請求項1に記載のロードロック装置。
【請求項3】
密閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に基板を搬入出させる開閉自在な搬入出口と、前記チャンバ内に基板の温度を調節する温度調節部材を有し、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給路と、前記チャンバ内を排気する排気路が接続されたロードロック装置の昇圧方法であって、
前記搬入出口が閉じられた状態で、減圧されていた前記チャンバ内にガスを供給して大気圧に復帰させる復帰工程と、
大気圧に復帰させた後、更に、前記チャンバ内にガスを供給し続けるとともに、前記チャンバ内の雰囲気を外部との圧力差で排出させるリーク工程を有し、
前記リーク工程において、前記搬入出口が開かれることを特徴とする、ロードロック装置の昇圧方法。
【請求項4】
前記復帰工程では、比較的大きい流量で前記チャンバ内にガスを供給し、前記リーク工程では、比較的小さい流量で前記チャンバ内にガスを供給することを特徴とする、請求項3に記載のロードロック装置の昇圧方法。
【請求項5】
前記リーク工程では、前記チャンバ内が1000Pa以下のゲージ圧にされることを特徴とする、請求項3または4に記載のロードロック装置の昇圧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−251991(P2008−251991A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94165(P2007−94165)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】