説明

ロールツーロールタイプの薄膜パターン形成装置

【課題】本発明はロールツーロールタイプの薄膜パターン形成装置に関する。
【解決手段】薄膜パターン形成装置は、シートを走行させる巻出ロール及び巻取ロールと、弾性体層が形成された周面を有し、上記巻出ロールと巻取ロールとの間に配置され上記シートをその周面に沿って走行させる回転ドラムと、蒸着ソースを収容し、蒸発した蒸着ソースが上記回転ドラム上に位置した上記シートに薄膜を形成するよう装着されたソース載置部と、上記ソース載置部から上記回転ドラムに向かう蒸着ソースの進行を選択的に遮蔽させるシャッタと、上記シート上に蒸着しようとする薄膜のパターンを定義するパターンを有し、薄膜蒸着時に上記回転ドラム上に位置したシートに密着したマスクと、薄膜蒸着後に上記弾性体層の厚さの減少により上記マスクから上記シートが離隔されるよう上記シートを上記回転ドラム方向に加圧させる張力印加部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールツーロールタイプの薄膜パターン形成装置に関するもので、より詳しくは、ロールの間で走行するシート上に所望の薄膜パターンを形成するためのロールツーロールタイプの薄膜パターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル電子製品の小型化、多機能化に従って、多様な受動備品もよりアップグレードされた機能と共に軽薄短小化する傾向にある。特に、キャパシタはカメラフォーン、DMBフォーン、ナビゲーションのような携帯用小型電子製品に多量使用され、超薄層及び高積層化と共に高容量、高機能がさらに求められる。
【0003】
しかし、従来のスクリーン印刷方式では同一チップサイズ内で高容量を具現するのに限界がある。このような限界を克服すべく様々な工法が試みられており、このような試みのうちロールツーロール(Roll to Roll)工程が挙げられる。また、ロールツーロール工程はフレキシブル基板でディスプレイまたは素子を具現するにおいても、既存の配置タイプ工程より量産性に優れるため積極的に検討されている。
【0004】
ロールツーロールタイプの薄膜形成装置はシートを連続して搬送しながら工程を進行するため量産性において長所があるが、素子の製作に必要なパターンを形成することが難しいという短所がある。ロール状態で成膜した後に切断して切断されたシートを配置する方法もあるが、この方法はロールツーロール工程の量産性のような長所を活かすことができないため、薄膜パターンの形成を繰り返そうとするときには適用することが困難である。
【0005】
これを解決すべく、マスクとして様々なパターンを有するロールタイプのマスクを使用してロールの間を走行するシートに所望のパターンを形成する方法があるが、このようなロールタイプのマスクを使用するロールツーロール工程では、蒸着対象物と密着状態を実現することが難しいため、精密な薄膜パターンを確保することが困難で、ロールタイプのマスクを使用する場合にはマスクを移動させるためのガイドロール及び駆動ロールのような付帯装置が求められる問題がある。
【0006】
また、ロールタイプマスクの場合には種々のパターンのうち一つが損傷したときに修理が容易ではないという問題もある。
【0007】
従って、ロールツーロール工程でより効果的に薄膜パターンを形成することができる技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来技術の問題を解決するためのもので、その目的は、ロールツーロール工程が有する量産性を維持しながら薄膜パターン形成工程を効果的に行うことができる薄膜パターン形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決すべく、本発明の一実施形態は、シートを走行させる巻出ロール及び巻取ロールと、弾性体層が形成された周面を有し、上記巻出ロールと巻取ロールとの間に配置され上記シートをその周面に沿って走行させる回転ドラムと、蒸着ソースを収容し、蒸発した蒸着ソースが上記回転ドラム上に位置した上記シートに薄膜を形成するよう装着されたソース載置部と、上記ソース載置部から上記回転ドラムに向かう蒸着ソースの進行を選択的に遮蔽させるシャッタと、上記シート上に蒸着しようとする薄膜のパターンを定義するパターンを有し薄膜蒸着時に上記回転ドラム上に位置したシートに密着したマスクと、薄膜蒸着後に上記弾性体層の厚さの減少により上記マスクから上記シートが離隔されるよう上記シートを上記回転ドラム方向に加圧させる張力印加部とを含む薄膜パターン形成装置を提供する。
【0010】
好ましく、上記張力印加部は、上記巻出ロールと上記回転ドラムとの間に位置した第1張力印加ロールと、上記回転ドラムと上記巻取ロールとの間に位置した第2張力印加ロールを含む。
【0011】
好ましく、上記マスクは上記回転ドラム上に位置したシートに密着するよう上記回転ドラムに装着される。正確な張力を調節するため上記シートに印加された張力を測定する張力センサ部をさらに含むことができる。
【0012】
特定の実施形態において、上記シートは誘電体グリーンシートであり、上記蒸着ソースはAgまたはNiの電極物質であることができる。これとは異なって、上記シートはフレキシブル基板であることができる。
【0013】
前記薄膜は、電子ビーム(e−beam)蒸着、熱蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着(Ion−Beam Deposition)及びパルスレーザ蒸着(Pulse Laser Deposition)で構成されたグループから選択されたいずれか一つを利用して蒸着されることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態による薄膜パターン形成装置は、シートを走行させる巻出ロール及び巻取ロールと、弾性体層が形成された周面を有し、上記巻出ロールと巻取ロールとの間に配置され上記シートをその周面に沿って走行させる回転ドラムと、蒸着ソースを収容し、蒸発した蒸着ソースが上記回転ドラム上に位置した上記シートに薄膜を形成するよう装着されたソース載置部と、上記ソース載置部から上記回転ドラムに向かう蒸着ソースの進行を選択的に遮蔽させるシャッタと、上記シート上に蒸着される薄膜のパターンを定義するパターンを有し上記ソース載置部と上記回転ドラムとの間に配置されたマスクと、薄膜蒸着時にマスクを上記シート上に密着させ薄膜蒸着後に上記シートが走行可能であるよう分離させるように構成されたマスク移動部とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、一つのマスクを利用して蒸着するとき位置を正確に密着させることができるため、ロールタイプのマスクを使用する場合に比べて精密な薄膜パターンを確保することができ、さらにマスクに関連する付帯装置を簡素化すると共に、シートの走行を効果的に保障することができる。
【0016】
また、本発明では様々なパターンが一体化したマスクを使用せず、単位マスクを使用するため、マスクが損傷しても容易に取り替えることができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜パターン形成装置を表した概略図である。
【図2】(a)から(d)は図1に図示された実施形態を利用した薄膜パターン形成過程を表した概略図である。
【図3】(a)から(d)は本発明の他の実施形態による薄膜パターン形成装置における薄膜パターン形成過程を表した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照に本発明の実施形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による薄膜パターン形成装置を表した概略図である。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態による薄膜パターン形成装置10は、真空チャンバ11とその内部に装着されシート14を走行させるように構成された巻出ロール12a及び巻取ロール12bと、上記巻出ロール12a及び巻取ロール12bの間に配置された回転ドラム16とを含む。
【0020】
上記シート14は上記回転ドラム16の周面に沿って走行し、上記回転ドラム16の周面上に位置したシート14領域は蒸着される部分となる。上記回転ドラム16はその内部に冷却液が流れる冷却回転ドラムであることができる。
【0021】
本発明に採用された回転ドラム16は周面に弾性体層17を含む。上記弾性体層17は加圧により厚さが減少することができ、圧力が解除されると元の状態に復元力を有する材質からなり、例えば弾性体のポリマーからなることができる。
【0022】
上記薄膜パターン形成装置10は上記真空チャンバ11内に蒸着ソースMを収容するソース載置部20を含む。図1には図示されていないが、電子ビームのようにシート14の表面に薄膜が形成されるよう蒸着ソースMを蒸発させる手段を含む。所望の蒸着領域を除いて他のシート領域上に薄膜蒸着を防ぐため遮断膜Sをさらに含むことができる。
【0023】
上記巻出ロール12a及び巻取ロール12bによりシート14の蒸着領域が上記回転ドラムの表面上に位置すると、上記ソース載置部20から上記回転ドラム16に向かう蒸発した蒸着ソース(矢印)が進行するようシャッタ22を開放し、蒸着が完了した後にシート14を移動させるときには蒸発した蒸着ソースが上記回転ドラム16に向かって進行しないようシャッタ22を閉鎖させる。
【0024】
上記薄膜パターン形成装置10は、上記シート14上に所望のパターンに対応するパターンを有するマスク18を含む。本実施形態において上記シート14が走行しない場合に、上記マスク18は上記回転ドラム16上に位置したシート14に密着される。
【0025】
本実施形態のように、上記マスク18は上記回転ドラム16上に位置したシート14に密着するよう公知の固定手段19により上記回転ドラム16に装着することができる。
【0026】
薄膜蒸着が完了すると上記シート14を走行させ、他の領域を蒸着領域に位置させる。このような走行のため、薄膜蒸着後に上記シート14は張力印加部により上記回転ドラム16方向に加圧される。これにより上記弾性体層の厚さの減少により上記マスク18から上記シート14が離隔される。このようにマスク18と離隔した状態でシート14の円滑な走行を保障することができる。
【0027】
本実施形態で、張力印加部は上記巻出ロール12aと上記回転ドラム16との間に位置した第1張力印加ロール15aと、上記回転ドラム16と上記巻取ロール12bとの間に位置した第2張力印加ロール15bとで構成される。図1に図示されてはいないが、必要に応じて所望の上記シート14に印加される張力を測定する張力センサ部(未図示)をさらに含むことができる。
【0028】
本発明は多様な製品に適用され量産性を向上させることができる。例えば、上記シート14は誘電体グリーンシートであり、上記蒸着ソースは内部電極を形成するためのAgまたはNiの電極物質であることができる。これとは異なって、上記シートはフレキシブル基板であることができる。回路パターンを形成するための電極物質を蒸着することができる。
【0029】
図2(a)から図2(d)は本発明の一実施形態を利用した薄膜パターン形成過程を概略的に表し、図1に図示された薄膜パターン形成装置10においてシート走行及び薄膜パターン形成過程を説明するための回転ドラム16の蒸着領域を詳しく表した工程断面図である。
【0030】
図2(a)に図示された通り、上記回転ドラム16は、その周面に形成された弾性体層17を有する。上記弾性体層17の表面にはシート14が位置し、所望のパターンを有するマスク18はシート14上に配置される。上記マスク18は上記シート14にほぼ密着するよう配置されることができる。このような密着を通してより精密なパターンを形成することができる。このようなマスク18は図1で説明した通り、上記回転ドラム16に固定されるよう装着することができる。
【0031】
次に、図2(b)に図示された通り、上述の状態で上記シート14上に蒸着工程を行って薄膜パターンPを形成する。このような蒸着工程は、図1に図示されたシャッタ22を開放することによって行われることができる。このような薄膜蒸着は電子ビーム(e−beam)蒸着、熱蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着(Ion−Beam Deposition)及びパルスレーザ蒸着(Pulse Laser Deposition)で構成されたグループから選択されることができる。
【0032】
次に、図2(c)に図示された通り、張力印加部を利用して上記シート14を上記回転ドラム16に向かって圧着させる。このような圧着過程を通して弾性体層17は第1厚さt1から第2厚さt1'に減少する。このように、弾性体層17の厚さが減少することによって固定されたマスク18から上記シート14は離隔されることができる。
【0033】
このようにシートに張力が印加された状態で、図2(d)のようにマスク18から離隔されたシート14は、ロール駆動を通して円滑に走行することができる。このような走行を通して他の必要な蒸着位置に移動させた後、張力を解除して図2(a)のように蒸着可能な状態に設定することができる。
【0034】
図2(a)から図2(d)に図示された過程の繰り返しを通して所望の蒸着位置に薄膜パターンを容易に形成することができる。
【0035】
図3(a)から図3(d)は、本発明の他の実施形態による薄膜形成装置における薄膜パターン形成過程を表した概略図である。本実施形態ではマスクを移動する手段を別途に備え、これを利用してシート走行と薄膜パターン形成過程を行う。
【0036】
図3に図示された薄膜パターン形成装置20において、シート走行及び薄膜パターン形成過程を説明するための回転ドラム26の蒸着領域を詳しく表した工程断面図である。
【0037】
図3(a)のように、上記回転ドラム26は、その周面に形成された弾性体層27を有する。上記弾性体層27の表面にはシート24が位置する。このように加圧されない状態で弾性体層27は多少厚い厚さt2を有する。本実施形態ではシート24の走行を通して蒸着位置に移動した後にマスク28をシート上に位置させる。
【0038】
図3(b)のように、上記シート24上に所望のパターンを有するマスク28を配置して加圧させることにより、薄膜が形成されるシート24とマスク28を密着させる。このような密着を通してより精密なパターンを形成することができる。このような状態で上記シート24上に蒸着工程を行って薄膜パターンPを形成する。このような薄膜蒸着は電子ビーム(e−beam)蒸着、熱蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着(Ion−Beam Deposition)及びパルスレーザ蒸着(Pulse Laser Deposition)で構成されたグループから選択されることができる。
【0039】
次に、図3(c)に図示された通り、上記シート24を上記回転ドラム26に向かって圧着させる。別途の移動手段を通して上記薄膜パターンPが形成されたシート24から離隔されるようマスク28を移動させる。このような移動により弾性体層27は元の厚さt2に回復する。
【0040】
このように、シートからマスクが離隔された状態で、図3(d)のように上記シート24はロール駆動を通して円滑に走行することができる。このような走行を通して他の必要な蒸着位置に移動させた後、図3(a)のようにマスク28を蒸着可能な状態でシート24に移動させる。図3(a)から図3(d)に図示された過程の繰り返しを通して所望の蒸着位置に薄膜パターンを容易に形成することができる。
【0041】
このように本発明は、上述の実施形態及び添付の図面により限定されるのではなく、添付の請求範囲により限定される。従って、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な形態の置換、変形及び変更が可能であることは当技術分野の通常の知識を有している者には自明であり、これも添付の請求範囲に記載された技術的思想に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを走行させる巻出ロール及び巻取ロールと、
弾性体層が形成された周面を有し、前記巻出ロールと前記巻取ロールとの間に配置され前記シートをその周面に沿って走行させる回転ドラムと、
蒸着ソースを収容し、蒸発した前記蒸着ソースが前記回転ドラム上に位置した前記シートに薄膜を形成するよう装着されたソース載置部と、
前記ソース載置部から前記回転ドラムに向かう前記蒸着ソースの進行を選択的に遮蔽させるシャッタと、
前記シート上に蒸着しようとする薄膜のパターンを定義するパターンを有し薄膜蒸着時に前記回転ドラム上に位置した前記シートに密着したマスクと、
薄膜蒸着後に前記シートが走行可能であるよう前記シートを前記回転ドラム方向に加圧させ前記弾性体層の厚さの減少により前記マスクから前記シートを離隔させる張力印加部とを含む薄膜パターン形成装置。
【請求項2】
前記張力印加部は、前記巻出ロールと前記回転ドラムとの間に位置した第1張力印加ロールと、前記回転ドラムと前記巻取ロールとの間に位置した第2張力印加ロールとを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項3】
前記マスクは、前記回転ドラム上に位置した前記シートに密着されるよう前記回転ドラムに装着されたことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項4】
前記シートに印加される張力を測定する張力センサ部をさらに含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項5】
前記シートは誘電体グリーンシートであり、前記蒸着ソースはAgまたはNiの電極物質であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項6】
前記シートは、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項7】
前記薄膜は、電子ビーム(e−beam)蒸着、熱蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着(Ion−Beam Deposition)及びパルスレーザ蒸着(Pulse Laser Deposition)で構成されたグループから選択されたいずれか一つを利用して蒸着されたことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項8】
シートを走行させる巻出ロール及び巻取ロールと、
弾性体層が形成された周面を有し、前記巻出ロールと巻前記取ロールとの間に配置され前記シートをその周面に沿って走行させる回転ドラムと、
蒸着ソースを収容し、蒸発した前記蒸着ソースが前記回転ドラム上に位置した前記シートに薄膜を形成するよう装着されたソース載置部と、
前記ソース載置部から前記回転ドラムに向かう前記蒸着ソースの進行を選択的に遮蔽させるシャッタと、
前記シート上に蒸着される薄膜のパターンを定義するパターンを有し前記ソース載置部と前記回転ドラムとの間に配置されたマスクと、
薄膜蒸着時に前記マスクを前記シート上に密着させ薄膜蒸着後に前記シートが走行可能であるよう前記マスクを分離させるように構成されたマスク移動部を含む薄膜パターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−53439(P2010−53439A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79240(P2009−79240)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】