説明

ワイヤソーのスラリ管理装置

【課題】固定砥粒ワイヤソーに供給するスラリの調整が容易で且つ安定した切断が図れるようにする。
【解決手段】スラリ廃液3を受ける第1槽5Aと、第1槽5Aのスラリ廃液3bを導入してスラリ2を分離する遠心分離機14と、遠心分離機14のスラリ2を受ける第2槽5Bと、第2槽5Bのスラリ2を固定砥粒ワイヤソー1に供給するスラリ供給系路26と、第2槽5Bのスラリ2を取り出して循環する循環流路28に備えた比重計29と粘度計30による検出値からスラリ濃度を検出する制御器41と、第2槽5Bのスラリ2の一部を廃スラリ31として排出するスラリ排出系路33と、新スラリ2aを第2槽5Bに供給する新スラリ供給系路38とを備え、制御器41で検出するスラリ濃度が規定濃度を保持するように、スラリ排出系路33による廃スラリ31の排出と新スラリ供給系路38による新スラリ2aの供給とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定砥粒ワイヤソーに供給するスラリの調整が容易で且つ安定した切断が図れるようにしたワイヤソーのスラリ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、切断対象ワーク(例えば、シリコンインゴット)を切断してウェハを形成するための装置としてワイヤソーが用いられている。このワイヤソーには、テンションを付与した細いワイヤ列を走行させ、そのワイヤ列に、切削熱を除去するクーラントに切削を行うための砥粒を含有させたスラリを吹き付けながら被切断物をワイヤ列に押し当てることにより、被切断物を複数枚のウェハ状に同時に切断するようにした遊離砥粒ワイヤソーがある(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
又、近年、細いワイヤの表面にダイヤモンド砥粒等を予め付着した固定砥粒ワイヤ列を用いて、そのワイヤ列に、クーラントであるスラリを吹き付けながら被切断物をワイヤ列に押し当てることにより、被切断物を複数枚のウェハ状に同時に切断するようにした固定砥粒ワイヤソーがある(例えば、特許文献2等参照)。
【0004】
前記遊離砥粒ワイヤソー及び固定砥粒ワイヤソーでは、シリコンインゴットを切断して多数のウェハを形成するために、切断作業の開始から終了までの間を1つのバッチ操作で行っているのが一般的である。又、このようなワイヤソーからのスラリ廃液は、資源の有効活用、廃棄物の減容化等のために、分離回収を行って再利用することによるスラリ管理が検討されている。
【0005】
前記遊離砥粒ワイヤソーでは、クーラントに砥粒を混合したスラリをワイヤに供給してシリコンインゴットを切断しているために、遊離砥粒ワイヤソーから排出されるスラリ廃液は、クーラントに砥粒(SiC)と切屑(Si)が混合した状態となっている。そのため、このようなスラリ廃液を分離回収するには、スラリ廃液をクーラントと固形分とに分離すると共に、固形分は砥粒=回収、切屑=廃棄の2段階を踏んで分離することになる。ここで、連続分離を行おうとした場合には、スラリ廃液を連続的に抜き取り、その抜取量と各々の回収量を監視しながら砥粒の回収、切屑の廃棄、新クーラントと新砥粒の調合、再生スラリの返送といった複雑な操作を行う必要があって管理が難しいという問題がある。このため、遊離砥粒ワイヤソーからのスラリ廃液のスラリ管理は一般にバッチ式が主流となっている。
【0006】
又、前記固定砥粒ワイヤソーでは、クーラントのみからなるスラリを固定砥粒ワイヤに供給してシリコンインゴットを切断しているために、固定砥粒ワイヤソーから排出されるスラリ廃液は、クーラントに切削されたシリコン粒子等が混合されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−309674号公報
【特許文献2】特開2010−29998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記固定砥粒ワイヤソーでは、前記遊離砥粒ワイヤソーに比して切断速度を大幅に高められることが知られており、切断速度が早いために、スラリの品質(即ち、スラリ中の固形分の比重から得られる濃度に対して固形分の粘度から得られる粒径を考慮した切断性を表わすスラリ濃度)を精度良く制御しないと、切断品質が安定しないという問題がある。バッチ式のスラリ管理では切断開始時と切断終了時のスラリ濃度が大きく変化して切断品質が変化することになるため、固定砥粒ワイヤソーのスラリ廃液の管理にバッチ式を採用することは困難である。又、バッチ式を用いて安定した品質のスラリを固定砥粒ワイヤソーに供給するためには大量のスラリを貯留しておく必要があるために、設備及びコストが増加するという問題がある。
【0009】
このため、固定砥粒ワイヤソーのスラリ廃液の管理には、少量のスラリを用いて切断したスラリ廃液を連続分離して再利用する管理が望ましいが、従来、スラリ廃液から固体粒子を容易に安定して分離することができ、しかも、切断に適したスラリ濃度に調整したスラリを固定砥粒ワイヤソーに安定供給できるようにしたスラリの管理について開示したものは存在していない。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、固定砥粒ワイヤソーに供給するスラリの調整が容易で且つ安定した切断が図れるようにしたワイヤソーのスラリ管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のワイヤソーのスラリ管理装置は、固定砥粒ワイヤソーからのスラリ廃液を受けて貯留する第1槽と、該第1槽のスラリ廃液を導入して固体粒子を分離する遠心分離機と、該遠心分離機で固体粒子が分離されたスラリを受けて貯留する第2槽と、該第2槽のスラリを前記固定砥粒ワイヤソーに供給するスラリ供給系路と、前記第2槽のスラリを取り出して循環する循環流路に備えた比重計及び粘度計と、前記比重計による比重検出値と前記粘度計による粘度検出値を取り入れて、スラリ中の固形分の比重から得られる濃度に対して固形分の粘度から得られる粒径を考慮したスラリ濃度を検出する制御器と、第2槽のスラリの一部を廃スラリとして排出するスラリ排出系路と、新スラリを前記第2槽に供給する新スラリ供給系路とを備え、前記制御器は、前記検出しているスラリ濃度が規定濃度を保持するように、前記スラリ排出系路による廃スラリの排出と新スラリ供給系路による新スラリの供給とを行うようにしたことを特徴としている。
【0012】
上記ワイヤソーのスラリ管理装置において、前記第1槽にサイクロ分離機を備え、前記固定砥粒ワイヤソーからのスラリ廃液をサイクロン分離機に導いて固体粒子の濃度を高めたスラリ廃液を前記遠心分離機に供給することは好ましい。
【0013】
又、上記ワイヤソーのスラリ管理装置において、前記規定濃度が、固定砥粒ワイヤソーによる安定切断が可能な最大濃度であることは好ましい。
【0014】
又、上記ワイヤソーのスラリ管理装置において、前記第1槽と第2槽とを一体に構成し、第1槽のスラリ廃液がオーバーフロー壁を介して第2槽に供給されるようにしたことは好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のワイヤソーのスラリ管理装置によれば、第1槽に受け入れたスラリ廃液を遠心分離機に導いて固体粒子を分離することにより得たスラリを第2槽に供給し、該第2槽のスラリを固定砥粒ワイヤソーに供給するようにし、第2槽のスラリの固形分の濃度を示す比重に対して固形分の粒径を示す粘度を考慮したスラリ濃度が規定濃度になるように、第2槽のスラリの一部を廃スラリとして排出すると共に、新スラリを前記第2槽に供給するようにしたので、比較的小さな容積の第1槽と第2槽及び遠心分離機によりスラリ廃液から規定濃度のスラリを生成することができ、且つ規定濃度のスラリを固定砥粒ワイヤソーに供給することにより常に安定した切断が確保できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明におけるワイヤソーのスラリ管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明によるスラリの管理と、従来においてスラリ廃液をバッチ処理した際の管理を比較して示した線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0018】
図1は本発明におけるワイヤソーのスラリ管理装置の一実施例を示すブロック図であり、図中、1は固定砥粒ワイヤソーであり、固定砥粒ワイヤソー1ではクーラントからなるスラリ2が供給されて図示しない固定砥粒ワイヤによるインゴットの切断を行っており、固定砥粒ワイヤソー1から排出されるスラリ廃液3は液受け容器4で受けている。
【0019】
図中、5は貯槽であり、該貯槽5は、内部に備えたオーバーフロー壁6によって左右に仕切られた第1槽5Aと第2槽5Bを形成しており、第1槽5Aには下側に向かって先細り形状のサイクロン分離機7が設けられている。
【0020】
前記液受け容器4のスラリ廃液3は、ポンプ8を備えた廃液取入系路9によって前記第1槽5Aに設けたサイクロン分離機7に供給されるようになっている。即ち、廃液取入系路9は、前記先細り形状のサイクロン分離機7の大径部に設けた接線方向の導入口10に対してスラリ廃液3を導入するように接続されており、これによりサイクロン分離機7の小径端11からはスラリ濃度が高められたスラリ廃液3bが取り出され、又、大径側の中心口12からはスラリ濃度が低下したスラリ廃液3aが第1槽5A内に排出されるようになっている。
【0021】
前記サイクロン分離機7の小径端11は取出系路13を介して遠心分離機14に接続されており、前記小径端11からのスラリ濃度が高められたスラリ廃液3bは、遠心分離機14によって固体粒子15と、固体粒子の含有が低下されたスラリ2とに分けられ、固体粒子15は回収容器16に回収され、スラリ2はスラリタンク17に回収される。
【0022】
前記スラリタンク17のスラリ2はポンプ18を備えた供給管19により前記第2槽5Bに供給するようにしている。前記取出系路13と供給管19には比重計23,24が設けてあり、この比重計23,24による比重の計測によって遠心分離機14での固体粒子の除去率が求められるようになっている。
【0023】
前記第2槽5Bの内部のスラリ2は、ポンプ25を有するスラリ供給系路26によって前記固定砥粒ワイヤソー1に供給されるようになっている。又、前記第2槽5Bの内部のスラリ2をポンプ27により取り出して再び前記第2槽5Bに戻す循環流路28が設けてあり、該循環流路28には比重計29と温度計30aが付属された粘度計30を設けている。
【0024】
前記循環流路28には、循環しているスラリ2を廃スラリ31として廃スラリタンク32に排出するためのスラリ排出系路33が設けてあり、前記循環流路28とスラリ排出系路33には、スラリ2を廃スラリタンク32へ排出するように切り替えるバルブ34,35を設けている。尚、前記ではスラリ排出系路33を循環流路28に接続して設けた場合について説明したが、前記第2槽5Bのスラリ2を廃スラリタンク32に直接排出するようにスラリ排出系路33を独立して設けるようにしてもよい。
【0025】
又、前記第2槽5Bには、新スラリタンク36に貯留された新スラリ2aを、ポンプ37により供給するようにした新スラリ供給系路38が設けられている。図1中、39は第2槽5Bに設けた攪拌機、40は前記第1槽5Aのスラリ廃液3aがオーバーフロー壁6を超えて前記第2槽5Bに流入した際にスラリ廃液3aを下方へ向かわせて攪拌機39によって撹拌されるように案内するガイド壁である。
【0026】
図1中、41は制御器であり、制御器41は、前記比重計29による比重検出値と前記温度計30aが付属された粘度計30による粘度・温度検出値を入力して、スラリ2中の固形分の粒度を考慮したスラリ濃度(固定砥粒ワイヤソー1での切断性能に関係する値)を検出している。そして、制御器41において検出しているスラリ濃度が規定濃度に達した場合には、制御器41は、前記バルブ34,35を操作して第2槽5B内の所定量のスラリ2を廃スラリ31として廃スラリタンク32に排出し、同時に、ポンプ37を駆動して、新スラリタンク36に貯留された新スラリ2aを、前記廃スラリ31と等量だけ第2槽5Bに供給する。これにより、第2槽5B内のスラリ2のスラリ濃度は規定濃度以下に回復するようになる。
【0027】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0028】
固定砥粒ワイヤソー1から液受け容器4に排出されたスラリ廃液3は、ポンプ8の作動により廃液取入系路9を介して前記第1槽5Aに設けたサイクロン分離機7に供給される。すると、サイクロン分離機7の小径端11からはスラリ濃度が高められたスラリ廃液3bが取り出され、又、大径側の中心口12からはスラリ濃度が低下したスラリ廃液3aが第1槽5A内に排出される。
【0029】
前記サイクロン分離機7の小径端11からのスラリ濃度が高いスラリ廃液3bは、取出系路13を介して遠心分離機14に供給されることにより、固体粒子15と、固体粒子の含有が低下されたスラリ2とに分けられ、固体粒子15は回収容器16に回収され、スラリ2はスラリタンク17に回収される。この時、遠心分離機14は供給されるスラリの濃度が高いほど高い分離性能を発揮するので、前記したようにサイクロン分離機7によってスラリ濃度を高めたスラリ廃液3bを遠心分離機14に供給することにより、遠心分離機14は効果的に固体粒子15を分離する。
【0030】
遠心分離機14によってスラリタンク17に回収されたスラリ2は、ポンプ18の作動により供給管19を介して前記第2槽5Bに供給され、又、該第2槽5Bのスラリ2は、ポンプ25の作動によりスラリ供給系路26を介して前記固定砥粒ワイヤソー1に供給されて循環使用されるようになる。
【0031】
前記第2槽5Bに備えている循環流路28に設けた比重計29からの比重検出値と温度計30aが付属された粘度計30からの粘度・温度検出値が制御器41に入力されており、制御器41は、スラリ2中の固形分の粒度を考慮したスラリ濃度を検出している。
【0032】
図2は、本発明によるスラリの管理と、従来におけるスラリ廃液をバッチ処理した際の管理を比較して示したものであり、横軸に時間、縦軸に比重を示している。ここで、本発明の管理では比重と共に粘度を検出することで、固定砥粒ワイヤソー1での切断性能に影響を与えるスラリ濃度を検出している。即ち、前記遠心分離機14による分離ではその特性上小粒径の固体粒子が蓄積するようになり、このために、比重は高くないのに微細粒子が増加して粘度が高くなることにより、固定砥粒ワイヤソー1による切断性能が低下する問題があり、この問題を解消するために、前記スラリ2中の固形分の粒度を考慮したスラリ濃度を求めて制御している。
【0033】
前記スラリ濃度が、図2に示す規定濃度Sより低いときは、第2槽5Bのスラリ2をそのまま前記固定砥粒ワイヤソー1に供給する作業を継続する。このとき、図2のXは固定砥粒ワイヤソー1による切断を安定して行うことができる限界値であり、前記規定濃度Sは、前記限界値Xに近い、固定砥粒ワイヤソー1による安定切断が可能な最大濃度である。
【0034】
前記制御器41で検出しているスラリ濃度が図2の規定濃度Sに達した場合には、制御器41は、前記バルブ34,35を操作して第2槽5B内の所定量のスラリ2を廃スラリ31として廃スラリタンク32に排出し、同時に、ポンプ37を駆動して、新スラリタンク36の新スラリ2aを、前記廃スラリ31と同等量だけ第2槽5Bに供給する。これにより、第2槽5B内のスラリ2は新スラリ2aによって希釈され、スラリ濃度は規定濃度S以下に回復するようになる。
【0035】
上記操作により、第2槽5B内のスラリ2は常に図2の規定濃度S以下に安定して保持されるようになり、このように安定したスラリ濃度のスラリ2が固定砥粒ワイヤソー1に供給されることにより、固定砥粒ワイヤソー1では常に安定した切断が達成されるようになる。
【0036】
一方、図2のYは、従来におけるスラリ廃液のバッチ処理を示しており、線Yのようなバッチ処理の場合には、切断作業を継続していくと徐々にスラリ濃度は増加することになるため、先ず、切断終了時のスラリ濃度を限界値Xの直前値になるように設定し、この切断終了時の設定値が保持されるように切断開始時のスラリ濃度を逆算して求めて調整しているため、従来においては、切断開始時におけるスラリ濃度を極めて低い値に調整する必要があり、このために、膜濾過器等の分離装置による精密な分離を行う必要があり、コストが増加するという問題を有していた。
【0037】
これに対し、本発明では、図2に示したように、スラリ2のスラリ濃度を限界値Xに近い規定濃度Sに調整するようにしたので、遠心分離機14を用いてスラリ濃度を規定濃度Sの近い値に維持することは容易となる。即ち、遠心分離機14は、固体粒子の濃度が高いほど回収量が増加する性能を有するので、サイクロン分離機7で濃縮したスラリ廃液3bを遠心分離機14に供給することで固体粒子15を良好に分離することができ、よって、スラリ濃度を規定濃度S以下に容易に保持させることができる。又、上記遠心分離機14による分離によっても、スラリ濃度が規定濃度Sより大きくなってしまう場合には、第2槽5B内のスラリ2の一部を捨てて、新しい新スラリ2aを供給することで規定濃度Sに回復するようにしているので、スラリ2の管理を容易且つ安価に実施することができ、固定砥粒ワイヤソー1に供給するスラリ2を常に安定させられる利点がある。又、スラリ濃度が規定濃度Sより大きくなって外部に排出する廃スラリ31は膜濾過装置、例えばスイングセパレータ等を付属して備えてクーラントの回収率を高めることは好ましい。この場合の膜濾過装置は従来のバッチ式における分離装置に比して飛躍的に小規模なものとすることができる。
【0038】
尚、複数備えられている固定砥粒ワイヤソー1からのスラリ廃液3を第1槽5Aに導入した場合には、第1槽5Aのスラリ廃液3aがオーバーフロー壁6を超えて第2槽5Bに供給されることにより対応することができ、又、第1槽5Aのスラリ廃液3aはサイクロン分離機7によってスラリ濃度が高いスラリ廃液3bが分離されたものであるため、このスラリ濃度の低いスラリ廃液3aが第2槽5Bに供給されても問題を生じることはない。このように第1槽5Aと第2槽5Bがオーバーフロー壁6で隔てられて一体に構成した貯槽5によれば、液の受渡しが簡略化され、多量のスラリ廃液3の処理に好適に適用することができる。
【0039】
又、前記廃スラリタンク32に排出された廃スラリ31は濾過機等に導いて固液分離することにより、濾液をスラリとして回収し有効利用することができる。
【0040】
又、本発明のワイヤソーのスラリ管理装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、第1槽5Aと第2槽5Bを一体に設けることなく別個に設けていてもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 固定砥粒ワイヤソー
2 スラリ
2a 新スラリ
3 スラリ廃液
3a スラリ廃液
3b スラリ廃液
5A 第1槽
5B 第2槽
6 オーバーフロー壁
7 サイクロン分離機
14 遠心分離機
15 固体粒子
23,24 比重計
26 スラリ供給系路
28 循環流路
29 比重計
30 粘度計
31 廃スラリ
33 スラリ排出系路
38 新スラリ供給系路
41 制御器
S 規定濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定砥粒ワイヤソーからのスラリ廃液を受けて貯留する第1槽と、該第1槽のスラリ廃液を導入して固体粒子を分離する遠心分離機と、該遠心分離機で固体粒子が分離されたスラリを受けて貯留する第2槽と、該第2槽のスラリを前記固定砥粒ワイヤソーに供給するスラリ供給系路と、前記第2槽のスラリを取り出して循環する循環流路に備えた比重計及び粘度計と、前記比重計による比重検出値と前記粘度計による粘度検出値を取り入れて、スラリ中の固形分の比重から得られる濃度に対して固形分の粘度から得られる粒径を考慮したスラリ濃度を検出する制御器と、第2槽のスラリの一部を廃スラリとして排出するスラリ排出系路と、新スラリを前記第2槽に供給する新スラリ供給系路とを備え、前記制御器は、前記検出しているスラリ濃度が規定濃度を保持するように、前記スラリ排出系路による廃スラリの排出と新スラリ供給系路による新スラリの供給とを行うようにしたことを特徴とするワイヤソーのスラリ管理装置。
【請求項2】
前記第1槽にサイクロ分離機を備え、前記固定砥粒ワイヤソーからのスラリ廃液をサイクロン分離機に導いて固体粒子の濃度を高めたスラリ廃液を前記遠心分離機に供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤソーのスラリ管理装置。
【請求項3】
前記規定濃度が、固定砥粒ワイヤソーによる安定切断が可能な最大濃度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤソーのスラリ管理装置。
【請求項4】
前記第1槽と第2槽とを一体に構成し、第1槽のスラリ廃液がオーバーフロー壁を介して第2槽に供給されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のワイヤソーのスラリ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−125891(P2012−125891A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280225(P2010−280225)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000198352)株式会社IHI回転機械 (27)
【Fターム(参考)】