一芯双方向送受信光デバイス
【課題】波長分離膜1Cへの入射角度をより深くして安価な波長分離膜が使用できる一芯双方向送受信光デバイスを提供する。
【解決手段】波長分離型プリズム1と,発光素子2と,受光素子3と,光ファイバ5とから構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,波長分離型プリズムは発光素子の発光を透過し,光ファイバからの光を受光素子の方向に反射する波長分離膜1Cをそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズム1A、1Bで挟んで構成されるプリズムであり,光ファイバの端面が第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,発光素子の発光の第1の三角プリズムの入射面が,光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,さらに,第1の三角プリズムの屈折率が,光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ第2の三角プリズムの屈折率が光ファイバの屈折率と同じである。
【解決手段】波長分離型プリズム1と,発光素子2と,受光素子3と,光ファイバ5とから構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,波長分離型プリズムは発光素子の発光を透過し,光ファイバからの光を受光素子の方向に反射する波長分離膜1Cをそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズム1A、1Bで挟んで構成されるプリズムであり,光ファイバの端面が第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,発光素子の発光の第1の三角プリズムの入射面が,光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,さらに,第1の三角プリズムの屈折率が,光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ第2の三角プリズムの屈折率が光ファイバの屈折率と同じである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光ファイバ通信に使用する一芯双方向送受信光デバイス関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムに使用される重要な光部品の一つとして一芯双方向送受信光デバイスが知られている。
【0003】
図1は,かかる一芯双方向送受信光デバイス(以下光デバイス)の従来構造例を示す図である。図1に示す例において,光デバイス筐体10内に波長分離型プリズム1を内蔵し,発光素子(LD)2と受光素子(PD)3とフェルール4を筐体に固定する構造である。さらに,光ファイバ5が,フェルール4により保護され,プリズム1に突き当てられて,スリーブ6により固定されている。
【0004】
波長分離型プリズム(以下プリズム)1はフェルール4の端面に接着固定されている。プリズム1は2つの三角プリズム1A,1Bから構成され,波長分離膜1Cを挟み込んだ構造である。
【0005】
図2は,図1のプリズム1の部分を拡大して示す図である。2つの三角プリズム1A,1Bの屈折率は光ファイバ5と同じである。波長分離膜1Cの波長特性は波長λ1の光を透過し,波長λ2の光を反射する特性を有している。
【0006】
発光素子2から発光された波長λ1の光はプリズム1を通り光ファイバ5に入射される。
【0007】
一方,光ファイバ5から入射される波長λ2の受信光は,プリズム1の波長分離膜1Cで反射され,受光素子3に入射される。
【0008】
このとき,波長分離膜1Cの配置角度は,光デバイスの製造性を考慮し,波長λ2が90°に反射する様に45°の角度に設定されている。一方,三角プリズム1Aにおける発光素子2の発光に対する入射面は,発光素子2への反射戻り光を防ぐ為に,光軸の直交方向(図2の破線)から角度α分傾いている。
【0009】
ここで,上記2つの三角プリズムを用いる光学系に関係する従来例として,特許文献1,2に記載の発明がある。かかる発明の光学系はいずれも光磁気ディスク装置のピックアップに用いるものである。したがって,光ファイバに対する双方向の光を対象とするものではない。
【特許文献1】特開平10−186113号公報
【特許文献2】特開平6−64750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記図1,図2について説明したように,発光素子2により発光される波長λ1の光のプリズム1における入射面が光軸の直交方向から傾いている為に,発光素子2の発光が三角プリズム1Aに入射される際に屈折し,更に波長分離膜1Cに対し45°の入射とならず,この結果光ファイバ5に斜めに入射される。これにより,過剰な結合損失が発生するという問題がある。
【0011】
さらに,波長λ1の光を45°の角度で透過し,波長λ2の光を反射する波長分離膜1Cを得ようとする場合,波長λ1の光の透過損を小さくすることが難しくコストアップの要因となっていた。
【0012】
これに対し,波長λ1の光の波長分離膜1Cへの入射角度βを深くする,すなわち45°よりも大きくすれば,比較的安価な透過損の小さい波長分離膜を使用することができることが知られている。
【0013】
しかし,波長λ1の光の波長分離膜1Cへの入射角度βを深くする目的で,三角プリズム1Aにおける波長λ1の光の入射面の傾きαを大きくすれば,波長λ1の光は大きく屈折し,波長分離膜1Cへの入射角度βは深くなるが,三角プリズム1Aの入射面での透過損が大きくなってしまう。同時に光ファイバ5への入射角度が大きくなり結合損失も大きくなる。
【0014】
したがって,本願発明の目的は,波長分離膜1Cへの入射角度をより深くしても安価な波長分離膜が使用できる一芯双方向送受信光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を達成する本発明第1の側面は,光ファイバ通信に使用する一芯双方向送受信光デバイスであって,光ファイバと,発光素子と,受光素子と,前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有している。特徴として,前記波長分離型プリズムは,前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている。
【0016】
さらに,好ましい形態として,筐体と,前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする。
【0017】
かかる構成により,波長分離膜への発光素子の発光の入射角度をより深くし,且つ安価な波長分離膜が使用できる一芯双方向送受信光デバイスの提供が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面に従い,本発明の実施例を説明する。
【0019】
図3は,本発明に従う一芯双方向送受信光デバイスの構成例を示す図である。図4は,図3のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【0020】
図3において,図1と同様に,光デバイス筐体10内に波長分離型プリズム1を内蔵し,発光素子2としてレーザダイオード(LD)と受光素子3としてフォトダイオード(PD)をフェルール4を筐体に固定する構造である。
【0021】
さらに,光ファイバ5が,フェルール4により保護され,光ファイバ5の端面が直接にプリズム1に突き当てられて,スリーブ6により固定されている。
【0022】
波長分離型プリズム1はフェルール4の端面に接着固定されている。プリズム1は2つの三角プリズム1A,1Bから構成され,例えば,SiO2とTiO2による多層膜を形成して作成された波長分離膜1Cを挟み込んだ構造である。
【0023】
本発明の特徴は,プリズム1の発光素子2側の三角プリズム1Aの屈折率を光ファイバ側の三角プリズム1Bの屈折率よりも大きくし,光ファイバ5側の三角プリズム1Bの屈折率は光ファイバ5と同じとする。
【0024】
かかる構成により,発光素子2からの波長λ1の光はプリズム1Aに入射される際,端面がα分の角度に傾いているので屈折するが,屈折率が大きくなっているのでより大きな屈折角γとなる。
【0025】
これにより波長分離膜1Cへの入射角β’がより深くなる。光ファイバ5側の三角プリズム1Bに入射される際,発光素子2側の三角プリズム1Aと屈折率が異なるために屈折が生じる。その結果,三角プリズム1Bへの通過光は光ファイバ光軸と平行になり過剰損失が無く光ファイバ5に入射される。
【0026】
上記の基本構成に基づく実施例を以下に説明する。
【0027】
図3において,プリズム1の光ファイバ5側の三角プリズム1Bの屈折率は光ファイバ5と同じ1.47である。これにより,光ファイバ5側の三角プリズム1Bと光ファイバ5の接続部位では屈折率の違いによる透過損を抑えることができる。
【0028】
一方,発光素子2側の三角プリズム1Aの屈折率は,三角プリズム1Bの屈折率より大きく1.52とし,波長λ1の光の入射面は,反射戻り光を防ぐため光軸の直交方向から角度α傾いている。
【0029】
発光素子2より発光された波長λ1の光はプリズム1の発光素子側三角プリズム1Aに入射される。波長λ1の光の三角プリズム1の入射面は,前記の通り傾いているので屈折が生じる。
【0030】
図5は,横軸を入射角度α,縦軸を損失としたときの,波長λ1の光の三角プリズム1Aの入射面の角度αを変えて,損失を測定したグラフである。このグラフから波長λ1の光の入射面の角度αを大きくすると透過損が大きくなる。したがって,角度αによる透過損の変化が少ない限界の程度が望ましい。
【0031】
入射面の角度αとして6°としたときの透過損は0.19dBとなり,従来の0.16dBに比べ0.03dBと僅かに大きくなる程度である。これは,図6に示すグラフから理解される。すなわち,図6は,入射面の角度αとして6°としたときの,横軸に空気の屈折率n0(=1)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n0/n1)をとり,縦軸に損失をとり従来例との比較を測定したグラフである。
【0032】
図6から,従来例Iに対し,本発明の実施例IIでは上記の通り透過損は僅かに大きくなる程度であることが理解できる。
【0033】
さらに,三角プリズム1Aの屈折率は1.52なので波長分離膜1Cへの入射角β’が深くなる。この場合の屈折角度β’は,2.06°となり従来の屈折角度βが1.92°であるのと比べて,三角プリズム1Aの屈折率の増加による屈折角度の増加を示す図である図7に示すように,0.14°大きくなる。
【0034】
図8は,波長分離膜1Cの透過損の角度依存性の一例を示す図である。図8から入射角が大きくなるほど緩やかに透過損が減少していくことが理解できる。
【0035】
したがって,図7に示したように,屈折角が大きくなるので透過損の角度トレランスのより緩い波長分離膜1Cを使用することができる。
【0036】
次に波長λ1の発光素子2で発光された光は,三角プリズム1Bに入射されるが,図4に示したように,三角プリズム1Aに比べて屈折率が小さい為に,光ファイバ5の光軸と平行方向に屈折し,光ファイバ5に入射される。
【0037】
これにより,光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれと損失との関係を示す図である図9に示すように,角度ずれによる過剰損が無く結合することができ,従来例Iに比べ0.7〜1.0dB改善される。
【0038】
図9の横軸は,光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれであり,縦軸に損失を示している。すなわち,従来例Iでは,2.06°であり,損失が大きい。これに対し,本発明の実施例IIにおいて,三角プリズム1Bに入射する光の入射角は,光ファイバ5の光軸に一致し,ずれ角度は0であり,ずれによる損失は生じない。
【0039】
さらに,三角プリズム1Aと三角プリズム1Bの屈折率の違いによる透過損は,図10に示すように,0.01dBと非常に小さい。図10は,横軸を三角プリズム1Bの屈折率n2(=1.47)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n2/n1)としている。
【0040】
また,前記した三角プリズム1Aに対する入射面の角度αとして6°としたときの透過損の増加分0.03dBと合わせても0.04dBとなる。
【0041】
図11は,従来例と本発明の比較をロス要因毎に示すテーブルであり,これを参照して0.66〜0.96dBの結合損の改善が実現できることが理解できる。
【0042】
一方,光ファイバ5から入射される波長λ2の受信光は,三角プリズム1Bに入射されるが,光ファイバ5の屈折率が同じなので屈折することなく三角プリズム1Bを伝搬し,波長分離膜1Cで反射される。
【0043】
すなわち,図12に示す波長分離膜1Cの特性例から理解できるように,波長λ2の受信光は,波長分離膜1Cを透過しないので,三角プリズム1Aの屈折率に影響されることなくは受光素子3に入射される。
【0044】
上記のとおり,本発明により,発光素子2で発光された波長λ1の光の波長分離膜1Cに入射する角度をより深くすることにより,安価な波長分離膜を使用でき,光ファイバ5の光軸との角度ずれによる過剰損失を抑えることができる。
【0045】
(付記1)
光ファイバと,
発光素子と,
受光素子と,
前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有し,
前記波長分離型プリズムは,
前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,
前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,
前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に
前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0046】
(付記2)
付記1において,
前記波長分離膜は,前記光ファイバの光軸に対し45°の傾きを成し,更に,前記発光素子により発光された光の前記第1の三角形プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜されていることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0047】
(付記3)
付記2において,
前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜角度が6°であることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0048】
(付記4)
付記1において,
前記第2の三角形プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0049】
(付記5)
筐体と,
前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,
光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,
前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,
前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,
前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,
さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じである,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一芯双方向送受信光デバイス(以下光デバイス)の従来構造例を示す図である。
【図2】図1のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【図3】本発明に従う一芯双方向送受信光デバイスの構成例である。
【図4】図3のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【図5】横軸を入射角度α,縦軸を損失としたときの,波長λ1の光の三角プリズム1Aの入射面の角度αを変えて,損失を測定したグラフである。
【図6】入射面の角度αとして6°としたときの,横軸に空気の屈折率n0(=1)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n0/n1)をとり,縦軸に損失をとり従来例との比較を測定したグラフである。
【図7】三角プリズム1Aの屈折率の増加による屈折角度の増加を示す図である。
【図8】波長分離膜1Cの透過損の角度依存性の一例を示す図である。
【図9】光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれと損失との関係を示す図である。
【図10】三角プリズム1Aと三角プリズム1Bの屈折率の違いによる透過損を示す図である。
【図11】従来例と本発明の比較をロス要因毎に示すテーブルである。
【図12】波長分離膜1Cの特性例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 波長分離型プリズム
1A,1B 三角プリズム
2 発光素子
3 受光素子
4 フェルール
5 光ファイバ
6 スリーブ
10 筐体
【技術分野】
【0001】
本発明は,光ファイバ通信に使用する一芯双方向送受信光デバイス関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムに使用される重要な光部品の一つとして一芯双方向送受信光デバイスが知られている。
【0003】
図1は,かかる一芯双方向送受信光デバイス(以下光デバイス)の従来構造例を示す図である。図1に示す例において,光デバイス筐体10内に波長分離型プリズム1を内蔵し,発光素子(LD)2と受光素子(PD)3とフェルール4を筐体に固定する構造である。さらに,光ファイバ5が,フェルール4により保護され,プリズム1に突き当てられて,スリーブ6により固定されている。
【0004】
波長分離型プリズム(以下プリズム)1はフェルール4の端面に接着固定されている。プリズム1は2つの三角プリズム1A,1Bから構成され,波長分離膜1Cを挟み込んだ構造である。
【0005】
図2は,図1のプリズム1の部分を拡大して示す図である。2つの三角プリズム1A,1Bの屈折率は光ファイバ5と同じである。波長分離膜1Cの波長特性は波長λ1の光を透過し,波長λ2の光を反射する特性を有している。
【0006】
発光素子2から発光された波長λ1の光はプリズム1を通り光ファイバ5に入射される。
【0007】
一方,光ファイバ5から入射される波長λ2の受信光は,プリズム1の波長分離膜1Cで反射され,受光素子3に入射される。
【0008】
このとき,波長分離膜1Cの配置角度は,光デバイスの製造性を考慮し,波長λ2が90°に反射する様に45°の角度に設定されている。一方,三角プリズム1Aにおける発光素子2の発光に対する入射面は,発光素子2への反射戻り光を防ぐ為に,光軸の直交方向(図2の破線)から角度α分傾いている。
【0009】
ここで,上記2つの三角プリズムを用いる光学系に関係する従来例として,特許文献1,2に記載の発明がある。かかる発明の光学系はいずれも光磁気ディスク装置のピックアップに用いるものである。したがって,光ファイバに対する双方向の光を対象とするものではない。
【特許文献1】特開平10−186113号公報
【特許文献2】特開平6−64750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記図1,図2について説明したように,発光素子2により発光される波長λ1の光のプリズム1における入射面が光軸の直交方向から傾いている為に,発光素子2の発光が三角プリズム1Aに入射される際に屈折し,更に波長分離膜1Cに対し45°の入射とならず,この結果光ファイバ5に斜めに入射される。これにより,過剰な結合損失が発生するという問題がある。
【0011】
さらに,波長λ1の光を45°の角度で透過し,波長λ2の光を反射する波長分離膜1Cを得ようとする場合,波長λ1の光の透過損を小さくすることが難しくコストアップの要因となっていた。
【0012】
これに対し,波長λ1の光の波長分離膜1Cへの入射角度βを深くする,すなわち45°よりも大きくすれば,比較的安価な透過損の小さい波長分離膜を使用することができることが知られている。
【0013】
しかし,波長λ1の光の波長分離膜1Cへの入射角度βを深くする目的で,三角プリズム1Aにおける波長λ1の光の入射面の傾きαを大きくすれば,波長λ1の光は大きく屈折し,波長分離膜1Cへの入射角度βは深くなるが,三角プリズム1Aの入射面での透過損が大きくなってしまう。同時に光ファイバ5への入射角度が大きくなり結合損失も大きくなる。
【0014】
したがって,本願発明の目的は,波長分離膜1Cへの入射角度をより深くしても安価な波長分離膜が使用できる一芯双方向送受信光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を達成する本発明第1の側面は,光ファイバ通信に使用する一芯双方向送受信光デバイスであって,光ファイバと,発光素子と,受光素子と,前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有している。特徴として,前記波長分離型プリズムは,前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている。
【0016】
さらに,好ましい形態として,筐体と,前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする。
【0017】
かかる構成により,波長分離膜への発光素子の発光の入射角度をより深くし,且つ安価な波長分離膜が使用できる一芯双方向送受信光デバイスの提供が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面に従い,本発明の実施例を説明する。
【0019】
図3は,本発明に従う一芯双方向送受信光デバイスの構成例を示す図である。図4は,図3のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【0020】
図3において,図1と同様に,光デバイス筐体10内に波長分離型プリズム1を内蔵し,発光素子2としてレーザダイオード(LD)と受光素子3としてフォトダイオード(PD)をフェルール4を筐体に固定する構造である。
【0021】
さらに,光ファイバ5が,フェルール4により保護され,光ファイバ5の端面が直接にプリズム1に突き当てられて,スリーブ6により固定されている。
【0022】
波長分離型プリズム1はフェルール4の端面に接着固定されている。プリズム1は2つの三角プリズム1A,1Bから構成され,例えば,SiO2とTiO2による多層膜を形成して作成された波長分離膜1Cを挟み込んだ構造である。
【0023】
本発明の特徴は,プリズム1の発光素子2側の三角プリズム1Aの屈折率を光ファイバ側の三角プリズム1Bの屈折率よりも大きくし,光ファイバ5側の三角プリズム1Bの屈折率は光ファイバ5と同じとする。
【0024】
かかる構成により,発光素子2からの波長λ1の光はプリズム1Aに入射される際,端面がα分の角度に傾いているので屈折するが,屈折率が大きくなっているのでより大きな屈折角γとなる。
【0025】
これにより波長分離膜1Cへの入射角β’がより深くなる。光ファイバ5側の三角プリズム1Bに入射される際,発光素子2側の三角プリズム1Aと屈折率が異なるために屈折が生じる。その結果,三角プリズム1Bへの通過光は光ファイバ光軸と平行になり過剰損失が無く光ファイバ5に入射される。
【0026】
上記の基本構成に基づく実施例を以下に説明する。
【0027】
図3において,プリズム1の光ファイバ5側の三角プリズム1Bの屈折率は光ファイバ5と同じ1.47である。これにより,光ファイバ5側の三角プリズム1Bと光ファイバ5の接続部位では屈折率の違いによる透過損を抑えることができる。
【0028】
一方,発光素子2側の三角プリズム1Aの屈折率は,三角プリズム1Bの屈折率より大きく1.52とし,波長λ1の光の入射面は,反射戻り光を防ぐため光軸の直交方向から角度α傾いている。
【0029】
発光素子2より発光された波長λ1の光はプリズム1の発光素子側三角プリズム1Aに入射される。波長λ1の光の三角プリズム1の入射面は,前記の通り傾いているので屈折が生じる。
【0030】
図5は,横軸を入射角度α,縦軸を損失としたときの,波長λ1の光の三角プリズム1Aの入射面の角度αを変えて,損失を測定したグラフである。このグラフから波長λ1の光の入射面の角度αを大きくすると透過損が大きくなる。したがって,角度αによる透過損の変化が少ない限界の程度が望ましい。
【0031】
入射面の角度αとして6°としたときの透過損は0.19dBとなり,従来の0.16dBに比べ0.03dBと僅かに大きくなる程度である。これは,図6に示すグラフから理解される。すなわち,図6は,入射面の角度αとして6°としたときの,横軸に空気の屈折率n0(=1)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n0/n1)をとり,縦軸に損失をとり従来例との比較を測定したグラフである。
【0032】
図6から,従来例Iに対し,本発明の実施例IIでは上記の通り透過損は僅かに大きくなる程度であることが理解できる。
【0033】
さらに,三角プリズム1Aの屈折率は1.52なので波長分離膜1Cへの入射角β’が深くなる。この場合の屈折角度β’は,2.06°となり従来の屈折角度βが1.92°であるのと比べて,三角プリズム1Aの屈折率の増加による屈折角度の増加を示す図である図7に示すように,0.14°大きくなる。
【0034】
図8は,波長分離膜1Cの透過損の角度依存性の一例を示す図である。図8から入射角が大きくなるほど緩やかに透過損が減少していくことが理解できる。
【0035】
したがって,図7に示したように,屈折角が大きくなるので透過損の角度トレランスのより緩い波長分離膜1Cを使用することができる。
【0036】
次に波長λ1の発光素子2で発光された光は,三角プリズム1Bに入射されるが,図4に示したように,三角プリズム1Aに比べて屈折率が小さい為に,光ファイバ5の光軸と平行方向に屈折し,光ファイバ5に入射される。
【0037】
これにより,光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれと損失との関係を示す図である図9に示すように,角度ずれによる過剰損が無く結合することができ,従来例Iに比べ0.7〜1.0dB改善される。
【0038】
図9の横軸は,光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれであり,縦軸に損失を示している。すなわち,従来例Iでは,2.06°であり,損失が大きい。これに対し,本発明の実施例IIにおいて,三角プリズム1Bに入射する光の入射角は,光ファイバ5の光軸に一致し,ずれ角度は0であり,ずれによる損失は生じない。
【0039】
さらに,三角プリズム1Aと三角プリズム1Bの屈折率の違いによる透過損は,図10に示すように,0.01dBと非常に小さい。図10は,横軸を三角プリズム1Bの屈折率n2(=1.47)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n2/n1)としている。
【0040】
また,前記した三角プリズム1Aに対する入射面の角度αとして6°としたときの透過損の増加分0.03dBと合わせても0.04dBとなる。
【0041】
図11は,従来例と本発明の比較をロス要因毎に示すテーブルであり,これを参照して0.66〜0.96dBの結合損の改善が実現できることが理解できる。
【0042】
一方,光ファイバ5から入射される波長λ2の受信光は,三角プリズム1Bに入射されるが,光ファイバ5の屈折率が同じなので屈折することなく三角プリズム1Bを伝搬し,波長分離膜1Cで反射される。
【0043】
すなわち,図12に示す波長分離膜1Cの特性例から理解できるように,波長λ2の受信光は,波長分離膜1Cを透過しないので,三角プリズム1Aの屈折率に影響されることなくは受光素子3に入射される。
【0044】
上記のとおり,本発明により,発光素子2で発光された波長λ1の光の波長分離膜1Cに入射する角度をより深くすることにより,安価な波長分離膜を使用でき,光ファイバ5の光軸との角度ずれによる過剰損失を抑えることができる。
【0045】
(付記1)
光ファイバと,
発光素子と,
受光素子と,
前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有し,
前記波長分離型プリズムは,
前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,
前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,
前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に
前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0046】
(付記2)
付記1において,
前記波長分離膜は,前記光ファイバの光軸に対し45°の傾きを成し,更に,前記発光素子により発光された光の前記第1の三角形プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜されていることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0047】
(付記3)
付記2において,
前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜角度が6°であることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0048】
(付記4)
付記1において,
前記第2の三角形プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【0049】
(付記5)
筐体と,
前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,
光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,
前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,
前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,
前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,
さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じである,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一芯双方向送受信光デバイス(以下光デバイス)の従来構造例を示す図である。
【図2】図1のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【図3】本発明に従う一芯双方向送受信光デバイスの構成例である。
【図4】図3のプリズム1の部分を拡大して示す図である。
【図5】横軸を入射角度α,縦軸を損失としたときの,波長λ1の光の三角プリズム1Aの入射面の角度αを変えて,損失を測定したグラフである。
【図6】入射面の角度αとして6°としたときの,横軸に空気の屈折率n0(=1)と三角プリズム1Aの屈折率n1との比(n0/n1)をとり,縦軸に損失をとり従来例との比較を測定したグラフである。
【図7】三角プリズム1Aの屈折率の増加による屈折角度の増加を示す図である。
【図8】波長分離膜1Cの透過損の角度依存性の一例を示す図である。
【図9】光ファイバ5の光軸に対する三角プリズム1Bに入射する光の入射角度のずれと損失との関係を示す図である。
【図10】三角プリズム1Aと三角プリズム1Bの屈折率の違いによる透過損を示す図である。
【図11】従来例と本発明の比較をロス要因毎に示すテーブルである。
【図12】波長分離膜1Cの特性例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 波長分離型プリズム
1A,1B 三角プリズム
2 発光素子
3 受光素子
4 フェルール
5 光ファイバ
6 スリーブ
10 筐体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと,
発光素子と,
受光素子と,
前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有し,
前記波長分離型プリズムは,
前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,
前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,
前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に
前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項2】
請求項1において,
前記波長分離膜は,前記光ファイバの光軸に対し45°の傾きを成し,更に,前記発光素子により発光された光の前記第1の三角形プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜されていることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項3】
請求項2において,
前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜角度が6°であることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項4】
請求項1において,
前記第2の三角形プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項5】
筐体と,
前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,
光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,
前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,
前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,
前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,
さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じである,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項1】
光ファイバと,
発光素子と,
受光素子と,
前記発光素子により発光された光を前記光ファイバに導き,前記光ファイバから入射した光を前記受光素子に導く波長分離型プリズムを有し,
前記波長分離型プリズムは,
前記発光素子により発光された光に対して入射面を有する第1の三角形プリズムと,
前記光ファイバから入射した光に対して入射面を有する第2の三角形プリズムと,
前記第1の三角形プリズムと前記2の三角形プリズム間に挟み込んで形成された波長分離膜を有して構成され,更に
前記第1の三角形プリズムの屈折率が,前記第2の三角形プリズムの屈折率よりも大きく設定されている,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項2】
請求項1において,
前記波長分離膜は,前記光ファイバの光軸に対し45°の傾きを成し,更に,前記発光素子により発光された光の前記第1の三角形プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜されていることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項3】
請求項2において,
前記光ファイバの光軸の直交方向に対し傾斜角度が6°であることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項4】
請求項1において,
前記第2の三角形プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じであることを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【請求項5】
筐体と,
前記筐体内に置かれた波長分離型プリズムを有し,更に,
光軸が前記波長分離型プリズムに向かう発光素子と,光軸が前記発光素子の光軸と直交し,且つ前記波長分離型プリズムに向かう受光素子と,前記波長分離型プリズムを通して前記発光素子の発光が入射され,前記波長分離型プリズムを通して前記受光素子に光を入射する光ファイバが,前記筐体に一体に固定されて構成された一芯双方向送受信光デバイスであって,
前記波長分離型プリズムは,前記発光素子の発光を透過し,前記光ファイバからの光を前記受光素子の方向に反射する波長分離膜をそれぞれ異なる屈折率の第1及び第2の三角プリズムで挟んで構成されるプリズムであり,
前記光ファイバの端面が前記第2の三角プリズムの端面に直接付けられ,
前記発光素子の発光の前記第1の三角プリズムの入射面が,前記光ファイバの光軸と直交する方向に対し傾きを有し,
さらに,前記第1の三角プリズムの屈折率が,前記光ファイバの屈折率よりも大きく,且つ前記第2の三角プリズムの屈折率が前記光ファイバの屈折率と同じである,
ことを特徴とする一芯双方向送受信光デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−224799(P2008−224799A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59628(P2007−59628)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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