説明

乗員状態検出装置

【課題】乗員の状態を精度良く検出することが出来る乗員状態検出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両のシートに設けられ乗員の着座によりシートにかかる圧力を検出する圧力検出手段32と、この圧力検出手段により検出された圧力に基づいて乗員の換気量を算出する換気量算出手段と、この換気量算出手段により算出された換気量から乗員の運転負荷量を推定する運転負荷量推定手段と、を有する。さらに、車両のエンジンの制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段と、圧力検出手段により検出された圧力の検出精度を判定する検出精度判定手段を有し、制御ゲイン変更手段による制御ゲインの値の変更量は、圧力の検出精度が高いとき、低いときよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員状態検出装置に係り、特に、車両のシートにかかる乗員の圧力から乗員状態を検出する乗員状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートに設けた圧力センサにより得られたシート反力の大きさから、ドライバの疲労度合いを算出する車両用着座モニタ装置が開示され、特許文献2には、シート座面に設けた圧力センサから得られる圧力分布から乗員の重心の変化を求め、その重心の変化から乗員の姿勢変化を検出し、この姿勢変化から運転者の状態を検出するドライバ状態判定装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−064131号公報
【特許文献2】特開2002−008159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような装置では、ドライバの運転負荷量や緊張状態などの乗員状態を検出することが出来ないものであった。
また、上述した装置では、ドライバの疲労度などを検出しても、その検出精度が低いものであった。従って、検出したドライバの状態に関する情報を基に積極的に車両制御を行うことなどは考えられておらず、警報等を行うにとどまっていた。
【0005】
ここで、本願の発明者らは、シートに設けた圧力センサにより得られた圧力データから乗員の換気量を求めることが出来ること、及び、換気量と乗員の運転負荷量或いは緊張度とは所定の相関関係があることを見出し、その上で、上述した従来技術の問題点を解決することを試みた。
本発明は、乗員の状態を精度良く検出することが出来る乗員状態検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、車両のシートに設けられ乗員の着座によりシートにかかる圧力を検出する圧力検出手段と、この圧力検出手段により検出された圧力に基づいて乗員の換気量を算出する換気量算出手段と、この換気量算出手段により算出された換気量から乗員の運転負荷量を推定する運転負荷量推定手段と、を有することを特徴とする車両用乗員状態検出装置。
このように構成された本発明においては、シートに設けられた圧力検出手段により、乗員の運転負荷量を精度良く検出することが出来る。
【0007】
また、本発明において、好ましくは、換気量は、圧力検出手段により得られた圧力波形から得られる吸気面積及び呼気面積から算出される。
このように構成された本発明においては、精度良く換気量を算出することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、換気量算出手段による換気量の算出及び運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、車両状態検出手段により車両が加速状態であると検出されたときに実行される。
このように構成された本発明においては、加速状態では乗員がシートに押しつけられるので圧力が精度良く検出され、このような圧力に基づいて換気量の算出及び運転負荷量の推定が行われる。従って、乗員の運転負荷量をより精度良く検出することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、換気量算出手段による換気量の算出及び運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、車両状態検出手段により車両が減速状態であると検出されたときに実行される。
このように構成された本発明においては、減速状態では乗員がブレーキペダルを踏むなどして自ら体をシートに押しつけようとするので圧力が精度良く検出され、このような圧力に基づいて換気量の算出及び運転負荷量の推定が行われる。従って、乗員の運転負荷量をより精度良く検出することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、換気量算出手段による換気量の算出及び運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、車両状態検出手段により車両がカーブ走行状態であると検出されたときに実行される。
このように構成された本発明においては、カーブ走行状態では乗員がシートに押しつけられるので圧力が精度良く検出され、このような圧力に基づいて換気量の算出及び運転負荷量の推定が行われる。従って、乗員の運転負荷量をより精度良く検出することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、さらに、圧力検出手段により検出された圧力が、換気量算出手段による換気量の算出及び運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定を実行するのに適切でない結果を示すとき、乗員に所定の着座姿勢を取るよう報知する着座姿勢報知手段を有する。
このように構成された本発明においては、報知により、乗員に対して、圧力が良好に検出するような所定の着座姿勢をとることを促すことが出来る。従って、乗員の運転負荷量をより精度良く検出することが出来る。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、換気量算出手段は、検出された車両の状態に応じて換気量の算出手法を変更する。
このように構成された本発明においては、車両状態に合わせて最適な換気量算出手法に変更することが出来る。その結果、換気量をより精度よく算出することが出来る。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両のエンジンの制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段と、圧力検出手段により検出された圧力の検出精度を判定する検出精度判定手段を有し、制御ゲイン変更手段による制御ゲインの値の変更量は、圧力の検出精度が高いとき、低いときよりも大きい。
このように構成された本発明においては、検出精度が高いときにより効果的にエンジン制御を行うことが出来る。さらに、検出精度が低いときにエンジン制御の変更量を小さくするので、乗員の意に反したエンジン制御が行われることを抑制することが出来る。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、さらに、車両の現在位置を取得する現在位置情報取得手段と、車外のサーバと所定の情報を送受信して路車間通信を行う路車間通信手段を有し、この路車間通信手段は、取得された現在位置情報と、この現在位置において運転負荷量推定手段により算出された乗員の運転負荷量のデータとをサーバに送信する機能を有する。
このように構成された本発明においては、例えば、運転負荷量が増大するような道路状況の位置及びどの程度の運転負荷量になるかを他車両の乗員に知らせることが出来、他車両の乗員の運転負担を減らすことが出来る。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、路車間通信手段は、車両前方の所定の領域の情報をサーバから受信する機能を有し、乗員状態検出装置は、さらに、受信した情報を乗員に報知する前方情報報知手段を有する。
このように構成された本発明においては、サーバの情報を利用して車両前方の領域の情報を予め知ることが出来るので、乗員の運転負担を減らすことが出来る。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、所定の領域は、運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が高いとき、低いときよりも前方に広い。
このように構成された本発明においては、運転負荷量が高いときにより広い領域の情報を得るので、より確実に運転負担を減らすことが出来る。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、前方情報報知手段は、運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が高いとき、サーバから受信した情報を音声により乗員に報知する。
このように構成された本発明においては、乗員の目で確認するより音声の方が乗員にかける負担が小さいので、より確実に運転負担を減らすことが出来る。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、さらに、運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が、乗員の感受性の低下を示す量であるとき、車両のエンジンの制御ゲインを小さくする制御ゲイン変更手段を有する。
このように構成された本発明においては、乗員の過剰な操作による過剰なエンジン動作を抑制することが出来る。
【0019】
また、本発明において、好ましくは、エンジンの制御ゲインは、少なくともスロットル開度、燃料噴射量及び加給圧のいずれか1つの制御ゲインである。
【発明の効果】
【0020】
本発明による乗員状態検出装置によれば、乗員の状態を精度良く検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態による乗員状態検出装置を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の実施形態による乗員の換気量の算出手法を説明する。本実施形態では、換気量を2つの手法で算出し、後述するように、走行状態に応じて使い分けるようにしている。
【0022】
先ず、第1の換気量算出手法を説明する。この第1の換気量算出手法は、後述するように、定常走行時、緩加速時、緩減速時、カーブ走行時、姿勢支持出力後に用いられる。第1の換気量算出手法では、乗員の換気量を、呼気量と吸気量とで算出する。
【0023】
先ず、図1に示すように、車両のシートに設けた圧力センサから得られた圧力値(乗員の体圧)は、呼吸に合わせて波形を描いて推移する。なお、息を吸うとき(吸気)には圧力が増え、息を吐くとき(呼気)には圧力が減る。本実施形態では、換気量を検出するために、先ず、このようなデータから、波形の頂部(Top)であるT1、T2、T3・・・Tiの時間値及び圧力値と、波形の底部(Bottom)であるB1、B2、B3・・・Biの時間値及び圧力値を定める。iは、換気量を1回算出するためのサンプリング数である。なお、i=1或いは2として、呼吸する毎に換気量を求めても良い。
【0024】
各頂部及び底部により、三角形状の領域が特定され、各々、1回の呼吸における呼気量或いは吸気量となる。例えば、T1、T2及びB1により形成された三角形は、ほぼ呼気量を表し、T2、B1及びB2により形成された三角形は、ほぼ吸気量を表す。
図1に示すように、それぞれの三角形領域の高さを、Ta1、Ta2・・・Ta(i−1)、或いは、Ba1、Ba2・・・Ba(i−1)として定める。例えば、Ta1は、
Ta1=(T1+T2)/2−B1 式(1)
で算出され、Ba1は、
Ba1=(B1+B2)/2−T2 式(2)
で算出される。Ta2以降、Ba2以降も同様に算出される。
【0025】
呼気量T0を、以下の近似式(3)のように、−(マイナス)の差分値平均として算出する。
T0=(Ta1+Ta2+・・・+Ta(i−1))/i 式(3)
吸気量B0を、以下の近似式(4)のように、+(プラス)の差分値平均として算出する。
B0=(Ba1+Ba2+・・・+Ba(i−1))/i 式(4)
【0026】
換気量を、本実施形態では、以下の式(5)で算出する。
換気量=T0+B0 式(5)
このように、本実施形態では、換気量として、吸気量と呼気量の和を求める。
なお、換気量を、以下の式(6)のように吸気量から呼気量を引いた値(残気量)で算出しても良い。
換気量=B0−T0 式(6)
【0027】
例えば、乗員が緊張状態にあるときには、過呼吸状態になり、このような過呼吸状態を検出するため、この式(6)のような残気量を用いても良い。なお、残気量は、長期的に感じるストレスを検出する際に用いるのが好ましい。また、パニック時などには、図1に示すような三角形が得られにくくなり、このような場合には、Ta、Baなどの差分だけを見ても良い。
【0028】
換気量の算出は、この第1の換気量算出手法、残気量による算出手法、差分による算出手法、以下に説明する第2の換気量算出手法など、状況に応じて算出方法を変更するようにしても良い。
【0029】
次に、第2の換気量算出手法を説明する。
この第2の換気量算出手法は、後述するように、わだちなどがある路面走行中、急加速時、急減速時に用いられる。
【0030】
図2に示すように、乗員検知センサから得られた圧力値は、呼吸に合わせて波形を描いて推移するが、この第2の換気量算出手法では、所定時間T内のパルス数(呼吸数)で換気量を算出する。パルス数は、図に示すように、n1、n2、n3・・・njとカウントされる。この所定時間Tとパルス数jとにより、換気量を算出する。この算出は、以下の式(7)で表される換算式或いはマップデータを使用する。
換気量=標準肺活量×j/T 式(7)
マップデータは、縦軸パルス数(j)と横軸所定時間(T)からなり、マップ上は検出エラー領域と換気量領域から構成される。
【0031】
次に、図3により、走行条件と換気量との関係について説明する。
図3に示すように、実験により、走行条件によって換気量が異なるというデータが収集されている。なお、横軸は、安静時の換気量を基準とした換気量指数をとっている。安静時とは、乗員がシートに正規の着座姿勢で座り、じっとしているときである。本実施形態では、このようなデータを、市街地やトンネルなどの走行環境や、車速などの車両状態により分類して規定している。また、走行条件と運転負荷量との関係、及び、走行条件と緊張度との関係を予めマップで規定している。これらのようなマップを基に、所定の走行環至境及び所定の車両状態で走行している乗員の運転負荷量や緊張度を推定することが出来る。
【0032】
次に、図4乃至図6により、本実施形態の乗員状態検出装置の構成を説明する。
図4及び図5に示すように、車両1は、車両1の横加速度及び前後方向加速度を検出するGセンサ2、車速を検出する車速センサ4、ハンドルの操舵角を検出する舵角センサ6、アクセル開度を検出するアクセルセンサ8、ブレーキ圧を検出するブレーキ圧センサ10、車両1の周囲の照度を検出する照度センサ12、路面のμを検出する路面センサ14、及び、ナビゲーションユニット16を備えている。このナビゲーションユニット16には、ナビゲーションユニット16に自車位置情報を提供するGPSアンテナ18が接続されている。
【0033】
さらに、車両1は、ECU20を備え、上述した各センサ2、4、6、8、10、12、14の出力信号及びナビゲーションユニット16の情報は、このECU20に入力されるようになっている。また、車両1は、記憶装置17を有し、この記憶装置17に記憶された情報も、ECU20に入力されるようになっている。
【0034】
さらに、車両1は、エンジン21を制御するエンジン制御ユニット22と、路車間通信用アンテナ24と、乗員に対し種々の警報を行う警報装置26と、を備えている。を備えている。この路車間通信用アンテナ24は、情報の提供等を行う情報センタ(図示せず)に設けられたサーバ28(図5参照)や各地域に設置された通信局(図示せず)を経由して他車両に接続可能である。なお、ナビゲーションユニット16の代わりに、或いは、ナビゲーションユニット16を補完するために、路車間通信用アンテナ24を利用してサーバ28やインターネット等から地図情報等の種々の情報を受信しても良い。
【0035】
さらに、車両1は、また、車両1のドライバシート30には、乗員検知センサ32が設けられ、乗員検知センサ32の出力信号は、ECU20に入力されるようになっている。
ECU20は、後述する処理内容に従い、エンジン制御ユニット22及び警報装置26を制御し、また、路車間通信用アンテナ24を介して所定の情報を送受信する。
【0036】
図6に示すように、ドライバシート30には、その座面部及びシートバック部に複数の乗員検知センサ32が設けられている。本実施形態では、これらの乗員検知センサ32は、歪み式の圧力センサであり、シート30にかかる乗員の体圧を検出するようになっている。なお、センサ32は、エアーパック式或いは感圧シート式でも良い。例えば、図7に示すように、シートバック部にエアーパック式の圧力センサ33を設け、或いは、図8に示すように、スライダ34に接続されるシート下部35に歪み式や感圧シート式のセンサ36を設けても良い。
【0037】
次に、図9により、ECU20による処理のメインフローを説明する。
図9に示すように、先ず、S1において、各センサ2、4、6、8、10、12、14、32の信号の入力を受け付ける。また、S1においては、ナビゲーションユニット16から、現在位置情報及び地図情報の入力も受け付ける。次に、S2において、換気量を算出可能な条件であるか否かを判定する換気量算出条件判定処理を行い、S3において換気量を算出する。
次に、S4において、S3で算出された換気量を基にドライバの運転負荷量を推定し、その推定結果に基づいてエンジン制御ゲインを算出する。次に、S5においては、S3で算出された換気量を基にドライバの緊張度を推定し、その推定結果に基づいて路車間通信処理及び乗員負担軽減処理を行う。
【0038】
以下、各ステップS1〜S5における処理内容を説明する。
先ず、図10乃至図12により、図9のS2における換気量算出条件判定処理を説明する。
図10に示すように、S20において、カーブ走行中か否かをGセンサ2の出力信号を基に判定し、S21において、加減速走行中か否かをアクセルセンサ8及びブレーキ圧センサ10の出力信号を基に判定する。
【0039】
S20及びS21において、カーブ走行中でも加減速走行中でもないと判定された場合には、S22において、警報装置26により、ドライバに対し所定の着座姿勢をとるように報知する。所定の着座姿勢とは、乗員検知センサ32により圧力を適正に検出することが出来るようなドライバの着座姿勢である。即ち、シートに密着するように指示を行い、圧力を確実に検出するようにする。また、体動を停止するような警報も行うのが好ましい。
【0040】
次に、S23に進み、S22において着座姿勢指示報知後の所定時間(例えば、10秒)内か否かを判定する。
カーブ走行中であるとき(S20で「はい」と判定)、或いは、加減速走行中であるとき(S21で「はい」と判定)には、ドライバがシートに密着しており、ドライバの体圧が乗員検知センサ32に適正にかかる場合と考えられる。即ち、カーブ走行時や加速時には、所定のGがドライバにかかり、シートに押しつけられるからであり、減速時には、減速Gに対し反発し、ペダルを踏むなどしてドライバ自身でシートに押しつけるようにするからである。従って、これらの場合は、S24に進み、換気量算出条件フラグ(換気量を算出しても良い、という指示のためのフラグ)をセットする(フラグを立てる)。
【0041】
また、S23において、着座姿勢指示表示後の所定時間内であると判定された場合には、ドライバが指示された姿勢に座り直すか、指示された姿勢を保っていると考えられるので、同じく、S24に進み、換気量算出条件フラグをセットする。
【0042】
一方、S20、S21及びS23において、「いいえ」と判定された場合には、ドライバの体圧が乗員検知センサ32に適正にかかっていない場合であるとの判断のもとに、S25に進み、換気量算出条件フラグをリセットする。なお、変速発生時や、ペダル操作時であることを検出して、これらの場合にも、換気量算出条件フラグをリセットするようにしても良い。体動が発生しており、精度が悪化するからである。
【0043】
なお、S22による処理を、所定時間毎、所定走行距離毎に行うようにしても良い。そうすれば、ドライバに煩雑感を与えずに、且つ、所定の間隔で確実に精度良い検出が行われるようにすることが出来る。また、S20、S21の判定の他、ハンドル操作が所定時間行われていない(真っ直ぐな道路を走っており、定常走行していると思われる)場合を検出して、S24に進むようにしても良い。
【0044】
なお、図10の処理に代えて、変形例として図11の処理を行うようにしても良い。
この変形例では、先ず、S120において、乗員検知センサ32の出力が、しきい値α1を超えるか否かを判定する。α1より大きい場合とは、図12に示すように、乗員検知センサ32の出力信号が波形を描いて推移し、換気量を検出可能な場合である。
【0045】
S120において、「はい」と判定された場合には、換気量を精度良く検出可能な条件であるので、S124に進み、図10のS24と同様に換気量算出条件フラグをセットする。S120において、「いいえ」と判定された場合には、換気量の検出精度が低くなってしまうので、S125に進み、図10のS25と同様に換気量算出条件フラグをリセットする。
【0046】
次に、図12及び図13により、図9のS3における換気量算出処理について説明する。
図13に示すように、S30において、換気量算出条件フラグがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、以下の処理を行わない。
セットされている場合には、S31に進み、乗員検知センサ32の出力が、しきい値α2を超えているか否かを判定する。α2より大きい場合とは、図12に示すように、乗員検知センサ32の出力信号の大きさ及び振幅ともに大きく、検出精度が高い場合である。
【0047】
S31において、乗員検知センサ32の出力がα2を超える場合には、S32に進み、検出精度フラグ(検出精度が高いことを示すフラグ)をセットし、α2を超えない場合には、S33に進み、検出精度フラグをリセットする。
【0048】
次に、S34においては、車両が急加速中或いは急減速中であるか否かを、Gセンサ2、アクセルセンサ8、ブレーキ圧センサ10の出力信号を基に判定し、S35においては、車両が走行している路面がわだちが大きな路面であるか否かを、路面センサ14の出力信号を基に判定する。
【0049】
車両が急加速中或いは急減速中でなく(S34において「いいえ」と判定)、さらに、車両がわだち路面を走行していない場合(S35で「いいえ」と判定)には、S36に進む。
S36では、上述した第1の換気量算出手法(図1参照)により、ドライバの換気量を算出する。第1の換気量算出手法を用いるのは、急加速或いは急減速、わだち路面走行時以外は、比較的正確な波高値(図1のT1、B1など)を検出することが出来るためである。
【0050】
一方、車両が急加速中或いは急減速中であり(S34において「はい」と判定)、或いは、車両がわだち路面を走行している場合(S35で「はい」と判定)には、S37に進む。
S37では、上述した第2の換気量算出手法(図2参照)により、ドライバの換気量を算出する。第2の換気量算出手法を用いるのは、わだちなどがある路面走行中は、呼吸の周波数と路面の周波数がほぼ重なるため、上述した第1の換気量算出手法のように、波高値(T1、B1・・・)を精度良く検出するのが難しいためである。また、急加速時、急減速時には、圧力がかかりすぎるため、波高値(T1、B1・・・)を精度良く検出するのが難しいためである。
【0051】
次に、図14及び図15により、図9のS4における運転負荷量推定処理及びエンジン制御ゲイン算出処理について説明する。
図14に示すように、S40において、換気量算出条件フラグがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、以下の処理を行わない。
セットされている場合にはS41に進み、運転負荷量を推定する。このS41では、運転負荷量は、S1(図9)で入力された情報と、記憶装置17に記憶された運転負荷量規定マップと、により推定される。なお、運転負荷量とは、意識、無意識に関わらず、身体的、精神的に乗員(運転者)が受ける負荷の加減値である。この運転負荷量により、乗員の疲労度を表すことも出来る。
【0052】
記憶装置17(図4、図5参照)に記憶されている運転負荷量規定マップの一例を図15に示す。図15に示す例では、トンネル走行時(走行環境)における運転負荷量βが、換気量と車速(車両状態)との関係で規定されている。このように、走行環境、車両状態及び乗員の換気量と、乗員の運転負荷量βとの関係を規定したマップ(運転負荷量規定マップ)が、他の条件を含めて規定されている。走行環境とは、市街地走行、トンネル走行などの車両の周囲の環境を言い、車両状態とは、車両の車速や加減速度などを言う。乗員の換気量は、上述した第1或いは第2の換気量算出手法により算出される換気量に相当するものである。なお、本実施形態では、換気量、運転負荷量β、後述する緊張度γは、いずれも、安静時を基準とした相対的な点数で規定されている。
【0053】
図14に示すS41では、車両が、現在、市街地を走行しているのか、トンネルを走行しているのか等の走行環境を、S1でナビゲーションユニット16から入力された情報を基に判断する。また、車速などの車両状態は、S1で入力された車速センサ4などの情報を使用する。また、換気量は、図13に示すS36或いはS37において算出された換気量を使用する。
そして、S41では、このような車両の現在の走行環境、車両状態及び乗員の換気量を、運転負荷量規定マップに照らし合わせることにより、マップ中からβの値を定め、この値を、運転負荷量の推定値βとして決定する。
【0054】
次に、S42に進み、S41で決定された運転負荷量βが、しきい値β1を超えるか否かを判定する。ここで、運転負荷量が或る程度大きくなるとドライバの感受性が低下する、という関係がある。本実施形態では、ドライバの感受性が低下した場合には、エンジン制御ゲインを補正することが好ましいとの考えに基づき、補正を行うか否かのしきい値β1の値を予め設定している。
従って、S41で決定された運転負荷量βがβ1を超える場合には、S43〜S45のエンジン制御ゲインの補正の処理に進み、β1を超えない場合には、エンジン制御ゲインの補正を行わない。
【0055】
S43においては、図13に示すS32或いはS33の処理により、検出精度フラグがセットされているか、リセットされているかを判定する。
検出精度フラグがセットされている場合には、S44に進み、エンジンの噴射量算出用ゲインK11、スロットル開度用ゲインK12及び加給圧制御用ゲインK13を決定する。ここで、運転負荷量が大きい場合(β>β1の場合)には、ドライバの感受性が低下していると考えられるので、S44では、各ゲインK11、K12、K13を、通常時よりも小さくなるように変更している。例えば、K11=0.90、K12=0.80、K13=0.85である。このようにアクセル開度に対するスロットル開度、噴射量などを低減させて燃費を改善する。この際、各ゲインK11、K12、K13の変更量は、ドライバが不快と感じない程度の量である。
【0056】
一方、検出精度フラグがリセットされている場合には、S45に進み、エンジンの噴射量算出用ゲインK21、スロットル開度用ゲインK22及び加給圧制御用ゲインK23を決定する。このS45でも、S44と同様に、各ゲインK21、K22、K23を、通常時よりも小さくなるように変更している。ただし、このS45に進む場合には、検出精度が比較的低いと考えられる場合であるので、各ゲインK21、K22、K23の通常時に対する変更量が、S44における変更量よりも小さくなるようにしている。例えば、K11=0.95、K12=0.90、K13=0.90である。このように、検出精度の低下による誤差を考慮して、補正による影響度が小さくなるようにしている。
【0057】
S46において、エンジン制御ユニット22は、S44或いはS45で決定された各ゲインK11、K12、K13、K21、K22、K23に基づいてエンジン制御を行う。
なお、エンジンの制御ゲインの変更に加え、或いは、その代わりに、例えば、サスペンションのダンパの減衰力の変更や、ヘッドランプの点灯のO「いいえ」FFなど、他の制御を行っても良い。これらの場合も、検出精度に応じて、制御内容或いは制御量を変えるようにするのが好ましい。
【0058】
次に、図16乃至図19により、図9のS5における緊張状態推定処理、路車間通信処理及び乗員負担軽減処理について説明する。
図16に示すように、S50において、換気量算出条件フラグがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、以下の処理を行わない。
セットされている場合にはS51に進み、緊張状態を推定する。このS51では、緊張状態は、緊張度γによって表される。緊張度γは、S1(図9)で入力された情報と、記憶装置17に記憶された緊張度規定マップと、により推定される。なお、緊張度とは、意識、無意識に関わらず精神的に受ける運転負荷を示す指標の一つであり、乗員が道路状況などに応じてどの程度緊張しているかを示すものである。
【0059】
記憶装置17(図4、図5参照)に記憶されている緊張度規定マップの一例を図17に示す。図17に示す例では、トンネル走行時(走行環境)における緊張度γが、換気量と車速(車両状態)との関係で規定されている。このように、走行環境、車両状態及び乗員の換気量と、乗員の緊張度γとの関係を規定したマップ(緊張度規定マップ)が規定されている。走行環境、車両状態及び乗員の換気量は、図15の運転負荷量規定マップと同様の内容である。
【0060】
このS51においても、上述したS41と同様に、車両の現在の走行環境、車両状態及び乗員の換気量を、ナビゲーションユニット16、車速センサ4など、S36或いはS37(図13参照)の処理、で得られる情報を使用する。
そして、S51では、S41と同様に、車両の現在の走行環境、車両状態及び乗員の換気量を、緊張度規定マップに照らし合わせることにより、マップ中からγの値を定め、この値を、緊張度の推定値γとして決定する。
【0061】
次に、S52に進み、S51で決定された緊張度γが、しきい値γ1を超えるか否かを判定する。ここで、緊張度が或る程度大きい場合には、走行中に何らかの緊張を強いるものがあるということである。例えば、市街地で人通りが多い場合や、高速道路において看板が多数出ている場合などである。このような場合には、ドライバの運転の負担を下げることや、他の車両にそのような情報を伝えることが安全性に寄与することになる。このしきい値γ1の値は、ドライバの負担を下げること、或いは、他車両に情報を伝えることが好ましと考えられるような緊張度の値として予め設定されている。
【0062】
γがγ1を超えている場合には、S53に進み、S53においては、図13に示すS32或いはS33の処理により、検出精度フラグがセットされているか、リセットされているかを判定する。
【0063】
検出精度フラグがセットされている場合には、S54に進み、緊張度γがγ1を超えている地点の位置情報及び緊張度γの値のデータを、路車間通信用アンテナ24(図5参照)によりサーバ28に送る。サーバ28は、このような情報を記憶する。サーバ28は、その記憶された地点をこれから走行しようとする他車両等に、参考情報として、地点情報と緊張度情報とを配信する。
【0064】
次に、S55に進み、自車両のドライバには、ナビゲーションユニット16の機能を利用して、ドライバの負担を減らすような表示を行う。
例えば、ナビゲーション16の表示画面が、図18に示すような表示(通常表示)から、図19に示すような表示(負担軽減のための表示)に変更される。即ち、図19では、通常時(図18)には表示されない情報として、Lで示す領域(区間)の情報(「事故多発地点」、「駐車車両あり」)が早めに表示される。このように、進行方向に対する前方の情報を表示するタイミングを通常より早くすること、言い換えれば、進行方向前方の情報表示区間を通常時よりも拡大することによりドライバにいち早く情報を伝えて、ドライバの負担を軽減するようにしている。
次に、S56に進み、緊張度γが非常に大きい場合や、S55の処理が行われてから数秒経った場合には、画面表示から音声による報知に切り換える。例えば、事故多発地点までの距離を音声で知らせる。音声による報知は、警報装置26により行われる。これは、画面を見るよりも、音声により情報を得る方が、ドライバへの負担がより少ないからである。
【0065】
一方、検出精度フラグがリセットされている場合には、S57に進み、ドライバの負担を軽減するために、S55と同様に、前方の情報表示領域を通常時よりも拡大した図19のようなナビゲーション画面を表示する。しかし、S54のような路車間通信処理は行わない。これは、このS57に進む場合には、検出精度が比較的低いと考えられる場合であるので、誤った情報がサーバ28に蓄積されるのを防止するためである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】シートに設けた圧力センサにより得られる呼吸を表す波形と、この波形から呼気量及び吸気量を求めるための頂部T、底部B及び高さTa、Baを示す線図である。
【図2】シートに設けた圧力センサにより得られる呼吸を表す波形と、この波形から換気量を求めるためのパルス数nを示す線図である。
【図3】走行条件と換気量との相関を示す実験データである。
【図4】本発明の実施形態による車両に搭載された乗員状態検出装置の構成を示す概念図である。
【図5】本発明の実施形態による乗員状態検出装置の構成をしめすブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による乗員検知センサのシートへの設置位置を示す車両用シートの斜視図である。
【図7】変形例による乗員検知センサのシートへの設置位置を示す車両用シートの斜視図である。
【図8】変形例による乗員検知センサのシートへの設置位置を示す車両用シートの斜視図である。
【図9】本発明の実施形態の乗員状態検出装置による処理のメインフローを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態による換気量算出条件判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】変形例による換気量算出条件判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】乗員検知センサの出力波形と、しきい値α1、α2とを示す線図である。
【図13】本発明の実施形態による検出精度判定処理を含む換気量算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態による運転負荷量推定処理を含むエンジン制御ゲイン算出条件判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態による運転負荷量規定マップの一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態による緊張度推定処理を含む路車間通信及び乗員負担軽減処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態による緊張度規定マップの一例を示す図である。
【図18】通常時のナビゲーション画面の一例を示す図である。
【図19】ドライバの負担軽減処理により情報拡大領域が設定されたナビゲーション画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
32、33、36 乗員検知センサ(圧力センサ)
i サンプリング数
T 呼吸を示す圧力波形の頂部
B 呼吸を示す圧力波形の底部
Ta、Ba T及びBにより規定される三角形領域の高さ
n パルス点(呼吸カウント点)
α(α1、α2) 乗員検知センサの出力(第1及び第2のしきい値)
β(β1) 運転負荷量(しきい値)
γ(γ1) 緊張度(しきい値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに設けられ乗員の着座によりシートにかかる圧力を検出する圧力検出手段と、
この圧力検出手段により検出された圧力に基づいて乗員の換気量を算出する換気量算出手段と、
この換気量算出手段により算出された換気量から乗員の運転負荷量を推定する運転負荷量推定手段と、
を有することを特徴とする車両用乗員状態検出装置。
【請求項2】
上記換気量は、上記圧力検出手段により得られた圧力波形から得られる吸気面積及び呼気面積から算出される請求項1記載の乗員状態検出装置。
【請求項3】
さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、
上記換気量算出手段による換気量の算出及び上記運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、上記車両状態検出手段により車両が加速状態であると検出されたときに実行される請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項4】
さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、
上記換気量算出手段による換気量の算出及び上記運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、上記車両状態検出手段により車両が減速状態であると検出されたときに実行される請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項5】
さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、
上記換気量算出手段による換気量の算出及び上記運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定は、上記車両状態検出手段により車両がカーブ走行状態であると検出されたときに実行される請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項6】
さらに、上記圧力検出手段により検出された圧力が、上記換気量算出手段による換気量の算出及び上記運転負荷量推定手段による運転負荷量の推定を実行するのに適切でない結果を示すとき、乗員に所定の着座姿勢を取るよう報知する着座姿勢報知手段を有する請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項7】
さらに、車両の状態を検出する車両状態検出手段を有し、
上記換気量算出手段は、検出された車両の状態に応じて換気量の算出手法を変更する請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項8】
さらに、上記車両のエンジンの制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段と、
上記圧力検出手段により検出された圧力の検出精度を判定する検出精度判定手段を有し、
上記制御ゲイン変更手段による上記制御ゲインの値の変更量は、上記圧力の検出精度が高いとき、低いときよりも大きい請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項9】
さらに、車両の現在位置を取得する現在位置情報取得手段と、
車外のサーバと所定の情報を送受信して路車間通信を行う路車間通信手段を有し、
この路車間通信手段は、取得された現在位置情報と、この現在位置において上記運転負荷量推定手段により算出された乗員の運転負荷量のデータとを上記サーバに送信する機能を有する請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項10】
上記路車間通信手段は、車両前方の所定の領域の情報を上記サーバから受信する機能を有し、
上記乗員状態検出装置は、さらに、上記受信した情報を乗員に報知する前方情報報知手段を有する請求項9に記載の乗員状態検出装置。
【請求項11】
上記所定の領域は、上記運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が高いとき、低いときよりも前方に広い請求項10に記載の乗員状態検出装置。
【請求項12】
上記前方情報報知手段は、上記運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が高いとき、上記サーバから受信した情報を音声により乗員に報知する請求項10に記載の乗員状態検出装置。
【請求項13】
さらに、上記運転負荷量推定手段により推定された運転負荷量が、乗員の感受性の低下を示す量であるとき、上記車両のエンジンの制御ゲインを小さくする制御ゲイン変更手段を有する請求項1に記載の乗員状態検出装置。
【請求項14】
上記エンジンの制御ゲインは、少なくともスロットル開度、燃料噴射量及び加給圧のいずれか1つの制御ゲインである請求項13に記載の乗員状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−261310(P2007−261310A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85833(P2006−85833)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】