説明

代謝調節型グルタミン酸レセプターのポジティブアロステリックモジュレーターとしてのヘテロ三環式化合物

本発明は、式(I)(式中、X、X、Y、Z、Z、Z、M及び(A)は、式(I)で定義された通りである)の新規な化合物に関し、発明の化合物は、代謝調節型グルタミン酸レセプターサブタイプ4(「mGluR4」)のモジュレーターであり、それは中枢神経系障害及びmGluR4受容体で調節される他の障害の治療又は予防に有用である。本発明はまた、医薬組成物、医薬の製造におけるそのような化合物の使用、さらにmGluR4が関与するそのような疾患の予防及び治療のためのそのような化合物の使用を対象とする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【化1】


本発明は、式(I)(式中、X、X、Y、Z、Z、Z、M及び(A)は、式(I)で定義された通りである)の新規な化合物に関し、発明の化合物は代謝調節型グルタミン酸レセプターサブタイプ4(「mGluR4」)のモジュレーターであり、それは中枢神経系障害及びmGluR4受容体で調節される他の障害の治療又は予防に有用である。本発明はまた、医薬組成物、医薬の製造におけるそのような化合物の使用、さらにmGluR4が関与するそのような疾患の予防及び治療のためのそのような化合物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
グルタメートは、哺乳動物の中枢神経系(CNS)において主要なアミノ酸伝達物質である。グルタメートは、例えば学習及び記憶ばかりでなく、感覚の認知、シナプス可塑性の発現、運動制御、呼吸及び心血管機能の制御など多数の生理機能において主要な役割を果たしている。さらに、グルタメートは、グルタミン酸作動性の神経伝達のアンバランスが存在する、いくつかの異なる神経性及び精神性疾患の中心に位置する。
【0003】
グルタメートは、イオンチャネル型グルタミン酸レセプターチャネル(iGluRs)、すなわち高速の興奮伝達を起こすNMDA、AMPA及びカイニン酸レセプターの活性化を介して、シナプスの神経伝達を媒介する(Nakanishiら、(1998)、Brain Res Rev.、26:230−235)。
【0004】
加えて、グルタメートはシナプス効力の微細調整に寄与する修飾的役割をより多く担う代謝調節型グルタミン酸レセプター(mGluR)を活性化する。
【0005】
mGluRは、7回膜貫通型ドメインを有するGタンパク質結合受容体(GPCR)であり、カルシウム感知、GABAb及びフェロモン受容体と共にGPCRのファミリー3に属する。
【0006】
mGluRファミリーは、8つのメンバーから構成される。これらは、配列相同性、薬理学的特性及び活性化された細胞内シグナル伝達カスケードの性質により3つのグループに分類される(グループIは、mGluR1及びmGluR5を含み、グループIIは、mGluR2及びmGluR3を含み、グループIIIは、mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8を含む)(Schoeppら、(1999)、Neuropharmacology、38:1431−1476)。
【0007】
グルタメートは、本明細書中ではオルトステリック結合部位と呼ばれ、受容体の大きなアミノ末端細胞外ドメインへの結合を介してmGluRを活性化する。この活性化により、受容体のコンフォメーション変化が誘発され、Gタンパク質及び細胞内シグナル伝達経路の活性化が生じる。
【0008】
中枢神経系において、mGluR4受容体は、小脳皮質、基底核、視床及び海馬の知覚リレー核において最も強く発現する(Bradleyら、(1999)、Journal of Comparative Neurology、407:33−46、Cortiら、(2002)、Neuroscience、110:403−420)。mGluR4サブタイプは、Gαi/oタンパク質の活性化を介してアデニル酸シクラーゼと負に共役し、シナプス前終末上に主に発現し、自己受容体又はヘテロ受容体として機能し、mGluR4の活性化により、シナプス前終末からの伝達物質の遊離を減少させる(Cortiら、(2002)、Neuroscience、110:403−420、Milianら、(2002)、Journal of Biological Chemistry、277:47796−47803、Valentiら、(2003)、Journal of Neuroscience、23:7218−7226)。
【0009】
mGluR4のオルトステリック作動薬は、選択性がなく、もう一方のグループIIIのmGluR(Schoeppら、(1999)、Neuropharmacology38:1431−1476)を活性化する。グループIIIのオルトステリック作動薬L−AP4は、パーキンソン病の動物モデルにおいて運動障害を減少させることができ(Valentiら、(2003)、J.Neurosci.、23:7218−7226)、興奮毒性を減少させることができたが(Brunoら、(2000)、J.Neurosci.20、6413−6420)、このような効果は、mGluR4を介して媒介されるように思われる(Marinoら、(2005)、Curr.Topics Med.Chem.、5:885−895)。LAP−4、ACPT−1に加えて、別の選択性グループIIIのmGluR作動薬が、ハロペリドール誘発性カタレプシーにおける用量及び構造依存的減少を起こし、線条体におけるハロペリドール増加によるプロエンケファリンmRNA発現を減衰させることが示された(Koniecznyら、(2007)、Neuroscience、145:611−620)。さらに、Lopezら、(2007、J Neuroscience、27:6701−6711)は、淡蒼球へのACPT−I又はLAP−4の両側点滴が、制御の遂行に影響を及ぼすことなく、反応時間課題における黒質線条体のドーパミンニューロンの6−ヒドロキシドパミン病変により生じる激しい無動障害を完全に逆転させることを示した。加えて、淡蒼球内ACPT−1によるハロペリドール−誘発性カタレプシーの逆転は、選択性グループIII受容体拮抗薬(RS)−α−シクロプロピル−4−ホスホノフェニルグリシンの同時投与により防止された。SNrにおけるグループIII、mGluRの活性化により引き起こされる逆の作用は、基底核の活性の正常化における、他のmGluR受容体サブタイプよりもむしろmGluR4の役割を強く示唆している(Lopezら、2007)。
【0010】
このような結果は、mGluRサブタイプの中でも、mGluR4が、パーキンソン病の治療に対して最も興味深い新規な薬物ターゲットであると考えられていることを示唆している(総説に関しては、Connら、(2005)、Nature Review Neuroscience、6:787−798を参照されたい)。
【0011】
パーキンソン病の症状は、基底核の直接出力路及び間接出力路のアンバランスが原因であるようなので、間接路における抑制GABA作動性の線条体淡蒼球系シナプスの伝達の減少により、このような症状が軽減され得る(Marinoら、(2002)、Amino Acids、23:185−191)。
【0012】
mGluR4は、線条体黒質のシナプスよりも線条体淡蒼球シナプスに多く含まれ、局在することから、GABA作動性ニューロン上のシナプス前ヘテロ受容体としての機能が示唆されており(Bradleyら、(1999)、Journal of Comparative Neurology、407:33−46)、これはmGluR4の選択的活性化又は正の調節がこのシナプスにおけるGABA放出を減少させ、よって間接路の出力が低下し、パーキンソン病症状が低減又は取り除かれることになることを示唆している。パーキンソニズムの古典的治療は、通常、カルビドパ(SINEMET(商標))又はベンセラジド(MADOPAR(商標))と組み合わせた、レボドパの使用を含む。ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、リスリド及びペルゴリド(CELANCE(商標))などのドーパミン作動薬は、ドーパミン受容体に直接作用し、パーキンソニズムの治療にも使用される。これらの分子は、レボドパと同じ副作用プロファイルを有する。
【0013】
mGluRで作用する選択性化合物を開発するための新しい方法は、アロステリック機序を介して作用する分子を同定することであり、この分子は、高度に保護されたオルトステリック結合部位とは異なる部位に結合することによって、受容体を調節する。
【0014】
mGluRのポジティブアロステリックモジュレーターが最近、魅力的な選択肢を提供する新規な薬理学的実体として出現した。この種類の分子は、mGluR1、mGluR2、mGluR4、mGluR5、mGluR7及びmGluR8に対して発見された(Knoflach F.ら、(2001)、Proc.Natl.Acad.Sci.U S A.、98:13402−13407、Johnson M.P.ら、(2002)、Neuropharmacology、43:799−808、O’Brien J.A.ら、(2003)、Mol.Pharmacol.、64:731−740、Johnson M.P.ら、(2003)、J.Med.Chem.、46:3189−3192、Marino M.J.ら、(2003)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100:13668−13673、Mitsukawa K.ら、(2005)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、102(51):18712−18717、Wilson J.ら、(2005)、Neuropharmacology、49:278、総説に関しては、Mutel V.、(2002)、Expert Opin.Ther.Patents、12:1−8、Kew J.N.、(2004)、Pharmacol.Ther.、104(3):233−44、Johnson M.P.ら、(2004)、Biochem.Soc.Trans.、32:881−887、最近のものでは、Ritzen A.、Mathiesen、J.M.及びThomsen C.、(2005)、Basic Clin.Pharmacol.Toxicol.97:202−213を参照されたい)。
【0015】
特に分子は、mGluR4のポジティブアロステリックモジュレーター(Majら、(2003)、Neuropharmacology、45:895−906、Mathiesenら、(2003)、British Journal of Pharmacology、138:1026−1030)として記述されてきた。このような分子は、インビトロのシステム及びラットの脳のスライスにおいて、これらが線条体淡蒼球シナプスで伝達を抑制するLAP−4の効果を増強したとして特徴づけられたことが実証された。このような化合物は、これら自体で受容体を活性化するわけではない(Marinoら、(2003)、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、100:13668−13673)。これらの化合物はむしろ、それ自体は最小の反応しか誘発しないグルタメート又はグループIIIオルトステリック作動薬L−AP4の濃度に対して、受容体が最大の反応を起こすことを可能にする。
【0016】
他のmGluRに活性のないmGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターであるPHCCC(Majら、(2003)、Neuropharmacology、45:895−906)は、パーキンソン病の動物モデルにおいて効果的であることが示され、したがってこれらは、パーキンソン病及び他の運動不全及び障害(Marinoら、(2003)、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、100:13668−13673)、パーキンソン病における神経変性(Marinoら、(2005)、Curr.Topics Med.Chem.、5:885−895、Valentiら、(2005)、J.Pharmacol.Exp.Ther.313:1296−1304、Vernonら、(2005)、Eur.J.Neurosci.、22:1799−1806、Battagliaら、(2006)、J.Neurosci.26:7222−7229)及びアルツハイマー病又は虚血性若しくは傷害性侵襲による神経変性(Majら、(2003)、Neuropharmacology、45:895−906)に対する有力な新規治療手段であることを意味する。
【0017】
PHCCCはまた、不安の動物モデルにおいて活性があることが示された(Stachowiczら、(2004)、Eur.J.Pharmacol、498:153−156)。ACPT−1は、海馬内の投与後に用量依存の抗コンフリクト作用を生じ、側脳室内投与後にラットに抗抑鬱剤様効果をもたらすことが以前示されている(Tatarczynskaら、(2002)、Pol.J.Pharmacol.、54(6):707−710)。
【0018】
ランゲルハンス島のα細胞及びF細胞に発現するmGluR4受容体の活性化は、グルカゴン分泌を抑制する。これら受容体のアゴニスト活性を活性化又は増強する分子は、2型糖尿病の症状の1つである高血糖に対する有効な治療法となり得る(Ueharaら、(2004)、Diabetes、53:998−1006)。
【0019】
β−ケモカインRANTESは、ニューロンの炎症に重大に関与し、多発性硬化症の病態生理に関係している。L−AP4による、グループIII、mGluRの活性化は、野生型培養したアストロサイトにおいてはRANTESの合成及び放出を低下させたが、RANTESを抑制するL−AP4の能力は、mGluR4ノックアウトマウスから培養したアストロサイトにおいては大きく減少した(Besongら、(2002)、Journal of Neuroscience、22:5403−5411)。このようなデータは、mGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターが、多発性硬化症及び関連する障害を含めた、中枢神経系の神経炎症障害に対して有効な治療となり得ることを示唆している。
【0020】
mGluR4受容体の2つの異なる変異体は、味覚組織に発現し、うま味(umammi)感覚の受容体として機能し得る(Monastyrskaiaら、(1999)、Br.J Pharmacol.、128:1027−1034、Toyonoら、(2002)、Arch.Histol.Cytol.65:91−96)。したがってmGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターは、呈味剤、香味剤、着香増強剤又は食品添加物として使用することもできる。
【0021】
胃の筋肉を神経支配する大多数の迷走神経求心性神経は、グループIII、mGluR(mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8)を発現し、受容体をその末梢性の終末へと活発に移送する(Pageら、(2005)、Gastroenterology、128:402−10)という解剖学的証拠がある。最近になって、末梢グループIII、mGluRを活性化することにより、迷走神経求心性神経機械的感受性がインビトロで抑制され、これが一過性の食道下部括約筋の緩和及びインビボでの胃食道逆流の要因の減少へと翻訳されることが示された(Youngら、(2008)、Neuropharmacol、54:965−975)。mGluR4及びmGluR8に対するラベリングは、下神経節における迷走神経求心性神経、孤束核の終結部位、胃の迷走神経の運動ニューロンに多量に存在する。このようなデータは、mGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターは、胃食道逆流症(GERD)及び食道下部の障害及び胃腸障害に対して有効な治療となり得ることを示唆している。
【0022】
国際特許公開WO2005/007096は、単独で又は神経遮断薬と組み合わせて、運動異常症の治療又は予防に有用なmGluR4受容体ポジティブアロステリックモジュレーターについて記載している。しかし、具体的に開示されている化合物の中で、発明の化合物に構造的に関連するものはない。
【0023】
より最近になって、新規なmGluR4受容体ポジティブアロステリックモジュレーターが、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン誘導体(Niswenderら、(2008)、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、18(20):5626〜5630)、官能化ベンジリデンヒドラジニル−3−メチルキナゾリン及びビス−2,3−ジヒドロキナゾリン−4(1H)−オン(Williamsら、(2009)、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、19:962〜966)及びヘテロビアリールアミド(Engersら、(2009)、Journal of Medicinal Chemistry、52(14)、4115〜4118)において記載された。Niswenderら、は、(±)−cis−2−(3,5−ジクロロフェニルカルバモイル)シクロヘキサンカルボン酸((2008)Molecular Pharmacology、74(5):1345〜1358)について、アゴニスト活性も有するmGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターとして記載した。適度な活性のあるこの分子は、パーキンソン病のラットモデルにおいて、icv投与後に効力があったという証拠を実証した。国際特許公開WO2009/070871及びWO2009/010455では、それぞれアミド誘導体及び新規なヘテロ芳香族誘導体について、代謝調節型グルタメート受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとして記述した。
【0024】
国際特許公開WO2006/040279は、PI3キナーゼモジュレーターとして知られている(3−メタンスルホニル−フェニル)−(1−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3’,4’:3,4]ベンゾ[1,2−d]チアゾール−7−イル)−アミンについて記載している。この従来技術の化合物は、特許請求の範囲でのXの定義に基づき(Xは、Nであることはできない)、本発明の範囲内に含まれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明者らは、驚くべきことにmGluR4受容体に対して強力な活性及び選択性を示す一般式(I)の新規なチアゾール化合物を発見した。本発明の化合物は、従来技術の化合物よりも有利な特性を示している。本発明の化合物の以下の特徴のうちの1つ又は複数において改善が認められた:ターゲットに対する作用強度、標的に対する選択性、生物学的利用度、脳透過性、及び挙動モデルにおける活性。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、その治療又は予防が、mGluR4モジュレーターの神経調節作用により影響又は促進される、ヒトを含めた哺乳動物の状態を治療又は予防する方法に関する。パーキンソン病などの運動障害の治療の場合、本発明の化合物は、単独で、又は、レボドパ、選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と併用したレボドパ、カルビドパ、エンタカポン、COMT阻害剤又はドーパミン作動薬からなる群から選択される薬剤と組み合わせて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、代謝調節型グルタメート受容体4モジュレーター活性を有する化合物に関する。その最も一般的な化合物の態様において、本発明は、式(I):
【化2】


による化合物、医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体を提供し、
式中、
Mは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル及びシクロアルキルの群から選択される置換されてもよい3〜10員の環から選択され、
は、N、NR及びCRの群から選択され、
は、S及びRC=CRの群から選択され、
Yは、−CR−CR−、−CR−CR−CR−、−C=O−CR−CR−、−O−CR−、−O−CR−CR−、−NR−CR−、−NR−CR−CR−、−S−CR−、−S−CR−CR−、−SO−CR−、−SO−CR−CR−、−SO−CR−及び−SO−CR−CR−の群から選択され、
、Z及びZは、それぞれ独立して、N及びCの群から選択され、1又は2つの基(A)でさらに置換されていてもよい、最大2つのNを有する、5員のヘテロアリール環を表し、
mは、1〜2の範囲の整数であり、
(A)基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−CF、−SH、−NH及び−(C〜C)アルキル、−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキニル、−(C〜C)アルケニル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)シクロアルケニル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−アリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、−(C〜C)アルキル−OR10、−O−(C〜C)アルキレン−OR10、−NR10(C〜C)アルキレン−OR11、−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−NR10−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−(C〜C)ハロアルキル−OR10、−(C〜C)ハロアルキル−NR1011、−(C〜C)アルキニル−OR10、−(C〜C)アルキニル−NR1011、−(C〜C)アルケニル−OR10、−(C〜C)アルケニル−NR1011、−(C〜C)アルキル−S−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S−R11、−(C〜C)アルキル−S(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−S(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR1112、−(C〜C)アルキル−S(O)NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)NR1112、−(C〜C)アルキル−NR10−S(=O)11、−O−(C2−C)アルキレン−NR10−S(=O)11、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11−S(=O)12、−(C〜C)アルキル−C(=O)−NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−NR1112、−(C〜C)アルキル−NR10C(=O)−R11、−O−(C〜C)アルキレン−NR10C(=O)−R11、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11C(=O)−R12、−(C〜C)アルキル−OC(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−OC(=O)−R10、−NR10−(C2−C)アルキレン−OC(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−C(=O)−OR10、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−OR10、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−OR11、−(C〜C)アルキル−C(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=O)−OR11、−(C〜C)アルキル−O−C(=O)−NR1011、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=NR11)−NR1213、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=O)−NR1112、−O−(C〜C)アルキレン−NR10−C(=O)−NR1112、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11−C(=O)−NR1213及び−(C〜C)アルキル−NR10−C(=S)−NR1112の群から選択される置換されてもよい基の群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素又は−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C10)アルキレン−シクロアルキル、ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、アリール、ヘテロサイクル及び−(C〜C)アルキレン−アリールの群から選択される置換されてもよい基の群から選択される。
【0028】
式(I)のより好ましい態様では、本発明は、式(II):
【化3】


による化合物、医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体を提供する。
【0029】
式(I)のより好ましい態様では、本発明は、式(III):
【化4】


による化合物、医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体を提供する。
【0030】
好ましい態様では、式(I)、(II)及び(III)のいずれかにおいて、
Mは、アリール、ヘテロアリール及びシクロアルキルの群から選択される置換されてもよい3〜10員の環から選択され、
Yは、−CR−CR−及び−CR−CR−CR−の群から選択され、
mは1であり、
(A)基は、それぞれ独立して、水素、並びに−(C〜C)アルキル及び−(C〜C)アルキル−C(=O)−R10の群から選択される置換されてもよい基の群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立して、水素、又は−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C10)アルキレン−シクロアルキル、ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、アリール、ヘテロサイクル及び−(C〜C)アルキレン−アリールの群から選択される置換されてもよい基の群から選択される。
【0031】
特に好ましい本発明の化合物は、以下のリストに挙げられた化合物(特に好ましい化合物のリスト)、並びに医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的に異性体及びそのN−オキシド体である。
N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
2−メチル−1−(2−(ピリジン−2−イルアミノ)−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−6(5H)−イル)プロパン−1−オン
N−(6−メチルピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(6−クロロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(2,5−ジフルオロフェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(6−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
ピリジン−2−イル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
4−エチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(3−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−メチル−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−クロロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(ピラジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−シクロペンチル−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
8−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−シクロブチル−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロプロピル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロブチル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロペンチル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
ピリミジン−2−イル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(4−メチルピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(4−メチル−ピリミジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン。
4,4−ジメチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4,4−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4−メチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン及び5,5−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン。
【0032】
用語の定義
以下に挙げるのは、本発明を説明するために明細書及び特許請求の範囲に使用された様々な用語の定義である。
【0033】
不明解さを避けるため、本明細書において「(C〜C)」は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する炭素基を意味することを理解されたい。「(C〜C)」は、0、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する炭素基を意味する。この明細書において、「C」は、炭素原子を意味し、「N」は、窒素原子を意味し、「O」は、酸素原子を意味し、「S」は、硫黄原子を意味する。
【0034】
下付き文字が、整数0(ゼロ)の場合、下付き文字が指している基は、基が存在しない、すなわち基と基の間に直接の結合が存在することを示す。
【0035】
本明細書において、特に明記しない限り、「結合」という用語は、飽和している共有結合を指す。2つを超える結合が互いに隣接している場合、これらの結合は、1つの結合と同じと考える。例えば、−A−B−という基は、AとBが両方とも結合であってよく、この基は一重結合として表される。
【0036】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキル」という用語は、直鎖と分鎖の両方のアルキル基を含み、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル又はt−ヘキシルであってよい。「(C〜C)アルキル」という用語は、0、1、2又は3個の炭素原子を有するアルキル基を指し、メチル、エチル、n−プロピル及びi−プロピルであってよい。
【0037】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキレン」という用語は、直鎖と分鎖の両方の二官能性の飽和した炭化水素基を含み、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン、s−ブチレン、t−ブチレン、n−ペンチレン、i−ペンチレン、t−ペンチレン、neo−ペンチレン、n−ヘキシレン、i−ヘキシレン又はt−ヘキシレンであってよい。
【0038】
本明細書において、特に明記しない限り、「シクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含有しない置換されてもよい炭素環を指し、これには単環式、二環式及び三環式の飽和した炭素環、さらに縮環系が含まれる。このような縮環系は、ベンゾ縮合炭素環などの縮環系を形成するために、部分的又は完全に不飽和の1つの環、例えばベンゼン環などを含み得る。シクロアルキルは、スピロ縮合環系などの縮環系を含む。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、フルオレニル及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。「(C〜C)シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどであってよい。
【0039】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルケニル」という用語は、直鎖と分鎖の両方のアルケニル基を含む。「(C〜C)アルケニル」という用語は、2〜6個の炭素原子及び1又は2つの二重結合を有するアルキニル基を指し、ビニル、アリル、プロペニル、i−プロペニル、ブテニル、i−ブテニル、クロチル、ペンテニル、i−ペンテニル及びヘキセニルであってよいが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキニル」という用語は、直鎖と分鎖の両方のアルキニル基を含む。「(C〜C)アルキニル」という用語は、2〜6個の炭素原子及び1又は2つの三重結合を有するアルキニル基を指し、エチニル、プロパルギル、ブチニル、i−ブチニル、ペンチニル、i−ペンチニル及びヘキシニルであってよいが、これらに限定されない。
【0041】
「アリール」という用語は、少なくとも1つの不飽和の芳香環を含有する置換されてもよい単環式又は二環式の炭化水素環系を指す。「アリール」という用語の例及び適切な数値は、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インジル、インデニルなどあってよい。
【0042】
本明細書において、特に明記しない限り、「ヘテロアリール」という用語は、N、O又はSから独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、置換されてもよい、単環式又は二環式の、不飽和の、芳香環系を指す。「ヘテロアリール」の例は、チエニル、ピリジル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾロニル、オキサゾロニル、チアゾロニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロトリアゾロピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリミジニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、チオナフチル、インドリル、イソインドリル、ピリドニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリル、イミダゾピリジル、オキサゾピリジル、チアゾロピリジル、イミダゾピリダジニル、オキサゾロピリダジニル、チアゾロピリダジニル、シノリル、プテリジニル、フラザニル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾロピリジニル及びプリニルなどあってよいが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキレン−アリール」、「アルキレン−ヘテロアリール」及び「アルキレン−シクロアルキル」という用語は、アルキル基を介して、それぞれアリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル基に結合した置換基を指す。「(C〜C)アルキレン−アリール」という用語は、アリール−C〜C−アルキル基、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−ナフチルメチル及び2−ナフチルメチルなどを含む。「(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール−C〜C−アルキル基を含み、ヘテロアリールの例は、上記定義において例示されているものと同じもの、例えば2−フリルメチル、3−フリルメチル、2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、1−イミダゾリルメチル、2−イミダゾリルメチル、3−イミダゾリルメチル、2−オキサゾリルメチル、3−オキサゾリルメチル、2−チアゾリルメチル、3−チアゾリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、1−キノリルメチルなどである。
【0044】
本明細書において、特に明記しない限り、「ヘテロサイクル」という用語は、N、O及びSから独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、置換されてもよい、単環式又は二環式の、飽和した、部分的に飽和した、又は不飽和の、環系を指す。
【0045】
本明細書において、特に明記しない限り、C、N、O及びSから独立して選択される1つ又は複数の原子を含有する5又は6員環は、芳香族及び芳香族ヘテロサイクル、並びに炭素環及びヘテロサイクルを含み、これらは飽和又は不飽和であってよい。このような環の例は、フリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、トリアゾリル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジノニル、チオモルホリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキセニル及びシクロペンテニルであってよいが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において、特に明記しない限り、C、N、O及びSから独立して選択される1つ又は複数の原子を含有する3から10員環は、芳香族及び芳香族ヘテロサイクル、並びに炭素環及びヘテロサイクルを含み、これらは飽和又は不飽和であってよい。このような環の例は、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチオピラニル、フリル、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジノニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、フェニル、シクロプロピル、アジリジニル、シクロブチル、アゼチジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル及びシクロオクテニルであってよいが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において、特に明記しない限り、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであってよい。
【0048】
本明細書において、特に明記しない限り、「ハロアルキル」という用語は、上記に定義されたようなアルキル基を意味し、これは1つ又は複数のハロ基で置換されている。「(C〜C)ハロアルキル」という用語は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル及びジフルオロエチルを含み得るが、これらに限定されない。「O−C〜C−ハロアルキル」という用語は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びフルオロエトキシを含み得るが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、特に明記しない限り、「ハロアルキレン」という用語は、上記に定義されたようなアルキレン基を意味し、これは1つ又は複数のハロ基で置換されている。「(C〜C)ハロアルキレン」という用語は、フルオロメチレン、ジフルオロメチレン、フルオロエチレン及びジフルオロエチレンを含み得るが、これらに限定されない。「O−C〜C−ハロアルキレン」という用語は、フルオロメチレンオキシ、ジフルオロメチレンオキシ及びフルオロエチレンオキシを含み得るが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書において、特に明記しない限り、「シアノアルキル」という用語は、上記に定義されたようなアルキル基を意味し、これは1つ又は複数のシアノで置換されている。
【0051】
本明細書において、特に明記しない限り、「シアノアルキレン」という用語は、上記に定義されたようなアルキレン基を意味し、これは、1つ又は複数のシアノで置換されている。
【0052】
本明細書において、特に明記しない限り、「置換されてもよい」という用語は、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C)アルキレン−オキシ、メルカプト、アリール、ヘテロサイクル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド、アミジニル、カルボキシル、カルボキサミド、(C〜C)アルキレン−オキシカルボニル、カルバメート、スルホンアミド、エステル及びスルホニルであってよい、1つ又は複数の置換基をさらに保持する基を指す。
【0053】
本明細書において、特に明記しない限り、「溶媒和物」という用語は、溶質(例えば式(I)の化合物)及び溶媒により形成される可変性の化学量論的複合体を指す。溶媒は、医薬として許容される溶媒であり、好ましくは水であり、このような溶媒は溶質の生物活性を妨げないであろう。
【0054】
本明細書、特に明記しない限り、「mGluR4のポジティブアロステリックモジュレーター」又は「mGluR4のアロステリックなモジュレーター」という用語は、医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体も指す。
【0055】
一実施形態において、「化合物」という用語はまた、医薬として許容されるその酸若しくは塩基の付加塩、及び/又はその立体化学的異性体、及び/又はそのN−オキシド体も包含する、又は含む。
【0056】
医薬品組成物
本明細書に記載されるmGluR4のアロステリックモジュレーター、及び医薬として許容されるその塩、その溶媒和物及びその水和物は、医薬として許容される担体又は希釈剤と組み合わせて医薬品の調製に使用することができる。適切な医薬として許容される担体は、不活性な固体充填剤又は希釈剤及び無菌の、水性又は有機性の溶液を含む。mGluR4のアロステリックモジュレーターは、本明細書に記載されている範囲において所望の投与量を得るのに十分な量で、そのような医薬組成物中に存在することになる。本発明の化合物を調合及び投与するための技法は、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、第196版、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1995)に見出すことができる。
【0057】
対象者に投与するmGluR4のアロステリックモジュレーターの量は、疾患又は状態の種類及び重症度並びに対象者の特徴、例えば全般的な健康状態、年齢、性別、体重及び薬物に対する許容度に依存することになる。当分野の技術者であれば、このような要素及び他の要素に応じて、適切な投与量を決定することができよう。一般に使用されているCNS薬物の有効投与量は、当業者には周知である。全一日量は、通常約0.05〜2000mgの範囲である。
【0058】
本発明は、一剤形当たり約0.01〜1000mgの活性成分を提供する医薬組成物に関する。組成物は、任意の適切な経路で投与してもよい。例えばカプセル剤等の形態で経口的に、注射用溶液の形態で非経口的に、軟膏又はローションの形態で局所的に、点眼薬の形態で目から、坐薬の形態で直腸に、パッチなどのデリバリーシステムの形態で鼻腔内に又は経皮的に投与してもよい。
【0059】
経口投与用として、mGluR4のアロステリックモジュレーターは、適切な固体又は液体の担体又は希釈剤と組み合わせることによって、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などを形成することができる。
【0060】
錠剤、ピル、カプセル剤などは、約0.01〜約99重量パーセントの活性成分と、ガムトラガカント、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤と、第二リン酸カルシウムなどの賦形剤と、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸などの崩壊剤と、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤と、スクロース、ラクトース又はサッカリンなどの甘味剤とを含有する。単位剤形がカプセル剤の場合、上記の種類の物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。
【0061】
様々な他の材料が、コーティングとして又は投薬単位の物理的形態を変えるために存在し得る。例えば、錠剤は、シェラック、糖又は両方でコーティングすることもできる。シロップ又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロースを、保存料としてメチル及びプロピルパラベンを、サクランボ又はオレンジ風味などの着色料及び風味付けを含有することもできる。
【0062】
非経口投与用として、開示したmGluR4のアロステリックモジュレーターは、無菌の水性又は有機の溶媒と組み合わせることによって、注射用溶液又は懸濁液を形成することができる。例えば、ゴマ油又はピーナッツ油中の溶液、水性のプロピレングリコールなど、さらに化合物の水溶性の医薬として許容できる塩の水溶液も使用することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中で、及びその混合物を油中で調製することもできる。普通の保存状態及び使用状態において、このような調製物は、微生物の増殖を防止するために保存料を含有する。
【0063】
加えて、前述した配合物に、この化合物を持効性調製物として配合することもできる。このように長く作用する配合物は、例えば、皮下若しくは筋肉内などの注入によって、又は筋肉内投与によって投与してもよい。したがって、例えば、許容できる油中の乳濁液として、又はイオン交換樹脂又はやや難溶の誘導体として、例えば、やや難溶の塩として投与してもよい。
【0064】
これら化合物を含有する、開示したmGluR4のアロステリックモジュレーター又は医薬製剤は、哺乳動物への投与に対しては、単位剤形が好ましい。この単位剤形は、当分野で知られている任意の単位剤形であってよく、これには、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、又はバイアルが含まれる。組成物の単位用量中の活性成分の量は、有効量であり、行われている特定の治療により異なってもよい。患者の年齢及び状態に応じて投与量を定期的に変更することが必要となり得ることを認識されたい。投与量は投与経路にも依存することになり、投与経路は、経口、エアロゾル、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内及び鼻腔内を含めて様々な経路があり得る。
【0065】
パーキンソニズムの古典的治療は、通常、カルビドパ(SINEMET(商標))又はベンセラジド(MADOPAR(商標))と組み合わせた、レボドパの使用を含む。ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、リスリド及びペルゴリド(CELANCE(商標))などのドーパミン作動薬は、ドーパミン受容体に直接作用し、パーキンソニズムの治療にも使用される。
【0066】
合成方法
本発明による化合物、特に式(I)〜(III)の化合物は、有機合成の分野で知られている方法で調製することができ、その一部が以下の合成スキーム記載されている。以下に記載されたスキームのすべてにおいて、化学の原理に従い、必要に応じて感受性又は反応性の基に対する保護基が使用されていることはよく理解されている。保護基は、有機合成の標準的な方法に従い操作される(Green T.W.and Wuts P.G.M.、(1991)、Protecting Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons)。このような基は、当業者にはすぐに明らかな方法を用いて、化合物合成の好都合な段階で取り除かれる。方法の選択並びに反応条件及び実施の順序は、式(I)〜(III)の化合物の調製と一致していなければならない。
【0067】
本発明による化合物は、エナンチオマーの混合物として表すこともでき、これは個々の純粋なRエナンチオマー又はSエナンチオマーへと分割することもできる。例えば、ある特定のエナンチオマーが必要な場合、不斉合成又はキラル補助基での誘導によりこれを調製することもでき、この場合、生成したジアステレオマー混合物を分割し、補助基を切断することによって、純粋な所望のエナンチオマーが得られる。別法として、分子がアミノなどの塩基性官能基又はカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、この分割は、光学活性のある酸の塩として様々な溶媒からの分別再結晶により、又は文献から既知である他の方法(例えばキラルなカラムクロマトグラフィー)により好都合に実施することができる。
【0068】
最終の生成物、中間体又は出発物質の分割は、当分野で知られている任意の適切な方法により実施することができる(Eliel E.L.、Wilen S.H.及びMander L.N.、(1984)、Stereochemistry of Organic Compounds、Wiley−Interscience)。
【0069】
本発明の多くのヘテロサイクル化合物は、当分野で周知の合成経路を用いて調製することができる(Katrizky A.R.及びRees C.W.、(1984)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry、Pergamon Press)。
【0070】
反応からの生成物は、抽出、クロマトグラフィー、結晶化及び蒸留などの標準的技法を使用して単離及び精製することができる。
【0071】
本発明の化合物は、以下の方法で開示されているような一般的合成経路により調製することができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、式(III)の化合物をスキーム1に例示する合成の順序に従い調製することができる。ピラゾールg3は、シクロヘキサン−1,3−ジオンg1から合成でき、これを1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンで縮合し、続いて、ヒドラジンの存在下で環化する。次いでピリジニウムトリブロミドの存在下、化合物g3を、ブロモケトンg4へと変換することができ、このブロモケトンg4にチオ尿素g5との環化を施すことによって、アミノチアゾールg6が生じる。
【化5】

【0073】
本発明の一実施形態において、式(III)の化合物をスキーム2に例示する合成の順序に従い調製することができる。ピラゾールg3は、シクロヘキサン−1,3−ジオンg1から調製することができ、これを1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンで縮合し、次いで、酸性の条件下、ヒドラジンの存在下で環化する。次いで、化合物g3を、ピリジニウムトリブロミドの存在下、ジブロモケトンg7へと変換することができ、このジブロモケトンg7にチオ尿素g5との環化を施すことによって、アミノチアゾールg6が生じる。
【化6】

【0074】
本発明の一実施形態において、式(III)の化合物をスキーム3に例示する合成の順序に従い調製することができる。ピラゾールg9は、エナミンg2から合成でき、これをトシルヒドラジドへと変換し、環化する。次いで、化合物g9を、N−ブロモスクシンイミドの存在下、ブロモケトンg10へと変換することができ、このブロモケトンg10に、チオ尿素g5での環化と脱保護を同時に施すことによって、アミノチアゾールg6が生じる。
【化7】

【0075】
本発明の一実施形態において、式(III)の化合物をスキーム4に例示する合成の順序に従い調製することができる。シクロヘキサン−1,3−ジオンg11は、古典的条件下でモノアシル化し、ケトンg13へと再編成する。次いで、ヒドラジンの存在下、化合物g13は、ピラゾールg14へと環化することができる。臭素の存在下、ケトンg14の二重の臭素化により、チオ尿素g5との環化が可能となり、アミノチアゾールg16を得る。
【化8】

【0076】
本発明の一実施形態において、式(III)の化合物をスキーム5に従い調製することができる。上に記載のようなg6は、塩化アセチルでアシル化することにより、ピラゾールg17が生じる。
【化9】

【0077】
実験
特に明記されていない限り、すべての出発物質は、市販品製造元から入手したもので、さらなる精製なしで使用した。
【0078】
具体的には、実施例中及び明細書を通して以下の略語を使用し得る。
【表0】

【0079】
ブラインはすべて、NaClの飽和した水溶液を指す。特に指定しない限り、すべての温度は、℃(摂氏度)で表されている。すべての反応は、特に明記されていない限り、室温の不活性ではない雰囲気で行われている。
【0080】
大部分の反応は、0.25mm Merckシリカゲルプレート(60F−254)上の薄層クロマトグラフィーで監視され、紫外光で可視化されている。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、予備充填されたシリカゲルカートリッジで実施した(15−40μM、Merck)。
【0081】
融点測定は、Buchi B−540装置で実施した。
【実施例】
【0082】
(例1)
N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(最終化合物1−1)
2−((ジメチルアミノ)メチレン)シクロヘキサン−1,3−ジオン
スキーム1ステップ1に従う:シクロヘキサン−1,3−ジオン(89mmol、10g)と1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(263mmol、35.0mL)の溶液を2時間還流下で撹拌した。エバポレーション後、黄色固体として、14.8g(88.5mmol、99%)の2−((ジメチルアミノ)メチレン)シクロヘキサン−1,3−ジオンを得た。
UPLC−MS:RT=0.31分;MS m/z ES=168。
【0083】
6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム1ステップ2に従う:塩酸ヒドラジン(41.9mmol、2.87g)、NaOH(6M、42mmol、7.0mL)のMeOH(100mL)溶液を、0℃で、2−((ジメチルアミノ)メチレン)シクロヘキサン−1,3−ジオン(41.9mmol、7.00g)の溶液に加え、この反応混合物を還流下で3時間撹拌した。エバポレーション後、水を加え、50℃で、水相をAcOEtで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することによって、黄色粉末として、6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(36.7mmol、5.00g、88%)。
LC−MS:RT=1.37分;MS m/z ES=137。
【0084】
5−ブロモ−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム1ステップ3に従う:ピリジニウムトリブロミド(25.7mmol、8.22g)を、6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(25.7mmol、3.50g)の酢酸(60mL)溶液に加え、この反応混合物を還流下で2時間撹拌した。溶媒のエバポレーション後、この粗残留物をDCMとNaの飽和溶液との間で分配した。有機相をNaCOの飽和溶液及び水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮することによって、5−ブロモ−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(23.3mmol、5.00g、90%)。
UPLC−MS:RT=0.48分;MS m/z ES=216。
【0085】
N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
スキーム1ステップ4に従う:5−ブロモ−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(23.3mmol、5.00g)及び1−(ピリジン−2−イル)チオ尿素(20.9mmol、3.21g)のアセトン(60mL)溶液を、60℃で5時間撹拌した。形成した沈殿物を濾過し、AcOEtとNaHCOの飽和溶液との間で分配した。水相をAcOEtで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮することによって、灰色固体を得た。溶出剤としてDCM/MeOH(95:5)を用いて、粗残留物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、AcOEt/MeOHでの2回の結晶化(50:50)により、白色固体として、N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミンを得た(11.9mmol、3.20g、51%)。
M.p.:297〜299℃;
UPLC−MS:RT=0.60分;MS m/z ES=270。
【0086】
(例2)
4,4−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(最終化合物1−32)
2−((ジメチルアミノ)メチレン)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン
スキーム2ステップ1に従う:5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(428mmol、60g)及び1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(514mmol、68.2mL)の溶液を室温で1時間撹拌した。エバポレーション及びシクロヘキサン中での粉砕後、淡黄色固体として、38.5g(197mmol、46%)の2−((ジメチルアミノ)メチレン)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを得た。
UPLC−MS:RT=0.47分;MS m/z ES=196。
【0087】
6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム2ステップ2に従う:0℃で、酢酸(8.55mL)、続いてヒドラジン一水和物(197mmol、11.3mL)を、2−((ジメチルアミノ)メチレン)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(197mmol、38.5g)のブタノール(400mL)溶液にゆっくりと加えた。この反応混合物を、還流下で16時間撹拌した。濾液のエバポレーション後、溶出剤として水/MeOH(100:0から50:50)を用いて、粗残留物を、シクロヘキサン/AcOEt(100:0から50:50)でのシリカゲルで、次いでC18ゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製することによって、淡黄色固体として、6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(76.7mmol、12.6g、39%)。
LC−MS:RT=0.53分;MS m/z ES=165。
【0088】
5,5−ジブロモ−6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム2ステップ3に従う:ピリジニウムトリブロミド(15.2mmol、4.87g)を、6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(6.09mmol、1.00g)の酢酸(9mL)溶液に加え、この反応混合物を3時間加熱還流した。溶媒のエバポレーション後、粗残留物をDCMとNaCOの飽和溶液との間に分配した。有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮することによって、5,5−ジブロモ6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(6.09mmol、1.96g、100%)。
UPLC−MS:RT=0.81分;MS m/z ES=323。
【0089】
4,4−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
スキーム2ステップ4に従う:5,5−ジブロモ−6,6−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(6.09mmol、1.96g)及び1−(ピリミジン−2−イル)チオ尿素(7.31mmol、1.13g)のエタノール(15mL)溶液を、150℃で90分間、次いで140℃で40分間マイクロ波加熱した。濾過後、この反応混合物を濃縮乾燥した。粗残留物を、DCMとNaCOの飽和溶液との間で分配した。水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。溶出剤としてDCM/MeOH(98:2から90:10)を用いて、粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、褐色固体として、4,4−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミンを得た(0.10mmol、31mg)。
UPLC−MS:RT=0.74分;MS m/z ES=299。
【0090】
(例3)
5,5−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(最終化合物1−34)
2−((ジメチルアミノ)メチレン)−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン
スキーム2ステップ1に従う:4,4−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(157mmol、22g)及び1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(235mmol、31.3mL)の溶液を、室温で1時間撹拌した。エバポレーション及び石油エーテル中で粉砕後、淡いオレンジ色固体として、29.2g(150mmol、95%)の2−((ジメチルアミノ)メチレン)−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを得た。
UPLC−MS:RT=0.50分;MS m/z ES=196。
【0091】
7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム2ステップ2に従う:0℃で、酢酸(8.55mL)続いてヒドラジン一水和物(150mmol、7.25mL)を、2−((ジメチルアミノ)メチレン)−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(150mmol、29.2g)のブタノール(400mL)溶液にゆっくりと加えた。この反応混合物を還流下で16時間撹拌した。濾液のエバポレーション後、溶出剤として水/MeOH(100:0から50:50)を用いて、粗残留物を、シクロヘキサン/AcOEt(100:0から50:50)で、シリカゲルで、続いてC18ゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、淡黄色固体として、7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(76.7mmol、12.6g、51%)。
LC−MS:RT=0.53分;MS m/z ES=165。
【0092】
5,5−ジブロモ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム2ステップ3に従う:NBS(3.65mmol、650mg)を、7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(1.83mmol、300mg)のクロロホルム(4mL)溶液に加えた。この反応混合物を70℃で3時間撹拌した。依然として出発物質がいくらか存在したので、いくらかのNBS(3.65mmol、650mg)を加え、この反応混合物を12時間撹拌した。一臭素化した化合物の二臭素化した化合物への変換を完了するために、いくらかのNBS(1.85mmol、330mg)を加え、この反応混合物を還流下で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、この反応混合物をDCMで希釈し、NaCOの飽和溶液を加えた。この有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮することによって、5,5−ジブロモ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン及び5−ブロモ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(727mg)。
UPLC−MS:RT=0.80分;MS m/z ES=323。
【0093】
5,5−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
スキーム2ステップ4に従う:5,5−ジブロモ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(6.09mmol、1.96g)及び1−(ピリミジン−2−イル)チオ尿素(6.09mmol、939mg)のエタノール(18mL)溶液を150℃で90分間、次いで140℃で40分間マイクロ波加熱した。濾過後、この反応混合物を濃縮乾燥した。粗残留物を、DCMとNaCOの飽和溶液との間で分配した。水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。DCM/MeOH(98:2から90:10)を溶出剤として用いて、粗残留物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、褐色固体として、5,5−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミンを得た(90μmol、27mg)。
UPLC−MS:RT=0.76分;MS m/z ES=299。
【0094】
(例4)
N−(6−メチルピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(最終化合物1−3)
N’−((2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)メチル)−4−メチルベンゼンスルホノヒドラジド
スキーム3ステップ1に従う:4−メチルベンゼンスルホノヒドラジド(44.6mmol、8.31g)を、2−((ジメチルアミノ)メチレン)シクロヘキサン−1,3−ジオン(44.6mmol、7.46g)のEtOH(50mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で5分間撹拌した。エバポレーション後、オレンジ色油状物として、13.8g(44.6mmol、100%)のN’−((2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)メチル)−4−メチルベンゼンスルホノヒドラジドを得た。
LC−MS:RT=2.16分;MS m/z ES=309。
【0095】
1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム3ステップ2に従う:N’−((2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)メチル)−4−メチルベンゼンスルホノヒドラジド(32.4mmol、10.0g)のEtOH(10mL)溶液を、80℃で15時間撹拌した。エバポレーション後、水を加え、水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。DCMを溶出剤として用いて、粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、オレンジ色固体として、1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(6.89mmol、2.00g、21%)。
LC−MS:RT=2.19分;MS m/z ES=291。
【0096】
5−ブロモ−1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム3ステップ3に従う:N−ブロモスクシンイミド(3.44mmol、613mg)を、1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(3.44mmol、1.00g)のDCM(10mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で12時間撹拌した。NaHCO溶液をこの反応混合物に加え、水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮することによって、オレンジ色油状物として、5−ブロモ−1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(2.44mmol、900mg、42%)。
LC−MS:RT=2.60分;MS m/z ES=371。
【0097】
N−(6−メチルピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
スキーム3ステップ4に従う:5−ブロモ−1−トシル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(0.90mmol、331mg)及び1−(6−メチルピリジン−2−イル)チオ尿素(0.90mmol、150mg)のEtOH(10mL)及びHCl(35%、1mL)溶液を80℃で5時間撹拌した。室温でNaHCOの飽和溶液をpH=8になるまで添加することにより、この反応物をクエンチした。水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮させた。粗残留物をEtOで洗浄し、乾燥させることによって、白色固体として、N−(6−メチルピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミンを得た(0.78mmol、220mg、87%)。
M.p.:280℃;
LC−MS:RT=1.71分;MS m/z ES=284。
【0098】
(例5)
8−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(最終化合物1−19)
3−オキソシクロヘキサ−1−エニルアセテート
スキーム4ステップ1に従う:塩化アセチル(19.6mmol、1.39mL)を、シクロヘキサン−1,3−ジオン(17.8mmol、2.00g)及びピリジン(17.8mmol、1.28mL)のCHCl(60mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。水を添加することによって、この反応物をクエンチし、有機相を、HCl溶液(0.1M、30mL)、NaHCO(30mL)飽和溶液及び水(30mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮することによって、黄色油状物として、3−オキソシクロヘキサ−1−エニルアセテートを得た(13.2mmol、2.04g、74%)。
UPLC−MS:RT=0.60分;MS m/z ES=155。
【0099】
2−アセチルシクロヘキサン−1,3−ジオン
スキーム4ステップ2に従う:AlCl(26.5mmol、3.53g)を、3−オキソシクロヘキサ−1−エニルアセテート(13.2mmol、2.04g)のジクロロエタン(10mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。この反応混合物を、氷中のHSO溶液へ注いだ。水相をCHCl(50mL)で抽出作業した。有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、黄色油状物として、2−アセチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを得た(7.78mmol、1.20g、59%)。
UPLC−MS:RT=0.69分;MS m/z ES=155。
【0100】
3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム4ステップ3に従う:ヒドラジン一水和物(7.59mmol、0.37mL)を、2−アセチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(7.59mmol、1.17g)のEtOH(19mL)溶液に、0℃で加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。エバポレーション後、DCM/AcOEt(70:30から50:50)を溶出剤として用いて、粗残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、黄色固体として、3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンを得た(1.76mmol、265mg、23%)。
UPLC−MS:RT=0.46分;MS m/z ES=151。
【0101】
5,5−ジブロモ−3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン
スキーム4ステップ4に従う:臭素(1.00mmol、51μL)を、3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(0.67mmol、100mg)のCHCl(3.3mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で12時間撹拌した。臭素(1.00mmol、51μL)を加え、この反応混合物を室温で4時間撹拌した(一臭素化した化合物と二臭素化した化合物の混合物)。Na溶液の添加により、反応混合物をクエンチした。水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮することによって、褐色油状物として、5,5−ジブロモ−3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンと5−ブロモ−3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オンの混合物を得た(37.5:62.5、173mg)。
UPLC−MS:RT=0.83分;MS m/z ES=309。
【0102】
8−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
スキーム4ステップ5に従う:5,5−ジブロモ−3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン、5−ブロモ−3−メチル−6,7−ジヒドロ−1H−インダゾール−4(5H)−オン(37.5:62.5、173mg)及び1−(ピリジン−2−イル)チオ尿素(0.67mmol、102mg)の混合物のEtOH(2.4mL)溶液を還流下で3時間撹拌した。形成した沈殿物を濾過し、NaHCOの飽和溶液、水、EtOH及びEtOで洗浄し、乾燥させることによって、白色固体として、8−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミンを得た(46μmol、13mg)。
UPLC−MS:RT=0.70分;MS m/z ES=284。
【0103】
(例6)
2−メチル−1−(2−(ピリジン−2−イルアミノ)−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−6(5H)−イル)プロパン−1−オン(最終化合物1−2)
スキーム5に従う:イソブチリルクロリド(0.37mmol、39μL)を、N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(0.37mmol、100mg)のTHF(2mL)溶液に滴加し、この反応混合物を室温で4時間撹拌した。この反応混合物をNaHCOの飽和溶液でクエンチし、水相をDCMで抽出作業した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。DCMを溶出剤として、得られた粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することによって、エバポレーション後、淡いピンク色固体として、2−メチル−1−(2−(ピリジン−2−イルアミノ)−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−6(5H)−イル)プロパン−1−オンを得た(88μmol、30mg、23%)。
M.p.:167〜168℃;
LC−MS:RT=2.75分;MS m/z ES=340。
【0104】
以下の表の化合物は、「Exp.nr」として示されている欄に示されているように、上記例1〜6と同じ方法に従い合成された。アステリスクの付いている化合物は、実施例において例示されている。
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】

【0105】
LC−MS及びUPLC−MS法:
方法1
LC−MSは、以下の条件でWaters Micromass ZQ2996システムに記録した。流速1.5mL/分を用いて、Agilent製Zorbax SB−C18カートリッジ(1.8μm、4.6×30mm)で、逆相HPLCを実施した。使用した勾配条件は、90%A(水+0.1%のギ酸)、10%B(アセトニトリル+0.1%のギ酸)から3.5分で100%B、これを3.7分まで維持し、3.8分の時点で、初期状態と平衡させ、これを4.5分まで続ける。注入量は、5〜20μL。ES MS検出器を使用して、正と負の両イオン化モードで取得した。コーン電圧は、正と負の両イオン化モードとも、30Vであった。
【0106】
方法2
以下の条件で、Waters ACQUITY UPLC上にUPLC−MSを記録した。Waters製BEH−C18カートリッジ(1.7μm、2.1×50mm)で、0.8mL/分の流速で、逆相HPLCを実行した。使用した勾配条件は、90%A(水+0.1%のギ酸)、10%B(アセトニトリル+0.1%のギ酸)から1.3分で100%Bにし、これを1.6分まで維持し、1.7分の時点で、初期状態と平衡させ、これを2.0分まで続けた。注入量は、5μL。ES MS検出器を使用した、正と負の両イオン化モードで取得した。
【0107】
すべての質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)法で得た。
【表2−1】


【表2−2】

【0108】
薬理学
本発明において提供された化合物は、mGluR4のポジティブアロステリックモジュレーターである。よって、このような化合物は、オルトステリックグルタメートの認識部位に結合しているようではなく、これら自体がmGluR4を活性化することはない。代わりに、グルタメート又はmGluR4作動薬の濃度へのmGluR4の反応は、式I〜IIIの化合物が存在する場合増加する。式I〜IIIの化合物は、受容体の機能を増強するその能力によって、mGluR4での効果を発揮することが予想される。
【0109】
HEKを発現するヒトmGluR4についてのmGluR4アッセイ
本発明の化合物は、mGluR4 受容体のポジティブアロステリックモジュレーターである。これらの活性は、蛍光Ca2+感受性色素、Fluo4−(AM)及びFluorometric Imaging Plate Reader(FLIPR、Molecular Devices、Sunnyvale,CA)を用いて、組換え型ヒトmGluR4a受容体における、細胞内Ca2+濃度の変化を検出することにより試験された。
【0110】
トランスフェクション及び細胞培養
ヒトの代謝調節型グルタミン酸レセプター(hmGluR4)(受入番号NM_000841.1、NCBI Nucleotide database browser)をコード化するcDNAを、ハイグロマイシン抵抗遺伝子も含有する発現ベクターへとサブクローニングした。平行して、活性化シグナルを細胞内カルシウムフラックスへと送る再指示が可能なGタンパク質をコード化するcDNAを、ピューロマイシン抵抗遺伝子も含有する、異なる発現ベクターへとサブクローニングした。PolyFect試薬(Qiagen)を用いて、製造元の手順書に従い、これら両ベクターをHEK293細胞へとトランスフェクトし、ハイグロマイシン及びピューロマイシンでの処理を行うことにより、プラスミドの1つ又は複数の複製を安定して統合した、抗生剤抵抗性細胞の選択が可能となった。hmGluR4を発現する陽性細胞クローンは、グルタメート又は既知の選択性mGluR4オルトステリック作動薬及び拮抗薬に反応するカルシウム流の変化を測定する機能的アッセイで同定された。
【0111】
hmGluR4を発現するHEK−293細胞は、DMEM、透析したFetal Calf Serum(10%)、Glutamax(商標)(2mM)、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、ジェネテシン(100μg/mL)及びハイグロマイシン−B(40μg/mL)並びにピューロマイシン(1μg/mL)を含有する培地内で、37℃/5%COで維持した。
【0112】
蛍光細胞による−Ca2+動員アッセイ
ヒトのmGluR4 HEK−293細胞は、25,000細胞/穴の密度で、黒壁、透明底面の、ポリ−L−オルニチンでコーティングされた384穴プレート内での、ウシ胎児血清(10%)、ペニシリン(100単位/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有する、グルタミン/グルタメートを含まないDMEM培地内での、37℃/5%COでのFLIPR384アッセイの24時間前にプレートから出した。
【0113】
アッセイ当日に、培地を吸引し、細胞に0.03%プルロン酸中のFluo4−AM(LuBioScience、Lucerne、Switzerland)の3μM溶液を入れた。37℃/5%COで1時間後、セルプレートをアッセイ緩衝液で洗浄することによって、取り込まれなかった色素を取り除き、細胞を暗い場所で、室温で6時間、試験まで放置した。すべてのアッセイは、20mM HEPES、143mM NaCl、6mM KCl、1mM MgSO、1mM CaCl、0.125mM sulfapyrazone及び0.1%グルコースを含有する、pH7.4緩衝液中で実施した。
【0114】
基底蛍光を10秒間記録した後、様々な濃度の本発明の化合物を細胞に加えた。化合物の任意の作動薬活性を検出するために、蛍光濃度の変化をまず180秒間監視した。次いで、細胞をさらに110秒間EC25グルタメート濃度のもので刺激することによって、本発明の化合物による活性度の増加を測定した。EC25グルタメート濃度とは、最大のグルタメート反応の25%をもたらす濃度である。
【0115】
本発明の代表的な化合物の濃度反応曲線は、Prism Graph Padソフトウエア(Graph Pad Inc、San Diego、USA)を用いて作成した。曲線は、4−パラメータロジスティック方程式にフィットさせた。
(Y=最低値+(最高値−最低値)/(1+10^((LogEC50−X)*Hill Slope)
こうして、EC50値を求めた。
【0116】
以下の表3は、繰り返して実施した、選択した分子の少なくとも3つの独立した実験から得た平均のEC50を示している。
【表3】

【0117】
表3に示した結果から、本発明に記載の化合物は、ヒトmGluR4受容体のポジティブアロステリックモジュレーターであることが実証される。これら化合物は、それら自体は活性を有していないが、グルタメート又はmGluR4作動薬の機能活性及び/又は最大の効力を増加させる。
【0118】
したがって、本発明において提供されるポジティブアロステリックモジュレーターは、mGluR4受容体において、グルタメート又はmGluR4作動薬の有効性を増加させることが予想される。したがって、このようなポジティブアロステリックモジュレーターは、本明細書内で治療されるように記載されているグルタメート機能不全に伴う様々な神経性及び精神性障害、並びにこのようなポジティブアロステリックモジュレーターで治療可能な他の障害の治療に有用であることが予想される。
【0119】
本発明の化合物は、単独、又は上述の状態の治療に有効な他の医薬品と組み合わせて投与することができる。
【0120】
配合例
本発明の配合物の典型的な配合例は以下の通りである。
【0121】
1.錠剤
活性成分 5〜50mg
ジリン酸カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルカム 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモ澱粉 200mgまで
【0122】
本実施例において、活性成分は、本発明による化合物のうちのいずれかを同量で使用すること、特に例示した化合物のいずれかを同量で使用することで代替できる。
【0123】
2.懸濁液
水性懸濁液は、1ミリリットル当たり、活性化合物のうちの1種類を1〜5mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロースを50mg、安息香酸ナトリウムを1mg、ソルビトールを500mg及び水を1mLまで含有するように、経口投与用に調製する。
【0124】
3.注射用
10容量%のプロピレングリコール及び水の中で、本発明の活性成分1.5重量%を撹拌することにより、非経口用組成物を調製する。
【0125】
4.軟膏
活性成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 100gまで
【0126】
本実施例において、活性成分は、本発明による化合物のうちのいずれかを同量で使用すること、特に例示した化合物のいずれかを同量で使用することで代替できる。
【0127】
正当な変法は、本発明の範囲からの逸脱とは見なされないものとする。こうして記述された発明は、当業者によりいくらでも変更し得ることは明白である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
Mは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル及びシクロアルキルの群から選択される、置換されてもよい3〜10員の環から選択され、
は、N、NR及びCRの群から選択され、
は、S及びRC=CRの群から選択され、
Yは、−CR−CR−、−CR−CR−CR−、−C=O−CR−CR−、−O−CR−、−O−CR−CR−、−NR−CR−、−NR−CR−CR−、−S−CR−、−S−CR−CR−、−SO−CR−、−SO−CR−CR−、−SO−CR−及び−SO−CR−CR−の群から選択され、
、Z及びZは、それぞれ独立して、N及びCの群から選択され、1又は2つの基(A)でさらに置換されていてもよい、最大2つのNを有する、5員のヘテロアリール環を表し、
mは、1〜2の範囲の整数であり、
(A)基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−CF、−SH、−NH及び−(C〜C)アルキル、−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキニル、−(C〜C)アルケニル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)シクロアルケニル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−アリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、−(C〜C)アルキル−OR10、−O−(C〜C)アルキレン−OR10、−NR10(C〜C)アルキレン−OR11、−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−NR10−(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、−(C〜C)ハロアルキル−OR10、−(C〜C)ハロアルキル−NR1011、−(C〜C)アルキニル−OR10、−(C〜C)アルキニル−NR1011、−(C〜C)アルケニル−OR10、−(C〜C)アルケニル−NR1011、−(C〜C)アルキル−S−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S−R11、−(C〜C)アルキル−S(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−S(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR1112、−(C〜C)アルキル−S(=O)NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−S(=O)NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−S(=O)NR1112、−(C〜C)アルキル−NR10−S(=O)11、−O−(C〜C)アルキレン−NR10−S(=O)11、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11−S(=O)12、−(C〜C)アルキル−C(=O)−NR1011、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−NR1011、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−NR1112、−(C〜C)アルキル−NR10C(=O)−R11、−O−(C〜C)アルキレン−NR10C(=O)−R11、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11C(=O)−R12、−(C〜C)アルキル−OC(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−OC(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−OC(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−C(=O)−OR10、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−OR10、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−OR11、−(C〜C)アルキル−C(=O)−R10、−O−(C〜C)アルキレン−C(=O)−R10、−NR10−(C〜C)アルキレン−C(=O)−R11、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=O)−OR11、−(C〜C)アルキル−O−C(=O)−NR1011、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=NR11)−NR1213、−(C〜C)アルキル−NR10−C(=O)−NR1112、−O−(C〜C)アルキレン−NR10−C(=O)−NR1112、−NR10−(C〜C)アルキレン−NR11−C(=O)−NR1213及び−(C〜C)アルキル−NR10−C(=S)−NR1112の群から選択される置換されてもよい基、の群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素又は−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C10)アルキレン−シクロアルキル、ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、アリール、ヘテロサイクル及び−(C〜C)アルキレン−アリールの群から選択される置換されてもよい基、の群から選択される)
を有する化合物。
【請求項2】
式(II):
【化2】


を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(III):
【化3】


を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の化合物であって、
Mが、アリール、ヘテロアリール及びシクロアルキルの群から選択される置換されてもよい3〜10員の環から選択され、
Yが、−CR−CR−及び−CR−CR−CR−の群から選択され、
mが1であり、
(A)基が、それぞれ独立して、水素、並びに−(C〜C)アルキル及び−(C〜C)アルキル−C(=O)−R10の群から選択される置換されてもよい基の群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10が、それぞれ独立して、水素又は−(C〜C)ハロアルキル、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シアノアルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C10)アルキレン−シクロアルキル、ヘテロアリール、−(C〜C)アルキレン−ヘテロアリール、アリール、ヘテロサイクル及び−(C〜C)アルキレン−アリールの群から選択される置換されてもよい基の群から選択される、
化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の化合物であって、
光学異性体として存在することができ、ラセミ混合物であるか、又は個々の光学異性体の1つ若しくは両方のいずれかである、
化合物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の化合物であって、
N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
2−メチル−1−(2−(ピリジン−2−イルアミノ)−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−6(5H)−イル)プロパン−1−オン
N−(6−メチルピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(6−クロロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(2,5−ジフルオロフェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(6−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
ピリジン−2−イル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
4−エチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(3−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−メチル−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−クロロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(ピラジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−シクロペンチル−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
8−メチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−シクロブチル−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(6−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロプロピル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロブチル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
シクロペンチル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
ピリミジン−2−イル−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
N−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
N−(4−メチルピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
(4−メチル−ピリミジン−2−イル)−(4,5,6,7−テトラヒドロ−3−チア−1,7,8−トリアザ−シクロペンタ[e]アズレン−2−イル)−アミン
並びに医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体、
から選択される、化合物。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の化合物であって、
4,4−ジメチル−N−(ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4,4−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
4−メチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
5,5−ジメチル−N−(ピリミジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−チアゾロ[4,5−e]インダゾール−2−アミン
並びに医薬として許容されるその酸又は塩基の付加塩、その立体化学的異性体及びそのN−オキシド体、
から選択される、化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は医薬として許容されるその酸若しくはその塩基付加塩、又はその立体化学的異性体若しくはそのN−オキシド体の治療有効量、並びに、医薬として許容される担体及び/又は賦形剤、
を含有する医薬組成物。
【請求項9】
ヒトを含めた哺乳動物の状態を治療又は予防する方法であって、
その治療又は予防がmGluR4アロステリックモジュレーターの神経調節作用により影響又は促進される、方法であり、
そのような治療又は予防を必要とする哺乳動物に請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量を投与する工程、
を含む方法。
【請求項10】
ヒトを含めた哺乳動物の状態を治療又は予防する方法であって、
その治療又は予防がmGluR4ポジティブアロステリックモジュレーターの神経調節作用により影響又は促進される、方法であり、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物に投与する工程、
を含む方法。
【請求項11】
中枢神経系障害を治療又は予防するのに有用な方法であって、
中枢神経障害は、
耽溺、耐性又は依存症、
うつ病及び不安のような情動障害、
精神性障害のような精神医学的疾患、
注意欠陥/多動性障害又は双極性障害、
パーキンソン病、記憶障害、アルツハイマー病、認知症、振戦譫妄、他の形態の神経変性、神経毒性又は虚血、
からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項12】
中枢神経系障害を治療又は予防するのに有用な方法であって、
中枢神経系障害は、動作緩慢のようなパーキンソン病又は運動障害、固縮、ジストニア、薬剤誘発性パーキンソニズム、ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、L−ドーパ−誘発性ジスキネジア、ドーパミン作動薬誘発性ジスキネジア、運動過剰障害、ジルドゥラトゥレット症候群、静止時振戦、動作時振戦、無動症、無動−強固症候群、静坐不能、無定位運動症、固定姿勢保持困難、チック、姿勢保持障害、脳炎後パーキンソニズム、筋強剛、舞踏病及び舞踏病様運動、痙攣、間代性筋痙攣、ヘミバリズム、進行性核上性麻痺、下肢静止不能症候群、又は周期性四肢運動障害からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
そのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に、請求項1から8のいずれかに記載の化合物/組成物の有効量を、薬剤と組み合わせて投与する工程、
を含む方法であり、
薬剤は、レボドパ、又は選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と併用したレボドパ、又はカルビドパ、又はエンタカポン、又はCOMT阻害剤又はドーパミン作動薬からなる群から選択される、
方法。
【請求項14】
中枢神経系障害を治療又は予防するのに有用な方法であって、
中枢神経系障害は、譫妄のような認知障害、物質誘発性持続性譫妄、認知症、HIV疾患による認知症、ハンチントン病による認知症、パーキンソン病による認知症、パーキンソンALS認知症複合、アルツハイマー型認知症、物質誘発持続性認知症、又は軽中度認知障害、からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項15】
情動障害を治療するのに有用な方法であって、
情動障害は、不安、広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、対人恐怖症、他の恐怖症、物質誘発性不安障害、又は急性ストレス障害、からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項16】
中枢神経系障害を治療又は予防するのに有用な方法であって、
中枢神経系障害は、気分障害、双極性障害(I及びII)、気分循環性障害、うつ病、気分変調性障害、大うつ病性障害、又は物質誘発性気分障害、からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項17】
神経疾患を治療又は予防するのに有用な方法であって、
神経疾患は、神経変性、脳卒中のような神経毒性又は虚血、脊椎損傷、脳低酸素症、脳内血腫、パーキンソン病、記憶障害、アルツハイマー病、認知症、又は振戦譫妄、からなる群から選択され、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項18】
炎症性中枢神経系障害を治療又は予防するのに有用な方法であって、
炎症性中枢神経系障害は、良性多発性硬化症のような多発性硬化症形態、再発寛解型多発性硬化症、二次性進行型多発性硬化症、一次性進行型多発性硬化症、又は進行再発型多発性硬化症、からなる群から選択され、
そのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に、請求項1から8のいずれかに記載の化合物/組成物の有効量を投与する工程、
を含む方法。
【請求項19】
片頭痛を治療又は予防するのに有用な方法であって、
そのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に、請求項1から8のいずれかに記載の化合物/組成物の有効量を投与する工程、
を含む方法。
【請求項20】
てんかん又は振戦、
側頭葉てんかん、
慢性脳炎、外傷性脳損傷、脳卒中、又は虚血、のような別の疾患又は傷害に続発するてんかん、
を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項21】
外傷性脳損傷、脳卒中、虚血、脊椎損傷、脳低酸素症、又は脳内血腫、から生じる炎症及び/又は神経変性を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項22】
外傷性脳損傷、脳卒中、虚血、脊椎損傷、脳低酸素症、又は脳内血腫、から生じる感覚症状、運動症状又は認知症状を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項23】
髄芽腫を治療するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項24】
炎症性疼痛又は神経因性疼痛を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項25】
グルタメート機能不全に伴う様々な代謝障害を、治療する、予防する、改善する、そのリスクを制御する又は減らす、のに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療、予防、改善又はリスクの制御を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項26】
2型糖尿病を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項27】
網膜の疾患又は障害、網膜変性症、又は黄斑変性症、を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項28】
胃食道逆流性疾患(GERD)、下部食道括約筋疾患又は障害、消化管運動疾患、大腸炎、クローン病、又は過敏性大腸症候群(IBS)、を含めた消化管の疾患又は障害、を治療又は予防するのに有用な方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物/組成物の有効量をそのような治療又は予防を必要とする哺乳動物の患者に投与する工程、
を含む方法。
【請求項29】
請求項9から28のいずれか一項に記載の使用のための医薬の製造のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
代謝調節型グルタミン酸レセプターを画像化するためのトレーサーを調製するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
呈味剤、香味剤、着香増強剤又は食品添加剤又は飲料添加剤としての、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
請求項9から14、16から22、24又は26から28のいずれかに記載の治療又は予防における使用のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は請求項8に記載の組成物。
【請求項33】
請求項25に記載の使用のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は請求項8に記載の組成物。
【請求項34】
請求項15又は23のいずれかに記載の治療における使用のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は請求項8に記載の組成物。


【公表番号】特表2012−515152(P2012−515152A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544892(P2011−544892)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050304
【国際公開番号】WO2010/079238
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(510010551)アデックス ファルマ エス.エイ. (2)
【Fターム(参考)】