説明

伝送線路選択切換装置及び伝送線路選択切換方法

【課題】回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線に切り換え、また放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないようにする。
【解決手段】伝送線路119又は予備回線146のうち、伝送線路119が選択されているとき、伝送線路119からの入力信号が出力され、検波器123により、伝送線路119からの入力信号の出力の変動とスケジュール情報(送信有無情報)とを基に、切換スイッチ131による切り換えが制御されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長を考慮した光CATV等の伝送システムにおける、伝送線路の切断等の異常発生時に自動的に正常な伝送線路を選択する伝送線路選択切換装置及び伝送線路選択切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端局を並行する複数の伝送線路を用いてループ状に回線接続し、同一の信号を順逆両方向に伝送するシステムが知られている。
【0003】
このシステムは、たとえば複数の端局がループ状に双方向の回線により接続されている。端局から信号を伝送すると、入力された信号を2分岐してそれぞれ複数の伝送線路に出力する。2分岐された信号の一方は、順方向に伝送されて他の端局に供給され、他方の信号は逆方向に伝送されて同様に他の端局に供給される。
【0004】
他の端局はそれらの両方向から入力された信号を受信し、常時監視している。たとえば時計回り方向で伝送されて入力された信号を本線で用いているときに時計回り信号入力に障害発生を検出すると、切換スイッチを用い回線障害時に伝送線路を選択して切り換えて反時計回り方向で伝送されて入力された信号の方に切り換える。これにより、時計回り信号と反時計回り信号とは、全く同一の信号であるので、これにより通信が確保される。
【0005】
このような回線障害時に伝送線路を選択して切り換えるようにしたものとして、特許文献1では、監視手段としてのモニタ部を有し、そのモニタ部でモニタリングして回線の信号出力の正常/異常を判断し、モニタ部からの出力信号により切換手段のスイッチ制御を行うようにした信号切換装置を提案している。
【0006】
すなわち、複数の端局A〜Dをループ状に回線接続し、同一の信号を順逆両方向に伝送するシステム(図5参照)の各端局A〜Dに設けられる信号切換装置10(図6参照)であって、順方向伝送信号と逆方向伝送信号とがそれぞれ同時に入力され、それぞれ別々にその入力信号に障害があるかどうかを監視する監視手段(モニタ部)11と、多重/分離部12を介して得られる順方向伝送信号と逆方向伝送信号中の所望の信号が第1の端子13a及び第2の端子13bにそれぞれ入力されて一方の信号を選択出力するとともに、監視手段(モニタ部)11により現在選択出力している一方の信号に障害発生有りと検出されたときには、監視手段(モニタ部)11よりの制御信号により他方の信号を選択するよう切り換わる切換手段14を有する構成としたものである。
【特許文献1】特開平08−107425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に示されている信号切換装置では、監視手段(モニタ部)11により現在選択出力している一方の信号に障害発生有りと検出されたときには、監視手段(モニタ部)11からの制御信号により切換手段14を制御して他方の信号を選択するよう切り換えるようにしている。そのため、切換手段14を用いて回線障害時に伝送線路を選択して切り換える伝送線路選択切換の制御をハードウェアで行えるようになっている。
【0008】
また、切換手段14を用いて回線障害時に伝送線路を選択して切り換える際の2入力1出力の切換制御をハードウェアで行えるようにして、回線の状況を監視するために専用の監視手段(モニタ部)11を有している。
【0009】
しかし、障害の有無を監視する監視手段(モニタ部)11にあっては、具体的にどのような方法で障害の有無を感知するのかといったことが示されていない。
【0010】
一方、回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線に切り換えることが必要となる。また、放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないことも必要となる。
【0011】
このようなことから、回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線に切り換えることができ、また、放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないようにすることができる装置の開発が望まれていた。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決することができる伝送線路選択切換装置及び伝送線路選択切換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の伝送線路選択切換装置は、伝送システムにおける、本線及び少なくとも1本の予備回線で構成された複数の伝送線路からの入力信号を切り換える伝送線路選択切換装置であって、複数の伝送線路のいずれかを選択し、該選択した伝送線路からの入力信号を出力する回線切換手段と、前記本線からの入力信号を検波して出力する第1の検波手段と、該第1の検波手段の出力の変動と前記伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき前記回線切換手段による切り換えを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記出力の変動があるとき、前記送信有無情報に基づき異常の有無を判断し、異常と判断した場合は前記回線切換手段による切り換えを制御することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断し、前記送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断して前記回線切換手段による切り換えを制御するようにすることができる。
また、前記本線からの入力信号を分配する分配手段と、該分配手段によって分配された入力信号から所定の信号を抽出する信号抽出手段と、該信号抽出手段の出力を検波して出力する第2の検波手段とを備え、前記制御手段は、前記第2の検波手段の出力の変動に応じて異常の内容を判断するようにすることができる。
また、前記信号抽出手段によって抽出される信号はパイロット信号であるようにすることができる。
本発明の伝送線路選択切換方法は、伝送システムにおける、本線及び少なくとも1本の予備回線で構成された複数の伝送線路からの入力信号を切り換える伝送線路選択切換方法であって、回線切換手段により、複数の伝送線路のいずれかを選択し、該選択した伝送線路からの入力信号を出力する工程と、第1の検波手段により、前記本線からの入力信号を検波して出力する工程と、制御手段により、該第1の検波手段の出力の変動と前記伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき前記回線切換手段による切り換えを制御する工程とを有し、前記制御手段は、前記出力の変動があるとき、前記送信有無情報に基づき異常の有無を判断し、異常と判断した場合は前記回線切換手段による切り換えを制御するようにすることができる。
また、前記制御手段は、前記送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断し、前記送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断して前記回線切換手段による切り換えを制御するようにすることができる。
また、分配手段により、前記本線からの入力信号を分配する工程と、信号抽出手段により、該分配手段によって分配された入力信号から所定の信号を抽出する工程と、第2の検波手段により、該信号抽出手段の出力を検波して出力する工程とを有し、前記制御手段により、前記第2の検波手段の出力の変動に応じて異常の内容を判断するようにすることができる。
また、前記信号抽出手段によって抽出される信号はパイロット信号であるようにすることができる。
本発明の伝送線路選択切換装置及び伝送線路選択切換方法では、回線切換手段により、複数の伝送線路のいずれかが選択され、該選択された伝送線路からの入力信号が出力され、第1の検波手段により、本線からの入力信号が検波されて出力され、制御手段により、第1の検波手段の出力の変動と伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき、第1の検波手段の出力の変動があるとき、制御手段により送信有無情報に基づき異常の有無が判断され、異常と判断され場合は回線切換手段による切り換えが制御される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の伝送線路選択切換装置及び伝送線路選択切換方法によれば、回線切換手段により、複数の伝送線路のいずれかが選択され、該選択された伝送線路からの入力信号が出力され、第1の検波手段により、本線からの入力信号が検波されて出力され、制御手段により、第1の検波手段の出力の変動と伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき、第1の検波手段の出力の変動があるとき、制御手段により送信有無情報に基づき異常の有無が判断され、異常と判断され場合は回線切換手段による切り換えが制御されるようにしたので、回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線に切り換えることができ、また、放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態では、回線切換手段により、複数の伝送線路のいずれかが選択され、該選択された伝送線路からの入力信号が出力され、第1の検波手段により、本線からの入力信号が検波されて出力されると、制御手段により、第1の検波手段の出力の変動と伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき、第1の検波手段の出力の変動があるとき、送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断し、送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断して回線切換手段による切り換えが制御されるようにした。
【0016】
この場合、たとえば複数のキャリア(搬送波)で構成された放送波の信号は、キャリア(搬送波)数と放送波信号の電圧レベルとがリニアな関係にあることに基づき、信号出力の電気信号レベルの変動の有無により回線の正常/異常を判断することが可能となり、現用回線が異常と判断した場合には予備回線への切り換えが可能となるとともに、送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断され、送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断されることから、回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線に切り換えることができ、また、放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないようにすることができる。
【0017】
すなわち、搬送波は深夜の放送休止等で送信されないことがあるが、放送実施、放送休止のスケジュール情報(送信有無情報)を基に、搬送波のレベルが変動する時間帯を予めスケジューリングしておくことで、送信有無情報と搬送波の信号のレベルの変動の有無により回線の正常/異常を判断することが可能となり、現用回線が異常と判断した場合には予備回線に切り換えることが可能となる。
【0018】
また、本実施形態では、分配手段により、本線からの入力信号が分配され、信号抽出手段により、該分配手段によって分配された入力信号から所定の信号が抽出され、第2の検波手段により、該信号抽出手段の出力が検波されて出力されると、制御手段により、第2の信号変換手段の出力の変動に応じて異常の内容が判断されるようにした。
【0019】
この場合、搬送波のうちパイロット信号は放送の有無に関わらず常時送信されているため、そのパイロット信号のレベルの変動の有無により、第1の検波手段の出力の変動があって異常であると判断された際に、そのパイロット信号に変動があれば回線に異常の可能性があると判断することができ、そのパイロット信号に変動がなければ端局のHE(ヘッドエンド)の送信側に異常の可能性があると判断することができるので異常の原因を判別することができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の詳細を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の伝送線路選択切換装置を光CATVシステムに適用した場合の一実施例を説明するための図である。
【0021】
同図に示す光CATVシステムは、冗長を確保する目的で伝送線路119と伝送線路120とをループ状に構成している。ここで、伝送線路119と伝送線路120とはそれぞれ時計方向、反時計方向に信号を伝送する光ファイバにより構成されている。
【0022】
HE(ヘッドエンド)100の光送信機115,117からそれぞれ時計方向、反時計方向に同一内容で送信された信号は、それぞれ各SHE(サブヘッドエンド)101〜104、各SHE(サブヘッドエンド)104〜101を経由してHE100の光受信機116,118に戻ってくる。なお、図中符号107〜114は光カップラである。
【0023】
ここで、各SHE(サブヘッドエンド)101〜104の伝送線路選択切換装置120Aは、右回りの伝送線路119を選択しているものとする。この状態で、121の位置で伝送線路119,120が切断された場合を考える。
【0024】
この場合には、SHE(サブヘッドエンド)101,102は、時計方向の光信号を正常状態で受信可能であり、伝送線路選択切換装置120Aによる回線選択を切り換える必要はない。
【0025】
ただし、SHE(サブヘッドエンド)103,104は、時計方向の光信号が受信できない状態となるため、伝送線路選択切換装置120Aにより、反時計方向の伝送線路120を選択切換することにより、光信号の受信が可能となる。
【0026】
このようなループ状の伝送線路119,120を構成し、伝送線路119,120の断線事故が発生した場合でも伝送線路選択切換装置120Aにより伝送線路119,120を切り換えることによりサービスを停止することなく、復旧作業を行うことが可能となる。また、どこのSHE(サブヘッドエンド)101〜104の伝送線路選択切換装置120Aが動作したかを確認することにより、どこのSHE(サブヘッドエンド)101〜104の間の伝送線路119,120で異常が発生したかを知ることができる。
【0027】
また、たとえば各SHE(サブヘッドエンド)101〜104に、無線受信器144からの信号が周波数変換器145で変換され予備回線146を介して取り込まれるようにした場合には、たとえばループ状の伝送線路119,120の両方に同時に障害が発生し、いずれの伝送線路119,120からも信号を得られないとき、無線受信器144からの信号を得ることができ、無線によるバックアップが可能となる。
【0028】
図2は、各SHE(サブヘッドエンド)101〜104の伝送線路選択切換装置120Aの詳細を説明するための図である。なお、以下に説明する図においては、説明の都合上、伝送線路119と、無線受信器144からの予備回線146とのいずれかが選択される場合を示している。
【0029】
ここで、伝送線路119を現用系統とし、予備回線146を予備系統とする。また、これらの伝送線路119及び予備回線146には、それぞれに同一の放送波が流れるとともに、それらの放送波には複数のキャリア(搬送波)が含まれているものとする。
【0030】
同図において、符号121は分配器であり、伝送線路119からの信号を分配器122側と切換スイッチ131側とに分ける。分配器122では、分配器121からの信号をさらに検波器123側とバンドパスフィルタ126側とに分ける。
【0031】
検波器123では分配器122からの信号を直流成分に変換して出力すると、その出力が増幅器124によって所望の電圧レベルとされる。そして、増幅器124からの信号はADコンバータ125によってデジタル信号に変換され、コントローラ130に出力される。
【0032】
一方、バンドパスフィルタ126では分配器122からの信号から特定のキャリア(搬送波)に含まれているたとえばパイロット信号のみが抽出され、さらに検波器127でその信号が直流成分に変換されて出力されると、その出力が増幅器128によって所望の電圧レベルとされる。そして、増幅器128からの信号はADコンバータ129によってデジタル信号に変換され、コントローラ130に出力される。
【0033】
コントローラ130は、たとえばパイロット信号の変化に応じて切換スイッチ131を制御し、切換スイッチ131を接点a又は接点bに切り換える。ここで、接点aは伝送線路119からの信号を取り込む側であり、接点bは予備回線146からの信号を取り込む側である。
【0034】
なお、図中符号140は時刻情報を与える時計であり、符号141はたとえば伝送線路119又は予備回線146のいずれが選択されているかを表示する表示器であり、符号142は電話回線への接続制御を行う電話回線制御装置であり、符号143はネットワークとのデータのやり取りを受け持つLANインタフェースである。
【0035】
次に、伝送線路選択切換装置120Aの動作について説明する。
【0036】
まず、現用回線である伝送線路119からの信号が取り込まれているとき、検波器123により伝送線路119からの入力信号が検波され直流成分に変換されて出力され、増幅器124により検波器123の出力が所望の電圧レベルまで増幅され、ADコンバータ125により増幅器124の出力がデジタル信号に変換されてコントローラ130に与えられる。つまり、ここでは放送波の検波出力がコントローラ130に与えられることになる。
【0037】
また、分配器122により分配された伝送線路119からの入力信号がバンドパスフィルタ126に取り込まれると、そのバンドパスフィルタ126によりその入力信号から所定の信号(パイロット信号)が抽出され、検波器127によりバンドパスフィルタ126の出力が検波され直流成分に変換して出力され、増幅器128により検波器127の出力が所望の電圧レベルまで増幅され、ADコンバータ129により増幅器128の出力がデジタル信号に変換されてコントローラ130に与えられる。つまり、ここではパイロット信号の検波出力がコントローラ130に与えられることになる。
【0038】
ここで、分配器122から分配された信号には、全てのキャリア(搬送波)が含まれており、たとえばキャリア(搬送波)数が8の場合、そのキャリア(搬送波)数と検波器123の出力での電圧レベルとの関係は図3のようなリニアな関係となる。よって、検波器123の出力電圧を測定することにより、キャリア(搬送波)数を知ることが可能である。
【0039】
ここで、コントローラ130は、ADコンバータ125からのデジタル信号を受け取り、放送波の出力に変化があるかどうかを確認し、放送波の出力に変化がなければ正常であると判断することができる。
【0040】
これに対し、放送波の出力に変化があるときは時間帯により図4に示すテーブルの条件を参照する。例えば、時間帯が深夜(例えば1時〜4時)の場合は図4に示すテーブルが、深夜(例えば1時〜4時)で放送波の送信の有無を確認する。
【0041】
すなわち、図4に示すテーブルには、放送実施、放送休止のスケジュール情報(送信有無情報)に基づいて送信に障害があるかないかを判断するための条件が登録されている。ここで、スケジュール情報(送信有無情報)とは、EPG(電子番組表)のように、放送局、放送時間帯、放送休止時間帯等を示す情報である。
【0042】
ここで、放送波の出力に変化があっても、深夜(例えば1時〜4時)で放送波の送信がなしの場合は、送信が正常であると判断することができる。
【0043】
一方、時間帯が昼間・夜間の場合、同様に、上述したテーブルの条件を参照し、昼間・夜間で放送波の送信の有無を確認する。
【0044】
昼間・夜間でスケジュール情報(送信有無情報)が放送波の送信ありの場合は障害が発生したと判断し、切換スイッチ131を接点aから接点bに切り換えることで、予備回線146からの信号を取り込むことができるようになる。
【0045】
これに対し、昼間・夜間であってもスケジュール情報(送信有無情報)が放送波の送信がなしの場合は、正常であると判断することができる。
【0046】
なお、放送波の出力に変化があって、スケジュール情報(送信有無情報)に放送波の送信がある場合は、送信に障害が発生したと判断することが可能となるが、ここでさらに検波器127の出力(パイロット信号)に変化があるかどうかを確認するようにすれば、障害の内容をさらに詳しく判別することが可能となる。
【0047】
すなわち、伝送線路119を介しての放送は深夜帯のように放送を停止する場合があるが、検波器127からの出力であるパイロット信号は、伝送線路119又は上述したHE(ヘッドエンド)100に障害がない限り、伝送線路119に絶えず流れている。
【0048】
そこで、放送波の出力に変化があって、送信に障害が発生したと判断されたとき、検波器127の出力(パイロット信号)に変化がある場合は伝送線路119に障害ありの可能性ありと判断することができ、検波器127の出力(パイロット信号)に変化がない場合はHE(ヘッドエンド)100に障害ありの可能性ありと判断することができる。
【0049】
なお、放送波の出力に変化があってスケジュール情報(送信有無情報)に放送波の一部が途絶していることが示されていた場合は第一段階で送信は正常と判断するが、さらに第二段階において、スケジュール情報(送信有無情報)から放送されているキャリア(搬送波)数が分かるため検波器123の出力の電圧レベルが予定されているキャリア(搬送波)数に満たないときは、HE(ヘッドエンド)100に障害ありと判断することができるので、さらに詳細に異常の有無を判断することができる。
【0050】
すなわち、図3に示したキャリア(搬送波)数と検波器123の出力での電圧レベルとはリニアな関係にあるため、そのリニアな関係から検波器123の出力の電圧レベルによりキャリア(搬送波)数を判別することができるためである。
【0051】
このように、本実施例では、回線切換手段としての切換スイッチ131により、複数の伝送線路であるたとえば本線である伝送線路119又は予備回線146のうち、伝送線路119が選択されているとき、該選択された伝送線路119からの入力信号が出力され、第1の検波手段としての検波器123により、伝送線路119からの入力信号が検波され直流成分に変換されて出力され、増幅器124により、該検波器123の出力が所望の電圧レベルまで増幅され、ADコンバータ125により、該増幅器124の出力がデジタル信号に変換され、制御手段としてのコントローラ130により、該ADコンバータ125の出力の変動と放送実施、放送休止のスケジュール情報(送信有無情報)とを基に、切換スイッチ131による切り換えが制御されるようにしたので、回線自体に何ら障害が発生していないにもかかわらず、放送波の一部が途絶した場合でも異常を検知して予備回線146に切り換えることができ、また、放送波の一部が途絶しても、放送の休止時にはそれを異常とは判断せずに回線を切り換えないようにすることができる。
【0052】
また、本実施例では、分配手段としての分配器122により、伝送線路119からの入力信号が分配され、信号抽出手段としてのバンドパスフィルタ126により、該分配器122によって分配された入力信号から所定の信号(パイロット信号)が抽出され、第2の検波手段としての検波器127により、該バンドパスフィルタ126の出力が検波され直流成分に変換して出力され、増幅器128により、該検波器127の出力が所望の電圧レベルまで増幅され、ADコンバータ129により、該増幅器128の出力がデジタル信号に変換されると、コントローラ130により、ADコンバータ129の出力の変動に応じて異常の内容が判断されるようにした。
【0053】
この場合、搬送波のうちパイロット信号は放送の有無に関わらず常時送信されているため、そのパイロット信号のレベルの変動の有無により、検波器123の出力の変動があって異常であると判断された際に、そのパイロット信号に変動があれば回線に異常の可能性があると判断することができ、そのパイロット信号の出力に変動がなければ送信側であるHE(ヘッドエンド)100に異常の可能性があると判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
光CATVシステムに限らず、データを転送するデータ転送システムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の伝送線路選択切換装置を光CATVシステムに適用した場合の一実施例を説明するための図である。
【図2】図1の各SHE(サブヘッドエンド)の伝送線路選択切換装置の詳細を説明するための図である。
【図3】図1の伝送線路選択切換装置の検波器におけるキャリア(搬送波)数と、検波出力の電圧レベルとの関係を説明するための図である。
【図4】図2の伝送線路選択切換装置のコントローラにおける、検波器の出力の変化に伴う伝送線路又はHE(ヘッドエンド)に障害が発生したかどうかを判断する際に参照するテーブルを説明するための図である。
【図5】従来の複数の端局をループ状に回線接続して信号を伝送するシステムを示す図である。
【図6】図5の複数端局に設けられる信号切換装置を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
100 HE(ヘッドエンド)
101〜104 SHE(サブヘッドエンド)
107〜114 光カップラ
115,117 光送信機
116,118 光受信機
119,120 伝送線路
120A 伝送線路選択切換装置
121,122 分配器
123,127 検波器
124,128 増幅器
125,129 ADコンバータ
126 バンドパスフィルタ
130 コントローラ
131 切換スイッチ
140 時計
141 表示器
142 電話回線制御装置
143 LANインタフェース
144 無線受信器
145 周波数変換器
146 予備回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送システムにおける、本線及び少なくとも1本の予備回線で構成された複数の伝送線路からの入力信号を切り換える伝送線路選択切換装置であって、
複数の伝送線路のいずれかを選択し、該選択した伝送線路からの入力信号を出力する回線切換手段と、
前記本線からの入力信号を検波して出力する第1の検波手段と、
該第1の検波手段の出力の変動と前記伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき前記回線切換手段による切り換えを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記出力の変動があるとき、前記送信有無情報に基づき異常の有無を判断し、異常と判断した場合は前記回線切換手段による切り換えを制御する
ことを特徴とする伝送線路選択切換装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断し、前記送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断して前記回線切換手段による切り換えを制御することを特徴とする請求項1に記載の伝送線路選択切換装置。
【請求項3】
前記本線からの入力信号を分配する分配手段と、
該分配手段によって分配された入力信号から所定の信号を抽出する信号抽出手段と、
該信号抽出手段の出力を検波して出力する第2の検波手段とを備え、
前記制御手段は、前記第2の検波手段の出力の変動に応じて異常の内容を判断する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送線路選択切換装置。
【請求項4】
前記信号抽出手段によって抽出される信号はパイロット信号であることを特徴とする請求項3に記載の伝送線路選択切換装置。
【請求項5】
伝送システムにおける、本線及び少なくとも1本の予備回線で構成された複数の伝送線路からの入力信号を切り換える伝送線路選択切換方法であって、
回線切換手段により、複数の伝送線路のいずれかを選択し、該選択した伝送線路からの入力信号を出力する工程と、
第1の検波手段により、前記本線からの入力信号を検波して出力する工程と、
制御手段により、該第1の検波手段の出力の変動と前記伝送システムにおける送信有無を示す送信有無情報とに基づき前記回線切換手段による切り換えを制御する工程とを有し、
前記制御手段は、前記出力の変動があるとき、前記送信有無情報に基づき異常の有無を判断し、異常と判断した場合は前記回線切換手段による切り換えを制御する
ことを特徴とする伝送線路選択切換方法。
【請求項6】
前記制御手段は、前記送信有無情報に送信なしが示されていれば正常と判断し、前記送信有無情報に送信ありが示されていれば異常と判断して前記回線切換手段による切り換えを制御することを特徴とする請求項5に記載の伝送線路選択切換方法。
【請求項7】
分配手段により、前記本線からの入力信号を分配する工程と、
信号抽出手段により、該分配手段によって分配された入力信号から所定の信号を抽出する工程と、
第2の検波手段により、該信号抽出手段の出力を検波して出力する工程とを有し、
前記制御手段により、前記第2の検波手段の出力の変動に応じて異常の内容を判断する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の伝送線路選択切換方法。
【請求項8】
前記信号抽出手段によって抽出される信号はパイロット信号であることを特徴とする請求項7に記載の伝送線路選択切換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−124545(P2009−124545A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297865(P2007−297865)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(303040585)株式会社オーシーシー (47)
【Fターム(参考)】