位相同期回路及びその制御方法、通信装置
【課題】
安定した周波数の出力信号を出力できるようにした位相同期回路及びその制御方法、通信装置を提供する。
【解決手段】
位相同期回路は、入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、入力信号と電圧制御発振回路の出力信号との位相を比較する比較手段と、位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を制御電圧として電圧制御発振回路に入力する切換手段と、入力信号の異常を検出する異常検出手段とを具備し、切換手段は、異常検出手段による異常の検出結果に基づいて2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する。
安定した周波数の出力信号を出力できるようにした位相同期回路及びその制御方法、通信装置を提供する。
【解決手段】
位相同期回路は、入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、入力信号と電圧制御発振回路の出力信号との位相を比較する比較手段と、位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を制御電圧として電圧制御発振回路に入力する切換手段と、入力信号の異常を検出する異常検出手段とを具備し、切換手段は、異常検出手段による異常の検出結果に基づいて2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に使用される位相同期回路及びその制御方法、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バースト状に間欠的に入力される基準信号に同期させてクロックの生成などを行なう位相同期回路(以下、サンプル/ホールド型PLL(Phase Locked Loop)、また単にPLL回路などと呼ぶ)が知られている。
【0003】
図9は、従来のサンプル/ホールド型PLL回路の構成を示す図である。サンプル/ホールド型PLL回路には、間欠的に基準信号が入力信号として入力される。入力信号が入力されると、サンプル/ホールド型PLL回路は、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周されたクロックとを位相比較する。この比較後、低域通過フィルタであるLPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をサンプル/ホールド回路(以下、S/Hと略する場合もある)12に入力する。S/H12は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作を行なう。S/H12の出力は、VCO6の制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。このようなサンプル/ホールド型PLL回路を用いることで、間欠的にしか存在しない基準信号に対して同期の取れた連続信号を得ることができる。
【0004】
サンプリング期間に入力される基準信号にノイズが重畳していたり、この基準信号が充分なレベル確保出来なかったりした場合、PLL回路の同期が外れた状態で、バースト期間が終わってしまう可能性がある。この場合、同期が外れた後、次のバースト期間で同期が取れるまでの間、同期が取れていない状態となり、安定したPLL動作をすることができない。
【0005】
従来、サンプリング期間に入力される基準信号が、例えば、再生装置のドロップアウトなどを原因として正常な信号状態を保てない場合、サンプル/ホールド回路をホールド状態にし、異常となる直前の電圧を保持する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−292018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の構成では、種々の課題がある。例えば、従来の構成では、VCO制御電圧に影響が出る前に、入力信号の異常を検出しホールド状態に切り換えなければ、同期が外れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安定した周波数の出力信号を出力できるようにした位相同期回路及びその制御方法、通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による位相同期回路は、入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較手段と、前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換手段と、前記入力信号の異常を検出する異常検出手段とを具備し、前記切換手段は、前記異常検出手段による異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、位相同期回路の制御方法であって、電圧制御発振回路で制御電圧に応じた信号を出力信号として出力する出力工程と、入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較工程と、前記比較工程での位相の比較に基づく電圧を2つ以上のサンプル/ホールド回路それぞれに異なるタイミングで保持させる保持工程と、前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換工程と、前記入力信号の異常を検出する異常検出工程とを含み、前記切換工程では、前記異常検出工程での異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定した周波数の出力信号を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係わる位相同期回路及びその制御方法、通信装置の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。位相同期回路は、例えば、通信装置に内蔵され、通信のために使用される。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
PLL回路は、位相同期制御により入力信号に同期した周波数の出力信号を出力する位相同期回路である。ここで、PLL回路は、位相比較器1と、LPF2と、S/Ha3と、S/Hb4と、切換スイッチ5と、VCO6と、1/N分周回路7と、ノイズ検出回路8と、パルス発生器9とを具備して構成される。
【0014】
位相比較器1は、入力信号とVCO6の出力信号との位相を比較する。ここで比較対象となるVCO6の出力信号は、1/N分周回路7でN分周した周波数(クロック)となる。LPF(Low Pass Filter)2は、高域周波数を除去し低域周波数のみを通過させる低域通過フィルタであり、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去する。S/Ha3は、第1のサンプル/ホールド回路として機能し、S/Hb4は、第2のサンプル/ホールド回路として機能する。切換スイッチ5は、S/Ha3及びS/Hb4のいずれかを選択する。この選択により、いずれかのサンプル/ホールド回路(以下、S/Hと略する場合もある)からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO(Voltage Controlled Oscillator)6は、電圧制御発振回路であり、切換スイッチ5を介して入力されるS/H回路からの制御電圧に応じた周波数の信号を生成し、それを出力信号として出力する。1/N分周回路7は、VCO6からの周波数を分周する。ノイズ検出回路8は、異常状態を検出する異常検出手段として機能し、具体的には、入力信号のノイズ等(信号レベルの低下も含む)を検出しその検出結果をパルス発生器9に出力する。パルス発生器9は、制御信号を発生し、PLL回路を構成する各部を制御する。以上が、実施形態1に係わるPLL回路の構成についての説明である。
【0015】
ここで、PLL回路に対して、例えば、間欠的に基準信号が入力信号として入力されたとする。PLL回路では、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周した出力信号(クロック)とを位相比較する。この比較後、PLL回路は、LPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をS/Ha3及びS/Hb4に入力する。S/Ha3及びS/Hb4は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作する。切換スイッチ5において、S/Ha3又はS/Hb4のいずれかの出力が選択され、その選択されたS/H回路からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。また、ノイズ検出回路8において、入力信号のノイズを検出すると、ノイズ検出回路8からパルス発生器9に検出信号が出力される。
【0016】
次に、図2〜図4を用いて、図1に示すPLL回路の処理の流れについて説明する。図2及び図3は、図1に示すPLL回路の動作の一例を示すフローチャートであり、図4は、その際に使用される各種信号の一例を示す図である。
【0017】
ここでは、図4に示す表を参照しながら、図2、図3に示すフローチャートを順に追って説明する。電源投入等がなされると、この処理は開始される(ステップS101)。PLL回路では、まず、システムがリセットされ、切換スイッチ5を制御する信号であるSW(サンプルホールド回路切換信号)がS/Ha3選択状態になり、NOISE(ノイズ検出信号)がノイズ未発生状態に初期設定される(ステップS102)。その後、PLL回路は、間欠的な基準信号の入力において、実際に基準信号が入力される期間を示すバースト期間となるまで待機する(ステップS103でNO)。
【0018】
ここで、バースト期間になると(ステップS103でYES)、パルス発生器9からS/Ha3及びS/Hb4に対してサンプリングモードへの移行を指示する信号(SHa=1、SHb=1)が入力される。これにより、S/Ha3及びS/Hb4は、サンプリング動作を開始する(ステップS104)。このサンプリング動作は、バースト期間が終了するまで継続して行なわれる(ステップS105でYES)。サンプリング動作時は、PLL回路が閉ループとなり、実際にPLL動作(位相同期制御に係わる処理)をしている期間となる。
【0019】
バースト期間が終了すると(ステップS105でNO)、PLL回路は、サンプリング動作からホールド動作に移行する。このホールド動作への移行に伴って、パルス発生器9から出力されるS/Ha3の制御モードを決める信号は、サンプリング・モード(SHa=1)に設定される。また、パルス発生器9から出力されるS/Hb4の制御モードを決める信号は、ホールド・モード(SHb=0)に設定される(ステップS106)。
【0020】
PLL回路は、次のバースト期間までホールド動作を維持する(ステップS107でNO)。ホールド動作期間では、PLL回路が開ループとなり、PLL動作は行なわず、S/H回路に保持された電圧によりVCO6が制御されクロックが生成される。次のバースト期間となりSH信号がサンプリング状態(SH=1)となると(ステップS107でYES)、パルス発生器9からのSHa信号及びSHb信号に従って、S/Ha3はサンプリング動作、S/Hb4はホールド動作を行なう。
【0021】
バースト期間が終了すると(ステップS108でNO)、図3に移り、PLL回路は、パルス発生器9において、ノイズ検出回路8からのNOISE(ノイズ検出信号)を確認する。この処理は、バースト期間中にノイズが発生していた場合には、PLL動作が正常に行なえていないため、それを確認するために行なう。この結果、ノイズの発生が確認されなければ(ステップS109でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS110)。また、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS111)。その後、PLL回路は、ステップS107の処理へ戻る。
【0022】
一方、ステップS109の判断において、ノイズの発生が確認された場合(ステップS109でNO)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をホールド・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS112)。その後、PLL回路は、バースト期間になるまで待機する(ステップS113でNO)。バースト期間になると(ステップS113でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS114)。PLL回路は、バースト期間の間、サンプリング動作を続ける(ステップS115でYES)。
【0023】
ここで、バースト期間が終了し(ステップS115でNO)、そのバースト期間中にノイズが発生していた場合(ステップS116でNO)、PLL回路は、再度、ステップS112の処理に戻る。一方、ノイズが発生せずサンプリング動作が終了した場合(ステップS116でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換える。そして、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS117)。更に、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換えた後(ステップS118)、ステップS107の処理に戻る。
【0024】
以上説明したように実施形態1によれば、2つのサンプル/ホールド回路を使用してサンプル/ホールド型PLL動作を行なう。このとき、2つのサンプル/ホールド回路それぞれは、異なるタイミングでサンプリング動作を行なう。そのため、サンプリング動作時にノイズが発生した場合には、安定した電圧を保持しているサンプル/ホールド回路側の出力に切り換え、ホールド動作時のクロック生成を行なう。これにより、外乱によりVCOの制御電圧が適切な電圧から外れてしまうおそれのある場合であっても、安定したクロック生成が可能となる。
【0025】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。図5は、実施形態2に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。なお、実施形態1を説明した図1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明については省略する。ここでは、相違点を挙げて説明する。相違点としては、第1の同期検出回路として同期検出回路a10と、第2の同期検出回路として同期検出回路b11とが新たな構成として設けられているところにある。
【0026】
ここで、PLL回路に対して、例えば、間欠的に基準信号が入力信号として入力されたとする。PLL回路では、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周した出力信号(クロック)とを位相比較する。この比較後、PLL回路は、LPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をS/Ha3及びS/Hb4に入力する。S/Ha3及びS/Hb4は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作する。切換スイッチ5において、S/Ha3又はS/Hb4のいずれかの出力が選択され、その選択されたS/H回路からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。また、ノイズ検出回路8において、入力信号のノイズを検出すると、ノイズ検出回路8からパルス発生器9に検出信号が出力される。また更に、第1の同期検出回路a又は同期検出回路bにおいて、PLL同期していることを検出すると、これら同期検出回路からパルス発生器9に検出信号が出力される。
【0027】
次に、図6〜図8を用いて、図5に示すPLL回路の処理の流れについて説明する。図6及び図7は、図5に示すPLL回路の動作の一例を示すフローチャートであり、図8は、その際に使用される各種信号の一例を示す図である。
【0028】
ここでは、図8に示す表を参照しながら、図6、図7に示すフローチャートを順に追って説明する。電源投入等がなされると、この処理は開始される(ステップS201)。PLL回路では、まず、システムがリセットされ、切換スイッチ5を制御する信号であるSW(サンプルホールド回路切換信号)がS/Ha3選択状態になり、NOISE(ノイズ検出信号)がノイズ未発生状態に初期設定される。このとき、LOCK(PLLロック検出信号)も非同期状態に初期設定される(ステップS202)。その後、PLL回路は、間欠的な基準信号の入力において、実際に基準信号が入力される期間を示すバースト期間となるまで待機する(ステップS203でNO)。
【0029】
ここで、バースト期間になると(ステップS203でYES)、パルス発生器9からS/Ha3及びS/Hb4に対してサンプリングモードへの移行を指示する信号(SHa=1、SHb=1)が入力される。これにより、S/Ha3及びS/Hb4は、サンプリング動作を開始する(ステップS204)。このサンプリング動作は、バースト期間が終了するまで継続して行なわれる(ステップS205でYES)。サンプリング動作時は、PLL回路が閉ループとなり、実際にPLL動作をしている期間となる。
【0030】
バースト期間が終了すると(ステップS205でNO)、PLL回路は、サンプリング動作からホールド動作に移行し、パルス検出器9において、同期検出回路10及び11からのLOCK(PLLロック検出信号)の値を判定する。その結果、同期検出状態(LOCK=1)であれば(ステップS206でYES)、パルス発生器9から出力されるS/Ha3の制御モードを決める信号は、サンプリング・モード(SHa=1)に設定される。また、パルス発生器9から出力されるS/Hb4の制御モードを決める信号は、ホールド・モード(SHb=0)に設定される。このとき、LOCK(PLLロック検出信号)は、OFF(LOCK=0)にされる(ステップS207)。一方、LOCK(PLLロック検出信号)が非同期状態(LOCK=0)であれば(ステップS206でNO)、PLL回路は、ステップS203の処理に戻り、同期するまでPLL動作を繰り返す。
【0031】
PLL回路は、次のバースト期間までホールド動作を維持する(ステップS208でNO)。ホールド動作期間では、PLL回路が開ループとなり、PLL動作は行なわず、S/H回路に保持された電圧によりVCO6が制御されクロックが生成される。次のバースト期間となりSH信号がサンプリング状態(SH=1)となると(ステップS208でYES)、パルス発生器9からのSHa信号及びSHb信号に従って、S/Ha3はサンプリング動作、S/Hb4はホールド動作を行なう。バースト期間が終了すると(ステップS209でNO)、図7に移り、PLL回路は、パルス発生器9において、同期検出回路10及び11からのNOISE(PLLロック検出信号)を確認する。この処理は、バースト期間中にPLL回路の同期が外れていなかったかを確認するために行なう。この結果、同期が取れていた旨確認できれば(ステップS210でYES)、次に、PLL回路は、パルス発生器9において、ノイズ検出回路8からのNOISE(ノイズ検出信号)を確認する。ノイズの発生が確認されなければ(ステップS211でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS212)。また、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS213)。その後、PLL回路は、ステップS208の処理へ戻る。
【0032】
一方、ステップS211の判断においてノイズの発生が確認された場合(ステップS211でNO)、又はステップS210の判断において非同期である旨が確認された場合には(ステップS210でNO)、PLL回路は、ステップS214の処理に進む。すなわち、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をホールド・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS214)。その後、PLL回路は、バースト期間になるまで待機する(ステップS215でNO)。バースト期間になると(ステップS215でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS216)。PLL回路は、バースト期間の間、サンプリング動作を続ける(ステップS217でYES)。
【0033】
ここで、このバースト期間中に同期が取れていない、又はノイズが発生していた場合には(ステップS218でNO又はステップS219でNO)、PLL回路は、再度、ステップS214の処理に戻る。一方、バースト期間中に同期が取れており、また、ノイズが発生せずにバースト期間でのサンプリング動作が終了した場合(ステップS218でYESの後、ステップS219でYES)、PLL回路は、ステップS220の処理に進む。そして、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS220)。更に、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換えた後(ステップS221)、ステップS208の処理に戻る。
【0034】
以上説明したように実施形態2によれば、実施形態1の構成に加えて、PLL動作による同期状態を検出し、同期の取れた状態のVCO制御信号(制御電圧)でVCOを制御する。これにより、より安定したPLL動作が可能になる。
【0035】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0036】
例えば、上述したPLL回路は、不図示の通信装置に内蔵され、通信の際に利用されてもよい。つまり、本発明は、通信装置にも適用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態1及び2では、サンプル/ホールド回路が2つ設けられている場合を説明したが、これに限られず、この回路が3以上設けられていてもよい。その場合、実施形態2で説明した同期検出回路もそれに合わせて増設すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態1に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すPLL回路の動作の一例を示す第1のフローチャートである。
【図3】図1に示すPLL回路の動作の一例を示す第2のフローチャートである。
【図4】図1に示すPLL回路で使用される各種信号の一例を示す図である。
【図5】実施形態2に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図5に示すPLL回路の動作の一例を示す第1のフローチャートである。
【図7】図5に示すPLL回路の動作の一例を示す第2のフローチャートである。
【図8】図5に示すPLL回路で使用される各種信号の一例を示す図である。
【図9】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 位相比較器
2 LPF
3 S/Ha
4 S/Hb
5 切換スイッチ
6 VCO
7 1/N分周回路
8 ノイズ検出回路
9 パルス発生器
10 同期検出回路a
11 同期検出回路b
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に使用される位相同期回路及びその制御方法、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バースト状に間欠的に入力される基準信号に同期させてクロックの生成などを行なう位相同期回路(以下、サンプル/ホールド型PLL(Phase Locked Loop)、また単にPLL回路などと呼ぶ)が知られている。
【0003】
図9は、従来のサンプル/ホールド型PLL回路の構成を示す図である。サンプル/ホールド型PLL回路には、間欠的に基準信号が入力信号として入力される。入力信号が入力されると、サンプル/ホールド型PLL回路は、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周されたクロックとを位相比較する。この比較後、低域通過フィルタであるLPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をサンプル/ホールド回路(以下、S/Hと略する場合もある)12に入力する。S/H12は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作を行なう。S/H12の出力は、VCO6の制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。このようなサンプル/ホールド型PLL回路を用いることで、間欠的にしか存在しない基準信号に対して同期の取れた連続信号を得ることができる。
【0004】
サンプリング期間に入力される基準信号にノイズが重畳していたり、この基準信号が充分なレベル確保出来なかったりした場合、PLL回路の同期が外れた状態で、バースト期間が終わってしまう可能性がある。この場合、同期が外れた後、次のバースト期間で同期が取れるまでの間、同期が取れていない状態となり、安定したPLL動作をすることができない。
【0005】
従来、サンプリング期間に入力される基準信号が、例えば、再生装置のドロップアウトなどを原因として正常な信号状態を保てない場合、サンプル/ホールド回路をホールド状態にし、異常となる直前の電圧を保持する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−292018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の構成では、種々の課題がある。例えば、従来の構成では、VCO制御電圧に影響が出る前に、入力信号の異常を検出しホールド状態に切り換えなければ、同期が外れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安定した周波数の出力信号を出力できるようにした位相同期回路及びその制御方法、通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による位相同期回路は、入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較手段と、前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換手段と、前記入力信号の異常を検出する異常検出手段とを具備し、前記切換手段は、前記異常検出手段による異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、位相同期回路の制御方法であって、電圧制御発振回路で制御電圧に応じた信号を出力信号として出力する出力工程と、入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較工程と、前記比較工程での位相の比較に基づく電圧を2つ以上のサンプル/ホールド回路それぞれに異なるタイミングで保持させる保持工程と、前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換工程と、前記入力信号の異常を検出する異常検出工程とを含み、前記切換工程では、前記異常検出工程での異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定した周波数の出力信号を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係わる位相同期回路及びその制御方法、通信装置の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。位相同期回路は、例えば、通信装置に内蔵され、通信のために使用される。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
PLL回路は、位相同期制御により入力信号に同期した周波数の出力信号を出力する位相同期回路である。ここで、PLL回路は、位相比較器1と、LPF2と、S/Ha3と、S/Hb4と、切換スイッチ5と、VCO6と、1/N分周回路7と、ノイズ検出回路8と、パルス発生器9とを具備して構成される。
【0014】
位相比較器1は、入力信号とVCO6の出力信号との位相を比較する。ここで比較対象となるVCO6の出力信号は、1/N分周回路7でN分周した周波数(クロック)となる。LPF(Low Pass Filter)2は、高域周波数を除去し低域周波数のみを通過させる低域通過フィルタであり、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去する。S/Ha3は、第1のサンプル/ホールド回路として機能し、S/Hb4は、第2のサンプル/ホールド回路として機能する。切換スイッチ5は、S/Ha3及びS/Hb4のいずれかを選択する。この選択により、いずれかのサンプル/ホールド回路(以下、S/Hと略する場合もある)からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO(Voltage Controlled Oscillator)6は、電圧制御発振回路であり、切換スイッチ5を介して入力されるS/H回路からの制御電圧に応じた周波数の信号を生成し、それを出力信号として出力する。1/N分周回路7は、VCO6からの周波数を分周する。ノイズ検出回路8は、異常状態を検出する異常検出手段として機能し、具体的には、入力信号のノイズ等(信号レベルの低下も含む)を検出しその検出結果をパルス発生器9に出力する。パルス発生器9は、制御信号を発生し、PLL回路を構成する各部を制御する。以上が、実施形態1に係わるPLL回路の構成についての説明である。
【0015】
ここで、PLL回路に対して、例えば、間欠的に基準信号が入力信号として入力されたとする。PLL回路では、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周した出力信号(クロック)とを位相比較する。この比較後、PLL回路は、LPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をS/Ha3及びS/Hb4に入力する。S/Ha3及びS/Hb4は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作する。切換スイッチ5において、S/Ha3又はS/Hb4のいずれかの出力が選択され、その選択されたS/H回路からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。また、ノイズ検出回路8において、入力信号のノイズを検出すると、ノイズ検出回路8からパルス発生器9に検出信号が出力される。
【0016】
次に、図2〜図4を用いて、図1に示すPLL回路の処理の流れについて説明する。図2及び図3は、図1に示すPLL回路の動作の一例を示すフローチャートであり、図4は、その際に使用される各種信号の一例を示す図である。
【0017】
ここでは、図4に示す表を参照しながら、図2、図3に示すフローチャートを順に追って説明する。電源投入等がなされると、この処理は開始される(ステップS101)。PLL回路では、まず、システムがリセットされ、切換スイッチ5を制御する信号であるSW(サンプルホールド回路切換信号)がS/Ha3選択状態になり、NOISE(ノイズ検出信号)がノイズ未発生状態に初期設定される(ステップS102)。その後、PLL回路は、間欠的な基準信号の入力において、実際に基準信号が入力される期間を示すバースト期間となるまで待機する(ステップS103でNO)。
【0018】
ここで、バースト期間になると(ステップS103でYES)、パルス発生器9からS/Ha3及びS/Hb4に対してサンプリングモードへの移行を指示する信号(SHa=1、SHb=1)が入力される。これにより、S/Ha3及びS/Hb4は、サンプリング動作を開始する(ステップS104)。このサンプリング動作は、バースト期間が終了するまで継続して行なわれる(ステップS105でYES)。サンプリング動作時は、PLL回路が閉ループとなり、実際にPLL動作(位相同期制御に係わる処理)をしている期間となる。
【0019】
バースト期間が終了すると(ステップS105でNO)、PLL回路は、サンプリング動作からホールド動作に移行する。このホールド動作への移行に伴って、パルス発生器9から出力されるS/Ha3の制御モードを決める信号は、サンプリング・モード(SHa=1)に設定される。また、パルス発生器9から出力されるS/Hb4の制御モードを決める信号は、ホールド・モード(SHb=0)に設定される(ステップS106)。
【0020】
PLL回路は、次のバースト期間までホールド動作を維持する(ステップS107でNO)。ホールド動作期間では、PLL回路が開ループとなり、PLL動作は行なわず、S/H回路に保持された電圧によりVCO6が制御されクロックが生成される。次のバースト期間となりSH信号がサンプリング状態(SH=1)となると(ステップS107でYES)、パルス発生器9からのSHa信号及びSHb信号に従って、S/Ha3はサンプリング動作、S/Hb4はホールド動作を行なう。
【0021】
バースト期間が終了すると(ステップS108でNO)、図3に移り、PLL回路は、パルス発生器9において、ノイズ検出回路8からのNOISE(ノイズ検出信号)を確認する。この処理は、バースト期間中にノイズが発生していた場合には、PLL動作が正常に行なえていないため、それを確認するために行なう。この結果、ノイズの発生が確認されなければ(ステップS109でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS110)。また、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS111)。その後、PLL回路は、ステップS107の処理へ戻る。
【0022】
一方、ステップS109の判断において、ノイズの発生が確認された場合(ステップS109でNO)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をホールド・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS112)。その後、PLL回路は、バースト期間になるまで待機する(ステップS113でNO)。バースト期間になると(ステップS113でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS114)。PLL回路は、バースト期間の間、サンプリング動作を続ける(ステップS115でYES)。
【0023】
ここで、バースト期間が終了し(ステップS115でNO)、そのバースト期間中にノイズが発生していた場合(ステップS116でNO)、PLL回路は、再度、ステップS112の処理に戻る。一方、ノイズが発生せずサンプリング動作が終了した場合(ステップS116でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換える。そして、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS117)。更に、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換えた後(ステップS118)、ステップS107の処理に戻る。
【0024】
以上説明したように実施形態1によれば、2つのサンプル/ホールド回路を使用してサンプル/ホールド型PLL動作を行なう。このとき、2つのサンプル/ホールド回路それぞれは、異なるタイミングでサンプリング動作を行なう。そのため、サンプリング動作時にノイズが発生した場合には、安定した電圧を保持しているサンプル/ホールド回路側の出力に切り換え、ホールド動作時のクロック生成を行なう。これにより、外乱によりVCOの制御電圧が適切な電圧から外れてしまうおそれのある場合であっても、安定したクロック生成が可能となる。
【0025】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。図5は、実施形態2に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。なお、実施形態1を説明した図1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明については省略する。ここでは、相違点を挙げて説明する。相違点としては、第1の同期検出回路として同期検出回路a10と、第2の同期検出回路として同期検出回路b11とが新たな構成として設けられているところにある。
【0026】
ここで、PLL回路に対して、例えば、間欠的に基準信号が入力信号として入力されたとする。PLL回路では、位相比較器1において、この入力信号と、VCO6の出力を1/N分周回路7でN分周した出力信号(クロック)とを位相比較する。この比較後、PLL回路は、LPF2において、位相比較器1の出力から位相誤差電圧を除去し、その除去後の信号をS/Ha3及びS/Hb4に入力する。S/Ha3及びS/Hb4は、パルス発生器9により制御され、基準信号が入力される期間ではサンプリング動作し、基準信号が無い期間ではホールド動作する。切換スイッチ5において、S/Ha3又はS/Hb4のいずれかの出力が選択され、その選択されたS/H回路からの出力が制御電圧としてVCO6に入力される。VCO6からの出力は、1/N分周回路7によりN分周され、基準信号と位相比較される。そのため、VCO6からは、基準信号に同期したN倍の周波数の信号が出力される。また、ノイズ検出回路8において、入力信号のノイズを検出すると、ノイズ検出回路8からパルス発生器9に検出信号が出力される。また更に、第1の同期検出回路a又は同期検出回路bにおいて、PLL同期していることを検出すると、これら同期検出回路からパルス発生器9に検出信号が出力される。
【0027】
次に、図6〜図8を用いて、図5に示すPLL回路の処理の流れについて説明する。図6及び図7は、図5に示すPLL回路の動作の一例を示すフローチャートであり、図8は、その際に使用される各種信号の一例を示す図である。
【0028】
ここでは、図8に示す表を参照しながら、図6、図7に示すフローチャートを順に追って説明する。電源投入等がなされると、この処理は開始される(ステップS201)。PLL回路では、まず、システムがリセットされ、切換スイッチ5を制御する信号であるSW(サンプルホールド回路切換信号)がS/Ha3選択状態になり、NOISE(ノイズ検出信号)がノイズ未発生状態に初期設定される。このとき、LOCK(PLLロック検出信号)も非同期状態に初期設定される(ステップS202)。その後、PLL回路は、間欠的な基準信号の入力において、実際に基準信号が入力される期間を示すバースト期間となるまで待機する(ステップS203でNO)。
【0029】
ここで、バースト期間になると(ステップS203でYES)、パルス発生器9からS/Ha3及びS/Hb4に対してサンプリングモードへの移行を指示する信号(SHa=1、SHb=1)が入力される。これにより、S/Ha3及びS/Hb4は、サンプリング動作を開始する(ステップS204)。このサンプリング動作は、バースト期間が終了するまで継続して行なわれる(ステップS205でYES)。サンプリング動作時は、PLL回路が閉ループとなり、実際にPLL動作をしている期間となる。
【0030】
バースト期間が終了すると(ステップS205でNO)、PLL回路は、サンプリング動作からホールド動作に移行し、パルス検出器9において、同期検出回路10及び11からのLOCK(PLLロック検出信号)の値を判定する。その結果、同期検出状態(LOCK=1)であれば(ステップS206でYES)、パルス発生器9から出力されるS/Ha3の制御モードを決める信号は、サンプリング・モード(SHa=1)に設定される。また、パルス発生器9から出力されるS/Hb4の制御モードを決める信号は、ホールド・モード(SHb=0)に設定される。このとき、LOCK(PLLロック検出信号)は、OFF(LOCK=0)にされる(ステップS207)。一方、LOCK(PLLロック検出信号)が非同期状態(LOCK=0)であれば(ステップS206でNO)、PLL回路は、ステップS203の処理に戻り、同期するまでPLL動作を繰り返す。
【0031】
PLL回路は、次のバースト期間までホールド動作を維持する(ステップS208でNO)。ホールド動作期間では、PLL回路が開ループとなり、PLL動作は行なわず、S/H回路に保持された電圧によりVCO6が制御されクロックが生成される。次のバースト期間となりSH信号がサンプリング状態(SH=1)となると(ステップS208でYES)、パルス発生器9からのSHa信号及びSHb信号に従って、S/Ha3はサンプリング動作、S/Hb4はホールド動作を行なう。バースト期間が終了すると(ステップS209でNO)、図7に移り、PLL回路は、パルス発生器9において、同期検出回路10及び11からのNOISE(PLLロック検出信号)を確認する。この処理は、バースト期間中にPLL回路の同期が外れていなかったかを確認するために行なう。この結果、同期が取れていた旨確認できれば(ステップS210でYES)、次に、PLL回路は、パルス発生器9において、ノイズ検出回路8からのNOISE(ノイズ検出信号)を確認する。ノイズの発生が確認されなければ(ステップS211でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS212)。また、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS213)。その後、PLL回路は、ステップS208の処理へ戻る。
【0032】
一方、ステップS211の判断においてノイズの発生が確認された場合(ステップS211でNO)、又はステップS210の判断において非同期である旨が確認された場合には(ステップS210でNO)、PLL回路は、ステップS214の処理に進む。すなわち、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をホールド・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS214)。その後、PLL回路は、バースト期間になるまで待機する(ステップS215でNO)。バースト期間になると(ステップS215でYES)、PLL回路は、パルス発生器9において、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換える(ステップS216)。PLL回路は、バースト期間の間、サンプリング動作を続ける(ステップS217でYES)。
【0033】
ここで、このバースト期間中に同期が取れていない、又はノイズが発生していた場合には(ステップS218でNO又はステップS219でNO)、PLL回路は、再度、ステップS214の処理に戻る。一方、バースト期間中に同期が取れており、また、ノイズが発生せずにバースト期間でのサンプリング動作が終了した場合(ステップS218でYESの後、ステップS219でYES)、PLL回路は、ステップS220の処理に進む。そして、PLL回路は、パルス発生器9において、SHa信号及びSHb信号各々の信号を現時点の状態と切り換え、S/Ha3及びS/Hb4各々のモードを入れ換える(ステップS220)。更に、SW信号を制御し、切換スイッチ5をサンプリング・モード側のS/H回路に切り換えた後(ステップS221)、ステップS208の処理に戻る。
【0034】
以上説明したように実施形態2によれば、実施形態1の構成に加えて、PLL動作による同期状態を検出し、同期の取れた状態のVCO制御信号(制御電圧)でVCOを制御する。これにより、より安定したPLL動作が可能になる。
【0035】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0036】
例えば、上述したPLL回路は、不図示の通信装置に内蔵され、通信の際に利用されてもよい。つまり、本発明は、通信装置にも適用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態1及び2では、サンプル/ホールド回路が2つ設けられている場合を説明したが、これに限られず、この回路が3以上設けられていてもよい。その場合、実施形態2で説明した同期検出回路もそれに合わせて増設すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態1に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すPLL回路の動作の一例を示す第1のフローチャートである。
【図3】図1に示すPLL回路の動作の一例を示す第2のフローチャートである。
【図4】図1に示すPLL回路で使用される各種信号の一例を示す図である。
【図5】実施形態2に係わるPLL回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図5に示すPLL回路の動作の一例を示す第1のフローチャートである。
【図7】図5に示すPLL回路の動作の一例を示す第2のフローチャートである。
【図8】図5に示すPLL回路で使用される各種信号の一例を示す図である。
【図9】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 位相比較器
2 LPF
3 S/Ha
4 S/Hb
5 切換スイッチ
6 VCO
7 1/N分周回路
8 ノイズ検出回路
9 パルス発生器
10 同期検出回路a
11 同期検出回路b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、
入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較手段と、
前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換手段と、
前記入力信号の異常を検出する異常検出手段と
を具備し、
前記切換手段は、
前記異常検出手段による異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する
ことを特徴とする位相同期回路。
【請求項2】
前記切換手段は、
前記異常検出手段により前記入力信号に異常が検出された場合には、その時点で選択しているサンプル/ホールド回路とは異なるサンプル/ホールド回路の出力を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の位相同期回路。
【請求項3】
位相同期制御に係わる処理の同期状態を検出する同期検出手段
を更に具備し、
前記切換手段は、
前記異常検出手段により前記入力信号に異常が検出された場合、又は前記同期検出手段により位相同期制御に係わる処理が同期していないと検出された場合には、その時点で選択しているサンプル/ホールド回路とは異なるサンプル/ホールド回路の出力を選択する
ことを特徴とする請求項2記載の位相同期回路。
【請求項4】
高域周波数を除去する低域通過フィルタ
を更に具備し、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路は、
前記低域通過フィルタを通過した前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を保持する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の位相同期回路。
【請求項5】
前記異常検出手段は、
前記入力信号に含まれるノイズを前記異常として検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の位相同期回路。
【請求項6】
位相同期回路の制御方法であって、
電圧制御発振回路で制御電圧に応じた信号を出力信号として出力する出力工程と、
入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較工程と、
前記比較工程での位相の比較に基づく電圧を2つ以上のサンプル/ホールド回路それぞれに異なるタイミングで保持させる保持工程と、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換工程と、
前記入力信号の異常を検出する異常検出工程と
を含み、
前記切換工程では、
前記異常検出工程での異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する
ことを特徴とする位相同期回路の制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至5いずれか1項に記載の位相同期回路を内蔵する通信装置。
【請求項1】
入力される制御電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する電圧制御発振回路と、
入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較手段と、
前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を異なるタイミングでそれぞれ保持する2つ以上のサンプル/ホールド回路と、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換手段と、
前記入力信号の異常を検出する異常検出手段と
を具備し、
前記切換手段は、
前記異常検出手段による異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する
ことを特徴とする位相同期回路。
【請求項2】
前記切換手段は、
前記異常検出手段により前記入力信号に異常が検出された場合には、その時点で選択しているサンプル/ホールド回路とは異なるサンプル/ホールド回路の出力を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の位相同期回路。
【請求項3】
位相同期制御に係わる処理の同期状態を検出する同期検出手段
を更に具備し、
前記切換手段は、
前記異常検出手段により前記入力信号に異常が検出された場合、又は前記同期検出手段により位相同期制御に係わる処理が同期していないと検出された場合には、その時点で選択しているサンプル/ホールド回路とは異なるサンプル/ホールド回路の出力を選択する
ことを特徴とする請求項2記載の位相同期回路。
【請求項4】
高域周波数を除去する低域通過フィルタ
を更に具備し、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路は、
前記低域通過フィルタを通過した前記比較手段による位相の比較に基づく電圧を保持する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の位相同期回路。
【請求項5】
前記異常検出手段は、
前記入力信号に含まれるノイズを前記異常として検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の位相同期回路。
【請求項6】
位相同期回路の制御方法であって、
電圧制御発振回路で制御電圧に応じた信号を出力信号として出力する出力工程と、
入力信号と前記電圧制御発振回路の前記出力信号との位相を比較する比較工程と、
前記比較工程での位相の比較に基づく電圧を2つ以上のサンプル/ホールド回路それぞれに異なるタイミングで保持させる保持工程と、
前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかを選択し、該選択したサンプル/ホールド回路からの出力を前記制御電圧として前記電圧制御発振回路に入力する切換工程と、
前記入力信号の異常を検出する異常検出工程と
を含み、
前記切換工程では、
前記異常検出工程での異常の検出結果に基づいて前記2つ以上のサンプル/ホールド回路のいずれかの出力を選択する
ことを特徴とする位相同期回路の制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至5いずれか1項に記載の位相同期回路を内蔵する通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−45458(P2010−45458A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206393(P2008−206393)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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