説明

位置合わせマークの位置認識装置及び位置認識方法、電子部品の実装装置

【課題】撮像手段によって得られた撮像信号の画像範囲から位置合わせマークの座標を求めるときのサーチエリアを最小限に設定できるようにすること。
【解決手段】液晶セルもしくはTCPに設けられた位置合わせマークを撮像する撮像カメラ14,25と、撮像カメラからの撮像信号に基いて位置合わせマークの位置を算出する演算処理部16と、演算処理部によって算出された位置合わせマークの座標位置が格納蓄積される記憶部18と、記憶部に格納蓄積された位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて撮像カメラの視野範囲における位置合わせマークをサーチするサーチエリアを設定する設定部19を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板に電子部品を実装するときに基板もしくは電子部品に設けられた位置合わせマークによってこれらの位置を認識する位置認識装置及び位置認識方法、その位置認識装置を用いて行う電子部品の実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、基板としての液晶セルには接着材料としての異方性導電部材を介して電子部品であるTCP(Tape Carrier Package)が実装される。上記液晶セルは、2枚のガラス板がシール材を介して所定の間隔で液密に接着され、これらガラス板間に液晶が封入されるとともに、各ガラス板の外面にそれぞれ偏光板を貼着して構成される。そして、上記構成の液晶セルには、その側部上面にテープ状の上記異方性導電部材を圧着し、この異方性導電部材に上記TCPを仮圧着(実装)した後、本圧着(実装)するようにしている。
【0003】
上記液晶セルに対して上記TCPを仮圧着するには、液晶セルの下面をバックアップツールの上端面で支持し、その支持された部分の上面に実装ツールに吸着保持された上記TCPを圧着するようにしている。
【0004】
上記液晶セルに上記TCPを実装する場合、液晶セルの一側部の上面に設けられた複数の第1の端子と、上記TCPに設けられた複数の第2の端子を精密に位置合わせしなければならない。とくに最近では液晶セルの高性能化に伴い上記第1の端子の配置密度や上記TCPの第2の端子の配置密度がたとえばμm単位で狭ピッチ化する傾向にある。
【0005】
そのため、液晶セルにTCPを実装する際、上記基板とTCPの相対的位置が各端子の配置方向(この方向をX方向とする)に対してわずかでもずれると、上記第1の端子と第2の端子の接触不良を招くということがある。
【0006】
そこで、液晶セルに対して上記TCPを実装するとき、ステージ上に供給載置された液晶セルと、実装ツールに吸着保持されたTCPとに設けられた位置合わせマークをそれぞれ撮像カメラで撮像する。そして、その撮像に基づいて上記液晶セルとTCPとの相対位置を算出し、その算出によって上記TCPに対して上記液晶セルをX、Y及びθ方向に位置合わせした後、上記TCPを基板に実装するということが行われている。
【0007】
上記液晶セルや上記TCPに設けられた位置合わせマークを撮像カメラによって撮像する場合、上記撮像カメラの視野範囲に対してサーチエリアを設定し、そのサーチエリア内で上記位置合わせマークをサーチしてその位置を算出するということが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2956842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記液晶セルを上記ステージに供給する場合、通常、搬送ロボットによって前工程から取り出されて上記ステージに供給載置される。また、上記TCPはキャリアテープから金型によって打ち抜かれた後、上記実装ツールによって吸着保持されて上記基板に実装される。
【0010】
ところで、上記ステージに上記液晶セルを供給載置する場合、上記搬送ロボットによって前工程から上記液晶セルを取り出す位置や取り出した液晶セルを上記ステージに供給載置する位置がたとえば上記搬送ロボットの位置決め精度などによって一定せずバラツキが生じるということがある。
【0011】
同様に、上記金型によってキャリアテープから打ち抜かれたTCPを上記実装ツールによって吸着保持する場合にも、上記実装ツールの位置決め精度などによってこの実装ツールに対する上記TCPの保持位置にバラツキが生じるということがある。
【0012】
そこで、ステージ上に載置された液晶セルの位置合わせマークを撮像したり、実装ツールに吸着保持されたTCPの位置合わせマークを撮像する場合、上記撮像カメラの視野範囲に対するサーチエリアを、上記ステージに載置されたときに生じる上記液晶セルの位置のバラツキや上記加圧ツールに吸着保持されたときに生じる上記TCPの位置のバラツキにを見込んで大きく設定し、そのサーチエリア内で上記液晶セルや上記TCPに設けられた位置合わせマークをサーチするということが行われていた。
【0013】
つまり、ステージに載置される液晶セルの位置にバラツキが生じたり、実装ツールに吸着保持されるTCPの位置にバラツキが生じても、撮像カメラの視野範囲内でそれぞれの位置合わせマークが確実にサーチできるよう、上記サーチエリアは上記バラツキを十分に加味した比較的大きい範囲に設定するようにしていた。
【0014】
そのため、上記サーチエリアはバラツキを加味しているために大きくなることが避けられないから、そのサーチエリア内から位置合わせマークをサーチするためのサーチ時間が長くなり、生産性を低下させる要因になるということがあった。
【0015】
逆に、生産性を向上させるためにサーチエリアを小さくすると、液晶セルやTCPに設けられた位置合わせマークがサーチエリアから外れてしまうということが生じる。
【0016】
この発明は、基板に対して電子部品の実装を繰り返して行う場合、ステージに載置される基板や実装ツールに吸着保持される電子部品の位置合わせマークの座標位置にバラツキが生じても、撮像時におけるサーチエリアを大きくせずに上記位置合わせマークをサーチできるようにした位置合わせマークの位置認識装置及び位置認識方法、その位置認識装置を用いた電子部品の実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、基板もしくは電子部品に設けられた位置合わせマークを撮像し、その撮像に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する位置合わせマークの位置認識装置であって、
上記基板もしくは電子部品に設けられた上記位置合わせマークを撮像する撮像手段と、
この撮像手段からの撮像信号に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部によって算出された上記位置合わせマークの座標位置が格納蓄積される記憶部と、
この記憶部に格納蓄積された上記位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて上記撮像手段の視野範囲における上記位置合わせマークをサーチするサーチエリアを設定する設定部と
を具備したことを特徴とする位置合わせマークの位置認識装置にある。
【0018】
上記設定部は、上記記憶部に蓄積された上記撮像手段の複数回の上記位置合わせマークの座標位置のバラツキの平均値から標準偏差を求め、上記サーチエリアを上記標準偏差の3倍の範囲に設定することが好ましい。
【0019】
この発明は、基板もしくは電子部品に設けられた位置合わせマークを撮像し、その撮像に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する位置合わせマークの位置認識方法であって、
上記基板もしくは電子部品に設けられた上記位置合わせマークを撮像手段によって撮像する工程と、
上記位置合わせマークの撮像した上記撮像手段からの撮像信号に基いて上記マークの位置を算出する工程と、
算出された上記マークの座標位置を格納蓄積する工程と、
格納蓄積された上記位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて上記撮像手段の視野範囲における上記位置合わせマークをサーチするサーチエリアを設定する工程と
を具備したことを特徴とする位置合わせマークの位置認識方法にある。
【0020】
この発明は、基板に電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
上記基板に設けられた第1の位置合わせマークと、上記電子部品に設けられた第2の位置合わせマークをそれぞれ撮像し、その撮像に基いて上記第1の位置合わせマークと第2の位置合わせマークの座標を位置認識装置によって認識して上記基板に上記電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
上記位置認識装置は請求項1に記載された構成であることを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、基板に対して電子部品の実装を繰り返して行う場合、ステージに載置される基板や実装ツールに吸着保持される電子部品の位置合わせマークの座標位置を格納蓄積し、格納蓄積された位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて撮像手段によって撮像された撮像視野内における上記位置合わせマークのサーチエリアを設定するようにした。
【0022】
そのため、位置合わせマークの座標位置にバラツキが生じても、撮像視野内において位置合わせマークをサーチするためのサーチエリアを必要以上に大きくせずにすむから、上記基板に対して上記電子部品を能率よく確実に位置決めして実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の正面図。
【図2】液晶セルの一側部の下面に設けられた一対の第1の撮像カメラを示す側面図。
【図3】実装ツールの経路に設けられた一対の第2の撮像カメラを示す側面図。
【図4】(a)は液晶セルに設けられた第1の位置合わせマークを一対の第1の撮像カメラで撮像するときの説明図、(b)はTCPに設けられた第2の位置合わせマークを一対の第1の撮像カメラで撮像するときの説明図。
【図5】制御系統のブロック図。
【図6】視野範囲のサーチエリアを設定するときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は後述する基板としての液晶セルWに電子部品としてのTCP9を実装するための実装装置を示す。この実装装置はベーステーブル1を備えている。このベーステーブル1上にはXテーブル2が設けられている。このXテーブル2は上記ベーステーブル1の一側面に設けられたX駆動源3によって紙面と直交するX方向に沿って駆動されるようになっている。X方向は図2に矢印で示す。
【0025】
上記Xテーブル2上にはステージとしてのYテーブル4が上記X方向と直交するY方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル4は上記Xテーブル2の一側面に設けられたY駆動源5によって同図に矢印で示す上記X方向と直交する上記Y方向に沿って駆動されるようになっている。
【0026】
上記Yテーブル4の上面、つまり保持面4aには、2枚のガラス板を貼り合わせた上記液晶セルWがその一側部をYテーブル4の一側から突出させて吸着保持される。上記X駆動源3とY駆動源5は図5に示す制御装置6によって駆動が制御される。それによって、液晶セルWを保持した上記Yテーブル4がX、Y方向に対して位置決めされるようになっている。
【0027】
上記制御装置6には、液晶セルWのサイズなどに応じて図示しない入力部によって予め位置情報が入力設定されていて、その位置情報に基づいて上記X駆動源3とY駆動源5が駆動されて上記Yテーブル4に保持された上記液晶セルWの一側部の上記TCP9が実装される複数個所の位置が後述する所定の位置に順次位置決めされるようになっている。
【0028】
上記X駆動源3とY駆動源5とによって位置決めされた上記液晶セルWの一側部の上面には上記TCP9が実装される。そのとき、TCP9が実装される上記液晶セルWの一側部の下面はバックアップツール8によって支持される。
【0029】
図2に示すように、上記バックアップツール8は、バックアップテーブル11に下部Z駆動源12によって上下方向に駆動可能に設けられている。上記ベーステーブル1の一端部の上面にはX方向に沿って下部Xガイドレール13が設けられている。
【0030】
上記バックアップテーブル11は上記下部Xガイドレール13に沿って図示せぬリニアモータで駆動されるようになっている。それによって、上記バックアップツール8は、上記液晶セルWの上記TCP9が実装される一側部の下面で、この一側部に沿う方向、つまり図2に示すX方向に沿って駆動可能に設けられ、上記制御装置6に上記入力部によって入力設定された位置情報に基いて順次位置決めされるようになっている。
【0031】
上記下部Z駆動源12と図示しない上記リニアモータは上記制御装置6によって駆動が制御されるようになっている。
上記下部Z駆動源12のX方向に沿う幅方向の両側面には撮像手段としての一対の第1の撮像カメラ14が設けられている。一対の第1の撮像カメラ14の撮像信号は図5に示すように画像処理部15でA/D変換(二値化処理)されて上記制御装置6に内蔵された算出手段である、演算処理部16に出力される。
【0032】
一対の第1の撮像カメラ14は、図4(a)に示すように上記液晶セルWの一側部に所定間隔で設けられた一対の第1の位置合わせマークm1の一方と他方をそれぞれの視野範囲S1内に同時に撮像する。一対の第1の位置合わせマークm1は、上記液晶セルWの一側部に所定間隔で設けられた複数の第1の端子T1の両側部に設けられている。
【0033】
図4(b)に示すように、上記TCP9の一端部には第2の端子T2が上記第1の端子T1に対応する数及び間隔で設けられていて、これら第2の端子T2の配置方向の外側には一対の第2の位置合わせマークm2が第1の位置合わせマークm1と同じ間隔で設けられている。
【0034】
なお、この実施の形態では、第1の位置合わせマークm1は第2の位置合わせマークm2内に入り込む大きさの丸に形成されているが、これら位置合わせマークm1、m2の形状は四角と十字形状など、他の形状であっても差し支えない。
【0035】
上記演算処理部16は、上記画像処理部15で二値化処理された上記一対の第1の撮像カメラ14の撮像信号から各一対の第1の位置合わせマークm1のX,Y座標を算出する。
【0036】
図1に示すように、上記バックアップツール8の上方には実装ツール21が設けられている。この実装ツール21は先端部に吸着ノズル22を有し、この吸着ノズル22に上記TCP9の一端部が吸着保持される。上記実装ツール21は上記制御装置6によって駆動が制御されるX・Y・Z・θ駆動源23によってX,Y,θ及びZ方向に駆動されるようになっている。
【0037】
上記X・Y・Z・θ駆動源23は、上記実装ツール21を図示しない上記TCP9の供給部の上方に位置決めして上記吸着ノズル22によって上記TCP9を吸着保持させてから、図3に示す一対の第2の撮像カメラ25が配置された位置の上方を図1に鎖線で示す位置から矢印で示す方向に通過して上記液晶セルWのTCP9が実装される側辺部の上方に位置決めされる。
【0038】
そして、上記吸着ノズル22が一対の第2の撮像カメラ25の上方を通過することで、上記TCP9に設けられた一対の第2の位置合わせマークm2が図4(b)に示すように上記TCP9に所定間隔で設けられた一対の第2の位置合わせマークm1の一方と他方をそれぞれの視野範囲S2内に同時に撮像する。
【0039】
図5に示すように、一対の第2の撮像カメラ25の撮像信号は、第1の撮像カメラ14の撮像信号と同様、画像処理部15で画像処理されてから、演算処理部16に出力され、ここで一対の第2の位置合わせマークm2のX、Y座標が算出される。
【0040】
上記演算処理部16で第1の位置合わせマークm1と第2の位置合わせマークm2のX、Y座標が算出されると、それらの座標に基く駆動信号が駆動制御部17に出力されると同時に、記憶部18に格納貯蔵される。
【0041】
上記駆動制御部17は演算処理部16で算出された上記第1の位置合わせマークm1と第2の位置合わせマークm2のX、Y座標に基づいて上記液晶セルWに対して上記TCP9をX、Y及びθ方向に対して位置補正して上記液晶セルWの一側部に実装する。
【0042】
つまり、上記駆動制御部17は図5に示すように上記X駆動源3、Y駆動源5、下部Z駆動源12、図示しないリニアモータ及びX・Y・Z・θ駆動源23を駆動制御するようになっている。
【0043】
上記記憶部18に格納蓄積された第1の位置合わせマークm1と第2の位置合わせマークm2のX、Y座標は、その蓄積回数が設定された回数、たとえば十〜数十回になると、そのデータが図5に示す設定部19に出力される。そして、記憶部18に蓄積されたデータが十〜数十回になる毎に、そのデータが設定部19に出力されて更新されるようになっている。
【0044】
上記設定部19ではそれぞれ一対の第1の位置合わせマークm1と第2の位置合わせマークm2のX、Y座標の平均値eを算出し、その平均値eから各一対の第1、第2の位置合わせマークm1,m2毎の標準偏差σを算出する。図6に標準偏差σを示す。
【0045】
標準偏差σの求め方をさらに詳しく説明する。つまり、X、Y座標を求めた後に、X座標の平均値を求める。この平均値からX座標の標準偏差を求め、さらに標準偏差の3倍の3σを求める。この3σによってカメラ視野のXサーチエリアを設定する。同様に、Y座標についてもX座標と同様に標準偏差の3倍の3σを求め、カメラ視野のYサーチエリアを設定する。
【0046】
そして、上記XサーチエリアとYサーチエリアを合体することで、図6に示すカメラ視野S内におけるX、Y方向のサーチエリアSaを設定する。
【0047】
さらに、上記設定部19は各一対の第1、第2の位置合わせマークm1,m2の標準偏差σを算出したならば、上記演算処理部16が上記第1、第2の撮像カメラ14,25からの撮像信号の視野範囲S(図6では第1、第2の撮像カメラ14,25の視野範囲を纏めてSで示す)から第1、第2の位置合わせマークm1,m2をサーチするときのサーチエリアSaを設定する設定信号を上記演算処理部16に出力する。
【0048】
それによって、上記演算処理部16が上記第1、第2の撮像カメラ14,25からの撮像信号の視野範囲Sから第1、第2の位置合わせマークm1,m2をサーチするときの視野範囲S内におけるサーチエリアSaが変更されることになる。
【0049】
つまり、上記設定部19は上記サーチエリアSaを第1、第2の位置合わせマークm1,m2毎の標準偏差σの3倍の範囲内に設定する。
【0050】
ここで、3σとしたのは、データの分布の平均値の両側にそれぞれ標準偏差σの3倍の値(±3σ)をとることで、この範囲にデータの約99.7%が存在することにということを根拠にしている。
【0051】
そのため、上記Yテーブル4に載置される液晶セルWの位置にバラツキが生じたり、上記実装ツール21の吸着ノズル22に吸着保持されるTCP9の位置にバラツキが生じても、上記液晶セルWに設けられた一対の第1の位置合わせマークm1や上記TCP9に設けられた一対の第1の位置合わせマークm2を上記設定部19によって設定された上記サーチエリアSa内とすることができる。
【0052】
しかも、上記記憶部18に格納蓄積されるデータが所定回数になると、そのデータは設定部19に出力されて更新される。そのため、液晶セルWの位置のバラツキやTCP9の位置にバラツキに変動があっても、上記第1、第2の位置合わせマークm1,m2の座標を上記サーチエリアSaの範囲内とすることができる。
【0053】
このような構成の実装装置によれば、液晶セルWにTCP9を実装する際、液晶セルWの一対の第1の位置合わせマークm1とTCP9の一対の第2の位置合わせマークm2を撮像した第1、第2の撮像カメラ14,25の撮像信号の視野範囲S内におけるサーチエリアSaを、各位置合わせマークm1,m2の座標位置のバラツキに基いて設定するようにした。
【0054】
具体的には、制御装置6の演算処理部16で処理されて算出された第1、第2の位置合わせマークm1,m2のX、Y座標を記憶部18に蓄積し、その数が所定回数に達したならば設定部19に出力し、この設定部19で標準偏差σを算出し、その標準偏差σの3倍の範囲である3σの範囲をサーチエリアSaに設定し、上記演算処理部16ではそのサーチエリアSa内だけをサーチして第1、第2の位置合わせマークm1,m2のX、Y座標を求めるようにした。
【0055】
そのため、Yテーブル4上における液晶セルWの位置にバラツキがあったり、実装ツール21に吸着保持されるTCP9の位置にバラツキがあっても、そのバラツキの範囲を決定してサーチエリアSaを最小限に設定することができるから、上記演算処理部16による第1、第2の位置合わせマークm1,m2のX、Y座標の算出を迅速に、しかも確実に行うことが可能となる。
【0056】
さらに、統計学的に、標準偏差σの3倍の3σの範囲に設定されたサーチエリアSaから第1、第2の位置合わせマークm1,m2が外れることはないから、サーチエリアSaを必要最小限の大きさに設定しても、第1、第2の位置合わせマークm1,m2がサーチエリアSaから外れて測定不能になるということがない。つまり、第1、第2の位置合わせマークm1,m2の測定を確実に行うことができる。
【0057】
なお、上記一実施の形態では液晶セルに設けられた第1の位置合わせマークと、TCPに設けられた第2の位置合わせマークを別々の撮像カメラで撮像する場合を例に挙げて説明した。
【0058】
それに代わって、液晶セルのTCPが実装される側辺部に上記TCPを位置決めし、その状態で上記液晶セルの側辺部に設置された一対の撮像カメラのうちの一方の撮像カメラで液晶セルとTCPの一対の第1、第2の位置合わせマークの一方を撮像し、他方の撮像カメラで第1、第2の位置合わせマークの他方を撮像し、各撮像カメラの撮像信号を上記一実施の形態で説明したように制御装置で処理して視野範囲内におけるサーチエリアを設定するようにしてもよい。
【0059】
上記実施の形態では液晶セルやTCPが搬送装置によって所定の位置に搬送される際に、この液晶セルの供給位置が一定せずにバラツキが生じることを例に挙げて説明したが、品種による位置合わせマークの位置、形状、マークの素材などによってもバラツキが発生する。したがって、そのような場合にも、この発明を適用することで、そのバラツキから適切なサーチエリアを設定することが可能となる。
【0060】
また、記憶部に格納蓄積される第1の位置合わせマークm1と第2の位置合わせマークm2のX、Y座標が記憶部に設定された回数に達すると、そのデータが設定部に出力されるようにしたが、これに代わって所定回数の範囲内でデータが追加される毎にデータを設定部に出力するようにしてもよい。たとえば、所定回数を30回とすると、1〜30回までデータを蓄積した後、2〜31回、3〜32回というように蓄積されるデータを更新するようにしてもよい。
【0061】
このようにすれば、記憶部に設定されるデータが毎回更新されることになるから、リアルタイムでサーチエリアを更新されることになる。つまり、サーチエリアの設定を位置合わせマークの座標位置の変化に即応させることができるから、液晶セルに対するTCPの位置決めをより一層、確実かつ能率よく行うことが可能となる。
【0062】
また、上記実施の形態ではサーチエリアを必要以上に大きくせずに液晶セルを能率よく確実に位置決めしてTCPを実装することができるということで説明したが、電子部品の実装装置では液晶セルを確実に位置決めできれば、撮像カメラによる撮像に基く検査ミスが発生して実装装置が停止させられるのをなくすることができる。実装装置を停止させずにすめば、稼働率を向上させ、生産性の向上を図ることが可能となるということもある。
【符号の説明】
【0063】
4…Yテーブル(ステージ)、6…制御装置、14…第1の撮像カメラ(撮像手段)、15…画像処理部、16…演算処理部、17…駆動制御部、18…記憶部、21…実装ツール、25…第2の撮像カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板もしくは電子部品に設けられた位置合わせマークを撮像し、その撮像に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する位置合わせマークの位置認識装置であって、
上記基板もしくは電子部品に設けられた上記位置合わせマークを撮像する撮像手段と、
この撮像手段からの撮像信号に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部によって算出された上記位置合わせマークの座標位置が格納蓄積される記憶部と、
この記憶部に格納蓄積された上記位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて上記撮像手段の視野範囲における上記位置合わせマークをサーチするサーチエリアを設定する設定部と
を具備したことを特徴とする位置合わせマークの位置認識装置。
【請求項2】
上記設定部は、上記記憶部に蓄積された上記撮像手段の複数回の上記位置合わせマークの座標位置のバラツキの平均値から標準偏差を求め、上記サーチエリアを上記標準偏差の3倍の範囲に設定することを特徴とする位置合わせマークの位置認識装置。
【請求項3】
基板もしくは電子部品に設けられた位置合わせマークを撮像し、その撮像に基いて上記位置合わせマークの位置を算出する位置合わせマークの位置認識方法であって、
上記基板もしくは電子部品に設けられた上記位置合わせマークを撮像手段によって撮像する工程と、
上記位置合わせマークの撮像した上記撮像手段からの撮像信号に基いて上記マークの位置を算出する工程と、
算出された上記マークの座標位置を格納蓄積する工程と、
格納蓄積された上記位置合わせマークの座標位置のバラツキに基いて上記撮像手段の視野範囲における上記位置合わせマークをサーチするサーチエリアを設定する工程と
を具備したことを特徴とする位置合わせマークの位置認識方法。
【請求項4】
基板に電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
上記基板に設けられた第1の位置合わせマークと、上記電子部品に設けられた第2の位置合わせマークをそれぞれ撮像し、その撮像に基いて上記第1の位置合わせマークと第2の位置合わせマークの座標を位置認識装置によって認識して上記基板に上記電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
上記位置認識装置は請求項1に記載された構成であることを特徴とする電子部品の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238650(P2012−238650A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105310(P2011−105310)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】