説明

位置情報提供システム及び移動装置

【課題】任意の場所を走行する車両の位置情報を取得して確実に提供することができると共に、膨大な量の情報が一時に取得されたときでも通信網の輻輳を回避し、情報の応答性の低下を防止することができる位置情報提供システム及び該システムで用いる移動装置を提供する。
【解決手段】自位置を測位する車両1と、該移動装置と通信可能な中央装置5とを備え、移動装置が周辺にある車両2が搭載する識別部材から該車両2を識別する車両情報を逐次取得し、車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出し、算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を測位した自位置を示す位置情報と共に位置情報提供装置へ送信し、位置情報提供装置が、移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信して記憶し、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置が、自位置を測位すると共に周辺にある車両を識別する車両情報を逐次取得し、自位置を示す位置情報及び車両情報を送信し、位置情報提供装置が、移動装置から送信された位置情報及び車両情報を受信して記憶し、外部から受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する位置情報提供システム及び該システムで用いる移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酒気帯び運転、轢き逃げなど、車両による違反行為が多発している。そこで、従来、このような違反車両を捜査すべく、所定位置に固定してあるカメラ機能付き通信装置で、所定位置を通過した車両のナンバープレートを逐次撮像し、撮像画像から取得した車番が違反車両のものであると判断したとき、その通過の位置情報を提供する情報提供システムが提案された(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来、GPS(Global Positioning System)ユニットを搭載してある車両は、自位置を測位し、測位した位置情報を外部へ送信できる。そこで、GPSユニットを搭載してある一の車両が、車載カメラで一の車両の前後を走行する他の車両のナンバープレートを撮像し、撮像画像から取得した車番が検索対象のものであると判断したとき、一の車両が測位した位置情報を提供する情報提供システムが提案された(例えば、特許文献2)。
【0004】
このような情報提供システムは、膨大な数の車両から、特定の車両の位置情報を自動的に取得できることから、違反車両の捜査において有効な手段であった。
【特許文献1】特開2005−301377号公報
【特許文献2】特開2005−56068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムにあっては、違反車両がカメラの設置場所を通過しないときは車番を取得することができず、位置情報の提供が確実になされるとは言い難い。また、カメラの設置場所を増やすことにより車番の取得精度を高めることができるが、設備の費用対効果が著しく低下するという問題を有していた。
【0006】
また、特許文献2に記載されたシステムにあっては、車両に搭載してあるGPSユニットを利用するので、特許文献1に記載されたシステムに比し安価な設備投資で、カメラの設置場所を通過しない任意の場所を走行する車両の車番を取得することができ、確実に情報提供することができた。しかし、都市部など、走行車両が集中する場所では、膨大な量の撮像画像が一時に取得されて送信され、通信網が輻輳して情報提供の応答性が低下するという問題を有していた。
【0007】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、移動装置が周辺にある車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を逐次取得し、車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出し、算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を測位した自位置を示す位置情報と共に位置情報提供装置へ送信し、位置情報提供装置が、移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信して記憶し、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力するようにしてあることにより、任意の場所を走行する車両の位置情報を取得して確実に提供することができると共に、膨大な量の情報が一時に取得されたときでも通信網の輻輳を回避し、情報の応答性の低下を防止することができる位置情報提供システム及び該システムで用いる移動装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、位置情報提供装置が所定の周期で送信要求を移動装置へ送信し、移動装置が周辺にある車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を逐次取得し、位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したと判断したとき、取得した車両情報を測位した自位置を示す位置情報と共に位置情報提供装置へ送信し、位置情報提供装置が、移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信して記憶し、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力するようにしてあることにより、任意の場所を走行する車両の位置情報を取得して確実に提供することができると共に、膨大な量の情報が一時に取得されたときでも受信側の指示に従って通信網の輻輳を回避し、情報の応答性の低下を防止することができる位置情報提供システム及び該システムで用いる移動装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、位置情報提供装置が、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた車両情報が示す車両の位置情報を地図画像上に重畳して描画するように出力してあることにより、単なる数値データを出力する場合に比し、検索した車両の位置を的確に報知することができる位置情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る位置情報提供システムは、自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、前記移動装置は、測位した自位置を示す位置情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置は、前記移動装置から送信された位置情報を受信して記憶し、外部の要求に応じて記憶してある位置情報を提供する位置情報提供システムにおいて、前記移動装置は、車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、前記車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出する手段と、算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判断する手段と、算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に前記位置情報提供装置へ送信する手段とを備え、前記位置情報提供装置は、前記移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信する手段と、受信した車両情報と位置情報とを対応付けて記憶する手段と、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る位置情報提供システムは、自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、前記移動装置は、測位した自位置を示す位置情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置は、前記移動装置から送信された位置情報を受信して記憶し、外部の要求に応じて記憶してある位置情報を提供する位置情報提供システムにおいて、前記位置情報提供装置は、所定の周期にて、送信要求を前記移動装置へ送信する手段を備え、前記移動装置は、車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、前記車両情報を取得する都度、前記位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したか否かを判断する手段と、前記位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したと判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に前記位置情報提供装置へ送信する手段とを備え、前記位置情報提供装置は、更に、前記移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信する手段と、受信した車両情報と位置情報とを対応付けて記憶する手段と、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る位置情報提供システムは、前記出力手段は、前記車両情報が示す車両の位置情報を地図画像上に重畳して描画するように出力してあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る移動装置は、自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報を外部へ送信する移動装置において、車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、前記車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出する手段と、算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判断する手段とを備え、算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に外部へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る移動装置は、自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報を外部へ送信する移動装置において、外部から送信要求を受信する手段と、車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、前記車両情報を取得する都度、外部から送信された送信要求を受信したか否かを判断する手段とを備え、送信要求を受信したと判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に外部へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、例えばGPSユニットを搭載した移動装置が、周辺にある車両の車両情報を逐次取得することにより、従来のGPSユニットを利用して設備投資が安価になると共に、カメラの設置場所を通過しない、任意の場所を走行する車両の車両情報の取得精度を高め、多くの情報量を蓄積することができる。また、車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出し、算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき情報を送信することにより、都市部など、走行車両が集中する場所で膨大な量の情報を取得したときでも、送信すべき情報を取捨選択する。また、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある情報を出力することにより、豊富な情報から検索対象を確実に抽出し、輻輳のない通信網を介して情報提供を迅速に行う。
【0016】
また、本発明にあっては、位置情報提供装置が所定の周期で送信要求を移動装置へ送信することにより、情報の受信能力に応じた通信量が調整される。また、例えばGPSユニットを搭載した移動装置が、周辺にある車両の車両情報を逐次取得することにより、従来のGPSユニットを利用して設備投資が安価となる共に、カメラの設置場所を通過しない、任意の場所を走行する車両の車両情報の取得精度を高め、多くの情報量を蓄積することができる。また、位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したとき情報を送信することにより、都市部など、走行車両が集中する場所で膨大な量の情報を取得したときでも、送信すべき情報を取捨選択する。また、車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある情報を出力することにより、豊富な情報から検索対象を確実に抽出し、輻輳のない通信網を介して情報提供を迅速に行う。
【0017】
また、本発明にあっては、車両の位置情報を地図画像上に重畳して描画するように出力することにより、検索対象の車両の位置を的確に報知する。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、設備投資が安価となり、設備の費用対効果を向上させることができる。また、車両の車両情報の取得精度を高め、多くの情報量を蓄積でき、豊富な蓄積情報の中から検索対象の車両の位置などを確実に提供できると共に、通信網の輻輳を回避し、情報提供の応答性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明にあっては、検索対象の車両の位置を的確に報知し、ユーザへの視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る位置情報提供システム及び該システムで用いる移動装置について、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るシステムの全体構成を示す模式図である。
【0021】
実施例1.
本発明に係る位置情報提供システムは、GPSユニットを搭載した車両1、1、…、検索対象となる車両2、GPSで用いるGPS衛星3、3、…、各車両1と通信可能な通信装置4、中央装置5、データベース6及び端末装置7から構成され、通信装置4、中央装置5及び端末装置7は、インターネットなどの通信網を介して接続されている。
【0022】
車両1、1、…は、本発明に係る移動装置に該当し、GPS衛星3、3、…から送信された測位情報をGPSアンテナ140を介して受信し、受信した測位情報に基づいて自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報をアンテナ100を介して通信装置4へ送信する。尚、車両1が搭載するハードウェアの構成・作用は後述する。
【0023】
車両2は、検索対象となる車両であり、車両2を識別するための車両情報を有する識別部材を搭載してある。識別部材は、例えば、車両2に取着されたナンバープレート又はICタグが該当する。また、車両情報は、「大阪、300、ゆ、52−22」など、ナンバープレートに記された「地域」、「番号」、「記号」及び「ナンバー」からなる車番情報又はICタグに記憶してある識別情報が該当する。尚、本実施の形態では、車両1及び2は自動四輪及び自動二輪として説明するので、以下、車両情報を「自動車情報」と表す。
【0024】
GPS衛星3、3、…は、GPSで用いられ、車両1、1、…から送信された測位要求に応じて、測位情報を送信する。その結果、各車両1は、複数のGPS衛星から測位情報を受信するので、自位置を高精度に測位することができる。
【0025】
通信装置4は、複数存在し、地域毎に夫々設置されている。通信装置4は、各車両1から送信された、位置情報、自動車情報及び時刻情報などの情報を受信し、受信した情報を通信網を介して中央装置5へ送信する中継機能を有する。また、通信装置4は、中央装置5から送信された転送要求などの情報を受信し、各車両1へ送信する中継機能を有する。
【0026】
中央装置5は、本発明に係る位置情報提供装置に該当し、所定の場所に設置してあり、位置情報提供の事業者により管理されている。中央装置5は、各地域に設置してある通信装置4を介して、各車両1から送信された情報を受信する。また、中央装置5は、転送要求などの情報を通信装置4を介して、各車両1へ送信する。尚、中央装置5の構成・作用は後述する。
【0027】
データベース6は、本発明の位置情報提供システムで用いる各種テーブルが格納してあり、中央装置5から送信された要求に応じて、情報の読み出し又は情報の書き込みを行う。ここで、データベース6が格納しているテーブルは、自動車情報テーブルT1、位置時刻情報テーブルT2及び宛先テーブルT3が該当する。自動車情報テーブルT1は、各車両1が検出した車両2の自動車情報を格納している。位置時刻情報テーブルT2は、自動車情報テーブルT1が格納している自動車情報毎に関連づけられ、各車両1が検出した位置情報及び時刻情報を格納している。宛先テーブルT3は、中央装置5の通信先を格納している。尚、各種テーブルの格納例は、後述する。
【0028】
端末装置7は、車両2の位置情報を所望するユーザが所有する端末装置であり、検索対象となる車両2の自動車情報、検索期間、検索地域などの検索条件の入力を受け付け、受け付けた検索条件を通信網を介して中央装置5へ送信する。端末装置7は、中央装置5から送信された位置情報及び自動車情報などの検索結果を受信して出力する。尚、端末装置7は、机上に載置された装置に限定されず、移動可能な携帯電話機、PDA又は車載ユニットであってもよい。
【0029】
次に、本発明に係る移動装置である車両1の構成・作用について説明する。図2は本発明に係る車両が搭載するハードウェアを示すブロック図である。図中1は、移動装置である車両を示す。車両1は、ネットワーク通信制御部10、情報受信制御部11、受信情報編集部12、データベースアクセス制御部13、GPS制御部14、距離算出部15、自動車情報変換部16、送信情報編集部17、タイマ18及びデータベース19から構成され、各ユニットは通信線(図示せず)で接続されている。
【0030】
ネットワーク通信制御部10は、アンテナ100と接続してあり、該アンテナを介して、情報をのせた搬送波の送受信を制御する。車両1は、移動しながら通信装置4と無線通信することができる。
【0031】
情報受信制御部11は、送受信の切り替えを制御する。例えば、中央装置5から送信された転送要求を受信したとき、転送要求に応じて、送信モードに切り替える。そして、データベース19から読み出した位置情報、自動車情報及び時刻情報を送信する。
【0032】
受信情報編集部12は、受信した情報に応じて、所定の処理に必要な制御信号を各ユニットへ送信する。例えば、中央装置5から送信された転送要求を受信したとき、読出を示す制御信号を各ユニットへ送信する。
【0033】
データベースアクセス制御部13は、データベース19と接続するためのインタフェースであり、データベース19との間の通信を制御する。例えば、データベースアクセス制御部13は、読出を示す制御信号を受信したとき、データベースにアクセスし、該当する位置情報及び自動車情報を読み出す。
【0034】
また、データベースアクセス制御部13は、書込を示す制御信号を受信したとき、送信情報編集部17から送信された位置情報、自動車情報及び時刻情報をデータベース19に格納する。
【0035】
ここで、データベース19が格納しているテーブルは、宛先テーブルT4及び差分テーブルT5が該当する。宛先テーブルT4は、各車両1の通信先を格納している。差分テーブルT5は、各車両1が今回検出した自動車情報と前回検出した自動車情報との差分を確認するためのテーブルである。テーブルの格納例については、後述する。
【0036】
GPS制御部14は、各車両1が備える自位置を測位する手段である。GPS制御部14は、GPSアンテナ140を介して、GPS衛星3、3、…へ測位要求を送信し、GPS衛星3、3、…から送信された測位情報を受信する。GPS制御部14は、受信した測位情報に基づいて自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報を送信情報編集部17へ送信する。また、GPS制御部14は、車速取り込みユニット及び加速度・ジャイロの各センサ(図示せず)を内蔵しており、GPS衛星3、3、…からの測位情報を受信できない場合、内蔵するユニット及び各センサにより自位置を自律測位することができる。
【0037】
距離算出部15は、計測ユニット150と接続しており、計測ユニット150を介して、各車両1の周辺(同車線の前方若しくは後方、又は、左右の車線)にある車両2との距離及び方位を算出する。算出した距離及び方位を修正情報として送信情報編集部17へ送信する。その結果、各車両1は、車両2の位置情報について、より高精度の情報を検出することができる。
【0038】
自動車情報変換部16は、カメラ160及びICリーダ161と接続してある。カメラ160は、タイマ18が計時する所定の周期で、車両2に取着されたナンバープレートを撮像する。また、ICリーダ161は、タイマ18が計時する所定の周期で、車両2に取着されたICタグに記憶してある識別情報を非接触で読み取る。自動車情報変換部16は、カメラ160が撮像した、撮像画像を受信するか、又は、ICリーダ161が取得した識別情報を受信する。自動車情報変換部16は、受信したナンバープレートの撮像画像からナンバープレートに記された車番の文字画像を認識し、認識した文字画像から文字情報に変換する。自動車情報変換部16は、変換した文字情報又は受信した識別情報を自動車情報として送信情報編集部17へ送信する。このように、自動車情報変換部16は、各車両1が、車両2に搭載してある識別部材から自動車情報を逐次取得する手段に該当する。
【0039】
送信情報編集部17は、GPS制御部14から送信された位置情報を受信し、自動車情報変換部16から送信された自動車情報を受信し、タイマ18で計時された検出時刻を示す時刻情報を受信する。
【0040】
また、送信情報編集部17は、自動車情報などを受信する都度、受信した自動車情報を差分テーブルT5に格納し、格納してある今回検出した自動車情報と前記検出した自動車情報との差分を算出する。送信情報編集部17は、算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判定し、算出した差分が所定の閾値を超えると判定したとき、書込を示す制御信号を各ユニットへ送信する。また、送信情報編集部17は、距離算出部15から受信された修正情報を受信したとき、修正情報により位置情報を修正し、修正した位置情報をデータベースアクセス制御部13へ送信する。
【0041】
次に、本発明に係る位置情報提供装置(中央装置5)の構成・作用について説明する。図3は本発明に係る位置情報提供装置の構成を示すブロック図である。図中5は、位置情報提供装置である中央装置を示す。中央装置5は、ネットワーク通信制御部50、情報受信制御部51、受信情報編集部52、データベースアクセス制御部53、転送要求編集部54、タイマ540、情報送信制御部55、入出力インタフェース56、情報検索部57、データベース保守部58及びデータベースアクセス指示編集部59から構成され、各ユニットは通信線(図示せず)で接続されている。
【0042】
ネットワーク通信制御部50は、ネットワーク(通信網)に接続してあり、該通信網を介して車両1、通信装置4、端末装置7、その他の外部装置との間の通信を制御する。
【0043】
情報受信制御部51は、送受信の切り替えを制御する。情報受信制御部51は、各車両1から送信された位置情報、自動車情報及び時刻情報を受信したとき、後述する情報送信制御部55の機能を停止して受信モードに切り替える。
【0044】
受信情報編集部52は、受信した情報に応じて、所定の処理に必要な情報を各ユニットへ送信する。例えば、車両1から送信された位置情報、自動車情報及び時刻情報を受信したとき、受信した情報に欠落があるか否かを判定し、欠落がないと判定した場合、書込を示す制御信号を送信する。
【0045】
データベースアクセス制御部53は、外部にある、データベース6と接続するためのインタフェースであり、データベース6との間の通信を制御する。データベースアクセス制御部53は、書込を示す制御信号を受信したとき、検索を示す制御信号を受信したとき、保守を示す制御信号を受信したとき、データベースにアクセスする制御を行う。
【0046】
転送要求編集部54は、タイマ540が計時する所定の周期で、転送要求を編集して情報送信制御部55へ送信する。
【0047】
情報送信制御部55は、送受信の切り替えを制御する。情報送信制御部55は、転送要求編集部54から転送要求を受信したとき、情報受信制御部51の機能を停止して送信モードに切り替え、受け付けた転送要求をネットワーク通信制御部50を介して送信する。送信された転送要求は、通信装置4を介して各車両1へ送信される。
【0048】
入出力インタフェース56は、入力装置560及び出力装置561に接続してある。入出力インタフェース56は、入力装置560を介して、検索対象となる車両2の自動車情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件を情報検索部57へ送信する。また、入出力インタフェース56は、入力装置560を介して、データベースの保守指示を受け付けたとき、受け付けた保守指示をデータベース保守部58へ送信する。
【0049】
また、入出力インタフェース56は、情報検索部57から、検索対象となる車両2の位置情報、自動車情報及び位置情報を受信したとき、受け付けた各種情報を出力装置561を介して外部へ出力する。また、入出力インタフェース56は、データベース保守部58から保守に関する情報を受信したとき、受け付けた保守に関する情報を出力装置561を介して外部へ出力する。
【0050】
情報検索部57は、データベース6にアクセスして、検索対象となる車両2に関する情報を検索する。データベースアクセス指示編集部59は、情報検索部57が検索対象となる車両2の自動車情報を含む検索条件を受信したとき、検索を示す制御信号をデータベースアクセス制御部53へ送信する。
【0051】
情報検索部57は、データベース6にアクセスし、データベース6に格納してある各種テーブルから、検索条件を具備する位置情報、自動車情報及び時刻情報を抽出する。情報検索部57は、抽出した位置情報、自動車情報及び時刻情報を検索結果として編集して入出力インタフェース56へ送信する。
【0052】
また、情報検索部57は、ネットワーク通信制御部50を介して、端末装置7から送信された検索条件を受け付けることもできる。また、情報検索部57は、抽出した位置情報、自動車情報及び時刻情報を、ネットワーク通信制御部50を介して、端末装置7へ送信することもできる。
【0053】
また、情報検索部57は、予め地図画像を記憶しておき、出力装置561又は端末装置7の出力装置において、抽出した自動車情報が示す車両2の位置情報を地図画像上に重畳するように描画できる検索結果として編集して出力することもできる。尚、検索結果出力画面の表示例は後述する。
【0054】
データベース保守部58は、データベース6にアクセスして、データベース6に格納してあるテーブルの保守を行う。データベースアクセス指示編集部59は、データベース保守部58が保守指示を受信したとき、保守を示す制御信号をデータベースアクセス制御部53へ送信する。
【0055】
データベース保守部58は、データベース6にアクセスし、データベース6に格納してあるテーブルの保守を行う。データベース保守部58は、保守に関する情報を入出力インタフェース56へ送信する。
【0056】
次に、データベース6に格納してある自動車情報テーブル1及び位置時刻情報テーブルT2について説明する。図4及び図5は本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【0057】
図中T1は、自動車情報テーブルを示す。自動車情報テーブルT1は、車両2の自動車情報を格納するためのテーブルである。自動車情報テーブルT1は、中央装置5が各車両1から送信された自動車情報を受信したとき、受信した自動車情報が順次格納される。格納される自動車情報は、各車両1が検出した車両2のナンバープレートに記された「地域」、「番号」、「記号」及び「ナンバー」の車番が該当する。また、格納された自動車情報は、位置時刻情報テーブルT2、T2、…に関連づけるためのポイントが夫々付与されている。
【0058】
図中T2、T2、…は、位置時刻情報テーブルである。各位置時刻情報テーブルT2は、自動車情報テーブルT1に格納してある自動車情報毎に、関連づけて生成される。各位置時刻情報テーブルT2には、各車両1が検出した時刻情報及び位置情報が順次格納されていく。即ち、データベース6は、一の自動車情報に対して複数の位置情報及び時刻情報を格納している。
【0059】
次に、データベース6に格納してある宛先テーブルT3について説明する。
【0060】
図中T3は、宛先テーブルを示す。宛先テーブルT3は、中央装置5が通信可能な通信装置4(地域サーバ)の宛先を格納するためのテーブルである。宛先テーブルT3は、自動車情報(地域及び番号)毎に、通信装置4の宛先を対応付けて格納している。
【0061】
次に、データベース19に格納してある宛先テーブルT4について説明する。図6は本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【0062】
図中T4は、宛先テーブルを示す。宛先テーブルT4は、各車両1が通信可能な通信装置4の宛先を格納するためのテーブルである。宛先テーブルT4は、自動車情報(地域及び番号)毎に、通信装置4の宛先を対応付けて格納している。各車両1は、検出した位置情報、自動車情報及び時刻情報を送信するとき、宛先テーブルT4に基づいて、送信すべき通信装置4を決定する。
【0063】
次に、データベース19に格納してある差分テーブルT5について説明する。図7は本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【0064】
図中T5は、差分テーブルを示す。差分テーブルT5は、各車両1が今回検出した自動車情報と前回検出した自動車情報との差分を確認するためのテーブルである。差分テーブルT5は、送信時刻毎に、前回検出した自動車情報と今回検出した自動車情報とを対応付けて格納している。各車両1は、差分テーブルT5に基づいて、今回検出した自動車情報と前回検出した自動車情報との差分を算出し、算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判定する。例えば、図中のNo.3のレコードは、前回検出した自動車情報が「大阪 300 ゆ 52−22」であるのに対し、今回検出した自動車情報が「京都 502 な 33−18」であるから、その差分が所定の閾値を超えると判定される。また、図中のNo.4のレコードも同様である。尚、当該No.3及びNo.4のレコードから、各車両1が「大阪 300 ゆ 52−22」の車両2を検出しているとき、「京都 502 な 33−18」の車両2が10分間割り込んで走行していたことがわかる。
【0065】
次に、検索条件の入力手段について説明する。図8は検索条件入力画面の表示例を示す説明図である。検索条件入力画面は、中央装置5の出力装置561又は端末装置7の出力装置を介して出力される。
【0066】
検索条件入力画面は、検索対象となる車両2の自動車情報の入力欄及び付加条件の入力欄を備える。付加条件は、検索結果が膨大になるときに限定する条件であり、例えば、検索すべき期間又は検索すべき地域が該当する。検索条件入力画面を介して入力されたデータは、最終的に、中央装置5の情報検索部57へ送信される。
【0067】
次に、検索結果の出力手段について説明する。図9は検索結果出力画面の表示例を示す説明図である。検索結果出力画面は、中央装置5の出力装置561又は端末装置7の出力装置を介して出力される。
【0068】
検索結果出力画面は、例えば、検索対象となる車両2の自動車情報の出力領域、車両2の位置情報の出力領域を備える。位置情報の出力領域には、移動してきた複数の位置情報を一覧形式で表示する。また、検索結果出力画面は、車両2の位置情報を地図画像上に重畳するように描画する出力領域を備える。かかる出力領域には、地図画像上に描画した位置毎に、位置情報の一覧表示の番号に対応する番号を表示する。
【0069】
次に、各車両1が実行する自動車情報収集処理の手順を説明する。図10は本発明の自動車情報収集処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
各車両1は、タイマ18が計時する現時刻が所定の周期であるか否か、即ち、収集時刻であるか否かを判断し(S101)、収集時刻でないと判断した場合(S101でNO)、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。
【0071】
一方、各車両1は、収集時刻であると判断した場合(S101でYES)、自動車情報変換部16が撮像画像を受け付けたか否かを判断し(S102)、撮像画像を受け付けていないと判断した場合(S102でNO)、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。即ち、各車両1の周辺には、検出すべき車両2が存在しない。
【0072】
一方、各車両1は、撮像画像を受け付けたと判断した場合(S102でYES)、受け付けた撮像画像から文字画像を認識し、認識した文字画像を自動車情報に変換する(S103)。即ち、各車両1の周辺には、検出すべき車両2が存在している。
【0073】
各車両1は、変換する都度、受け付けた自動車情報を、差分テーブルT5に今回検出した自動車情報として格納する。各車両1は、格納した今回検出した自動車情報と既に格納してある前回検出した自動車情報とを比較して、差分があるか否かを判断する(S104)。各車両1は、差分がないと判断した場合(S104でNO)、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。
【0074】
一方、各車両1は、差分があると判断した場合(S104でYES)、検出した自動車情報をデータベース19に格納する(S105)。また、各車両1は、タイマ18で計時した時刻を示す時刻情報をデータベース19に格納する(S106)。また、各車両1は、GPS制御部14で測位した自位置を示す位置情報をデータベース19に格納する(S107)。また、各車両1は、格納してある自動車情報と時刻情報と位置情報とを関連づけて編集し(S108)、送信に備える。
【0075】
各車両1は、宛先テーブルT4に基づいて、自動車情報に対応する送信先が登録されているか否かを判断し(S109)、送信先が登録されていないと判断した場合(S109でNO)、編集した情報を未登録時の送信先(例えば、中央装置5)へ送信する(S110)。各車両1は、送信した自動車情報により差分テーブルT5の前回検出した自動車情報を更新し(S112)、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。
【0076】
一方、各車両1は、送信先が登録されていると判断した場合(S109でYES)、編集した情報を送信先(通信装置4)へ送信する(S111)。各車両1は、送信した自動車情報により差分テーブルT5の前回検出した自動車情報を更新し(S112)、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。
【0077】
次に、中央装置5が実行する転送要求送信処理の手順を説明する。図11は本発明の転送要求送信処理の手順を示すフローチャートである。
【0078】
中央装置5は、タイマ540が計時する現時刻が所定の周期であるか否か、即ち、収集時刻であるか否かを判断し(S201)、収集時刻でないと判断した場合(S201でNO)、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0079】
一方、中央装置5は、収集時刻であると判断した場合(S201でYES)、転送要求の指示対象である車両1、1、…が存在するか否かを判断し(S202)、該当する車両1、1、…が一台も存在しないと判断した場合(S202でNO)、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0080】
一方、中央装置5は、車両1、1、…が存在すると判断した場合(S202でYES)、転送要求編集部で転送要求情報を編集し(S203)、編集した転送要求情報を該当する車両1、1、…へ送信し(S204)、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0081】
次に、中央装置5が実行する自動車位置情報登録処理の手順について説明する。図12は本発明の自動車位置情報登録処理の手順を示すフローチャートである。
【0082】
中央装置5は、車両1から送信された位置情報、自動車情報及び時刻情報を受信したとき(S301)、受信した情報に欠落がないか否かを判定する(S302)。中央装置5は、受信した情報に欠落があると判定した場合(S302でYES)、データ破棄を行い(S305)、自動車位置情報登録処理を終了する。
【0083】
一方、中央装置5は、受信した情報に欠落がないと判定した場合(S302でNO)、受信した情報を編集する(S303)。中央装置5は、データベース6にアクセスし、受信した情報を登録し(S304)、自動車位置情報登録処理を終了する。
【0084】
次に、中央装置5が実行する自動車位置情報検索処理の手順について説明する。図13は本発明の自動車位置情報検索処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
中央装置5は、情報検索部57が検索条件を受け付けたとき(S401)、データベース6を検索し(S402)、データベース6に格納してある各種テーブルから、検索条件を具備する位置情報、自動車情報及び時刻情報を抽出する。
【0086】
中央装置5は、抽出した位置情報、自動車情報及び時刻情報を検索結果として編集する(S403)。中央装置5は、編集した検索結果を外部へ出力し(S404)、自動車位置情報検索処理を終了する。
【0087】
実施例2.
実施例1において、各車両1が、今回検出した自動車情報と前回検出した自動車情報との差分を確認し、確認した差分に応じて、情報の送信を制御する一例を説明した。しかし、本発明にあっては、これに限らず、各車両1が、中央装置5から送信された転送要求を受信したときに情報を送信するようにしてもよい。以下、各車両1が備える送信管理テーブルT6と、各車両が実行する自動車情報収集処理の手順とを説明する。尚、その他の構成・作用については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
【0088】
図14は他の実施例で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。送信管理テーブルT6は、各車両1のデータベース19に格納してある。送信管理テーブルT6は、データベース19に格納してある自動車情報、時刻情報及び位置情報を送信したか否かを確認するためのテーブルである。送信管理テーブルT6は、検出順に、検出した自動車情報、時刻情報及び位置情報と、送信フラグとを対応付けて格納している。送信フラグは、対応する情報が送信されたか否かを確認するために情報であり、送信された場合に「済み」の値に更新される。各車両1は、送信管理テーブルT6に基づいて、データベース19に格納してある情報のうち、送信フラグが「未」の値のものを送信する。各車両1は、送信管理テーブルT6を用いることにより、中央装置5から所定の周期で送信される転送要求を受信していない間に逐次検出した情報を、漏らすことなく中央装置5へ送信することができる共に、同一情報の多重送信を防止して通信網の輻輳を回避することができる。
【0089】
次に、各車両1が実行する自動車情報収集処理の手順を説明する。図15は他の実施例の自動車情報収集処理の手順を示すフローチャートである。
【0090】
各車両1は、タイマ18が計時する現時刻が所定の周期であるか否か、即ち、収集時刻であるか否かを判断し(S501)、収集時刻でないと判断した場合(S501でNO)、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。
【0091】
一方、各車両1は、収集時刻であると判断した場合(S501でYES)、自動車情報変換部16が撮像画像を受け付けたか否かを判断し(S502)、撮像画像を受け付けていないと判断した場合(S502でNO)、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。即ち、各車両1の周辺には、検出すべき車両2が存在しない。
【0092】
一方、各車両1は、撮像画像を受け付けたと判断した場合(S502でYES)、受け付けた撮像画像から文字画像を認識し、認識した文字画像を自動車情報に変換する(S503)。即ち、各車両1の周辺には、検出すべき車両2が存在している。
【0093】
各車両1は、変換する都度、受け付けた自動車情報をデータベース19に格納する(S504)。また、各車両1は、タイマ18で計時した時刻を示す時刻情報をデータベース19に格納する(S505)。また、各車両1は、GPS制御部14で測位した自位置を示す位置情報をデータベース19に格納する(S506)。
【0094】
各車両1は、中央装置5から送信された転送要求を受信したか否かを判断し(S507)、中央装置5から送信された転送要求を受信していないと判断した場合(S507でNO)、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。
【0095】
一方、各車両1は、中央装置5から送信された転送要求を受信したと判断した場合(S507でYES)、送信管理テーブルT6に基づいて、未送信情報が有るか否かを判断し(S508)、未送信情報がないと判断した場合(S508でNO)、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。
【0096】
一方、各車両1は、未送信情報があると判断した場合(S508でYES)、格納してある自動車情報と時刻情報と位置情報とを関連づけた情報に編集し(S509)、送信に備える。
【0097】
各車両1は、宛先テーブルT4に基づいて、自動車情報に対応する送信先が登録されているか否かを判断し(S510)、送信先が登録されていないと判断した場合(S510でNO)、編集した情報を未登録時の送信先(例えば、中央装置5)へ送信する(S511)。送信後、各車両1は、ステップ501に戻り、処理を繰り返す。
【0098】
一方、各車両1は、送信先が登録されていると判断した場合(S510でYES)、編集した情報を送信先(通信装置4)へ送信し(S512)、送信管理テーブルT6に基づいて、全ての情報を送信したか否かを判断する(S513)。各車両1は、全ての情報を送信していないと判断した場合(S513でNO)、ステップS509に戻り、未送信情報の送信処理を繰り返す。
【0099】
一方、各車両1は、全ての情報を送信したと判断した場合(S513でYES)、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。
【0100】
尚、上述した実施例1及び2において、通信装置4は、中継機能のみを有していが、これに限らず、自動車情報テーブルT1及び位置時刻情報テーブルT2を格納するデータベース6を備えてもよい。この場合、通信装置4の構成・作用は、実施例1の中央装置5と同様である。即ち、通信装置4は、地域毎に設置された分散データベースとしての機能を有する地域サーバに該当する。
【0101】
通信装置4は、タイマが計時する所定の周期で、転送要求を送信する。
【0102】
各車両1は、位置情報、自動車情報及び時刻情報を送信する際、宛先テーブルT4に基づいて、各種情報の送信先を決定する。通信装置4は、各車両1から送信された各種情報を受信したとき、受信した各情報をデータベース6の自動車情報テーブルT1及び位置時刻情報テーブルT2に格納する。
【0103】
中央装置5は、検索条件の受け付け機能及び検索結果の出力機能のみを備える。中央装置5は、外部から検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件から「地域」及び「番号」を抽出し、宛先テーブルT3に基づいて、抽出した「地域」及び「番号」の自動車情報を格納してある通信装置4(地域サーバ)を決定する。中央装置5は、決定した通信装置4に、格納する自動車情報テーブルT1及び位置時刻情報テーブルT2の送信を要求する。
【0104】
通信装置4は、中央装置5から送信された送信要求を受信したとき、該当する各種テーブルを読み出して送信する。
【0105】
中央装置5は、該当する通信装置4から送信された各種テーブルを受信したとき、情報検索部57により、検索条件を具備する位置情報、自動車情報及び時刻情報を抽出する。
【0106】
その結果、中央装置5が全国に存在する膨大な数の車両2の自動車情報を集中管理する必要がなくなり、通信装置4が分散処理することにより、位置情報提供システム全体の処理を向上させることができる。
【0107】
また、実施例1及び2では、データベース6は、中央装置5と異なる装置として説明したが、これに限らず、中央装置5が内蔵してもよい。
【0108】
また、上述した実施例では、中央装置5が検索機能を備える一例を説明したが、これに限らず、通信装置4が検索機能を備えてもよい。かかる場合、中央装置5は、外部から検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件から「地域」及び「番号」を抽出し、宛先テーブルT3に基づいて、抽出した「地域」及び「番号」の自動車情報を格納してある通信装置4(地域サーバ)を決定する。該当する通信装置4は、データベースを検索し、検索結果を中央装置5へ送信する。中央装置5は、通信装置4から送信された検索結果を受け付け、受け付けた検索結果を外部へ出力する。
【0109】
また、上述した実施例において、検索結果は、中央装置5から送信された電子メール形式で出力するようにしても良い。かかる場合、中央装置5は、外部から特定の位置及び時刻を受け付け、受け受けた特定の位置及び時刻を具備する車両2に関する情報が、自動車情報テーブルT1及び位置時刻情報テーブルT2に格納されたとき、電子メール形式で外部に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るシステムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る車両が搭載するハードウェアを示すブロック図である。
【図3】本発明に係る位置情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【図5】本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【図6】本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【図7】本発明で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【図8】検索条件入力画面の表示例を示す説明図である。
【図9】検索結果出力画面の表示例を示す説明図である。
【図10】本発明の自動車情報収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の転送要求送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の自動車位置情報登録処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の自動車位置情報検索処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】他の実施例で用いるテーブルの格納例を示す説明図である。
【図15】他の実施例の自動車情報収集処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
1、2 車両
3 GPS衛星
4 通信装置
5 中央装置
6 データベース
7 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、前記移動装置は、測位した自位置を示す位置情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置は、前記移動装置から送信された位置情報を受信して記憶し、外部の要求に応じて記憶してある位置情報を提供する位置情報提供システムにおいて、
前記移動装置は、
車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、
該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、
前記車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出する手段と、
算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判断する手段と、
算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に前記位置情報提供装置へ送信する手段と
を備え、
前記位置情報提供装置は、
前記移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信する手段と、
受信した車両情報と位置情報とを対応付けて記憶する手段と、
車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項2】
自位置を測位する移動装置と、該移動装置と通信可能な位置情報提供装置とを備え、前記移動装置は、測位した自位置を示す位置情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置は、前記移動装置から送信された位置情報を受信して記憶し、外部の要求に応じて記憶してある位置情報を提供する位置情報提供システムにおいて、
前記位置情報提供装置は、
所定の周期にて、送信要求を前記移動装置へ送信する手段を備え、
前記移動装置は、
車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、
該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、
前記車両情報を取得する都度、前記位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したか否かを判断する手段と、
前記位置情報提供装置から送信された送信要求を受信したと判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に前記位置情報提供装置へ送信する手段と
を備え、
前記位置情報提供装置は、更に、
前記移動装置から送信された車両情報及び位置情報を受信する手段と、
受信した車両情報と位置情報とを対応付けて記憶する手段と、
車両情報を含む検索条件を受け付けたとき、受け付けた検索条件に応じて記憶してある車両情報及び位置情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記車両情報が示す車両の位置情報を地図画像上に重畳して描画するように出力してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置情報提供システム。
【請求項4】
自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報を外部へ送信する移動装置において、
車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、
該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、
前記車両情報を取得する都度、前回取得した車両情報との差分を算出する手段と、
算出した差分が所定の閾値を超えるか否かを判断する手段と
を備え、
算出した差分が所定の閾値を超えると判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に外部へ送信するようにしてあることを特徴とする移動装置。
【請求項5】
自位置を測位し、測位した自位置を示す位置情報を外部へ送信する移動装置において、
外部から送信要求を受信する手段と、
車両が搭載する識別部材から該車両を識別する車両情報を取得する取得手段と、
該取得手段により、周辺にある車両の車両情報を逐次取得する手段と、
前記車両情報を取得する都度、外部から送信された送信要求を受信したか否かを判断する手段と
を備え、
送信要求を受信したと判断したとき、取得した車両情報を前記位置情報と共に外部へ送信するようにしてあることを特徴とする移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−192081(P2008−192081A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28480(P2007−28480)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】