説明

位置検出装置、ロータリスケール、および位置検出装置を備える液体吐出装置

【課題】受光部における誤検出を防止可能なロータリスケールを具備する位置検出装置、ロータリスケール、および位置検出装置を備える液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】被検出物の位置検出を行う位置検出装置であり、発光部62および受光部64を備え、これらの間に空間部613を備えるフォトセンサ60と、空間部613の間に差し掛かるロータリスケール51と、ロータリスケール51に設けられ、第1透光部および第1遮光部が交互に形成される位置検出パターン53と、ロータリスケール51に設けられ、第2透光部および第2遮光部が交互に形成され、通過する光量が位置検出パターン53を通過する光量よりも少なくなる汚れ検出パターン54と、フォトセンサ60を移動させて、位置検出パターン53の検出状態と汚れ検出パターン54の検出状態とを切り替えるセンサ位置切替機構70と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、ロータリスケール、および位置検出装置を備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタにおいては、キャリッジおよび紙等の印刷対象物が、モータによって駆動される。かかる駆動に際して、位置制御および速度制御を行うべく、一般にエンコーダが用いられている。エンコーダは、フォトセンサとスケールとを備えている。これらのうち、フォトセンサは、発光素子と受光素子とを備えている。また、スケールは、発光素子で発せられる光を透過する透光部と、発光素子で発せられる光を遮る遮光部とを有していて、これら透光部と遮光部とが一定ピッチで繰り返されている。
【0003】
かかるエンコーダにおいて、近年、インクミストの付着が問題となっている。すなわち、近年の高精細な印刷を行うプリンタは、微小なインク滴(インクミスト)を印刷ヘッドから吐出可能としている。このインクミストは、微小であるが故に、プリンタの内部で容易に飛散する。そのため、使用するにつれて、インクミストの固化体がスケール等に堆積していく。
【0004】
かかる不具合を防止するための構成として、特許文献1および特許文献2に開示されている構成がある。これらのうち、特許文献1には、ベルトとスケールの間に仕切り部材を配置していて、スケールに対するインクミストの付着を防止する構成を採用している。また、特許文献2には、インクミストが付着して受光素子から出力される出力信号のDuty比が低下した場合でも、出力信号のDuty比が50%となるように補正するための構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−81691号公報(要約および段落番号0032、図3等参照)
【特許文献2】特開2004−202963号公報(要約、段落番号0034〜0040、図3〜図5他参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1においては、仕切り部材を配置することにより、インクミストの流れを制限し、スケールにインクミストが付着するのを防止している。しかしながら、この特許文献1では、汚れ具合の程度の検出を行えない。また、特許文献1においては、リニアスケールに対してのインクミスト付着防止に関する構成が開示されているものの、ロータリエンコーダにおけるインクミストの付着に関しては、何等考慮されていない。
【0007】
また、特許文献2には、信号補正のための構成は開示されているが、特許文献1同様、汚れ具合の検出を行えない。また、特許文献2においても、ロータリエンコーダにおけるインクミストの付着に関して、何等考慮されていない。
【0008】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、汚れ具合を検出可能とすると共に、受光部における誤検出を防止することが可能なロータリスケールを具備する位置検出装置、ロータリスケール、および位置検出装置を備える液体吐出装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、被検出物の位置を検出する位置検出装置において、光を出射する発光部、およびこの発光部からの光を受光する受光部を備えると共に、これらの間に空間部を備えるフォトセンサと、円盤状に設けられると共に、空間部の間に差し掛かるロータリスケールと、ロータリスケールに設けられると共に、被検出物の位置を検出するために、発光部からの光を透過する第1透光部および発光部からの光を遮断する第1遮光部が交互に形成される位置検出パターンと、ロータリスケールに設けられると共に、ロータリスケールの汚れを検出するために、発光部からの光を透過する第2透光部および発光部からの光を遮断する第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンと、フォトセンサが取り付けられると共に、このフォトセンサを移動させて、フォトセンサが位置検出パターンを検出する状態と汚れ検出パターンを検出する状態とを切り替えるセンサ位置切替機構と、を具備するものである。
【0010】
このように構成した場合には、ロータリスケールは、被検出物の位置を検出するための位置検出パターンに加え、第2透光部および第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンを備えている。ここで、センサ位置切替機構により、フォトセンサを移動させて、フォトセンサが位置検出パターンを検出する状態と、汚れ検出パターンを検出する状態とを切り替え可能としている。そのため、フォトセンサが汚れ検出パターンを検出する状態に切り替えれば、発光部から発光され第2透光部を透過する光の受光部での検出結果から、ロータリスケールの汚れ具合を検出することができる。また、一つのロータリスケールで、位置検出と汚れ具合の検出の両方を行うことが可能となる。また、汚れ具合を検出することで、例えば、ロータリスケールの清掃の必要性の有無を確認することができたり、ロータリスケールの汚れに起因する位置検出不良によって生じ得る被検出物の誤動作を防止するための処置を取ることができる。
【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、汚れ検出パターンは、位置検出パターンよりも、ロータリスケールの内径側に設けられているものである。このように構成した場合には、通常の位置検出の際には、フォトセンサは、外径側に位置する位置検出パターンを検出すると共に、汚れ検出の際には、フォトセンサは、内径側に位置する汚れ検出パターンを検出する。それにより、ロータリエンコーダの内径側を、汚れ検出用として、有効活用することが可能となる。
【0012】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、センサ位置切替機構は、フォトセンサを一端側で支持するアームと、回転中心からの距離が回転位置に応じて変化するカム面を具備し、このカム面がアームの他端側に当接する偏心カムと、アームの一端側と他端側の間に位置し、このアームを回動自在に軸支する回動軸と、を具備するものである。
【0013】
このように構成した場合には、偏心カムが回転すると、アームの他端側と当接しているカム面と回転中心との間の距離が変化する。それにより、アームは、回動軸を中心として回動させることが可能となり、ロータリエンコーダに対するフォトセンサの対向位置を切り替えることが可能となる。
【0014】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第2透光部には、第2透光部の発光部からの光の透過面積を第1透光部の発光部からの光の透過面積よりも小さくする、または、第2透光部の発光部からの光の透過率を第1透光部の発光部からの光の透過率よりも低くする遮光パターンが形成されているものである。
【0015】
このように構成した場合には、ロータリスケールが汚れることにより、第2透光部では、第1透光部に比べ、透過する光の光量が少なくなる。位置検出装置での誤検出が発生する前に、第2透光部を透過する光の受光部での検出結果から、ロータリスケールの汚れの程度を検出することができる。
【0016】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、遮光パターンは、ロータリスケールの接線方向に対して傾斜した斜線状の光遮断部によって形成されているものである。このように構成した場合には、ロータリスケールの汚れを簡易かつ適切に検出することができる。ここで、遮光パターンがロータリスケールの接線方向に沿う光遮断部により形成されている場合、発光部の光軸がロータリスケールの径方向に沿って変動すると、第1透光部に対し、第2透光部の光の透過面積を小さく、または光の透過率を低くすることができなくなる。また、遮光パターンがロータリスケールの径方向に沿う光遮断部によって形成されている場合、第2遮光部との境界部分が判別し難くなり、位置検出パターンにおいて誤検出を生じる虞がある。これに対して、光遮断部を斜めに形成する場合、光遮断部が接線方向または径方向に沿う場合のような不具合が生じなく、ロータリスケールの汚れを簡易かつ適切に検出可能となる。
【0017】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、遮光パターンは、矩形状の光透過部とともに市松模様状に配置された矩形状の光遮断部によって形成されているものである。
【0018】
このように構成した場合には、微視的に見て、光透過部が市松模様状を為していても、巨視的に見ると、ロータリスケールの接線方向に対して傾斜した状態となっている。このため、光遮断部が接線方向に沿う場合のように、発光部の光軸の位置によって、第2透光部の光の透過面積、または光の透過率が変動したり、光遮断部が径方向に沿う場合のように、第2遮光部との境界部分が判別し難くなり、位置検出パターンにおいて誤検出を生じる、といった不具合を防止可能となる。
【0019】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、遮光パターンは、ロータリスケールの接線方向または径方向に沿って変化するものである。このように構成した場合には、汚れ検出パターンにおいて、遮光パターンが変化することで、透過面積の比較的小さいまたは透過率の比較的低い第2透光部では、ロータリスケールの汚れによって比較的早く光が遮断される。また、透過面積の比較的大きいまたは透過率の比較的高い第2透過部では、比較的遅く光が遮断される。したがって、ロータリスケールに生じる汚れの程度を容易に検出することが可能となる。また、ロータリスケールに生じる汚れの程度を検出することで、ロータリスケールに生じる汚れの経時的な変化を把握することができる。その結果、最終的に位置検出装置で誤検出が生じるまでの時間等の予測が可能になる。また、ロータリスケールに生じる汚れの程度を検出することで、どの程度の汚れが発生すると位置検出装置に誤検出が生じるかという位置検出装置の検出限界を認識することができる。
【0020】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第2透光部の幅は、第1透光部の幅よりも狭く形成されているものである。
【0021】
このように構成した場合には、ロータリスケールが汚れるに従って、第2透光部では、第1透光部に比べ、光が遮断されやすくなる。そのため、第1透光部で光が遮断され、ロータリスケールにおける誤検出が生じる前に、第2透光部での受光結果から、ロータリスケールの汚れの程度を検出することができる。
【0022】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第2透光部の幅は、ロータリスケールの接線方向または径方向に沿って変化するものである。このように構成した場合には、幅が比較的狭い第2透光部では、ロータリスケールの汚れによって比較的早く光が遮断され、幅が比較的広い第2透過部では、比較的遅く光が遮断される。したがって、ロータリスケールに生じる汚れの程度を検出することが可能となる。また、ロータリスケールに生じる汚れの程度を検出することで、ロータリスケールに生じる汚れの経時的な変化を把握することができ、最終的に位置検出装置で誤検出が生じるまでの時間等の予測が可能になる。また、ロータリスケールに生じる汚れの程度を検出することで、位置検出装置の検出限界を認識することができる。
【0023】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、ロータリスケールの汚れが検出されたときに、発光部からの発光量を増加させる制御を行う光量制御手段を備えるものである。
【0024】
このように構成した場合には、ロータリスケールに一定以上の汚れが生じた場合であっても、発光部からの発光量を増加させるという簡易な構成で、発光部からの光が第1透光部を透過しやすくなる。そのため、位置検出装置の長寿命化が図れると共に、長期に亘って被検出物の適切な検出が可能となる。
【0025】
さらに、他の発明は、ロータリスケールに係わる発明であり、円盤状に設けられると共に、発光部と受光部との間に差し掛かって光の透光または遮光を行うためのロータリスケールにおいて、被検出物の位置を検出するために、発光部からの光を透過する第1透光部および発光部からの光を遮断する第1遮光部が交互に形成される位置検出パターンと、ロータリスケールに設けられると共に、ロータリスケールの汚れを検出するために、発光部からの光を透過する第2透光部および発光部からの光を遮断する第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンと、を具備するものである。
【0026】
このように構成した場合には、ロータリスケールは、被検出物の位置を検出するための位置検出パターンに加え、第2透光部および第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンを備えている。そのため、フォトセンサは、汚れ検出パターンを検出することも可能となる。ここで、汚れ検出パターンを検出すると、別途のフォトセンサの発光部から発光され第2透光部を透過する光の受光部での検出結果から、ロータリスケールの汚れを検出することができる。また、一つのロータリスケールで、位置検出と汚れ検出の両方を行うことが可能となる。また、汚れを検出することで、例えば、ロータリスケールの清掃の必要性の有無を確認することができたり、ロータリスケールの汚れに起因する位置検出不良によって生じ得る被検出物の誤動作を防止するための処置を取ることができる。
【0027】
また、他の発明は、上述の各発明に係る位置検出装置を備えると共に、印刷対象物に液体を吐出させる液体吐出部とを備えるものである。
【0028】
このように構成した場合には、ロータリスケールは、被検出物の位置を検出するための位置検出パターンに加え、第2透光部および第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンを備えている。ここで、センサ位置切替機構により、フォトセンサを移動させて、フォトセンサが位置検出パターンを検出する状態と、汚れ検出パターンを検出する状態とを切り替え可能としている。そのため、フォトセンサが汚れ検出パターンを検出する状態に切り替えれば、発光部から発光され第2透光部を透過する光の受光部での検出結果から、ロータリスケールの汚れを検出することができる。また、一つのロータリスケールで、位置検出と汚れ検出の両方を行うことが可能となる。また、汚れを検出することで、例えば、ロータリスケールの清掃の必要性の有無を確認することができたり、ロータリスケールの汚れに起因する位置検出不良によって生じ得る被検出物の誤動作を防止するための処置を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】プリンタの構成を示す概略図である。
【図3】プリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。
【図4】ロータリエンコーダの形状を示す側面図である。
【図5】ロータリスケールを拡大して平面視した状態を示す図である。
【図6】センサ位置切替機構の構成を示す側面図である。
【図7】ロータリスケールおよびフォトセンサの構成を示す正面図である。
【図8】ロータリスケールの透明部材とフォトセンサの関係を示す模式図である。
【図9】ロータリエンコーダの回路構成を示す図である。
【図10】エンコーダの出力パルスを示す図である。
【図11】ロータリスケールとフォトセンサの関係の変形例を示す模式図である。
【図12】リニアエンコーダの構成を示す概略図である。
【図13】汚れ検出を含めたプリンタの動作フローを示す図である。
【図14】汚れ検出を行う際の処理フローを示す図である。
【図15】汚れ検出パターンにおけるミスト付着部分を拡大して示す図である。
【図16】本発明の他の実施の形態に係る汚れ検出方法の説明図である。
【図17】市松模様状の光遮断部を具備するロータリスケールの拡大図である。
【図18】幅狭の第2透光部を具備するロータリスケールの拡大図である。
【図19】斜線状の光遮断部が径方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【図20】斜線状の光遮断部が接線方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【図21】市松模様の光遮断部が径方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【図22】市松模様の光遮断部が接線方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【図23】第2透光部の幅寸法が接線方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【図24】第2透光部の幅寸法が径方向に沿って変化する場合の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る位置検出装置およびこの位置検出装置を用いた、液体吐出装置としてのプリンタ10について、図1から図15に基づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。
【0031】
また、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方側とは、設置される側から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ31が移動する方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であって印刷対象物Pが搬送される方向を副走査方向とする。また、印刷対象物Pが供給される側を給紙側(後端側)、印刷対象物Pが排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
【0032】
図1に示すように、プリンタ10は、筐体部20と、キャリッジ駆動機構30と、用紙搬送機構40と、位置検出装置を構成するロータリエンコーダ50と、位置検出装置を構成するセンサ位置切替機構70と、位置検出装置を構成可能なリニアエンコーダ80と、制御部90と、を主要な構成要素としている。
【0033】
これらのうち、筐体部20は、設置面に設置されるシャーシ21、このシャーシ21から上方に向かい立設されている支持フレーム22を具備している。また、キャリッジ駆動機構30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ(CRモータ32)と、ベルト33と、歯車プーリ34、従動プーリ35およびキャリッジ軸36を備えている。これらのうち、キャリッジ31には、各色のインクカートリッジ37を搭載可能としている。また、図2に示すように、キャリッジ31の下面には、インク滴を吐出可能な、液体吐出部としての印刷ヘッド38が設けられている。また、ベルト33は、無端ベルトであり、その一部がキャリッジ31の背面に固定されている。このベルト33は、歯車プーリ34と従動プーリ35とによって張設されている。なお、キャリッジ31および印刷ヘッド38は、被検出物に対応する。
【0034】
上述の印刷ヘッド38には、各インクに対応づけられた不図示のノズル列が設けられていて、このノズル列を構成するノズルには、不図示のピエゾ素子が配置されている。このピエゾ素子の作動により、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を吐出することが可能となっている。なお、印刷ヘッド38は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、例えばインクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、ミストを電界で制御するミスト方式等を採用しても良い。また、カートリッジ37に充填されるインクは、染料系インク/顔料系インク等、いずれの種類のインクを搭載しても良い。
【0035】
図3に示すように、用紙搬送機構40は、印刷対象物P等を搬送するためのPFモータ41(図2他参照)、および普通紙等の給紙に対応する給紙ローラ42を具備している。また、給紙ローラ42よりも排紙側には、印刷対象物Pを搬送/挟持するためのPFローラ対43が設けられている。また、PFローラ対43の排紙側には、プラテン44および上述の印刷ヘッド38が上下に対向する様に配設されている。プラテン44は、PFローラ対43によって印刷ヘッド38の下へ搬送されてくる印刷対象物Pを、下方側から支持する。また、プラテン44よりも排紙側には、上述のPFローラ対43と同様の、排紙ローラ対45が設けられている。この排紙ローラ対45のうち、排紙駆動ローラ45aには、PF駆動ローラ43aと共に、PFモータ41からの駆動力が伝達される。
【0036】
また、図2に示すように、ロータリエンコーダ50は、位置検出装置として機能させることが可能であり、ロータリスケール51と、センサ位置切替機構70と、フォトセンサ60と、を備えている。
【0037】
このうち、ロータリスケール51は、円盤状に設けられていて、中央部に設けられている取付孔51aを介して、シャフトの端部側に取り付けられている。このシャフトは、PF駆動ローラ43aを構成している。そのため、PFモータ41が駆動されると、シャフトに対して、ロータリスケール51は同期回転する。このロータリスケール51は、例えば円盤状の透明部材52により構成されている。かかる透明部材52の材質としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)があるが、その他の透明材質を種々適用可能である。
【0038】
また、図4に示すように、ロータリスケール51には、リング状の位置検出パターン53、およびリング状の汚れ検出パターン54が設けられている。これらのうち、位置検出パターン53は、光を透過させる第1透光部53aと、光の透過を遮断する第1遮光部53bとを有している。これらのうち、第1遮光部53bは、黒色かつ光を透過させない程度の厚みを有する黒色の印刷が、透明部材52の表面に施されることにより、形成される部分である。また、第1透光部53aは、黒色の印刷が施されない部分であり、後述する発光部62で発せられる光を透過可能としている。
【0039】
ここで、本実施の形態では、第1透光部53aと第1遮光部53bとは、同一の幅寸法、すなわち同一ピッチで形成されている。なお、第1透光部53aと第1遮光部53bの幅寸法は、必ずしも同一でなくて良いが、第1透光部53aと第1遮光部53bとが交互に繰り返されるピッチ(以下、マスクピッチMと呼ぶ。)は、位置検出パターン53の周方向の全てにおいて、同一である必要がある。
【0040】
また、位置検出パターン53よりも内径側には、汚れ検出パターン54が設けられている。この汚れ検出パターン54も、上述の位置検出パターン53と同様に、光を透過させる第2透光部54aと、光の透過を遮断する第2遮光部54bとを有している。なお、汚れ検出パターン54は、位置検出パターン53に対して、一定の距離だけ離間して、より内径側に設けられている。
【0041】
ここで、汚れ検出パターン54における第2透光部54aは、位置検出パターン53における第1透光部53aよりも、光の透過面積および透過率が小さくなるように設けられている。かかる透光部53aの光の透過率を小さくする構成としては、図5に示すように、第2透光部54aに、遮光パターン54kを設ける場合がある。ここで、図5に示す状態においては、遮光パターン54kは、ロータリスケール51の接線方向に対して傾斜している、多数の斜線状の光遮断部54mによって構成されている。この光遮断部54mの存在により、第2透光部54aにおける光の透過面積および光の透過率は、第1透光部53aにおける光の透過面積および光の透過率よりも小さくなっている。また、第2透光部54aを透過する光の光量は、第1透光部53aを透過する光の光量よりも少なくなっている。
【0042】
なお、第2透光部54aと第2遮光部54bによって構成されるマスクピッチMmは、第1透光部53aと第1遮光部53bとによって構成されるマスクピッチMと等しくなっている(図5参照)。しかしながら、マスクピッチMmを、マスクピッチMと異なるように構成しても良い。
【0043】
また、フォトセンサ60は、光の投受光方式のセンサであり、図7に示すように、ハウジング61を備えている。ハウジング61は、対向する2つの取付部611a,611bを有すると共に、これらの取付部611a,611bの端部側には、該2つの取付部611a,611bを連結する連結部612を具備している。それにより、ハウジング61には、2つの取付部611a,611bと連結部612とで囲まれている空間部613が設けられていて、この空間部613にロータリスケール51が位置可能な構成となっている。なお、空間部613は、外径側の位置検出パターン53と、内径側の汚れ検出パターン54との間の切り替えにも対応可能なだけの、長さ寸法(窪み深さ)を有している。
【0044】
また、一方の取付部611aには、発光部62が取り付けられていて、他方の取付部611bには、受光部64が取り付けられている。図7および図8に示すように、これら発光部62と受光部64とはロータリスケール51を挟んで、互いに対向する状態で配置されている。また、コリメータレンズ63と受光部64との間には、両者に非接触状態で上述のロータリスケール51が配置されている。ここで、発光部62は、例えば発光ダイオードといった発光素子620を備え、この発光素子620で生じる光は、ロータリスケール51に向かって出射される。
【0045】
この発光素子620には、光量制御手段を構成する可変抵抗621を介して電流が供給されている。そのため、この可変抵抗621によって、発光素子620からの発光量を増減することができる。本形態では、可変抵抗621は、発光部62からの発光量を制御する光量制御手段となっている。なお、初期状態では、ロータリエンコーダ50での適切な位置検出が可能な範囲で、発光素子620からの発光量は可能な限り低くしておくことが好ましい。このようにすると、発光部62での消費電力を低減することができる。
【0046】
また、図8および図9に示すように、受光部64は、基板65と、この基板65上に設けられる第1受光素子列66および第2受光素子列67とを有していて、これら第1受光素子列66においては、複数の受光素子66a,66bが一列に配列され、同じく第2受光素子列67においても、複数の受光素子67a,67bが配列されている。受光素子66a〜67bは、例えばフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトIC等のような、受光した光を、その光量に応じた電気信号に変換可能な受光素子を備えている。これらの受光素子66a〜67bは、透光部53a,54aと遮光部53b,54bとで構成される位置検出/汚れ検出パターン54,55の1ピッチ当たり、2つ設けられている。また、本実施の形態では、第1受光素子列66と第2受光素子列67とは、1/4ピッチずつ、ずらされた配置となっている。すなわち、第1受光素子列66と第2受光素子列67の位相差が90度となっている。
【0047】
なお、本実施の形態のように、透光部53a,54aと遮光部53b,54bとの幅寸法が等しい場合、透光部53a,54a/遮光部53b,54bのそれぞれに、1つの受光素子66a〜67bが対応する配置関係となっている。
【0048】
また、図9に示すように、複数の受光素子66a〜67bは、信号増幅回路68に接続されていて、この信号増幅回路68によって、受光素子66a〜67bから出力される光量に応じたアナログ波形の信号を増幅した後に、第1コンパレータ69aおよび第2コンパレータ69bに向けて出力する。また、第1コンパレータ69aおよび第2コンパレータ69bは、信号増幅回路68を経由してそれぞれの受光素子列66,67から出力されるアナログ信号に基づいて、パルス波形のデジタル信号を出力する。
【0049】
ここで、第1コンパレータ69aの+側の端子には、第1受光素子列66の受光素子66aが接続されると共に、−側の端子には同じ第1受光素子列66の受光素子66bが接続される。また、第2コンパレータ69bにおいても、第2受光素子列67の受光素子67a,67bが同様に接続される。そして、例えば、+側の端子に入力されるアナログ信号のレベルが、−側の端子に入力されるアナログ信号のレベルよりも高い場合、ハイレベルの信号を出力し、逆の場合には、ローレベルの信号を出力する。それにより、透光部53a,54a/遮光部53b,54bの検出に対応する、図10に示すようなパルス信号(ENC−A,ENC−B)を出力することが可能となっている。
【0050】
なお、第1受光素子列66に対応する第1コンパレータ69aからは、パルスENC−Aが出力されると共に、1/4ピッチだけずれた配置の第2受光素子列67に対応する第2コンパレータ69bからは、90度だけ位相がずれているパルスENC−Bが出力される。
【0051】
また、上述のような構成を採用せずに、1つの受光素子列660が存在する、図11に示す構成を採用しても良い。この場合には、受光素子660aが第1コンパレータ69aの+側または−側のいずれかの端子に接続されると共に、受光素子660bが第2コンパレータ69bの+側または−側のいずれかの端子に接続される。
【0052】
次に、センサ切替機構70について説明する。図6に示すように、センサ位置切替機構70は、ロータリスケール51に対するフォトセンサ60の、対向位置を切り替えるための手段である。このセンサ位置切替機構70は、アーム71と、回動軸72と、偏心カム73と、押圧バネ74と、を具備している。
【0053】
これらのうち、アーム71には、その一端側にフォトセンサ60が取り付けられている。また、アーム71は、その中途部分で回動軸72に軸支されている。すなわち、アーム71は、回動軸72を中心として、回動自在に設けられている。この回動軸72は、シャーシ21または支持フレーム22といった、プリンタ10のうち固定的な部位に取り付けられている。なお、回動軸72は、アーム71の中央よりも他端側寄りの部位に存在している。
【0054】
また、アーム71の他端側には、突出片75が設けられている。この突出片75は、アーム71の長手方向に対して直交する向きに突出する部位であり、次に述べる偏心カム73と、押圧バネ74とが押し当てられる部位である。この突出片75のうち、いずれかの面には、偏心カム73が押し当てられている。偏心カム73は、その回転中心からカム面73aまでの距離が、回転角度に応じて変化する部材である。なお、本実施の形態では、偏心カム73のカム面73aには、ロータリスケール51の外径側の位置検出パターン53に対応する第1領域Sと、内径側の汚れ検出パターン54に対応する第2領域Tとが設けられている。すなわち、突出片75に第1領域Sが当接する場合、フォトセンサ60は、位置検出パターン53を検知する状態となる。また、突出片75に第2領域Tが当接する場合、フォトセンサ60は、汚れ検出パターン54を検知する状態となる。
【0055】
また、上述の突出片75のうち、偏心カム73が押し当てられる面と反対側の面には、押圧バネ74が押し当てられている。押圧バネ74は、第1領域Sまたは第2領域Tのいずれの領域に突出片75が当接する場合でも、該突出片75をカム面73aに確実に押し当てるための部材である。この押圧バネ74は、上述の回動軸72と同様に、シャーシ21または支持フレーム22といった、プリンタ10のうち固定的な部位に取り付けられている。
【0056】
また、偏心カム73は、駆動力の伝達のためのギヤ輪列76を介して、モータからの駆動力が伝達される。このモータは、上述した各モータとは別個独立したモータを用いるようにしても良く、また上述したPFモータ41の駆動力が分配される構成を採用しても良い。なお、PFモータ41の駆動力が分配される構成を採用する場合、例えばギヤ輪列76における一部のギヤの噛み合い/非噛み合いを切り替え可能とする機構を採用して、印刷対象物Pの搬送時には、偏心カム73が回転しない構成を採用する必要がある。
【0057】
また、リニアエンコーダ80は、図12に示すように、長尺状のリニアスケール81を備えると共に、上述のロータリエンコーダ50と同様のフォトセンサ82を備えている(図3参照)。リニアスケール81は、直線状に設けられていると共に、その両端部分には、図12に示すような細長の係止孔83が設けられている。この係止孔83には、支持フレーム22に固定されている係止爪22aが差し込まれ、該係止爪22aによってリニアスケール81は、張設状態で支持される。なお、リニアエンコーダ80においては、その他、ロータリエンコーダ50と同様の構成となっているため、その詳細についての説明は省略する。
【0058】
また、図2に示すように、制御部90は、ロータリエンコーダ50またはリニアエンコーダ80から出力されるエンコーダ信号、コンピュータ100からの印刷信号等、各出力信号が入力される。より詳細には、制御部90は、CPU、ROM、RAM、ASIC、DCユニット、ドライバ等を備えている。そして、CRモータ32、印刷ヘッド38、PFモータ41等の駆動制御を司ることを可能としている。
【0059】
以上のような構成を用いて、プリンタ10を作動させた際に、ロータリエンコーダ50において行われる動作について、以下に説明する。
【0060】
ロータリエンコーダ50が作動し、発光部62から光が出射されると、発光部62は、ロータリスケール51に向けて光を出射する。出射された光は、コリメータレンズ63に入射されるが、コリメータレンズ63を通過した光は、一定の平行光となるように加工されるものの、完全な平行光ではない。また、受光素子列66の端部側に位置する受光素子67においては、コリメータレンズ63を通過後、光が透明部材52の表面52aに到達し、所定の割合の光は、表面52aで反射されずに、そのまま透明部材52の内部を進行する。そして、透明部材52の裏面52bにおいて、光は、第2透光部54aまたは第2遮光部54bに到達する。
【0061】
ここで、印刷対象物Pに対して、印刷ヘッド38からインク滴を吐出させる場合、印刷ヘッド38から微小なインク滴が吐出されるが、その際に、微小なインク滴の一部が浮遊するインクミストが発生する。このインクミストは、プリンタ10の内部を浮遊し、ロータリスケール51等に汚れとして徐々に付着していく。この場合、プリンタ10では、所定のタイミングでロータリスケール51の汚れの検出が行われる。以下、ロータリスケール51の汚れ検出時におけるプリンタ10の一連の動作を説明する。
【0062】
図13に示すように、まず、制御部90がロータリスケール51の汚れの検出タイミングであるか否かを判断する(ステップS10)。ロータリスケール51の汚れの検出タイミングは、例えば、1枚または所定の枚数の印刷用紙Pへの印刷終了後、または、プリンタ10の電源投入時である。また、ロータリスケール51の汚れの検出タイミングは、例えば、プリンタ10の電源投入後の一定時間t1経過後、また、その後は一定時間t2経過後ごとであっても良い。さらに、ロータリスケール51の汚れの検出タイミングは、電源投入後の一定枚数n1の印刷対象物Pへの印刷終了後、また、その後は一定枚数n2の印刷対象物Pへの印刷終了後ごとであって良い。
【0063】
ステップS10で、検出タイミングでないと判断されると(Noの場合)、ロータリスケール51の汚れの検出は行われず、プリンタ10は、例えば待機状態となったり、次の印刷対象物Pへの印刷を行う。一方、ステップS10で検出タイミングであると判断される(Yesの場合)と、所定の前処理を行う(S11)。ここで、前処理とは、センサ位置切替機構70を作動させて、フォトセンサ60が位置検出パターン53を検出する状態から、汚れ検出パターン54を検出する状態に切り替える動作をさせる処理をいう。このとき、上述のモータの駆動により、偏心カム73が回転駆動させられ、突出片75がカム面73aの第1領域Sに接触する状態から、第2領域Tに接触する状態に切り替えられ、それによってフォトセンサ60がロータリスケール51の内径側に移動させられる。
【0064】
その後、汚れ検出パターン54の検出を行う(S12)。この検出は、後述する図14に示すような処理フローに基づいて行われる。
【0065】
上述のステップS12における検出が終了すると、実際のロータリスケール51の汚れの程度に応じて、必要に応じた処理を行う(S13)。S13では、種々の処理が考えられるため、以下にそれを列記する。
【0066】
処理の例としては、PFモータ41の駆動電圧の設定を行うものがある。より具体的には、フォトセンサ60の移動速度を、インクミストが付着していないときの移動速度よりも遅めとなるように、駆動電圧を設定する。このようにすれば、ロータリスケール51に一定以上のインクミストが付着して、ロータリエンコーダ50において誤検出の虞がある場合、当該後検出の虞を低減することが可能となる。
【0067】
また、他の処理としては、あと何枚の印刷対象物Pへ印刷を行うと、ロータリスケール51の読み取り限界となるかを確認するものがある。より具体的には、ロータリスケール51が読み取り限界となるまでの印刷枚数や印刷時間を制御部90によって算出する。この確認/算出により、ロータリスケール51に汚れが生じるまでの印刷枚数や印刷時間の把握が可能となる。
【0068】
また、他の処理としては、プリンタ10に別途取り付けられている液晶ディスプレイ等の表示装置(図示省略)に、所定のメッセージを表示させるものがある。所定のメッセージとしては、ロータリスケール51が読み取り限界に近い、または読み取り限界に到達した旨の注意メッセージや、ロータリスケール51の汚れに起因するエラーメセージ、またはロータリスケール51の清掃が必要である旨のメッセージを表示するものがある。これらのメッセージの表示によって、ロータリスケール51に汚れが生じていることをユーザに知らせることができ、ロータリスケール51での誤検出によるプリンタ10の動作不良を防止することが可能になる。
【0069】
さらに、他の処理としては、プリンタ10の動作を停止して、プリンタ10を使用不可能とするものがある。プリンタ10を使用不可能とすることにより、ロータリスケール51での誤検出により、プリンタ10に動作不良が生じるのを防止し、紙送り異常等によって、プリンタ10の破損等が生じるのを防止することができる。また、他の処理としては、汚れ検出を行ってから、さらに所定時間の印刷を実行した後、または、さらに所定枚数の印刷を実行した後に、プリンタ10が動作を停止するように、制御部90が制御するものがある。
【0070】
さらに、他の処理としては、PFモータ41の回転速度の上限を設定し、ロータリスケール51の回転速度を抑える制御を行うものがある。このようにすれば、ロータリスケール51の回転速度が遅くなり、ロータリスケール51がある程度汚れていても、フォトセンサ60で誤検出されるのを防ぐことが可能となる。また、かかる誤検出の防止により、プリンタ10では、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる。
【0071】
また、他の処理としては、可変抵抗621を調整して、発光素子620からの発光量を増大させる制御を行うものがある。発光素子620の発光量を増加させることで、ロータリスケール51に多少の汚れが生じていても、汚れの程度がそれ程大きくなければ、プリンタ10では、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる。なお、発光素子620の発光量は、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる程度の増加率で、可変抵抗621によって段階的に増加させても良い。この場合には、発光部62での消費電力の低減が可能となる。
【0072】
さらに、他の処理としては、センサ位置切替機構70を作動させて、位置検出パターン53における検出位置を、ずらすものがある。例えば、位置検出パターン53のうち、内径側を検出するように、センサ位置切替機構70を作動させるようにしても良い。また、他の処理としては、スポンジ等の清掃部材を押し当てる等により、ロータリスケール51の汚れを除去するものがある。
【0073】
次に、汚れ検出パターン54における汚れの検出のための処理フローにつき、図14に基づいて説明する。図14に示すように、まず、PFモータ41の駆動電圧の設定を行う(S20)。より具体的には、制御部90からの駆動に対応する制御指令により、PFモータ41に対して、検出用の回転速度に対応する駆動電圧を与える。続いて、PFモータ41の駆動時間の設定を行う(S21)。この場合、pFモータ41は、汚れ検出のために駆動される。
【0074】
次に、設定された駆動電圧および駆動時間でPFモータ41を駆動する(S22)。PFモータ41の駆動によってロータリスケール51が回転し、アーム71に固定されているフォトセンサ60は、ロータリスケール51に対して相対移動する。この相対移動によって、ロータリエンコーダ50は、例えば、周期TのA相信号ENC−AおよびB相信号ENC−2を出力する。ロータリエンコーダ50の出力信号であるA相信号ENC−AおよびB相信号ENC−Bは制御部90に入力される。すなわち、制御部90は、ロータリエンコーダ50の出力信号を取得する(S23)。
【0075】
その後、制御部90はロータリスケール51に汚れが生じているか否かを判断する(S24)。ロータリスケール51にインクミストが所定だけ堆積し、それが所定の大きさに成長すると、例えば、図15に示すように、第2透光部54aにインクミストの付着部分D1、D2、D3が生じる。そして、付着部分D1、D2および光遮断部54mによって、第2透光部54aを透過する光は、遮断される。このような付着部分(光を遮断する部分)が生じると、ロータリエンコーダ50から出力されるA相信号ENC−AやB相信号ENC−Aの周期に変動が生じる。本形態では、ロータリエンコーダ50から出力されるA相信号ENC−AやB相信号ENC−Aの周期に所定の変動が生じたときに、汚れ検出パターン54には、発光部62には、付着部分(光を遮断する部分)が生じていると判断する。そして、その状態では、ロータリスケール51に一定以上の汚れが生じていると判断する。
【0076】
より具体的には、ステップS24では、汚れ検出パターン54をフォトセンサ60が通過する際のA相信号ENC−AやB相信号ENC−Aの周期(または、周波数)が基本となる周期T(または、周波数)の±x%(たとえば、±15%)の範囲から外れているか否かを判断する。この判断において、±x%の範囲から外れていないと判断される場合(Noの場合)、続いて、出力されるA相信号ENC−AとB相信号ENC−Aとの位相に逆転が生じているか否かを判断する(S25)。
【0077】
なお、このS25において、Noであると判断される場合、検出された周期が、周期Tの±x%の範囲から外れていなく、かつ位相の逆転も生じていないため、汚れ検出パターン54において、ロータリエンコーダ50での正確な位置の検出は可能(すなわち、正確な読取は可能)と判断される(ステップS26)。すなわち、第2透光部54aには、十分な大きさまたは量の付着部分(光を遮断する部分)が形成されておらず、汚れの程度は許容範囲内であると判断され、ロータリエンコーダ50での位置検出が可能と判断する。
【0078】
続いて、PFモータ41の駆動時間が設定時間以上であるか否かを判断する(ステップS27)。PFモータ41の駆動時間が設定時間未満である場合には、上述のS23に戻り、S23以降の判断/処理を継続する。また、PFモータ41の駆動時間が設定時間以上である場合には、PFモータ41を停止させる(ステップS28)。また、かかるPFモータ41の停止に前後させて、センサ位置切替機構70を作動させて、フォトセンサ60を外径側に移動させる。この移動により、フォトセンサ60は、汚れ検出パターン54と対向する状態から、位置検出パターン53と対向する状態となる。
【0079】
以上のようにして、汚れ検出が終了し、以後は、通常のロータリエンコーダ50の送りピッチ検出が行える状態となる。
【0080】
また、上述のS24において、A相信号ENC−AやB相信号ENC−Aの周期T1が周期Tの±x%の範囲から外れている場合(Yesの場合)、またはA相信号ENC−AとB相信号ENC−Aとの位相に逆転が生じている場合(Yesの場合)、第2透光部54aには、十分な大きさまたは量の付着部分(光を遮断する部分)が形成されているとして処理される。すなわち、ロータリエンコーダ50での正確な位置検出は不可能であるとして処理される(S29)。この場合も、上述のS28に進行し、PFモータ41を停止させる。
【0081】
なお、S29を経た後の、以後の処理は、上述のS14で述べるのと同様である。
【0082】
このような構成のプリンタ10によれば、ロータリスケール51は、位置検出パターン53に加え、第2透光部54aおよび第2遮光部54bが交互に形成される汚れ検出パターン54を備えている。ここで、センサ位置切替機構70により、フォトセンサ60を移動させて、フォトセンサ60が位置検出パターン53を検出する状態と、汚れ検出パターン54を検出する状態とを切り替え可能としている。そのため、フォトセンサ60が汚れ検出パターン54を検出する状態に切り替えれば、発光部62から発光され第2透光部54aを透過する光の受光部64での検出結果から、ロータリスケール51の汚れを検出することができる。また、一つのロータリスケール51で、位置検出と汚れ検出の両方を行うことが可能となる。また、汚れを検出することで、例えば、ロータリスケール51の清掃の必要性の有無を確認することができたり、ロータリスケール51の汚れに起因する位置検出不良によって生じ得る、印刷ヘッド38の誤動作を防止するための処置を取ることができる。
【0083】
また、汚れ検出パターン54は、位置検出パターン53よりも、ロータリスケール51の内径側に設けられている。このため、通常の位置検出の際には、フォトセンサ60は、外径側に位置する位置検出パターン53を検出するが、汚れ検出の際には、フォトセンサ60は、内径側に位置する汚れ検出パターン54を検出する。それにより、ロータリスケール51の内径側を、汚れ検出用として、有効活用することが可能となる。
【0084】
さらに、センサ位置切替機構70を具備することにより、偏心カム73が回転すると、アーム71の他端側と当接しているカム面73aと回転中心との間の距離が変化する。それにより、アーム71は、回動軸72を中心として回動させることが可能となり、ロータリスケール51に対するフォトセンサ60の対向位置を切り替えることが可能となる。
【0085】
また、第2透光部54aには、遮光パターン54kが形成されている。そのため、ロータリスケール51が汚れると、第2透光部54aでは、第1透光部53aに比べ、透過する光の光量が少なくなる。そのため、フォトセンサ60等での誤検出が発生する前に、第2透光部54aを透過する光の受光部64での検出結果から、ロータリスケール51の汚れの程度を検出することができる。
【0086】
さらに、図5に示すように、遮光パターン54kは、ロータリスケール51の接線方向に対して傾斜した斜線状の光遮断部54mによって形成することが可能となる。このように構成する場合、ロータリスケール51の汚れを簡易かつ適切に検出することができる。ここで、遮光パターン54kがロータリスケール51の接線方向に沿う光遮断部により形成されている場合、発光部62の光軸がロータリスケール51の径方向に沿って変動すると、第1透光部53aに対し、第2透光部54aの光の透過面積を小さく、または光の透過率を低くすることができなくなる。また、遮光パターン54kがロータリスケール51の径方向に沿う光遮断部によって形成されている場合、第2遮光部54bとの境界部分が判別し難くなり、位置検出パターン53において誤検出を生じる虞がある。これに対して、光遮断部54mを斜めに形成する場合、光遮断部54mが接線方向または径方向に沿う場合のような不具合が生じなく、ロータリスケール51の汚れを簡易かつ適切に検出可能となる。
【0087】
また、ロータリスケール51の汚れが検出されたときに、発光部62からの発光量を増加させる制御を行う可変抵抗621を備えるように構成しても良い。このように構成する場合、ロータリスケール51に一定以上の汚れが生じた場合であっても、発光部62からの発光量を増加させるという簡易な構成で、発光部62からの光が第1透光部53aを透過しやすくなる。そのため、ロータリスケール51等から構成される位置検出装置の長寿命化が図れると共に、長期に亘って印刷ヘッド38の適切な位置検出が可能となる。
【0088】
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0089】
上述の実施の形態では、ロータリスケール51の第2透光部54aには、複数の斜線状の光遮断部54mによって遮光パターン54kが形成されている。この他にも、例えば図16(A)に示すように、信号増幅回路68の出力信号に所定の閾値Cを設定することで、デジタル信号であるA相信号等を生成しても良い。すなわち、出力信号の値が閾値Cより大きければハイレベルの信号を出力し、出力信号の値が閾値Cより小さければローレベルの信号を出力することで、デジタル信号を生成しても良い。この場合のロータリスケール51の汚れの検出は以下のように行えば良い。
【0090】
発光部62から発光され、第1透光部53aを透過する光量は、第2透光部54aを透過する光量よりも多い。そのため、位置検出パターン53が形成された部分をフォトセンサ60が通過する際に、信号増幅回路68からアナログ信号SG11が出力される。また、汚れ検出パターン54が形成された部分をフォトセンサ60が通過する際には、信号増幅回路68からアナログ信号SG11よりも低いレベルのアナログ信号SG12が出力される(図16(A)参照)。
【0091】
また、アナログ信号SG11と閾値Cとから図16(B)に示すデジタル信号SG13が生成され、アナログ信号SG12と閾値Cとから図16(C)に示すデジタル信号SG14が生成される。ここで、発光部62から発光された光のロータリスケール51の透過量が多い程、デジタル信号のハイレベルの周期が長くなるため、デジタル信号SG13のハイレベルの周期T11は、デジタル信号SG14のハイレベルの周期T12よりも長くなる。また、ロータリスケール51に汚れが発生していない場合には、周期T11に対する周期T12の比率は、例えば80%となっている。
【0092】
ここで、ロータリスケール51にインクミストが均等に付着すると、信号増幅回路68から出力されるアナログ信号SG11、アナログSG12のレベルは同程度で低下する。例えば、図16(D)に示すように、アナログ信号SG11からアナログ信号SG21までレベルが低下し、アナログ信号SG12はアナログ信号SG22までレベルが低下する。また、図16(E)に示すように、アナログ信号SG21と閾値Cとから生成されるデジタル信号SG23のハイレベルの周期T21は、周期T11よりも短くなる。また、図16(F)に示すように、デジタル信号SG24のハイレベルの周期T22は、周期T12よりも短くなる。
【0093】
この場合、図16に示すように、周期T11に対する周期T12の比率よりも周期T21に対する周期T22の比率は低下する。例えば、周期T11に対する周期T12の比率が80%であったのに対し、周期T21に対する周期T22の比率は50%となる。そのため、ロータリスケール51にインクミストが付着したときの、位置検出パターン53に基づくデジタル信号のハイレベルの周期(たとえば、周期T21)と、汚れ検出パターン54に基づくデジタル信号のハイレベルの周期(たとえば、周期T22)との比率が所定の値以下になったときに、ロータリスケール51に汚れが生じていると判断することができる。以上のように、信号増幅回路68の出力信号に所定の閾値Cを設定することで、デジタル信号を生成する場合には、上述した方法で、ロータリスケール51の汚れの検出を行うことができる。なお、汚れ検出パターン54に基づくデジタル信号のハイレベルの周期の、初期状態に対する低下率から、ロータリスケール51の汚れの検出を行うことも可能である。
【0094】
なお、かかる初期の比率と、所定の印刷枚数または所定の印刷時間だけ経過した後の比率とを対比させることにより、インクミスト付着による寿命が、あとどのぐらいであるのかを予測することが可能となる。
【0095】
また、上述の実施の形態においては、遮光パターン54kは、ロータリスケール51の接線方向に対して傾斜している、多数の斜線状の光遮断部54mによって構成されている。しかしながら、遮光パターン54kは、図17に示すように、矩形状の光透過部とともに市松模様状に配置された矩形状の光遮断部54mによって形成することも可能である。このように構成する場合、微視的に見て、光透過部が市松模様状を為していても、巨視的に見ると、ロータリスケール51の接線方向に対して傾斜した状態となっている。このため、光遮断部54mが接線方向に沿う場合のように、発光部62の光軸の位置によって、第2透光部54aの光の透過面積、または光の透過率が変動したり、光遮断部54mが径方向に沿う場合のように、第2遮光部54bとの境界部分が判別し難くなり、位置検出パターン53において誤検出を生じる、といった不具合を防止可能となる。
【0096】
さらに、図18に示すように、第2透光部54aの幅は、第1透光部53aの幅よりも狭く形成することも可能である。このように構成する場合、ロータリスケール51が汚れるに従って、第2透光部54aでは、第1透光部53aに比べ、光が遮断されやすくなる。そのため、第1透光部53aで光が遮断され、ロータリスケール51における誤検出が生じる前に、第2透光部54aでの受光結果から、ロータリスケール51の汚れの程度を検出することができる。
【0097】
また、図19〜図22に示すように、遮光パターン54kを、ロータリスケール51の接線方向または径方向に沿って変化させる構成を採用することも可能である。このように構成する場合、透過面積の比較的小さいまたは透過率の比較的低い第2透光部54aでは、ロータリスケール51の汚れによって比較的早く光が遮断される。一方、透過面積の比較的大きいまたは透過率の比較的高い第2透過部54aでは、比較的遅く光が遮断される。したがって、ロータリスケール51に生じる汚れの程度を容易に検出することが可能となると共に、汚れの程度の検出により、ロータリスケール51に生じる汚れの経時的な変化を把握することができる。その結果、最終的に誤検出が生じるまでの時間等の予測が可能となり、検出限界を認識することができる。
【0098】
なお、図19は、斜線状の光遮断部54mが、ロータリスケール51の径方向に沿って変化する場合を示しており、図20は、斜線状の光遮断部54mが、ロータリスケール51の接線方向に沿って変化する場合を示している。また、図21は、市松模様状にの光遮断部54mが、ロータリスケール51の径方向に沿って変化する場合を示しており、図22は、市松模様状にの光遮断部54mが、ロータリスケール51の接線方向に沿って変化する場合を示している。
【0099】
また、図23および図24に示すように、第2透光部54aの幅寸法を、ロータリスケール51の接線方向または径方向に沿って変化させる構成を採用することも可能である。このように構成する場合、幅が比較的狭い第2透光部54aでは、ロータリスケール51の汚れによって比較的早く光が遮断され、幅が比較的広い第2透過部54aでは、比較的遅く光が遮断される。したがって、ロータリスケール51に生じる汚れの程度を検出することが可能となると共に、汚れの程度の検出により、ロータリスケール51に生じる汚れの経時的な変化を把握することができる。その結果、誤検出が生じるまでの時間等の予測が可能となり、検出限界を認識することができる。
【0100】
なお、図23は、第2透光部54aの幅寸法が、ロータリスケール51の接線方向に沿って変化する場合を示しており、図24は、第2透光部54aの幅寸法が、ロータリスケール51の径方向に沿って変化する場合を示している。
【0101】
また、上述の実施の形態では、センサ位置切替機構70は、アーム71と、回動軸72と、偏心カム73と、押圧バネ74とによって構成されている。しかしながら、センサ位置切替機構70の構成は、これには限られず、種々変更可能である。例えば、ラックギヤをフォトセンサ60に取り付けると共に、ギヤ輪列の最終段にピニオンギヤを設けるように構成しても良い。このとき、ピニオンギヤを固定的な部位に設ければ、位置検出パターン53と汚れ検出パターン54との間で、フォトセンサ60を移動可能となる。
【0102】
また、上述の実施の形態では、汚れ検出パターン54は、位置検出パターン53の内径側に位置する構成について述べているが、汚れ検出パターン54が位置検出パターン53の外径側に位置する構成を採用しても良い。
【0103】
また、上述の実施の形態では、汚れ検出パターン54は、ロータリスケール51の周方向の全周に亘って設けられている。しかしながら、汚れ検出パターン54は、ロータリスケール51の周方向の一部のみに設ける構成を採用しても良い。また、位置検出パターン53のうち、内径側の部位を、汚れ検出パターン54としても良い。
【0104】
また、上述の実施の形態においては、液体吐出装置としてのプリンタ10、および位置検出装置が設けられるプリンタ10について説明したが、液体吐出装置は、プリンタ10には限られず、また位置検出装置が設けられる装置も、プリンタ10には限られない。位置検出装置が設けられる液体吐出装置としては、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体加工装置、表面加工装置、三次元造形装置、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置等のインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に応用可能である。なお、これらの液体吐出装置で吐出される液体は、それぞれの装置に応じて変更され、例えば金属材料、有機材料、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、各種加工液等がある。
【符号の説明】
【0105】
10…プリンタ、20…筐体部、30…キャリッジ機構、31…キャリッジ、32…キャリッジモータ、38…印刷ヘッド(液体吐出部に対応)、40…用紙搬送機構、41…PFモータ、50…ロータリエンコーダ(位置検出装置に対応)、51…ロータリスケール、52…透明部材、53…位置検出パターン、54…汚れ検出パターン、54a…透光部、54b…遮光部、60…フォトセンサ、613…空間部、62…発光部、621…可変抵抗(光量制御手段に対応)、64…受光部、70…センサ位置切替機構、71…アーム、73…偏心カム、80…ロータリエンコーダ、90…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物の位置を検出する位置検出装置において、
光を出射する発光部、およびこの発光部からの光を受光する受光部を備えると共に、これらの間に空間部を備えるフォトセンサと、
円盤状に設けられると共に、上記空間部の間に差し掛かるロータリスケールと、
上記ロータリスケールに設けられると共に、上記被検出物の位置を検出するために、上記発光部からの光を透過する第1透光部および上記発光部からの光を遮断する第1遮光部が交互に形成される位置検出パターンと、
上記ロータリスケールに設けられると共に、上記ロータリスケールの汚れを検出するために、上記発光部からの光を透過する第2透光部および上記発光部からの光を遮断する第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンと、
上記フォトセンサが取り付けられると共に、このフォトセンサを移動させて、上記フォトセンサが上記位置検出パターンを検出する状態と上記汚れ検出パターンを検出する状態とを切り替えるセンサ位置切替機構と、
を具備することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記汚れ検出パターンは、前記位置検出パターンよりも、前記ロータリスケールの内径側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記センサ位置切替機構は、
前記フォトセンサを一端側で支持するアームと、
回転中心からの距離が回転位置に応じて変化するカム面を具備し、このカム面が前記アームの他端側に当接する偏心カムと、
前記アームの一端側と他端側の間に位置し、このアームを回動自在に軸支する回動軸と、
を具備することを特徴とする請求項1または2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第2透光部には、前記第2透光部の前記発光部からの光の透過面積を前記第1透光部の前記発光部からの光の透過面積よりも小さくする、または、前記第2透光部の前記発光部からの光の透過率を前記第1透光部の前記発光部からの光の透過率よりも低くする遮光パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記遮光パターンは、前記ロータリスケールの接線方向に対して傾斜した斜線状の光遮断部によって形成されていることを特徴とする請求項4記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記遮光パターンは、矩形状の光透過部とともに市松模様状に配置された矩形状の光遮断部によって形成されていることを特徴とする請求項4記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記遮光パターンは、前記ロータリスケールの接線方向または径方向に沿って変化することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記第2透光部の幅は、前記第1透光部の幅よりも狭く形成されていることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記第2透光部の幅は、前記ロータリスケールの接線方向または径方向に沿って変化することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記ロータリスケールの汚れが検出されたときに、前記発光部からの発光量を増加させる制御を行う光量制御手段を備えることを特徴とする請求項1から9いずれかに記載の位置検出装置。
【請求項11】
円盤状に設けられると共に、発光部と受光部との間に差し掛かって光の透光または遮光を行うためのロータリスケールにおいて、
上記被検出物の位置を検出するために、上記発光部からの光を透過する第1透光部および上記発光部からの光を遮断する第1遮光部が交互に形成される位置検出パターンと、
上記ロータリスケールに設けられると共に、上記ロータリスケールの汚れを検出するために、上記発光部からの光を透過する第2透光部および上記発光部からの光を遮断する第2遮光部が交互に形成される汚れ検出パターンと、
を具備することを特徴とするロータリスケール。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の位置検出装置を備えると共に、印刷対象物に液体を吐出させる液体吐出部とを備えることを特徴とする液体吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−51374(P2012−51374A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192517(P2011−192517)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2005−295966(P2005−295966)の分割
【原出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】