説明

位置測定装置、および位置測定方法

【課題】移動体の絶対位置を簡単に精度高く取得できなかった。
【解決手段】移動体の最新の位置情報を格納しており、移動速度と移動方向を含む移動情報を取得する移動情報取得部と、位置情報と移動情報とを用いて移動体の予測位置情報を取得する予測位置情報取得部と、2以上の衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、2以上の衛星ごとにGPS信号を用いて、移動体と各衛星との擬似距離を取得する擬似距離取得部と、2以上の各衛星の擬似距離を用いて新位置情報を算出する新位置情報算出部と、新位置情報と予測位置情報との距離を算出する距離算出部と、距離が第一閾値を超えないか否かを判断する判断部と、第一閾値を超えない場合に新位置情報を最新の位置情報として書き込む位置情報更新部と、各部の処理を繰り返えさせる制御部とを具備する位置測定装置により、絶対位置を簡易な構成で精度高く取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の絶対位置を取得する位置測定装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移動体の絶対位置を取得する技術である非特許文献1から非特許文献4の技術について、図8を用いて説明する。図8において、移動体の位置測定装置10はGPS受信アンテナ15を経由して、GPS衛星11、12、13、14からの測位信号を受信し、擬似距離計測モジュール16で擬似距離を計測する。オプションであるMP波(マルチパス波)検知・排除モジュール19は、衛星ごとに受信波がマルチパス波であるかどうかを判断し、排除する。オプションである速度・移動方向検知モジュール17は車速パルスまたは加速度センサーで速度を算出し、電子地図又はジャイロで移動方向を算出する。位置算出モジュール18は、マルチパス波を排除した擬似距離を用いて位置を算出する。または、使用できる衛星の数が少なくて単独測位できない場合、速度と移動方向を用いて位置を予測し、計測した擬似距離を用いて予測した位置を更新する。
【0003】
非特許文献1、2において、移動体の位置算出モジュール18で、受信できる衛星の数が少なく単独測位ができない場合、移動体の位置を予測する手法が提案されている。非特許文献1、2において、移速度・移動方向検知モジュール17により、車速パルスや加速度計などを用いて速度を取得する。また、位置測定装置10が電子地図やジャイロなどを備える場合、3D移動方向を取得できる。そして、速度と移動方向の情報を用いて、位置算出モジュール18により位置を予測する。
【0004】
非特許文献3において、移動体のマルチパス波検知・排除モジュール19により、移動体と基準局での衛星受信信号強度を基に受信波がマルチパス波であるかどうかを判断することによって測位直前にマルチパス波を排除する。
【0005】
非特許文献4において、移動体のマルチパス波検知・排除モジュール19により、赤外線全周カメラ20を用いて実際に衛星が可視かどうかを判断することによって直接に見えない衛星を排除してから測位を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Oliver J. Woodman, An introduction to inertial navigation, University of Cambridge, Technical report, UCAM-CL-TR-696, 2007.
【非特許文献2】Chris Hide, Terry Moore, Chris Hill, David Park, Low Cost, High Accuracy Positioning In Urban Environments, THE JOURNAL OF NAVIGATION, VOL. 59, NO. 3, 2006, pp.365-379
【非特許文献3】久保信明、安田明生:定点測位におけるコードマルチパス誤差の削減について、信学論(B),Vol. J86-B NO.1, pp.104-112, 2003年1月
【非特許文献4】村田大志, 西村英敏, 目黒淳一, 瀧口純一, 天野嘉春, 橋詰匠, 赤外線全周カメラを用いたマルチパス除去による測位の高精度化, 第7回システムインテグレーション部門講演会(SI2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の位置測定装置においては、簡単に移動体の絶対位置を精度高く取得できなかった。
【0008】
つまり、非特許文献1、2の技術は、マルチパス波を区別しないので、測位中にマルチパス波を使用してしまう場合は、大きい誤差が発生する。
【0009】
また、非特許文献3の技術では、マルチパス波を判断するときに、外部装置である高価な基準局が必要である。さらに、非特許文献4の技術では、外部装置である高価な赤外線カメラと複雑な画像処理技術が必要である。
【0010】
なお、例えば、高い建物が隣立する市街地では、GPS衛星からの信号が建物によって遮蔽され、受信できる衛星の数が三つ以下になることが度々発生する。このような場合、GPS単独測位では位置情報の精度を保つことが難しい。路側の建物の反射によって直接波の代わりに、反射波を受信してしまうと位置情報の誤差が更に増える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本第一の発明の位置測定装置は、移動体の最新の位置情報を格納し得る位置情報格納部と、移動速度と移動方向を含む移動体の移動に関する情報である移動情報を取得する移動情報取得部と、位置情報と移動情報とを用いて、移動体の現在の位置である予測位置情報を取得する予測位置情報取得部と、2以上の衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、2以上の衛星ごとに、GPS信号受信部が受信したGPS信号を用いて、移動体と各衛星との擬似距離を取得する擬似距離取得部と、2以上の各衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出する新位置情報算出部と、新位置情報と予測位置情報との距離を算出する距離算出部と、距離が第一閾値を超えないか否かを判断する判断部と、判断部が第一閾値を超えないと判断した場合に、新位置情報を最新の位置情報として、位置情報格納部に書き込む位置情報更新部と、新位置情報算出部、距離算出部、判断部、および位置情報更新部の処理を繰り返えさせる制御部とを具備する位置測定装置である。
【0012】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く取得できる。特に、都市部等のマルチパス波を受けやすい場所で、マルチパス波の除外によって車両等の移動体の位置情報取得の精度を向上させる。
【0013】
また、本第二の発明の位置測定装置は、第一の発明に対して、2以上の衛星ごとに、GPS信号の受信SNRを取得する受信SNR取得部と、2以上の衛星ごとに、GPS信号の仰角を取得する仰角取得部と、2以上の衛星ごとに、受信SNRと仰角とを用いて、擬似距離誤差を算出する擬似距離誤差算出部と、2以上の各衛星の擬似距離誤差を用いて、最も擬似距離誤差が小さい衛星を最も信頼性の高い衛星として選択する衛星選択部とをさらに具備し、新位置情報算出部は、最初に、最も信頼性の高い衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、制御部は、最も信頼性の高い衛星については、判断部の判断に関わらず、位置情報更新部に、新位置情報を最新の位置情報として、位置情報格納部に書き込ませる位置測定装置である。
【0014】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く取得できる。
【0015】
また、本第三の発明の位置測定装置は、第一または第二の発明に対して、衛星選択部は、2以上の各衛星の擬似距離誤差の小さい順に、順次、衛星を選択し、新位置情報算出部は、衛星選択部が選択した衛星の順に、衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、制御部は、衛星選択部、新位置情報算出部、距離算出部、判断部、および位置情報更新部の処理を繰り返させる位置測定装置である。
【0016】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く取得できる。
【0017】
また、本第四の発明の位置測定装置は、第三の発明に対して、制御部は、受信されたGPS信号に対応する衛星の数の回数だけ、衛星選択部、新位置情報算出部、距離算出部、判断部、および位置情報更新部の処理を繰り返させる位置測定装置である。
【0018】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で極めて精度高く取得できる。
【0019】
また、本第五の発明の位置測定装置は、第三の発明に対して、制御部は、判断部が、距離が閾値を超えると判断した後、位置更新の処理を終了させる位置測定装置である。
【0020】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く、かつ高速に取得できる。
【0021】
また、本第六の発明の位置測定装置は、第五の発明に対して、制御部は、判断部が、距離が閾値を超えると判断した後、それまでに有効に適用したGPS信号の数が予め決められた第二閾値以上であるか否かを判断し、第二閾値以上である場合に位置更新の処理を終了する位置測定装置である。
【0022】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成でさらに精度高く、かつ高速に取得できる。
【0023】
また、本第七の発明の位置測定装置は、第一から第六いずれかの発明に対して、第一閾値は、動的に変化する位置測定装置である。
【0024】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で極めて精度高く取得できる。
【0025】
また、本第八の発明の位置測定装置は、第七の発明に対して、判断部は、判断処理を行うごとに、予め決められた算出式により、第一閾値を動的に変更する位置測定装置である。
【0026】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で極めて精度高く取得できる。
【0027】
また、本第九の発明の位置測定装置は、第七の発明に対して、判断部は、距離算出部が算出した距離であり、位置情報更新部が位置情報を更新した場合の最も近い判断時の距離を第一閾値とする位置測定装置である。
【0028】
かかる構成により、移動体の絶対位置を、簡易な構成で極めて精度高く取得できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による位置測定装置によれば、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1における位置測定装置のブロック図
【図2】同位置測定装置の動作について説明するフローチャート
【図3】同受信SNRに対する擬似距離の誤差推定表を示す図
【図4】同仰角に対する擬似距離の誤差推定表を示す図
【図5】同順次に位置情報を更新する例を示す図
【図6】同コンピュータシステムの概観図
【図7】同コンピュータシステムのブロック図
【図8】従来の位置測定装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、位置測定装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
【0033】
本実施の形態において、移動体の速度と移動方向を用いて予測位置を取得し、2以上の衛星の信号を用いて、各衛星と移動体との擬似距離を算出し、当該擬似距離を用いて、算出位置を取得し、予測位置と算出位置との差が閾値を超えない場合に、位置を算出位置で更新する位置測定装置について説明する。
【0034】
本実施の形態における位置測定装置が行う手法では、マルチパス波の排除と位置予測とを組み合わせて、位置精度を向上させる。この手法では、基準局や外部の赤外線カメラなどを使用せずに、通常の補正センサー(速度と移動方向を取得)を使用して、マルチパス誤差を低減させる。具体的には、移動体は前の時刻で計測した位置情報と移動速度を基に現在の位置を予測し、計測した衛星の疑似距離を用いて予測した位置情報を更新する。更に衛星ごとに信頼度を算出し、計測した疑似距離情報を、順次に用いて予測した位置情報を更新しながら、誤差の大きい衛星を排除する。この手法は、特に新たに衛星から受信する場合、その受信波がマルチパス波であるかどうかを判断するために有効である。
【0035】
なお、移動体とは、移動する物体であれば何でも良く、自動車、二輪車等の車両、電車などの輸送機器、携帯端末や携帯電話などの移動体端末等を含む。
【0036】
図1は、本実施の形態における位置測定装置1を含むシステムのブロック図である。位置測定装置1は、GPS受信アンテナ15を経由して、GPS衛星11、12、13、14等からのGPS信号を受信する。GPS信号は、測位信号とも言う。なお、位置測定装置1は、移動体自体であっても良いし、移動体に設置され、当該移動体とともに移動する装置であっても良い。
【0037】
位置測定装置1は、位置情報格納部101、移動情報取得部102、予測位置情報取得部103、GPS信号受信部104、擬似距離取得部105、受信SNR取得部106、仰角取得部107、擬似距離誤差算出部108、衛星選択部109、新位置情報算出部110、距離算出部111、判断部112、位置情報更新部113、および制御部114を具備する。
【0038】
位置情報格納部101は、移動体の位置情報を格納し得る。位置情報は、通常、移動体の最新の位置情報である。ただし、最新の位置情報は、現在より前の時点の位置情報である。また、位置情報とは、位置を示す情報であり、例えば、(経度,緯度)や領域を特定する領域IDなどである。なお、位置情報の初期値は、公知の単独測位技術によって算出した位置情報である。
【0039】
移動情報取得部102は、移動速度と移動方向を含む移動体の移動に関する情報である移動情報を取得する。移動情報取得部102は、例えば、車速パルスまたは加速度センサーにより移動速度を算出する。また、移動情報取得部102は、例えば、ジャイロまたは電子地図で移動方向を算出する。
【0040】
予測位置情報取得部103は、位置情報と移動情報とを用いて、移動体の現在の位置である予測位置情報を取得する。予測位置情報は、例えば、(緯度,経度)である。ただし、予測位置情報は、高度の情報を有しても良い。
【0041】
GPS信号受信部104は、2以上の衛星からGPS信号を受信する。GPS信号受信部104は、GPS受信アンテナ15を含むと考えても良いし、GPS受信アンテナ15からGPS信号を受け付けると考えても良い。
【0042】
擬似距離取得部105は、2以上の衛星ごとに、GPS信号受信部104が受信したGPS信号を用いて、移動体と各衛星との擬似距離を取得する。擬似距離取得部105の処理は、公知技術であるので詳細な説明を省略する。
【0043】
受信SNR取得部106は、2以上の衛星ごとに、GPS信号の受信SNRを取得する。受信SNR取得部106が受信SNR(信号雑音比(SNR))を取得する技術は公知技術であるので詳細な説明を省略する。
【0044】
仰角取得部107は、2以上の衛星ごとに、GPS信号の仰角を取得する。仰角取得部107が仰角を取得する技術は公知技術であるので詳細な説明を省略する。
【0045】
擬似距離誤差算出部108は、2以上の衛星ごとに、受信SNRと仰角とを用いて、擬似距離誤差を算出する。擬似距離誤差算出部108は、通常、受信SNRが小さいほど擬似距離誤差が大きくなるように擬似距離誤差を算出する。また、擬似距離誤差算出部108は、通常、仰角が小さいほど擬似距離誤差が大きくなるように擬似距離誤差を算出する。擬似距離誤差算出部108は、受信SNRと仰角とをパラメータとする演算式により、擬似距離誤差を算出しても良いし、受信SNRおよび仰角と、擬似距離誤差との対応表を用いて、擬似距離誤差を算出しても良い。その他、擬似距離誤差算出部108の擬似距離誤差の算出方法は問わない。
【0046】
衛星選択部109は、2以上の各衛星から、処理に使用するGPS信号の衛星を選択する。衛星選択部109は、例えば、2以上の各衛星の擬似距離誤差の小さい順に、順次、衛星を選択する。衛星選択部109は、例えば、2以上の各衛星の擬似距離誤差を用いて、最も擬似距離誤差が小さい衛星を最も信頼性の高い衛星として、最初に選択する。ここで、2以上の各衛星の擬似距離誤差の小さい順の選択することとは、例えば、擬似距離誤差をキーとして衛星を昇順にソートし、上位から選択することである。衛星をソートする処理とは、衛星に対応するGPS信号や、GPS信号に関するデータをソートする処理と考えても良い。かかる場合、擬似距離誤差が衛星の信頼度に相当する。擬似距離誤差が小さいほど、衛星の信頼度は大きい。
【0047】
新位置情報算出部110は、2以上の各衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部101の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出する。新位置情報は、例えば、(緯度,経度)である。ただし、新位置情報は、高度の情報を有しても良い。なお、新位置情報算出部110は、最初に、最も信頼性の高い衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部101の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出することは好適である。また、新位置情報算出部110は、衛星選択部109が選択した衛星の順に、衛星の擬似距離を用いて、位置情報格納部101の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出ことは好適である。
【0048】
距離算出部111は、新位置情報と予測位置情報との距離を算出する。この距離とは、水平距離である。なお、2点の位置情報から、2点の距離を算出する処理は公知技術である。
【0049】
判断部112は、距離算出部111が算出した距離が第一閾値を超えないか否かを判断する。第一閾値または第一閾値の初期値は、例えば、単独測位する場合の位置水平誤差である。また、判断部112は、第一閾値を動的に変更することは好適である。判断部112は、例えば、判断処理を行うごとに、予め決められた算出式により、第一閾値を動的に変更する。ここで、算出式とは、例えば、「X(n=0の場合),X/(n+1)(n>=1の場合)」である。算出式の「X」は初期値、「n」は位置情報更新部113が位置情報を更新した回数である。さらに、判断部112は、距離算出部111が算出した距離であり、最も信頼性の高い衛星の疑似距離を用いる場合、判断時の距離を第一閾値としても良い。
【0050】
位置情報更新部113は、判断部112が第一閾値を超えないと判断した場合に、新位置情報を最新の位置情報として、位置情報格納部101に書き込む。位置情報更新部113は、最も信頼性の高い衛星については、判断部112の判断に関わらず、新位置情報を最新の位置情報として、位置情報格納部101に書き込んでも良い。ここで、「判断部112の判断に関わらず」とは、通常、距離算出部111は新位置情報と予測位置情報との距離を算出せず、かつ、判断部112は判断処理を行わない、ことである。ただし、距離算出部111は距離を算出し、判断部112は判断処理を行うが、判断部112の判断結果を用いないことも含む。
【0051】
制御部114は、新位置情報算出部110、距離算出部111、判断部112、および位置情報更新部113に、各構成要素の処理を繰り返えさせる。制御部114は、最も信頼性の高い衛星については、判断部112の判断に関わらず、位置情報更新部113に、新位置情報を最新の位置情報として、位置情報格納部101に書き込ませることは好適である。また、制御部114は、衛星選択部109、新位置情報算出部110、距離算出部111、判断部112、および位置情報更新部113に、各構成要素の処理を繰り返させても良い。また、制御部114は、受信されたGPS信号に対応する衛星の数の回数だけ、衛星選択部109、新位置情報算出部110、距離算出部111、判断部112、および位置情報更新部113の処理を繰り返させることは好適である。また、制御部114は、判断部112が、距離が閾値を超えると判断した後、位置更新の処理を終了させても良い。さらに、制御部114は、判断部112が、距離が閾値を超えると判断した後、それまでに有効に適用したGPS信号の数が予め決められた第二閾値以上であるか否かを判断し、第二閾値以上である場合に位置更新の処理を終了させても良い。上記の「繰り返えさせる」とは、最大、受信したGPS信号に対応する衛星の数の回数だけ、処理(上記の位置の更新処理)を繰り返させることである。なお、第二閾値とは、例えば、「3」である。また、上記の「処理を終了させる」とは、その時点で、移動体の最新の位置情報が確定することである。
【0052】
位置情報格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0053】
移動情報取得部102は、加速度センサーや、ジャイロ又は電子地図などにより実現され得る。
【0054】
予測位置情報取得部103、擬似距離取得部105、受信SNR取得部106、仰角取得部107、擬似距離誤差算出部108、衛星選択部109、新位置情報算出部110、距離算出部111、判断部112、位置情報更新部113、および制御部114は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。予測位置情報取得部103等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0055】
次に、位置測定装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
(ステップS201)移動情報取得部102は、移動速度と移動方向を含む移動体の移動情報を取得する。
【0057】
(ステップS202)予測位置情報取得部103は、位置情報格納部101から、移動体の前の時点の位置情報を読み出す。
【0058】
(ステップS203)予測位置情報取得部103は、ステップS202で読み出した位置情報と、ステップS201で取得された移動速度と移動方向とを用いて、現在の位置情報を予測する。つまり、予測位置情報取得部103は、予測位置情報(X)を取得し、当該予測位置情報をバッファに一時格納する。
【0059】
(ステップS204)擬似距離取得部105は、2以上の衛星ごとに、GPS信号受信部104が受信したGPS信号を用いて、移動体と各衛星との擬似距離を取得し、バッファに一時格納する。
【0060】
(ステップS205)受信SNR取得部106は、2以上の衛星ごとに、GPS信号の受信SNRを取得し、バッファに一時格納する。
【0061】
(ステップS206)仰角取得部107は、2以上の衛星ごとに、GPS信号の仰角を取得し、バッファに一時格納する。
【0062】
(ステップS207)擬似距離誤差算出部108は、2以上の衛星ごとに、受信SNRと仰角とを用いて、擬似距離誤差を算出し、バッファに一時格納する。擬似距離誤差算出部108は、例えば、「擬似距離誤差=f1(受信SNR)+f2(仰角)」により、擬似距離誤差を算出する。ここで、f1は、例えば、受信SNRをパラメータとする減少関数である。また、f2は、例えば、仰角をパラメータとする減少関数である。
【0063】
(ステップS208)衛星選択部109は、ステップS207で算出した2以上の衛星ごとの擬似距離誤差をキーとして、擬似距離誤差の昇順に衛星をソートする。なお、ここでは、信頼性の高い順に衛星をソートしたこととなる。
【0064】
(ステップS209)制御部114は、カウンタiに1を代入する。第1閾値にその初期値を代入する。
【0065】
(ステップS210)制御部114は、i番目の衛星の擬似距離(ステップS204で算出)を用いて、新位置情報を算出するように、新位置情報算出部110に指示する。そして、新位置情報算出部110は、ステップS203で算出した予測位置情報(X)とi番目の衛星の擬似距離を用いて、新位置情報を算出する。
【0066】
(ステップS211)制御部114は、位置情報更新部113に位置情報の更新を指示する。そして、位置情報更新部113は、ステップS210で算出した新位置情報を、位置情報格納部101に書き込む。なお、この新位置情報は、位置情報格納部101の最新の位置情報である。
【0067】
(ステップS212)制御部114は、判断部112に第一閾値の更新を指示する。そして、判断部112は、第一閾値を更新する。例えば、判断部112は、「新しい第一閾値=第一閾値の初期値/(i+1)」により、第一閾値を更新する。なお、ここで、ステップ203で算出した予測位置情報が示す予測位置と、ステップS210で算出した新位置情報が示す位置との間の水平距離を第一閾値の初期値に代入してもよい。
【0068】
(ステップS213)制御部114は、カウンタiを1、インクリメントする。
【0069】
(ステップS214)制御部114は、ステップS208でソートされた衛星の中に、i番目の衛星が存在するか否かを判断する。i番目の衛星が存在すればステップS215に行き、存在しなければステップS201に戻る。
【0070】
(ステップS215)制御部114は、i番目の衛星の擬似距離(ステップS204で算出)を用いた新位置情報算出処理を行うように、新位置情報算出部110に指示する。そして、新位置情報算出部110は、ステップS211で位置情報格納部101に書き込んだ位置情報とi番目の衛星の擬似距離を用いて、新位置情報を算出する。
【0071】
(ステップS216)制御部114は、距離算出部111に、距離算出処理を行うように指示する。そして、距離算出部111は、ステップS215で取得された新位置情報と位置情報格納部101に書き込んだステップS211で取得された位置情報との水平距離を算出する。
【0072】
(ステップS217)制御部114は、判断部112に判断処理を行うように指示する。判断部112は、ステップS216で算出された距離が第一閾値を超えないか否かを判断する。第一閾値を超えない場合はステップS218に行き、第一閾値を超える場合はステップS220に行く。なお、第一閾値を超える場合は、受信されたGPS信号は、マルチパス波であると考えられる。また、第一閾値を超えない、という
条件は、第一閾値未満と置き換えても良い。
【0073】
(ステップS218)制御部114は、位置情報更新部113に位置情報の更新を指示する。そして、位置情報更新部113は、ステップS215で算出した新位置情報を、位置情報格納部101に書き込む。なお、この新位置情報は、位置情報格納部101の最新の位置情報である。
【0074】
(ステップS219)制御部114は、判断部112に第一閾値の更新を指示する。そして、判断部112は、「第一閾値の初期値/(i+1)」により、第一閾値を更新する。
【0075】
(ステップS220)制御部114は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS214に戻る。
【0076】
なお、図2のフローチャートにおいて、制御部114の指示とは、指示対象の構成要素(例えば、判断部112)に必要なデータを渡したり、構成要素を起動したりすること等と考えても良い。
【0077】
また、図2のフローチャートにおいて、信頼性の最も高い衛星のGPS信号は、無条件に適用して、位置情報を更新した。しかし、信頼性の最も高い衛星のGPS信号も、2番目以降の信頼性のGPS信号と同様に、ステップS216、S217の処理を行い、距離が第一閾値以下の場合のみ、適用する等しても良い。
【0078】
また、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0079】
以下、本実施の形態における位置測定装置1の具体的な動作について説明する。
【0080】
今、位置情報格納部101には、移動体の前時点(m−1)の位置情報(x,y,z)が格納されている。この位置情報は、ECEF座標である。
【0081】
かかる状況において、移動情報取得部102は、車速パルスまたは加速度センサーにより、移動速度を取得し、ジャイロまたは電子地図を用いて移動方向を計測した、とする。そして、移動速度と移動方向から3次元速度(v,v,v)を算出する。そして、かかる段階での移動体の位置情報ベクトル((x,y,z):ECEF座標、δ:時刻誤差に相当する部分、(v,v,v):ECEF座標系における3次元速度)Xが得られる。Xは、以下の数式1の通りである。
【数1】

【0082】
次に、予測位置情報取得部103は、読み出した前時点(m−1)の情報(Xm−1,Pm−1)と、取得された移動速度と移動方向とを用いて、現在の位置情報を予測し、予測位置情報(X)を取得し、バッファに一時格納する。なお、Xm−1,は前の時点の移動体の位置情報ベクトルであり、Pm−1は前の時点のXm−1の7×7のco-variance matrixであり、その7個のdiagonal elementはXm−1の各elementの誤差を示す。
【0083】
次に、擬似距離取得部105は、2以上の衛星ごとに、GPS信号受信部104が受信したGPS信号を用いて、移動体と各衛星との擬似距離を取得する。ここで、n個の衛星の擬似距離を(p,p,・・・,p)とする。
【0084】
また、移動体の計測情報(疑似距離と速度)ベクトルYは、計測したn個の衛星の疑似距離と移動体の3次元速度からなる。つまり、移動体の計測情報ベクトルYは、数式2である。
【数2】

【0085】
なお、位置測定装置1は、は間隔τ=1秒で位置情報を算出する、とする。また、ここで、時刻m秒のときの予測位置をXとし、疑似距離を用いた更新後の位置をXとする。
【0086】
かかる場合、予測位置情報取得部103は、以下の数式3に従って、予測位置情報を算出する。
【数3】

【0087】
なお、数式3において、位置情報の初期値(X)は、最初のGPS単独測位結果である。また、「P=I・σ」は、最初の誤差マトリクスである。また、σは、パラメータである。Φは従来位置と移動速度を用いて現在位置を予測するmatrixである。Qはstate randomness matrixであり、ζσ、ζvy、ζvxはそれぞれ時刻変動幅、3次元速度の変動幅を表す。
【0088】
次に、擬似距離取得部105は、衛星ごとに擬似距離を取得する。また、受信SNR取得部106は、衛星ごとの受信SNRを取得する。さらに、仰角取得部107は、衛星ごとの仰角を取得する。なお、通常、受信SNRの低い衛星や仰角の低い衛星の疑似距離の誤差が大きい。
【0089】
そして、擬似距離誤差算出部108は、図3に示す受信SNRに対する擬似距離の誤差推定表を格納している、とする。また、擬似距離誤差算出部108は、図4に示す仰角に対する擬似距離の誤差推定表を格納している、とする。そして、擬似距離誤差算出部108は、例えば、「f(SNR,仰角)=f1(SNR)+f2(仰角)」により、疑似距離誤差を算出する、とする。その際、f1は図3の表により、f2は図4の表による。つまり、擬似距離誤差算出部108は、測位中、衛星ごとに、その受信SNRから疑似距離誤差f1と仰角から疑似距離誤差f2を検出し、その総和を疑似距離誤差として算出する。
【0090】
次に、衛星選択部109は、算出された2以上の衛星ごとの擬似距離誤差をキーとして、擬似距離誤差の昇順に衛星をソートする。
【0091】
そして、位置測定装置1は、ソートされた衛星の順に、各衛星の擬似距離を用いて、以下のように位置情報を更新する。
【0092】
まず、新位置情報算出部110は、移動体の位置情報を含む情報(X,P)とn番目の衛星の位置(Z)を用いて、擬似距離を推測する。次に、新位置情報算出部110は、計測した擬似距離と推測した擬似距離との差(Δに含まれている)を用いて、数式4、および数式5により、位置情報とその誤差マトリクスを更新する。
【数4】

【数5】

【0093】
また、一番目の衛星に対して、Hm、Δは、数式6である。
【数6】

【0094】
また、n番目(n>=2)の衛星に対して、Hm、Δは、数式7である。
【数7】

【0095】
次に、距離算出部111は、位置情報の水平変動量(水平距離)を算出する。つまり、具体的には、距離算出部111は、例えば、以下の数式8を用いてECEF座標系の位置情報の更新量ΔECEFを算出し、公知の技術を用いて、ENU座標「ΔENU=(Δ,Δ,Δ)」に変換し、移動体の水平位置変動dを数式9に示すように算出する。
【数8】

【数9】

【0096】
次に、判断部112は、その水平変動量が既定の第一閾値を超えているかどうかを判断する。
【0097】
そして、判断部112が、水平変動量が既定の第一閾値を超えていないと判断した場合、位置情報更新部113は、位置情報格納部101にXを書き込み、位置情報を更新する。つまり、「X←X」となる。
【0098】
また、判断部112が、水平変動量が既定の第一閾値を超えていると判断した場合、位置情報更新部113は、位置を更新せずにその衛星を排除する。
【0099】
そして、制御部114は、使用していない衛星が残っているかどうかを判断する。使用していない衛星が残っている場合、衛星選択部109は、次の衛星を選択して、上記の処理と同様に、位置更新処理が行われる。また、使用していない衛星が残っていない場合、全ての衛星に対する処理が終了したこととなるので、XをXにして、最終の位置情報が位置情報格納部101に格納される。
【0100】
以下、順次に位置情報を更新する例を、図5を用いて説明する。図5において、数式3を用いて、501で、前時点(m−1)の位置Xm−1から現時点(m)の位置を予測する。予測した位置Xは502である。次に、衛星11の疑似距離を用いて、移動体の位置を502から506へ更新する。次に、衛星12の疑似距離を用いて、移動体の位置を506から510へ更新する。次に、衛星13の疑似距離を用いて移動体の位置を510から514へ更新する。次に、衛星14の疑似距離を用いて移動体の位置を514から518へ更新するときに、更新量が大きくて閾値を超えているので、その衛星を排除して、514を最終の位置とする。なお、衛星選択部109が、擬似距離誤差をキーとして、擬似距離誤差の昇順に衛星をソートした場合、衛星11、衛星12、衛星13、衛星14の順に衛星が並び替えられた、とする。
【0101】
以上、本実施の形態によれば、移動体の絶対位置を、簡易な構成で精度高く取得できる。
【0102】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、記録媒体に、移動体の最新の位置情報を格納しており、コンピュータを、移動速度と移動方向を含む移動体の移動に関する情報である移動情報を取得する移動情報取得部と、前記位置情報と前記移動情報とを用いて、移動体の現在の位置である予測位置情報を取得する予測位置情報取得部と、2以上の衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号受信部が受信したGPS信号を用いて、前記移動体と各衛星との擬似距離を取得する擬似距離取得部と、前記2以上の各衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出する新位置情報算出部と、前記新位置情報と前記予測位置情報との距離を算出する距離算出部と、前記距離が第一閾値を超えないか否かを判断する判断部と、前記判断部が第一閾値を超えないとの判断の場合に、新位置情報を最新の位置情報として、前記記録媒体に書き込む位置情報更新部と、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返えさせる制御部として機能させるためのプログラム、である。
【0103】
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号の受信SNRを取得する受信SNR取得部と、前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号の仰角を取得する仰角取得部と、前記2以上の衛星ごとに、前記受信SNRと前記仰角とを用いて、擬似距離誤差を算出する擬似距離誤差算出部と、前記2以上の各衛星の擬似距離誤差を用いて、最も擬似距離誤差が小さい衛星を最も信頼性の高い衛星として選択する衛星選択部としてさらに機能させ、前記新位置情報算出部は、最初に、前記最も信頼性の高い衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、前記制御部は、前記最も信頼性の高い衛星については、前記判断部の判断に関わらず、前記位置情報更新部に、新位置情報を最新の位置情報として、前記記録媒体に書き込ませるためのプログラムであることは好適である。
【0104】
また、上記プログラムにおいて、前記衛星選択部は、前記2以上の各衛星の擬似距離誤差の小さい順に、順次、衛星を選択し、前記新位置情報算出部は、前記衛星選択部が選択した衛星の順に、衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、前記制御部は、前記衛星選択部、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返させるものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0105】
また、上記プログラムにおいて、前記制御部は、前記受信されたGPS信号に対応する衛星の数の回数だけ、前記衛星選択部、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返させるものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0106】
また、上記プログラムにおいて、前記制御部は、前記判断部が、前記距離が閾値を超えると判断した後、位置更新の処理を終了させるものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0107】
また、上記プログラムにおいて、前記制御部は、前記判断部が、前記距離が閾値を超えると判断した後、それまでに有効に適用したGPS信号の数が予め決められた第二閾値以上であるか否かを判断し、第二閾値以上である場合に位置更新の処理を終了するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0108】
また、上記プログラムにおいて、前記判断部は、判断処理を行うごとに、予め決められた算出式により、前記第一閾値を動的に変更するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0109】
また、上記プログラムにおいて、前記判断部は、前記距離算出部が算出した距離であり、最も信頼性の高い衛星を用いる場合、判断時の距離を第一閾値とするものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0110】
また、図6は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の位置測定装置1を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図6は、このコンピュータシステム340の概観図であり、図7は、コンピュータシステム340のブロック図である。
【0111】
図6において、コンピュータシステム340は、FDドライブ、CD−ROMドライブを含むコンピュータ341と、キーボード342と、マウス343と、モニタ344とを含む。
【0112】
図7において、コンピュータ341は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412に加えて、MPU3413と、CD−ROMドライブ3412及びFDドライブ3411に接続されたバス3414と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3415とに接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3416と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3417とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ341は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0113】
コンピュータシステム340に、上述した実施の形態の位置測定装置の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM3501、またはFD3502に記憶されて、CD−ROMドライブ3412またはFDドライブ3411に挿入され、さらにハードディスク3417に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ341に送信され、ハードディスク3417に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3416にロードされる。プログラムは、CD−ROM3501、FD3502またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0114】
プログラムは、コンピュータ341に、上述した実施の形態の位置測定装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム340がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0115】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0116】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0117】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上のように、本発明にかかる位置測定装置は、移動体の絶対位置を簡易な構成で精度高く取得できる、という効果を有し、ナビゲーション装置等として有用である。
【符号の説明】
【0119】
1 位置測定装置
101 位置情報格納部
102 移動情報取得部
103 予測位置情報取得部
104 GPS信号受信部
105 擬似距離取得部
106 受信SNR取得部
107 仰角取得部
108 擬似距離誤差算出部
109 衛星選択部
110 新位置情報算出部
111 距離算出部
112 判断部
113 位置情報更新部
114 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の最新の位置情報を格納し得る位置情報格納部と、
移動速度と移動方向を含む移動体の移動に関する情報である移動情報を取得する移動情報取得部と、
前記位置情報と前記移動情報とを用いて、移動体の現在の位置である予測位置情報を取得する予測位置情報取得部と、
2以上の衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号受信部が受信したGPS信号を用いて、前記移動体と各衛星との擬似距離を取得する擬似距離取得部と、
前記2以上の各衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出する新位置情報算出部と、
前記新位置情報と前記予測位置情報との距離を算出する距離算出部と、
前記距離が第一閾値を超えないか否かを判断する判断部と、
前記判断部が第一閾値を超えないと判断した場合に、新位置情報を最新の位置情報として、前記位置情報格納部に書き込む位置情報更新部と、
前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返えさせる制御部とを具備する位置測定装置。
【請求項2】
前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号の受信SNRを取得する受信SNR取得部と、
前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号の仰角を取得する仰角取得部と、
前記2以上の衛星ごとに、前記受信SNRと前記仰角とを用いて、擬似距離誤差を算出する擬似距離誤差算出部と、
前記2以上の各衛星の擬似距離誤差を用いて、最も擬似距離誤差が小さい衛星を最も信頼性の高い衛星として選択する衛星選択部とをさらに具備し、
前記新位置情報算出部は、
最初に、前記最も信頼性の高い衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、
前記制御部は、
前記最も信頼性の高い衛星については、前記判断部の判断に関わらず、前記位置情報更新部に、新位置情報を最新の位置情報として、前記位置情報格納部に書き込ませる請求項1記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記衛星選択部は、
前記2以上の各衛星の擬似距離誤差の小さい順に、順次、衛星を選択し、
前記新位置情報算出部は、
前記衛星選択部が選択した衛星の順に、衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出し、
前記制御部は、
前記衛星選択部、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返させる請求項1または請求項2記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記受信されたGPS信号に対応する衛星の数の回数だけ、前記衛星選択部、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返させる請求項3記載の位置測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記判断部が、前記距離が閾値を超えると判断した後、位置更新の処理を終了させる請求項3記載の位置測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記判断部が、前記距離が閾値を超えると判断した後、それまでに有効に適用したGPS信号の数が予め決められた第二閾値以上であるか否かを判断し、第二閾値以上である場合に位置更新の処理を終了する請求項5記載の位置測定装置。
【請求項7】
前記第一閾値は、動的に変化する請求項1から請求項6いずれか記載の位置測定装置。
【請求項8】
前記判断部は、
判断処理を行うごとに、予め決められた算出式により、前記第一閾値を動的に変更する請求項7記載の位置測定装置。
【請求項9】
前記判断部は、
前記距離算出部が算出した距離であり、最も信頼性の高い衛星を用いる場合、判断時の距離を第一閾値とする請求項7記載の位置測定装置。
【請求項10】
記録媒体に、移動体の最新の位置情報を格納しており、
移動情報取得部、予測位置情報取得部、GPS信号受信部、擬似距離取得部、新位置情報算出部、距離算出部、判断部、位置情報更新部、および制御部により実現される位置測定方法であって、
前記移動情報取得部が、移動速度と移動方向を含む移動体の移動に関する情報である移動情報を取得する移動情報取得ステップと、
前記予測位置情報取得部が、前記位置情報と前記移動情報とを用いて、移動体の現在の位置である予測位置情報を取得する予測位置情報取得ステップと、
前記GPS信号受信部が、2以上の衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信ステップと、
前記擬似距離取得部が、前記2以上の衛星ごとに、前記GPS信号受信ステップで受信されたGPS信号を用いて、前記移動体と各衛星との擬似距離を取得する擬似距離取得ステップと、
前記新位置情報算出部が、前記2以上の各衛星の擬似距離を用いて、前記位置情報格納部の位置情報を更新し、新たな位置情報である新位置情報を算出する新位置情報算出ステップと、
前記距離算出部が、前記新位置情報と前記予測位置情報との距離を算出する距離算出ステップと、
前記判断部が、前記距離が第一閾値を超えないか否かを判断する判断ステップと、
前記位置情報更新部が、前記判断ステップで第一閾値を超えないと判断された場合に、新位置情報を最新の位置情報として、前記記録媒体に書き込む位置情報更新ステップと、
前記制御部が、前記新位置情報算出部、前記距離算出部、前記判断部、および前記位置情報更新部の処理を繰り返えさせる制御ステップとを具備する位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−52905(P2012−52905A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195530(P2010−195530)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】