説明

位置測定装置及び位置測定方法

【課題】測定対象物の測定範囲が撮像領域と比較して極小・広大の何れの場合であってもその測定対象物の表面上の位置を測定可能な位置測定装置及び位置測定方法を提供する。
【解決手段】ワーク26よりも小さい寸法の撮像領域30を有する撮像素子50を、ワーク26の表面32上を相対的に移動させながら、ワーク26の表面32を撮像する。撮像領域30内の画像I(t)からワーク26の表面32上の模様(例えば、丸型溝82)を抽出し、抽出された前記模様の、撮像領域30内の画像I(t+1)中での変位量を検出し、検出された前記変位量及び前記寸法に基づいてワーク26の表面32上の位置を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の表面を撮像することにより、その測定対象物の表面上の位置を測定する位置測定装置及び位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の長さ(この明細書では、測定対象物の全長、その一部分のサイズ、又は測定対象物の変位等をいう。)を測定するために、撮像式の位置測定装置が用いられる。この位置測定装置は、測定対象物の表面から発せられる光像をCCD、CMOS画像センサアレイ等のイメージセンサを用いて撮像し、この撮像により得られた画像信号を解析し、その測定対象物の長さを測定する装置である。
【0003】
例えば、特許文献1及び2では、測定対象物に対して撮像領域を狭小に設定し、測定対象物の変位を高解像度且つ高精度に測定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−13948号公報
【特許文献2】特開2003−148918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような撮像式の位置測定装置を用いたとしても、測定範囲が広大である測定対象物の長さを計測する場合、測定範囲の大きさと空間分解能との間にはトレードオフの関係が生じるので、測定上の不都合が起こり得る。すなわち、撮像倍率を小さくすると撮像領域内に測定対象物全体を収めることができる一方、撮像の空間分解能が低下するので十分な測定精度が得られない。また、撮像倍率を大きくすると撮像の空間分解能が向上するので測定精度が得られる一方、撮像領域内に測定対象物全体を収めることができない。これは、イメージセンサの性能及び装置構成に限界があり、撮像領域及び空間分解能が有限だからである。
【0006】
一方、イメージセンサを構成する画素数を増やし撮像領域を大きくする構成が考えられるが、位置測定装置が大型になりその製造コストが高騰するという不都合が生じる。
【0007】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、装置の大型化や製造コストの高騰を防止しつつ、測定対象物の測定範囲が撮像領域と比較して狭小・広大の何れの場合でもその長さを測定可能な位置測定装置及び位置測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明に係る位置測定装置は、測定対象物よりも小さい寸法の撮像領域を有するイメージセンサを、前記測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、前記測定対象物の表面を撮像して前記撮像領域内の画像を得、得られた前記撮像領域内の画像を用いて前記測定対象物の表面上の位置を測定する位置測定装置であって、所定の時点における前記撮像領域内の画像から前記測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された前記模様の、前記所定の時点以後の時点における前記撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記変位量及び前記寸法に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定する測定部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出部と、撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出部とを設けたので、イメージセンサをその撮像領域よりも大きい測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、撮像領域内及び撮像領域外での模様の変位量に基づき測定対象物と撮像領域との相対的位置関係を把握可能となり、測定対象物の測定範囲が撮像領域と比較して狭小・広大の何れの場合であってもその測定対象物の表面上の位置を測定することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る位置測定装置は、請求項1記載の位置測定装置において、前記抽出部により抽出された前記模様に関する位置情報を記憶する記憶部を有し、前記測定部は、前記変位量、前記寸法及び前記記憶部により記憶された前記位置情報に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、抽出された模様の位置情報を記憶する記憶部を設けたので、撮像領域内で一度抽出された模様がその後に撮像領域を外れた場合であっても、記憶した位置情報に基づき前記模様と撮像領域との相対的位置関係を把握可能となり、撮像領域を超える正視面積を有する測定対象物の表面上の位置を測定することができる。
【0012】
請求項3記載の発明に係る位置測定装置は、請求項1又は2に記載の位置測定装置において、前記抽出部は、抽出された前記模様が存在する撮像領域内の画像から前記模様と異なる新たな模様を抽出することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、抽出された模様が存在する撮像領域内の画像から新たな模様を抽出するようにしたので、抽出された模様間の相対的位置関係を容易に把握可能となり、測定対象物の表面上の位置の測定に要する演算量を少なくすることができる。
【0014】
請求項4記載の発明に係る位置測定装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置測定装置において、前記抽出部により抽出された前記模様が現時点における撮像領域内の画像に存在するか否かの判定を行う判定部を有し、前記抽出部は、前記判定部により前記模様が前記現時点における撮像領域内の画像に存在しないと判定したとき前記現時点における撮像領域内の画像から前記新たな模様を抽出することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、模様が現時点における撮像領域内の画像に存在するか否かの判定を行う判定部を設け、前記模様が存在しないと判定したとき、若しくは撮像領域外に外れるおそれがあると判定したときに新たな模様を抽出するようにしたので、模様を抽出する頻度を減らすことが可能となり、測定対象物の表面上の位置の測定に要する演算量を少なくすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明に係る位置測定装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置測定装置において、前記記憶部は、前記模様のテンプレートを記憶し、前記検出部は、前記記憶部により記憶された前記テンプレートを用いて領域ベースマッチングに基づき前記模様の変位量を算出することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、テンプレートを用いて領域ベースマッチングに基づき模様の変位量を算出するようにしたので、模様の変位量を精度良く算出可能となり、測定対象物の表面上の位置を精度良く測定することができる。
【0018】
請求項6記載の発明に係る位置測定方法は、測定対象物よりも小さい寸法の撮像領域を有するイメージセンサを、前記測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、前記測定対象物の表面を撮像して前記撮像領域内の画像を得、得られた前記撮像領域内の画像を用いて前記測定対象物の表面上の位置を測定する位置測定方法であって、所定の時点における前記撮像領域内の画像から前記測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出工程と、前記抽出部により抽出された前記模様の、前記所定の時点以後の時点における前記撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出工程と、前記検出部により検出された前記変位量及び前記寸法に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定する測定工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出工程と、撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出工程とを設けたので、撮像領域内及び撮像領域外での模様の変位量に基づき測定対象物と撮像領域との相対的位置関係を把握可能となり、測定対象物の測定範囲が撮像領域と比較して狭小・広大の何れの場合であってもその測定対象物の表面上の位置を測定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る位置測定装置及び位置測定方法によれば、測定対象物よりも小さい寸法の撮像領域を有するイメージセンサを、前記測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、前記測定対象物の表面を撮像して前記撮像領域内の画像を得、得られた前記撮像領域内の画像を用いて前記測定対象物の表面上の位置を測定する際に、所定の時点における前記撮像領域内の画像から前記測定対象物の表面上の模様を抽出し、抽出された前記模様の、前記所定の時点以後の時点における前記撮像領域内の画像中での変位量を検出し、検出された前記変位量及び前記寸法に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定するようにしたので、模様の変位量に基づき測定対象物と撮像領域との相対的位置関係を把握可能となり、測定対象物の測定範囲が極小・広大の何れの場合であってもその測定対象物の表面上の位置を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る位置測定装置の概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る位置測定装置の機能ブロック図である。
【図3】図3A〜図3Cは、測定対象物と撮像領域との位置関係を示す概略正視図である。
【図4】本実施形態に係る位置測定方法を実施するためのフローチャートである。
【図5】図5Aは、時刻t=0における撮像領域内の画像を表す模式図である。図5Bは、時刻t=1における撮像領域内の画像を表す模式図である。
【図6】図6Aは、撮像領域内の画像を表す画像信号の説明図である。図6Bは、撮像領域内における各画素の対応位置を表す説明図である。
【図7】図7A及び図7Bは、領域ベースマッチングの一例を示す模式図である。
【図8】図8A及び図8Bは、領域ベースマッチングの他の例を示す模式図である。
【図9】撮像領域内での標的位置の変位量を表す模式図である。
【図10】撮像領域内の画像から新たな標的位置を設定する方法に関するフローチャートである。
【図11】撮像領域内での候補位置の選定方法に関する説明図である。
【図12】測定対象物の長さを測定する方法に関するフローチャートである。
【図13】測定対象物の表面上に設定された標的位置の位置関係を表す概略正視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る位置測定方法についてそれを実施する位置測定装置との関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る位置測定装置10の概略斜視図である。
【0024】
図1に示すように、位置測定装置10は、測定対象物の表面から発せられる光像を撮像するセンサヘッド12と、該センサヘッド12により取得された二次元画像信号(以下、単に画像信号という。)に対して所望の画像処理を施す画像処理装置14と、センサヘッド12と画像処理装置14との間の電気通信を可能とし、且つ画像処理装置14からセンサヘッド12への電源供給を可能とするケーブル16とを備える。
【0025】
また、画像処理装置14は、外部装置である上位コントローラ18と電気的に接続されている。上位コントローラ18は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)で構成され、画像処理装置14に対して各種の指令を送信するとともに、センサヘッド12の下方部に配設されているコンベア20を駆動制御する。
【0026】
コンベア20は、円筒状の駆動ローラ21と、従動ローラ22と、駆動ローラ21と従動ローラ22間に巻回される帯状のベルト24とを備えている。駆動ローラ21が上位コントローラ18を通じて実線矢印方向に回転させられると、ベルト24が白抜矢印方向に摺動すると同時に、コンベア20上に載置されているワーク(測定対象物)26が白抜矢印方向に搬送される。
【0027】
位置測定装置10のセンサヘッド12は、コンベア20の上方に固定設置されており、その撮像面28はベルト24側に指向する。ここで、センサヘッド12の撮像領域30は、コンベア20上に載置されているワーク26の表面32に設定されている。
【0028】
図2は、本実施形態に係る位置測定装置10の機能ブロック図である。
【0029】
センサヘッド12は、照明部34と、撮像部36と、通信部38と、センサヘッド制御部40とを備える。
【0030】
照明部34は、ワーク26の表面32上に設けられている撮像領域30に向けて照明光46を照射するランプから構成されており、図示しない照明スイッチにより点灯・消灯が自在である。
【0031】
撮像部36は、ワーク26の表面32で反射されて撮像面28に入射する反射光48(ワーク26の反射光像)を撮像信号に変換する撮像素子(イメージセンサ)50と、センサヘッド制御部40からのタイミング制御信号に同期して、前記撮像信号を増幅してセンサヘッド制御部40に出力する信号処理部52とを有する。撮像素子50は、例えば、フォトダイオードアレイ、CCD、CMOS撮像素子等から構成される。
【0032】
ワーク26と撮像素子50との中間位置には図示しない結像光学系が設けられており、ワーク26の表面32に照射される撮像領域30の寸法、すなわち撮像倍率を変更自在である。また、前記結像光学系によって、撮像素子50が取得する撮像信号に画像歪みが生じないよう適切な光路調整がなされる。
【0033】
通信部38は、センサヘッド制御部40の命令に従って、画像処理装置14との通信を行う。ここで、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いれば、電力消費を抑えつつ高速で雑音に強い信号伝送を行うことができる。
【0034】
画像処理装置14は、通信部54と、記憶部56と、画像処理部58と、操作部60と、表示部62と、外部通信部64と、外部通信部66と、制御部68とを備える。
【0035】
通信部54は、制御部68の命令に従ってセンサヘッド12との相互通信を行う。記憶部56は、センサヘッド12から取得した画像信号を記憶する画像メモリ70と、画像処理等に用いる各種パラメータを一時的に格納するRAM71と、センサヘッド12の識別番号、センサ感度特性等を含む固有データを記憶するEEPROM72とを備えている。
【0036】
画像処理部58は、抽出部74と、判定部75と、検出部76と、算出部77と、測定部78とを備えるものであり、ソフトウェア又はハードウェアにより構成される。
【0037】
操作部60は、図示しない各種設定のためのスイッチや操作ボタン等で構成される。表示部62は、例えば液晶パネルで構成されており、測定条件や測定結果に関する各種数値等が表示される。
【0038】
二つの外部通信部64、66は、外部装置と接続するために設けられる。例えば、上位コントローラ18間でのコマンドや各種データの送受信処理、図示しない外部パソコンとの接続、図示しない他の画像処理装置14間のデータ通信を行うことができる。かかる通信は、USB2.0、IEEE1394、RS−232C等の一般的な通信規格のみならず、画像処理装置14独自の通信規格を用いることもできる。
【0039】
図1及び図2では、画像処理装置14は、外部通信部66を介して上位コントローラ18と接続されている。
【0040】
制御部68は、通信部54、記憶部56、画像処理部58、操作部60、表示部62、外部通信部64、66の制御を含め、画像処理装置14全体の総括制御を行う。
【0041】
なお、図1に示す位置測定装置10は、センサヘッド12及び画像処理装置14は別個のユニットとして設けられているが、これらを一体的に構成してもよい。かかる場合は、通信部38及び通信部54を省略する構成を採ることができる。
【0042】
本実施形態の位置測定装置は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作につき、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0043】
先ず、測定対象物としてのワーク26をコンベア20上に載置した後、位置測定装置10のセンサヘッド12(図1参照)の位置及び姿勢の調整を行う。図2に示すように、ユーザが操作部60の図示しない照明スイッチのON/OFF操作を行うと、操作部60、制御部68、通信部54、ケーブル16、通信部38を介し、センサヘッド制御部40に対して照明部34の点灯・消灯指示がなされる。センサヘッド制御部40の点灯・消灯制御により照明部34は所望の動作を行う。照明部34からの照明光46はワーク26の表面32に照射されるので、ユーザは、撮像領域30の位置等を確認してセンサヘッド12の位置及び姿勢の調整を行うことができる。
【0044】
ワーク26の表面32には、図1及び図3A〜図3Cに示すように、右から順に、この実施形態では搬送方向の下流方向側から順に、丸型溝82、三角型溝84、四角型溝86、丸型溝88が並設されている。図3Aは、位置測定装置10による測定前の状態(初期状態)を表し、撮像領域30の略中央部には丸型溝82が、撮像領域30の左端には三角型溝84の一部が、それぞれ存在している。
【0045】
なお、ワーク26の表面32に画像として濃淡が表れる模様が存在すれば、特定の溝のような三次元形状が存在しなくても本発明を適用することができる。
【0046】
図1に示すように、駆動ローラ21が実線矢印方向に回転すると、ベルト24が白抜矢印方向に摺動されるので、コンベア20のベルト24上に載置されたワーク26は白抜矢印方向に搬送される。すると、ワーク26の搬送動作によって、ワーク26と撮像領域30との位置関係は、初期状態の図3Aの状態から、図3B、図3Cの状態へと時系列順に変化する。
【0047】
このようにして、撮像領域30よりも大きいワーク26の表面32上をコンベア20の搬送動作により相対的に移動させながら、ワーク26の表面32上の各溝(丸型溝82等)をセンサヘッド12で撮像することができる。
【0048】
以下、本実施形態に係る位置測定装置10を用いてワーク26の長さを測定する測長方法について、図4に示すフローチャートに従って詳細に説明する。
【0049】
[ステップS1]
図2に示すように、ユーザが操作部60の図示しない測長開始ボタンを押すと、操作部60、制御部68、通信部54、ケーブル16、通信部38を介し、センサヘッド制御部40に対して撮像開始通知がなされる。その後、センサヘッド制御部40は撮像部36に対して撮像指示を発する。
【0050】
そこで、先ず、時刻t=0での画像信号を取得する(ステップS1)。すなわち、時刻t=0における撮像領域30内の画像I(0)を表す画像信号を取得する。
【0051】
この場合、ワーク26の反射光像を形成する反射光48は、撮像面28へ向けて照射され、図示しない結像光学系により適切な光路調整がなされた後、撮像領域30の範囲内において、撮像素子50により光電変換され、撮像信号にされる。前記撮像信号は、センサヘッド制御部40からのタイミング制御信号に同期して増幅され、センサヘッド制御部40に供給される。この撮像信号は、その後に通信部38に供給され、ケーブル16、通信部54、制御部68を介し、画像メモリ70に格納される。
【0052】
このようにして、図5Aに示すような撮像領域30内の画像I(0)が得られる(図3Aも参照)。ここで、撮像領域30内の画像I(0)を表す画像信号は、図6Aに示すように、縦64画素、横64画素、各画素の階調数が256階調(8ビット)で構成される。便宜のため、縦方向の画素番号を−31〜32、横方向の画素番号を−31〜32とそれぞれ対応付ける。
【0053】
[ステップS2]
次いで、撮像領域30内の画像I(0)から標的位置P0を設定する(ステップS2)。
【0054】
画像メモリ70に格納された画像信号のうち、撮像領域30内の画像I(0)を表す画像信号(図5A参照)を読み出し、画像I(0)の中からワーク26の表面32上の模様を抽出部74により抽出する。本実施形態では、抽出部73により抽出された模様の位置を特定するため、その代表的な位置として丸型溝82の中心位置を標的位置P0として求め設定する。
【0055】
例えば、図6Bに示すような二次元座標(x−y座標系)を用いて、撮像領域30内における各画素の対応位置を定義する。x軸方向、y軸方向の1目盛は、画素サイズ(1画素当たりの寸法)の大きさに相当する。
【0056】
そうすると、図6Aに示す画素90、92、94、96、98に対応する二次元座標は、それぞれ(0,0)、(32,32)、(−31,32)、(−31,−31)、(32,−31)である。
【0057】
図5Aに示すように、時刻t=0における画像I(0)の略中央位置に丸型溝82が存在するので、該丸型溝82が模様として抽出される。このとき、上述したように、標的位置P0は、丸型溝82の中心位置である原点(0,0)に設定される。併せて、標的位置の座標P0(0,0)を記憶部56(例えば、RAM71)に記憶しておく。
【0058】
[ステップS3]
次いで、時刻t=1の画像信号I(1)を取得する(ステップS3)。すなわち、時刻t=1における撮像領域30内の画像I(1)を表す画像信号を取得する。
【0059】
時刻がt=1となった時にセンサヘッド制御部40が撮像部36に対し撮像指示を発し、新たに撮像される画像I(1)を表す画像信号が画像メモリ70に格納されるまでの動作については、上述の通りであるから説明を省略する。
【0060】
このようにして、図5Bに示すような撮像領域30内の画像I(1)が得られる。ここで、撮像周期Δtは任意の値に設定可能であるが、本明細書では説明を容易にするため、Δtを1とする。また、撮像周期Δtが一定値でない場合、すなわち、撮像の時間間隔が不定期である場合でも本発明を適用できることはいうまでもない。
【0061】
[ステップS4]
次いで、撮像領域30内の画像I(1)から標的位置P0を探索する(ステップS4)。
【0062】
画像メモリ70に格納された画像信号のうち、画像I(1)に対応する画像信号(図5B参照)を読み出し、画像I(1)の中から標的位置P0が検出部76により検出される。
【0063】
2つの画像I(1)、I(0)から所定の共通位置(あるいは共通領域)を識別する方法として、周知技術である領域ベースマッチングを採用することができる。
【0064】
図7A及び図7Bは、領域ベースマッチングの一例を示す模式図である。
【0065】
図7Aに示すように、画像I(0)の標的位置P0を中心とした所定サイズの領域(例えば、16画素×16画素の領域)を抽出し、テンプレート100として予め記憶部56(例えば、RAM71)に記憶しておく。一方、撮像領域30内の画像I(1)から任意の位置(図7Aでは、撮像領域30の中央右側)を中心とした関心領域102を切り出す。この関心領域102の画像サイズ(縦横の画素数)は、テンプレート100と同一である。テンプレート100及び関心領域102に対してNCC(Normalized Cross Correlation;正規化相互相関)演算子104を作用することによって、NCCが算出される。このNCCは、比較する2つの画像の類似度を表す指標であり、画像処理の技術分野において公知であるため詳細な説明を割愛する。
【0066】
図7Aでは、関心領域102はテンプレート100と酷似しているので、NCCは大きい値を示す。一方、図7Bでは、撮像領域30内の画像I(1)のうち任意の位置(図7Aでは、撮像領域30の中央左端)を中心とした関心領域106を切り出しており、関心領域106はテンプレート100とそれほど類似していないので、NCCは小さい値を示す。
【0067】
このように、撮像領域30内の画像I(1)のうちNCCが最大となる関心領域102の中心位置が、画像I(1)内の標的位置P0であると推定できる。
【0068】
また、図8A及び図8Bは、領域ベースマッチングの他の例を示す模式図である。
【0069】
図8A及び図8Bでは、上記と同様にして切り出されたテンプレート100及び関心領域102、106に対してSAD(Sum of Absolute Difference;信号値差の総和)演算子108を作用することによって、SADが算出される。このSADは、比較する2つの画像の差異度を表す指標であり、画像処理の技術分野において公知であるため詳細な説明を割愛する。
【0070】
図8Aでは、関心領域102はテンプレート100と酷似しているので、SADは小さい値を示す。一方、図8Bでは、撮像領域30内の画像I(1)のうち任意の位置(図8Aでは、撮像領域30の中央左端)を中心とした関心領域106を切り出しており、関心領域106はテンプレート100とそれほど類似していないので、SADは大きい値を示す。
【0071】
このように、撮像領域30内の画像I(1)のうちSADが最小となる関心領域102の中心位置が、画像I(1)内の標的位置P0であると推定できる。
【0072】
図9は、撮像領域30内での標的位置P0の変位量を表す模式図である。ステップS4におけるP0の探索結果を、小数点以下切り捨てて計算し、P0(t=0)=(0,0)、P0(t=1)=(14,0)とすると、標的位置P0の変位量は、ベクトルΔP0=(14,0)となる。
【0073】
なお、画像I(t)を表す画像信号は離散データであるため、標的位置P0の座標は、画素の整数倍(つまり、整数値)でしか表現できない。しかし、サブピクセル推定を用いれば、画素分解能を超えた座標表現をすることができる。
【0074】
ここで、「サブピクセル推定」とは、離散データの座標表現に際し、仮想的に有理数を導入する位置推定方法である。これにより、空間分解能を疑似的に向上できるとともに、量子化誤差の発生を防止することができる。
【0075】
サブピクセル推定の具体例について説明する。先ず、画像信号の各画素を中心位置としてNCC(SAD)を求め、その最大値(最小値)近傍の3画素×3画素の領域を抽出する。x軸に対するNCC(SAD)の傾向(3組のデータ)を2次曲線で補間し、この2次曲線の軸に相当する位置(画素の有理数倍値)を算出し、標的位置P0のx軸座標として決定する。同様にして、y軸に対するNNC(SAD)の傾向(3組のデータ)を2次曲線で補間し、この2次曲線の軸に相当する位置(画素の有理数倍値)を算出し、標的位置P0のy軸座標として決定する。このようにして、標的位置P0のx座標、y座標を求めることができる。
【0076】
サブピクセル推定を用いる場合、図9に示すP0の探索結果はP0(t=0)=(0,0)、P0(t=1)=(14.5,0)であり、標的位置P0の変位量は、ベクトルΔP0=(14.5,0)とより高精度になる。
【0077】
また、本実施形態におけるサブピクセル推定は上述した方法に限定されることなく、種々の方法を採ることができる。
【0078】
[ステップS5]
次いで、標的位置P0に対応する位置が撮像領域30内の画像I(1)に存在するか否かについて判定を行う(ステップS5)。この判定は、図2に示す判定部75により、ステップS4における標的位置P0の探索結果に基づいて行われる。
【0079】
例えば、撮像領域30内の画像I(1)に標的位置P0に係る模様(丸型溝82)の一部が欠けている場合、上述した領域ベースマッチングによる検索演算を行うと、撮像領域30内に標的位置P0が現に存在するにもかかわらず、その探索に失敗する可能性がある。
【0080】
かかる場合は、抽出部74により抽出された模様(丸型溝82)が次の撮像の際に撮像領域30を外れるおそれがあるとして、現時点における撮像領域30内の画像I(1)に存在しないとの判定に含めることができる。
【0081】
[ステップS6]
標的位置P0に対応する位置が撮像領域30内の画像I(1)に存在すると判定した場合は、画像I(0)から画像I(1)までの標的位置P0の変位量であるベクトルΔP0を算出し(ステップS6)、その値を記憶部56(例えば、RAM71)に記憶する。この計算は、図2に示す算出部77により行われる。
【0082】
[ステップS7]
次いで、測定対象物としてのワーク26の表面32上の所定の長さを測定する(ステップS7)。その詳細な方法については後述する。
【0083】
[ステップS8〜S9]
次いで、撮像終了判定(ステップS8)を行う。ハードウェア又はソフトウェア割り込みによる撮像終了指示がなく、センサヘッド12を用いた撮像を継続する場合は、次の時刻(t=2)での画像I(2)を表す画像信号を取得可能となるまで所定時間だけ待機する(ステップS9)。
【0084】
以下、撮像を継続し、標的位置P0に対応する位置が撮像領域30内の画像I(t)に存在する限りは、ステップS3〜S9を繰り返す。
【0085】
[ステップS10]
その後、図3Bに示すように、所定時刻tにおいて、標的位置P0に対応する位置が撮像領域30内の画像I(t)に存在しないと初めて判定される場合は、撮像領域30内の画像I(t)から、標的位置P0と異なる新たな標的位置P1を設定する(ステップS10)。図2に示すように、画像メモリ70に格納された画像信号のうち、画像I(0)に対応する画像信号を読み出し、画像I(0)の中からワーク26の表面32上の新たな模様が抽出部73により抽出される。ステップS1と同様に、抽出部73により抽出された新たな模様の代表的な位置としての標的位置P1を求め設定し、併せて、新たな標的位置の座標P1を記憶部56(例えば、RAM71)に記憶しておく。
【0086】
撮像領域30内の画像I(t)から、標的位置P0と異なる新たな標的位置P1を設定する方法について、図10に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0087】
先ず、画素値分布に基づいた候補位置の抽出を行う(ステップS101)。
【0088】
新たに設定した標的位置P1の周辺領域がすべて均一な画素値を有する場合、撮像領域30内の画像I(t)における標的位置P1の探索(図4に示すステップS4)が極めて困難である。そこで、近隣画素の画素値ばらつきが比較的大きく探索可能であると見込める位置を、標的位置P1の候補位置{Qj}として抽出する。
【0089】
ここでは、候補位置が複数個(M個)存在する場合を考慮して、候補位置の群を{Qj}(j=1、2、…、M)と記載する。
【0090】
図11に示すように、撮像領域の中央画素(0,0)を起点として4つの矢印方向(SE、SN、SW、SS)に向けて各画素について画像特徴値を順次算出し、その画像特徴値が所定値を初めて超えた画素を候補位置として選定する。ここで、画像特徴値とは、近隣画素の画素値ばらつきの増加につれて大きくなる評価値である。例えば、関心領域(図7に示す関心領域102等と同じ定義)内の標準偏差、関心領域内における画素値とその平均値との信号値差の総和等を画像特徴値とすることができる。
【0091】
矢印SE方向には三角型溝84が、矢印SW方向には四角型溝86がそれぞれ存在するので、これらの重心位置が候補位置として選定される。一方、中央画素(0,0)から矢印SN方向、矢印SS方向に対しても各画素について画像特徴値を順次算出するものの、撮像領域30の境界付近まで画素値が均一であるため、候補位置{Qj}が存在しないものとしてこの演算を終了する。
【0092】
上述の方法を採れば、撮像領域の全画素に対して画像特徴値を算出する場合と比較して、処理演算量を大幅に低減することができる。このようにして、高々4個(図11では2個)の候補位置{Qj}を抽出する。
【0093】
次いで、前回の標的位置P0と候補位置{Qj}との位置関係を調査する(ステップS102)。
【0094】
少なくとも1以上の撮像領域30内の画像I(t)に、前回の標的位置P0と今回設定される標的位置P1とが併存することを要する。さもなければ、標的位置P0と標的位置P1との相対的位置関係が特定できないからである。ステップS91で抽出されたすべての候補位置{Qj}に対して、少なくとも1以上の撮像領域30内の画像I(t)に、標的位置P0と候補位置{Qj}とが併存するか否かを調査する。
【0095】
ここでは、撮像領域30内の画像I(t−1)には標的位置P0が必ず存在することを利用し、撮像領域30内の画像I(t−1)に候補位置{Qj}が存在するか否かを判断する方法を採ることができる。かかる場合、上述した領域ベースマッチングを用いることができる。
【0096】
最後に、候補位置{Qj}の中から1つの位置を選択し、新たな標的位置P1を前記1つの位置に設定する(ステップS103)。例えば、撮像領域30内の画像I(t−1)に候補位置{Qj}が1個存在する場合は、標的位置P1をその候補位置に設定される。また、撮像領域30内の画像I(t−1)に候補位置{Qi}が複数個存在する場合は、標的位置P1を、その複数の候補位置{Qj}のうち画像特徴値が最大となる候補位置に設定する。
【0097】
このようにして、撮像領域30内の画像I(t)から、標的位置P0と異なる新たな標的位置P1を設定することができる。
【0098】
[ステップS11]
次いで、標的位置P0の追跡変位量であるベクトルP01を算出する(ステップS11)。この計算は、図2に示す算出部77により行われる。
【0099】
本実施形態では、撮像領域30内の画像I(t−1)に標的位置P0及びP1が併存するようにP1を設定したので、ベクトルP01を容易に求めることができる。このようにして、ステップS10及びS11で、現在の標的位置P0(一般式ではPi)に対して新たな標的位置P1(一般式ではPi+1)を設定する。
【0100】
次いで、撮像終了判定(ステップS8)を行う。現時点で終了指示がなく撮像を継続する場合は、次の時刻(t+1)での撮像領域30内の画像I(t+1)を取得可能となるまで所定時間だけ待機する(ステップS9)。
【0101】
[ステップS7の詳細な説明]
上述したように、撮像の都度に、すなわちリアルタイムで、測定対象物としてのワーク26の表面32上の所定の長さを測定する(ステップS7)。以下、その測定方法について図12に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0102】
本実施形態に係る位置測定方法を用いて、ワーク26の表面32上に、(N+1)個の標的位置(Nは自然数)、すなわち、P0〜PNが設定されたものとする(図13参照)。図2に示すRAM71に格納された追跡変位量ベクトル{Pii+1}のデータが読み出され、このデータに基づいて測定部78により測長される。
【0103】
先ず、測長の始点である第1ポイントX1と、測長の終点である第2ポイントX2を指定する(ステップS71)。指定方法の一例として、図2に示す表示部62に表示された画像等を参考にして、ユーザがGUI等の設定手段によって第1ポイントX1及び第2ポイントX2を設定できる。また、ワーク26の表面32に始点/終点を識別可能なマーカを施してもよい。ユーザは、通常、測長を開始する前に測長の始点である第1ポイントX1を予め設定しておく。
【0104】
次いで、第1ポイントX1近傍にある標的位置Pm(0≦m≦N)を決定する(ステップS72)。ここで、少なくとも1つの撮像領域30内の画像I(t)に、第1ポイントX1と標的位置Pmとが併存することを要する。かかる条件を満たす標的位置Pmであればどの位置を選択してもよい。
【0105】
次いで、第1ポイントX1と標的位置Pmとの相対位置であるベクトルX1mを算出する(ステップS73)。所定の時刻t1における撮像領域30内の画像I(t1)が表す領域内に第1ポイントX1及び標的位置Pmが併存するので、ベクトルX1mを容易に求めることができる。
【0106】
次いで、第2ポイントX2近傍にある標的位置Pn(0≦m<n≦N)を決定する(ステップS74)。ここで、少なくとも1つの撮像領域30内の画像I(t)に、第2ポイントX2と標的位置Pnとが併存することを要する。かかる条件を満たす標的位置Pnであればどの位置を選択してもよい。
【0107】
次いで、第2ポイントX2と標的位置Pnとの相対位置であるベクトルPn2を算出する(ステップS75)。所定の時刻t2における撮像領域30内の画像I(t2)が表す領域内に第2ポイントX2及び標的位置Pnが併存するので、ベクトルX2nを容易に求めることができる。
【0108】
最後に、第1ポイントX1と第2ポイントX2との変位を算出する(ステップS76)。変位ベクトルX12は、式(1)によって求められる。
【0109】
【数1】

【0110】
このように、抽出部74(図2参照)により抽出された模様の代表的位置である標的位置{Pi}は追跡点としての機能を果たす。よって、少なくとも一つの標的位置が存在する画像内の任意の位置について、式(1)のように表現することができる。
【0111】
最後に、画素数を単位とするx軸変位量、y軸変位量に対し、画素サイズ(1画素当たりの寸法)を乗算することにより、実寸の長さが求められる。なお、画素サイズは、既知である撮像倍率(図示しない結像光学系の設定)と、既知である撮像素子50の解像度とに基づいて算出できる。
【0112】
なお、測長前に(既知のサイズの)高精度のリファレンス目標物を撮像し、画素数を計測し、既知のサイズから画素数を除算することにより、画素サイズを求めることもできる。
【0113】
また、計測開始位置である第1ポイントX1の位置を予め設定するようにすれば、標的位置{Pi}を特定するのに必要な画像I(t)を表す画像信号のみを記憶部56の画像メモリ70に記憶し、その他の画像I(t)を表す画像信号を記憶しない(所定の画像処理後に破棄する)構成であっても上述の位置測定方法を実現できる。かかる場合、記憶部56の記憶容量を低減でき、且つメモリアクセス回数を低減できるため好ましい態様である。
【0114】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0115】
例えば、本実施形態では、照明光46がワーク26の表面32で反射され、その反射光像を撮像素子50で撮像する構成を採っているが、自然光を用いてもよいし、自ら発光する測定対象物の光像を撮像素子50で撮像してもよい。
【0116】
また、撮像素子50は、モノクロセンサ(単一の受光波長特性を有する素子)でもカラーセンサ(複数種の受光波長特性を有する素子)でも構成可能である。かかる場合は、画像処理装置14は、取得した画像信号のデータ種類に適した通信や画像処理を行うことができる。
【0117】
さらに、本実施形態では、センサヘッド12の位置及び姿勢を固定し、コンベア20の搬送動作により該コンベア20上に載置されたワーク26を移動させる場合を示したが、センサヘッド12をワーク26の表面32上を相対的に移動させる手段はこれに限定されない。例えば、ワーク26を固定しながらセンサヘッド12をワーク26の表面32に対して平行に移動させて撮像してもよい。また、測定対象物自体が駆動機構を有しており、移動する測定対象物を撮像してもよい。
【0118】
さらに、本実施形態における画像処理部58に周知技術である画像認識処理を備えるように構成すれば、二次元測長だけでなく、形状判別や色判別を行うこともできる。
【0119】
さらに、本発明に係る位置測定装置及び位置測定方法は、二次元座標(X,Y)のみならず三次元座標(X,Y,Z)にも適用できる。かかる場合は、Z軸方向の変位は、模様の拡大率・縮小率を検出することにより実現できる。
【0120】
さらに、任意の2点の位置を測定すれば、その長さ、三次元変位、角度(第三の位置を中心とした角度方向の変位)を一意に定めることが可能である。したがって、本発明に係る位置測定装置及び位置測定方法は、測長センサや変位センサだけでなく、角度センサや加速度センサ等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0121】
10…位置測定装置 12…センサヘッド
14…画像処理装置 16…ケーブル
26…ワーク 30…撮像領域
32…表面 34…照明部
36…撮像部 38、54…通信部
40…センサヘッド制御部 46…照明光
48…反射光 56…記憶部
58…画像処理部 68…制御部
74…抽出部 75…判定部
76…検出部 77…算出部
78…測定部 82、88…丸型溝
84…三角型溝 86…四角型溝
90、92、94、96、98…画素 100…テンプレート
102、106…関心領域 104…NCC演算子
108…SAD演算子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物よりも小さい寸法の撮像領域を有するイメージセンサを、前記測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、前記測定対象物の表面を撮像して前記撮像領域内の画像を得、得られた前記撮像領域内の画像を用いて前記測定対象物の表面上の位置を測定する位置測定装置であって、
所定の時点における前記撮像領域内の画像から前記測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記模様の、前記所定の時点以後の時点における前記撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記変位量及び前記寸法に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定する測定部と、
を有することを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の位置測定装置において、
前記抽出部により抽出された前記模様に関する位置情報を記憶する記憶部を有し、
前記測定部は、前記変位量、前記寸法及び前記記憶部により記憶された前記位置情報に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定する
ことを特徴とする位置測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記抽出部は、抽出された前記模様が存在する撮像領域内の画像から前記模様と異なる新たな模様を抽出する
ことを特徴とする位置測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記抽出部により抽出された前記模様が現時点における撮像領域内の画像に存在するか否かの判定を行う判定部を有し、
前記抽出部は、前記判定部により前記模様が前記現時点における撮像領域内の画像に存在しないと判定したとき前記現時点における撮像領域内の画像から前記新たな模様を抽出する
ことを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記記憶部は、前記模様のテンプレートを記憶し、
前記検出部は、前記記憶部により記憶された前記テンプレートを用いて領域ベースマッチングに基づき前記模様の変位量を算出する
ことを特徴とする位置測定装置。
【請求項6】
測定対象物よりも小さい寸法の撮像領域を有するイメージセンサを、前記測定対象物の表面上を相対的に移動させながら、前記測定対象物の表面を撮像して前記撮像領域内の画像を得、得られた前記撮像領域内の画像を用いて前記測定対象物の表面上の位置を測定する位置測定方法であって、
所定の時点における前記撮像領域内の画像から前記測定対象物の表面上の模様を抽出する抽出工程と、
前記抽出部により抽出された前記模様の、前記所定の時点以後の時点における前記撮像領域内の画像中での変位量を検出する検出工程と、
前記検出部により検出された前記変位量及び前記寸法に基づいて前記測定対象物の表面上の位置を測定する測定工程と、
を備えることを特徴とする位置測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−17559(P2011−17559A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160860(P2009−160860)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】