説明

位置送信装置、無線通信装置、位置管理システム、及び位置送信方法

【課題】管理対象が屋内又は屋外のいずれに位置するかを問わず、管理対象の位置を簡便に把握することができる位置管理システムを提供する。
【解決手段】位置管理システムの携帯局において、無線により通話を行うためのスピーカ・マイク装置11を有する無線通信手段12と、GPSを利用して現在位置を取得する手段23、24と、スピーカ・マイク装置に内蔵された電子タグのリーダ41とを設け、スピーカ・マイク装置は本体に対しケーブルを介して接続し、GPSにより取得した位置及び各所定位置に設けられた各電子タグから読み取った各位置に関する情報を所定の周波数で無線送信するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS及び電子タグを利用して得られる位置に関する情報を送信する位置送信装置、該位置送信装置を有する無線通信装置、これらの装置を用いて構成される位置管理システム、並びに該位置送信装置又は無線通信装置における位置送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、位置管理システムで使用する携帯用無線機は、屋外でGPS(グローバル・ポジショニング・システム)衛星Sからの電波を受信するGPS受信装置を備える。図8はこのような従来の一般的なGPS位置管理システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このシステムは、警備員が携帯する携帯局P、及び警備員の位置を管理する基地局Bにより構成される。
【0003】
携帯局Pは警備員が基地局Bとの間で通話を行うためのGPSスピーカ・マイク装置81、及びGPSスピーカ・マイク装置81が接続される無線機82を備える。基地局Bは無線機82と通信を行うことができる無線機83、及び無線機83を制御し、無線機83からのデータを処理するパソコン84を備える。GPSスピーカ・マイク装置81は、GPSシステムを利用して現在位置を示す位置データを取得する機能を備えている。
【0004】
図9は、GPSスピーカ・マイク装置81及び無線機82の構成を示すブロック図である。同図に示すように、GPSスピーカ・マイク装置81は音波を音声信号に変換するマイクロフォン91、無線機82が受信した音声信号を音波に変換するスピーカ92、GPS衛星Sからの電波を受信するためのGPSアンテナ93、GPSアンテナ93からの電波に基づき、位置データを生成するGPS受信装置94を備える。
【0005】
無線機82は、バッテリ95から無線機82への電力供給をオン状態又はオフ状態とするための電源スイッチ96、電源スイッチ96を経て供給される電力を装置各部に対し所定の電圧で供給する電源回路97、必要な情報処理を行い、装置各部の制御を行うCPU98、高周波の信号処理を行うRF回路99、CPU98からの指令に基づき、RF回路99における周波数等の制御を行う制御回路100、並びにRF回路99とマイクロフォン91及びスピーカ92との間で授受する低周波信号についての処理を行うAF回路101を備える。
【0006】
GPSスピーカ・マイク装置81において、GPS受信装置94はGPS衛星からの電波に基づき、GPS受信装置94の現在位置を示す位置データを取得する。位置データは無線機82に送られ、CPU98により、RF回路99を経て送信される。この位置データを受信すると、無線機83は該位置データをパソコン84に送る。この位置データはパソコン84において、携帯局Pを携帯する警備員の位置を管理するために処理される。
【0007】
また、マイクロフォン91を介して入力される音声信号は、AF回路101及びRF回路99を経て送信され、無線機83によって受信される。一方、無線機83から送信される内容は、無線機82で受信され、RF回路99及びAF回路101を経て、スピーカ92から出力される。
【0008】
これによれば、GPS受信装置94がGPS衛星Sからの電波に基づいて取得し、無線機82により送信される位置データに基づき、基地局Bは、高い精度でGPS受信装置94の位置を追跡し、管理することができる。なお、特許文献1には、GPSスピーカ・マイク装置81として使用することができるスピーカ・マイク装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平9−139691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述従来のGPS位置管理システムによれば、携帯局Pを携帯した警備員が屋外にいる間は、GPS衛星Sからの電波に基づき、警備員の正しい現在位置を得ることができる。しかしながら、GPS衛星Sからの電波を捕捉することができない屋内やトンネル内等においては、正確な位置を取得することができなくなるという問題がある。
【0011】
このため、従来、このようなGPS位置管理システムを用いて広い敷地を有する事業所や工場内等を巡回する警備員の位置を管理する場合、警備員が屋外にいる間だけGPSによる位置検出機能を使用して警備員の位置を把握し、警備員が屋内に入ったときには警備員が、携帯している無線機82により現在位置を知らせる等の手段を用いている。
【0012】
しかしながら、これによれば、屋内に入った警備員の位置の履歴を残すためには、管理者が、パソコン84において、手入力で必要な情報の入力を行ったり、手書きで必要な情報を記録したりする必要がある。また、警備員に不慮の事故があった場合、現在位置を正確に特定することができないので、最後に報告され又は測位された位置から現在位置を推測するしか採り得る方策がなく、迅速に対応することができない。また、位置管理の対象となる者が、屋外よりも屋内の方に多く存在する等の場合には、GPSを利用した位置管理システムは不向きである。
【0013】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、管理対象が屋内又は屋外のいずれに位置するかを問わず、管理対象の位置を正確かつ簡便に把握することができる位置管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る位置送信装置は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、電子タグのリーダと、現在位置取得手段が取得する現在位置に関する情報が送信可能で、かつ、所定の各位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された電子タグからリーダが読み取った該位置に関する情報が送信可能な、無線による位置送信手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
ここで、位置送信装置としては、たとえば、携帯用無線機やトランシーバを利用したものが該当する。電子タグとしては、たとえば、能動型のRFIDタグや受動型のRFIDタグが該当する。位置送信手段としては、たとえば、無線機の送信機能を利用したものが該当する。リーダが読取り可能な電子タグまでの距離は、たとえば数センチから数メートルの範囲が該当する。
【0016】
この構成において、たとえば警備員が位置送信装置を携帯して巡回を行う際、屋外を巡回している間は、位置送信装置はGPS衛星からの電波を受信することができるので、GPSを利用して現在位置を取得し、位置に関する情報を送信することができる。一方、GPSからの電波を受信することができない屋内を巡回している間は、GPSを利用して現在位置を取得することができないので、警備員は屋内を巡回しながら、所定の各位置に設けられた各電子タグからリーダにより順次その位置に関する情報を読み取らせることができる。リーダが読み取った位置に関する情報は、位置送信手段により送信される。送信される位置に関する情報は、所定の基地局において受信され、警備員の位置の把握に供される。
【0017】
これによれば、位置が把握されるべき警備員等は屋内等の、GPS衛星からの電波が届かない箇所を移動している場合でも、無線通話等により位置を報告する必要なく、リーダにより電子タグの情報を読み取らせるだけで、移動中の位置を知らせることができる。
【0018】
第2の発明に係る無線通信装置は、第1発明において、無線により通話を行うためのスピーカ及びマイクを備えたスピーカ・マイク装置を有する無線通信手段と、GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、電子タグのリーダと、現在位置取得手段が取得する現在位置に関する情報が送信可能で、かつ所定の各位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された電子タグからリーダが読み取った該位置に関する情報が送信可能な、前記無線通信手段を用いた位置送信手段とを備え、スピーカ・マイク装置は無線通信手段の本体に対しケーブルを介して接続されており、リーダはスピーカ・マイク装置に内蔵されていることを特徴とする。
【0019】
リーダから電子タグまでの読取り可能な距離が比較的短い場合、その距離の範囲内となるまでリーダを電子タグに近接させる必要がある。本発明の場合、リーダがスピーカ・マイク装置に内蔵されているので、スピーカ・マイク装置を電子タグに近づけることによって、容易にリーダを電子タグに近接させることができる。
【0020】
第3の発明に係る装置は、第1又は第2発明において、位置送信手段は、位置に関する情報の送信に際し、現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合にはその現在位置に関する情報を、現在位置を取得できない場合にはリーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報を、送信するものであることを特徴とする。
【0021】
第4の発明に係る装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、無線による所定のポーリング要求を受信する受信手段を備え、位置送信手段は、位置に関する情報の送信を、該ポーリング要求の受信に応答して行うものであることを特徴とする。
【0022】
第5の発明に係る装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、タイマを備え、位置送信手段は、位置に関する情報の送信を、タイマにより所定の期間の経過が計測される毎に行うものであることを特徴とする。
【0023】
第6の発明に係る装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、GPSによる現在位置の取得を行うことができない場合、リーダの電源をオン状態とする手段を有することを特徴とする。
【0024】
第7の発明に係る位置管理システムは、第1〜第6のいずかの発明に係る装置、及び該装置から送信される位置に関する情報を受信し、該情報に基づく所定の処理を行う位置管理装置を具備することを特徴とする。
【0025】
第8の発明に係る位置送信方法は、GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、電子タグのリーダと、与えられた位置に関する情報を無線送信する位置送信手段とを備え、移動体に付随して移動する位置送信装置において、各所定位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された各電子タグの所定の近傍に至ったときに該電子タグからその位置に関する情報をリーダが読み取る工程と、所定の各タイミングにおいて、現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合におけるその現在位置に関する情報、及びリーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報であって未送信のものがある場合におけるその未送信の情報を位置送信手段により送信する工程とを具備することを特徴とする。
【0026】
第9の発明に係る位置送信方法は、GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、電子タグのリーダと、与えられた位置に関する情報を無線送信する位置送信手段とを備え、移動体に付随して移動する位置送信装置において、各所定位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された各電子タグの所定の近傍に至ったときに該電子タグからその位置に関する情報をリーダが読み取る工程と、所定の各タイミングにおいて、現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合にはその現在位置に関する情報を、現在位置を取得できない場合にはリーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報を、位置送信手段により送信する工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、位置送信装置又は無線通信装置とともに移動する管理対象が屋内又は屋外のいずれに位置するかを問わず、管理対象は容易にその位置を知らせることができ、かつ管理する側は管理対象の位置を容易に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の一実施形態に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このシステムは、警備員が携帯する携帯局P、警備員の位置を管理する基地局B、及び所定の位置に配置された受動型のRFIDタグTにより構成される。RFIDタグTは、警備員による巡回経路のうち、屋内に存在する部分において、警備員の位置を把握したい各地点に配置されている。具体的には、屋内への入口や、各階の階段の入口、見回る部屋の入口等の要所に貼り付けられる。
【0029】
携帯局Pは警備員が基地局Bとの間で通話を行うためのスピーカ・マイク装置11、及びスピーカ・マイク装置11が接続される無線機12を備える。基地局Bは無線機12と通信を行うことができる無線機13、及び無線機13を制御し、無線機13からのデータを処理するパソコン14を備える。スピーカ・マイク装置11は、GPSシステムを利用して現在位置を示す位置データを取得し、またRFIDタグTに記録されているRFID情報を読み取る機能を備えている。各RFIDタグTのRFID情報にはその位置を示す位置データが含まれている。
【0030】
図2は、スピーカ・マイク装置11及び無線機12の構成を示すブロック図である。同図に示すように、スピーカ・マイク装置11は、音波を音声信号に変換して無線機12に送るマイクロフォン21、無線機12が受信した音声信号を音波に変換するスピーカ22、GPS衛星からの電波を受信するためのGPSアンテナ23、GPSアンテナ23からの信号に基づき、位置データを取得するGPS受信装置24、RFIDタグTに記録されているRFID情報を電波で読み取るRFIDリーダ41、及び各種のスイッチ42を備える。
【0031】
無線機12は、バッテリ25から無線機12への電力の供給をオン又はオフするための電源スイッチ26、電源スイッチ26を経て供給される電力を装置各部に対し所定の電圧で供給する電源回路27、必要な情報処理を行い、装置各部の制御を行うCPU28、高周波についての信号処理を行うRF回路29、CPU28の指令に基づき、RF回路29における周波数等の制御を行う制御回路30、RF回路29とマイクロフォン21及びスピーカ22との間で授受する低周波信号についての処理を行うAF回路31、並びに、CPU28からの指令に基づき、電源回路27からGPS受信装置24及びRFIDリーダ41への電力供給のオン・オフを制御するSW回路32を備える。
【0032】
スイッチ42はCPU28に対して指令を与えるためのものであり、RFIDリーダ41への電力供給を常にオン状態とするか、又は読取りを行うために設定キーが押下されたときにオンとするかを選択するためのスイッチ、該設定キーとしてのキースイッチ、及び送話を行うときに押下されるプレス・ツー・トークスイッチ(以下、「PTTスイッチ」という。)等で構成される。なお、PTTスイッチの代わりに、ハンズフリー通話を行うためのVOX回路を設けるようにしてもよい。
【0033】
スピーカ・マイク装置11において、GPS受信装置24はGPS衛星Sからの電波に基づき、GPS受信装置24の現在位置を示す位置データを取得することができる。位置データは無線機12に送られ、CPU28により、RF回路29を経て送信される。基地局Bの無線機13は、この送信された位置データを受信することができる。受信された位置データは、パソコン14に送られ、携帯局Pを携帯している警備員の位置を管理するために処理される。
【0034】
スピーカ・マイク装置11のPTTスイッチが押下されたとき、マイクロフォン21を経て入力される音声信号は、AF回路31及びRF回路29を経て送信され、無線機13によって受信される。一方、無線機13からの送信内容は、無線機12で受信され、RF回路29及びAF回路31を経て、スピーカ22から聞くことができる。
【0035】
また、RFIDタグTの存在する位置において、警備員がスピーカ・マイク装置11をRFIDタグTにかざし、キースイッチを押下すると、RFIDリーダ41はRFIDタグTに記録されているRFID情報を読み取ることができる。RFIDリーダ41の電源が常にオン状態となるように予め設定されている場合は、キースイッチの押下は不要であり、スピーカ・マイク装置11をRFIDタグTにかざすだけで、読取りを行うことができる。
【0036】
スピーカ・マイク装置11には、RFIDリーダ41によるRFID情報の読取り中であること、及び読取りを完了したことを示すLEDや、LCD等の表示器が設けられている。RFIDリーダ41が読み取ったRFID情報中の位置データは、CPU28にシリアル通信で転送され、GPS受信装置24からの位置データの場合と同様にしてパソコン14に送られ、警備員の位置管理に供される。
【0037】
図3は基地局Bからのポーリングに応答して、携帯局Pが位置データを基地局Bに送信する場合の動作を示すフローチャートである。同図(a)は携帯局Pにおける無線機12の動作を示しており、同図(b)はGPS受信装置24の動作を示しており、同図(c)はRFIDリーダ41の動作を示している。
【0038】
同図(a)に示すように、電源がオン状態にされると、無線機12は、ステップS1において、基地局Bからのポーリング要求の受信の有無を監視する。ポーリング要求の受信を検出すると、ステップS2において、GPS受信装置24からのGPS情報が得られるか否かを判定する。得られると判定した場合にはステップS3において、GPS情報に基づく位置データを基地局Bの無線機13に送信し、得られないと判定した場合にはステップS4において、位置データが得られない旨を無線機13に送信する。
【0039】
次に、ステップS5において、最新のRFID情報の有無を判定する。最新のRFID情報とは、最後にRFIDリーダ41によって読み取られたRFID情報であって、未だ基地局Bに送信していないものを意味する。最新のRFID情報が有ると判定した場合には、ステップS6において、そのRFID情報を基地局Bの無線機13に送信し、最新のRFID情報が無いと判定した場合には、ステップS7において、その旨を無線機13に送信する。その後、ステップS1に戻り、ステップS1〜S7の処理を繰り返す。このようにして、携帯局Pの無線機12は、基地局Bからのポーリングに応答し、GPSによる位置データ及びRFID情報の双方又は一方を基地局Bに供給する。
【0040】
一方、同図(b)に示すように、GPS受信装置24はオン状態にされると、ステップS8において、GPS衛星Sからの電波を捕捉できるか否かを監視する。捕捉できる場合には、ステップS9においてGPSデータを受信し、ステップS10において、GPSデータに基づく位置データを無線機12のCPU28へ送る。その後、ステップS8に戻り、ステップS8〜S10を繰り返す。このようにして、GPS衛星からの電波を捕捉できる限りにおいて、GPS受信装置24は、現在位置を示す位置データをCPU28へ送り続ける。
【0041】
他方、同図(c)に示すように、RFIDリーダ41は、ステップS11及びS12において、常時オン状態となるように設定されており、又はキースイッチの押下によりオン状態にされたと判定すると、ステップS13において、RFIDタグTから情報を読み取れるかどうかを監視する。読み取れることを検出した場合には、ステップS14において、RFID情報の読取りを行い、ステップS15において、そのRFID情報をCPU28に送る。
【0042】
その後、ステップS11へ戻り、ステップS11〜S15を繰り返す。これにより、RFIDタグTが配置されている場所では、RFIDリーダ41がオン状態にあれば、携帯局Pを携帯している警備員がRFIDタグTに対してスピーカ・マイク装置11をかざすことにより、RFIDタグTの情報が読み取られ、その位置データがCPU28に送られることになる。CPU28はそのRFID情報を基地局Bからのポーリングに備えて保持しておく。
【0043】
以上の図3(a)〜(c)の処理により、基地局Bからのポーリング要求に応じて携帯局Pは、GPSに基づく位置データ又は最新のRFID情報を提供することができる。そして、提供されるこれらの情報に基づき、基地局Bは携帯局Pを携帯している警備員の位置を把握し、管理することができる。
【0044】
これによれば、屋外の巡回経路上では自動的に位置データが基地局Bに送信されるとともに、GPS衛星からの電波が届かない屋内等の巡回経路部分においても、携帯局Pを携帯している警備員はRFIDタグTが設置してあるところで、スピーカ・マイク装置11をそのまま、又はキースイッチを押下しながら、RFIDタグTにかざすだけで、現在の位置を基地局Bに報告することができる。したがって、警備員は屋内に入った場合でも、音声による無線通信を行うことなく、容易に現在位置を基地局Bに伝えることができる。また、基地局Bでは、警備員の現在位置を、音声ではなく、データとして取得することができるので、警備員の移動の履歴を、音声に基づいて管理者が入力する必要はなく、自動的に記録することができる。
【0045】
また、警備員は、無線機12を身体に対しベルトクリップ等で装着させたまま、スピーカ・マイク装置11をRFIDタグTにかざすだけで、RFID情報の読取りを行うことができる。なお、RFIDタグTは受動型であり、電源等を必要としない。このため、任意の場所に貼って設置することができる。したがって、現在位置を報告させたい場所を追加するための工事は容易に行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、無線機12は基地局Bからのポーリング要求に応答して位置データ又はRFID情報を基地局Bに送信するようにしているが、この代わりに、所定の時間間隔毎にこれらの情報を基地局Bに送信するようにしてもよい。図4はこの場合の無線機12の動作を示すフローチャートである。電源がオン状態とされると、無線機12はステップS41においてタイマによる経過時間の計測を開始し、ステップS42においてタイマによる計測時間が所定の時間に達するのを監視する。所定時間に達したことを検出すると、ステップS43〜S48において、図3(a)のステップS2〜S7と同様にして、位置データ若しくは最新RFID情報又はそれらの情報が無い旨を基地局Bに送信し、ステップS41に戻る。
【0047】
これによれば、基地局Bからのポーリング要求は不要であり、無線機12側の動作のみで、現在位置の報告を行うことができる。なお、GPS受信装置24及びRFIDリーダ41の動作は、図3の場合と同様である。
【0048】
図6は本発明の別の実施形態に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。図中の図2と同一の符号は同様の要素を示す。このシステムにおいては、図2のものにおいては存在しなかった要素として、スピーカ・マイク装置11はスイッチ回路61及びCPU62を備えている。スイッチ回路61はGPS受信装置24及びRFIDリーダ41への電力供給をオン又はオフ状態とするものである。スイッチ回路32はスイッチ回路61及びCPU62への電力供給をオン又はオフ状態とする。CPU62はスイッチ42を構成するキースイッチ等の操作に応じて、スイッチ回路61の動作を制御し、また、GPS受信装置24又はRFIDリーダ41からの位置データやRFID情報を無線機12のCPU28に送る。他の点については、図2の場合と同様である。
【0049】
図7は基地局Bからのポーリングに応答して、携帯局Pが位置情報を基地局Bに送信する場合の動作を示すフローチャートである。同図(a)は携帯局Pにおける無線機12の動作を示しており、同図(b)はスピーカ・マイク装置11の動作を示しており、同図(c)はRFIDリーダ41の動作を示している。
【0050】
同図(a)に示すように、電源がオン状態にされると、無線機12のCPU28は、ステップS71において、基地局Bからのポーリング要求の受信の有無を監視する。ポーリング要求の受信を検出すると、ステップS72において、スピーカ・マイク装置11のCPU62に対し、位置データを要求する。次に、ステップS73において、位置データが得られたか否かを判定する。得られたと判定した場合にはステップS74において、得られた最新の位置データを基地局Bの無線機13に送信し、得られなかったと判定した場合にはステップS75において、位置データが得られなかった旨を無線機13に送信する。最新の位置データとは、GPS受信装置24又はRFIDリーダ41から得られた位置データやRFID情報のうちの最新のものを意味する。その後、ステップS71に戻り、ステップS71〜S75の処理を繰り返す。このようにして、携帯局Pの無線機12は、基地局Bからのポーリングに応答し、最新の位置データを基地局Bに供給する。
【0051】
一方、同図(b)に示すように、スピーカ・マイク装置11がオン状態にされると、CPU62は、ステップS76において、CPU28からの位置データ要求の受信の有無を監視する。位置データ要求の受信を検出すると、ステップS77において、GPS受信装置24によりGPS衛星からの電波を捕捉できるか否かを判定する。捕捉できると判定した場合にはステップS78においてGPSデータの受信を行い、捕捉できないと判定した場合にはステップ79において、GPSデータが得られない旨を認識する。
【0052】
次に、ステップS80において、最新の位置データを判別し、ステップS82においてその位置データを、無線機12のCPU28へ送る。最新の位置データとは、上述のように、GPS受信装置24又はRFIDリーダ41から得られた位置データやRFID情報のうちの最新のものを意味する。したがって、GPS衛星からの電波を捕捉し、現在位置の測位を行うことができる位置に携帯局Pが位置している限りにおいては、GPS情報に基づく位置データがCPU28に送られることになる。携帯局Pがそのような位置にない場合には、RFID情報のうち最新のものが、CPU28に送られることになる。そのような送るべき位置情報が無い場合には、その旨をCPU28に送る。この後、ステップS76に戻り、ステップ76〜S82の処理を繰り返す。
【0053】
他方、同図(c)に示すように、RFIDリーダ41は、ステップS83及びS84において、常時オン状態となるように設定されており、又はキースイッチの押下によりオン状態にされたと判定すると、ステップS85において、RFIDタグTから情報を読み取れるかどうかを監視する。読み取れる場合には、ステップS86において、情報の読取りを行い、ステップS87において、その情報をCPU62に送る。その後、ステップS83へ戻り、ステップS83〜S87を繰り返す。これにより、RFIDタグTが配置されている場所では、RFIDリーダ41がオン状態にあれば、携帯局Pを携帯している警備員がRFIDタグTに対してスピーカ・マイク装置11をかざすことにより、RFID情報が読み取られ、CPU62に送られることになる。CPU62に送られたRFID情報は、CPU28からの位置データ要求に備え、CPU62により保持される。
【0054】
以上の図7(a)〜(c)の処理により、基地局Bからのポーリング要求に応じて携帯局Pは、最新の位置データを提供することができる。そして、提供されるこれらの情報に基づき、基地局Bは携帯局Pを携帯している警備員の位置を把握し、管理することができる。これにより、図1〜図3の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施形態の場合、GPS受信装置24又はRFIDリーダ41から得られた位置データやRFID情報のうちの最新のもののみを基地局Bに供給するようにしているため、基地局Bへ送信するデータ量が少なくて済む。
【0055】
なお、本実施形態においては、無線機12は基地局Bからのポーリング要求に応答して位置データを基地局Bに送信するようにしているが、この代わりに、所定の時間間隔毎に位置データを基地局Bに送信するようにしてもよい。図5はこの場合の無線機12の動作を示すフローチャートである。電源がオン状態とされると、無線機12はステップS51においてタイマによる経過時間の計測を開始し、ステップS52においてタイマによる計測時間が所定の時間に達するのを監視する。所定時間に達したことを検出すると、ステップS53〜S56において、図7(a)のステップS53〜S56と同様にして、位置データを要求し、得られた位置データ又は位置データが得られない旨を基地局Bに送信し、ステップS51に戻る。なお、スピーカ・マイク装置11及びRFIDリーダ41の動作は、図7(b)及び(c)の場合と同様である。
【0056】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、RFIDリーダ41の電源は、警備員のスイッチ操作に応じてRFIDリーダ41への電力供給を常にオン状態とするか、又は読取りを行うために設定キーが押下されたときにオン状態となるようにしているが、この代わりに、又はこれに加え、GPS受信装置24がGPS衛星からの電波を補足することができない場合に、RFIDリーダ41への電力供給を自動的にオン状態とするようにしてもよい。
【0057】
また、上述においては、警備員の位置が管理される場合を例として説明したが、位置が管理される対象としては警備員に限定されることはなく、警察官等、他の対象であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムの携帯局におけるスピーカ・マイク装置及び無線機の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のシステムにおける基地局からのポーリングに応答して、携帯局が位置データを基地局に送信する場合の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1のシステムにおいて、所定の時間間隔毎に位置データ又はRFID情報を基地局に送信するようにした場合の携帯局における無線機の動作を示すフローチャートである。
【図5】図6のシステムにおいて、所定の時間間隔毎に位置データ又はRFID情報を基地局に送信するようにした場合の携帯局における無線機の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6のシステムにおける基地局からのポーリングに応答して、携帯局が位置情報を基地局に送信する場合の動作を示すフローチャートである。
【図8】従来の一般的なGPS位置管理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】図8のシステムにおけるGPSスピーカ・マイク装置及び無線機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
11,81:スピーカ・マイク装置、12,13,82,83:無線機、14,84:パソコン、21,91:マイクロフォン、22,92:スピーカ、23,93:GPSアンテナ、24,94:GPS受信装置、25,95:バッテリ、26,96:電源スイッチ、27,97:電源回路、28,98:CPU、29,99:RF回路、30,100:制御回路、31,101:AF回路、32:スイッチ回路、41:RFIDリーダ、42:スイッチ、61:スイッチ回路、62:CPU、B:基地局、P:携帯局、S:GPS衛星、T:RFIDタグ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、
電子タグのリーダと、
前記現在位置取得手段が取得する現在位置に関する情報が送信可能で、かつ所定の各位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された電子タグから前記リーダが読み取った該位置に関する情報が送信可能な、無線による位置送信手段とを具備することを特徴とする位置送信装置。
【請求項2】
無線により通話を行うためのスピーカ及びマイクを備えたスピーカ・マイク装置を有する無線通信手段と、
GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、
電子タグのリーダと、
前記現在位置取得手段が取得する現在位置に関する情報が送信可能で、かつ所定の各位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された電子タグから前記リーダが読み取った該位置に関する情報が送信可能な、前記無線通信手段を用いた位置送信手段とを備え、
前記スピーカ・マイク装置は前記無線通信手段の本体に対しケーブルを介して接続されており、
前記リーダは前記スピーカ・マイク装置に内蔵されていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記位置送信手段は、前記位置に関する情報の送信に際し、前記現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合にはその現在位置に関する情報を、現在位置を取得できない場合には前記リーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報を、送信するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
無線による所定のポーリング要求を受信する受信手段を備え、前記位置送信手段は、前記位置に関する情報の送信を、該ポーリング要求の受信に応答して行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
タイマを備え、前記位置送信手段は、前記位置に関する情報の送信を、前記タイマにより所定の期間の経過が計測される毎に行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記GPSによる現在位置の取得を行うことができない場合、前記リーダの電源をオン状態とする手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの装置、及び
該装置から送信される位置に関する情報を受信し、該情報に基づく所定の処理を行う位置管理装置を具備することを特徴とする位置管理システム。
【請求項8】
GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、
電子タグのリーダと、
与えられた位置に関する情報を無線送信する位置送信手段とを備え、
移動体に付随して移動する位置送信装置において、
各所定位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された各電子タグの所定の近傍に至ったときに該電子タグからその位置に関する情報を前記リーダが読み取る工程と、
所定の各タイミングにおいて、前記現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合におけるその現在位置に関する情報、及び前記リーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報であって未送信のものがある場合におけるその未送信の情報を前記位置送信手段により送信する工程とを具備することを特徴とする位置送信方法。
【請求項9】
GPSを利用して現在位置を取得する現在位置取得手段と、
電子タグのリーダと、
与えられた位置に関する情報を無線送信する位置送信手段とを備え、
移動体に付随して移動する位置送信装置において、
各所定位置に設けられ、その位置に関する情報が記録された各電子タグの所定の近傍に至ったときに該電子タグからその位置に関する情報を前記リーダが読み取る工程と、
所定の各タイミングにおいて、前記現在位置取得手段が現在位置を取得できる場合にはその現在位置に関する情報を、現在位置を取得できない場合には前記リーダが最後にいずれかの電子タグから読み取った位置に関する情報を、前記位置送信手段により送信する工程とを具備することを特徴とする位置送信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−104410(P2007−104410A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292524(P2005−292524)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】