低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法
【課題】容易に所望の表面形態に形成され、所望の反射防止特性を有する導電性表面、更には光透過可能な低反射導電性表面を有する材料と、その製造方法を提供する。
【解決手段】モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする低反射導電性表面を有する材料、およびその製造方法。
【解決手段】モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする低反射導電性表面を有する材料、およびその製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止特性および表面導電性を備えた低反射導電性表面を有する材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の微細凹凸構造により反射防止機能が付与された反射防止膜は種々知られており、例えば、陽極酸化ポーラスアルミナを用いその細孔の形状に対応した微細凹凸パターンを高分子材料の表面に形成するようにした反射防止膜の製造方法が知られている(特許文献1)。陽極酸化ポーラスアルミナは、簡便なプロセスにて、その条件を適切に設定することで、表面に形成される微細凹凸構造を、精度良くかつ高規則性を持たせて制御可能なものであり、これらの利点を活かして、種々の展開が図られつつある。
【0003】
一方、反射防止機能を有する導電性表面は、有機太陽電池の基板材料をはじめ様々な分野への応用が期待できる。特に、ITO、酸化亜鉛、酸化スズ等の酸化物半導体や有機導電性ポリマー、金属薄膜などの透明導電膜として機能する導電層がコートされた光透過可能な板材やシート材は、液晶ディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなど様々な分野で使用されている。これら導電膜が付与された基板は、透明電極として用いられるため、導電性とともに光透過特性が重要となる。現在、各種応用に用いられている透明電極は、平滑な基板の表面に酸化物半導体をスパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法などの様々な手法で形成することにより作製されている。
【0004】
透明導電膜として機能する酸化物半導体は、一般に、高い屈折率を示すことから、これらの薄膜が形成された基板では、表面反射が増大し、結果として光透過率が減少することになる。また、タッチパネル等の用途では、用いる透明電極の表面反射が大きい場合には、屋外や照明下でのパネル表面への写りこみによる見難さも問題となる。これらの問題点を改善するために、多層膜を利用した反射防止構造などが検討されている。しかしながら、多層膜の形成には、プロセスが煩雑になることに加え、光干渉を利用して反射防止効果を得るためには透明導電膜層の厚みを制御する必要があり、厚くなると十分な効果が得られなくなるために形成可能な厚みに制限が生じる等の問題点があった。また、多層膜に基づく反射防止膜では、特定の波長の光の反射を抑制する効果は得られるが広い波長領域において反射防止を行うことは難しいといった問題点もあった。
【0005】
また、本発明に関連する技術として、フレキシブル透明基材の表面にモスアイ構造を形成し、その上に透明電極、半導体槽を積層した光電変換素子が知られているが(特許文献2)、モスアイ構造の形成方法が、基板上にレジストを塗布し、電子線や紫外線により凹凸パターンを形成し、該凹凸パターン上に電鋳によりNiを積層し、原版を作製し、該原版の凹凸形成面上に、紫外線硬化性の樹脂を流し込み、紫外線を照射し剥がすことでモスアイ構造を形成する方法を用いており、工程が多くプロセスが極めて複雑であるのに加え、凹凸パターンの制御が、例えば前述の陽極酸化ポーラスアルミナの場合に比べ、容易性に欠けるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−86283号公報
【特許文献2】特開2008−34687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、上述のような従来技術における問題を解消し、容易に所望の表面形態に形成され、所望の反射防止特性を有する導電性表面、更には光透過可能な低反射導電性表面を有する材料と、その製造方法に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されている(例えば、コートされている)ことを特徴とするものからなる。この薄膜を形成する材料としては、例えば、透明導電膜や導電性高分子を用いることができる。また、上記凹凸パターンを有する表面の形成材には、樹脂材、ガラス材など様々な材料を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネートのいずれかから選択できる。
【0009】
すなわち、本発明は、所定の凹凸構造を有するモールドの凹凸構造を材料の表面に転写するという簡便なプロセスにて形成される微細凹凸パターンは簡単にかつ精度良くしかも高規則性を持たせて制御可能であるという利点を活かし、この微細凹凸パターンによる反射防止特性と、その凹凸パターンを有する表面上に形成される透明導電性薄膜との組み合わせ構成を初めて試み、完成されたものである。つまり、本発明に係る材料においては、主としてモールドの凹凸構造の転写を利用して形成された基材表面の凹凸パターンにより所望の反射防止機能が付与され、かつ、該表面上に形成された透明導電性薄膜により、反射防止機能が維持されつつ、表面導電機能が付与され、表面の導電性と反射防止特性とを兼ね備えた低反射導電性表面を有する材料が簡単な製造プロセスにて実現される。
【0010】
上記本発明に係る低反射導電性表面を有する材料においては、上記透明導電性薄膜は単独で前記凹凸パターンを有する表面上に設けることもできるし、他の薄膜とともに設けることもできる。例えば、上記表面に形成された凹凸パターン上に直接、上記透明導電性薄膜が形成されている形態とすることができる。この場合、低反射導電性表面を有する材料全体が光透過可能に構成されていると、透明導電性薄膜側から表面に凹凸パターンを有する基材側への光の取り込みが可能であり、また、表面に凹凸パターンを有する基材側から透明導電性薄膜側への光の取り出しも可能であり、光透過性の高い(つまり、透明性に優れた)導電性材料として有効な構造となる。つまり、材料外側からの光取り込みや材料内側からの光取り出しに有利な導電性表面を有する材料、例えば、光透過率の高い導電性基板等に有効な材料を作製することができる。光の透過率としては、例えば、波長550nm の光の透過率が80%以上であることが好ましい。
【0011】
また、上記表面に形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されており、該不透明薄膜上の層の最外層として上記透明導電性薄膜が形成されている形態も採り得る。このような形態では、下地、つまり基材表面の凹凸パターンが反射防止特性を備えた構造の凹凸パターンとして形成されているので、その上面側に積層された薄膜構造もそのまま反射防止特性を備えた構造となり、最外層として形成された透明導電性薄膜も反射防止特性を備えた構造となる。そのため、材料外側から光が入射された場合には、入射された光は透明導電性薄膜を通して上記不透明薄膜までの層内に効率よく取り込まれることになる。このような構造は、例えば太陽電池などに有効な構造である。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層、例えば、金属電極層から構成できる。
【0012】
さらに、上記表面に形成された凹凸パターン上に上記透明導電性薄膜が形成されており、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されている形態も採り得る。このような形態では、表面に凹凸パターンを有する基材の裏側から光を取り込む場合、透明導電性薄膜を通して上記不透明薄膜まで効率よく光を取り込むことができる。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層、例えば、金属電極層から構成できる。
【0013】
上記のような不透明薄膜を有する構成においては、上記透明導電性薄膜と不透明薄膜との間に少なくとも1層の光透過層が介在されている構成を採用することができ、例えば、太陽電池等を想定した構造として適用できる。例えば、不透明薄膜としての金属電極層と透明導電性薄膜との間に、P型半導体層、N型半導体層などを介在させれば、太陽電池等に好適な構造を実現でき、この構造により、透明導電性薄膜から金属電極層にかけて効率良く光の取り込みを行うことができる。
【0014】
材料表面の所望の凹凸パターンは、モールドを材料の表面に押し付けるインプリントプロセスにより簡便に形成することが可能である。とくに、上記表面の凹凸パターンが、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成されていると、陽極酸化ポーラスアルミナの作製プロセスにおける条件を適切に設定することで、ポーラスアルミナの表面に形成される微細凹凸構造を、精度良くかつ高規則性を持たせて制御可能であるという利点を活かすことができ、これを材料の表面に転写して、所望の微細凹凸パターンの形成がより確実に可能となり、陽極酸化ポーラスアルミナの表面微細凹凸構造を利用して形成された基材表面の凹凸パターンにより所望の反射防止機能が付与され、かつ、該表面上に形成された導電性薄膜により、反射防止機能が維持されつつ、表面導電機能が付与され、目標とする表面の導電性と反射防止特性とを兼ね備えた低反射導電性表面を有する材料が比較的簡単な製造プロセスにて実現される。
【0015】
良好な反射防止特性を確保するためには、上記凹凸パターンが、テーパー形状の突起アレーまたはテーパー形状のホールアレーからなる構造を採用できる。このような凹凸パターンは、電子ビームリソグラフィーとドライエッチングを用いた汎用の微細加工技術でも作製することは可能であるが、とくに陽極酸化ポーラスアルミナの表面微細凹凸構造を利用して作製した鋳型を用いるナノインプリントプロセスを用いることで効率良く形成することが可能となる。このインプリントプロセスでは、熱可塑性樹脂に加温条件下でモールドを押し付け微細パターンの転写を行う熱インプリント法や、光硬化性樹脂を用いた光インプリント法等を用いることができる。インプリントプロセスによる凹凸パターンの形成は、基板上に製膜した樹脂層に適用することも、樹脂板に直接処理することも可能である。また、また、シリカや酸化チタンをはじめとする金属酸化物の前駆体にインプリントを行う手法も用いることができる。
【0016】
また、凹凸パターン上の透明導電性薄膜の形成には、スパッタ法、蒸着法、CVD法、キャスト法など様々な手法を用いることができ、中でも、スパッタ法または真空蒸着法により透明導電性薄膜が形成されていることが好ましい。
【0017】
また、例えば、凹凸パターン上に格子状に透明導電性薄膜をパターニングすることで、光透過特性に優れたタッチパネル用基板を作製することも可能である。パターニングを行う手法としては、全面に透明導電性薄膜を形成し、その後、部分的に除去する手法や、マスクを用いて凹凸基板状にコーティングする手法を用いることができる。
【0018】
上記透明導電性薄膜の厚さとしては、10nm以上、1 μm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以上、500nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上、500nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上、200nm以下である。透明導電性薄膜が10nm未満の厚みでは、十分な導電性を確保することが難しく、また、1μmを超えて厚く導電層を堆積させると、凹凸パターンの形状が変化し、十分な反射防止特性を得ることが難しくなる。
【0019】
また、凹凸パターンの表面には幾つかの材料を積層して複数の薄膜層の積層構造を形成することも可能である。この場合、少なくとも最外層を形成する薄膜の材料が導電性を有することで、様々な応用に適した低反射導電性表面を構成することが可能である。太陽電池を例にとれば、凹凸基板上に電極として機能する金属薄膜を堆積させた後、その上に各種電解質層を積層し、最表面に透明導電膜を堆積することで、デバイス内部への光取り込み効率の高い太陽電池を作製することができる。
【0020】
このような本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、前述したように、例えばタッチパネルや太陽電池に適用可能である。例えばタッチパネルに適用する場合、上記低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料が、それらの透明導電性薄膜同士を互いに対向させて配置されてなる構成を採用することができ、この場合、透明導電性薄膜が所定の形態に、例えば格子状に、パターニングされて形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法は、モールドを用いて材料の表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜を形成することを特徴とする方法からなる。この方法においても、薄膜を形成する材料としては、例えば、透明導電膜や導電性高分子を用いることができる。また、凹凸パターンを有する表面形成基材には、樹脂材、ガラス材など様々な材料を用いることができる。
【0022】
上記本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法においては、前述したのと同様、透明な基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に直接、上記透明導電性薄膜を形成することができる。また、基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜を形成し、該不透明薄膜上の層の最外層として上記透明導電性薄膜を形成することもできる。さらに、基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に上記透明導電性薄膜を形成し、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜を形成することもできる。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層(例えば、金属電極層)から構成できる。
【0023】
上記表面の凹凸パターンはインプリントプロセスにより形成することができる。さらには、連続インプリントを可能にするために、連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いることもできる。
【0024】
また、本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法においては、上記表面の凹凸パターンを陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成することができる。例えば、上記連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いる場合、アルミニウム丸棒を陽極酸化すれば、表面に規則的なホールアレーパターンが形成されたロール形状のナノインプリント用モールドの作製が可能であり、これを回転させながらインプリントを行えば、より高スループットにナノピラーアレーパターンの形成が可能となる。こうして得られたナノパターンに連続的に透明導電性薄膜の形成を行うことで、より高スループットに低反射透明導電性薄膜の形成を行うことも可能となる。
【0025】
上記のような陽極酸化ポーラスアルミナはアルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することで得られ、本発明では、これをモールドとしたナノインプリント法を用いることができる。陽極酸化ポーラスアルミナは、適切な条件の設定により、細孔に高規則性を持たせることが可能であり、その作製の際に陽極酸化とウエットエッチングを繰り返し行う手法により細孔形状をテーパー形状に制御可能であることから、これをモールドとしてナノインプリントを行えば、樹脂または金属酸化物からなるテーパー形状ピラーアレーの作製が可能となる。また、陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として金属や樹脂に構造転写を行うことでネガ型モールドを作製し、これを用いてインプリント処理を行えば、樹脂や金属酸化物からなるテーパー状ホールアレーパターンも得ることができる。
【0026】
陽極酸化ポーラスアルミナとしては、例えば、硫酸を電解液として用い、化成電圧10V〜120Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナや、シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V 〜130Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナ、リン酸を電解液として用い、化成電圧180V〜220Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることができる。このような陽極酸化を用いることで、サイズの均一な細孔が規則的に配列したポーラスアルミナの作製が可能となることから、これらのポーラスアルミナをナノインプリント用モールドとして採用することにより、サイズおよび形状が高度に制御されたピラーまたはホールが規則配列した微細パターンの作製が可能となる。このような規則性を備えた凹凸パターンを有する基材を用いることで、場所むらもなく全面均一な反射防止特性を示す低反射導電性表面を有する材料を得ることが可能となる。
【0027】
また、定電圧条件下で陽極酸化を施した後、一旦酸化膜を溶解除去し、再び陽極酸化を施すことで(例えば、再度同一の条件下で陽極酸化を行うことで)細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを得ることができ、その陽極酸化ポーラスアルミナを用いることもできる。
【0028】
また、陽極酸化に先立ち、アルミニウムの表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生の開始点として作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることもでき、このような高規則性ポーラスアルミナを用いることで、場所むらもなく全面均一な反射防止特性を示す低反射導電性表面を有する材料を得ることも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法によれば、良好な反射防止特性と表面導電性とを兼ね備えた、更には良好な光透過性も兼備することが可能な、液晶ディスプレイや太陽電池、タッチパネルなど様々な分野での要求特性を高いレベルで満たすことができる優れた材料を提供でき、しかもこの優れた材料を比較的簡便なプロセスで作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図2】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の一形態例を示す模式図である。
【図3】図2に示した低反射導電性表面を有する材料を用いてタッチパネルを構成する場合の一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の別の形態例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料のさらに別の形態例を示す模式図である。
【図6】本発明の別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図7】本発明のさらに別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図8】本発明のさらに別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図9】本発明において陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として用いる低反射導電性表面を有する材料の製造方法の一例を示す模式図である。
【図10】本発明において陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したネガ型モールドを用いる低反射導電性表面を有する材料の製造方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法について詳細に説明する。
図1は、凹凸パターン表面上に透明導電性薄膜を形成することで得られる低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図1において、1は、モールドとして、例えば、後述のような陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターン2を表面に有する材料を示している。この凹凸パターン2を有する表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層3(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料4が製造される。
【0032】
このような基本構成を有する本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、より具体的には、図2、図4、図5に示すような形態を採ることができる。図2は、光透過可能な材料からなる基材5の凹凸パターン形成層5a上に形成された凹凸パターン2の表面上に直接、上記透明導電性薄膜層3が単独で設けれらた形態を示している。この場合、図2(A)に示すように、透明導電性薄膜層3側から基材5側への光の通過が可能であり、また、図2(B)に示すように、基材5側から透明導電性薄膜層3側への光の通過も可能であり、低反射特性を有し、かつ、光透過性の高い導電性基板等として優れた構造を実現できる。
【0033】
図2に示したような透明導電性薄膜層3が設けれらた2枚のシート状材料4を用いることで、例えば図3に示すようにタッチパネルとして好適な構造を構成できる。すなわち、図3に示すように、表面に透明導電性薄膜層3を有する低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料4を、それらの透明導電性薄膜層3同士を互いに対向させて配置させることで、透明性に優れたタッチパネル10を実現できる。透明導電性薄膜層3は、凹凸パターン2の表面上に格子状にパターニングされてコートされている。このようなタッチパネル10においては、対向したシート4を指で押すと、反対側のシート4と接するために、その部分の位置を検出することができる。透明導電性薄膜層3が格子状にパターニングされていることにより、このような位置検出が可能となる。
【0034】
また、図4は、基材6の凹凸パターン形成層6a上に形成された凹凸パターン2の表面上に、不透明な材料からなる不透明薄膜としての金属電極層7が形成されており、該金属電極層7上の最外層として上記透明導電性薄膜層3が形成された形態を示している。金属電極層7と透明導電性薄膜層3との間には、他の透明材料からなる層8(例えば、前述したようなP型半導体層、N型半導体層など)を介在させることもできる。このような形態では、前述したように、基材6表面の凹凸パターン2による反射防止構造が最外層として形成された透明導電性薄膜層3まで転写されて透明導電性薄膜層3も反射防止特性を備えた構造となる。この材料外側から入射された光(矢印)は透明導電性薄膜層3を通して上記不透明薄膜としての金属電極層7まで効率よく取り込まれることになり、反射防止特性が維持されつつ、表面の導電性が確保されることになる。
【0035】
さらに、図5は、光透過可能な材料からなる基材5の凹凸パターン形成層5a上に形成された凹凸パターン2の表面上に、直接あるいは他の透明材料からなる層を介して上記透明導電性薄膜層3が形成されており、該透明導電性薄膜層3上の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜としての金属電極層7が形成された形態を示している。図示例における9は他の透明材料からなる層(例えば、前述したようなP型半導体層、N型半導体層など)を示している。このような形態では、前述したように、基材5の裏側から光(矢印)を取り込む場合、透明導電性薄膜層3を通して上記不透明薄膜としての金属電極層7まで効率よく光を取り込むことができる。図4や図5に示した構造は、例えば、太陽電池などに好適な構造である。
【0036】
図6は、インプリントプロセスにもとづく低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図6においては、基材11上に設けられた、表面凹凸を形成するための凹凸形成層12に対し、所定の凹凸パターンを有するインプリント用モールド13が押し付けられ、凹凸形成層12の表面にインプリント用モールド13の凹凸パターンが転写される。転写後にインプリント用モールド13が除去され、基材11上に、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する材料14が形成される。この凹凸パターンを有する材料14の表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層15(透明導電性薄膜層)が形成されて、低反射導電性表面を有する材料16が製造される。
【0037】
図7は、インプリントプロセスに基づく低反射透明導電性材料の製造方法を模式的に示したものである。図7においては、透明基材21上に設けられた、表面凹凸を形成するための透明材料からなる凹凸形成層22に対し、所定の凹凸パターンを有するインプリント用モールド23が押し付けられ、凹凸形成層22の表面にインプリント用モールド23の凹凸パターンが転写される。転写後にインプリント用モールド23が除去され、透明基材21上に、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する透明の材料24が形成される。この凹凸パターンを有する材料24の表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層25(透明導電性薄膜層)が形成されて、低反射導電性表面を有する透明材料26が製造される。
【0038】
図8は、凹凸パターンを有する表面上に幾つかの物質の層を積層させて形成した低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図8において、31は表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン32を有する材料を示している。この凹凸パターン32を有する表面上に、薄膜層33が複数層積層され、最外層として、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層34(透明導電性薄膜層)が積層されて、多層膜堆積層35が形成された、低反射導電性表面を有する材料36が製造される。
【0039】
図9は、陽極酸化ポーラスアルミナ自体をモールドとしたナノインプリントプロセスに基づく低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図9において、41は、所定の凹凸パターン(例えば、規則的な所定の細孔配列)を有する陽極酸化ポーラスアルミナモールドを示しており、この陽極酸化ポーラスアルミナモールド41の凹凸パターンが、凹凸形成層42の表面にインプリントプロセスにより転写されて、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン43を有する材料44が形成される。この表面凹凸パターン43上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層45(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料46が製造される。
【0040】
図10は、陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したネガ型モールドによるナノインプリントプロセスにより凹凸パターンを形成し、これを用いて低反射導電性表面を有する材料を製造する方法を模式的に示したものである。図10において、51は、所定の凹凸パターン(例えば、規則的な所定の細孔配列)を有する陽極酸化ポーラスアルミナを示しており、この陽極酸化ポーラスアルミナ51の表面に充填物質52を充填して、陽極酸化ポーラスアルミナ51の凹凸パターンが、充填物質52の表面に転写される。転写後に陽極酸化ポーラスアルミナ51を除去することで、上記凹凸パターンが転写されたネガ型モールド53が得られる。このネガ型モールド53の凹凸パターンが、凹凸形成層の表面にインプリントプロセスにより転写されて、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン54を有する材料55が形成される。この表面凹凸パターン54上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層56(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料57が製造される。
【実施例】
【0041】
実施例1〔突起高さ200nm、ピッチ100nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で3時間陽極酸化したのち、試料をクロム酸リン酸混合溶液に浸漬し、酸化皮膜のみ選択的に溶解除去し、同一条件下で再度25秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で7分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ200nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面に導電性薄膜としてITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は1.2kΩ□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【0042】
実施例2〔突起高さ150nm、ピッチ100nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で3時間陽極酸化したのち、試料をクロム酸リン酸混合溶液に浸漬し、酸化皮膜のみ選択的に溶解除去し、同一条件下で再度20秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で7分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ150nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面にITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は550Ω□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【0043】
実施例3〔突起高さ250nm、ピッチ200nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、ピッチ200nmで規則配列した突起パターンを有するモールドによりテクスチャリング処理を行い、窪みパターンの形成を行った。0.05Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧80Vの条件下で2秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で20分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ150nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面にITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は550Ω□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、表面の反射防止特性と導電性の両方が要求されるあらゆる分野に適用可能であり、更には、光透過性が要求される分野においても好適なものである。
【符号の説明】
【0045】
1、14、24、31、44、55 モールドとしての凹凸パターンを有する材料
2、32、43、54 凹凸パターン
3、15、25、34、45、56 透明導電性薄膜層
4、16、26、36、46、57 低反射導電性表面を有する材料
5、6、11 基材
5a、6a 凹凸パターン形成層
7 不透明薄膜としての金属電極層
8、9 他の透明材料からなる層
10 タッチパネル
12 凹凸形成層
13、23 インプリント用モールド
21 透明基材
22 透明材料からなる凹凸形成層
33 薄膜層
35 多層膜堆積層
41 陽極酸化ポーラスアルミナモールド
42 凹凸形成層
51 陽極酸化ポーラスアルミナ
52 充填物質
53 ネガ型モールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止特性および表面導電性を備えた低反射導電性表面を有する材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の微細凹凸構造により反射防止機能が付与された反射防止膜は種々知られており、例えば、陽極酸化ポーラスアルミナを用いその細孔の形状に対応した微細凹凸パターンを高分子材料の表面に形成するようにした反射防止膜の製造方法が知られている(特許文献1)。陽極酸化ポーラスアルミナは、簡便なプロセスにて、その条件を適切に設定することで、表面に形成される微細凹凸構造を、精度良くかつ高規則性を持たせて制御可能なものであり、これらの利点を活かして、種々の展開が図られつつある。
【0003】
一方、反射防止機能を有する導電性表面は、有機太陽電池の基板材料をはじめ様々な分野への応用が期待できる。特に、ITO、酸化亜鉛、酸化スズ等の酸化物半導体や有機導電性ポリマー、金属薄膜などの透明導電膜として機能する導電層がコートされた光透過可能な板材やシート材は、液晶ディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなど様々な分野で使用されている。これら導電膜が付与された基板は、透明電極として用いられるため、導電性とともに光透過特性が重要となる。現在、各種応用に用いられている透明電極は、平滑な基板の表面に酸化物半導体をスパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法などの様々な手法で形成することにより作製されている。
【0004】
透明導電膜として機能する酸化物半導体は、一般に、高い屈折率を示すことから、これらの薄膜が形成された基板では、表面反射が増大し、結果として光透過率が減少することになる。また、タッチパネル等の用途では、用いる透明電極の表面反射が大きい場合には、屋外や照明下でのパネル表面への写りこみによる見難さも問題となる。これらの問題点を改善するために、多層膜を利用した反射防止構造などが検討されている。しかしながら、多層膜の形成には、プロセスが煩雑になることに加え、光干渉を利用して反射防止効果を得るためには透明導電膜層の厚みを制御する必要があり、厚くなると十分な効果が得られなくなるために形成可能な厚みに制限が生じる等の問題点があった。また、多層膜に基づく反射防止膜では、特定の波長の光の反射を抑制する効果は得られるが広い波長領域において反射防止を行うことは難しいといった問題点もあった。
【0005】
また、本発明に関連する技術として、フレキシブル透明基材の表面にモスアイ構造を形成し、その上に透明電極、半導体槽を積層した光電変換素子が知られているが(特許文献2)、モスアイ構造の形成方法が、基板上にレジストを塗布し、電子線や紫外線により凹凸パターンを形成し、該凹凸パターン上に電鋳によりNiを積層し、原版を作製し、該原版の凹凸形成面上に、紫外線硬化性の樹脂を流し込み、紫外線を照射し剥がすことでモスアイ構造を形成する方法を用いており、工程が多くプロセスが極めて複雑であるのに加え、凹凸パターンの制御が、例えば前述の陽極酸化ポーラスアルミナの場合に比べ、容易性に欠けるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−86283号公報
【特許文献2】特開2008−34687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、上述のような従来技術における問題を解消し、容易に所望の表面形態に形成され、所望の反射防止特性を有する導電性表面、更には光透過可能な低反射導電性表面を有する材料と、その製造方法に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されている(例えば、コートされている)ことを特徴とするものからなる。この薄膜を形成する材料としては、例えば、透明導電膜や導電性高分子を用いることができる。また、上記凹凸パターンを有する表面の形成材には、樹脂材、ガラス材など様々な材料を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネートのいずれかから選択できる。
【0009】
すなわち、本発明は、所定の凹凸構造を有するモールドの凹凸構造を材料の表面に転写するという簡便なプロセスにて形成される微細凹凸パターンは簡単にかつ精度良くしかも高規則性を持たせて制御可能であるという利点を活かし、この微細凹凸パターンによる反射防止特性と、その凹凸パターンを有する表面上に形成される透明導電性薄膜との組み合わせ構成を初めて試み、完成されたものである。つまり、本発明に係る材料においては、主としてモールドの凹凸構造の転写を利用して形成された基材表面の凹凸パターンにより所望の反射防止機能が付与され、かつ、該表面上に形成された透明導電性薄膜により、反射防止機能が維持されつつ、表面導電機能が付与され、表面の導電性と反射防止特性とを兼ね備えた低反射導電性表面を有する材料が簡単な製造プロセスにて実現される。
【0010】
上記本発明に係る低反射導電性表面を有する材料においては、上記透明導電性薄膜は単独で前記凹凸パターンを有する表面上に設けることもできるし、他の薄膜とともに設けることもできる。例えば、上記表面に形成された凹凸パターン上に直接、上記透明導電性薄膜が形成されている形態とすることができる。この場合、低反射導電性表面を有する材料全体が光透過可能に構成されていると、透明導電性薄膜側から表面に凹凸パターンを有する基材側への光の取り込みが可能であり、また、表面に凹凸パターンを有する基材側から透明導電性薄膜側への光の取り出しも可能であり、光透過性の高い(つまり、透明性に優れた)導電性材料として有効な構造となる。つまり、材料外側からの光取り込みや材料内側からの光取り出しに有利な導電性表面を有する材料、例えば、光透過率の高い導電性基板等に有効な材料を作製することができる。光の透過率としては、例えば、波長550nm の光の透過率が80%以上であることが好ましい。
【0011】
また、上記表面に形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されており、該不透明薄膜上の層の最外層として上記透明導電性薄膜が形成されている形態も採り得る。このような形態では、下地、つまり基材表面の凹凸パターンが反射防止特性を備えた構造の凹凸パターンとして形成されているので、その上面側に積層された薄膜構造もそのまま反射防止特性を備えた構造となり、最外層として形成された透明導電性薄膜も反射防止特性を備えた構造となる。そのため、材料外側から光が入射された場合には、入射された光は透明導電性薄膜を通して上記不透明薄膜までの層内に効率よく取り込まれることになる。このような構造は、例えば太陽電池などに有効な構造である。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層、例えば、金属電極層から構成できる。
【0012】
さらに、上記表面に形成された凹凸パターン上に上記透明導電性薄膜が形成されており、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されている形態も採り得る。このような形態では、表面に凹凸パターンを有する基材の裏側から光を取り込む場合、透明導電性薄膜を通して上記不透明薄膜まで効率よく光を取り込むことができる。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層、例えば、金属電極層から構成できる。
【0013】
上記のような不透明薄膜を有する構成においては、上記透明導電性薄膜と不透明薄膜との間に少なくとも1層の光透過層が介在されている構成を採用することができ、例えば、太陽電池等を想定した構造として適用できる。例えば、不透明薄膜としての金属電極層と透明導電性薄膜との間に、P型半導体層、N型半導体層などを介在させれば、太陽電池等に好適な構造を実現でき、この構造により、透明導電性薄膜から金属電極層にかけて効率良く光の取り込みを行うことができる。
【0014】
材料表面の所望の凹凸パターンは、モールドを材料の表面に押し付けるインプリントプロセスにより簡便に形成することが可能である。とくに、上記表面の凹凸パターンが、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成されていると、陽極酸化ポーラスアルミナの作製プロセスにおける条件を適切に設定することで、ポーラスアルミナの表面に形成される微細凹凸構造を、精度良くかつ高規則性を持たせて制御可能であるという利点を活かすことができ、これを材料の表面に転写して、所望の微細凹凸パターンの形成がより確実に可能となり、陽極酸化ポーラスアルミナの表面微細凹凸構造を利用して形成された基材表面の凹凸パターンにより所望の反射防止機能が付与され、かつ、該表面上に形成された導電性薄膜により、反射防止機能が維持されつつ、表面導電機能が付与され、目標とする表面の導電性と反射防止特性とを兼ね備えた低反射導電性表面を有する材料が比較的簡単な製造プロセスにて実現される。
【0015】
良好な反射防止特性を確保するためには、上記凹凸パターンが、テーパー形状の突起アレーまたはテーパー形状のホールアレーからなる構造を採用できる。このような凹凸パターンは、電子ビームリソグラフィーとドライエッチングを用いた汎用の微細加工技術でも作製することは可能であるが、とくに陽極酸化ポーラスアルミナの表面微細凹凸構造を利用して作製した鋳型を用いるナノインプリントプロセスを用いることで効率良く形成することが可能となる。このインプリントプロセスでは、熱可塑性樹脂に加温条件下でモールドを押し付け微細パターンの転写を行う熱インプリント法や、光硬化性樹脂を用いた光インプリント法等を用いることができる。インプリントプロセスによる凹凸パターンの形成は、基板上に製膜した樹脂層に適用することも、樹脂板に直接処理することも可能である。また、また、シリカや酸化チタンをはじめとする金属酸化物の前駆体にインプリントを行う手法も用いることができる。
【0016】
また、凹凸パターン上の透明導電性薄膜の形成には、スパッタ法、蒸着法、CVD法、キャスト法など様々な手法を用いることができ、中でも、スパッタ法または真空蒸着法により透明導電性薄膜が形成されていることが好ましい。
【0017】
また、例えば、凹凸パターン上に格子状に透明導電性薄膜をパターニングすることで、光透過特性に優れたタッチパネル用基板を作製することも可能である。パターニングを行う手法としては、全面に透明導電性薄膜を形成し、その後、部分的に除去する手法や、マスクを用いて凹凸基板状にコーティングする手法を用いることができる。
【0018】
上記透明導電性薄膜の厚さとしては、10nm以上、1 μm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以上、500nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上、500nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上、200nm以下である。透明導電性薄膜が10nm未満の厚みでは、十分な導電性を確保することが難しく、また、1μmを超えて厚く導電層を堆積させると、凹凸パターンの形状が変化し、十分な反射防止特性を得ることが難しくなる。
【0019】
また、凹凸パターンの表面には幾つかの材料を積層して複数の薄膜層の積層構造を形成することも可能である。この場合、少なくとも最外層を形成する薄膜の材料が導電性を有することで、様々な応用に適した低反射導電性表面を構成することが可能である。太陽電池を例にとれば、凹凸基板上に電極として機能する金属薄膜を堆積させた後、その上に各種電解質層を積層し、最表面に透明導電膜を堆積することで、デバイス内部への光取り込み効率の高い太陽電池を作製することができる。
【0020】
このような本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、前述したように、例えばタッチパネルや太陽電池に適用可能である。例えばタッチパネルに適用する場合、上記低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料が、それらの透明導電性薄膜同士を互いに対向させて配置されてなる構成を採用することができ、この場合、透明導電性薄膜が所定の形態に、例えば格子状に、パターニングされて形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法は、モールドを用いて材料の表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜を形成することを特徴とする方法からなる。この方法においても、薄膜を形成する材料としては、例えば、透明導電膜や導電性高分子を用いることができる。また、凹凸パターンを有する表面形成基材には、樹脂材、ガラス材など様々な材料を用いることができる。
【0022】
上記本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法においては、前述したのと同様、透明な基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に直接、上記透明導電性薄膜を形成することができる。また、基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜を形成し、該不透明薄膜上の層の最外層として上記透明導電性薄膜を形成することもできる。さらに、基材の表面に上記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に上記透明導電性薄膜を形成し、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜を形成することもできる。不透明薄膜としては、例えば導電性材料からなる層(例えば、金属電極層)から構成できる。
【0023】
上記表面の凹凸パターンはインプリントプロセスにより形成することができる。さらには、連続インプリントを可能にするために、連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いることもできる。
【0024】
また、本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法においては、上記表面の凹凸パターンを陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成することができる。例えば、上記連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いる場合、アルミニウム丸棒を陽極酸化すれば、表面に規則的なホールアレーパターンが形成されたロール形状のナノインプリント用モールドの作製が可能であり、これを回転させながらインプリントを行えば、より高スループットにナノピラーアレーパターンの形成が可能となる。こうして得られたナノパターンに連続的に透明導電性薄膜の形成を行うことで、より高スループットに低反射透明導電性薄膜の形成を行うことも可能となる。
【0025】
上記のような陽極酸化ポーラスアルミナはアルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することで得られ、本発明では、これをモールドとしたナノインプリント法を用いることができる。陽極酸化ポーラスアルミナは、適切な条件の設定により、細孔に高規則性を持たせることが可能であり、その作製の際に陽極酸化とウエットエッチングを繰り返し行う手法により細孔形状をテーパー形状に制御可能であることから、これをモールドとしてナノインプリントを行えば、樹脂または金属酸化物からなるテーパー形状ピラーアレーの作製が可能となる。また、陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として金属や樹脂に構造転写を行うことでネガ型モールドを作製し、これを用いてインプリント処理を行えば、樹脂や金属酸化物からなるテーパー状ホールアレーパターンも得ることができる。
【0026】
陽極酸化ポーラスアルミナとしては、例えば、硫酸を電解液として用い、化成電圧10V〜120Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナや、シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V 〜130Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナ、リン酸を電解液として用い、化成電圧180V〜220Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることができる。このような陽極酸化を用いることで、サイズの均一な細孔が規則的に配列したポーラスアルミナの作製が可能となることから、これらのポーラスアルミナをナノインプリント用モールドとして採用することにより、サイズおよび形状が高度に制御されたピラーまたはホールが規則配列した微細パターンの作製が可能となる。このような規則性を備えた凹凸パターンを有する基材を用いることで、場所むらもなく全面均一な反射防止特性を示す低反射導電性表面を有する材料を得ることが可能となる。
【0027】
また、定電圧条件下で陽極酸化を施した後、一旦酸化膜を溶解除去し、再び陽極酸化を施すことで(例えば、再度同一の条件下で陽極酸化を行うことで)細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを得ることができ、その陽極酸化ポーラスアルミナを用いることもできる。
【0028】
また、陽極酸化に先立ち、アルミニウムの表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生の開始点として作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることもでき、このような高規則性ポーラスアルミナを用いることで、場所むらもなく全面均一な反射防止特性を示す低反射導電性表面を有する材料を得ることも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法によれば、良好な反射防止特性と表面導電性とを兼ね備えた、更には良好な光透過性も兼備することが可能な、液晶ディスプレイや太陽電池、タッチパネルなど様々な分野での要求特性を高いレベルで満たすことができる優れた材料を提供でき、しかもこの優れた材料を比較的簡便なプロセスで作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図2】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の一形態例を示す模式図である。
【図3】図2に示した低反射導電性表面を有する材料を用いてタッチパネルを構成する場合の一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料の別の形態例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る低反射導電性表面を有する材料のさらに別の形態例を示す模式図である。
【図6】本発明の別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図7】本発明のさらに別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図8】本発明のさらに別の実施態様に係る低反射導電性表面を有する材料の製造方法の模式図である。
【図9】本発明において陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として用いる低反射導電性表面を有する材料の製造方法の一例を示す模式図である。
【図10】本発明において陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したネガ型モールドを用いる低反射導電性表面を有する材料の製造方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法について詳細に説明する。
図1は、凹凸パターン表面上に透明導電性薄膜を形成することで得られる低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図1において、1は、モールドとして、例えば、後述のような陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターン2を表面に有する材料を示している。この凹凸パターン2を有する表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層3(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料4が製造される。
【0032】
このような基本構成を有する本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、より具体的には、図2、図4、図5に示すような形態を採ることができる。図2は、光透過可能な材料からなる基材5の凹凸パターン形成層5a上に形成された凹凸パターン2の表面上に直接、上記透明導電性薄膜層3が単独で設けれらた形態を示している。この場合、図2(A)に示すように、透明導電性薄膜層3側から基材5側への光の通過が可能であり、また、図2(B)に示すように、基材5側から透明導電性薄膜層3側への光の通過も可能であり、低反射特性を有し、かつ、光透過性の高い導電性基板等として優れた構造を実現できる。
【0033】
図2に示したような透明導電性薄膜層3が設けれらた2枚のシート状材料4を用いることで、例えば図3に示すようにタッチパネルとして好適な構造を構成できる。すなわち、図3に示すように、表面に透明導電性薄膜層3を有する低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料4を、それらの透明導電性薄膜層3同士を互いに対向させて配置させることで、透明性に優れたタッチパネル10を実現できる。透明導電性薄膜層3は、凹凸パターン2の表面上に格子状にパターニングされてコートされている。このようなタッチパネル10においては、対向したシート4を指で押すと、反対側のシート4と接するために、その部分の位置を検出することができる。透明導電性薄膜層3が格子状にパターニングされていることにより、このような位置検出が可能となる。
【0034】
また、図4は、基材6の凹凸パターン形成層6a上に形成された凹凸パターン2の表面上に、不透明な材料からなる不透明薄膜としての金属電極層7が形成されており、該金属電極層7上の最外層として上記透明導電性薄膜層3が形成された形態を示している。金属電極層7と透明導電性薄膜層3との間には、他の透明材料からなる層8(例えば、前述したようなP型半導体層、N型半導体層など)を介在させることもできる。このような形態では、前述したように、基材6表面の凹凸パターン2による反射防止構造が最外層として形成された透明導電性薄膜層3まで転写されて透明導電性薄膜層3も反射防止特性を備えた構造となる。この材料外側から入射された光(矢印)は透明導電性薄膜層3を通して上記不透明薄膜としての金属電極層7まで効率よく取り込まれることになり、反射防止特性が維持されつつ、表面の導電性が確保されることになる。
【0035】
さらに、図5は、光透過可能な材料からなる基材5の凹凸パターン形成層5a上に形成された凹凸パターン2の表面上に、直接あるいは他の透明材料からなる層を介して上記透明導電性薄膜層3が形成されており、該透明導電性薄膜層3上の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜としての金属電極層7が形成された形態を示している。図示例における9は他の透明材料からなる層(例えば、前述したようなP型半導体層、N型半導体層など)を示している。このような形態では、前述したように、基材5の裏側から光(矢印)を取り込む場合、透明導電性薄膜層3を通して上記不透明薄膜としての金属電極層7まで効率よく光を取り込むことができる。図4や図5に示した構造は、例えば、太陽電池などに好適な構造である。
【0036】
図6は、インプリントプロセスにもとづく低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図6においては、基材11上に設けられた、表面凹凸を形成するための凹凸形成層12に対し、所定の凹凸パターンを有するインプリント用モールド13が押し付けられ、凹凸形成層12の表面にインプリント用モールド13の凹凸パターンが転写される。転写後にインプリント用モールド13が除去され、基材11上に、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する材料14が形成される。この凹凸パターンを有する材料14の表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層15(透明導電性薄膜層)が形成されて、低反射導電性表面を有する材料16が製造される。
【0037】
図7は、インプリントプロセスに基づく低反射透明導電性材料の製造方法を模式的に示したものである。図7においては、透明基材21上に設けられた、表面凹凸を形成するための透明材料からなる凹凸形成層22に対し、所定の凹凸パターンを有するインプリント用モールド23が押し付けられ、凹凸形成層22の表面にインプリント用モールド23の凹凸パターンが転写される。転写後にインプリント用モールド23が除去され、透明基材21上に、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する透明の材料24が形成される。この凹凸パターンを有する材料24の表面上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層25(透明導電性薄膜層)が形成されて、低反射導電性表面を有する透明材料26が製造される。
【0038】
図8は、凹凸パターンを有する表面上に幾つかの物質の層を積層させて形成した低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図8において、31は表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン32を有する材料を示している。この凹凸パターン32を有する表面上に、薄膜層33が複数層積層され、最外層として、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層34(透明導電性薄膜層)が積層されて、多層膜堆積層35が形成された、低反射導電性表面を有する材料36が製造される。
【0039】
図9は、陽極酸化ポーラスアルミナ自体をモールドとしたナノインプリントプロセスに基づく低反射導電性表面を有する材料の製造方法を模式的に示したものである。図9において、41は、所定の凹凸パターン(例えば、規則的な所定の細孔配列)を有する陽極酸化ポーラスアルミナモールドを示しており、この陽極酸化ポーラスアルミナモールド41の凹凸パターンが、凹凸形成層42の表面にインプリントプロセスにより転写されて、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン43を有する材料44が形成される。この表面凹凸パターン43上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層45(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料46が製造される。
【0040】
図10は、陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したネガ型モールドによるナノインプリントプロセスにより凹凸パターンを形成し、これを用いて低反射導電性表面を有する材料を製造する方法を模式的に示したものである。図10において、51は、所定の凹凸パターン(例えば、規則的な所定の細孔配列)を有する陽極酸化ポーラスアルミナを示しており、この陽極酸化ポーラスアルミナ51の表面に充填物質52を充填して、陽極酸化ポーラスアルミナ51の凹凸パターンが、充填物質52の表面に転写される。転写後に陽極酸化ポーラスアルミナ51を除去することで、上記凹凸パターンが転写されたネガ型モールド53が得られる。このネガ型モールド53の凹凸パターンが、凹凸形成層の表面にインプリントプロセスにより転写されて、表面に反射防止特性を備えた凹凸パターン54を有する材料55が形成される。この表面凹凸パターン54上に、導電性を有する透明材料からなる薄膜の層56(透明導電性薄膜層)がコーティング等により形成されて、低反射導電性表面を有する材料57が製造される。
【実施例】
【0041】
実施例1〔突起高さ200nm、ピッチ100nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で3時間陽極酸化したのち、試料をクロム酸リン酸混合溶液に浸漬し、酸化皮膜のみ選択的に溶解除去し、同一条件下で再度25秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で7分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ200nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面に導電性薄膜としてITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は1.2kΩ□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【0042】
実施例2〔突起高さ150nm、ピッチ100nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で3時間陽極酸化したのち、試料をクロム酸リン酸混合溶液に浸漬し、酸化皮膜のみ選択的に溶解除去し、同一条件下で再度20秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で7分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ150nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面にITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は550Ω□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【0043】
実施例3〔突起高さ250nm、ピッチ200nmテーパー状ポリマーピラーアレーへのITOの製膜〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、ピッチ200nmで規則配列した突起パターンを有するモールドによりテクスチャリング処理を行い、窪みパターンの形成を行った。0.05Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧80Vの条件下で2秒間陽極酸化を行った後、5wt%リン酸水溶液中で20分間エッチングを行う操作を5回繰り返すことでテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを形成した。作製したポーラスアルミナ表面をフルオロアルキルシラン溶液に浸漬し、表面の離型処理を行いインプリント用モールドとした。得られたモールドを用いてポリエチレンナフタレート(PEN)シート上で光硬化性樹脂にインプリントを行うことで、直径70nm、突起高さ150nmのテーパー状ポリマーピラーアレーの形成を行った。作製したナノパターンの表面にITOを80nmスパッタにより製膜した。得られた試料の抵抗率は550Ω□であり、透過率は波長550nmにおいて86%であった。このとき、平坦なPEN基板にITOを80nmスパッタした場合には波長550nmにおいて透過率は70%であり、微細パターン表面にITOを製膜することにより透過率が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る低反射導電性表面を有する材料は、表面の反射防止特性と導電性の両方が要求されるあらゆる分野に適用可能であり、更には、光透過性が要求される分野においても好適なものである。
【符号の説明】
【0045】
1、14、24、31、44、55 モールドとしての凹凸パターンを有する材料
2、32、43、54 凹凸パターン
3、15、25、34、45、56 透明導電性薄膜層
4、16、26、36、46、57 低反射導電性表面を有する材料
5、6、11 基材
5a、6a 凹凸パターン形成層
7 不透明薄膜としての金属電極層
8、9 他の透明材料からなる層
10 タッチパネル
12 凹凸形成層
13、23 インプリント用モールド
21 透明基材
22 透明材料からなる凹凸形成層
33 薄膜層
35 多層膜堆積層
41 陽極酸化ポーラスアルミナモールド
42 凹凸形成層
51 陽極酸化ポーラスアルミナ
52 充填物質
53 ネガ型モールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする低反射導電性表面を有する材料。
【請求項2】
前記凹凸パターンを有する表面の形成材の材質がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネートのいずれかからなることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項3】
前記表面に形成された凹凸パターン上に直接、前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項4】
光透過可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項5】
波長550nm の光の透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項4に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項6】
前記表面に形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されており、該不透明薄膜上の層の最外層として前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項7】
前記表面に形成された凹凸パターン上に前記透明導電性薄膜が形成されており、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項8】
前記不透明薄膜が導電性材料からなることを特徴とする、請求項6または7に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項9】
前記不透明薄膜が金属電極層からなることを特徴とする、請求項8に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項10】
前記透明導電性薄膜と前記不透明薄膜との間に少なくとも1層の光透過層が介在されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項11】
前記表面の凹凸パターンがインプリントプロセスにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項12】
前記表面の凹凸パターンが、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項13】
前記凹凸パターンが、テーパー形状の突起アレーまたはテーパー形状のホールアレーからなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項14】
前記凹凸パターンを有する表面上に、スパッタ法または真空蒸着法により前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項15】
前記透明導電性薄膜の厚さが、10nm以上、1 μm以下であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項16】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、30nm以上、500nm以下であることを特徴とする、請求項15に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項17】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、50nm以上、500nm以下であることを特徴とする、請求項16に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項18】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、50nm以上、200nm以下であることを特徴とする、請求項17に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項19】
前記凹凸パターンを有する表面上に複数の薄膜層が積層されてなり、少なくとも最外層を形成する薄膜の材料が導電性を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項20】
請求項1〜5、11〜19のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料が、それらの透明導電性薄膜同士を互いに対向させて配置されてなることを特徴とするタッチパネル。
【請求項21】
前記透明導電性薄膜が所定の形態にパターニングされて形成されていることを特徴とする、請求項20に記載のタッチパネル。
【請求項22】
モールドを用いて材料の表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項23】
透明な基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に直接、前記透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項24】
基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜を形成し、該不透明薄膜上の層の最外層として前記透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項25】
基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に前記透明導電性薄膜を形成し、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項26】
前記不透明薄膜を導電性材料から形成することを特徴とする、請求項24または25に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項27】
前記不透明薄膜を金属電極層から構成することを特徴とする、請求項26に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項28】
前記表面の凹凸パターンをインプリントプロセスにより形成することを特徴とする、請求項22〜27のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項29】
連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いることを特徴とする、請求項28に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項30】
前記表面の凹凸パターンを陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成することを特徴とする、請求項22〜29のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項31】
硫酸を電解液として用い、化成電圧10V〜120Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項32】
シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V 〜130Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項33】
リン酸を電解液として用い、化成電圧180V〜220Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項34】
定電圧で陽極酸化を施した後、一旦酸化皮膜を溶解除去し、再び陽極酸化を施すことで作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30〜33のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項35】
陽極酸化に先立ち、アルミニウムの表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生の開始点として作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30〜33のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項1】
モールドを用いて形成された、反射防止特性を備えた凹凸パターンを有する表面上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする低反射導電性表面を有する材料。
【請求項2】
前記凹凸パターンを有する表面の形成材の材質がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネートのいずれかからなることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項3】
前記表面に形成された凹凸パターン上に直接、前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項4】
光透過可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項5】
波長550nm の光の透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項4に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項6】
前記表面に形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されており、該不透明薄膜上の層の最外層として前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項7】
前記表面に形成された凹凸パターン上に前記透明導電性薄膜が形成されており、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項8】
前記不透明薄膜が導電性材料からなることを特徴とする、請求項6または7に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項9】
前記不透明薄膜が金属電極層からなることを特徴とする、請求項8に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項10】
前記透明導電性薄膜と前記不透明薄膜との間に少なくとも1層の光透過層が介在されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項11】
前記表面の凹凸パターンがインプリントプロセスにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項12】
前記表面の凹凸パターンが、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項13】
前記凹凸パターンが、テーパー形状の突起アレーまたはテーパー形状のホールアレーからなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項14】
前記凹凸パターンを有する表面上に、スパッタ法または真空蒸着法により前記透明導電性薄膜が形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項15】
前記透明導電性薄膜の厚さが、10nm以上、1 μm以下であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項16】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、30nm以上、500nm以下であることを特徴とする、請求項15に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項17】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、50nm以上、500nm以下であることを特徴とする、請求項16に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項18】
前記導電性を有する薄膜の厚さが、50nm以上、200nm以下であることを特徴とする、請求項17に記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項19】
前記凹凸パターンを有する表面上に複数の薄膜層が積層されてなり、少なくとも最外層を形成する薄膜の材料が導電性を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料。
【請求項20】
請求項1〜5、11〜19のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する2枚のシート状材料が、それらの透明導電性薄膜同士を互いに対向させて配置されてなることを特徴とするタッチパネル。
【請求項21】
前記透明導電性薄膜が所定の形態にパターニングされて形成されていることを特徴とする、請求項20に記載のタッチパネル。
【請求項22】
モールドを用いて材料の表面に反射防止特性を備えた凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に、透明な導電性材料からなる透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項23】
透明な基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に直接、前記透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項24】
基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に不透明な材料からなる不透明薄膜を形成し、該不透明薄膜上の層の最外層として前記透明導電性薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項25】
基材の表面に前記凹凸パターンを形成し、形成された凹凸パターン上に前記透明導電性薄膜を形成し、該透明導電性薄膜上の層の最外層として不透明な材料からなる不透明薄膜を形成することを特徴とする、請求項22に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項26】
前記不透明薄膜を導電性材料から形成することを特徴とする、請求項24または25に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項27】
前記不透明薄膜を金属電極層から構成することを特徴とする、請求項26に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項28】
前記表面の凹凸パターンをインプリントプロセスにより形成することを特徴とする、請求項22〜27のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項29】
連続インプリント用モールドとしてロール状モールドを用いることを特徴とする、請求項28に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項30】
前記表面の凹凸パターンを陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製したネガ型モールドを用いて形成することを特徴とする、請求項22〜29のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項31】
硫酸を電解液として用い、化成電圧10V〜120Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項32】
シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V 〜130Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項33】
リン酸を電解液として用い、化成電圧180V〜220Vにおいて作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30に記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項34】
定電圧で陽極酸化を施した後、一旦酸化皮膜を溶解除去し、再び陽極酸化を施すことで作製した細孔が規則的に配列した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30〜33のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【請求項35】
陽極酸化に先立ち、アルミニウムの表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生の開始点として作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることを特徴とする、請求項30〜33のいずれかに記載の低反射導電性表面を有する材料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−167924(P2011−167924A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33678(P2010−33678)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
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