説明

体重減少に影響を及ぼすためのブプロピオンと第2の化合物との組合せ

ブプロピオンと第2の化合物とを含む体重減少に影響を与えるための組成物であって、第2の化合物が、正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)またはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こすかまたは双極性障害の治療に有効である組成物が開示されている。体重減少に影響を与え、エネルギー消費を増大させ、個体における満腹感を増大させ、または個体の食欲を抑制する方法であって、その必要がある個体を特定する工程、および、その個体を、ブプロピオンと、α-MSH活性を増強させる化合物、カンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物、または双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程を含む方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年8月3日にWeberらによって出願された「COMBINATION OF BUPROPION AND A SECOND COMPOUND FOR AFFECTING WEIGHT LOSS」という表題の米国仮出願番号第60/598,558号(参照によりその全体を本明細書に援用する)について、35 U.S.C.第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、個体における肥満を治療し、体重減少に影響を与える、医薬組成物および方法の分野である。
【背景技術】
【0003】
肥満は、身体に過剰の脂肪が蓄積することを特徴とする障害である。肥満は、主要な原因疾患の1つとして認識され、地球規模の問題として浮かび上がっている。高血圧、インスリン非依存性糖尿病、動脈硬化症、異脂肪血症、ある種の形態の癌、睡眠時無呼吸、および変形性関節症などの合併症の増加は、一般集団における肥満の増加に関係している。
【0004】
肥満は、体格指数(BMI)によって定義される。BMIは、体重(kg)/[身長(m)]2として算出される。米国疾病管理予防センター(CDC)、および世界保健機構(WHO)(World Health Organization. Physical status: The use and interpretation of anthropometry. Geneva, Switzerland: World Health Organization 1995. WHO Technical Report Series)の指針によれば、20才を超える成人の場合、BMIは、以下の範疇のうちの1つに含まれる。18.5未満は低体重と見なされ、18.5〜24.9は正常と見なされ、25.0〜29.9は過体重と見なされ、30.0以上は肥満と見なされる。
【0005】
1994年以前は、肥満は、一般に心理学的な問題と見なされていた。1994年、脂肪細胞由来のホルモンであるレプチンの発見(Zhangら、「Positional cloning of the mouse obese gene, and its human homologue」、Nature 1994、372、425〜432)によって、ある種のケースでは、肥満は、生化学的基礎を有する可能性があるという認識が生まれた。この認識がもたらしたものは、肥満治療は化学的手法で実現できるという考えであった。それ以降、いくつかのこのような化学的治療剤が市場に出てきた。これらの試みの中で最も有名なものは、フェンフルラミンとフェンテルミンとの組合せであるフェンフェン(Fen-Phen)の導入であった。残念なことに、フェンフルラミンは、心臓弁の合併症を引き起こし、場合によっては、利用者の死を招くことがわかった。その後、フェンフルラミンは、市場から回収された。他の併用療法アプローチで、特に精神的摂食障害の分野において、ある程度の成功があった。このような一例として、Devlinら、Int. J. Eating Disord. 28、325〜332、2000があり、フェンテルミンとフルオキセチンの組合せは、暴食障害の治療において、ある程度の有効性を示した。当然、この障害は、人口のほんの一部の問題でしかない。
【非特許文献1】Zhangら、Nature 1994、372、425〜432
【非特許文献2】Devlinら、Int. J. Eating Disord. 28、325〜332、2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医学的な肥満の厳密な定義を満たすこのような個体に加えて、成人人口の大部分は過体重である。これらの過体重の個体も、効果的な体重減少組成物が利用可能であれば恩恵を受けるはずである。すなわち、当技術分野において、他の有害な副作用なしに体重減少に影響を与える医薬組成物の提供という未達成の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とを含む体重減少に影響を与えるための組成物であって、第2の化合物が、正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こすか、またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する、組成物を開示する。
【0008】
体重減少に影響を与え、エネルギー消費を増大させ、個体における満腹感を増大させ、または個体の食欲を抑える方法であって、それを必要とする個体を特定する工程と、
その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させるかまたはカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する治療する工程とを含む方法も開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
弓状核ニューロンは、レプチン、インスリン、性腺ステロイド、およびグルコースを含む、多様なホルモンおよび栄養素に応答することが知られている。潜在的輸送機構に加えて、末梢の物質は、弓状細胞体、および脳室周囲器官と見なされる領域である正中隆起への突起(血液脳関門が欠如している)を経由して、これらのニューロンにアクセスすることもできる。Coneら、「The arcuate nucleus as a conduit for diverse signals relevant to energy homeostasis」、Int'l Journal of Obesity (2001) 25、Suppl 5、S63〜S67頁。
【0010】
外因性レプチンの投与によって、レプチン受容体を有している視床下部および脳幹の細胞群中のいくつかの異なるニューロンが活性化される。弓状核中のレプチン応答性ニューロンには、核の内側部にある神経ペプチドY(NPY)とアグーチ関連ペプチド(AgRP)との双方を含むもの、およびプロオピオメラノコルチン(POMC)とその誘導体(α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)を含む)との双方を含むもの、ならびにコカインとアンフェタミン関連転写産物(CART)とを含むものが含まれる。Saperら、「The need to feed: Homeostatic and hedonic control of eating」、Neuron、36巻、199〜211頁(2002年)。
【0011】
弓状核中のレプチン応答性POMCニューロンは、α-MSHのメラノコルチン3および/または4受容体(MC3-R、MC4-R)への作用によって食欲不振および体重減少を引き起こすと考えられている。MC3-Rの発現レベルは、視床下部および大脳辺縁系において最高であるが、MC4-R mRNAは、実質的に主要な脳の領域すべてにおいて発現されている。MC4-Rの刺激に起因する代謝効果のいくつかは、食物摂取量の減少、ならびに甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの刺激および交感神経系の活性化によるエネルギー消費の増大である。標的MC4-R遺伝子の欠失は、肥満、過食、高インスリン血症、およびエネルギー消費の減少をもたらす。標的MC3-Rの欠失は、エネルギー消費の減少のため体脂肪蓄積の増大をもたらす。Kornerら、「The emerging science of body weight regulation and its impact on obesity treatment」、J. Clin. Invest. 111(5):565-570 (2003)。したがって、中枢神経系(CNS)中のα-MSHの増加によって、MC3-Rおよび/またはMC4-Rに及ぼすその作用が増大し、食欲抑制がもたらされる。
【0012】
POMCニューロンは、α-MSHを放出するときにβ-エンドルフィンも放出する。β-エンドルフィンは、POMCニューロン上で見られるμ-オピオイド受容体(MOP-R)の内因性アゴニストである。MOP-Rの刺激はα-MSHの放出を低減させる。これは、正常な生理的条件下で、CNS中のα-MSH濃度を制御するバイオフィードバック機構である。したがって、オピオイドアンタゴニストによってMOP-Rをブロックすると、フィードバック機構を中断し、α-MSH分泌の持続、およびCNS中のその濃度の増大をもたらす。
【0013】
弓状核中の第2のニューロン集団は、POMCニューロンを持続的に阻害する。これらのPOMC抑制ニューロンは、NPY、神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)、およびAgRPを分泌する。NPYおよびGABAはそれぞれNPY Y1受容体およびGABA受容体を介して、POMCニューロンを抑制する。したがって、弓状核内で、NPYおよびGABAは、α-MSHの放出を抑制し、したがって摂食刺激剤である。レプチンは、POMCニューロンへのシナプスを形成するNPYの末端部からのGABAの放出を抑制するが、摂食促進ペプチドであるグレリンは、NPYニューロン上のグレリン受容体を刺激し、POMC細胞上へのNPYおよびGABAの分泌を増大させ、この分泌がα-MSHの放出を抑制することが知られている。
【0014】
AgRPは、ラットにおける食物摂取量を、MC4-Rでのα-MSHの相互作用の拮抗によって刺激する。AgRP遺伝子の発現はレプチンにより抑制される。
【0015】
セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミンまたは5-HTとも呼ばれる)は、POMCニューロンを活性化して、α-MSHを分泌させる。しかし、セロトニンは、特定のトランスポータによる作用によって取り込まれ、除去されるため、1個のセロトニン分子の作用は短時間である。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、セロトニンの取り込みを防止し、CNS中のその濃度を増大させることが知られている。したがって、SSRIも、α-MSHの分泌、およびCNS中のその濃度を増大させる。
【0016】
ドーパミンも、POMCニューロンの活性を増大させて、α-MSHを分泌させる。セロトニンのように、ドーパミンも、作用によって取り込まれ、除去され、したがって1個のドーパミン分子の効果は短期である。ドーパミンの取り込みを防止または低減させるドーパミン再取り込み阻害剤も、α-MSHの分泌、およびCNS中のその濃度を増大させることができる。
【0017】
したがって、セロトニン再取り込み阻害など様々な機構によるα-MSH分泌の増大は、生化学的な食欲減退効果をもたらすために本発明の方法および医薬組成物が追求する戦略に含まれる。
【0018】
本発明は、体重減少という課題への多面的な組合せ療法の手法を提供する。これは、単一種類の分子、メッセンジャー、または受容体を標的とするだけでなく、むしろ摂食および満腹経路における複数の場所に作用する。本発明の態様は、α-MSHの放出を刺激し、その代謝を抑制し、MC3/4-Rでのその相互作用の拮抗を低減し、その放出を遅延または阻止するいかなるフィードバック機構も抑制することによって、CNS中のα-MSH濃度を上昇させることに向けられている。本発明の態様には、その成分がこれら機能のうちの1つまたは複数を実現する医薬組成物が含まれる。本発明者は、本明細書に開示する化合物の2種以上の組合せが、体重減少により速くかつより永続的に影響を与える相乗効果をもたらすことを発見した。
【0019】
したがって、第1の態様では、本発明は、肥満を治療するためのまたは体重減少に影響を与えるための組成物であって、ブプロピオンもしくはその代謝産物、また医薬として許容できるその塩もしくはプロドラッグと、第2の化合物とを含み、前記第2の化合物が正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こす組成物を対象とする。
【0020】
別の態様では、本発明は、肥満を治療するためのまたは体重減少に影響を与えるための組成物であって、ブプロピオンもしくはその代謝産物、また医薬として許容できるその塩もしくはプロドラッグと、第2の化合物とを含み、前記第2の化合物がカンナビノイド受容体アンタゴニストである組成物を対象とする。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、肥満を治療するためのまたは体重減少に影響を与えるための組成物であって、ブプロピオンもしくはその代謝産物、また医薬として許容できるその塩もしくはプロドラッグと、第2の化合物とを含み、前記第2の化合物が双極性障害の治療に有効な薬剤である組成物を対象とする。
【0022】
一部の態様では、前記第2の化合物が正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こす化合物ではない一方、他の態様では、前記第2の化合物が双極性障害の治療に有効な薬剤ではない。
【0023】
ブプロピオン(その化学名は(+-)-l-(3-クロロフェニル)-2-[(l,l- ジメチルエチル)アミノ]-l-プロパノンである)は、ZYBAN(登録商標)およびWELLBUTRIN(登録商標)として販売されている薬剤中の活性成分であり、通常塩酸塩として投与される。本開示において用いられる用語「ブプロピオン」は、遊離塩基として、または生理的に許容できるその塩としてのブプロピオンを包含すると理解されたい。ブプロピオンは、徐放性製剤における、75mgもしくは100mgの錠剤として、または100mgもしくは150mgの錠剤として経口投与することができる。ブプロピオンの他の用量を含有する錠剤を調製することは、当業者の技術の範囲内である。
【0024】
本明細書に開示した方法および組成物に包含するために好適なブプロピオンの代謝産物には、ブプロピオンのエリスロ−またはスレオ−アミノアルコール、ブプロピオンのエリスロ−アミノジオール、およびブプロピオンのモルホリノール代謝産物が含まれる。一部の態様では、ブプロピオンの代謝産物は、(+-)-(2R*,3R*)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。一部の態様では、この代謝物は、(-)-(2R*,3R*)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールであり、他の実施態様では、この代謝物は、(+)-(2S,3S)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。好ましくは、ブプロピオンの代謝産物は、ラダファキシンの通称で知られている(+)-(2S,3S)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。本発明の範囲には、遊離塩基として、または生理的に許容できるその塩としての上述のブプロピオンの代謝産物が含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記第2の化合物は、POMCニューロンの活性の増大を引き起こし、MC3-Rおよび/またはMC4-Rの受容体活性化作用の増大を引き起こす。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書における方法および組成物は、哺乳動物の体重減少に影響を与える。哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、テンジクネズミ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長類(例えばサル、チンパンジー、および類人猿)、およびヒトである。
【0027】
「医薬として許容できる塩」という用語は、投与対象である生物に対して著しい刺激反応を引き起こさず、その化合物の生物活性および特性を阻害しない化合物の製剤形態を指す。医薬としての塩は、本発明の化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを反応させることによって得ることができる。医薬としての塩は、本発明の化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩、ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基の塩、および、これらの塩とアルギニン、リジンなどのアミノ酸類との塩を形成することによって得ることもできる。
【0028】
「プロドラッグ」は、in vivoでもとの作用物質に変換される薬物を指す。プロドラッグは、状況によっては投与が親作用物質より容易になり得るので有用であることが多い。例えば、これらは、親作用物質が生物学的に利用可能でなくても、経口投与で生物学的に利用可能となり得る。プロドラッグは、親作用物質に比べて、医薬組成物において改善された溶解性も有することがあり、あるいは向上した嗜好性を示したり、または処方するのがより容易になることがある。プロドラッグの一例として、以下に制限されるものではないが、水溶性であることが移動にとって好ましくない細胞膜を横断する透過を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与され、水溶性が有利である細胞内部に一旦入ると、次いで代謝によって有効単位であるそのカルボン酸に加水分解される本発明の化合物がある。プロドラッグの別の例は、酸基に結合された短いペプチド(ポリアミノ酸)であることができ、このペプチドが代謝されて活性残基が供給される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物中の第2の化合物が、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)の放出の引き金になる。第2の化合物は、視床下部の細胞外セロトニン濃度を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、第2の化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン2Cアゴニスト、およびセロトニン1Bアゴニストからなる群から選択される。他の実施形態では、第2の化合物は、例えばフルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、シブトラミン、デュロキセチン、およびベンラファキシン、および医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される。
【0030】
「セロトニン1B受容体」、「セロトニン2C受容体」、「5-HT1b受容体」、および「5-HT2c受容体」という用語は、げっ歯動物において、より一般に見られる受容体を指す。他の哺乳動物が、機能および形態においてこれらの受容体に類似したセロトニン受容体を様々なニューロン上に有することは、当業者に理解される。これらの非げっ歯動物、好ましくはヒトのセロトニン受容体におけるアゴニストまたはアンタゴニストは、本発明の範囲に包含される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、AgRP遺伝子の発現、またはアグーチ関連タンパク質(AgRP)の産生もしくは放出を抑制する。これらの実施形態のいくつかでは、第2の化合物は、AgRPを発現するニューロンの活性を抑制する。
【0032】
他の実施形態では、第2の化合物は、NPY遺伝子の発現の発現、または神経ペプチドY(NPY)の産生もしくは放出を抑制する。これらの実施形態のいくつかでは、第2の化合物は、NPYを発現するニューロンの活性を抑制する。他の実施形態では、第2の化合物は、NPYアンタゴニスト、グレリンアンタゴニスト、およびレプチンからなる群から選択される。いくつかの他の実施形態では、第2の化合物は、NPY Y2受容体に拮抗する。
【0033】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、NPY受容体のアンタゴニストである。いくつかの実施形態ではこの受容体はNPY Y1であるが、他の実施形態ではこの受容体はNPY Y5である。いくつかの実施形態では、NPY受容体のアンタゴニストはS-2367(日本のShionogi社で開発された化合物)である。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、α-MSH、メラノタン、MT II(メラノタンII、参照により本明細書に援用する米国特許第5,674,839号に開示されている)、PT141(Palatin Technologiesにより開発された)、環状ペプチドMaltose Binding Peptide 10(MBP10)、およびHS014から選択される。MT IIは、構造Ac-Nle4-Asp5-His6-D-Phe7-Arg8-Trp9-Lys10-[α]-MSH(4-10)-NH2を有する。PT141は、構造Ac-Nle-Asp-His-DPhe-Arg- Trp-Lys-OHを有する。HS014は、環状構造[AcCys11, D-NaI14, Cys18, Asp-NH222]-[β]-MSH(l l-22)(例えば、Kask et al., Biochem. Biophys. Research Comm 245, 90-93 (1998)に記載されている)を有する。
【0035】
本発明の他の実施形態には、第2の化合物が、γ-アミノ酪酸(GABA)阻害剤、GABA受容体アンタゴニスト、およびGABAチャネルアンタゴニストからなる群から選択されるものが含まれる。「GABA阻害剤」は、GABAがGABA受容体に結合するのを防止する、またはこのような結合の作用を最小限に抑えることによって、細胞におけるGABAの産生を低減し、細胞からのGABAの放出を低減し、またはその受容体上でのGABAの活性を低減する化合物を意味する。GABA阻害剤は、5-HT1bアゴニスト、またはNPY/AgRP/GABAニューロンの活性を阻害する別の作用物質であってよい。さらに、GABA阻害剤は、AgRP遺伝子の発現を抑制することができ、あるいはGABA阻害剤は、AgRPの産生もしくは放出を抑制することができる。しかし、5-HT1bアゴニストは、GABA経路の阻害剤として働くことなく、NPY/AgRP/GABAニューロンを阻害できる(したがって、POMCニューロンを活性化できる)ことが理解される。
【0036】
いくつかの他の実施形態では、GABA阻害剤は、POMC遺伝子の発現を増大させる。これらの実施形態のいくつかでは、GABA阻害剤は、プロ−オピオメラノコルチン(POMC)タンパク質の産生もしくは放出を増大させる。これらの他の実施形態では、GABA阻害剤は、POMC発現ニューロンの活性を増大させる。いくつかの実施形態では、GABA阻害剤は、トピラメートである。
【0037】
他の実施形態では、第2の化合物は、ドーパミン再取り込み阻害剤である。フェンテルミンは、ドーパミン再取り込み阻害剤の一例である。いくつかの他の実施形態では、第2の化合物は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤である。ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の例には、チオニソキセチン(thionisoxetine)、およびレボキセチンが含まれる。他の実施形態には、第2の化合物がドーパミンアゴニストであるものが含まれる。市場で入手可能ないくつかのドーパミンアゴニストには、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール、およびブロモクリプチンが含まれる。他の実施形態では、第2の化合物は、ノルエピネフリン遊離剤(例えばジエチルプロピオン)、または混合ドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えばアトモキサチン)である。
【0038】
いくつかの他の実施形態では、第2の化合物は、例えばスマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾミトリプタン(zomitriptan)、およびエリトリプタン(elitriptan)などの5-HT1bアゴニストである。
【0039】
他の実施形態では、第2の化合物は、抗痙攣剤である。抗痙攣剤は、ゾニサミド、トピラメート、ネンブタール、ロラゼパム、クロナゼパム、クロラゼパート、チアガビン、ガバペンチン、ホスフェニトイン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、フェルバメート、レベチラセタム、オキシカルバゼピン、ラモトリジン、メトスクシミド、およびエトスクシミドからなる群から選択することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストである。この化合物群の例には、AM251〔[N-(ピペリジン-l-イル)-l-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4- ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3 -カルボキシアミド]〕、AM281〔[N-(モルフォリン- 1-イル)- 1 -(2,4- ジクロロフェニル)-5 -(4-ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3 -カルボキシアミド]〕、AM630〔(6-ヨード-2- メチル-l-[2-(4-モルフォリニル)エチル]-lH-インドール-3-イル](4-メトキシフェニル)メタノン)〕、LY320135、およびSR141716A(リモナバント)、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグが含まれる。LY320135およびSR141716Aは、以下の構造を有する。
【化1】

【0041】
いくつかの実施形態では、本発明は、ブプロピオンとリモナバントとの組合せに関する。他の実施形態では、本発明はラダファキシンとリモナバントとの組合せに関する。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、双極性障害の治療に有効な薬剤であり、リチウム、バルプロ酸、バルプロエート、ジバルプロックス、カルバメゼピン、オキシカルバメゼピン、ラモトロジン(lamotrogine)、チアガビン、およびベンゾジアゼピン類からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第2の化合物は、バルプロ酸、バルプロエート、およびジバルプロックスからなる群から選択される。ジバルプロックスナトリウムは、DEPAKOTE(登録商標)としてAbbot Laboratoriesから販売されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明は、ブプロピオンとジバルプロックスとの組合せに関する。他の実施形態では、本発明はラダファキシンとジバルプロックスとの組合せに関する。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の化合物それ自体を、2種以上の化合物の組合せとすることができる。例えば、第2の化合物は、ドーパミン再取り込み阻害剤とノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えばマジンドール)との組合せとすることができる。あるいは、第2の化合物は、SSRIと、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、シブトラミン、ベンラファキシン、およびデュロキセチンなど)との組合せとすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、POMCニューロンの活性化剤である。POMC活性化剤の例には、Ptx1、白血病抑制因子(LIF)およびインターロイキン1β(IL-1β)が含まれる。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明は、ブプロピオンとオランザピンとの組合せに関する。他の実施形態では、本発明はブプロピオンとZyprexa(登録商標)との組合せに関する。さらなる実施形態では、本発明はラダファキシンとZyprexa(登録商標)との組合せに関する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、第3の化合物を含み、この第3の化合物は、第2の化合物として上述した化合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ブプロピオン、ゾニサミド、およびZyprexa(登録商標)を含む。他の実施形態では、本発明はラダファキシン、ゾニサミド、およびZyprexa(登録商標)を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、体重減少に影響を与える方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0049】
別の態様では、本発明は、体重減少に影響を与える方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0050】
別の態様では、本発明は、体重減少に影響を与える方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0051】
いくつかの実施形態では、個体は、体格指数(BMI)が25より大きい。他の実施形態では、個体は、BMIが30より大きい。さらに別の実施形態では、個体は、BMIが40より大きい。しかし、いくつかの実施形態では、個体は、BMIが25未満でもよい。これらの実施形態では、健康または美容の目的で、体重減少に影響を与え、それによってBMIをさらにもっと低減させることが有益となる場合がある。
【0052】
上記に記載する実施形態のいくつかでは、α-MSH活性を増強する化合物は、α-MSHの放出の引き金となり、またはα-MSHを発現するニューロンの活性を増大させることによってα-MSH活性を増強する。いくつかの実施形態では、この化合物は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、または特異的5-HT受容体アゴニストである。本発明で使用できるSSRIの例には、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、シブトラミン、デュロキセチン、ベンラファキシン、および医薬として許容できるその塩またはプロドラッグが含まれる。
【0053】
他の実施形態では、この化合物は、γ-アミノ酪酸(GABA)阻害剤である。GABA阻害剤は、5-HT1b受容体アゴニストであってよい。GABA阻害剤は、AgRP遺伝子の発現を抑制することができ、あるいはAgRPの産生もしくは放出を抑制することができる。GABA阻害剤は、NPYの発現または放出を抑制することができる。いくつかの実施形態では、GABA阻害剤は、AgRPを発現するニューロンの活性を抑制する。例えば、GABA阻害剤は、トピラメート、1-(2-(((ジフェニルメチレン)アミノ)オキシ)エチル)-1,2,5,6-テトラヒドロ-3-ピリジンカルボン酸塩酸塩(NNC-711)、またはビガバトリンであってよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、個体がプラダーウィリー症候群または暴食障害にかかっていないことを条件として、上記に記載する本発明の方法を実施する。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、暴食障害、プラダーウィリー症候群などの生理的摂食障害を治療するために使用されたSSRI抗うつ剤(例えば、フルオキセチン)が関与する組合せ療法とは区別される。これらの実施形態では、標的集団は、体重減少を必要とするまたは所望するが、プラダーウィリー症候群または暴食障害の治療を必要としない個体の集団である。
【0055】
うつ病にかかっている個体は、そのうつ病の結果として体重が増加することがある。さらに、ある種のうつ病の個体は、うつ病療法の副作用として体重が増加する。いくつかの実施形態では、個体がうつ病にかかっていないことを条件として、上記に記載する本発明の方法を実施する。いくつかの実施形態では、個体の過体重状態は、うつ病の治療によっては引き起こされなかった。
【0056】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物とカンナビノイド受容体活性に拮抗する第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物と双極性障害の治療に有効な第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する。他の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を、第2の化合物の前に投与する。さらに別の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を、第2の化合物の後に投与する。
【0060】
いくつかの実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物を個別に投与する。他の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物を相互に共有結合で連結させ、単一の化学単位が形成されるようにする。次いで、この単一の化学単位が消化され、2種の異なる生理活性化学単位に代謝され、そのうちの一方は、ブプロピオンもしくはその代謝産物、また医薬として許容できるその塩もしくはプロドラッグであり、他方は第2の化合物である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ブプロピオンまたはその代謝産物と以下の化合物1種以上との組合せである:SSRI、ドーパミン再取り込み阻害剤、ドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、オピオイドアンタゴニスト、部分的オピオイドアゴニスト、GABA阻害剤、メトホルミンなどの末梢作用性体重減少剤、またはPYY、PYY3〜36、もしくはレプチンなどのペプチド、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、およびNPY受容体アンタゴニスト(例えば、NPY Y5受容体アンタゴニスト、例えばS-2367等)。
【0062】
ノルエピネフリンアゴニストの例には、フェンジメトラジン、およびベンズフェタミンが含まれる。アデノシン化合物の例には、アデノシン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、およびアミノフィリンなどのキサンチン誘導体がすべて含まれる。コリン受容体アンタゴニストの一例は、ニコチンである。
【0063】
別の態様では、本発明は、個体において満腹感を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0064】
別の態様では、本発明は、個体において満腹感を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0065】
さらに別の態様では、本発明は、個体において満腹感を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0066】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する。他の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を、第2の化合物の前に投与する。さらに別の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する。
【0068】
別の態様では、本発明は、個体の食欲を抑制する方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0069】
別の態様では、本発明は、個体の食欲を抑制する方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0070】
別の態様では、本発明は、個体の食欲を抑制する方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0071】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する。他の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を、第2の化合物の前に投与する。さらに別の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する。
【0073】
別の態様では、本発明は、個体においてエネルギー消費を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0074】
別の態様では、本発明は、個体においてエネルギー消費を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物とカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0075】
別の態様では、本発明は、個体においてエネルギー消費を増大させる方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記の方法の治療工程は、ブプロピオンまたはその代謝産物とα-MSH活性を増強させる第2の化合物との組合せを投与する工程を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する。他の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を、第2の化合物の前に投与する。さらに別の実施形態では、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する。
【0078】
一部の実施形態では、本明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)の放出の引き金とはならない。いくつかの実施形態では、第2の化合物は視床下部の細胞外セロトニン濃度を増加させない。さらなる実施形態では、第2の化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)でないか、セロトニン2Cアゴニストでないか、または、セロトニンIBアゴニストでない。
いくつかの実施形態では、第2の化合物は、フルオキセチンでないか、フルボキサミンでないか、セルトラリンでないか、パロキセチンでないか、シタロプラムでないか、エスシタロプラムでないか、シブトラミンでないか、デュロキセチンでないか、またはベンラファキシンでない。
【0079】
一部の実施形態では、本明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、AgRP遺伝子の発現を抑制しないか、またはアグーチ関連のタンパク質(AgRP)の産生または放出を抑止しない。これらの実施形態の一部において、第2の化合物は、AgRPを発現するニューロンの活性を抑制しない。
【0080】
他の実施形態では、本明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、NPY遺伝子の発現またはニューロペプチドY(NPY)の産生または放出を抑制しない。これらの実施形態の一部において、第2の化合物は、NPYを発現するニューロンの活性を抑制しない。更なる実施形態では、第2の合成物は、NPYアンタゴニストでないか、グレリンアンタゴニストでないか、またはレプチンでない。いくつかの他の実施形態では、第2の化合物は、NPY Y2受容体を活性化しない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、NPY受容体アンタゴニストでない。いくつかの実施形態では、第2の化合物はNPY Yl受容体アンタゴニストでない。その一方で、他の実施形態では、第2の化合物はNPY Y5受容体アンタゴニストでない。いくつかの実施形態では、NPY受容体アンタゴニストは、S-2367でない。
【0082】
他の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、GABA阻害剤でないか、GABA受容体アンタゴニストでないか、またはGABAチャンネルアンタゴニストでない。
【0083】
いくつかの他の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、GABA阻害剤は、POMC遺伝子の発現を増加させない。これらの実施形態の一部では、GABA阻害剤は、POMCタンパクの産生または放出を増大させない。これらの実施形態のいくつかの他の実施形態では、GABA阻害剤は、POMCを発現しているニューロンの活性を増大させない。いくつかの実施形態では、GABA阻害剤は、トピラメートでない。
【0084】
他の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、ドーパミン再取り込み阻害剤でない。他の実施形態において、ドーパミン再取り込み阻害剤は、フェンテルミンでない。いくつか他の実施形態において、第2の化合物は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤でない。他の実施形態において、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、チオニソキセチン(thionisoxetine)でないかまたは、レボキセチンでない。さらなる実施形態において、第2の化合物は、ドーパミンアゴニストでない。いくつかの実施形態では、ドーパミンアゴニストは、カベルゴリンでないか、アマンタジンでないか、リスリドでないか、ペルゴリドでないか、ロピニロールでないか、プラミペキソールでないか、または、ブロモクリプチンでない。さらなる実施形態において、第2の化合物は、ノルエピネフリン放出剤(releaser)でない。いくつかの実施形態では、ノルエピネフリン放出剤は、ジエチルプロピオンではない。いくつかの実施形態では、第2の化合物は、混合ドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤でない。一部の実施形態では、混合ドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、アトモキサチンでない。
【0085】
いくつかの他の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、5-HTlbアゴニストでない。いくつかの実施形態では、5-HTlbアゴニストは、スマトリプタンでないか、アルモトリプタンでないか、ナラトリプタンでないか、フロバトリプタンでないか、リザトリプタンでないか、ゾミトリプタン(zomitriptan)でないか、または、エリトリプタン(elitriptan)でない。
【0086】
さらなる実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、抗痙攣剤でない。いくつかの実施形態では、抗痙攣剤は、ゾニサミドでないか、トピラメートでないか、ネンブタールでないか、ロラゼパムでないか、クロナゼパムでないか、クロラゼパートでないか、チアガビンでないか、ガバペンチンでないか、ホスフェニトインでないか、フェニトインでないか、カルバマゼピンでないか、バルプロエートでないか、フェルバメートでないか、レベチラセタムでないか、オキシカルバゼピンでないか、ラモトリジンでないか、メトスクシミドでないか、またはエトスクシミドでない。
【0087】
一部の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストでない。いくつかの実施形態では、カンナビノイド受容体アンタゴニストは、AM251でないか、AM281でないか、AM630でないか、LY320135でないか、またはSR141716Aでない。
【0088】
いくつかの他の実施形態では、本願明細書で開示する組成物または方法において、第2の化合物は、POMCニューロンの活性化剤でない。いくつかの実施形態では、POMCニューロンの活性化剤は、Ptxlでないか、またはIL-Iβでない。
【0089】
本明細書に開示するいくつかの実施形態では、体重減少に影響を及ぼす2種以上の化合物の組合せを含む医薬組成物を個体に投与する。これらの実施形態のいくつかでは、各化合物は、別々の化学単位である。しかし、他の実施形態では、この2つの化合物が共有結合などの化学的連結によって一緒に結び付けられ、したがって2つの異なる化合物が同一分子の異なる部分をなす。この化学的連結は、体内に入った後、その連結が酵素作用、酸加水分解、塩基加水分解などによって切断され、次いで2つの別々の化合物が形成されるように選択される。
【0090】
したがって、別の態様では、本発明は、オピオイドアンタゴニストが柔軟なリンカーによって本明細書で開示する別の化合物に連結される、新規分子の合成経路に関する。
【0091】
別の態様では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と、正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こす上述した化合物との組合せを含む医薬組成物、または、本明細書に記載した連結された分子と、生理的に許容できる担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはこれらの組合せとを含む医薬組成物に関する。
【0092】
「医薬組成物」という用語は、本発明の化合物と、希釈剤や担体など他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物への本化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の手法が当技術分野で存在し、これには経口、注射、エアロゾル、非経口、および局所的な投与が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物は、化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸または有機酸と反応させることによって得ることもできる。
【0093】
「担体」という用語は、細胞または組織へのある化合物の組み込みを容易にする化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物の細胞または組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にするので一般に利用されている担体である。
【0094】
「希釈剤」という用語は、着目している化合物を溶解し且つその化合物の生物活性な形態を安定化する、水で希釈された化合物を定義する。緩衝溶液に溶解した塩は、当技術分野で希釈剤として利用される。一般に使用される緩衝溶液の1つは、リン酸緩衝生理食塩水である。というのは、これがヒト血液の塩状態を模倣しているからである。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを制御することができるので、緩衝希釈剤が化合物の生物活性を改変することはめったにない。
【0095】
「生理的に許容できる」という用語は、本化合物の生物活性および特性を阻害しない担体または希釈剤と定義する。
【0096】
本明細書に記載される医薬組成物は、ヒト患者に、それ自体で、または、他の活性成分(組合せ療法の場合)または適切な担体もしくは希釈剤と混合した医薬組成物で、投与することができる。本出願の化合物の調製および投与方法のための技術は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PA、18th edition、1990に記載されている。
【0097】
適切な投与経路には、例えば、経口、直腸、経粘膜、または腸管投与と、非経口送達(筋肉内、皮下、静脈内、脊髄内注射、ならびにクモ膜下腔、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注入を含む)とが含まれ得る。
【0098】
あるいは、本化合物を、全身投与ではなく、(例えば化合物を、しばしば埋め込み製剤または徐放性製剤として腎臓または心臓領域に直接注入することにより)局所投与することができる。さらに、本薬剤を標的化された薬物送達システム、例えば、組織特異的抗体で被覆されたリポソームで投与することができる。リポソームは、その器官を標的とし、それによって選択的に取り込まれる。
【0099】
本発明の医薬組成物は、それ自体周知の方式で、例えば通常の混合、溶解、造粒、糖衣化、分級、乳化、カプセル化、封入、または打錠プロセスによって製造することができる。
【0100】
したがって、本発明による使用のための医薬組成物は、通常の方式で、有効化合物を医薬として使用できる製剤に加工するのを容易にする賦形剤および添加剤(添加剤)を含む1つまたは複数の生理的に許容できる担体を使用して配合することができる。適切な製剤は、選択された投与経路次第で異なる。当技術分野、例えば、上記のRemington's Pharmaceutical Sciencesにおいて適切でかつ理解されたものとして周知の技法、担体、および賦形剤のいずれを使用してもよい。
【0101】
注入の場合、本発明の作用物質を、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、生理食塩緩衝液などの生理的に適合可能な緩衝液中に配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透対象のバリアに適した浸透剤を製剤に使用する。このような浸透剤は、一般に当技術分野で周知である。
【0102】
経口投与の場合、本化合物は、活性化合物を、当技術分野でよく知られた医薬として許容できる担体と組み合わせることによって容易に配合されうる。このような担体によって、本発明の化合物を、治療対象患者による経口摂取用の錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ジェル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして配合することができる。経口用途の医薬製剤は、1つまたは複数の固体賦形剤を本発明の医薬組合せと混合し、場合によっては得られた混合物を粉砕し、望むなら、錠剤または糖衣錠核を得るために適切な添加剤を加えた後に、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤であり、例えば、糖類(乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む)、セルロース調製物(トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)など)である。所望する場合、崩壊剤(架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはそれらの塩等、例えばアルギン酸ナトリウム等)を添加することができる。
【0103】
糖衣錠核に、適切なコーティングを施す。この目的のため、濃縮された糖溶液を使用することができ、これは任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カ−ボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含む。錠剤または糖衣錠コーティングに、識別のため、または有効化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために染料または顔料を、添加してもよい。
【0104】
経口使用できる医薬製剤には、ゼラチンで作製された押し込み型カプセル剤、ならびにグリセロール、ソルビトールなどゼラチンおよび可塑剤で作製された密封軟質カプセル剤が含まれる。押し込み型カプセル剤は、混合物中に有効成分を、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意で安定化剤とともに含有することができる。軟質カプセル剤では、有効化合物は、脂肪油、流動パラフィン、液状ポリエチレングリコールなどの適切な液剤中に溶解または懸濁することができる。さらに、安定化剤を添加することができる。経口投与用製剤はいずれも、このような投与に適した製剤にすべきである。
【0105】
口腔内投与の場合、本組成物は、通常の方式で調製した錠剤またはロゼンジの形態であってよい。
【0106】
吸入投与の場合、本発明に従って使用する化合物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスを使用して、加圧パックからのエアロゾルスプレー、または噴霧器の形態で送達されることが好都合である。加圧エアロゾルの場合は、用量単位は、定量された量を供給するための弁を備えることによって決定することができる。吸入器または注入器で使用するための、カプセル剤およびカートリッジ(例えばゼラチン等)は、本化合物と適切な粉末基材(例えば乳糖またはデンプンなど)との粉末ミックスを含有させて調製することができる。
【0107】
本化合物を、注射、例えばボーラス注射または持続点滴による非経口投与用に製剤することができる。注射用製剤は、単位投与形態、例えばアンプルまたは多回投与用容器で、防腐剤を添加して提供することができる。本組成物は、油性または水性ビヒクル中での懸濁剤、溶液またはエマルションの形態をとることができ、また懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調整剤を含むことができる。
【0108】
非経口投与用の医薬製剤には、水溶性の形態の活性化合物の水性溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁剤を、適切な油性の注射懸濁剤として調製することができる。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルやトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストランなどの懸濁剤の粘度を上昇させる物質を含むことができる。任意に、懸濁剤は、適切な安定化剤、または化合物の溶解性を増大させて、非常に濃度の高い溶液の調製を可能にする薬剤を含んでもよい。
【0109】
あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌された発熱性物質を含まない水と組み合わせる構成の散剤の形態とすることができる。
【0110】
本化合物は、例えばココアバターや他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物として製剤することもできる。
【0111】
先に記載した製剤に加えて、本化合物を埋め込み製剤として製剤することもできる。このような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、あるいは筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本化合物を、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容できるオイル中のエマルションとして)、またはイオン交換樹脂とともに調製するか、あるいはわずかに可溶な誘導体(例えばわずかに可溶な塩)として調製することができる。
【0112】
本発明の疎水性化合物向けの製剤用担体は、共溶媒系であり、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む。使用する一般的な共溶媒系は、VPD共溶媒系であり、3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤Polysorbate 80(登録商標)、および65%w/vポリエチレングリコール300を無水エタノールで定容とした溶液である。言うまでも無く、共溶媒系のこの割合は、その溶解性および毒性の特性を損なうことなく大幅に変化させることができる。さらに、共溶媒成分の同一性を変化させることができる。例えば、他の低毒性非極性界面活性剤を、POLYSORBATE 80(登録商標)の代わりに使用することができ、ポリエチレングリコールの比率を変えることができ、他の生体適合性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)をポリエチレングリコールと置き換えることができ、さらに他の糖類または多糖類をデキストロースの代わりに使用することができる。
【0113】
あるいは、疎水性医薬化合物用の他の送達システムを採用することもできる。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬剤用の送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどのいくつかの有機溶媒を、通常は毒性がより高いが採用することもできる。さらに、本化合物は、治療薬を含有する疎水性固体ポリマーの半透過性マトリックスなどの徐放性システムを用いて送達することができる。様々な徐放性材料が確立されていて、当業者によく知られている。徐放性カプセル剤は、その化学的性質に応じて数週間から最高100日までの間化合物を放出する。治療剤の化学的性質、および生物学的安定性に応じて、タンパク質の安定化のための追加の戦略を採用することができる。
【0114】
本発明の医薬の組合せで用いる化合物の多くは、医薬として適合できる対イオンを有する塩として提供することができる。医薬として適合できる塩は、多数の酸で形成することができ、この酸には、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等が含まれるがこれらに限定されない。塩は、対応する遊離の酸または塩基の形態である場合より、水性溶媒または別のプロトン性溶媒に可溶性となる傾向にある。
【0115】
本発明に使用するのに適した医薬組成物には、活性成分が、その意図された目的を実現するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。より具体的には、治療上有効な量は、疾病の症状を予防し、緩和しまたは改善する、あるいは治療対象の生存を延長するのに有効な、化合物の量を意味する。治療上有効な量の決定は、特に本明細書で提供した詳細な開示を考慮に入れれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0116】
本発明の医薬組成物のための正確な処方、投与経路および用法は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選択されることができる。(例えば、Finglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、Ch. 1 p. 1を参照)。通常は、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者体重1kg当たり約0.5〜1000mgとすることができる。用法は、患者の必要に応じて、1日または数日の間に、単回投与または2回以上の連続投与とすることができる。この開示で述べた具体的な化合物のほとんどすべてについて、少なくとも何らかの状態の治療のためのヒトにおける用量が確立していることに留意されたい。したがって、大半の場合、本発明は、それと同じ用量、あるいはその確立されたヒトにおける用量の約0.1%〜500%、より好ましくは約25%〜250%の用量を使用する。ヒトにおける用量が確立していない場合は、新たに発見された医薬化合物と同様にして、ヒトにおける適切な用量を、ED50またはID50値から、あるいは動物における毒性研究および有効性研究によって適格と認められたようなin vitroまたはin vivo研究に由来する他の適切な値から推定することができる。
【0117】
正確な用量は薬物ごとに決まるものであるが、大半の場合、用量に関して何らかの一般法則化をすることができる。ヒト成人患者の場合の1日の用法は、本発明の医薬組成物の各成分、または遊離塩基として計算した医薬として許容できるその塩を、組成物を1〜4回/日投与して、例えば経口投与の場合、各成分が0.1mg〜500mg、好ましくは1mg〜250mg、例えば5〜200mg、あるいは静脈内、皮下、または筋肉内投与の場合、各成分が0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜60mg、例えば1〜40mgとすることができる。あるいは、本発明の組成物は、静脈内持続点滴で、好ましくは各成分の1日用量最高400mgで投与することができる。したがって、各成分の経口投与の1日の総用量は、通常は1〜2000mgの範囲となり、非経口投与の1日の総用量は、通常は0.1〜400mgの範囲となる。好適には、化合物を連続療法の期間、例えば1週間以上、あるいは何カ月間かまたは何年間か投与する。
【0118】
投与量および間隔は、その調節効果、または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性成分の血漿濃度をもたらすように個別に調整することができる。MECは、各化合物に応じて異なるが、in vitroデータから推定することができる。MECを実現するのに必要な用量は、個々の特性、および投与経路に応じて異なる。しかし、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを用いて、血漿濃度を決定することができる。
【0119】
投与間隔は、MEC値を用いて決定することもできる。本組成物は、その期間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、血漿濃度をMECより高く維持するレジメンを使用して投与すべきである。
【0120】
局所投与または選択的取り込みの場合、薬物の局所有効濃度が血漿濃度に関係しないことがある。
【0121】
組成物の投与量は、もちろん、治療対象、対象の体重、病気の重症度、投与方法、および処方する医師の判断に依存する。
【0122】
組成物は、所望する場合、活性成分を含有する1つまたは複数の単位投与形態を含むことができる包装またはディスペンサ装置で提供することができる。包装は、例えばブリスター包装などの金属またはプラスチックの箔を含むことができる。包装またはディスペンサ装置は、投与指示書を添付することができる。包装またはディスペンサには、医薬品の製造、用途または販売を規制する政府機関によって規定されたフォームの容器に関連する注意書きが添付されていることがあり、この注意書きは、政府機関のヒトまたは動物への投与用の薬物の形態についての承認を反映するものである。このような注意書きは、例えば米国食品医薬品局によって承認された処方薬に関する表示、すなわち承認済み製品添付文書とすることができる。適合性医薬用担体中に配合された本発明の化合物を含む組成物は、適切な容器中で調製、収納し、治療のための適用条件を表示することができる。
【0123】
本発明の精神から逸脱することなく、多数の様々な修正を行うことができることが、当業者には理解できよう。したがって、本発明の形態は、例示であって、本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
[本発明の一部の実施形態]
【0124】
本発明の実施形態のいくつかは、以下の通りである。
【0125】
第1の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とを含む体重減少に影響を与えるための組成物であって、前記第2の化合物が正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こすか、または前記第2の化合物がカンナビノイド受容体活性に拮抗する組成物に関する。
【0126】
第2の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がα-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)の放出の引き金となる、第1の実施形態の組成物に関する。
【0127】
第3の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が視床下部において細胞外セロトニン濃度を増大させる、第2の実施形態の組成物に関する。
【0128】
第4の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン2Cアゴニスト、およびセロトニン1Bアゴニストからなる群から選択される、第3の実施形態の組成物に関する。
【0129】
第5の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、シブトラミン、デュロキセチン、およびベンラファキシン、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される、第4の実施形態の組成物に関する。
【0130】
第6の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、AgRP遺伝子の発現、またはアグーチ関連タンパク質(AgRP)の産生もしくは放出を抑制する、第1の実施形態の組成物に関する。
【0131】
第7の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がAgRPを発現するニューロンの活性を抑制する、第1の実施形態の組成物に関する。
【0132】
第8の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、NPY遺伝子の発現、またはニューロペプチドY(NPY)の産生もしくは放出を抑制する、第1の実施形態の組成物に関する。
【0133】
第9の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がNPYを発現するニューロンの活性を抑制する、第1の実施形態の組成物に関する。
【0134】
第10の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がNPY受容体アンタゴニストである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0135】
第11の実施形態では、本発明は、前記NPY受容体が、NPY Y1受容体、NPY Y2受容体、NPY Y4受容体、およびNPY Y5受容体から選択される、第10の実施形態の組成物に関する。
【0136】
第12の実施形態では、本発明は、前記化合物がS-2367である、第11の実施形態の組成物に関する。
【0137】
第13の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、グレリンアンタゴニスト、およびレプチンからなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0138】
第14の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、NPY Y2受容体を活性化する第1の実施形態の組成物に関する。
【0139】
第15の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、γ-アミノ酪酸(GABA)阻害剤、GABA受容体アンタゴニスト、GABAチャンネルアンタゴニストからなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0140】
第16の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤が、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、リザトリプタン、ゾミトリプタン(zomitriptan)、およびエリトリプタン(elitriptan)からなる群から選択される5-HT1bアゴニストである、第15の実施形態の組成物に関する。
【0141】
第17の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がAgRP遺伝子の発現を抑制する、第15の実施形態の組成物に関する。
【0142】
第18の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がAgRPの産生もしくは放出を抑制する、第15の実施形態の組成物に関する。
【0143】
第19の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がPOMC遺伝子の発現を増大させる、第15の実施形態の組成物に関する。
【0144】
第20の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がプロ−オピオメラノコルチン(POMC)ニューロンからのα-MSHの産生または放出を増大させる、第15の実施形態の組成物に関する。
【0145】
第21の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がPOMCを発現しているニューロンの活性を増大させる、第15の実施形態の組成物に関する。
【0146】
第22の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がトピラメートである、第15の実施形態の組成物に関する。
【0147】
第23の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、ドーパミン再取り込み阻害剤である、第1の実施形態の組成物に関する。
【0148】
第24の実施形態では、本発明は、前記ドーパミン再取り込み阻害剤がフェンテルミンである、第23の実施形態の組成物に関する。
【0149】
第25の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤である、第1の実施形態の組成物に関する。
【0150】
第26の実施形態では、本発明は、前記ノルエピネフリン再取り込み阻害剤がチオニソキセチン(thionisoxetine)、およびレボキセチンから選択される、第25の実施形態の組成物に関する。
【0151】
第27の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、ドーパミンアゴニストである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0152】
第28の実施形態では、本発明は、前記ドーパミンアゴニストが、カベルゴリン、アマンタジン、リスリド、ペルゴリド、ロピニロール、プラミペキソール、およびブロモクリプチンからなる群から選択される、第27の実施形態の組成物に関する。
【0153】
第29の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、ノルエピネフリン放出剤である、第1の実施形態の組成物に関する。
【0154】
第30の実施形態では、本発明は、前記ノルエピネフリン放出剤がジエチルプロピオンである、第29の実施形態の組成物に関する。
【0155】
第31の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、ドーパミン再取り込み阻害剤とノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組合せである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0156】
第32の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がマジンドールである、第31の実施形態の組成物に関する。
【0157】
第33の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がSSRIとノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組合せである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0158】
第34の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物が、シブトラミン、ベンラファキシン、およびデュロキセチンから選択される、第33の実施形態の組成物に関する。
【0159】
第35の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がカンナビノイド受容体アンタゴニストである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0160】
第36の実施形態では、本発明は、前記カンナビノイド受容体アンタゴニストが、AM251〔[N-(ピペリジン-l-イル)-l-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4- ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3-カルボキシアミド]〕、AM281〔[N-(モルフォリン- 1-イル)- 1 -(2,4- ジクロロフェニル)-5 -(4-ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3 -カルボキシアミド]〕、AM630〔(6-ヨード-2- メチル-l-[2-(4-モルフォリニル)エチル]-lH-インドール-3-イル](4-メトキシフェニル)メタノン)〕、LY320135、およびSR141716A(リモナバント)、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される、第35の実施形態の組成物に関する。
【0161】
第37の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がAM251である、第1の実施形態の組成物に関する。
【0162】
第38の実施形態では、本発明は、体重減少に影響を与えるための方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0163】
第39の実施形態では、本発明は、前記個体の体格指数が25より大きい、第38の実施形態の方法に関する。
【0164】
第40の実施形態では、本発明は、α-MSHの放出の引き金となるか、またはα-MSHを発現するニューロンの活性を増大させる化合物を投与することによりα-MSH活性が増強される、第38の実施形態の方法に関する。
【0165】
第41の実施形態では、本発明は、前記化合物が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)または特定の5-HT受容体アゴニストである、第40の実施形態の方法に関する。
【0166】
第42の実施形態では、本発明は、前記5-HT受容体が5-HT1b受容体または5-HT2c受容体である、第41の実施形態の方法に関する。
【0167】
第43の実施形態では、本発明は、前記SSRIが、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、シブトラミン、デュロキセチン、およびベンラファキシン、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される、第41の実施形態の方法に関する。
【0168】
第44の実施形態では、本発明は、前記化合物がγ-アミノ酪酸(GABA)阻害剤である、第40の実施形態の方法に関する。
【0169】
第45の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤が5-HT1b受容体アゴニストである、第44の実施形態の方法に関する。
【0170】
第46の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がAgRP遺伝子の発現を抑制する、第44の実施形態の方法に関する。
【0171】
第47の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がAgRPの産生もしくは放出を抑制する、第44の実施形態の方法に関する。
【0172】
第48の実施形態では、本発明は、前記5-HT受容体アゴニストがNPY/AgRP/GABAニューロンを阻害する、第41の実施形態の方法に関する。
【0173】
第49の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がNPYを発現するニューロンの活性を抑制する、第38の実施形態の方法に関する。
【0174】
第50の実施形態では、本発明は、前記第2の化合物がNPY受容体アンタゴニストである、第38の実施形態の方法に関する。
【0175】
第51の実施形態では、本発明は、前記NPY受容体が、NPY Y1受容体、NPY Y2受容体、NPY Y4受容体、およびNPY Y5受容体から選択される、第50の実施形態の方法に関する。
【0176】
第52の実施形態では、本発明は、前記化合物がS-2367である、第51の実施形態の方法に関する。
【0177】
第53の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がAgRPを発現するニューロンの活性を抑制する、第44の実施形態の方法に関する。
【0178】
第54の実施形態では、本発明は、前記GABA阻害剤がトピラメートである、第44の実施形態の方法に関する。
【0179】
第55の実施形態では、本発明は、前記化合物が、ドーパミン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ドーパミンアゴニスト、ノルエピネフリン放出剤、ドーパミン再取り込み阻害剤とノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組合せ、SSRIとノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組合せからなる群から選択される、第40の実施形態の方法に関する。
【0180】
第56の実施形態では、本発明は、前記治療工程が、前記個人に、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とを投与する工程を含み、前記第2の化合物がα-MSH活性を増強させるか、またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する、第38の実施形態の方法に関する。
【0181】
第57の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する、第56の実施形態の方法に関する。
【0182】
第58の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の前に投与する、第56の実施形態の方法に関する。
【0183】
第59の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する、第56の実施形態の方法に関する。
【0184】
第60の実施形態では、本発明は、個体における満腹感を増大させるための方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0185】
第61の実施形態では、本発明は、前記治療工程が、前記個人に、ブプロピオンまたはそ第2の化合物とを投与する工程を含み、前記第2の化合物がα-MSH活性を増強させるか、またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する、第60の実施形態の方法に関する。
【0186】
第62の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する、第61の実施形態の方法に関する。
【0187】
第63の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の前に投与する、第61の実施形態の方法に関する。
【0188】
第64の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する、第61の実施形態の方法に関する。
【0189】
第65の実施形態では、本発明は、エネルギー消費を増大させるための方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0190】
第66の実施形態では、本発明は、前記治療工程が、前記個人に、ブプロピオンまたはそ第2の化合物とを投与する工程を含み、前記第2の化合物がα-MSH活性を増強させるか、またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する、第65の実施形態の方法に関する。
【0191】
第67の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する、第66の実施形態の方法に関する。
【0192】
第68の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の前に投与する、第66の実施形態の方法に関する。
【0193】
第69の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する、第66の実施形態の方法に関する。
【0194】
第70の実施形態では、本発明は、個体の食欲を抑えるための方法であって、その必要がある個体を特定する工程と、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する化合物との組合せで治療する工程とを含む方法に関する。
【0195】
第71の実施形態では、本発明は、前記治療工程が、前記個人に、ブプロピオンまたはそ第2の化合物とを投与する工程を含み、前記第2の化合物がα-MSH活性を増強させるか、またはカンナビノイド受容体活性に拮抗する、第70の実施形態の方法に関する。
【0196】
第72の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とをほぼ同時に投与する、第71の実施形態の方法に関する。
【0197】
第73の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の前に投与する、第71の実施形態の方法に関する。
【0198】
第74の実施形態では、本発明は、ブプロピオンまたはその代謝産物を第2の化合物の後に投与する、第71の実施形態の方法に関する。
【0199】
第75の実施形態では、本発明は、前記個体のBMIが30より大きい、第38の実施形態〜第74の実施形態の方法に関する。
【0200】
第76の実施形態では、本発明は、前記個体のBMIが25より大きい、第75の実施形態の方法に関する。
【実施例】
【0201】
以下の実施例は非限定的であり、本発明の様々な態様を単に代表するものである。
[実施例1:フルオキセチンとブプロピオンとの組合せ]
【0202】
BMIが25より大きい個体を特定する。各個体に、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))の20mgの錠剤を1日1錠に加えて、ブプロピオンの75mgの錠剤を1日1錠服用するように指導する。投与されるブプロピオンは、持続放出性製剤であってよい。
【0203】
個体を数カ月間モニタリングする。各個体が初期体重の10%という速度で体重減少するように、6カ月ごとに用量を調整することが推奨される。しかし、各個体の体重減少の速度は、治療を行う医師が個体の特殊なニーズに基づいて調整することができる。
【0204】
初回用量が有効でない場合、フルオキセチンの用量を1日20mgを単位として増量することができるが、全量が1日80mgを超えないものとする。ブプロピオンの用量は、1日100mgまたは150mgにまで増量することができる。初回用量が上記の速度より迅速な体重減少をもたらす場合、フルオキセチンまたはブプロピオンのそれぞれの用量を減量することができる。
[実施例2:ブプロピオンとシブトラミンとの組合せ]
【0205】
BMIが25より大きい個体を特定する。各個体に、ブプロピオンを実施例1で上述した用量で服用するように指導する。加えて、各個体に、シブトラミン10mgを経口で1日1回服用するように指導する。
【0206】
個体を数カ月間モニタリングする。各個体が初期体重の10%という速度で体重減少するように、6カ月ごとに用量を調整することが推奨される。しかし、各個体の体重減少の速度は、治療を行う医師が個体の特殊なニーズに基づいて調整することができる。
【0207】
初回用量が有効でない場合、シブトラミンの用量を1日15mgに増量することができるが、1日15mgを超えるシブトラミン用量は推奨されない。ブプロピオンの用量は、1日100mgまたは150mgにまで増量することができる。初回用量が上記の速度より迅速な体重減少をもたらす場合、シブトラミンまたはブプロピオンのそれぞれの用量を減量することができる。
[実施例3:オピオイドアンタゴニストとフェンテルミンとの組合せ]
【0208】
BMIが25より大きい個体を特定する。各個体に、ブプロピオンを実施例1で上述した用量で服用するように指導する。加えて、各個体に、フェンテルミン37.5mgを経口で1日1回服用するように指導する。
【0209】
個体を数カ月間モニタリングする。各個体が初期体重の10%という速度で体重減少するように、6カ月ごとに用量を調整することが推奨される。しかし、各個体の体重減少の速度は、治療を行う医師が個体の特殊なニーズに基づいて調整することができる。
[実施例4:AM251とブプロピオンとの組合せ]
【0210】
BMIが25より大きい個体を特定する。各個体に、AM251の20mg の錠剤を1日1回服用するように指導する。加えて、各個体に、ブプロピオンを実施例1で上述した用量で服用するように指導する。
【0211】
個体を数カ月間モニタリングする。各個体が初期体重の10%という速度で体重減少するように、6カ月ごとに用量を調整することが推奨される。しかし、各個体の体重減少の速度は、治療を行う医師が個体の特殊なニーズに基づいて調整することができる。
【0212】
初回用量が有効でない場合、AM251の用量を1日20mg単位で増量することができるが、1日に合計80mgを超えるAM251用量は推奨されない。ブプロピオンの用量は、1日100mgまたは150mgにまで増量することができる。初回用量が上記の速度より迅速な体重減少をもたらす場合、AM251またはブプロピオンのそれぞれの用量を減量することができる。
【0213】
一部の場合には、1日1回分のAM251を、1日2または3回分またはそれ以上のナルトレキソンと共に投与することが有利である。ナルトレキソンは持続放出性製剤であってよく、この場合、用量は1日1回投与されるがナルトレキソンは1日の間、または12時間の間に、徐々に血液中に入る。
[実施例5:ブプロピオンとDEPAKOTE(登録商標)との組合せ]
【0214】
BMIが25より大きい個体を特定する。各個体に、ブプロピオンを実施例1で上述した用量で服用するように指導する。加えて、各個体に、DEPACOTE(登録商標)250mgを経口で1日2回服用するように指導する。
【0215】
個体を数カ月間モニタリングする。各個体が初期体重の10%という速度で体重減少するように、6カ月ごとに用量を調整することが推奨される。しかし、各個体の体重減少の速度は、治療を行う医師が個体の特殊なニーズに基づいて調整することができる。
【0216】
初回用量が有効でない場合、DEPACOTE(登録商標)の用量を1日2回500mgに増量することができ、その後1日2回1000mgにまで増量することができ、さらに大幅な体重減少が望まれる場合、1日4回1000mgにまで増量することができる。ブプロピオンの用量は、1日100mgまたは150mgにまで増量することができる。初回用量が上記の速度より迅速な体重減少をもたらす場合、DEPACOTE(登録商標)またはブプロピオンのそれぞれの用量を減量することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブプロピオンまたはその代謝産物と第2の化合物とを含む体重減少に影響を与えるための組成物であって、前記第2の化合物が正常な生理的条件に比べてメラノコルチン3受容体(MC3-R)もしくはメラノコルチン4受容体(MC4-R)の受容体活性化作用の増大を引き起こすか、または前記第2の化合物がカンナビノイド受容体活性に拮抗する、組成物。
【請求項2】
前記第2の化合物が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン2Cアゴニスト、およびセロトニン1Bアゴニストからなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記第2の化合物が、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、シブトラミン、デュロキセチン、およびベンラファキシン、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される、請求項2の組成物。
【請求項4】
前記第2の化合物がシブトラミンである、請求項2の組成物。
【請求項5】
前記ブプロピオンの代謝産物がラダファキシンである、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記第2の化合物がドーパミン再取り込み阻害剤である、請求項1の組成物。
【請求項7】
前記ドーパミン再取り込み阻害剤がフェンテルミンである、請求項6の組成物。
【請求項8】
前記第2の化合物がカンナビノイド受容体アンタゴニストである、請求項1の組成物。
【請求項9】
前記カンナビノイド受容体アンタゴニストが、AM251〔[N-(ピペリジン-l-イル)-l-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4- ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3-カルボキシアミド]〕、AM281〔[N-(モルフォリン- 1-イル)- 1 -(2,4- ジクロロフェニル)-5 -(4-ヨードフェニル)-4-メチル- 1 H-ピラゾール-3 -カルボキシアミド]〕、AM630〔(6-ヨード-2- メチル-l-[2-(4-モルフォリニル)エチル]-lH-インドール-3-イル](4-メトキシフェニル)メタノン)〕、LY320135、およびSR141716A(リモナバント)、ならびに医薬として許容できるその塩またはプロドラッグからなる群から選択される、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記カンナビノイド受容体アンタゴニストがSR141716A(リモナバント)である、請求項8の組成物。
【請求項11】
前記第2の化合物がAM251である、請求項8の組成物。
【請求項12】
肥満を治療するためのまたは体重減少に影響を与えるための組成物であって、ブプロピオンもしくはその代謝産物、または医薬として許容できるその塩もしくはプロドラッグと、第2の化合物とを含み、前記第2の化合物が双極性障害の治療に有効な薬剤である、組成物。
【請求項13】
前記ブプロピオンの代謝産物がラダファキシンである、請求項12の組成物。
【請求項14】
前記双極性障害の治療に有効な薬剤が、リチウム、バルプロ酸、バルプロエート、ジバルプロックス、カルバメゼピン、オキシカルバメゼピン、ラモトロジン(lamotrogine)、チアガビン、およびベンゾジアゼピン類からなる群から選択される、請求項12の組成物。
【請求項15】
前記双極性障害の治療に有効な薬剤が、バルプロ酸、バルプロエート、ジバルプロックスからなる群から選択される、請求項12の組成物。
【請求項16】
体重減少に影響を与えるための方法であって、その必要がある個体を特定する工程、および、その個体を、ブプロピオンまたはその代謝産物と、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、または双極性障害の治療に有効な化合物との組合せで治療する工程を含む方法。
【請求項17】
前記個体が25より大きい体格指数を有する、請求項16の方法。
【請求項18】
前記ブプロピオンの代謝産物がラダファキシンである、請求項16の方法。
【請求項19】
前記α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)活性を増強させる化合物が、フェンテルミンおよびシブトラミンからなる群から選択される、請求項16の方法。
【請求項20】
前記カンナビノイド受容体アンタゴニストが、SR141716A(リモナバント)およびAM251からなる群から選択される、請求項16の方法。
【請求項21】
前記双極性障害の治療に有効な化合物が、バルプロ酸、バルプロエート、ジバルプロックスからなる群から選択される、請求項16の方法。

【公表番号】特表2008−509142(P2008−509142A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524915(P2007−524915)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/027424
【国際公開番号】WO2006/017504
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505401698)オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】