作業車の走行操作装置
【課題】作業車の走行操作装置において、連係機構61を切換える人為操作具を他の操作具に持ち替えることなく、又、調速機構63と変速操作具28の切換え状態を一々確認しなくても調速機構63の調整を行える切換操作機構62を提供することにある。
【解決手段】単一の人為操作具81の操作により、調速機構63と変速操作具28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と変速操作具28とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構63と変速操作具28との非連係状態において調速機構63を操作できる切換操作機構62を備えてある。
【解決手段】単一の人為操作具81の操作により、調速機構63と変速操作具28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と変速操作具28とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構63と変速操作具28との非連係状態において調速機構63を操作できる切換操作機構62を備えてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用の無段変速装置の変速操作具とエンジンの調速機構とが連動する連動連係状態と、エンジンの調速機構と無段変速装置の変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して連係してある作業車の走行操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、走行用の無段変速装置4を操作する変速操作具(フートペダル11)がニュートラルに位置する状態ではエンジン1の回転数がアイドリング状態に低下し、前記変速操作具11を前進・後進の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジン1の調速機構(アクセル装置2)と無段変速装置4の変速操作具11とを両者が連動する連動連係状態と連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して連係してある作業車の走行操作装置が知られている。
【0003】
特許文献1に示された発明では、変速操作具11の操作で調速機構2を操作する連係機構に変速操作具側のプッシュプルワイヤー26と調速機構側のレリーズワイヤー27との連動状態を切り換える切換操作機構12を設けて、変速とは独立してアクセル操作を行う場合には切換操作機構を操作して変速操作具11と調速機構2との連動状態を断って、ハンドアクセルレバー10を操作して調速機構2を操作できるようにされている。
【特許文献1】特開2005−88700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、ハンドアクセルレバー10を独立して操作したい場合、切換操作機構12が入り位置(連動状態)にあるときには、切換操作機構12の切換操作レバー12aを切り位置(非連動状態)に切り換えてから、レバーを切換操作レバー12aからハンドアクセルレバー10に持ち替えてレバー操作をしなければならず、又、始動時からハンドアクセルレバー10を使用したいときには、切換操作レバーが入り位置にあるかどうかを確認してから、ハンドアクセルレバーを操作しなければならない煩わしさがあった。
【0005】
本発明の目的は、人為操作具を他の操作具に持ち替えることなく、又、調速機構と変速操作具の切換え状態を一々確認しなくても調速機構の調整を行える切換操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
本第1発明は、走行用の無段変速装置の変速操作具の低速側への操作に連動してエンジンの回転数が低下し、変速操作具の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジンの調速機構と無段変速装置の変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して、調速機構と変速操作具とを連係してある作業車の走行操作装置であって、単一の人為操作具の操作により、調速機構と変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構と変速操作具との非連係状態において調速機構を操作できる切換操作機構を備えてある。
〔第1発明の作用〕
本第1発明の構成によると、単一の人為操作具による操作により、調速機構と変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができ、しかも調速機構と変速操作具との非連係状態において前記単一の人為操作具により(人為操作具の操作態様の変更により)調速機構を操作することができる。
〔第1発明の効果〕
したがって、本第1発明によれば、単一の人為操作具により、前記連動連係状態と非連係状態との切換えと、非連係状態での調速機構の操作とを行うことができるので、別々の操作具を操作する場合のように、人為操作具を他の操作具に持ち替えるということなく操作できるとともに、調速機構を操作するときに連動状態であるか非連動状態であるかを一々確認することなく、非連動状態で調速機構を操作することができ、操作性がよい。
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明の構成において、地上から操作できる地上操作具を変速操作具に連係してある。
〔第2発明の作用効果〕
本第2発明によれば、運転者が地上から作業者をゆっくり走行させるときに、地上から操作できる前記地上操作具を操作することによって減速操作することができるので、円滑に畦越え走行などを行うことができる。
〔第3発明の構成〕
本第3発明は、第2発明の構成において、地上から持つことができる地上操作アームを走行機体の前部に備え、地上操作具を地上操作アームに備えてある。
〔第3発明の作用効果〕
本第3発明によれば、地上に降りた運転者が地上操作アームを持ちながら減速操作をすることができるので、円滑に畦越え走行などを行うことができる。
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、第2発明又は第3発明の構成において、地上操作具は、走行の指標となるセンターマスコットを兼ねている。
〔第4発明の作用効果〕
本第4発明によれば、地上に降りた運転者が地上操作アームを持ちながら、センターマスコットを操作して変速操作をすることができるので、必要に応じて減速操作をすることができる。
【0007】
地上から変速操作具を操作するための専用の操作具が必要がなく、しかも本来的に必要なセンターマスコットを変速操作具を操作する操作具として利用するので地上操作に邪魔になることが極力避けることができた。
〔第5発明の構成〕
本第5発明は、第1発明〜第4発明のいずれかの一つの発明において、地上からエンジンの停止を行えるエンジン停止スイッチを設けてある。
〔第5発明の作用効果〕
本第5発明によれば、地上からのエンジンの緊急停止を行うことができる。
〔第6発明の構成〕
本第6発明は、第1発明〜第5発明のいずれかの一つの発明において、変速操作具に警笛操作具を備えてある。
〔第6発明の作用効果〕
本第6発明によれば、変速操作具から手を離さずに警笛を鳴らすことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1には作業車の一例である乗用田植機の全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、この乗用田植機は、乗用型の走行機体1の後部に、油圧式のアクチュエータの一例である油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して苗植付装置4を連結し、かつ、施肥装置5を搭載することによってミッドマウント施肥仕様に構成されている。
【0009】
図1、図2に示すように、走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、ベルト式伝動装置7及び無段変速装置の一例である静油圧式無段変速装置8を介してギヤ式伝動装置9に伝達し、そのギヤ式伝動装置9からの走行用動力を左右の前輪10及び後輪11に伝達する四輪駆動形式に構成され、その後部側には、左右の前輪10を操向操作するステアリングハンドル12や運転座席13などを備えた搭乗運転部14が形成されている。
【0010】
図1及び図2に示すように、苗植付装置4は、機体の走行に伴って整地フロート15が苗植え付け箇所を前もって整地する一方で、ギヤ式伝動装置9からの作業用動力が動力分配機構16に伝達され、その動力分配機構16からの分配動力で、苗載台17が左右方向に一定ストロークで往復駆動されるとともに、左右方向に所定間隔を隔てて並設されたロータリ式の各植付機構18が、苗載台17の下端から苗を所定量ずつ取り出して圃場に植え付ける植え付け作動を行うように構成されている。苗植付装置4は、図2、図3に示すステアリングハンドル12の前進方向右側に配設した植付けレバー88によって操作される。
【0011】
施肥装置5は、機体の走行に伴って各植え付け条に対応するように整地フロート15に装備された作溝器19が施肥溝を形成する一方で、各繰出機構20がギヤ式伝動装置9からの作業用動力で肥料ホッパ21内の肥料を所定量ずつ繰り出し、電動ファン22の作動で各繰出機構20にて繰り出された肥料を案内ホース23を介して対応する作溝器19に向けて圧送することで、圃場における植え付け苗の横側方箇所に肥料を埋没させるように構成されている。
【0012】
走行機体1の前部に位置するエンジンボンネット91の左右に搭乗運転部14のステップ92に通じる搭乗ステップ93を形成してあり、搭乗ステップ93の機体横側部に予備苗載台94を設けてある。走行機体1の前端部には圃場から操作できる揺動操作自在な地上操作アーム95を備え、地上操作アーム95の左右中央部に苗植付け作業時に指標となるセンターマスコット96を備えている。
【0013】
図2、図3に示すように、ステップ92の右側の搭乗ステップ93にブレーキペダル97と降車状態で使用する降車操作レバー98とを設けている。降車操作レバー98はブレーキペダル97とは独立してブレーキ操作できるように図示しないブレーキ操作系に連係してある。
【0014】
図2、図3に示すように、ブレーキペダル97の前方側にロックレバー99を前後揺動自在に取付けてあり、ロックレバー99を前方に移動させた状態で、ブレーキペダル97を踏み込み操作するとブレーキペダル97に形成した係止杆97aがロックレバー99のロック片99aに係止させることができて、踏み込み状態に維持させることができる。降車操作レバー98を押し下げ操作して、ロックレバー99を弾性的に降車操作レバー98に向けて(図3において右側)傾倒させて、ロック片99aを降車操作レバー98に係止することによって、降車操作レバー98をロックする状態に維持することができる。降車操作レバー98の連結部98aをブレーキペダル97に連結して、降車操作レバー98とブレーキペダル97とを連動させることもできる。
【0015】
図3、図4に示すように、走行機体1の前端部に横軸芯Y周りで上下揺動自在な地上操作アーム95を取付るとともに、地上操作アーム95をアーチ型のパイプ製握り部95aと、そのアーチ型のパイプ製握り部95aを支持する左右の揺動アーム95bとを形成してある。地上操作アーム95を機体前方に揺動倒伏させると畦越え走行時の作用姿勢に設定することができ、機体側に立ち上げ立設させると通常走行時の格納姿勢に切換えることができる。
【0016】
地上操作アーム95にはコイルスプリングによる摩擦保持機構100を設けてあり、人為操作力で摩擦保持力に抗して地上操作アーム95を揺動可能に構成するとともに、摩擦保持機構100によって揺動設定位置で姿勢が保持されるように構成してある。
【0017】
図3、図4、図5に示すように、地上操作アーム95の先端部のパイプ製握り部95aに取付けたセンターマスコット96は、ポール状の本体部96aと、地上操作アーム95に取付ける基端部96bと、ランプを内蔵した表示部96cからなる。前記ランプは苗載台17の苗が切れたときやその他の異常があった場合の情況を知らせるために点灯される。センターマスコット96は全体が樹脂製であり、基端部96bから本体部96aに掛けて中空状に形成してあり、先端本体部96aの先端に設けた表示部96cへの配線経路を構成してある。
【0018】
センターマスコット96は、基端部96bと地上操作アーム95のパイプ製握り部95aとの間に介装した図示しない摩擦部材によって摩擦保持されているとともに、パイプ軸芯方向には移動不能で、本体部96aを、起立位置から手で握り部95aのパイプ軸芯周りに180度の範囲内で回動させることができるようになっている。180度を越える範囲においては図示しない規制部材によって回動が規制される。これによって、センターマスコット96を揺動させても地上操作アーム95のパイプ製握り部95aよりセンターマスコット96の内部空間に導入された配線が断線または捩れることなく接続を維持できるようになっている。
【0019】
センターマスコット96の基端部96bにおける本体部96aとは反対側に押ボタン式のエンジン停止スイッチ101を設けてある。
【0020】
畦越え時においては、前上がり傾斜で前進する走行機体1が推進反力で機体前部が浮き気味になる場合には、地上操作アーム95を作用姿勢に倒伏させて作用姿勢に切換え、この地上操作アーム95を押し下げ操作して機体前部の浮き上がりを阻止しながら、路面が荒れている場合には、握り部95aを握って作業者は走行機体1に先行してその走行機体1を引張りあげるとともに、適宜、降車操作レバー98を押し下げ操作して制動するようにしてある。又、緊急時にはエンジン停止スイッチ101を押圧操作してエンジン6を停止することができる。
【0021】
地上操作アーム95としては、アーチ状にパイプフレームを曲げ形成したものを使用しているが、アーチ状ではなくL字型やT字型に構成してもよい。エンジン停止手段としては、前記エンジン停止スイッチ101に代えて、図13に示すようにT字型の地上操作アーム95Aに、左右一対の握りレバー式の緊急非常停止レバー102を設け、緊急非常停止レバー102の握り操作によってエンジン停止スイッチ101Aが操作されてエンジン6を停止するようにしてもよい。
【0022】
図6〜図8に示すように、ステアリングハンドル12の回動軸24を支持するハンドルポスト25には支持ブラケット26が溶接され、支持ブラケット26の左側端部には揺動ブラケット27が左右向きの第1軸心P1周りに前後揺動可能に支持され、揺動ブラケット27には、変速操作具の一例である主変速レバー28が第2軸心P2周りに左右揺動可能に支持されるとともに、ハンドルポスト25を支持する支持枠29から延設された支軸30に左右向きの第3軸心P3周りに前後揺動可能に支持された中継アーム31が第1連係ロッド32を介して連係され、中継アーム31には、静油圧式無段変速装置8のトラニオン軸33と縦向きの第4軸心P4周りに一体回動する操作アーム34が第2連係ロッド35を介して連係されている。
【0023】
操縦盤90には、クランク状に左右に位置ズレした前後向きの前進変速域Fと後進変速域Rとを中立域で連通させた形状のガイド溝36が形成されており、このガイド溝36に主変速レバー28が挿通されている。一方、揺動ブラケット27の下縁には、板バネ38で揺動ブラケット27に向けて付勢されたローラ39との係合で、主変速レバー28の中立Nと前進5段・後進3段の各変速位置での係合保持を可能にする9つの凹部40が形成されている。つまり、板バネ38、ローラ39、及び各凹部40によって、主変速レバー28を中立N又は前進5段・後進3段の各変速位置に係合保持するデテント機構41が構成されている。又、主変速レバー28は、その後端部が前進変速域F側に向かうようにバネ42で付勢されている。
【0024】
以上の構成から、中立Nにて主変速レバー28を第2軸心P2周りに左右揺動させることで、静油圧式無段変速装置8の前進変速操作が可能な状態と後進変速操作が可能な状態とに切り換える前後進切り換え操作を行うことができ、前進変速域Fにて主変速レバー28を第1軸心P1周りに揺動ブラケット27と一体前後揺動させることで、静油圧式無段変速装置8による前進5段の変速操作を行うことができ、後進変速域Rにて主変速レバー28を第1軸心P1周りに揺動ブラケット27と一体前後揺動させることで静油圧式無段変速装置8による後進3段の変速操作を行えるようになっている。
【0025】
図6及び図8に示すように、静油圧式無段変速装置8には、操作アーム34に形成されたV字状のカム面43に、揺動アーム44の遊端部に設けられたローラ45をバネ46の作用で押し当てることで、静油圧式無段変速装置8のトラニオン軸33をニュートラルに回動付勢する中立付勢機構47が装備されている。
【0026】
図7及び図9に示すように、支持ブラケット26に、揺動ブラケット27を第1軸心P1周りに前後揺動可能に支持する支軸67を回動自在に支承し、支軸67の揺動ブラケット27とは反対側(図7で左側、進行方向の右側)の端部に主変速レバー28と第1軸心P1周りに一体前後揺動する揺動アーム68が装備されている。この揺動アーム68の遊端部に取り付けた係止部材としての係止ピン69と、ハンドルポスト25における支軸67よりも上方箇所に装備された係止ピン70とにわたって、中立に復帰する静油圧式無段変速装置8の復帰力に抗して、主変速レバー28の増速側への操作をアシストするトグルバネ71が架設されており、これによって、静油圧式無段変速装置8の復帰力に抗する側となる増速側に主変速レバー28を操作する際の操作荷重を減少させることができて、主変速レバー28の増速側への操作をも軽快に行えるようになることから、主変速レバー28による変速操作性の向上を図れるようになっている。
【0027】
図7、図9〜図12に示すように、走行操作装置は、エンジン6の回転速度を設定する調速機構63と、走行用の静油圧式無段変速装置8を変速操作する主変速レバー28とを備えているとともに、主変速レバー28がニュートラルに位置する状態ではエンジン6がアイドリング状態で、主変速レバー28の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジン6の調速機構63と主変速レバー28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と主変速レバー28とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構61、並びに、連係機構61中に調速機構63と主変速レバー28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と主変速レバー28とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構63と主変速レバー28との非連係状態において調速機構63を操作できる切換操作機構62を備えて構成されている。
【0028】
エンジン6の調速機構63には操作部である調速レバー64を備え、エンジン6の回転速度がアイドリング状態になるようにコイルスプリング65により付勢されている。
【0029】
前記連係機構61は、主変速レバー28を揺動自在に支持する支軸67と、支軸67の他端部に取付けた揺動アーム68とを備えているとともに、揺動アーム68の遊端部に設けた係止部材としての係止ピン66に対して、主変速レバー28の前進増速操作に接当して操作される前進用カム部材72、後進増速操作に接当して操作される後進用カム部材73、両カム部材72,73と調速レバー64との間に設けられたレリーズワイヤー74、主変速レバー28が中立位置のときに両カム部材72,73が係止ピン66から離れた状態で、調速機構63がアイドリング状態を維持するようにレリーズワイヤー74のインナーワイヤー74aとアウターワイヤー74bの位置を規定するストッパー75a,75bを備えて構成されている。両カム部材72,73の下部が近づく方向に引っ張りスプリング76を設け、前記ストッパー75a,75bは、アイドリング状態を維持するよう引っ張りスプリング76によるカム部材72,73の下部が近づくのを規制するように作用している。
【0030】
前記切換操作機構62は、前進用カム部材72と後進用カム部材73のカム支軸77に外嵌されたボス部材78に支持され、二股状のアクセルアーム79にレバー部材80を固着してなる人為操作具としてのアクセルレバー81を備えている。ボス部材78は、カム支軸77の小径部分に嵌合され、大径部分にはアクセルアーム79で押圧される押板82を取付けるスリーブ82aを嵌合し、このスリーブ82aに対して前進用及び後進用カム部材72,73がコイルスプリング83に押圧された状態でカム軸77の第5軸芯P5方向に移動自在に嵌合されている。二股状の左右のアクセルアーム79は、ボス部材78に付設した一対のピン78aに支持され、このピン78aの第6軸芯周りとボス部材78の第5軸芯P5周りとによる十字操作を行えるようにしてある。アクセルアーム79の下部には押板82を介してカム部材72,73を軸芯方向に押圧するカム部79aが形成されている。又、アクセルアーム79には前進用のカム部材72と係合してアクセル操作するためのアクセル係合ピン79bを植設してある。
【0031】
前記切換操作機構62を構成するアクセルレバー81のレバー部材80は、ガイド溝84を通して、操縦盤90の外方に延出されている。
【0032】
主変速レバー28が中立位置Nに操作されているときに、アクセルレバー81をガイド溝84のうち、図11(b)、図12の自動位置84aに操作すると前進用及び後進用カム部材72,73がコイルスプリング83に抗してアクセルアーム79のカム部79aに押圧されて、主変速レバー28側の揺動アーム68の係止ピン66が前進用及び後進用のカム部材72,73と係合可能な状態となり、調速機構63が主変速レバー28の操作に伴って操作される連係状態となる。
【0033】
アクセルレバー81を自動位置84aから手動のアイドリング位置84bに操作するとアクセルアーム79のカム部79aによるカム操作が緩められてコイルスプリング83の付勢力で、前進用及び後進用のカム部材72,73が外方に移動して両カム部材72,73は係止ピン66との係合可能状態から外れて、主変速レバー28と調速機構63とが連動しない非連係状態に切り換わるとともに、アクセルアーム79側のアクセル係合ピン79bが前進用カム部材73と係合可能な状態となる。そしてアクセルレバー81を手動のアイドリング位置84bから手動経路84cに沿って最大位置84dに操作するとエンジン回転数が最大となる。ボス部材78とその外側においてカム支軸77にボルト85止めしたワッシャ86との間にはフリクションバネ87が設けられていて、フリクションバネ87による摩擦力でアクセルレバー81が手動経路84cの所望の位置で位置保持することができるようにしてある。
【0034】
手動経路にあるアクセルレバー81を自動位置84aに戻すと、主変速レバー28と調速装置63が連係する状態となるが、主変速レバー28が中立位置にないときにアクセルレバー81を自動位置84aに操作してもカム部材72,73が係止ピン66に当たって自動位置84aには操作できないようになっている。
【0035】
アクセルレバー81を図11(b)、図12に図示する状態にしたエンジン6の調速機構63と静油圧式無段変速装置8の変速操作具28とが連動する連動連係状態では、主変速レバー28が中立位置Nに位置する状態でエンジン6がアイドリング状態となり、主変速レバー28が中立位置Nから前進変速域F内の低速域から高速域へと操作されるに従ってエンジン回転数が高くなる。又、主変速レバー28が中立位置Nから後進変速域Rの低速域から高速域へと操作されるに従ってエンジン回転数が高くなる。
【0036】
図14は、主変速レバー28の握り部28aを示し、握り部28aには、警笛を鳴らす警笛操作具としての押しボタン103を付設してあり、操作系から手を離さずに警笛を鳴らせるようにしてある。
【0037】
この実施の態様では、センターマスコット96の基端部96bにエンジン停止スイッチ101を設けたが、これに加えて、或いはこれに代えて、図15に示すように、センターマスコット96を摩擦保持に抗して前後に回動自在に操作可能に構成して、主変速レバー28の支軸67にアーム104を取付けるとともに、センターマスコット96の基端部96bに操作アーム96dを取付け、操作アーム96dと前記アーム104との間にレリーズワイヤー105で連結してもよい。このように構成すれば、センターマスコット96を二点鎖線のように回動させると前進高速側に操作されている主変速レバー28を圃場からの操作で微速走行できる低速位置まで戻し操作することができる。
【0038】
センターマスコット96が主変速レバー28(変速操作具)に連係された地上から操作できる地上操作具として機能する。
【0039】
又、センターマスコット96と主変速レバー28の連係に代えて、主変速レバー28と地上操作アーム95、或いは主変速レバー28と地上操作アーム95と一体に回動する図示しないアームとの間にレリーズワイヤーを連結して、地上操作アーム95を格納姿勢から作用姿勢に姿勢変更するに伴って高速位置にある主変速レバー28を微速走行する低速位置へ戻し操作するように連係するようにしてもよい。
【0040】
主変速レバー28を、基部側のレバー筒28bに握り部28a側のレバー杆28cを摺動自在に嵌合して、図示しない切換え機構によって、図16に示すように、握り部28aを一端持上げてから押し込むことによって短くなり、レバー杆28bの押し込みによって元の長さに戻すことができるようにしてもよい。これによって、大柄の人でも主変速レバー28を後進位置に操作しても脚に当たらないで変速操作することができるようになる。
【0041】
この実施の態様のステアリングハンドル12に代えて、図17に示すように、ステアリングハンドル12の上面に回転自在なハンドルグリップ106を着脱自在に取付けるようにしてもよい。このようにすれば、植付け作業が完了するまで苗植付装置4の昇降操作と圃場端で旋回操作するだけの単純な操作において旋回操作が楽に行える。
〔別実施の形態〕
以下、本発明の別実施の形態を列記する。
(1)作業機としては乗用田植機の他、播種機やトラクタやコンバインなどあってもよい。
(2)無段変速装置8としては可変プーリを用いたベルト式のものなどであってもよい。
(3)変速操作具28の操作位置とエンジン回転数の関係は、作業機の種類や作業地の状態などに応じて種々の設定変更が可能である。
(4)トグルバネ71のデッドポイントを主変速レバー28の中立位置Nよりも前進側に設定してもよい。
(5)変速操作具28としては、無段階の操作が可能に構成されたものであってもよい。(6)変速操作具28と調速機構63との連係を、例えば、変速操作具28の操作量を検出するポテンショメータと、調速機構63の操作アーム64を操作する電気式アクチュエータと、ポテンショメータの検出に基づいて電気式アクチュエータの作動を制御する制御装置などで、電気的に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】乗用田植機の全体平面図
【図3】乗用田植機の走行機体前部の正面図
【図4】地上操作アームとセンターマスコットを示す側面図
【図5】地上操作アームとセンターマスコットを示す平面図
【図6】変速操作構造を示す要部の側面図
【図7】変速操作構造を示す要部の正面図
【図8】変速操作構造を示す要部の平面図
【図9】アクセルレバーと調速機構との連係構造を示す要部の右側面図
【図10】連係機構と調速機構の連係を示す連係図
【図11】調速機構に対するアクセルレバーと主変速レバーとの連係を切換える切換操作機構の切換状態を示す要部の一部縦断正面図
【図12】アクセルレバーのガイド溝を示す平面図
【図13】地上操作アームとエンジン停止手段の別実施の形態を示す平面図
【図14】主変速レバーの握り部を示す斜視図
【図15】主変速レバーとセンターマスコットとの連係を示す連係図
【図16】主変速レバーの別実施の形態を示す概略側面図
【図17】ステアリングハンドルの別実施の形態を示す斜視図
【符号の説明】
【0043】
1 走行機体
6 エンジン
8 無段変速装置(静油圧式無段変速装置)
28 変速操作具(主変速レバー)
61 連係機構
62 切換操作機構
63 調速機構
81 人為操作具(アクセルレバー)
95 地上操作アーム
96 センターマスコット(地上操作具)
101 エンジン停止スイッチ
103 警笛操作具
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用の無段変速装置の変速操作具とエンジンの調速機構とが連動する連動連係状態と、エンジンの調速機構と無段変速装置の変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して連係してある作業車の走行操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、走行用の無段変速装置4を操作する変速操作具(フートペダル11)がニュートラルに位置する状態ではエンジン1の回転数がアイドリング状態に低下し、前記変速操作具11を前進・後進の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジン1の調速機構(アクセル装置2)と無段変速装置4の変速操作具11とを両者が連動する連動連係状態と連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して連係してある作業車の走行操作装置が知られている。
【0003】
特許文献1に示された発明では、変速操作具11の操作で調速機構2を操作する連係機構に変速操作具側のプッシュプルワイヤー26と調速機構側のレリーズワイヤー27との連動状態を切り換える切換操作機構12を設けて、変速とは独立してアクセル操作を行う場合には切換操作機構を操作して変速操作具11と調速機構2との連動状態を断って、ハンドアクセルレバー10を操作して調速機構2を操作できるようにされている。
【特許文献1】特開2005−88700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、ハンドアクセルレバー10を独立して操作したい場合、切換操作機構12が入り位置(連動状態)にあるときには、切換操作機構12の切換操作レバー12aを切り位置(非連動状態)に切り換えてから、レバーを切換操作レバー12aからハンドアクセルレバー10に持ち替えてレバー操作をしなければならず、又、始動時からハンドアクセルレバー10を使用したいときには、切換操作レバーが入り位置にあるかどうかを確認してから、ハンドアクセルレバーを操作しなければならない煩わしさがあった。
【0005】
本発明の目的は、人為操作具を他の操作具に持ち替えることなく、又、調速機構と変速操作具の切換え状態を一々確認しなくても調速機構の調整を行える切換操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
本第1発明は、走行用の無段変速装置の変速操作具の低速側への操作に連動してエンジンの回転数が低下し、変速操作具の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジンの調速機構と無段変速装置の変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して、調速機構と変速操作具とを連係してある作業車の走行操作装置であって、単一の人為操作具の操作により、調速機構と変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構と変速操作具との非連係状態において調速機構を操作できる切換操作機構を備えてある。
〔第1発明の作用〕
本第1発明の構成によると、単一の人為操作具による操作により、調速機構と変速操作具とが連動する連動連係状態と、調速機構と変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができ、しかも調速機構と変速操作具との非連係状態において前記単一の人為操作具により(人為操作具の操作態様の変更により)調速機構を操作することができる。
〔第1発明の効果〕
したがって、本第1発明によれば、単一の人為操作具により、前記連動連係状態と非連係状態との切換えと、非連係状態での調速機構の操作とを行うことができるので、別々の操作具を操作する場合のように、人為操作具を他の操作具に持ち替えるということなく操作できるとともに、調速機構を操作するときに連動状態であるか非連動状態であるかを一々確認することなく、非連動状態で調速機構を操作することができ、操作性がよい。
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明の構成において、地上から操作できる地上操作具を変速操作具に連係してある。
〔第2発明の作用効果〕
本第2発明によれば、運転者が地上から作業者をゆっくり走行させるときに、地上から操作できる前記地上操作具を操作することによって減速操作することができるので、円滑に畦越え走行などを行うことができる。
〔第3発明の構成〕
本第3発明は、第2発明の構成において、地上から持つことができる地上操作アームを走行機体の前部に備え、地上操作具を地上操作アームに備えてある。
〔第3発明の作用効果〕
本第3発明によれば、地上に降りた運転者が地上操作アームを持ちながら減速操作をすることができるので、円滑に畦越え走行などを行うことができる。
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、第2発明又は第3発明の構成において、地上操作具は、走行の指標となるセンターマスコットを兼ねている。
〔第4発明の作用効果〕
本第4発明によれば、地上に降りた運転者が地上操作アームを持ちながら、センターマスコットを操作して変速操作をすることができるので、必要に応じて減速操作をすることができる。
【0007】
地上から変速操作具を操作するための専用の操作具が必要がなく、しかも本来的に必要なセンターマスコットを変速操作具を操作する操作具として利用するので地上操作に邪魔になることが極力避けることができた。
〔第5発明の構成〕
本第5発明は、第1発明〜第4発明のいずれかの一つの発明において、地上からエンジンの停止を行えるエンジン停止スイッチを設けてある。
〔第5発明の作用効果〕
本第5発明によれば、地上からのエンジンの緊急停止を行うことができる。
〔第6発明の構成〕
本第6発明は、第1発明〜第5発明のいずれかの一つの発明において、変速操作具に警笛操作具を備えてある。
〔第6発明の作用効果〕
本第6発明によれば、変速操作具から手を離さずに警笛を鳴らすことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1には作業車の一例である乗用田植機の全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、この乗用田植機は、乗用型の走行機体1の後部に、油圧式のアクチュエータの一例である油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して苗植付装置4を連結し、かつ、施肥装置5を搭載することによってミッドマウント施肥仕様に構成されている。
【0009】
図1、図2に示すように、走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、ベルト式伝動装置7及び無段変速装置の一例である静油圧式無段変速装置8を介してギヤ式伝動装置9に伝達し、そのギヤ式伝動装置9からの走行用動力を左右の前輪10及び後輪11に伝達する四輪駆動形式に構成され、その後部側には、左右の前輪10を操向操作するステアリングハンドル12や運転座席13などを備えた搭乗運転部14が形成されている。
【0010】
図1及び図2に示すように、苗植付装置4は、機体の走行に伴って整地フロート15が苗植え付け箇所を前もって整地する一方で、ギヤ式伝動装置9からの作業用動力が動力分配機構16に伝達され、その動力分配機構16からの分配動力で、苗載台17が左右方向に一定ストロークで往復駆動されるとともに、左右方向に所定間隔を隔てて並設されたロータリ式の各植付機構18が、苗載台17の下端から苗を所定量ずつ取り出して圃場に植え付ける植え付け作動を行うように構成されている。苗植付装置4は、図2、図3に示すステアリングハンドル12の前進方向右側に配設した植付けレバー88によって操作される。
【0011】
施肥装置5は、機体の走行に伴って各植え付け条に対応するように整地フロート15に装備された作溝器19が施肥溝を形成する一方で、各繰出機構20がギヤ式伝動装置9からの作業用動力で肥料ホッパ21内の肥料を所定量ずつ繰り出し、電動ファン22の作動で各繰出機構20にて繰り出された肥料を案内ホース23を介して対応する作溝器19に向けて圧送することで、圃場における植え付け苗の横側方箇所に肥料を埋没させるように構成されている。
【0012】
走行機体1の前部に位置するエンジンボンネット91の左右に搭乗運転部14のステップ92に通じる搭乗ステップ93を形成してあり、搭乗ステップ93の機体横側部に予備苗載台94を設けてある。走行機体1の前端部には圃場から操作できる揺動操作自在な地上操作アーム95を備え、地上操作アーム95の左右中央部に苗植付け作業時に指標となるセンターマスコット96を備えている。
【0013】
図2、図3に示すように、ステップ92の右側の搭乗ステップ93にブレーキペダル97と降車状態で使用する降車操作レバー98とを設けている。降車操作レバー98はブレーキペダル97とは独立してブレーキ操作できるように図示しないブレーキ操作系に連係してある。
【0014】
図2、図3に示すように、ブレーキペダル97の前方側にロックレバー99を前後揺動自在に取付けてあり、ロックレバー99を前方に移動させた状態で、ブレーキペダル97を踏み込み操作するとブレーキペダル97に形成した係止杆97aがロックレバー99のロック片99aに係止させることができて、踏み込み状態に維持させることができる。降車操作レバー98を押し下げ操作して、ロックレバー99を弾性的に降車操作レバー98に向けて(図3において右側)傾倒させて、ロック片99aを降車操作レバー98に係止することによって、降車操作レバー98をロックする状態に維持することができる。降車操作レバー98の連結部98aをブレーキペダル97に連結して、降車操作レバー98とブレーキペダル97とを連動させることもできる。
【0015】
図3、図4に示すように、走行機体1の前端部に横軸芯Y周りで上下揺動自在な地上操作アーム95を取付るとともに、地上操作アーム95をアーチ型のパイプ製握り部95aと、そのアーチ型のパイプ製握り部95aを支持する左右の揺動アーム95bとを形成してある。地上操作アーム95を機体前方に揺動倒伏させると畦越え走行時の作用姿勢に設定することができ、機体側に立ち上げ立設させると通常走行時の格納姿勢に切換えることができる。
【0016】
地上操作アーム95にはコイルスプリングによる摩擦保持機構100を設けてあり、人為操作力で摩擦保持力に抗して地上操作アーム95を揺動可能に構成するとともに、摩擦保持機構100によって揺動設定位置で姿勢が保持されるように構成してある。
【0017】
図3、図4、図5に示すように、地上操作アーム95の先端部のパイプ製握り部95aに取付けたセンターマスコット96は、ポール状の本体部96aと、地上操作アーム95に取付ける基端部96bと、ランプを内蔵した表示部96cからなる。前記ランプは苗載台17の苗が切れたときやその他の異常があった場合の情況を知らせるために点灯される。センターマスコット96は全体が樹脂製であり、基端部96bから本体部96aに掛けて中空状に形成してあり、先端本体部96aの先端に設けた表示部96cへの配線経路を構成してある。
【0018】
センターマスコット96は、基端部96bと地上操作アーム95のパイプ製握り部95aとの間に介装した図示しない摩擦部材によって摩擦保持されているとともに、パイプ軸芯方向には移動不能で、本体部96aを、起立位置から手で握り部95aのパイプ軸芯周りに180度の範囲内で回動させることができるようになっている。180度を越える範囲においては図示しない規制部材によって回動が規制される。これによって、センターマスコット96を揺動させても地上操作アーム95のパイプ製握り部95aよりセンターマスコット96の内部空間に導入された配線が断線または捩れることなく接続を維持できるようになっている。
【0019】
センターマスコット96の基端部96bにおける本体部96aとは反対側に押ボタン式のエンジン停止スイッチ101を設けてある。
【0020】
畦越え時においては、前上がり傾斜で前進する走行機体1が推進反力で機体前部が浮き気味になる場合には、地上操作アーム95を作用姿勢に倒伏させて作用姿勢に切換え、この地上操作アーム95を押し下げ操作して機体前部の浮き上がりを阻止しながら、路面が荒れている場合には、握り部95aを握って作業者は走行機体1に先行してその走行機体1を引張りあげるとともに、適宜、降車操作レバー98を押し下げ操作して制動するようにしてある。又、緊急時にはエンジン停止スイッチ101を押圧操作してエンジン6を停止することができる。
【0021】
地上操作アーム95としては、アーチ状にパイプフレームを曲げ形成したものを使用しているが、アーチ状ではなくL字型やT字型に構成してもよい。エンジン停止手段としては、前記エンジン停止スイッチ101に代えて、図13に示すようにT字型の地上操作アーム95Aに、左右一対の握りレバー式の緊急非常停止レバー102を設け、緊急非常停止レバー102の握り操作によってエンジン停止スイッチ101Aが操作されてエンジン6を停止するようにしてもよい。
【0022】
図6〜図8に示すように、ステアリングハンドル12の回動軸24を支持するハンドルポスト25には支持ブラケット26が溶接され、支持ブラケット26の左側端部には揺動ブラケット27が左右向きの第1軸心P1周りに前後揺動可能に支持され、揺動ブラケット27には、変速操作具の一例である主変速レバー28が第2軸心P2周りに左右揺動可能に支持されるとともに、ハンドルポスト25を支持する支持枠29から延設された支軸30に左右向きの第3軸心P3周りに前後揺動可能に支持された中継アーム31が第1連係ロッド32を介して連係され、中継アーム31には、静油圧式無段変速装置8のトラニオン軸33と縦向きの第4軸心P4周りに一体回動する操作アーム34が第2連係ロッド35を介して連係されている。
【0023】
操縦盤90には、クランク状に左右に位置ズレした前後向きの前進変速域Fと後進変速域Rとを中立域で連通させた形状のガイド溝36が形成されており、このガイド溝36に主変速レバー28が挿通されている。一方、揺動ブラケット27の下縁には、板バネ38で揺動ブラケット27に向けて付勢されたローラ39との係合で、主変速レバー28の中立Nと前進5段・後進3段の各変速位置での係合保持を可能にする9つの凹部40が形成されている。つまり、板バネ38、ローラ39、及び各凹部40によって、主変速レバー28を中立N又は前進5段・後進3段の各変速位置に係合保持するデテント機構41が構成されている。又、主変速レバー28は、その後端部が前進変速域F側に向かうようにバネ42で付勢されている。
【0024】
以上の構成から、中立Nにて主変速レバー28を第2軸心P2周りに左右揺動させることで、静油圧式無段変速装置8の前進変速操作が可能な状態と後進変速操作が可能な状態とに切り換える前後進切り換え操作を行うことができ、前進変速域Fにて主変速レバー28を第1軸心P1周りに揺動ブラケット27と一体前後揺動させることで、静油圧式無段変速装置8による前進5段の変速操作を行うことができ、後進変速域Rにて主変速レバー28を第1軸心P1周りに揺動ブラケット27と一体前後揺動させることで静油圧式無段変速装置8による後進3段の変速操作を行えるようになっている。
【0025】
図6及び図8に示すように、静油圧式無段変速装置8には、操作アーム34に形成されたV字状のカム面43に、揺動アーム44の遊端部に設けられたローラ45をバネ46の作用で押し当てることで、静油圧式無段変速装置8のトラニオン軸33をニュートラルに回動付勢する中立付勢機構47が装備されている。
【0026】
図7及び図9に示すように、支持ブラケット26に、揺動ブラケット27を第1軸心P1周りに前後揺動可能に支持する支軸67を回動自在に支承し、支軸67の揺動ブラケット27とは反対側(図7で左側、進行方向の右側)の端部に主変速レバー28と第1軸心P1周りに一体前後揺動する揺動アーム68が装備されている。この揺動アーム68の遊端部に取り付けた係止部材としての係止ピン69と、ハンドルポスト25における支軸67よりも上方箇所に装備された係止ピン70とにわたって、中立に復帰する静油圧式無段変速装置8の復帰力に抗して、主変速レバー28の増速側への操作をアシストするトグルバネ71が架設されており、これによって、静油圧式無段変速装置8の復帰力に抗する側となる増速側に主変速レバー28を操作する際の操作荷重を減少させることができて、主変速レバー28の増速側への操作をも軽快に行えるようになることから、主変速レバー28による変速操作性の向上を図れるようになっている。
【0027】
図7、図9〜図12に示すように、走行操作装置は、エンジン6の回転速度を設定する調速機構63と、走行用の静油圧式無段変速装置8を変速操作する主変速レバー28とを備えているとともに、主変速レバー28がニュートラルに位置する状態ではエンジン6がアイドリング状態で、主変速レバー28の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジン6の調速機構63と主変速レバー28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と主変速レバー28とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構61、並びに、連係機構61中に調速機構63と主変速レバー28とが連動する連動連係状態と、調速機構63と主変速レバー28とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに調速機構63と主変速レバー28との非連係状態において調速機構63を操作できる切換操作機構62を備えて構成されている。
【0028】
エンジン6の調速機構63には操作部である調速レバー64を備え、エンジン6の回転速度がアイドリング状態になるようにコイルスプリング65により付勢されている。
【0029】
前記連係機構61は、主変速レバー28を揺動自在に支持する支軸67と、支軸67の他端部に取付けた揺動アーム68とを備えているとともに、揺動アーム68の遊端部に設けた係止部材としての係止ピン66に対して、主変速レバー28の前進増速操作に接当して操作される前進用カム部材72、後進増速操作に接当して操作される後進用カム部材73、両カム部材72,73と調速レバー64との間に設けられたレリーズワイヤー74、主変速レバー28が中立位置のときに両カム部材72,73が係止ピン66から離れた状態で、調速機構63がアイドリング状態を維持するようにレリーズワイヤー74のインナーワイヤー74aとアウターワイヤー74bの位置を規定するストッパー75a,75bを備えて構成されている。両カム部材72,73の下部が近づく方向に引っ張りスプリング76を設け、前記ストッパー75a,75bは、アイドリング状態を維持するよう引っ張りスプリング76によるカム部材72,73の下部が近づくのを規制するように作用している。
【0030】
前記切換操作機構62は、前進用カム部材72と後進用カム部材73のカム支軸77に外嵌されたボス部材78に支持され、二股状のアクセルアーム79にレバー部材80を固着してなる人為操作具としてのアクセルレバー81を備えている。ボス部材78は、カム支軸77の小径部分に嵌合され、大径部分にはアクセルアーム79で押圧される押板82を取付けるスリーブ82aを嵌合し、このスリーブ82aに対して前進用及び後進用カム部材72,73がコイルスプリング83に押圧された状態でカム軸77の第5軸芯P5方向に移動自在に嵌合されている。二股状の左右のアクセルアーム79は、ボス部材78に付設した一対のピン78aに支持され、このピン78aの第6軸芯周りとボス部材78の第5軸芯P5周りとによる十字操作を行えるようにしてある。アクセルアーム79の下部には押板82を介してカム部材72,73を軸芯方向に押圧するカム部79aが形成されている。又、アクセルアーム79には前進用のカム部材72と係合してアクセル操作するためのアクセル係合ピン79bを植設してある。
【0031】
前記切換操作機構62を構成するアクセルレバー81のレバー部材80は、ガイド溝84を通して、操縦盤90の外方に延出されている。
【0032】
主変速レバー28が中立位置Nに操作されているときに、アクセルレバー81をガイド溝84のうち、図11(b)、図12の自動位置84aに操作すると前進用及び後進用カム部材72,73がコイルスプリング83に抗してアクセルアーム79のカム部79aに押圧されて、主変速レバー28側の揺動アーム68の係止ピン66が前進用及び後進用のカム部材72,73と係合可能な状態となり、調速機構63が主変速レバー28の操作に伴って操作される連係状態となる。
【0033】
アクセルレバー81を自動位置84aから手動のアイドリング位置84bに操作するとアクセルアーム79のカム部79aによるカム操作が緩められてコイルスプリング83の付勢力で、前進用及び後進用のカム部材72,73が外方に移動して両カム部材72,73は係止ピン66との係合可能状態から外れて、主変速レバー28と調速機構63とが連動しない非連係状態に切り換わるとともに、アクセルアーム79側のアクセル係合ピン79bが前進用カム部材73と係合可能な状態となる。そしてアクセルレバー81を手動のアイドリング位置84bから手動経路84cに沿って最大位置84dに操作するとエンジン回転数が最大となる。ボス部材78とその外側においてカム支軸77にボルト85止めしたワッシャ86との間にはフリクションバネ87が設けられていて、フリクションバネ87による摩擦力でアクセルレバー81が手動経路84cの所望の位置で位置保持することができるようにしてある。
【0034】
手動経路にあるアクセルレバー81を自動位置84aに戻すと、主変速レバー28と調速装置63が連係する状態となるが、主変速レバー28が中立位置にないときにアクセルレバー81を自動位置84aに操作してもカム部材72,73が係止ピン66に当たって自動位置84aには操作できないようになっている。
【0035】
アクセルレバー81を図11(b)、図12に図示する状態にしたエンジン6の調速機構63と静油圧式無段変速装置8の変速操作具28とが連動する連動連係状態では、主変速レバー28が中立位置Nに位置する状態でエンジン6がアイドリング状態となり、主変速レバー28が中立位置Nから前進変速域F内の低速域から高速域へと操作されるに従ってエンジン回転数が高くなる。又、主変速レバー28が中立位置Nから後進変速域Rの低速域から高速域へと操作されるに従ってエンジン回転数が高くなる。
【0036】
図14は、主変速レバー28の握り部28aを示し、握り部28aには、警笛を鳴らす警笛操作具としての押しボタン103を付設してあり、操作系から手を離さずに警笛を鳴らせるようにしてある。
【0037】
この実施の態様では、センターマスコット96の基端部96bにエンジン停止スイッチ101を設けたが、これに加えて、或いはこれに代えて、図15に示すように、センターマスコット96を摩擦保持に抗して前後に回動自在に操作可能に構成して、主変速レバー28の支軸67にアーム104を取付けるとともに、センターマスコット96の基端部96bに操作アーム96dを取付け、操作アーム96dと前記アーム104との間にレリーズワイヤー105で連結してもよい。このように構成すれば、センターマスコット96を二点鎖線のように回動させると前進高速側に操作されている主変速レバー28を圃場からの操作で微速走行できる低速位置まで戻し操作することができる。
【0038】
センターマスコット96が主変速レバー28(変速操作具)に連係された地上から操作できる地上操作具として機能する。
【0039】
又、センターマスコット96と主変速レバー28の連係に代えて、主変速レバー28と地上操作アーム95、或いは主変速レバー28と地上操作アーム95と一体に回動する図示しないアームとの間にレリーズワイヤーを連結して、地上操作アーム95を格納姿勢から作用姿勢に姿勢変更するに伴って高速位置にある主変速レバー28を微速走行する低速位置へ戻し操作するように連係するようにしてもよい。
【0040】
主変速レバー28を、基部側のレバー筒28bに握り部28a側のレバー杆28cを摺動自在に嵌合して、図示しない切換え機構によって、図16に示すように、握り部28aを一端持上げてから押し込むことによって短くなり、レバー杆28bの押し込みによって元の長さに戻すことができるようにしてもよい。これによって、大柄の人でも主変速レバー28を後進位置に操作しても脚に当たらないで変速操作することができるようになる。
【0041】
この実施の態様のステアリングハンドル12に代えて、図17に示すように、ステアリングハンドル12の上面に回転自在なハンドルグリップ106を着脱自在に取付けるようにしてもよい。このようにすれば、植付け作業が完了するまで苗植付装置4の昇降操作と圃場端で旋回操作するだけの単純な操作において旋回操作が楽に行える。
〔別実施の形態〕
以下、本発明の別実施の形態を列記する。
(1)作業機としては乗用田植機の他、播種機やトラクタやコンバインなどあってもよい。
(2)無段変速装置8としては可変プーリを用いたベルト式のものなどであってもよい。
(3)変速操作具28の操作位置とエンジン回転数の関係は、作業機の種類や作業地の状態などに応じて種々の設定変更が可能である。
(4)トグルバネ71のデッドポイントを主変速レバー28の中立位置Nよりも前進側に設定してもよい。
(5)変速操作具28としては、無段階の操作が可能に構成されたものであってもよい。(6)変速操作具28と調速機構63との連係を、例えば、変速操作具28の操作量を検出するポテンショメータと、調速機構63の操作アーム64を操作する電気式アクチュエータと、ポテンショメータの検出に基づいて電気式アクチュエータの作動を制御する制御装置などで、電気的に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】乗用田植機の全体平面図
【図3】乗用田植機の走行機体前部の正面図
【図4】地上操作アームとセンターマスコットを示す側面図
【図5】地上操作アームとセンターマスコットを示す平面図
【図6】変速操作構造を示す要部の側面図
【図7】変速操作構造を示す要部の正面図
【図8】変速操作構造を示す要部の平面図
【図9】アクセルレバーと調速機構との連係構造を示す要部の右側面図
【図10】連係機構と調速機構の連係を示す連係図
【図11】調速機構に対するアクセルレバーと主変速レバーとの連係を切換える切換操作機構の切換状態を示す要部の一部縦断正面図
【図12】アクセルレバーのガイド溝を示す平面図
【図13】地上操作アームとエンジン停止手段の別実施の形態を示す平面図
【図14】主変速レバーの握り部を示す斜視図
【図15】主変速レバーとセンターマスコットとの連係を示す連係図
【図16】主変速レバーの別実施の形態を示す概略側面図
【図17】ステアリングハンドルの別実施の形態を示す斜視図
【符号の説明】
【0043】
1 走行機体
6 エンジン
8 無段変速装置(静油圧式無段変速装置)
28 変速操作具(主変速レバー)
61 連係機構
62 切換操作機構
63 調速機構
81 人為操作具(アクセルレバー)
95 地上操作アーム
96 センターマスコット(地上操作具)
101 エンジン停止スイッチ
103 警笛操作具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の無段変速装置の変速操作具の低速側への操作に連動してエンジンの回転数が低下し、前記変速操作具の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジンの調速機構と前記無段変速装置の変速操作具とが連動する連動連係状態と、前記調速機構と前記変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して、前記調速機構と変速操作具とを連係してある作業車の走行操作装置であって、
単一の人為操作具の操作により、前記調速機構と前記変速操作具とが連動する連動連係状態と、前記調速機構と前記変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに前記調速機構と前記変速操作具との非連係状態において前記調速機構を操作できる切換操作機構を備えてある作業車の走行操作装置。
【請求項2】
地上から操作できる地上操作具を前記変速操作具に連係してある請求項1記載の作業車の走行操作装置。
【請求項3】
地上から持つことができる地上操作アームを走行機体の前部に備え、前記地上操作具を前記地上操作アームに備えてある請求項2記載の作業車の走行操作装置。
【請求項4】
前記地上操作具は、走行の指標となるセンターマスコットを兼ねている請求項2または3に記載の作業車の走行操作装置。
【請求項5】
地上からエンジンの停止を行えるエンジン停止スイッチを設けてある請求項1〜4のいずれか一つに記載の作業車の走行操作装置。
【請求項6】
前記変速操作具に警笛操作具を備えてある請求項1〜5のいずれか一つに記載の作業車の走行操作装置。
【請求項1】
走行用の無段変速装置の変速操作具の低速側への操作に連動してエンジンの回転数が低下し、前記変速操作具の高速側への操作に連動してエンジン回転数が上昇するように、エンジンの調速機構と前記無段変速装置の変速操作具とが連動する連動連係状態と、前記調速機構と前記変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることのできる連係機構を介して、前記調速機構と変速操作具とを連係してある作業車の走行操作装置であって、
単一の人為操作具の操作により、前記調速機構と前記変速操作具とが連動する連動連係状態と、前記調速機構と前記変速操作具とが連動しない非連係状態とに切換えることができるとともに前記調速機構と前記変速操作具との非連係状態において前記調速機構を操作できる切換操作機構を備えてある作業車の走行操作装置。
【請求項2】
地上から操作できる地上操作具を前記変速操作具に連係してある請求項1記載の作業車の走行操作装置。
【請求項3】
地上から持つことができる地上操作アームを走行機体の前部に備え、前記地上操作具を前記地上操作アームに備えてある請求項2記載の作業車の走行操作装置。
【請求項4】
前記地上操作具は、走行の指標となるセンターマスコットを兼ねている請求項2または3に記載の作業車の走行操作装置。
【請求項5】
地上からエンジンの停止を行えるエンジン停止スイッチを設けてある請求項1〜4のいずれか一つに記載の作業車の走行操作装置。
【請求項6】
前記変速操作具に警笛操作具を備えてある請求項1〜5のいずれか一つに記載の作業車の走行操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−132037(P2010−132037A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307647(P2008−307647)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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