説明

作業車両

【課題】作業習慣や好みに応じて作業を選択する場合、煩わしい操作に時間を空費する課題を解決する。
【解決手段】少なくとも四輪駆動の使用の有無、旋回時におけるブレーキ力、後進時に作業機を自動的に上昇させるバックアップ制御の使用の有無の組み合わせから構成した複数の作業モードを、スイッチのON、OFF操作で切替選択ができる構成としている作業車両において、作業習慣や好みに基づいて使用する作業モードを、予め選択して登録できる構成とし、この登録した内容を選択することにより、予め登録している作業モードが自動的に設定される構成としたことを特徴とする作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車両において、複数の作業を登録している作業モードを、交代して運転するオペレーターが自分の作業モードを選択できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の作業車両は、各種の作業機構や制御機構が装備され、数多くの種類の作業ができる車両が増加し、運転するオペレーターが、自分の作業習慣や好みに応じて作業を選択してスイッチ操作で設定する構成となっている。例えば、作業車両に装備されている作業の種類は、4WD(又は2WD、前輪駆動、後輪駆動)、旋回時に前輪が増速される機構(前輪増速機構)、後進に切り替えると作業機が自動上昇する機構(バックアップ機構)、ハンドルを旋回操舵すると作業機が自動上昇する機構(オートリフト機構)、自動水平制御装置(ローリング制御機構)等々、作業の種類は多くなり、オペレーターの選択幅が広くなっている。
【0003】
そこで、出願人が特許文献1として提示した特開2003−127692号公報には、一本の主変速レバーに設定スイッチ、切換スイッチ、入切スイッチ等の多数のスイッチが設けられ、各作業の設定や入、切操作を行う構成となっており、トラクタで行う作業種類の多さが解る従来技術となっている。
【特許文献1】特開2003−127692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既に前項で述べたように、近年の作業車両は、多くの種類の作業ができる構成になっているから、オペレーターの使い方によっては、きわめて便利である。しかしながら、オペレーターは、一台の作業車両を数人が、交代しながら運転し、作業をする場合が多く、各自が自分の作業習慣や好みによって作業を選択することがほとんどである。そのため、交代によって、つぎに運転するオペレーターは、前のオペレーターが設定している作業のまま運転を続けることはほとんどなく、改めて、自分が好んで行う作業の種類を選択し、スイッチ操作で設定しなおす必要がある。
【0005】
このように、各オペレーターは、交代ごとに、前オペレーターが設定している複数の作業を取り消して、自分の作業習慣や好みに応じて作業を選択し、設定操作をやり直す必要があり、煩わしい操作に時間を空費する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、少なくとも四輪駆動の使用の有無、旋回時におけるブレーキ力、後進時に作業機を自動的に上昇させるバックアップ制御の使用の有無の組み合わせから構成した複数の作業モードを、スイッチのON、OFF操作で切替選択ができる構成としている作業車両において、作業習慣や好みに基づいて使用する作業モードを、予め選択して登録できる構成とし、この登録した内容を選択することにより、予め登録している作業モードが自動的に設定される構成としたことを特徴とする作業車両であって、予め選択して登録している自分の作業モードに切り替えるだけで、自分の作業習慣や好みに合わせて選んだ作業に自動的に切り替えて作業ができるものとなっている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明は、オペレーターは、予め、自分の作業習慣や好みによって選んでいる作業に自動的に切り替えられるから、従来のように、個々の作業につき、煩わしい設定、変更操作に時間を空費する必要がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スイッチボックスの正面図
【図2】スイッチボックスの側面図
【図3】キャビン室内の斜面図
【図4】キャビン室内の平面図
【図5】トラクタの側面図
【図6】キャビンの斜面図
【図7】キャビンの斜面図
【図8】別実施例のトラクタの側面図
【図9】別実施例の要部拡大図
【図10】クラッチペダル取付部の斜面図
【図11】クラッチペダル取付部の側面図
【図12】クラッチペダル取付部の側面図
【図13】別実施例のマウントとクッションゴムとの取付平面図
【図14】別実施例のマウントとクッションゴムとの取付側面図
【図15】別実施例のマウントとクッションゴムとの取付平面図
【図16】従来の取付構成を示す車体フレーム側の分解斜面図
【図17】従来の取付構成を示す取付フレーム側の分解斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、トラクタ1は、本件出願の作業車両に相当し、図5に示すように、左右一対の前輪2,2と、後輪3,3とを装備し、車体4の後部には、ロータリー耕耘装置5を連結して設けている。実施例の場合、トラクタ1は、前輪2,2、又は後輪3,3のいずれかを選択して駆動する2WDシステムと,4輪を同時に駆動する4WDとが選択できる構成となっているが、これについては後述する。そして、運転操縦席6は、車体4上に搭載したキャビン7の室内に設け、前側には、ステアリングハンドル8を設け、その周辺には操縦用のスイッチ類やレバー類を集中させて配置して設け、オペレーターが座ってトラクタ1の運転ができる構成としている。
【0010】
つぎに、上記キャビン7の室内に配置されている各操作レバー類、各操作スイッチ類及び感度の調整ダイヤル等を、トラクタ1に装置されている各作業装置や制御装置の作用と合わせて説明する。
【0011】
まず、前後進切替レバー10は、図4に示すように、ステアリングハンドル8の左下側に設け、これの切替操作によって、前進走行と後進走行との切替ができる構成としている。そして、11は駐車ブレーキの操作レバーを示している。
【0012】
更に、図4において、12はPTOチエンジレバーを示し、前側から2速、中立、1速の変速位置が選択できる構成となっている。
つぎに、スロットルレバー13は、図3に示すように、ステアリングハンドル8の右側に配置して設け、前側に倒し操作するとエンジン回転が増速され、後方に操作すると、アイドリング運転になる構成としている。14a,14bは、エンジン回転数の記憶スイッチであって、スイッチを押すと回転数が記憶される構成としている。
【0013】
そして、副変速レバー15は、低速、中速、高速、路上走行速の4段階の変速位置が選択できる構成となっており、主変速の変速段数(実施例のトラクタ1は、8段の変速ができる。)と合わせると、それぞれの変速位置で8段の変速が可能に構成されている。
【0014】
そして、ドラフト比調整ダイヤル16は、ドラフトコントロールの感度を調整するダイヤルであって、左側がポジション、右側がドラフト調整となっている。実施例の場合、ドラフト比調整ダイヤル16は、ポジション側、すなわち、左に回すほど鈍くなるから、そのときの圃場の条件やオペレーターの好みによって調整することができる。そして、該ダイヤル16は、ポジション側(左)に回すほど、負荷に対する作業機の昇降変化量が少なくなり、ドラフト側(右)に回すほど負荷に対する作業機の昇降変化量が大きくなる構成としている。
【0015】
そして、上げ調整ダイヤル17は、左に回すと低くなり、右が高くなる構成となっており、3Pリンクの上げ高さを調整することができる。18は傾き調整ダイヤルであって、左が低く、右が高くなる構成としている。
【0016】
そして、4WD切替スイッチ19は、通常は後輪駆動(2WD)で走行するが、ぬかるみに入ったり、急な坂道や凹凸の道になると、自動的に4WDに切り替わる構成になっている。
【0017】
そして、実施例のトラクタの場合、前輪増速機構では、旋回時に前輪速度が増速され、旋回走行が素早くできる構成となっている。
そして、20はPTO手動・自動スイッチであって、手動位置では、PTOを入りにすると、チエンジが入っていると常時回転し、自動位置では、クラッチを踏んだり、3Pリンクを上げると回転が止まる構成になっており、主として水田作業に利用することが多い。
【0018】
21はデフロックスイッチであって、押し操作でデフロック状態となり、再度押すと解除状態に切替ができる構成としている。
22は作業機昇降レバー、23は作業機昇降スイッチであって、シーソー式のスイッチに構成し、後ろ側ワンプッシュで最大位置まで上昇し、前側ワンプッシュで作業機昇降レバー22の位置まで下降する構成となっている。
【0019】
図3において、24,25は走行変速スイッチを示しており、前者が1回押すごとにシフトアップし、後者が1回押すごとにシフトダウンする構成となっている。そして、実施例の場合、両スイッチ24,25は、主変速装置を電磁的に切り替える機構となっており、全部で8段階の変速ができる構成となっている。
【0020】
つぎに、図1、及び図2に示すスイッチボックス26に設けている各スイッチやダイヤルについて説明する。27は蓋を示しており、不使用時には蓋27をすることができる構成となっている。
【0021】
28はモニターランプであって、作業機の上昇、下降が表示され構成となっている。
29は作業感度ダイヤルであって、作業スイッチ30を入りにすると、自動変速が作動するが、この自動的に車速を増減速する感度を変更するダイヤルである。そして、上記作業スイッチ30は、これを入りにすると、作業時の走行速度が自動的に変速される構成になっている。
【0022】
31は下げ速度ダイヤルを示し、作業機の下降速度を調整するダイヤルである。
一般的に、下げ速度ダイヤル31は、軽い作業機を使用する場合、右に回して下降速度を速くして作業能率を上げ、重い作業機を使用する場合には、左に回して下降速度を遅くして安全に作業を行うものである。
【0023】
32はブレーキ調整ダイヤルを示している。そして、ブレーキ調整ダイヤル32は、オートブレーキ入・切スイッチ33を入りにしたときのブレーキ調整をするダイヤルであって、図面に表示しているとおり、左回しで弱くなり、右回しで強くなる調整ができる構成としている。そして、上記オートブレーキ入・切スイッチ33は、入りにしてステアリングハンドル8を回すと、自動的に旋回内側の後輪3,又は3の一方にのみにブレーキがかかる構成になっており、小回りで素早い旋回ができることを目的としている。
【0024】
そして、路上スイッチ34は、路上走行時に使用するもので、入りにして走行すると、自動変速される構成になっている。
35は接続感度変速スイッチであって、入り切りすることで、主変速を変速したときの接続フィーリングを変更する構成としている。この場合、接続感度変速スイッチ35は、入りでモニタが点灯して緩やかな変速となり、切りでモニタが消灯して急接続に切り替わる構成としている。この接続感度変速スイッチ35は、プラウ等の牽引系の作業で使用すると、主変速の変速操作時、接続時間が短くなってきわめて有効となる。
【0025】
つぎに、36は接続感度PTOスイッチであって、PTOの繋がり方を変更するスイッチである。このスイッチ36は、主としてロータリー耕耘装置5による耕耘作業に有効であって、入りにすると、PTOのつながりが速くなるから、すぐに土壌の抵抗に負けない程度までの回転力に達することが可能で、最初から適確な耕耘作業を行うことができる。
【0026】
そして、牧草1、或いは牧草2は、PTOをゆっくり繋ぐ場合であって、牧草作業機やスノーブロワー等による作業時に有効となる。
37は自動水平制御装置の動作感度を切り替えるスイッチを示しており、スイッチを押すと、自動水平制御の動きが遅くなり、再びスイッチを押すと元に戻る構成にしている。圃場の硬軟度に対応して使い分けすることが多い。
【0027】
38はバックアップ入・切スイッチであって、入りにすると、前記した前後進切換レバー10を後進に切り替えると、装着している作業機が自動的に上昇する構成としており、安全に後進走行ができる。更に、39はオートリフト入・切スイッチであって、オペレーターがステアリングハンドルを、大きく回して旋回する場合、自動的に作業機が上昇する構成としている。
【0028】
このように、トラクタ1は、接地作業機を装着して接地作業をすることが多いから、後進時や旋回時に自動的に上昇すると、安全な走行ができる。
そして、作業機の水平切換スイッチ40は、図1に示すように、自動水平にすると、水平センサによって検出しながら自動的に水平状態を保持する構成としている。そして、手動の位置は、前記傾き調整ダイヤル18で手動調整しながら作業を行うことになる。そして、平行の位置は、本機に対して、3Pリンクを常に平行にすることができる。そして、傾斜の位置は、地面に対してある一定の角度を持たせる構成としている。
【0029】
41は3P切換スイッチを示している。
そして、作業モード切替装置45は、図1に示すように、4桁の数字で自分のパスワードを設定し、交代によって自分が運転するときには、予め設定登録している自分のパスワードを入力をすると、自分が選択して登録している各作業の作業モードに切り替わる構成としている。
【0030】
そして、作業モードは、実施例の場合、運転を終わった時点で自分のパスワードを入力しておくと、運転中に使用した各作業が設定登録され、次回に運転するときには、自分のパスワードを入力するだけの簡単な操作で、前回と同一の作業が実行できる構成としている。
【0031】
具体的には、四輪駆動の使用の有無、エンジン回転数制御の使用の有無、旋回時におけるブレーキ力、後進時に作業機を自動的に上昇させるバックアップ制御等の使用の有無である。また、エアコンの状態やシートの位置やハンドルチルトの位置を自動的に記憶させておくことで、次回の作業時には自動的に自分の設定した状態になり、能率の良い作業が可能となる。
【0032】
以上述べたように、最近のトラクタ1は、数多くの作業ができる機構になっており、しかも、予め、設定さえしておけば制御機構によって自動的に行われる作業が多く、使い方によっては便利に利用できる。そして、実施例は、前のオペレーターと交代して運転するつぎのオペレーターは、作業モード切替装置45に自分のパスワードを入力するだけのきわめて簡単な切替操作で、作業モードが切り替わり、前オペレーターが運転中に利用していた作業を、自分の作業モードに自動切替えができるものである。したがって、オペレーターは、予め、自分の作業習慣や好みによって選んでいる作業に自動的に切り替えられるから、従来のように、運転を交代するたびに個々の作業について、煩わしい設定、変更操作に時間を空費する必要がなくなった。
【0033】
そして、実施例の場合、オペレーターが、予め選択して自分の作業モードに登録している各作業を、自由に取り消したり、他の作業を追加登録することも自由にできるから、運転をするときの気象条件や圃場条件等に合わせて好ましい作業の種類を選択できるものとなっている。
【0034】
この場合、例えば自分のパスワードを作業モード切替装置45から所定時間内に2回連続して入力した場合に、取り消したり追加登録が可能な構成とする。そして、パスワードを2回連続して入力した場合に、引き続いて各種設定スイッチやダイヤル、そして、シートの位置等の変更、追加項目の操作を行い、その後、自分のパスワードを所定時間内に2回連続して入力することで、自分の作業モードを取り消したり、他の作業モードを追加登録可能に構成している。このような、取り消しや追加登録については、その他のスイッチ等の組み合わせや、チェッカー等を用いて変更するように構成してもよい。
【0035】
以下、その他の実施例について説明する。
つぎに、図6、及び図7に示す実施例は、キャビン7のルーフ50の中央部位に、吊上げ用フック51を取り付ける取付孔52を開口した構成としている。このように、トラクタ1のキャビン7は、車台上に組み立てるときには、重心位置に設けた吊上げ用フック51を利用してクレーンで吊り上げて移動しながら、車台上に搭載して組み立てるが、上記のように、キャビン7のルーフ50に取り付け孔52を開口しておくと、事後の組立作業がきわめて容易にできる特徴がある。
【0036】
つぎに、図8に示す実施例は、フロントローダ55を操作するためにトラクタ1から配管している油圧ホース56の保護に関する発明である。
まず、トラクタ1は、図8に示すように、前部に搭載しているエンジンからマフラー57を延長してキャビン7の右前のキャビンフレーム58の前側に上下方向に設けて排気する構成としている。一方、フロントローダ55は、前部低位置の油圧取出部59に基部を接続した複数本の油圧ホース56を、昇降油圧シリンダ60に接続して、作動油を供給しながら操作する構成としている。
【0037】
そして、実施例は、防熱カバー61を前記マフラー57の前側に巻き付けた状態にして設けて前記油圧ホース56とマフラー57との間に配置し、マフラー57からの排気熱を遮断する構成としている。この場合、防熱カバー61は、マフラー57を巻くように設けて油圧ホース56から隔離するのが良い。
【0038】
このように、実施例は、マフラー(テールパイプ)57を囲うように防熱カバー61を設けてフロントローダ55側の油圧ホース56が、マフラー57に接触するのを避けた構成として、油圧ホース56をマフラー57の熱から保護し、耐久性を高めるものである。
【0039】
また、フロントローダ55を下げた状態(フロントローダを地面に接近または接触)においては、油圧ホース56はマフラー57から離れるような位置関係となる。
つぎに、図8と図9に示すフレームコネクタ65の実施例を説明する。
【0040】
まず、フロントローダ55のフレームコネクタ65は、図面に示すように、トラクタ1の前部にフロントローダ55を装着したとき、左右のローダ取付装置66を強固に連結するためにボンネットカバー67の基部側(フロントガラス68側)上方を左右に跨って配置し、強固に連結した構成としている。
【0041】
そして、フレームコネクタ65は、前記ボンネットカバー67の上方に位置する部分には保護カバー70を巻き付け、ボンネットカバー67に接触したとき傷をつけないように構成している。
【0042】
このように構成したフレームコネクタ65は、図面から解るように、フロントガラス68のすぐ前方にあるから、前方視界を遮らない低い位置に設ける必要があり、しかも、図9に示すように、ボンネットカバー67を上方に開けたときに、該ボンネットカバー67に傷をつけないように保護する必要がある。
【0043】
したがって、実施例のフレームコネクタ65は、上記の如く、保護カバー70を装着することによって、上側に開いたボンネットカバー67が、接触しても傷をつけないように保護できるものとした。この場合、ボンネットカバー67は、最上部に開いた位置では、ダンパーの押上力もそれほど大きくないから、軽く接触する程度となり、傷がつくことはほとんどないものとなった。保護カバー70の実施例については、樹脂等の軟質部材が望ましい。
【0044】
つぎに、トラクタ1に取り付けているバックミラ−72の実施例を、図5に基づいて説明する。
まず、バックミラー72は、電動式で角度変更ができる構成とし、手動操作(方向スイッチで、上下、左右の角度の変更ができる)と、自動操作(他の装置の操作に関連して角度変更ができる)とに切り替えて角度変更ができる構成となっている。
【0045】
そして、上記バックミラー72は、副変速を作業速(中速、低速)に切り替えると、後輪付近が映る角度に自動変更され、後部の作業状態を確認しながら作業ができる構成となっている。
【0046】
そして、上記バックミラー72は、前後進切替レバー10を後進側に切り替えると、関連して後輪周りが見える角度に自動変更する構成としている。
このように、実施例のバックミラー72は、副変速の操作や前後進切替レバー10を後進に切り替えると後輪付近が見える角度に変更され、適確に作業ができ、安全に後進走行ができるものとなっている。
【0047】
つぎに、図10に示すクラッチペダル74の実施例を説明する。
まず、クラッチペダル74は、ペダルアーム75を介してクラッチ軸76に軸受・支持されており、オペレーターの踏込み操作によって電磁的に油圧クラッチを制御する構成としている。
【0048】
そして、ペダルアーム75は、前記クラッチ軸76との間に第一スプリング77を介装し、ロット78との間に設けたダンパー79に巻き付けて第二スプリング80を設けた構成としている。したがって、クラッチペダル74は、足で踏み込み操作を開始すると、まず、最初に、第一スプリング77が作用して張力を発揮してペダル74側に弾力的な抵抗を与え、更に、踏込みが進むと、第二スプリング80が働き始めて弾力的抵抗をペダル74側に与える構成となっている。
【0049】
このように、クラッチペダル74は、踏み込みに伴って一体に回動するペダルアーム75に、第一と第二の2つのスプリング77,80が時間差を保って作用し、踏込み時にオペレーターの足で感じる感触を、従来の機械式、クラッチ装置の踏み込み時に近い弾性的な感触にすることができるものである。
【0050】
つぎに、クラッチペダル74は、図11に示す実施例の場合、基部をクラッチ軸76に軸着したペダルアーム75の先端部に設けている。そして、ポテンショメータ73は、前記クラッチ軸76に接続され、回動角を検出して電磁的に油圧クラッチを制御する構成としている。そして、第一と第二のスプリング77,80は、上記ペダルアーム75に対して、上側から第一スプリング77を接続し、ダンパー79に設けた第二スプリング80を下側から設けて構成している。この場合、第二スプリング80は、図11に示すように、上端部とペダルアーム75側との間に遊びPを形成しており、ペダル74を踏み込んで遊びP部分を経過した後、張力が働く構成としている。
【0051】
そして、前記ポテンショメータ73は、上記遊びPを経過した点、すなわち、第二スプリング80の端面の位置を基準値として回動角の検出が開始される構成としている。具体的に述べれば、ポテンショメーター73は、クラッチペダル74が踏み込まれてペダルアーム75が回動を開始すると、その回動角を検出して電磁的にバルブを制御してクラッチを切るが,その検出開始位置が前記第二スプリングの端面の位置としている。
【0052】
このように構成された実施例は、ペダルアーム75が、クラッチペダル74の踏み込みが開始されて下方に回動を開始すると、まず、上側の第一スプリング77のみが働いて張圧力がペダル側に伝達され、設定されたタイミングを保って遊びPの部分が過ぎると、その後、第二スプリング80も働き始める。そして、ポテンショメータ73は、第二スプリング80の張圧作用が開始された時点を基準にして回動角の検出が始まり、電磁的にクラッチを制御することになる。
【0053】
このような一連の作動において、クラッチペダル74は、第一と第二との2つのスプリング77,80が所定のタイミングを保ちながら、張圧力を発揮してペダル側に伝達されるから、踏み込んでいるオペレータの足に機械式クラッチを操作したときに類似した感触が伝わってくることになる。
【0054】
なお、図12に示す実施例は、複数個のポテンショメーター73を、予め、異なった部位に装置したものであって、このように構成すれば、一方側のセンサが故障すれば、他方のセンサで対応することができる利点がある。
【0055】
つぎにロータリー耕耘装置の昇降制御について実施例を述べる。
既に述べたように、トラクタ1に作業機、例えば、図5に示すように、ロータリー耕耘装置5を装着した場合、オートリフト機構、バックアップ機構等の制御方式が確立されており、これらの制御手段を利用すれば、別段問題は無いが、対地作業機を手動で昇降操作しながら作業をする場合、上げ操作を忘れて旋回するときがある。
【0056】
そのとき、実施例は、旋回時に上げ忘れたロータリー耕耘装置5が、そのまま土中を移動していると、横方向から土壌の押圧力が働いてくる。そのとき、実施例の制御機構は、ロータリー耕耘装置5が横からの力で歪みが発生すると、それを検出して昇降装置を制御し、上昇することができる構成としている。この場合、具体的な構成は示さないが、歪みを検出したセンサの検出情報を、図外のコントローラに入力して、コントローラからの制御出力に基づいてアクチュエーターを制御し、ロータリー耕耘装置5を上昇する構成としている。
【0057】
つぎに、マウントの改良に関する実施例を説明する。
まず、マウント85は、例えば、車体フレーム86上にキャビン7を搭載して装置する場合に、走行に伴って地上から受ける振動を緩和してキャビン7側に伝播させないために緩衝部材として取付部材の間に介装することは広く知られている。従来構成の一例につき、図16、及び図17に基づき概要を述べると、マウント85は、車体フレーム86に、取付フレーム87を取り付ける場合、車体側にねじ止めした取付板88と、前記取付フレーム87側の連結部材89との間に挟んだ状態にして連結した構成とする。しかしながら、この従来の取付方法だけでは、不充分で、走行に伴って車体フレーム86が受ける振動が取付フレーム87側に伝わり、防振作用が充分でないことが知られている。
【0058】
そこで、実施例は、図13、及び図14に示すように、車体フレーム86側にねじ止めした取付部材90に、取付フレーム91を連結する場合、前記取付部材90と取付フレーム91側の連結部材93との間に挟んだ状態に設けるマウント85に、クッションゴム92,92を加えて全体を緩衝部材として介装して連結した構成としている。
【0059】
この場合、クッションゴム92,92は、マウント85の外側(車体フレーム86の外側)で、マウント85の取付部位Pを挟んで前後に配置して介装した構成としている。
このように構成すると、マウント85とクッションゴム92,92は、車体フレーム86と取付フレーム91との間にあって、走行やエンジンの駆動に伴って車体側で発生した振動が、取付部材90を介して連結部材93に伝わってくるが、この振動の大部分を吸収して、伝播を遮断して取付フレーム91側を大幅に防振することができる。
【0060】
この場合、2つのクッションゴム92,92は、マウント85の外側の取付部位P点を挟んで前後に配置しているから、前後振動が極端に吸収されて全体として大きな防振効果を発揮することができる。
【0061】
そして、上記クッションゴム92,92は、図15に示すように、マウント85を基準にして対角線の位置に配置しても同様な効果が期待できる。
【符号の説明】
【0062】
1 トラクタ 15 副変速レバー
16 ドラフト比調整ダイヤル 19 4WD切替スイッチ
21 デフロックスイッチ 28 モニターランプ
29 ATシフト作業感度ダイヤル 30 ATシフト作業スイッチ
31 下げ速度ダイヤル 32 ブレーキ調整ダイヤル
33 オートブレーキ入・切スイッチ 34 ATシフト路上スイッチ
35 接続感度変速スイッチ 36 接続感度PTOスイッチ
37 自動水平制御装置感度スイッチ 38 バックアップ入・切スイッチ
39 オートリフト入・切スイッチ 40 水平切換スイッチ
41 3P切換スイッチ 45 作業モード切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも四輪駆動の使用の有無、旋回時におけるブレーキ力、後進時に作業機を自動的に上昇させるバックアップ制御の使用の有無の組み合わせから構成した複数の作業モードを、スイッチのON、OFF操作で切替選択ができる構成としている作業車両において、作業習慣や好みに基づいて使用する作業モードを、予め選択して登録できる構成とし、この登録した内容を選択することにより、予め登録している作業モードが自動的に設定される構成としたことを特徴とする作業車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−213493(P2009−213493A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156074(P2009−156074)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【分割の表示】特願2007−21259(P2007−21259)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】