説明

保持具

【課題】 ワークの表面に対し、接触による問題がない位置にパッドを接触させることができる保持具を低コストで提供することである。
【解決手段】 ベルヌーイの原理を利用して本体に設けた保持面1aにワークWを保持する保持具を前提とし、上記本体から外方に突出させた支持部材を設け、この支持部材には、ワークWに接触して上記保持面1aとワークWとの間隔を保持するための複数のパッド12を設け、上記本体よりも外方に突出するワークWの内側にはパッド12が接触しない構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体のベルヌーイの原理を利用して物体を保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体に関するベルヌーイの原理によって発生する負圧を利用してワークを保持する保持具が知られている。
例えば、特許文献1に示すものは、図6に示すように、円形の保持面1aを備えたプレート部材1の中央に、円形の凹部2を形成するとともに、この凹部2に連続する面をテーパー状にして、このテーパー面2aを保持面1aになめらかに連続させている。そして、上記保持面1aには、後で詳しく説明するが、保持対象であるワークWと保持面1aとの間隔を保つための複数のパッド7を外周に沿って配置している。
【0003】
また、上記凹部2には、ノズル部材3を組み込んでいる。
このノズル部材3は、その一方の面3aを保持面1aと同一レベルにするとともに、その内部に圧力流体を供給する中継室4を形成している。そして、この中継室4に連続する複数の絞り噴出口5を放射状に形成している。
上記絞り噴出口5は、流体の噴出方向を保持面1aと平行になるように形成するとともに、その直径を中継室4よりも小さくしている。このように流路を絞ることによって、これら複数の絞り噴出口5の合計流路面積を、中継室4の流路面積よりも小さくしている。
【0004】
上記中継室4には、プレート部材1に形成した供給通路6を連通させ、この供給通路6にはエアなどの流体を導く配管を接続するようにしている。この配管を介して中継室4にエアを導くと、そのエアが複数の絞り噴出口5に導かれる。このとき、複数の絞り噴出口5の合計流路面積、すなわち、流路の有効断面積を中継室4の流路の有効断面積よりも小さくしているので、中継室4から絞り噴出口5を通過する過程で、流速が数倍から十数倍に加速する。このようにして十分に加速した流体を、上記テーパー面2aに吹き付けるようにしている。
【0005】
テーパー面2aに吹き付けられたエアは、コアンダ効果によってこのテーパー面2aに誘導された後、このテーパー面2aから保持面1aに導かれることになる。
また、上記保持面1aに沿って導かれた流体は、さらに保持面1aに沿って流れ、プレート部材1の外縁に沿って放出される。
【0006】
上記のように加速されて高速になった流体が保持面1aに沿って流れると、流体のベルヌーイ効果によって、この保持面1a上に十分な負圧が発生する。この負圧を利用すれば、保持面1aから所定の距離に置いたワークWを負圧による吸引力によってひきつけ、上記パッド7の先端に接触させた位置で保持し、搬送することができる。
【0007】
なお、ワークWが、保持される原理は以下のとおりである。
上記保持面1aを下に向けて、ワークWを上から保持する場合、もし、上記パッド7がなければ、ワークWは重力と上記負圧による吸引力とがバランスする位置まで引き寄せられて非接触状態で保持されることになる。
また、上記保持面1aを上に向けて、ワークWを下から保持する場合には、噴出流体がワークWにぶつかることによってワークを押し上げる推力と、ワークWに作用する重力とのバランスによって、やはり非接触状態でワークWが保持されることになる。
【0008】
但し、図6に示すように上記保持面1aから突出するパッド7を設けた保持具では、ワークWの外周近傍をこのパッド7に接触させて保持することができる。
そして、上記パッド7を設ける場合、ワークWに接触するパッド7の先端位置を、上記負圧によって形成される吸引力が作用する領域に設けるようにする。これにより、ワークWには吸引力が安定して作用し、ワークWを確実に保持できるようにしている。
【0009】
このような保持具は、ワークを挟んで保持する装置とは違い、ワークの外周付近のみをパッドに軽く接触させた状態で保持することができる。そのため、例えば、半導体ウエハなど、保持跡や傷を嫌うワークを保持して搬送するのに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2002/047155号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の保持具は、保持面1aの外周に沿ってパッド7を設けている。そして、このパッド7先端がワークWに接触した状態でワークWが保持される。そのため、ワークWと上記保持面1aの直径が同等の場合には、上記パッド7はワークWの外周付近に接触する。
ところが、ワークWが、保持具の本体よりはみ出す大きさの場合には、上記パッド7の位置が相対的にワークWの中央寄りになる。ワークWの中央には電子回路などが形成されている場合があり、その部分にパッド7が接触すると、形成された回路に悪影響を与える可能性がある。また、回路などに実質的な影響を与えることがなくても、接触痕が中央に残った場合、商品価値が下がってしまうこともある。
【0012】
いずれにしろ、ワークWの外周近傍より内側にパッド7が接触することは望ましいものではなく、パッド7の接触はワークWの外周近傍に限って許されることが多い。
そのため、保持面1aの外周に沿ってパッド7を設けた従来の保持具では、ワークWの大きさに合わせて保持面1aを大きくしたものを用意しなければならなかった。
様々な大きさの保持具を用意することが必要になれば、その分、コストがかさむことは当然である。
しかも、平面性の高い保持面1aは、例えば削り出し加工によって形成する必要があり、大きな保持面1aを形成するためには製造コストがかかってしまうという問題もあった。
【0013】
この発明の目的は、ワークの表面に対し、接触による問題がない位置にパッドを接触させることができる保持具を低コストで提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、ベルヌーイの原理を利用して本体に設けた保持面にワークを保持する保持具を前提とする。
上記保持具を前提とし、第1の発明は、上記本体から外方に突出させた支持部材を設け、この支持部材には、ワークに接触して上記保持面とワークとの間隔を保持するための複数のパッドを設けたことを特徴とする。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明を前提とし、上記支持部材に、パッドを移動可能にする位置調整機構を設け、パッドの移動位置において当該パッドの先端と保持面との間隔を一定に保つ構成にしたことを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、上記第1または第2の発明を前提とし、上記支持部材が、その全部あるいは一部が、保持面に保持されたワークと対向する位置関係を保ち、この支持部材に風よけ機能を持たせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1〜第3の発明によれば、ワークの外周近傍など、ワークにおいて接触しても問題のない位置に、パッドを接触させることができる保持具を、コストを抑えて提供できる。
第2の発明によれば、パッドの位置を調整できるので、一つの保持具で様々な大きさのワークに対応することができる。
【0018】
第3の発明は、支持部材に風よけ機能を持たせたので、保持面にワークを保持した状態で本体を移動したとき、移動に伴って発生する風圧がワークに直接作用しないようにできる。従って、ワークの搬送時に、風圧によってワークが脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の断面図である。
【図2】第1実施形態の底面図である。
【図3】第2実施形態の断面図である。
【図4】第2実施形態の平面図である。
【図5】第3実施形態の断面図である。
【図6】従来例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1、図2に示す第1実施形態の保持具は、プレート部材1とノズル部材3とで本体を構成するものである。
そして、上記プレート部材1は、図6に示す従来例のプレート部材1の保持面1aにパッド7を備えていない以外は、従来例のものと同じである。また、上記ノズル部材3は、従来例と全く同じ構造である。従って、この第1実施形態において従来例と同じ構成要素には図6と同じ符号を用い、各要素についての詳細な説明は省略する。
【0021】
この第1実施形態では、上記プレート部材1の保持面1aと反対側の表面1bに、複数の支持片8を設けている。
この支持片8は、プレート部材1の外周、すなわち本体の外周から外方に突出し、後で説明するパッド12を、この第1実施形態の保持具で保持するワークWの外周近傍に位置させることが可能な長さを備えた板部材である。そして、この支持片8の基端側をビス9によってプレート部材1に固定している。
また、上記支持片8には、プレート部材1の外方へ突出する部分に支持片8の長手方向に沿った長孔8aを形成している。
【0022】
さらに、上記長孔8aにはボルト10によって、支持片8の表面に直交する柱部材11を取り付けている。但し、上記柱部材11は支持片8に直交しなくてもよい。
この柱部材11は、支持片8を基準にして上記保持面1a側に突出させ、その端面を保持面1aとほぼ同レベルにしている。そして、この柱部材11の端面には、ワークWに接触させて保持面1aとワークWとの間隔を保持するためのパッド12を設けている。
なお、上記ボルト10の頭部及び上記柱部材11の外径を、上記長孔8aの幅よりも大きくして、ボルト10及び柱部材11が支持片8から外れないようにしている。
【0023】
そして、上記パッド12の先端が、上記プレート部材1に形成した供給通路6にエアなど流体の供給配管を接続して、絞り噴出口5から流体を噴出させて保持面1aに沿った負圧を発生させたとき、保持面1aに向かう吸引力が作用する範囲内に位置するようにしている。
なお、上記ボルト10を緩めることによって、上記柱部材11を長孔8aの範囲で移動させることができ、締めることによってその位置を保つことができる。上記長孔8a及びボルト10がこの発明の位置調整機構を構成している。
【0024】
このような構成にした第1実施形態の保持具では、本体の外方においてパッド12の位置を調整できる。ここでは、図2に示すように、二点鎖線で示すワークWを上記保持面1aで保持したとき、上記パッド12がワークWの外周近傍に位置するようにしている。
この第1実施形態の保持具においても、上記プレート部材1の供給通路6にエアなどの流体の供給配管を接続し、ノズル部材3に流体を供給すれば、従来例の保持具と同様に、絞り噴出口5から噴出する高速の流体によって負圧による吸引力が発生し、この吸引力によって保持面1aにワークWを保持することができる。このとき、上記ワークWが、本体の外周から外方に突出する大きさであっても、パッド12はその外周近傍に位置するので、ワークWの内側にパッド12が接触することはない。
【0025】
このように、第1実施形態の保持具では保持面1aを大きくしなくても、保持面1aとワークWとの間隔を保つためのパッド12がワークWの内側に接触しないようにすることができる。
そして、上記支持片8及び柱部材11からなる支持部材は、上記保持面1aのような高い加工精度を必要とせず、低コストで形成できる。そのため、上記支持片8及び柱部材11を備えたこの第1実施形態の保持具は、保持面1aの大きさをワークWの大きさに合わせた保持具と比べて低コストで製造できる。
【0026】
なお、この第1実施形態では、上記支持片8をプレート部材1にビス9によって取り付けているが、取り付け手段はこれに限らず、接着などでもかまわない。また、上記支持片8を、プレート部材1の側面に取り付けるようにしてもよい。あるいは、上記プレート部材1と支持片8とを一体に形成してもよい。
さらに、この第1実施形態では、上記支持片8の長孔8a及びボルト10による位置調整機構を備えているが、この発明の支持部材は位置調整機構を備えていなくてもよい。例えば、上記支持片8と柱部材11とを一体的に形成することもできる。その場合には、上記長孔8a及びボルト10は不要である。
また、プレート部材1に取り付ける上記支持片8に形成したビス9の孔を長孔にして、支持片8のプレート部材1からの突出長さを調整することで、パッド12の位置を調整するようにしてもよい。
なお、パッドの位置調整手段を備えていなくても、上記支持片8をプレート部材1などの本体に対して着脱自在に設けるようにすれば、支持片8を交換することによって、異なる大きさのワークWに対応することもできる。例えば、より長い支持片8に交換すれば、さらに大きなワークWを保持するときにも、パッド12がワークWの内側に接触しないようにすることができる。
【0027】
図3、図4に示す第2実施形態は、パッド12の支持部材の構成が第1実施形態と異なるが、その他の構成は、第1実施形態と同じである。従って、第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用い、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第2実施形態の保持具は、プレート部材1の保持面1aと反対側の表面1bに、プレート部材1、すなわち本体から外方へ突出させた支持円盤13を設けている。この支持円盤13の中央には上記供給通路6を塞がないように開口13bを形成するとともに、プレート部材1の外方に対応する位置には複数の長孔13aを放射状に配置して形成している。
【0028】
そして、上記長孔13aのそれぞれには、ボルト10によって支持円盤13の表面に直交する柱部材11を取り付けている。但し、柱部材11は支持円盤13に直交しなくてもよい。
この柱部材11は、支持円盤13を基準にして上記保持面1a側に突出させ、その端面を保持面1aとほぼ同レベルにしている。そして、この柱部材11の端面には、ワークWに接触させて保持面1aとワークWとの間隔を保持するためのパッド12を設けている。
なお、上記ボルト10の頭部及び上記柱部材11の外径を、上記長孔13aの幅よりも大きくして、ボルト10及び柱部材11が支持円盤13から外れないようにしている。
【0029】
そして、上記パッド12の先端が、上記プレート部材1に形成した供給通路6にエアなど流体の供給配管を接続して、絞り噴出口5から流体を噴出させて保持面1aに沿った負圧を発生させたとき、保持面1aに向かう吸引力が作用する範囲内に位置するようにしている。
なお、上記ボルト10を緩めることによって、上記柱部材10を長孔13aの範囲で移動させることができ、締めることによってその位置を保つことができる。上記長孔13a及びボルト10がこの発明の位置調整機構を構成している。
【0030】
このような構成にした第2実施形態の保持具でも、本体の外方においてパッド12の位置を調整できる。
そして、この第2実施形態の保持具においても、上記第1実施形態と同様にして、保持面1aが吸引力でワークWを保持できるが、このとき、上記ワークWが、本体の外周から外方に突出する大きさであっても、パッド12がワークWの外周近傍に位置するように調整することができる。
【0031】
上記のように、第2実施形態の保持具では、保持面1aを大きくしなくても、保持面1aとワークWとの間隔を保つためのパッド12がワークWの内側に接触しないようにすることができる。
そして、上記支持円盤13及び柱部材11からなる支持部材は、上記保持面1aよりも加工精度を必要とせず、低コストで形成できる。そのため、上記支持片8及び柱部材11を備えたこの第1実施形態の保持具は、保持面1aの大きさをワークWの大きさに合わせた保持具と比べて低コストで製造できる。
【0032】
なお、この第2実施形態では、上記支持円盤13をプレート部材1にビス9によって取り付けているが、支持円盤13の取り付け手段はこれに限らず、接着などでもかまわない。また、上記支持円盤13をプレート部材1の側面に取り付けるようにしてもよい。あるいは、上記プレート部材1と支持円盤13とを一体に形成してもよい。
さらに、この第2実施形態では、上記長孔13aおよびボルト10によってこの発明の位置調整機構を構成しているが、この位置調整機構は必須ではない。例えば、支持円盤13と柱部材11とを一体的に形成することもできる。
【0033】
また、この第2実施形態の保持具では、支持円盤13がワークWと対向し、ワークWの表面をほとんど覆うようにしている。そのため、上記支持円盤13が風よけ機能を発揮し、上記保持面1aでワークWを保持した状態で本体を矢印x1方向へ移動したときに発生する矢印x2方向の風圧を遮ることができる。このように支持円盤13が風よけとして機能し、矢印x2方向の風圧をワークWに直接作用させなければ、上記風圧によってワークWが保持面1aから脱落することを防止することができる。
このように、パッド12の支持機構が風よけ機能を備え、風圧によるワークWの脱落を防止できれば、風よけ機能を備えていない場合と比べて、保持面1a近傍の吸着力を小さくすることもできる。吸引力を小さくすれば、その分、流体の消費量や騒音を抑えることができる。
【0034】
図5に示す第3実施形態は、支持手段が位置調整手段を備えていない点が上記第2実施形態と異なるが、その他の機能は第2実施形態と同じである。
また、この第3実施形態においても、プレート部材1及びノズル部材3からなる本体の構成は上記他の実施形態と同じであり、上記実施形態と同じ構成要素には同じ符号を用いることとし、各要素についての説明は省略する。
【0035】
この第3実施形態は、プレート部材1の表面1bにビス9によって取り付けた支持円盤14とこの支持円盤14上に起立させて設けた複数の柱部材15とによってこの発明の支持部材を構成している。そして、柱部材15の先端面を保持面1aとほぼ同レベルにするとともに、この端面にパッド12を設けている。
なお、上記支持円盤14の中央には開口14aを設け、プレート部材1に形成した供給通路6を塞がないようにしている。
【0036】
このようにした第3実施形態の保持具においても、高速流による負圧に基づく吸引力でワークWを保持するとき、ワークWはパッド12に接触するが、図5に示すように、本体の外方に突出しているワークWに対してパッド12が接触する位置は、ワークWの内側ではなく外周近傍になる。
しかも、この第3実施形態の支持部材は、支持円盤14が本体からはみ出したワークWに対向しているので、保持具を矢印x1方向に移動する際の矢印x2方向の風圧を上記円盤部14が遮り、上記風圧がワークWに直接作用することを防止できる。つまり、第3実施形態の支持部材は風よけ機能を備え、これによって保持搬送中のワークWが風圧によって脱落することを防止できる。
【0037】
また、この第3実施形態のようにパッドの位置調整手段を備えていなくても、上記支持円盤14をプレート部材1などの本体に対して着脱自在に設けるようにすれば、支持円盤14を大きさの異なるものに交換することによって、異なる大きさのワークWに対応することもできる。例えば、より大きな支持円盤に交換すれば、さらに大きなワークWを保持するときにも、パッド12がワークWの内側に接触しないようにすることができる。
但し、上記パッド12を設けた柱部材15は支持円盤の外周近傍に設ける必要がある。
【0038】
上記第1〜第3実施形態では、本体の外方に突出させた支持部材にパッド12を設けるようにしたので、本体の大きさに関わりなく、パッド12の位置をワークWの外周付近に設定することができる。そして、上記支持部材は、本体を形成するよりも加工が容易で、様々な寸法のものを用意したとしても、製造コストを抑えることができる。
なお、上記実施形態では、この発明の支持部材を、プレート部材1の表面1bに取り付けた板状の支持片8、支持円盤13、あるいは支持円盤14と、柱部材11あるいは柱部材15とで構成しているが、この発明の支持部材は上記実施形態の構成に限らない。
要するに、パッド12を本体の外方であってワークWに対応させた位置にパッドを保持できるものならどのような形状でもかまわない。そして、パッドと支持部材とを一体的に形成してもよい。例えば、上記柱部材11をパッドに適した材質で形成することもできる。
【0039】
また、支持部材のプレート部材1への取り付け方法や、取り付け位置も、上記実施形態のものに限らない。例えば、支持部材を接着によって取り付けたり、支持部材をプレート部材1の側面に取り付けたりしてもよい。あるいは、上記プレート部材1と支持部材とを一体に形成してもよい。
【0040】
さらに、上記パッド12の数はいくつでも良いし、その配置も限定されない。
但し、ワークWの外周に沿って等間隔で接触するようにパッド12を配置した方が、保持面1aに対してワークWが傾かずにその距離を一定に保ち易い。
また、パッド12の数は多い方がワークWの傾きを少なくできる。しかし、パッド12が多くなりすぎると、ワークWを保持したとき、流体の噴出経路が遮られて必要な流量を流せなくなり、負圧を形成できなくなってしまったり、流体圧でワークWを引き離してしまったりするという問題も発生する。従って、パッド12の数や配置は他の条件に応じて最適なものを選択するようにする。
【0041】
また、この発明の保持具における本体の構成は、上記実施形態の構成に限らない。
例えば、プレート部材1とノズル部材3とを別部材にせずに、一体化したものでも良いし、ノズル部材3の構造が異なるものでもよい。さらに、高速流体が噴出する上記絞り噴出口5に替えてスリットを採用しても良い。
要するに流体のベルヌーイの原理を利用して保持面側でワークWを保持できる構成ならどのようなものでも、この発明の本体として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
特に、内側にパッドが接触することを嫌うワークを保持搬送する分野に適している。
【符号の説明】
【0043】
1 (本体を構成する)プレート部材
3 (本体を構成する)ノズル部材
8 支持片
8a 長孔
10 ボルト
11 柱部材
12 パッド
13 支持円盤
13a 長孔
14 支持円盤
15 柱部材
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルヌーイの原理を利用して本体に設けた保持面にワークを保持する保持具において、上記本体から外方に突出させた支持部材を設け、この支持部材には、ワークに接触して上記保持面とワークとの間隔を保持するための複数のパッドを設けた保持具。
【請求項2】
上記支持部材には、パッドを移動可能にする位置調整機構を設け、パッドの移動位置において当該パッドの先端と保持面との間隔を一定に保つ構成にした請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
上記支持部材は、その全部あるいは一部が、保持面に保持されたワークと対向する位置関係を保ち、この支持部材に風よけ機能を持たせた請求項1または2記載の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−737(P2012−737A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139772(P2010−139772)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(592189701)日本空圧システム株式会社 (17)
【Fターム(参考)】