説明

保持器を備えた直動案内ユニット

【課題】 この発明による直動案内ユニットに組み込まれた保持器は,爪部自体が成形時に変形や損傷を受け難く,十分な潤滑剤を保留でき,爪部がローラ転動面を的確に安定して保持すると共に,ローラ端面を案内できる。
【解決手段】 保持器20は,ローラ5を包持する保持部25とそれ同士を一体に連結する連結鍔部24から成る。保持部25は,ローラ5を保持する一方側の爪部31と他方側の爪部32を備え,爪部31と爪部32とは保持部25の長手方向に異なる位置に形成され,他の位置に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28,29が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,長尺な軌道レール,該軌道レール上を保持器で保持された転動体であるローラを介して相対移動するスライダから構成されている保持器を備えた直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットとしては,ローラ形式の製品が多く使用されるようになり,特に,高精度,高剛性,高速摺動,高加減速摺動,低騒音等の性能が益々要求されるようになっている。従来の直動案内ユニットとしては,保持器によって転動体を包み込む構造を有するものが提供されている。また,直動案内ユニットとしては,転動体間にセパレータを挿入した構造のものが提供されている。
【0003】
また,リニアガイドとして,転動体であるローラをその一部が露出させて回転自在に収容する合成樹脂製の保持器,ローラの循環路を有するガイド本体,及び複数のローラを介してガイド本体を支持するガイドレールを具備したものが知られている。該リニアガイドにおいて,保持器は,ドーナツ状に形成され,保持器同士が循環路内で互いに接触する部分の断面が円弧状に形成され,各保持器内に収容され,隣接するローラの相互の中心距離が循環路内で常に一定であり,しかも各保持器の外側には嵌入部が形成され,ガイド本体には保持器の嵌入部と係合して転動体を支持案内する凹部が形成されている。嵌入部は,保持器のローラの露出方向幅の中央部に形成されている(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,転動体用保持器として,ガイド本体を走行する転動体の回転接触面を露出して包持し,ガイド本体の循環路に連続して配置される合成樹脂製のものが知られている。該転動体用保持器は,ローラの一部が露出した合成樹脂製であり,前部において上下方向ほぼ中間部位に凸部が形成され,後部において凸部に対応して形成され,転動体の後面を露出する包持部の一部が溝状に切除された切除部が形成されている。凸部は,隣り合う切除部内を通して転動体の後面に当接するように構成され,また,保持器の左右両側面にガイド溝と嵌合する突起が形成されている。上記保持器は,ローラを成形機の金型内にインサートして合成樹脂を射出成形して製作され,転動体同士の衝突を防止して,衝突音を小さくすると共に,転動体の摩耗を少なくし,円滑な作動をなし,更に,ガイド本体の循環路へ配置されるべき転動体の数を増加できるものになっている(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,転がり案内支承機構として,平らなレース面を有する部品を長手方向に往復運動可能に支承するものが知られている。該転がり案内支承機構において,転動体は順次に続く2つずつ1個の共通の剛性的な保持部材によって保持されている。保持部材は,金属薄板から構成されており,転動体の外周面に合わせて湾曲した2つの保持湾曲部と,これらの保持湾曲部と両方の転動体の間に位置しているウェブ状の柱とによって,両方の転動体を軸平行状態で案内すると共に,転動体が保持部材から脱落するのを確実に阻止した構造になっている。また,保持部材は,転動体の端面を越えて軸方向に突出してU字形に屈曲した案内部を備えている。更に,案内部は,循環路の両側面に形成されているみぞ内に係合して滑動するように構成されている(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,ローラチェーンとして,軌道軸と該軌道軸に移動自在に設けられた移動部材とを備えた直線運動案内装置において,移動部材の無限循環路に装着して用いられるものが知られている。該ローラチェーンは,全体として有端帯状であり,有端帯状のままで移動部材の無限循環路に装着され,多数のローラ,ローラ間に介在される間座部,及び間座部間を連結する可撓性の連結ベルト部とを備え,連結ベルト部は,間座部と一体成形され,各ローラ外周をローラ前後の間座部に対して摺動自在に接触させ,間座部によって各ローラを互いに平行に整列させたものである(例えば,特許文献4参照)。
【特許文献1】実開昭63−69816号公報(第1,4頁,第1,5,10図参照)
【特許文献2】実開昭63−123824号公報(第1〜5頁,第2,21〜25図参照)
【特許文献3】特開昭50−130952号公報(第1〜3頁,Fig,1〜3参照)
【特許文献4】特許第3343195号公報(第1,3頁,図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,上記のリニアガイドでは,外側部に嵌入部が形成されており,ローラを成形機の金型内にインサートして合成樹脂を射出成形して製作されている。上記保持器は,リニアガイドにおいて,ローラ同士の衝突を防止して,衝突音を小さくすると共に,ローラの摩耗が少なく円滑な作動をなし得るものであるが,しかしながら,ローラの端面まで覆うように形成されているので,ローラの転動面の大きさの割には循環路の通路孔が大きなものになり,リニアガイドそのものが大形なものになってしまい,コンパクトに欠けるものであった。また,上記保持器は,近年,要求される高速,高加減速な摺動条件について,インサートによる成形によるために,ローラと保持器との隙間が小さくなり,潤滑剤の給油不足がちになってしまい,また,軌道路において,保持器同士が外周の円周凸部同士で接触するため,ローラ間のピッチが長く,ローラの露出した長さも短くなり,リニアガイドの剛性が小さなものになっている。
【0008】
また,上記の転動体用保持器は,ローラの端面まで覆うように形成されているので,ローラの転動面の大きさの割には循環路の通路孔が大きなものになり,直動案内ユニットが大形なものになってしまい,コンパクトに欠けるものであった。また,上記保持器は,前後の凸部及び切除部を形成しなければならないので,保持器自体が複雑な構造になり,射出成形型も複雑になってしまい,ローラ径が小さいものでは製作が難しいものであった。更に,上記保持器は,ローラのインサートによる成形によると,ローラと保持器との隙間が小さいので,近年要求される高速,高加減速な摺動条件について,潤滑剤の給油不足ぎみになってしまうという問題があった。
【0009】
また,上記の転がり案内支承機構において,上記保持部材は,案内部がU字形に屈曲して形成されているので,循環路の溝を大きく形成しなければならなく,そのため直動案内ユニットが大形なものになってしまい,コンパクトに欠けるものであった。また,上記保持部材は,保持部材自体が複雑な構造であり,射出成形型も複雑になってしまい,しかも剛性的な構造になっているので,小さく湾曲した方向転換路での保持部材の移動がむずかしい構成になっていた。
【0010】
また,上記ローラチェーンは,間座部と連結ベルト部とをチェーン状に一体成形した樹脂成形体であり,ローラを連鎖させた状態で保持したものであり,間座間のローラ保持部にローラを装着するには,ローラチェーン自体をローラと一体成形するか,或いは,成形後にローラ保持部にローラを装着するかである。ローラチェーンの成形後に,ローラ保持部にローラを装着する場合には,ローラチェーンの成形時に,ローラが挿入される窓部を成形しなければならないが,成形型の中子部を窓部から引き抜く場合には,成形型を複雑な組合せ構造に形成しなければ,ローラ保持部が干渉して中子が取り出せないことになる。或いは,成形時にローラを保持するローラ保持部を無理に変形させて中子を引き抜く必要があり,そのため,ローラチェーン自体が変形された成形体になったり,損傷した状態になり,また,中子を無理に引き抜く場合には,成形型の寿命が短いものになるという問題があった。また,チェーン状保持器では,スライダが高速で往復運動を行うのに追従して高速で往復運動するものであり,屈曲―引張―圧縮の繰り返し応力を激しく受けることになり,切断しやすいものであった。また,チェーン状保持器は,柔軟に可撓可能な樹脂材料で形成されるが,水,油等を吸収して膨潤しやすく,切断しやすいものであった。
【0011】
上記のことより,直動案内ユニットとしては,保持器がスライダの無限循環路に組み入れられるとしても,直動案内ユニット自体が高剛性であること,スライダが相対高速摺動,相対高加減速な摺動に耐えられること,保持器が潤滑油を保留可能であること,更に,ローラの姿勢を傾き無く整然と案内すること等が必要条件として求められる。即ち,
1.高剛性を実現させるには,軌道路において,負荷を受けるローラが数多く装填され,負荷面即ちローラ接触長さが長いこと等が求められる。
2.高速摺動及び高加減速な摺動に耐えるには,保持器に無理な力が作用せずに,保持器自身が強固な構造を有していること等が求められる。
3.転動体がボールに比較してローラの場合には,循環路の潤滑剤を排除してしまう構造であるので,ボールの場合よりも潤滑剤を循環路に保留し,また,保持器自身にも保留する部分を備えていること等が求められる。
4.ローラの転動面を案内するだけでなく,ローラの端面を摺接案内することが求められている。
【0012】
この発明の目的は,上記の4つの条件を満たすことができるものであり,保持器の爪部自体が成形時に中子の引き抜き等で変形や損傷を受けない構造を有し,保持部の爪部がローラの転動面を的確に且つ安定して保持すると共に,保持器が潤滑剤を十分に保留でき,しかも成形型をシンプルにして保持器を高精度に容易に成形可能にし,また,ローラの転動時にローラによる保持器への無理な力が作用せず,ローラが保持部で制約されずにスムーズに高速に転動でき,軌道路においてスライダに設けた保持板で保持器を保持するにあたってローラの負荷面長さが長く確保され,更に,保持器の形状によってローラを多く保持できることを特徴とする保持器を備えた直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は,長手方向に延びる軌道面を備えた軌道レールと,前記軌道面に対向する軌道面を備え且つ前記軌道レールに対して前記軌道面間に組み込まれた転動体であるローラを介して相対摺動自在なスライダとから成る直動案内ユニットにおいて,
前記ローラを回転自在に保持する少なくとも1個毎の保持器を有し,前記保持器は,前記ローラの転動面を両側から包持する板状の保持部と前記ローラのそれぞれの端面側に突出して前記保持部同士を一体構造に連結する板状の連結鍔部とを有し,前記保持部は,前記ローラの一方側を保持する少なくとも1つの第1爪部と前記ローラの他方側を保持する少なくとも1つの第2爪部とを備え,前記第1爪部と前記第2爪部とは前記保持部の長手方向において異なった位置に形成されていることを特徴とする保持器を備えた直動案内ユニットに関する。
【0014】
前記連結鍔部は,前記ローラの直径の1/3以下の肉厚に形成されている。また,前記保持器の両端は,前記保持器同士が接触して整列される平面でなる平面部が形成されている。更に,前記保持器の前記連結鍔部は,前記ローラが循環する循環路に形成された案内溝に嵌入して案内保持される。
【0015】
この直動案内ユニットにおける前記保持器は,前記第1爪部の互いに対向する爪間長さが前記第2爪部の互いに対向する爪間長さよりも小さく形成され,前記第1爪部は前記軌道レール側に沿って移動するように構成されている。また,前記第1爪部は前記ローラの両端側を保持するように2ヶ所に形成され,前記第2爪部は前記2ヶ所に対向した間になる中央に1ヶ所に形成されている。
【0016】
前記保持器の前記保持部は,前記第1爪部に対向する前記第2爪部側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部が形成され,且つ前記第2爪部に対向する前記第1爪部側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部が形成されている。
【0017】
前記保持器の前記連結鍔部は,前記ローラが循環する循環路に形成された案内溝に嵌入して案内保持され,前記ローラの中心より偏倚した位置に形成されている。また,前記保持器の前記保持部は,前記第2爪部を形成する内側の曲率半径が前記第1爪部を形成する内側の曲率半径よりも大きく形成されている。
【0018】
前記保持器は,複数の前記ローラを回転自在に保持し,前記連結鍔部は,可撓可能に形成されている。また,前記保持器は,複数の前記ローラを回転自在に保持し,前記連結鍔部は,前記複数のローラに渡って湾曲した湾曲部に形成されて可撓可能に形成されている。
【0019】
この直動案内ユニットにおいて,前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道面と前記スライダの前記軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,及び前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップを有し,前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路に複数の前記ローラを保持した前記保持器が循環するものである。
【0020】
前記保持器の前記保持部は,前記第1爪部が前記循環路の外側を移動し,前記第2爪部が前記循環路の内側を移動し,前記第2爪部と前記ローラの転動面との間にはすき間が形成される状態になっており,前記保持器が前記方向転換路をスムーズに移動できるものである。
【0021】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記リターン路は,前記ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿された長手状でなるパイプの矩形状でなる通し孔に形成され,前記パイプは,長手方向に沿って外周から前記リターン路に通じる凹欠部が形成されたパイプ本体と,前記凹欠部に嵌め合わされて前記リターン路に面するリターン路面が形成された長手状でなる成形体であって潤滑剤を含浸可能な多孔質部材とから構成されている。また,前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質部材は焼結樹脂から形成されている。
【0022】
前記保持器は,前記軌道路において前記スライダに設けた複数の保持板によって前記保持器の前記連結鍔部が支持されて移動するものである。また,前記ローラは,前記軌道路にあって一方の端面が前記スライダのケーシングの案内面に摺接案内される。
【0023】
前記スライダに設けた前記保持板は,前記ケーシングにおいて上側に位置する保持板,中央に位置する保持板,及び下側に位置する保持板から成り,前記スライダのケーシングの前記軌道面と同時にそれぞれ前記ケーシングに形成された凹部又は段部に係着される。
【0024】
前記保持器を構成する前記保持部と前記連結鍔部は,樹脂成形によって製作され,前記保持部と前記連結鍔部とで形成される前記ローラを嵌入するポケットは複数に分割された成形型から製作される。
【発明の効果】
【0025】
この発明による保持器を備えた直動案内ユニットは,上記のように,ローラの一方側を保持する保持部の第1爪部とローラの他方側を保持する保持部の第2爪部とが,保持部の長手方向において異なった位置に形成されているので,ローラを両側から堅固に保持することができ,特に,例えば,上下からそれぞれ引き抜く少なくとも2個の成形型を用いて保持器を成形したとしても,保持器の成形時に,上下の成形型が保持部の第1爪部と第2爪部に干渉することなく,上下の成形型を引き抜くことができ,第1爪部と第2爪部とを損傷したり,成形型の無理な引く抜き力が保持器に負荷されず,保持器が変形することがなく,高精度で所望の形状の第1爪部と第2爪部を持つ保持器に成形することができる。また,保持部の第1爪部と第2爪部を設けた領域以外の部分である潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部が,上下の成形型を引き抜く際の型抜き部分として機能することは勿論のこと,製品の保持器において潤滑剤を保留する潤滑剤溜まり部分として機能し,スライダの繰り返しの往復運動においても十分な潤滑剤を軌道路に供給でき,潤滑剤切れが発生することがない。従って,この直動案内ユニットは,高精度,高剛性,高速摺動,高加減速な摺動,低騒音等の性能に良好に対応できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この発明による直動案内ユニットは,転動体であるローラ5を保持する保持器20を備えており,保持器20が転動するローラ5間の接触を防止してローラ5を確実に安定して保持することによって,高精度,高剛性,高速摺動,高加減速な摺動,低騒音等の性能に適切に対応できることを特徴としている。この直動案内ユニットに組み込まれた保持器20は,無限循環路を持たない有限式直動案内ユニット等の種々のローラ形式の直動案内ユニットにおいて,ローラ5の保持に適用できるものであり,特に,軌道レール案内形式でローラ形式の直動案内ユニットにおいて最適なものである。従って,この発明による直動案内ユニットの実施例では,近年の軌道レール案内形式でローラ形式の直動案内ユニットについて適用した場合について説明する。
【0027】
図1〜図4に示すように,この実施例では,ローラ形の直動案内ユニットに組み込まれた保持器20が示されている。この直動案内ユニットは,両側面42に長手方向に延びるそれぞれ一対の軌道面11が形成された軌道レール1,軌道面11にそれぞれ対向して軌道面12が設けられた相対摺動自在なスライダ2,及び軌道面11,12間を転動する転動体でなる保持器20付きのローラ5から構成されている。スライダ2は,軌道レール1の軌道面11とスライダ2の軌道面12とで形成される上側と下側との負荷軌道路の軌道路34に平行に延びるリターン路10が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面35に取り付けられ且つ軌道路34とリターン路10とを連通する方向転換路30が形成されたエンドキャップ4,及びエンドキャップ4の端面に取り付けられたエンドシール15を有している。エンドキャップ4及びエンドシール15は,ケーシング3にボルト56で固定されている。軌道レール1には,ベース,機器等に固定するための取付け用孔17が形成され,また,ケーシング3には,スライダ2に機器等の部品を固定するための取付け用ねじ孔18が形成されている。また,エンドキャップ4には,潤滑剤の供給のため油穴やグリースニップル43が設けられている。
【0028】
この直動案内ユニットでは,複数のローラ5は,少なくとも1つ以上の保持器20に保持され,上側と下側との軌道路34,上側と下側とのリターン路10及び上側と下側とが交差する一対の方向転換路30で構成される一対の循環路52を循環するように構成されている。この直動案内ユニットは,ケーシング3に形成された嵌挿孔9に長手状でなるパイプ6が嵌挿され,パイプ6の内部になる通し孔がリターン路10を形成している。パイプ6は,断面で見て円形の外形に形成され,パイプ6の通し孔は,ローラ5を転走させるために略矩形状孔に形成されている。パイプ6の通し孔で形成されるリターン路10は,ローラ5及び保持器20が通過可能に僅かに大きなサイズの四角孔に形成されている。
パイプ6は,例えば,長手方向に沿って外周からリターン路10に通じる凹欠部54が形成されたパイプ本体7と,凹欠部54に嵌め合わされて長手状でなる成形体であって潤滑剤を含浸可能な多孔質部材8とから構成されている。パイプ本体7と多孔質部材8とには,ローラ5の転動面39が転走するためのリターン路面55が形成されている。パイプ本体7は,ローラ5を長期間にわたり整然と循環案内できるように剛性を有する合成樹脂から形成されている。多孔質部材8は,潤滑剤を吸収,保持及び供給可能な多孔質構造でなる焼結樹脂から形成されている。更に,パイプ本体7には,リターン路10において保持器20の連結鍔部24を案内するため,長手方向に延びる案内溝53が形成されている。
【0029】
この直動案内ユニットは,上側の軌道路34を転動するローラ5が下側のリターン路10へ循環し,下側の軌道路34を転動するローラ5が上側のリターン路10へ循環してなる一対の循環路52(図10)が方向転換路30で互いにたすき掛け状に直交状態に構成されたスライダ2が軌道レール1に沿って相対摺動自在である4条列の直動案内ユニットに構成されている。即ち,循環路52は,負荷軌道路34,ケーシング3に形成されたリターン路10,及びエンドキャップ4に形成された方向転換路30から構成されている。スライダ2には,保持板13,21,22が取り付けられ,保持板13,21はケーシング3に形成された凹部26,46に係着され,保持板22は段部23に係着されている。上側に位置する保持板21は,ケーシング3の袖部16に形成された上側の軌道面12に隣接してケーシング3の凹部26に係着してスライダ2に取り付けられている。中央に位置する保持板13は,ケーシング3の軌道面12間に形成された凹部46に係着して設置されてスライダ2に取り付けられている。また,下側に位置する保持板22は,ケーシング3の袖部16に形成された下側の軌道面12に隣接してケーシング3の段部23に設置されてスライダ2に取り付けられている。従って,保持板13,21,22は,ケーシング3にしっかりと係着し,保持器20を正確に案内保持できる構造に形成されている。保持器20は,上下の軌道路34において,上側の保持板21と中央の保持板13,及び中央の保持板13と下側の保持板22によってそれぞれ案内保持される。ケーシング3の凹部26,46及び段部23は,ケーシング3の軌道面12と同時に研削加工され,それぞれ高精度に形成されている。即ち,保持器20は,ローラ5を保持して,保持器20の連結鍔部25が軌道路34においてスライダ2に設けた保持板13,21,22によって支持されて転動するものである。
【0030】
次に,図4〜図10を参照して,この発明による直動案内ユニットに組み込まれた保持器20の一実施例を説明する。この直動案内ユニットは,特に,ローラ5を回転自在に保持する少なくとも1個毎の保持器20を有している。保持器20は,長手方向に摺動自在な直動案内ユニットの循環路52に組み込まれ,複数のローラ5をポケット36に回転自在に保持するものであり,特に,一つのローラ5の転動面39を両側から包持する一対の板状の保持部25,及びローラ5のそれぞれの端面40側に突出して保持部25同士を一体構造に連結する一対の板状の連結鍔部24から形成されている。保持部25は,ローラ5の一方側を保持する少なくとも1つ(図5では2つ)の爪部31(第1爪部),及びローラ5の他方側を保持する少なくとも1つ(図5では1つ)の爪部32(第2爪部)を備えている。爪部31と爪部32とは,保持部25の長手方向において異なった位置に形成され,それ以外の位置には潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28,29が形成されている。この実施例では,保持器20の保持部25には,爪部31がローラ5の転動面39の長手方向両端側を保持するように2ヶ所に形成され,爪部32が爪部31の2ヶ所に対向した間になる中央に1ヶ所に形成されている。また,保持器20の保持部25には,爪部31に対向する爪部32側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部29が形成され,爪部32に対向する爪部31側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28が形成されている。保持器20を構成する保持部25と連結鍔部24は,樹脂成形によって製作されている。保持部25と連結鍔部24とで形成されるローラ5を嵌入するポケット36は,複数に分割された成形型から製作される。保持器20を成形するため,例えば,シンプルな上型と下型から構成された成形型を用いた場合に,これらの型を引き抜く際に,潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28,29を通じて上型は上方へ且つ下型は下方へ爪部31,32を成形した型部分を引き抜くことができ,成形型によって爪部31,32に何らの引き抜き力が掛かることがなく,爪部31,32は,変形や損傷を発生することなく高精度に所望の形状に成形される。
【0031】
ローラ5は,軌道路34において一方の端面40がケーシング3に設けられた案内面48Cで摺接案内される。具体的には,ローラ5は,上側の軌道路34において,保持板13の案内面47と保持板21の案内面48及びケーシング3の案内面48Cとで摺接案内される。ローラ5は,下側の軌道路34において,保持板13の案内面47と保持板22の案内面49及びケーシング3の案内面49Cとで摺接案内される。図3に示すように,ローラ5は,保持器20に保持されている。一方の保持器20は,上側の軌道路34において,保持器20の一側の連結鍔部24が保持板13の案内溝19に嵌入して保持され,他側の連結鍔部24が保持板21とケーシング3の凹部26とで形成された案内溝27に嵌入して保持されている。また,他方の保持器20は,下側の軌道路34において,保持器20の一側の連結鍔部24が保持板13の案内溝19に嵌入して保持され,他側の連結鍔部24が保持板22とケーシング3の段部51とで形成された案内溝50に嵌入して保持されている。従って,保持器20は,軌道路34において,ローラ5の転動面39の全面を軌道路11,12に接触させた状態に転動でき,言い換えれば,ローラ負荷長さを長くすることが可能になり,ローラ5が軌道面11,12と接触するローラ接触長さを大きくすることができる。
【0032】
また,保持器20は,保持部25と連結鍔部24とで囲まれたポケット36にローラ5を保持部25で回転自在に保持するものであり,その際に循環路52において連結鍔部24は可撓可能になるように形成されている。連結鍔部24は,ローラ5の端面40を可能な限り露出して,ローラ5が軌道部の案内面47〜49,48C,49Cと当接してスキューなく案内されるように構成したものであり,一対の保持部25をしっかりと結合するものになっている。連結鍔部24は,ローラ5の直径の1/3以下の肉厚の板状に形成されている。保持器20を構成する保持部25の両端面は保持器20同士が接触して整列可能になるように平面でなる平面部33に形成されている。対向する保持部25は,平面部33間の長さが保持器長さLに形成され,保持部25の前後面を平面部33に形成することによって保持器長さLを可及的に短く構成することができ,従って,図10に示されるように,無限軌道路52において,ローラ5間を可能な限り小さくすることができ,負荷を受けるローラ5の数を多く装填することができる構造に構成されている。ケーシング3に形成された案内面48C,49Cは,軌道面12と同時研削加工され形成され,高精度なものになっている。また,ローラ5は,ローラ直径を大きく形成することができ,従来のローラよりも高剛性に構成することができる。
【0033】
保持器20の連結鍔部24は,図2,図3及び図10に示すように,ローラ5が循環する循環路52に形成された案内溝に嵌入して案内保持されるものである。案内溝は,ケーシング3に取り付けられた保持板13,21,22に形成された案内溝19,27,49,ケーシング3のリターン路10に形成された案内溝19,及びエンドキャップ4の方向転換路30に形成された案内溝37から構成されている。また,保持器20の保持部25は,図4,図8及び図9に示されるように,ローラ5の軸方向から見て,ローラ5の外周面に沿って湾曲状に形成され,保持部25の先端部分が爪部31,32に形成されており,ローラ5の一方側(上部側)を保持する爪部31(第1爪部)及びローラ5の他側(下部側)を保持する爪部32(第2爪部)から構成されている。保持部25の幅Ebは,ローラ5の転動面39の幅より小さく形成され,また,保持部の高さEhは,ローラ5の径より小さく形成されている。
【0034】
保持器20について,爪部31の爪幅T1bと爪部32の爪幅T2bとは,同一又は異なるサイズに形成することができる。この場合に,爪部31の爪幅T1bは潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部29の幅よりも小さいサイズに形成され,爪部32の爪幅T2bは潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28の幅よりも小さいサイズに形成され,それによって成形型の引き抜きが爪部31,32に干渉することなくスムーズに達成できる。保持器20は,保持器20のみを樹脂成形して製作した成形品に,後からローラ5を嵌入するものになっている。従って,保持器20の樹脂成形において,ローラ5が嵌入する部分であるポケット36の中子型が,例えば,複数である3つの部分に分解されて複数型になっている場合には,3つの内の両側部分の2つ(一対の第1中子型)が,例えば,下側に引き抜かれ,3つの内の中央部分の一つ(一つの第2中子型)が,例えば,上側に引き抜かれて成形されるように構成することができる。従って,保持器20は,ローラ5が嵌入する部分を(中子型が)無理抜きすること無く,成形加工可能になっている。それ故に,保持器20は,複数型によりそれぞれの爪部31,32を理想形に形成することが可能になっている。
【0035】
この直動案内ユニットは,上記のように構成されており,保持器20の第1の特徴としては,爪部31に対向する爪部32側の両側に中子型の潤滑剤溜まり・型抜き潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28が形成され,爪部32に対向する一対の爪部31側の間に中子型の潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部29が形成される結果,これらの潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28,29に潤滑剤を保留することが可能になる。また,保持器20の第2の特徴としては,図8及び図9に示すように,爪部31,32の内側を形成することになる中子型の外側曲面の曲率半径をそれぞれ異にできるので,爪部31を形成する内側の曲率半径をR1に形成され,及び爪部32を形成する内側の曲率半径をR2に形成されている。また,潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28,29の対向面間はポケット長さPwに形成されている。ポケット長さPwはローラ5の径より僅かに大きく形成され,また,爪部31,32の爪間長さW1,W2はローラ5の径より僅かに小さく形成され,ローラ5は爪部31,32に保持されて保持部25から脱落することがない。爪部31の曲率半径R1は,ローラ5を回転自在に保持可能な最小の大きさになっており,ローラ半径よりも僅かに大きくなっている。また,爪部32の曲率半径R2は,爪部32が弾性変形可能になるようにローラ5とすき間38を有する大きさに形成されている。従って,爪部31と爪部32とは,曲率半径がR1<R2の関係に形成されている。爪部31と爪部32との曲率半径の関係である上記R1<R2の構成と合わせて,爪部31の互いに対向する爪間長さW1は,爪部32の互いに対向する爪間長さW2よりも小さいものであり,ローラ5を保持できる寸法になっている。
【0036】
図10に示すように,保持器20は,保持部25に設けた爪部31が循環路52の外側を転走し,爪部32が循環路52の内側を転走するように,直動案内ユニットに装填されている。また,爪部32は,爪部31に比較して長く形成されて柔軟性を有し,爪部32とローラ5の転動面39との間にはすき間38が存在している。保持器20は,上記の構成を有することによって,ローラ5が保持器20の一方側でなる爪部31側からローラ5が脱落しにくいものになり,爪部32側からローラ5を嵌入し易く,更に,爪部32が中央部に一つ形成されているので,ローラ5を嵌入し易いものになっている。また,図10に示すように,爪部31側は,循環路52の外周側に配設され,爪部32側が循環路52の内周側に配設され,スライダ2を軌道レール1から分離した時でもスライダ2の負荷軌道路34側からローラ5の脱落がしないことは勿論のこと,方向転換路30において,保持器20同士が当接するときに,爪部32側が接触することになるが,その時に爪部32はローラ5とすき間38を有して可撓可能になっているので,方向転換30による移動変化を吸収して,保持器付きローラ5の滑らかな循環を実現することができる。また,保持器20の連結鍔部24は,ローラ5が循環する循環路52に形成された案内溝19,27,37,53に嵌入して案内保持され,これらの案内溝がローラ5の中心Oより偏倚した位置に形成されている。案内溝19,27,37,53は,循環路52の外周側に偏倚しているので,方向転換路30で方向転換し易い構造に構成されている。しかも保持器20の連結鍔部24を案内する案内溝37,53は,図10に示すように,方向転換路30及び方向転換路30にかかる部分は,溝幅が広く形成され,連結鍔部24が滑らかに案内されるように形成されている。
【0037】
次に,図11〜図17を参照して,この発明による保持器を備えた直動案内ユニットの別の実施例を説明する。この直動案内ユニットに組み込まれた保持器20Aは,複数のローラ5を保持することができるタイプに形成されている以外は,上記の保持器20と同様に機能を有しているので,対応する部分には同一の符号に添字Aを加えた符号で示し,ここでは重複する部分,即ち,保持部25A,連結鍔部24A,爪部31A,32A,潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28A,29A,前後保持部45に設けた平面部33A,ポケット36A,すき間38A等の説明については省略する。この実施例では,複数のうち2個のローラ5を保持するタイプが図示されており,2個の前後保持部45と1個の中間保持部44から構成されているが,3個以上のローラ5を保持するように構成することができ,その時には,保持するローラ5に対応して中間保持部44の数を増加させることになる。この実施例では,保持器20Aは,2つのローラ5を回転自在に保持し,連結鍔部24Aは可撓可能に形成され、更に2つのローラ5に渡って爪部31A側に偏倚して湾曲した湾曲部41に形成されている。従って,図17に示すように,方向転換路30において連結鍔部24Aが可撓して,保持器付きローラ5は,循環路52に複数に配設されても滑らかに循環するできるようになっている。更に,連結鍔部24Aの湾曲部41が循環路52の外周側に配設されることになるので,方向転換路30の曲率半径が小さいものであっても保持器付きローラ5は滑らかに循環することができる。
【0038】
また,保持器20Aは,ローラ5間に中間部44の両側において保持部25Aが形成され,ローラ5同士の接触ができない構造に形成されている。中間部44の保持部25Aは,図11,図15及び図16に示すように,ローラ5の軸方向から見て,隣合うローラ5をそれぞれ包持するように中間部44の両側が凹状に形成され,また,爪部31A及び爪部32Aが両側に形成される。また,潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部28A,29Aも同様に中間部44の両側に形成されている。直動案内ユニットの循環路52は,上記実施例の保持器20に適用された循環路52と同一になっている。この保持器を備えた直動案内ユニットは,上記の構成により,保持器20Aにより,ローラ5同士の金属接触が無く,低騒音になり,ローラ5の摩耗も少なくでき,従来のローラ形式の直動案内ユニットに比較して,高精度,高剛性でなり,高速摺動,高加減速な摺動にも大きな作用力が保持器20Aに作用しない直動案内ユニットを実現可能にし,更に,メンテナンスフリーを実現可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
・この直動案内ユニットは,半導体製造装置,各種組立装置,精密機械,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン,工作機械等の各種の装置の摺動部に組み込まれて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明による保持器を備えた直動案内ユニットについて断面部分を含んで示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内ユニットをA−A平面で断面した半分部分を示す横断面図である。
【図3】図2に示すF部分の拡大断面図である。
【図4】図1の直動案内ユニットに組み込まれた保持器の一実施例を示す正面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4の平面図である。
【図7】図4の下面図である。
【図8】図5のB−B断面の断面図である。
【図9】図5のC−C断面の断面図である。
【図10】この発明による直動案内ユニットに図4〜図9に示す保持器を循環路に組み込んだ状況を示す部分的な状態図である。
【図11】図1の直動案内ユニットに組み込まれた保持器の別の実施例を示す正面図である。
【図12】図11の側面図である。
【図13】図11の平面図である。
【図14】図11の下面図である。
【図15】図12のD−D断面の断面図である。
【図16】図12のE−E断面の断面図である。
【図17】この発明による直動案内ユニットに図11〜図16に示す保持器を循環路に組み込んだ状況を示す部分的な状態図である。
【符号の説明】
【0041】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ローラ
6 パイプ
7 パイプ本体
8 多孔質部材
9 嵌挿孔
10 リターン路
11,12 軌道面
13,21,22 保持板
19,27,37,50,53 案内溝
20,20A 保持器
23,51 段部
24,24A 連結鍔部
25,25A 保持部
26,46 凹部
28,28A,29,29A 潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部
30 方向転換路
31,31A 爪部(第1爪部)
32,32A 爪部(第2爪部)
33,33A 平面部
34 軌道路
35,40 端面
36,36A ポケット
38,38A すき間
39 転動面
41 湾曲部
47,48,48C,49,49C 案内面
52 循環路
54 凹欠部
55 リターン路面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる軌道面を備えた軌道レールと,前記軌道面に対向する軌道面を備え且つ前記軌道レールに対して前記軌道面間に組み込まれた転動体であるローラを介して相対摺動自在なスライダとから成る直動案内ユニットにおいて,
前記ローラを回転自在に保持する少なくとも1個毎の保持器を有し,
前記保持器は,前記ローラの転動面を両側から包持する板状の保持部と前記ローラのそれぞれの端面側に突出して前記保持部同士を一体構造に連結する板状の連結鍔部とを有し,前記保持部は,前記ローラの一方側を保持する少なくとも1つの第1爪部と前記ローラの他方側を保持する少なくとも1つの第2爪部とを備え,前記第1爪部と前記第2爪部とは前記保持部の長手方向において異なった位置に形成されていることを特徴とする保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項2】
前記連結鍔部は,前記ローラの直径の1/3以下の肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項3】
前記保持器の両端は,前記保持器同士が接触して整列される平面でなる平面部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項4】
前記保持器の前記連結鍔部は,前記ローラが循環する循環路に形成された案内溝に嵌入して案内保持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項5】
前記第1爪部の互いに対向する爪間長さが前記第2爪部の互いに対向する爪間長さよりも小さく形成され,前記第1爪部は前記軌道レール側に沿って移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項6】
前記第1爪部は前記ローラの両端側を保持するように2ヶ所に形成され,前記第2爪部は前記2ヶ所に対向した間になる中央に1ヶ所に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項7】
前記保持器の前記保持部は,前記第1爪部に対向する前記第2爪部側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部が形成され,且つ前記第2爪部に対向する前記第1爪部側に潤滑剤溜まり・型抜き逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項8】
前記保持器の前記連結鍔部は,前記ローラが循環する循環路に形成された案内溝に嵌入して案内保持され,前記ローラの中心より偏倚した位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項9】
前記保持器の前記保持部は,前記第2爪部を形成する内側の曲率半径が前記第1爪部を形成する内側の曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項10】
前記保持器は,複数の前記ローラを回転自在に保持し,前記連結鍔部は,可撓可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項11】
前記保持器は,複数の前記ローラを回転自在に保持し,前記連結鍔部は,前記複数のローラに渡って湾曲した湾曲部に形成されて可撓可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項12】
前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道面と前記スライダの前記軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,及び前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップを有し,前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路に複数の前記ローラを保持した前記保持器が循環することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項13】
前記保持器の前記保持部は,前記第1爪部が前記循環路の外側を移動し,前記第2爪部が前記循環路の内側を移動し,前記第2爪部と前記ローラの転動面との間にはすき間が形成される状態であることを特徴とする請求項12に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項14】
前記リターン路は,前記ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿された長手状でなるパイプの矩形状でなる通し孔に形成され,前記パイプは,長手方向に沿って外周から前記リターン路に通じる凹欠部が形成されたパイプ本体と,前記凹欠部に嵌め合わされて前記リターン路に面するリターン路面が形成された長手状でなる成形体であって潤滑剤を含浸可能な多孔質部材とから構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項15】
前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質部材は焼結樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項16】
前記保持器は,前記軌道路において前記スライダに設けた複数の保持板によって前記保持器の前記連結鍔部が支持されて移動することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項17】
前記ローラは,前記軌道路にあって一方の端面が前記スライダのケーシングの案内面に摺接案内されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項18】
前記スライダに設けた前記保持板は,前記スライダのケーシングにおいて,上側に位置する保持板,中央に位置する保持板,及び下側に位置する保持板から成り,前記スライダのケーシングの前記軌道面と同時にそれぞれ前記ケーシングに形成された凹部又は段部に係着されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。
【請求項19】
前記保持器を構成する前記保持部と前記連結鍔部は,樹脂成形によって製作され,前記保持部と前記連結鍔部とで形成される前記ローラを嵌入するポケットは複数に分割された成形型から製作されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の保持器を備えた直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−161984(P2006−161984A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355708(P2004−355708)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】