説明

信号圧縮回路およびそれを用いたビデオカメラ処理装置

【課題】 折れ線方式の非線形処理回路を用いて、量子化精度の有効活用とチップサイズの縮小等を実現する。
【解決手段】 固体撮像素子11より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器14を用いてデジタル映像信号に変換し、信号処理部19で色信号と輝度信号について信号処理を行う場合に、輝度信号および色信号をA/D変換後のデジタル映像信号を圧縮した後、ラインメモリ18を用いて複数ラインのデジタル映像信号を得、このデジタル映像信号を伸張処理した後に、色成分を分離する。これにより、色信号処理系には伸張(復元)した映像信号を用いて色再現性の向上を図り、輝度信号処理系には伸張しない映像信号を用いてガンマ補正後の輝度信号から輪郭抽出した場合と等価な特性を得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固体撮像素子のアナログ信号出力をA/D変換器を用いてデジタル信号化して以降の処理を行う信号圧縮回路およびそれを用いたビデオカメラ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5を用いて、従来のデジタル信号処理によるビデオカメラを説明する。同図において、固体撮像素子501から読み出されたアナログ映像信号502は、まずCDS(相関二重サンプリング)と呼ばれるノイズ低減回路503に入力する。ノイズ低減回路503の出力は、GCA(ゲインコントロールアンプ)504を介して、A/D変換器505に供給する。
【0003】A/D変換器505により、アナログ/デジタル変換された映像信号は、フリッカ補正、レンズシェーディング補正等を行う前処理回路506に供給する。前処理回路506による量子化精度の悪化はなく、よって前処理回路506の出力のビット深みは、A/D変換器505の出力のビット深みと同じになる。
【0004】前処理回路506の出力は、AES(電子シャッタアイリス)とAGC(オートゲインコントロール)の組合せ制御を行う制御回路507に供給する。制御回路507は、入力信号を積算し被写体照度を検出して、A/D変換器505に入力される信号レベルが常に一定となるように、GCA504の利得を調整するAGC制御信号508を供給する。また、制御回路507は、電子シャッタのスピード(蓄積時間)を可変する制御信号509を出力する。制御信号509は、固体撮像素子501から映像信号を読み出すために必要な駆動パルス511を発生させるタイミング信号発生器510に入力し、電子シャッタスピードを可変する。
【0005】前処理回路506の出力は、同時に1H(水平)ライン分のラインメモリ512にも供給する。ラインメモリ512の出力は、前処理回路506の出力に比べて1H期間分の遅延している。ラインメモリ512の出力は、さらに1Hライン分のラインメモリ513に供給する。前処理回路506、ラインメモリ512,513からの出力は、その遅延量からそれぞれ0H信号、1H信号、2H信号と呼ばれ、以降の色信号処理・輝度信号処理に必要な複数ライン分の信号となる。
【0006】ここでの説明は、ラインメモリを2個用いた3ライン信号処理としているが、ラインメモリを1個用いた2ライン信号処理、4個用いた5ライン信号処理等もある。ラインメモリを多数用いると、信号処理精度が向上し、画質的に有利とされるが、同時に回路規模・チップコストも上がるので、一般的には2〜5ラインの信号処理で行う。
【0007】0H〜2H信号は、色分離・ホワイトバランス調整回路514を介して、R信号、G信号、B信号になる。このR,G,B信号は、それぞれ独立してガンマ(γ)補正と呼ばれる非線形処理回路515を介して、黒付近の伸張、白付近の圧縮を行う。
【0008】ガンマ補正後のR’,G’,B’の各信号は、続いてマスキング処理と呼ばれる色補正およびRGB信号を、Y,U,V信号に変換するマトリクス回路516で演算処理を行い、輝度のベースとなるYL信号と色を示すU(B−Y)信号、V(R−Y)信号になる。U,V信号は、帯域制限を行う為のLPF、時分割信号にするためのスイッチ517を介し、U/V信号として端子518より出力する。色分離・ホワイトバランス調整回路514〜スイッチ517に至るまでは、ビデオカメラにおける色信号処理と呼ばれる部分である。
【0009】0H〜2H信号は、高域成分を含む輝度(YH)信号を生成する輝度生成回路519にも供給する。輝度生成回路519から出力されるY0+2H信号、Y1H信号は、色信号処理と同様にガンマ補正回路520を通る。これは、ガンマ補正回路520を通ったY0+2H’信号とY1H’信号から輪郭抽出を行った方が、より理想的な(黒付近〜白付近の全域で均等な)輪郭信号が選られるためである。輪郭抽出回路521より出力される輪郭(DTL)信号とマトリクス回路516から出力されるYL信号を加算器522で加算し、輝度(Y)信号として端子523より出力する。
【0010】ところで、従来のビデオカメラにおけるデジタル信号処理においては、ラインメモリが必須で有り、量子化精度が高く(ビット深みが大きく)、多画素対応(1Hの遅延段数が多い)したものほど、大規模になる。
【0011】ビデオカメラのデジタル信号処理に必須となるラインメモリは、そのビット深みが増えるほどチップ上の面積が広がる。ラインメモリがチップ全体に対して占める割合は大きい。よって、従来のデジタル信号処理のようにA/D変換器のビット深みと同じ深みのラインメモリを用いると、たとえば高画質化を追求した場合に、多ビット化したA/D変換器+複数ライン分のラインメモリによるチップサイズの拡大は避けられず、コストアップにつながる。
【0012】また、信号処理の高機能化に必要なフィールドメモリも同様である。現状ではフィールドメモリのチップサイズとラインメモリを含むデジタル信号処理ICのチップサイズとがほぼ同等であり、ビット深みの増加によるコストアップは無視できない。
【0013】現状、ビデオカメラ用のA/D変換器の主流は10ビットであり、一方でフィールドメモリとして用いる汎用RAMのビット深みは8または16ビット深みを有するという問題もある。それぞれを別チップで構成した場合には、ビット深みが異なる。
【0014】ビデオカメラの信号処理におけるガンマ補正は、黒付近の信号を伸張し、白付近の信号を圧縮する非線形信号処理回路であり、黒付近で必要とされる量子化精度に比べて白付近の精度はそれほど必要ない。つまり、A/D変換された信号をそのままの精度でラインメモリにより遅延させることは、量子化精度の点では非常に無駄の多い構成となる。
【0015】しかしながら、A/D変換された色キャリア成分を含む映像信号をそのまま非線形圧縮し、その後で色分離すれば色再現性の点で問題が生じるので、従来のデジタル信号処理においてはチップサイズの拡大によるコストアップを無視していた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の場合、ラインメモリに蓄える信号を圧縮していないため、ラインメモリの容量が量子化精度の求めに応じて際限なく増加し、その結果としてチップ面積が増加する傾向にあった。
【0017】そこで、この発明の目的は、折れ線方式の非線形信号処理回路を用いて、量子化精度の有効活用とチップサイズの縮小を実現し得ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、この発明の信号圧縮回路では、固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、変換されたNビットの深みを有する前記デジタル映像信号を複数の異なった特性を持つLPFに同時に入力し、入力される前記デジタル映像信号を、前記LPFの遅延量に合わせて遅延させた遅延映像信号と前記各LPFの演算結果の出力とを任意のタイミングで同時に選択出力可能な第1の選択手段と、Nビット深みを有する前記遅延映像信号および前記第1の選択手段の出力を任意の異なった値と同時に比較する複数の比較手段と、前記遅延映像信号および前記第1の選択手段の出力を任意の異なった係数で乗算し、その後に任意の異なった直流成分を加算する複数の線形演算手段と、前記複数の比較手段の出力から前記の複数の線形演算手段の出力の選択を行う第2の選択手段とを具備し、前記第2の選択手段より得られるMビット深みの信号圧縮(M<N)を行った後で、複数のラインメモリを用いて得た複数ラインのデジタル映像信号と、フィールド/フレームメモリを用いた複数画面のデジタル映像信号とを得て、以降のデジタル信号処理部に出力することを特徴とする。
【0019】上記した手段により、それぞれの直線領域に異なった特性のLPFを挿入することで非線形信号圧縮回路を実現したことで、簡単な回路構成(小規模)で圧縮・伸張特性を得ることができる。
【0020】また、この発明のビデオカメラ処理装置においては、固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、以降の信号処理を行う場合に、輝度および色信号を含む前記デジタル映像信号を圧縮した後、ラインメモリを用いて複数ラインのデジタル映像信号を得、該デジタル映像信号を伸張処理した後に、色成分を分離したことを特徴とする。
【0021】この手段により、色信号処理系には伸張(復元)した映像信号を用いて色再現性の向上を図り、輝度信号処理系には伸張しない映像信号を用いてガンマ補正後の輝度信号から輪郭抽出した場合と等価な特性を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態について説明するためのシステム図である。固体撮像素子11から読み出されたアナログ映像信号は、まずCDS(相関二重サンプリング)と呼ばれるノイズ低減回路12に供給する。このノイズ低減回路12の出力は、GCA13で振幅調整し、A/D変換器14を介してデジタル映像信号となる。
【0023】A/D変換器14の出力はALC回路15に供給し、ここで画面積算を行って平均輝度レベルを検出し、ゲイン制御信号AGCと電子シャッタスピード制御信号AESとを発生させる。ゲイン制御信号AGCはGCA13に供給し、電子シャッタスピード制御信号AESは、固体撮像素子11の駆動パルスを発生させるタイミング発生器16に供給する。タイミング発生器16において、固体撮像素子11の蓄積時間を可変する。ゲイン制御信号AGCと輝度積算値とをスイッチSW1に供給し、ここで選択されて非線形信号圧縮回路17の一部を構成する、LPFをオン/オフするスイッチSW2を切り換える。
【0024】この切り換えは、GCA13の利得が大きくなる低照度下で撮影の場合のように、S/Nが悪化すると考えられるときに、自動的にLPFをオンし、S/N改善を行うことが可能になる。非線形信号圧縮回路17を介して圧縮された映像信号は、ラインメモリ18を通って2ライン分の映像信号となり、ガンマ補正を含む以降の信号処理回路19で処理を行い、その出力より色信号U,Vと輝度信号Yの出力を得る。
【0025】ここで、非線形信号圧縮回路17のより具体的な構成例と、非線形信号圧縮回路17より得られた非線形圧縮信号の3ライン分(0〜2H信号)を得て信号処理部19に供給する構成例を図2に挙げて説明する。図2において、17は2点折れ線の信号圧縮を行う非線形信号圧縮回路で、200は、3ライン分の信号(0〜2H信号)を得る3ライン映像信号抽出部である。
【0026】まず、信号圧縮部17について説明する。前段のA/D変換器14を介して得られたデジタル化された映像信号は、遅延器21とLPF22とLPF23に同時に供給する。ここでは、高輝度部分にLPF22,23を通さない構成としているので、LPFは2種類で済む。LPF22,23は、遅延段数が同じで遮断特性のみ異なっているものとする。スイッチ24,25は、LPF22,23のオン/オフを行うもので、共通の制御端子26で切り換えられる。スイッチ24,25で3系統全てを遅延信号とすれば、単純な折れ線方式の非線形処理回路になる。折れ点の位置は比較器27に供給される設定値28,29で決まる。
【0027】3系統の映像信号は、演算器30〜32によりそれぞれ演算器30で図3のAの傾きとオフセット成分を、演算器31で図3のBの傾きとオフセット成分を、演算器32で図3のCの傾きとオフセット成分を持った映像信号となる。
【0028】加算器33,34はLPFの切換わり部分で特性を滑らかにつなぐためのものである。LPFにより帯域の異なった信号を比較器27で同時に比較し、比較結果が異なったときにのみ、その中間の特性を持つ信号が得られることになる。この場合に得られる5種類の遮断特性を有する映像信号は、スイッチ35,36により選択して出力する。A/D変換器14を出力される入力Nビットの映像信号は圧縮され、出力Mビットの映像信号をスイッチ35より出力する。
【0029】次に、3ライン映像信号抽出部200について説明する。非線形信号圧縮回路17で圧縮された信号は、ラインメモリ37,38に順次供給し、0〜2Hの3ライン分の信号となって信号処理部19の輝度信号処理器191に入る。更に、0〜2H信号は、伸張されて色信号処理器192に入る。伸張器39〜41により伸張された後の0〜2H信号を色信号処理器192で用いる理由は、色再現性の向上にある。非線形処理された映像信号から色分離すれば必ず色再現性が低下する。逆に、伸張前の0〜2H信号を輝度信号処理器191で用いれば、全映像レベルで安定した輪郭抽出を行うことができる、さらに、図2の圧縮について図3の入出力特性図を用いて説明する。A/D変換器14の飽和レベルを150%(オフセット10%)と仮定し、例えばLPF23では−10%〜30%領域で1/2圧縮(オフセット±0%)を、LPF22では30%〜70%領域で1/4圧縮(オフセット+10%)を、スルーのLPFなしでは70%〜150%領域で1/8圧縮(オフセット+20%とすれば、全体で入力振幅を1/4(−2ビット)にできる。つまり、10ビットのA/D変換器を用いても、ラインメモリ37,38は、それぞれ8ビットで済む。LPFの遮断特性は、LPF23の有する信号通過帯域が最も狭く、逆にLPFなしの場合は全ての信号が通過する。
【0030】以降の信号処理回路19におけるガンマ補正を考慮すると、黒付近のノイズレベルを押え、かつ黒付近の量子化精度を最大限確保できるこの圧縮方式は、非常に効率が良い。
【0031】このように、デジタル化された映像信号に非線形圧縮処理を施すことにより、色と輝度の信号処理のために数ライン分信号を抽出する回路のラインメモリの容量を抑えつつ、量子化精度を確保することができる。
【0032】図4は、この発明の他の実施の形態について説明するためのシステム図である。この実施の形態は、単板式カラーカメラのデジタル信号処理部に適用させたものである。なお、図1と図2と同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。
【0033】固体撮像素子11から読み出されるアナログ映像信号は、まずノイズ低減回路12を介し、次にGCA13で振幅調整され、A/D変換器14でデジタル映像信号となり、高輝度キャリア補正回路50に供給する。
【0034】高輝度キャリア補正回路50は、単板式カラーカメラのデジタル信号処理において、高輝度領域のキャリアバランスのずれを補正し、ライン間の輝度レベル誤差をなくして“横スジ”の発生を押える回路である。高輝度キャリア補正回路50において輝度レベル誤差がなくなり、以降の信号処理における“横スジ”の発生をなくすことができる。
【0035】高輝度キャリア補正回路50の出力には次の問題もある。それは高輝度キャリア補正回路50の演算上に起因するもので、高輝度キャリア補正回路50より出力される信号の量子化精度がA/D変換器14のそれよりも必ず悪化する点である。実際、量子化精度のない映像信号を、そのままラインメモリ37,38で遅延するシステムは効率が悪い。
【0036】例えば、A/D変換器14の入力飽和レベル設定を300%、高輝度キャリア補正回路50の出力飽和レベル設定を150%と仮定すれば、理論的に輝度レベル誤差を“ゼロ”にすることが可能である。しかし、高輝度キャリア補正回路50の出力の有する実効量子化精度は、1/2(マイナス1ビット精度)になってしまう。
【0037】そこで、高輝度キャリア補正回路50の次段に非線形信号圧縮回路17を設置することで、量子化精度を有効に使い、かつ低規模化・低コスト化することができる。
【0038】つまり、図1でも説明したが、高輝度キャリア補正回路50の出力は非線形信号圧縮回路17と同時にALC回路15にも供給され、固体撮像素子11の電子シャッタスピード(AES)、GCA13の利得調整(AGC)、非線形信号圧縮回路17内のLPFのオン/オフを行う。ALC回路15による信号積算に非線形信号圧縮回路17の出力を使用しない理由は、非線形処理後の映像信号では、ALCの誤動作(ハンチング等)が生じる可能性があるからである。
【0039】非線形信号圧縮回路17の出力信号は、ラインメモリ37,38に順次供給し、0〜2Hの3ライン分の信号となって、信号処理部19の輝度信号処理器191に供給し、輝度信号処理を行って出力より輝度信号Yを出力する。さらに0〜2H信号は、それぞれ伸張器39〜41により伸張して色信号処理器192に供給し、色信号処理を行って色信号U,Vを出力する。
【0040】単板式カラーカメラのデジタル信号処理する場合に、高輝度キャリア補正を行った後の量子化精度が、A/D変換された後のものよりも悪化するが、この実施の形態では、高輝度キャリア補正を行った後に、非線形信号圧縮を行ったことで、量子化精度を向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、A/D変換器の有する量子化精度とガンマ補正回路が必要とする量子化精度の間で効率良くメモリを使用でき、コストダウンを実現すると同時にS/N改善や輪郭抽出、色再現性の確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態について説明するためのシステム図。
【図2】図1の主要部の具体例について説明するための回路構成図。
【図3】図2の圧縮の入出力特性図について説明するための説明図。
【図4】この発明の他の実施の形態について説明するためのシステム図。
【図5】従来のビデオカメラにおけるデジタル信号処理を説明するためのシステム図。
【符号の説明】
11…固体撮像素子、12…ノイズ低減回路、13…GCA、14…A/D変換器、15…ALC回路、16…タイミング信号発生器、17…非線形信号圧縮器、18…ラインメモリ、19…信号処理部、191…輝度信号処理器、192…色信号処理器、200…3ライン映像信号抽出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、変換されたNビットの深みを有する前記デジタル映像信号を複数の異なった特性を持つLPFに同時に入力し、入力される前記デジタル映像信号を、前記LPFの遅延量に合わせて遅延させた遅延映像信号と前記各LPFの演算結果の出力とを任意のタイミングで同時に選択出力可能な第1の選択手段と、Nビット深みを有する前記遅延映像信号および前記第1の選択手段の出力を任意の異なった値と同時に比較する複数の比較手段と、前記遅延映像信号および前記第1の選択手段の出力を任意の異なった係数で乗算し、その後に任意の異なった直流成分を加算する複数の線形演算手段と、前記複数の比較手段の出力から前記の複数の線形演算手段の出力の選択を行う第2の選択手段とを具備し、前記第2の選択手段より得られるMビット深みの信号圧縮(M<N)を行った後で、複数のラインメモリを用いて得た複数ラインのデジタル映像信号もしくはフィールド/フレームメモリを用いた複数画面のデジタル映像信号を得て、以降のデジタル信号処理部に出力することを特徴とする信号圧縮回路。
【請求項2】 固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、以降の信号処理を行うビデオカメラ処理装置における自動絞り調整を行う自動絞り調整回路の輝度積算値あるいはAGCのゲイン制御値により、前記第1選択手段を自動的に切り換える構成とし、低照度時に自動的に映像信号のS/N改善を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号圧縮回路。
【請求項3】 前記自動絞り調整回路は、電子シャッタアイリスとオートゲインコントロール制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の信号圧縮回路。
【請求項4】 固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、以降の信号処理を行うビデオカメラ処理装置において、輝度および色信号を含む前記デジタル映像信号を圧縮した後、ラインメモリを用いて複数ラインのデジタル映像信号を得、該デジタル映像信号を伸張処理した後に、色成分を分離したことを特徴とするビデオカメラ処理装置。
【請求項5】 色分離、ガンマ補正等の処理を行う色信号処理系は、前記伸張処理を施した映像信号を用いて色再現性を向上させ、輪郭抽出、コアリングを行う輝度信号処理系は、伸張処理しない圧縮信号およびメモリ出力信号を用いることで、ガンマ補正後の映像信号から抽出した場合と近似な輪郭信号が得られることを特徴とする請求項4に記載のビデオカメラ処理装置。
【請求項6】 固体撮像素子より出力されたアナログ映像信号を、A/D変換器を用いてデジタル映像信号に変換し、以降の信号処理を行う単板式のビデオカメラ処理装置において、前記A/D変換器の有する量子化精度に以降のデジタル信号処理に必要とする飽和レベルより大きな飽和レベルを設定し、A/D変換直後に高輝度部の色キャリアを補正して輝度成分の誤差を減らす高輝度色キャリア補正回路を用いた場合に、前記A/D変換器の有する量子化精度よりも精度の悪化した補正映像信号出力に、折れ線方式の非線形信号圧縮回路を用いることで、量子化精度の有効活用、および規模縮小を図ったことを特徴とするビデオカメラ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−24906(P2001−24906A)
【公開日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−194666
【出願日】平成11年7月8日(1999.7.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221029)東芝エー・ブイ・イー株式会社 (19)
【Fターム(参考)】