説明

信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造およびその製造方法

1つの例示的な実施例に従って、半導体ダイにおける構造は、相互接続金属層内に配置される金属パッド(226)を含み、金属パッド(226)は銅を含む。当該構造はさらに、金属パッド(226)の上に配置される層間誘電体層(214)を含む。当該構造はさらに、層間誘電体層(214)内に規定される端子ビア(228)を含み、端子ビア(228)は、金属パッド(226)の上に配置される。端子ビア(228)は、金属パッド(226)の1つの側面(242a、242b、242c、242d)のみに沿って延在する。当該構造はさらに、層間誘電体層(214)の上および端子ビア(228)内に配置される端子金属層(220)を含む。当該構造はさらに、端子金属層(220)の上に配置される誘電体ライナー(216)を含み、接続パッド開口部234は、誘電体ライナー(216)内に規定され、接続パッド開口部(234)は、端子金属層(220)の一部分(236)を露出させる。層間誘電体層(214)は、端子金属層(220)の露出部分(236)と金属パッド(226)との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、半導体製造の分野に属する。より具体的には、この発明は、銅相互接続線の製造の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリ素子およびその他のタイプのメモリ素子などの半導体素子は、素子密度および速度においては増大を続ける一方で、サイズおよび消費電力においては減少している。しかしながら、密度および速度が増大し、サイズおよび消費電力が減少した、フラッシュメモリ素子などの半導体素子はまた、高度な導電性および信頼性を備えた相互接続線を必要とする。その結果、(「Al」)ベースの被膜の代替として、銅(「Cu」)被膜がより望ましいものとなっており、それは、銅が、アルミニウムに比べて抵抗が低い、すなわち、導電性に優れているためである。銅の抵抗がより低いことで、素子の相互接続線におけるRC遅延を低減して、半導体素子の信号をより速く移動させることが可能になる。さらに、銅はアルミニウムに比べてエレクトロマイグレーション抵抗が高いので、銅の相互接続線は、確実に、より細い線でより高い電流密度を取扱うことが可能である。しかしながら、銅は半導体製造での使用が難しく、それは、それ、すなわち銅は、シリコン内で極めて急速に拡散するので、半導体ダイの活性領域に達した場合、能動素子を損傷するおそれがあるためである。結果として、銅の相互接続線を拡散バリア層で覆って、銅の望ましくない拡散を阻止する必要がある。さらに、酸化しやすいなどの銅の特性のために、銅への接合は、アルミニウムまたは金への接合に比べて困難となる。結果として、半導体の製造者は、フラッシュメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子のための効果的な銅接続パッド構造を提供する上で苦慮している。
【0003】
銅被膜で用いられる従来の接続パッド構造では、アルミニウムの層を含む端子金属構造が拡散バリア層の上に配置され、拡散バリア層は、典型的には、タンタル(「Ta」)を含み、銅金属パッドの上に形成される。アルミニウムの層が、ワイヤ接続を容易に受け入れる確実な面を設ける一方、拡散バリア層が、銅がアルミニウム層へ拡散するのを効果的に防止する。しかしながら、ワイヤボンディングの応力がかかっている間、拡散バリア層に亀裂が生じる場合があり、それによって、銅がアルミニウム層に拡散し、接続不良が生じさせるおそれがある。
【0004】
よって、当該技術においては、フラッシュメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子のためのより信頼性の高い接続パッド構造が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
この発明は、信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造およびその製造方法に向けられている。この発明は、当該技術における、フラッシュメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子のためのより信頼性の高い接続パッド構造の必要性に対応し、かつ、それを解決するものである。
【0006】
1つの例示的な実施例に従って、半導体ダイにおける構造は、相互接続金属層内に配置される金属パッドを含み、金属パッドは銅を含む。当該構造はさらに、金属パッドの上に配置される層間誘電体層を含む。層間誘電体層は、たとえば、TEOS酸化物であってもよい。当該構造はさらに、層間誘電体層内に規定される端子ビアを含み、端子ビアは、金属パッドの上に配置され、かつ、端子ビアは、金属パッドの1つの側面のみに沿って延在
する。当該構造はさらに、層間誘電体層の上および端子ビア内に配置される端子金属層を含む。端子金属層は、コンタクト金属層とバリア層とを含み、バリア層は、層間誘電体層の上に配置される。たとえば、コンタクト金属層はアルミニウムを含んでいてもよく、バリア層はタンタルを含んでいてもよい。
【0007】
この例示的な実施例に従って、当該構造はさらに、端子金属層の上に配置される誘電体ライナーを含む。当該構造はさらに、誘電体ライナー内に規定される接続パッド開口部を含み、接続パッド開口部は、端子金属層の一部分を露出させ、層間誘電体層は、端子金属層の露出部分と金属パッドとの間に配置される。一実施例に従って、端子ビアは、金属パッドの4つの側面に沿って延在してもよい。一実施例に従って、この発明は、上記の相互接続構造を実現するための方法である。この発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することで、当業者にはより容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の詳細な説明
この発明は、信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造およびその製造方法に向けられている。以下の説明には、この発明の実現化に関する特定の情報が含まれている。当業者であれば、この発明が本願で特に述べたものと異なる態様で実現可能であることを認識できるであろう。さらに、この発明の特定の詳細の一部は、この発明が不明瞭となるのを避けるため、ここでは論じていない。
【0009】
本願における図面およびそれに伴う詳細な説明は、この発明の単に例示的な実施例に向けられたものである。簡潔さを保つために、この発明の他の実施例は、本願では特に記載しておらず、かつ、この発明の図面において特に図示していない。図面に示す各種の要素および寸法は、説明しやすくするため、原寸に比例していない旨留意されたい。
【0010】
図1Aは、例示的な従来の接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図を示す。構造100は、従来の接続パッド構造102と、中間誘電体層104、106および108と、層間誘電体(「ILD」)層110、112および114と、誘電体ライナー116と、バリア層118と、上層誘電体層132とを含む。従来の接続パッド構造102は、端子金属層120と金属パッド126とを含み、該端子金属層は、コンタクト金属層122と、バリア層124とを含む。構造100は、フラッシュメモリ素子またはその他のタイプのメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子における相互接続金属構造の一部であってもよい。
【0011】
図1Aに示すように、ILD層110は、中間誘電体層104の上に配置される。中間誘電体層104は、窒化ケイ素を含んでいてもよく、かつ、化学気相成長(「CVD」)プロセスを用いて形成されてもよい。ILD層110は、テトラエチルオルソシリケート(「TEOS」)酸化物を含んでいてもよく、かつ、CVDプロセスを用いて、中間誘電体層104の上に形成されてもよい。図1Aにさらに示すように、中間誘電体層106はILD層110の上に配置され、ILD層112は中間誘電体層106の上に配置される。中間誘電体層106およびILD層112は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層104およびILD層110とそれぞれ実質的に同様である。図1Aにさらに示すように、バリア層118は、トレンチ126の側壁および底面の上に配置され、該トレンチは、ILD層112および中間誘電体層106内に開口部をパターニングおよびエッチングすることで形成される。バリア層118は、タンタルを含んでいてもよく、かつ、物理的気相成長(「PVD」)プロセスを用いて、トレンチ127の側壁および底面の上に形成されてもよい。図1Aにさらに示すように、金属パッド126は、トレンチ127内のバリア層118の上に配置され、かつ、銅を含む。金属パッド126は、CVDプロセ
スまたはその他の適切なプロセスを用いて、トレンチ127内に銅を蒸着することで形成されてもよい。金属パッド126は、「M3」とも呼ばれる第3相互接続金属層内に形成されてもよい。
【0012】
図1Aにさらに示すように、中間誘電体層108はILD層112の上に配置され、ILD層114は中間誘電体層108の上に配置される。中間誘電体層108は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層104および106と実質的に同様である。ILD層114は、組成および形成において、ILD層110および112と実質的に同様である。図1Aにさらに示すように、端子金属層120は、ILD層114の上および端子ビア128内に配置され、該端子ビアは、金属パッド126の上に配置される。端子ビア128は、ILD層114および中間誘電体層108内に孔をパターニングおよびエッチングすることで形成されてもよい。端子金属層120は、端子ビア128の側壁および底面の上に配置されるバリア層124と、バリア層124の上に配置されるコンタクト金属層122とを含む。バリア層124は、タンタルを含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスによって形成されてもよい。コンタクト金属層122は、0.5%の銅を有するアルミニウムを含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスによって形成されてもよい。
【0013】
図1Aにさらに示すように、誘電体ライナー116は、ILD114および端子金属層120の上に配置される。誘電体ライナー116は、TEOS酸化物を含んでいてもよく、かつ、CVDプロセスを用いて蒸着されてもよい。図1Aにさらに示すように、上層誘電体層132は、誘電体ライナー116の上に配置され、窒化ケイ素を含んでいてもよく、CVDプロセスを用いて形成されてもよい。図1Aにさらに示すように、接続パッド開口部134は、上層誘電体層132および誘電体ライナー116内に配置され、かつ、端子金属層120の部分136を露出させ、該部分は、接続パッド開口部134の側壁152の間に配置される。接続パッド開口部134は、上層誘電体層132と誘電体ライナー116内に孔をパターニングおよびエッチングすることで形成されてもよく、かつ、幅138を有し、該幅は、約76.0ミクロンであってもよい。
【0014】
接続パッド構造102に接続ワイヤを装着するために行なわれるワイヤボンディング工程の間に、端子金属層120の露出部分136に、矢印140で示す下向きの力が加えられる。端子金属層120の露出部分、すなわち、部分136に加えられる下向きの力で生じる応力によって、バリア層124を含む端子金属層120に亀裂が生じる可能性がある。よって、端子金属層120の露出部分は、従来の接続パッド構造102の金属パッド126の上に直接配置されているので、金属パッド126内の銅が、端子金属層120に拡散し、ワイヤ接続不良を起こすおそれがある。
【0015】
図1Bは、構造100の上面図を示し、図1Aの構造100の断面図は、図1Bの線A−Aに沿ったものである。特に、金属パッド126、端子ビア128、端子金属層120の部分136および接続パッド開口部134の幅138は、図1Aおよび図1Bにおける同一の要素に対応している。図1Bに示すように、端子ビア128は幅142を有し、該幅は約80.0オングストロームであってもよく、金属パッド126は幅144を有し、該幅は約82.0オングストロームであってもよい。よって、図1Bに示すように、端子ビア128は、金属パッド126の本質的部分の上に配置される。
【0016】
図2Aは、この発明の一実施例に従って、例示的な接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図を示す。構造200は、接続パッド構造202と、中間誘電体層204、206および208と、ILD層210、212および214と、誘電体ライナー216と、バリア層218と、端子ビア228と、上層誘電体層232とを含む。接続パッド構造202は端子金属層220と金属パッド226とを含み、該端子金属層は、コンタクト金属層222と、バリア層224とを含む。構造200は、フラッシュメモリ素子またはその他
のタイプのメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子における相互接続構造の一部であってもよい。
【0017】
図2Aに示すように、ILD層210は、中間誘電体層204の上に配置される。中間誘電体層204は、半導体ダイにおける相互接続金属層(図2Aには図示せず)または誘電体層の上に配置されてもよく、かつ、窒化ケイ素またはその他の適切な誘電体を含んでいてもよい。中間誘電体層204は、CVDプロセスまたはその他の適切なプロセスを用いて形成されてもよく、かつ、約500.0オングストローム±50.0オングストロームの厚さを有していてもよい。ILD層210は、TEOS酸化物またはその他の適切な誘電体を含んでいてもよく、かつ、CVDプロセスまたはその他の適切なプロセスを用いて、中間誘電体層104の上に形成されてもよい。図2Aにさらに示すように、中間誘電体層206はILD層210の上に配置され、ILD層212は中間誘電体層206の上に配置される。中間誘電体層206は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層204と実質的に同様であり、ILD層212は、組成、厚さおよび形成において、ILD層210と実質的に同様である。
【0018】
図2Aにさらに示すように、バリア層218は、トレンチ227の側壁および底面の上に配置され、該トレンチは、適切なエッチングプロセスを用いて、ILD層212および中間誘電体層206内に開口部をパターニングおよびエッチングすることで形成される。バリア層218は、タンタルまたはその他の適切な銅拡散バリア材料を含んでいてもよく、かつ、約250.0オングストローム±25.0オングストロームの厚さを有していてもよい。バリア層218は、PVDプロセスまたはその他の適切なプロセスを用いて、トレンチ227の側壁および底面の上に形成されてもよい。図2Aにさらに示すように、金属パッド226は、トレンチ227内のバリア層218の上に配置され、かつ、銅を含む。金属パッド226は、CVDプロセス、電気めっきプロセスまたはその他の適切なプロセスを用いて、トレンチ227内に銅を蒸着することで形成されてもよい。例として、金属パッド226は、約2500.0オングストローム±375.0オングストロームの厚さを有していてもよい。金属パッド226は、半導体ダイの上層相互接続金属層内に配置される。例として、金属パッド226は、第3相互接続金属層、すなわち、「M3」内に配置されてもよい。
【0019】
図2Aにさらに示すように、中間誘電体層208はILD層212および金属パッド226の上に配置され、ILD層214は中間誘電体層208の上に配置される。中間誘電体層208は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層204および206と実質的に同様である。ILD層214は、組成および形成において、ILD層210および212と実質的に同様である。例として、ILD層214は、約5500.0オングストローム±550.0オングストロームの厚さを有していてもよい。図2Aにさらに示すように、端子ビア228は、ILD層214および中間誘電体層208内ならびに金属パッド226の上に配置される。図2Aのこの発明の実施例では、端子ビア228は、金属パッド226の側面242aに近接して配置されるが、金属パッド226の対向する側面242bには近接しない。よって、端子ビア228は、金属パッド226の上面248に対して垂直な方向に延在する金属パッド226の中心線246から「オフセット」されている。他の実施例では、端子ビア228は、金属パッド226の2つ以上の側面に沿って配置されてもよい。端子ビア228は、当該技術において知られているエッチングプロセスを用いて、ILD層214および中間誘電体層208内に孔を適切にパターニングおよびエッチングすることで形成されてもよい。例として、端子ビア228の幅250は、約3.0ミクロンであってもよい。
【0020】
図2Aにさらに示すように、端子金属層220は、端子ビア228内およびILD層214の上に配置される。端子金属層220は、端子ビア228の側壁および底面の上なら
びにILD層214の上に配置されるバリア層224と、バリア層224の上に配置されるコンタクト金属層222とを含む。バリア層224は、タンタルまたはその他の適切な材料を含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスまたはその他の適切なプロセスによって、端子ビア228の側壁および底面の上ならびにILD層214の上に形成されてもよい。例として、バリア層224は、約500.0オングストローム±50.0オングストロームの厚さを有していてもよい。コンタクト金属層222は、0.5%の銅を有するアルミニウムを含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスまたはその他の適切なプロセスによって、バリア層224の上に形成されてもよい。他の実施例では、コンタクト金属層222は、0.5%と異なる割合の銅を有するアルミニウムを含んでいてもよい。例として、コンタクト金属層222は、約6500.0オングストローム±650.0オングストロームの厚さを有していてもよい。バリア層およびコンタクト金属層が端子ビア228内およびILD層214の上に蒸着された後、それら、すなわち、バリア層およびコンタクト金属層は、適切にパターニングおよびエッチングされて、端子金属層220を形成してもよい。端子金属層220は、端子ビア228によって、金属パッド226に電気的に接続される。
【0021】
図2Aにさらに示すように、誘電体ライナー216は、ILD層214および端子金属層220の上に配置される。誘電体ライナー216は、TEOS酸化物またはその他の適切な誘電体を含んでいてもよく、かつ、CVDプロセスまたはその他の適切なプロセスを用いて蒸着されてもよい。例として、誘電体ライナー216は、約5000.0オングストローム±500.0オングストロームの厚さを有していてもよい。図2Aにさらに示すように、上層誘電体層232は、誘電体ライナー216の上に配置され、窒化ケイ素またはその他の適切な誘電体を含んでいてもよく、CVDプロセスを用いて形成されてもよい。例として、上層誘電体層232は、約10,000.0オングストローム±1000.0オングストロームの厚さを有していてもよい。図2Aにさらに示すように、接続パッド開口部234は、上層誘電体層232および誘電体ライナー216内に配置され、かつ、端子金属層220の部分236を露出させ、該部分は、接続パッド開口部234の側壁252の間に配置される。接続パッド開口部234は、上層誘電体層232および誘電体ライナー216内に孔を適切にパターニングおよびエッチングすることで形成してもよい。例として、接続パッド開口部234の幅238は、約76.0ミクロンであってもよい。
【0022】
図2Bは、構造200の上面図を示し、図2Aの構造200の断面図は、図2Bの線2A−2Aに沿ったものである。特に、金属パッド226、端子ビア228、上層誘電体層232、端子金属層220の部分236、接続パッド開口部234の幅238ならびに金属パッド226の側面242および244は、図2Aおよび図2Bの同一の要素に対応している。図2Bに示すように、端子ビア128は幅142を有し、該幅は約80.0オングストロームであってもよく、金属パッド126は幅254および深さ256を有する。例として、幅254は約85.0オングストロームであってもよく、深さ256は約80.0オングストロームであってもよい。図2Bにさらに示すように、端子ビア228は、金属パッド226の一側面、すなわち、側面242aのみに沿って延在し、該金属パッドは、別の側面242b、242cおよび242dを有する。
【0023】
よって、図2Aおよび図2Bのこの発明の実施例では、端子ビア228をオフセットすることによって、すなわち、端子ビア228を金属パッド226の側面242aに隣接して配置することによって、この発明は、接続パッド構造、すなわち、端子金属層220の部分236と金属パッド226との間に配置されるILD層214とバリア層208とを有する接続パッド構造202を実現する。結果として、端子金属層220の露出部分、すなわち、部分236が、ワイヤボンディング工程の間に部分236に加えられる、図2Aの矢印240で示す下方向の力で生じる亀裂によって損傷した場合、ILD層214およびバリア層208が、金属パッド226内の銅が端子金属層220に拡散してワイヤ接続
不良を起こすのを防止する。対照的に、図1Aの従来の接続パッド構造102では、端子金属層120の露出部分、すなわち、部分136は金属パッド126と直接接触しているので、ワイヤボンディング工程の間に端子金属層120に亀裂が生じると、金属パッド126内の銅が端子金属層120に拡散し、それによって接続不良を起こす可能性がある。よって、図2Aおよび図2Bのこの発明の実施例では、オフセットされた端子ビアを用いることで、この発明は、信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造を有利に実現する。
【0024】
図3Aは、この発明の一実施例に従って、例示的な接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図を示す。図3Aでは、構造300における中間誘電体層304、306および308、ILD層310、312および314、誘電体ライナー316、バリア層318および324、金属パッド326、トレンチ327、上層誘電体層332、幅338ならびに側面342および344はそれぞれ、図2Aの構造200における中間誘電体層204、206および208、ILD層210、212および214、誘電体ライナー216、バリア層218および224、金属パッド226、トレンチ227、上層誘電体層232、幅238ならびに側面242および244と対応する。構造300は、接続パッド構造302を含み、該接続パッド構造は、端子金属層320と金属パッド326とを含む。端子金属層320は、コンタクト金属層322とバリア層324とを含む。構造300は、フラッシュメモリ素子またはその他のタイプのメモリ素子などの、銅被膜を用いる半導体素子における相互接続金属構造の一部であってもよい。
【0025】
図3Aに示すように、ILD層310は、中間誘電体層304の上に配置される。中間誘電体層304は、半導体ダイにおける相互接続金属層(図3Aには図示せず)または誘電体層の上に配置されてもよい。中間誘電体層304およびILD層310は、組成、厚さおよび形成において、図2Aの中間誘電体層204およびILD層210とそれぞれ実質的に同様である。図3Aにさらに示すように、中間誘電体層306はILD層310の上に配置され、ILD層312は中間誘電体層306の上に配置される。中間誘電体層306およびILD層312は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層304およびILD層310とそれぞれ実質的に同様である。
【0026】
図3Aにさらに示すように、バリア層318は、トレンチ327の側壁および底面の上に配置され、該トレンチは、適切なエッチングプロセスを用いて、ILD層312および中間誘電体層306内に開口部をパターニングおよびエッチングすることで形成される。バリア層318は、組成、厚さおよび形成において、図2Aのバリア層218と実質的に同様である。図3Aにさらに示すように、金属パッド326は、トレンチ327内のバリア層318の上に配置され、かつ、銅を含む。金属パッド326は、厚さおよび形成において、金属パッド226と実質的に同様である。金属パッド326は、半導体ダイの上層相互接続金属層内に配置される。例として、金属パッド326は、第3相互接続金属層、すなわち、「M3」に配置されてもよい。
【0027】
図3Aにさらに示すように、中間誘電体層308は、ILD層312および金属パッド326の上に配置され、ILD層314は、中間誘電体層308の上に配置される。中間誘電体層308は、組成、厚さおよび形成において、中間誘電体層304および306と実質的に同様であり、ILD層314は、組成および形成において、ILD層310および312と実質的に同様である。図3Aにさらに示すように、端子ビア328の部分354aおよび354bは、ILD層314および中間誘電体層308内ならびに金属パッド326の上に配置される。端子ビア328の部分354aおよび354bはさらに、金属パッド326のそれぞれの側面342および344にも隣接して配置される。端子ビア328の部分354aおよび354bは、適切なエッチングプロセスを用いて、ILD層314および中間誘電体層308内に孔を適切にパターニングおよびエッチングすることで
形成してもよい。例として、部分354aおよび354bの幅356は約3.0ミクロンであってもよい。端子ビア328については、図3Bに関連してさらに説明する。
【0028】
図3Aにさらに示すように、端子金属層320は、端子ビア328の部分354aおよび354b内ならびにILD層314の上に配置される。端子金属層320は、端子ビア328の部分354aおよび354bの側壁および底面の上ならびにILD層314の上に配置されるバリア層324と、バリア層324の上に配置されるコンタクト金属層322とを含む。バリア層324は、タンタルまたはその他の適切な材料を含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスまたはその他の適切なプロセスによって、端子ビア328の部分354aおよび354bの側壁および底面の上ならびにILD層314の上に形成されてもよい。例として、バリア層324は、約500.0オングストローム±50.0オングストロームの厚さを有していてもよい。コンタクト金属層322は、0.5%の銅を有するアルミニウムを含んでいてもよく、かつ、PVDプロセスまたはその他の適切なプロセスによって、バリア層324の上に形成されてもよい。他の実施例では、コンタクト金属層322は、0.5%と異なる割合の銅を有するアルミニウムを含んでいてもよい。例として、コンタクト金属層322は、約6500.0オングストローム±650.0オングストロームの厚さを有していてもよい。バリア層およびコンタクト金属層が端子ビア328の部分354aおよび354b内ならびにILD層314の上に蒸着された後、それら、すなわち、バリア層およびコンタクト金属層を、適切にパターニングおよびエッチングして、端子金属層320を形成してもよい。端子金属層320は、端子ビア328によって、金属パッド326に電気的に接続される。
【0029】
図3Aにさらに示すように、誘電体ライナー316は、ILD314および端子金属層320の上に配置される。誘電体ライナー316は、組成、厚さおよび形成において、図2Aの誘電体ライナー216と実質的に同様である。図3Aにさらに示すように、上層誘電体層332は、誘電体ライナー316の上に配置され、かつ、組成、厚さおよび形成において、図2Aの上層誘電体層232と実質的に同様である。図3Aにさらに示すように、接続パッド開口部334は、上層誘電体層332および誘電体ライナー316内に配置され、かつ、端子金属層320の部分336を露出させ、該部分は、接続パッド開口部334の側壁352の間に配置される。接続パッド開口部234は、上層誘電体層332および誘電体ライナー316内に孔を適切にパターニングおよびエッチングすることで形成されてもよい。例として、接続パッド開口部334の幅338は、約76.0ミクロンであってもよい。
【0030】
図3Bは、構造300の上面図を示し、図3Aの構造300の断面図は、図3Bの線3A−3Aに沿ったものである。特に、金属パッド326、端子ビア328、上層誘電体層332、端子金属層320の部分336、接続パッド開口部334の幅338、金属パッド326の側面342および344ならびに部分354aおよび354bは、図3Aおよび図3Bにおける同一の要素に対応する。図3Bに示すように、端子ビア328は、部分354a、354b、354cおよび354dを含み、該部分はそれぞれ、金属パッド326の側面342a、342b、342cおよび342dに沿って、すなわち、隣接して配置される。よって、図3Aおよび図3Bのこの発明の実施例では、端子ビア328は、金属パッド326の側面に沿って延在し、かつ、端子金属層320の部分336を囲み、該部分は、接続パッド開口部334において露出される。図3Bにさらに示すように、金属パッド326は幅358を有し、該幅は、たとえば、約88.0ミクロンであってもよい。
【0031】
よって、図3Aおよび図3Bのこの発明の実施例では、金属パッド326の側面に沿って端子ビア328を形成することで、この発明は、接続パッド構造、すなわち、端子金属層320の露出部分336と金属パッド326との間に配置されたILD層314とバリ
ア層308とを有する接続パッド構造302を実現する。よって、図2Aおよび図2Bのこの発明の実施例と同様、端子金属層320の露出部分、すなわち露出部分336が、ワイヤボンディング工程の間に端子金属層320の部分336に加えられる、矢印340で表わす下方向の力で生じる亀裂によって損傷した場合、露出部分336の下に配置されるILD層314およびバリア層308が、金属パッド326内の銅が端子金属層320に拡散し、それによってワイヤ接続不良を起こすのを防止する。よって、図2Aおよび図2Bのこの発明の実施例と同様、図3Aおよび図3Bのこの発明の実施例も、信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造を有利に実現する。
【0032】
さらに、図2Aおよび図2Bの端子ビア228は、金属パッド226の1つの側面に沿って配置され、その一方で、図3Aおよび図3Bの端子ビア338は、金属パッド326の4つの側面すべてに沿って配置されるので、端子ビア338は、端子ビア228より相当大きくなる。同様の材料で満たされた場合、より大きいビアは、より小さいビアより抵抗が低くなるので、図3Aおよび図3Bのこの発明の実施例は、図2Aおよび図2Bのこの発明の実施例の接続パッド構造に比べて、抵抗が減少した接続パッド構造を実現する。
【0033】
よって、上述したように、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bのこの発明の実施例では、この発明は、端子金属層の露出部分と銅パッドとの間に配置されるILD層と中間誘電体層とを有する接続パッド構造を提供し、ILD層および中間誘電体層は、銅が端子金属層に拡散し、ワイヤ接続不良を起こすのを防止することができる。結果として、この発明は、信頼性の向上した接続パッド構造の銅被膜を有利に実現する。
【0034】
この発明の例示的な実施例の上記の記載から、この発明の範囲から逸脱することなく、この発明の概念を実現化するのにさまざまな手法を用いることができることは明らかである。さらに、特定の実施例を特に参照してこの発明を記載してきたが、当業者であれば、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、態様および詳細において変更が可能であることは認識できるであろう。説明した例示的な実施例は、いかなる点においても、例示的なものであると見なされるべきであり、限定的なものであるとは見なされない。さらに、この発明は、ここに記載される特定の例示的な実施例に限定されず、この発明の範囲から逸脱することなく、数多くの再構成、変形および代用が可能であると理解されるべきである。
【0035】
このようにして、信頼性の向上した銅被膜のための接続パッド構造およびその製造方法について記載した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】例示的な従来の接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図である。
【図1B】図1Aの例示的な構造の上面図である。
【図2A】この発明の一実施例に従った、例示的な接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図である。
【図2B】図2Aの例示的な構造の上面図である。
【図3A】この発明の一実施例に従った、例示的な接続パッド構造を含む例示的な構造の断面図である。
【図3B】図3Aの例示的な構造の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ダイにおける構造であって、前記構造は、
相互接続金属層内に配置される金属パッド(226)を含み、前記金属パッド(226)は銅を含み、前記構造はさらに、
前記金属パッド(226)の上に配置される層間誘電体層(214)と、
前記層間誘電体層(214)内に規定される端子ビア(228)とを含み、前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の上に配置され、前記構造はさらに、
前記層間誘電体層(214)の上および前記端子ビア(228)内に配置される端子金属層(220)と、
前記端子金属層(220)の上に配置される誘電体ライナー(216)と、
前記誘電体ライナー(216)内に規定される接続パッド開口部(234)とを含み、前記接続パッド開口部(234)は、前記端子金属層(220)の一部分(236)を露出させ、
前記層間誘電体層(214)は、前記端子金属層(220)の前記一部分(236)と前記金属パッド(226)との間に配置される、構造。
【請求項2】
前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の1つの側面(242a、242b、242c、242d)のみに沿って延在する、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の4つの側面(242a、242b、242c、242d)に沿って延在する、請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記端子金属層(220)は、コンタクト金属層(222)とバリア層(224)とを含み、前記バリア層(224)は、前記層間誘電体層(214)の上に配置される、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
半導体ダイにおいて接続パッド構造を製造する方法であって、前記方法は、
第1の層間誘電体層(212)内に金属パッド(226)を形成するステップを含み、前記金属パッド(226)は銅を含み、前記方法はさらに、
前記金属パッド(226)の上に第2の層間誘電体層(214)を形成するステップと、
前記第2の層間誘電体層(214)内に端子ビア(228)を形成するステップとを含み、前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の上に配置され、前記方法はさらに、
前記端子ビア(228)内および前記第2の層間誘電体層(214)の上に端子金属層(220)を形成するステップと、
前記端子金属層(220)の上に誘電体ライナー(216)を形成するステップと、
前記誘電体ライナー(216)内に接続パッド開口部(234)を形成するステップとを含み、前記接続パッド開口部(234)は、前記端子金属層(220)の一部分(236)を露出させ、
前記第2の層間誘電体層(214)は、前記端子金属層(220)の前記一部分(236)と前記金属パッド(226)との間に配置される、方法。
【請求項6】
前記端子金属層(220)を形成する前記ステップは、
前記端子ビア(228)の側壁および底面の上ならびに前記第2の層間誘電体層(214)の上にバリア層(224)を形成するステップと、
前記バリア層(224)の上にコンタクト金属層(222)を形成するステップとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属パッド(226)を形成する前記ステップの後、かつ、前記第2の層間誘電体層(214)を形成する前記ステップの前に、前記金属パッド(226)の上に中間誘電体層(208)を形成するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
半導体ダイ内に配置される構造であって、前記構造は、
相互接続金属層内に配置される金属パッド(226)を含み、前記金属パッド(226)は銅を含み、前記構造はさらに、
前記金属パッド(226)の上に配置される層間誘電体層(214)と、
前記層間誘電体層(214)の上に配置される中間誘電体層(208)と、
前記層間誘電体層(214)および前記中間誘電体層(208)内に規定される端子ビア(228)とを含み、前記端子ビア(228)は前記金属パッド(226)の上に配置され、前記構造はさらに、
前記層間誘電体層(214)の上および前記端子ビア(228)内に配置される端子金属層(220)と、
前記端子金属層(220)の上に配置される誘電体ライナー(216)と、
前記誘電体ライナー(216)内に定められる接続パッド開口部(234)とを含み、前記接続パッド開口部(234)は、前記端子金属層(220)の一部分(236)を露出させ、
前記層間誘電体層(214)および前記中間誘電体層(208)は、前記端子金属層(220)の前記一部分(236)と前記金属パッド(226)との間に配置される、構造。
【請求項9】
前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の1つの側面(242a、242b、242c、242d)のみに沿って延在する、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記端子ビア(228)は、前記金属パッド(226)の4つの側面(242a、242b、242c、242d)に沿って延在する、請求項8に記載の構造。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−505506(P2008−505506A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520299(P2007−520299)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015320
【国際公開番号】WO2006/016918
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506408793)スパンジョン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (37)
【氏名又は名称原語表記】SPANSION LLC
【Fターム(参考)】