側面照射型多点式多重パラメータ光ファイバセンサ
感受性コーティングを必要としない側面照射型多点式多重パラメータ光ファイバセンサが提供される。このセンサは、感受性領域として少なくとも1つの除去されたクラッド区間を持つ光ファイバ、このファイバを側面照射する少なくとも1つのプロービング光源、電源、検出器、信号プロセッサおよびディスプレイを備える。感受性光ファイバは、蛍光、りん光を発する、プロービング光を吸収および/または散乱することができる測定対象媒体の存在によって光学的に影響を受ける。このプロービング光は、光強度を測定する検出器の方へファイバコアによって導かれ、この光強度が測定対象に関連付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年1月30日に出願された米国特許仮出願第61/148,564号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府の支援に関する参照
該当なし
【0003】
マイクロフィッシュ付録への参照
該当なし
【0004】
本発明は、一般に分光学に基づく光ファイバセンサに関する。特に、本発明は、散乱、吸収、比色、螢光およびりん光に基づくセンサに関する。
【背景技術】
【0005】
分光学に基づく光ファイバセンサは、歪み、圧力、温度、化学種、濁度、色および他の測定対象を検出するために、いくつかの用途に用いることができる。これらのタイプのセンサに、2つの別々の手法:オプトロード(もしくはオプトード)および分布型センシング手法が用いられてきた。
【0006】
オプトロードは、最も簡易なタイプの光ファイバセンサである。オプトロードは、光ファイバの遠位端に位置する指示薬と、近位端における励起光源および検出器とを備える。励起光は、ファイバを通って進み、指示薬と相互作用してスペクトル信号(蛍光、りん光、比色および/または吸収に基づく信号)を生成する。この信号は、近位端に戻って検出器により収集され、測定されているパラメータに関係付けられる。この場合、ファイバは、その遠位端に単一の感受性領域を有し、光が擾乱を受けずに近位のファイバ端から指示薬までを往復して伝搬するための導管としてのみ役割を果たす。
【0007】
分布型センシング手法では、ファイバ全体もしくはファイバの区間が、信号用の導管としてもセンサとしても機能を果たす。このファイバは、測定されるパラメータに対して感受性を持つ単一のモノリシック・クラッドを用いて製造することもでき、あるいはいくつかの相互に分離された感受性クラッド区間を用いて作製することもできる。手法に関わらず、これらの感受性領域もしくは反応領域は、励起光によってプローブすることができ、結果として多点式準分布型センシング・デバイスがもたらされる。複数の空間的測定を行うために、分布型センサが単一のファイバ・ストランドを必要とするのに対して、オプトロードは、数個のファイバを必要とする。それ故に、分布型センシングの利点は、複数の空間的測定を単一のデバイスを用いて行うことができることである。
【0008】
分布型光ファイバセンサのセンシングポイントは、2つの異なった方法:軸方向か、または横方向のいずれかでプローブすることができる;しかしながら、本明細書では、横方向プロービングが優れた動作モードであると判断される。
【0009】
軸方向プロービングは、センサファイバをプローブするための手段として広く用いられている。軸方向プロービングでは、光がファイバの一端からその軸に沿って注入され、そのエバネッセント波尾を通じて周囲のクラッドと相互作用する。その後、クラッドが、エバネッセント領域のプロービング光を吸収し、いずれかのファイバ端で検出することができる吸収、散乱またはルミネッセンス信号のいずれかを生成する。
【0010】
しかしながら、軸方向プロービングに係るこのタイプの励起には重要な不利点がある。例えば、励起光のエバネッセント波と、感受性クラッドとの相互作用は非常に弱いので、結果として生じる信号を検出するために、高出力電源、高価な検出スキームおよび/または非常に長い光ファイバのような、高価な機器を必要とする。加えて、配置によっては、(レーザのような)光源とファイバ軸との位置合わせに注意深い取り扱いが必要である。
【0011】
“One−dimensional Arrays on Optical Fibers(光ファイバ上の1次元アレイ)”と題する、Schwabacherらの国際公開第2001/71316号(’316号)、(同じく、2007年7月17日発行の米国特許第7,244,572号)は、アレイにおけるそれぞれの反応領域が化学種に対して感受性を持つ、光ファイバに沿って配置された化学センサのリニアアレイを実証する。それぞれの一連の反応領域は、クラッドのような実質的に不活性な領域で分離される。この実質的に不活性な領域は、最小限の長さを持つ必要があり、好ましい長さは250cmと述べられている。公開’316号は、軸方向と横方向と両方の励起方法を実証しており、軸方向の方法が好ましいモードである。
【0012】
好ましい実施形態において、公開’316号は、励起光を光ファイバへ導入するために、狭い軸方向のレーザ・パルスを用いる。それぞれの反応領域は、ファイバに沿って最小距離で分離され、反応性領域間の領域は、実質的に不活性である。この比較的長い不活性区間は、一連の反応領域からの螢光の痕跡が重複するのを防ぐために、公開’316号に利用される技術によって必要とされる。光源(例えば、レーザ、ダイオードレーザ、気体レーザ、色素レーザ、固体レーザ、LEDなど)からの励起光は、軸方向に光ファイバへ導入され、次にこの光が反応領域に供給される。
【0013】
いくつかの、または何百もの反応領域のうちのどれが信号を生成しているかを決定するためには、励起パルスとリターン信号との間の時間遅延を正確に知って、それを個々の反応領域の光源からの距離に関連付けなければならない。この決定は、オシロスコープおよび光電子増倍管の使用のような、正確な機器の使用によって時間、距離、および波長を測定することを必要とする。何百もの種を測定するために、この配置には極めて長い距離のファイバが必要であり、それ故に分析デバイスの全体的なサイズおよび複雑さが増加する。加えて、精密機器は、全体的な機器コストを著しく増加させる可能性がある。
【0014】
励起光は、センシングファイバ上の反応領域へ励起用ファイバ(単数または複数)を用いて導入することもできる。これも、光を軸方向に励起用ファイバへ導入することが必要である。一実施形態において、反応領域当たり1つの励起用ファイバが必要であり、それぞれのファイバは、励起光を横方向にセンシングファイバの反応領域へ導入する。
【0015】
別の実施形態は、励起光を横方向に反応領域へ供給するために、ビームスプリッタの使用を必要とする。ビームスプリッティング技術は、高価な高出力レーザを利用するが、より多くのビームスプリッタが励起光を感受性コーティングへ逸らすにつれて、強度の減衰を生じる。
【0016】
別のスキームにおいて、励起用(または照射用)ファイバは、その長さに沿った小さい区間からクラッドを除去することによって用意される。その後、これらの区間が近くのセンシングファイバ上の反応領域に隣接して取り付けられ、そのエバネッセント場が、横方向にセンシングファイバを励起することが可能になる。不利点は、励起用ファイバのエバネッセント場が非常に弱いので、ごく僅かなパワーしかセンシングファイバに供給されないことである。加えて、他の軸方向および横方向励起の方法が公開されている;しかしながら、これらの方法は、概ね費用対効果が高くなかった。
【0017】
公開’316号のこれらの実施形態は、おそらく動作可能であるとは言え、複雑さ、製造費用、および設計のロバスト性によって制限される。反応領域と不活性領域とが交互する区間を製造するためには、残りの不活性領域はそのままにして、反応領域のみクラッドを除去しなければならない。このようにクラッドを交互に除去するのは、大量生産の費用および複雑さを増加させ、製造におけるオートメーションの選択を制約する。
【0018】
加えて、産業に利用される他の技術は、光パルス試験器(OTDR:optical time domain reflectometer)のような、高価な機器の使用を必要とする。OTDRは、およそ3,000米ドル以上の費用がかかることから、軸方向励起技術を用いる任意のシステムにかなりの費用を付加することになる。また、OTDRシステムの波長可用性は限られており、センサとともに用いることができる試薬の選択が制限される。現在のシステムのさらなる不利点は、いずれもファイバの屈折率を変化させかねない、導波路材料における不用意な曲げおよび物理的凹凸の故に、OTDRによって検出される信号に干渉が生じることである。そのうえ、現在の技術は、空間分解能力がおよそ10cmと精緻さに欠ける。より精緻な空間分解能が必要とされている。
【0019】
感受性領域の横方向プロービングは、実質的な信号を生成しうる優れた技術であるように思われるが、先行技術は、これと他の付加的な利点とを確認することができなかった。側面照射は、適正に行われたときに、感受性ファイバの微小区間をプローブすることができ、非常に高い空間分解能、およびその結果として、ファイバの長さに沿った複数のセンシングポイントを持つセンサをもたらすことができる。例えば、5mmの高空間分解能は、ファイバの5cmごとに10個のセンシングポイントに繋がり、結果として単一ファイバによる高密度センサアレイを得ることができる。高空間分解能は、化学種の温度および/または濃度が、光ファイバの長さに沿って大きく変化する用途においても望ましい。コンクリート構造内の塩化物イオンのモニタリングは、ファイバに沿った離散的な狭い位置でセンシングを行うことができる例となる。これまでの試みは、低コストで頑丈な分布型センサに繋がる、より簡易な照射技術を提供することができなかった。より重要なことに、先行技術では、クラッドに化学指示薬のない側面照射型光ファイバセンサによって、いくつかのパラメータを検出できることを認めることができなかった。
【0020】
先行技術における、これらならびに他の不備および/または問題を克服する多くのニーズおよび要望が、必ずしも以下には限定されないが、例示されるように存在する:
a.ファイバセンサにおよそ5mm以下の高空間分解能を追加的に提供することができ、正確な検出位置をピンポイントで示すことが可能な、安価なプロービング光源;
b.自動化手段によって作製することができる安価で入手が容易な市販デバイスを使用した、費用対効果の高い光ファイバセンサ・システム;
c.電磁スペクトルの赤外、可視、および紫外領域にわたって使用することができる可撓性デバイス;
d.位置合わせが容易で、曲げおよびアンビエント光のような外部からの干渉による影響を受けない、頑丈なセンシング・デバイス;
e.様々な測定対象をモニターするように適合することができる、包括的な設計が必要とされる;
f.容易に検出されうる強い信号を生成することができる、蛍光ベースおよび吸収ベースのファイバのための強力でなおかつ費用対効果の高いプロービング光源;
g.進化する技術を用いて容易にアップデートすることをできる、モジュール方式のセンシング・システム設計;および
h.所定の測定対象を検出するためにファイバの表面上に固定された化学指示薬を必要としないセンシング・システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらと他の問題およびニーズは、本発明によって首尾よく対処され、克服されることができる。本発明に従って、化学指示薬を使用しない可逆的、頑丈、安価な高空間分解能の分布型光ファイバセンサが提示される。アクティブ・クラッドファイバのバリエーションも提示される。本発明は、電磁スペクトルの赤外、可視、および紫外領域にわたって用いることができる。本発明の光源は、ファイバに付随する環境をプローブするための強力でなおかつ費用対効果の高い手段を提供し、容易に検出されうる強い信号を生成する。本発明は、測定される特定のパラメータに対してそれぞれが感受性を示す、様々な波長を持つ様々な光源とともに用いることができる。本発明は、新しいプロービング光源、新しいセンサ、および新しい計算コードを用いて、絶えずアップデートすることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、一般に、複数のベアコア領域を有する光ファイバ、プロービングもしくは励起光源、電源、検出器、信号プロセッサ、およびディスプレイを備える。プロービングもしくは励起光源は、光ファイバのセンシングポイントと直接光学的に繋がっているが、センシングポイントに隣接して置くこともでき、あるいはこのポイントを照射しうることを条件として、数メートル隔たった平行光線のようにさらに遠くに置くこともできる。本光ファイバは、環境色、濁度、蛍光、スペクトル吸収、化学種の濃度、屈折率のような、かかるパラメータを含む媒体の測定対象、およびこれらの測定対象によって単調な関係で光学的に影響を受ける任意の他の特性を測定するために、センサとして使用することができる。
【0023】
本光ファイバセンサは、光源からのプロービング光によって、外部からある角度で照射される。プロービング光は、光ファイバに付随する領域と相互作用し、この領域が、プローブされたときにプロービング光を変化させて、測定対象の存在によって影響を受けた光信号を発生させる。この光信号は、光ファイバコア中へ光信号として結合され、ファイバの終端と光学的に繋がった検出器へ軸方向に導かれる。検出器は、光信号の強度を電気信号に関連付ける。電気信号は、信号プロセッサへ送信され、測定されている測定対象(色、濁度、屈折率、化学種の濃度など)に関連付けられる。関連付けられた量は、送信されてディスプレイに表示される。
【0024】
光ファイバのコアを取り囲む一部または全体の領域のいずれかが、測定される環境および/または化学種に対して感受性を持つ。Egalon(米国特許第7,473,906号)によって開示された技術とは異なり、感受性ドープは必ずしも必要とされない。結果として得られる感受性ファイバは、可逆的であり、一貫して基準強度信号に戻る。
【0025】
好ましい構成において、プロービング光源は、光ファイバに隣接して置かれて、その感受性領域を照射するUV LEDである。当然のことながら、他の照射源を用いてもよいが、いくつかの理由からUV LEDが好ましい。第一に、UV LEDの選択が優先されるのは、それが安価で容易に入手できる励起光源であり、製造費用が低減されるためである。第二に、最近のLED技術は、強度の改善によりUV LEDのサイズが縮小され、狭くて強力な照会光ビームを得ることができる。加えて、UV LEDが光ファイバへの近接近によって光信号強度を増加させることができ、シリコン光検出器のような安価な検出器を使用することが可能である。最後に、小さいLEDサイズによって、ファイバの長さに沿った複数の位置で小さいクラッド領域を照射することが可能になり、結果として高空間分解能を持つ複数の独立したセンシングポイントが得られる。本技術は、物質における検出ポイントを正確に突き止めて、ファイバの長さに沿った測定対象の空間的な変化を非常に高い分解能で示すこともできる。
【0026】
追加的な実施形態は、検出器と反対方向の光ファイバの第2の末端118に反射体を含み、検出器の方へ後方伝搬モードの方向を変えることによって、光信号を増加させることができる。
【0027】
また別の実施形態は、光信号が光ファイバの感受性領域から検出器へ伝搬するにつれて検出器に向かって全般的に広がる、テーパードコアを持つ感受性光ファイバの使用を含む。このコア構成は、通常の円柱状の光ファイバより多くの光がファイバコア中へ結合される利点を持つ。テーパード光ファイバを用いると、他のやり方ではファイバコアから放散したであろう光線が、低損失の束縛モードとして結合され、ずっと長い距離にわたって伝搬される。このファイバは、線引きタワーとともにテーパ付きガラス・プレフォームを使用して製造することができる。代わりに、このファイバは、ガラス成形における熟練によって手作業で製造することもできる。
【0028】
また別の実施形態では、複数の光源が、ベアコア光ファイバの長さに沿ってリニアアレイ状に置かれ、それぞれの光源が、連続的、同時、あるいは独立に、光ファイバコアに向かってある角度でプロービング光を放出する。アレイの長さは、光ファイバのセンシング領域の長さに実質的に対応する。この配置は、結合される光信号の全体的な光強度を増加させるのに役立つ。
【0029】
別の代わりの実施形態では、センシングファイバを特定の区間においてプローブするために、LED光源の代わりに、照射用光ファイバが使用される。照射用ファイバは、光ファイバの内部にいくつかの誘電体ミラーを埋め込むことによって作製され、センシングファイバに沿って配置される。それぞれのミラーは、45度の角度で置かれ、光を照射用ファイバにおける束縛モードからセンシングファイバの側面に向かって、特定の波長λiで反射するように設計される。これらの波長λiは、センシングファイバに付随する媒体の吸収スペクトルの範囲内にある。入力光の波長を変化させることによって、ファイバセンサに沿った既知の位置における複数のポイントをプローブすることが可能であり、かくして改良された分布型センシング・システムが作り出される。
【0030】
この場合、広帯域光源からの光は、センシングファイバに付随する媒体の吸収スペクトルの範囲内の波長を走査するモノクロメータを通過する。モノクロメータが波長λiに調整されたときに、この波長に合った誘電体ミラーだけが光を感受性光ファイバに向かって結合させ、照射される区間は、この特定の誘電体ミラーの位置に対応する。他の波長に対して、この手順を繰返すことができる。
【0031】
追加的な実施形態は、感受性領域からの信号を増幅する物質がドープされたアクティブ・コア型光ファイバを使用する。この実施形態は、光ファイバ増幅器と同様の仕方で機能する。従って、感受性コーティングからの信号は、ファイバコア中へ結合される。その後、アクティブ・コアが感受性コーティングにより変化した光によって励起され、元の信号が増幅される。この増幅された信号が次に検出器へ導かれる。この実施形態は、長い距離のファイバが使用される場合にいつも好ましい。
【0032】
本発明、およびその代わりの実施形態は、螢光を発する、光を吸収もしくは散乱する物質を含んだ環境において用いることができる。例えば、水中のクロロフィルの濃度は、UV光源を用いてその蛍光を励起することによって決定することができる。液体中の物質の濃度は、比色反応を用いた後の色測定を通じて決定することができる。化学種も、化学物質の吸収シグナチャと一致する異なったピーク波長のいくつかの光源を用いて決定することができる。濁度は、ファイバを任意の波長で側面照射し、結合された光の強度を測定することによって決定することができる。
【0033】
本発明は、Egalon(米国特許第7,473,906号)によって開示された技術の能力を実質的に拡張し、その過程で、主としてUV LEDもしくは可視光LEDのような光源を、感受性光ファイバの感受性領域に直接に隣接して、あるいはさらに遠くに、横方向に置くことによって、光ファイバセンシング・システムをさらに改良するように設計される。この配置は、結合される光信号の強度を増加させて、複雑さおよび製造コストを低減し、小型のLEDを用いた場合、物質中の検出ポイントを高空間分解能で正確に突き止めることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】本発明の動作とその分布型センシング能力とを示すブロック図であり、検体は、螢光性かまたはりん光性のいずれかである。この図において、図の右側にあるプロービング光源(100)は、センシングファイバ(98)の測定対象に関連する媒体中の検体(93)をプローブしており、市販の光ファイバのクラッドの部分(単数または複数)が除去されて、光源に対応するセンシングポイント(92)に位置している。
【図1b】本発明の動作とその分布型センシング能力とを示すブロック図であり、検体は、螢光性か、またはりん光性のいずれかである。この図において、図の左側にあるプロービング光源(100’)は、測定対象に関連する媒体中の検体(93’)をプローブしており、この測定対象に関連する媒体は、光源に対応するセンシングポイント(92’)に位置している。
【図1c】光ファイバコア(106)が検体(93)とプロービング光源(100)との間に位置する、本発明の動作を示すブロック図である。
【図2a】検体が光源から来た放射を吸収するかまたは散乱する、本発明の動作を示すブロック図である。この図において、検体(93)は、プロービング光源(100)と光ファイバコア(106)との間にある。
【図2b】検体が光源から来た放射を吸収するかまたは散乱する、本発明の動作を示すブロック図である。この図において、光ファイバコア(106)は、プロービング光源(100)と検体(93)との間にある。
【図3a】硝酸ナトリウムの濃度に対するセンサ応答のプロットである。
【図3b】カリウムイオンの濃度に対するセンサ応答のプロットである。この曲線は、濁度の尺度でもある。
【図4a】図2aおよび図2bのセンサが、液体のレベル、あるいは液体か気体かに関わらず、異なった流体間の界面を測定するためのデバイスとして、いかに使用されうるかに関する説明図である。この場合、流体界面(176)における液体のレベルは、センシングポイント(92)のうちの1つ(92a)より上にある。
【図4b】図2aおよび図2bのセンサが、液体のレベルを測定するためのデバイスとして、いかに使用されうるかに関する説明図である。この場合、流体界面(176)における液体のレベルは、センシングポイント(92)のうちの1つより下にある。
【図5a】元の光ファイバクラッド(116)を持つセンシングファイバ(98’)の代わりの実施形態である。
【図5b】元のファイバクラッド上に被覆された反応性または感受性フィルム(99)を持つ、センシングファイバ(98’)の代わりの実施形態である。
【図6a】元のファイバ(96)の側面図である。
【図6b】光ファイバクラッド116および保護ジャケット101の区間が除去された、センシングファイバの側面図である。
【図6c】センシングファイバ(98)の第2の末端における反射体(122)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図7】テーパードコア(107)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図8】LED(100a)のリニアアレイ(138)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図9】異なったセンシングポイント(92)を同時に照らす2つのLED(100aおよび100a’)を示す、本発明のセンシングファイバ(98)の代わりの実施形態の側面図である。
【図10a】45度の遠位端を持つ照射用光ファイバの動作を示す説明図である。プロービング光源(100)からの光は、軸方向に注入される。
【図10b】45度の遠位端を持つ照射用光ファイバの動作を示す説明図である。プロービング光源(100,100’,100’’)からの光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図11a】いくつかの長周期ブラッグ格子でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、軸方向に注入される。
【図11b】いくつかの長周期ブラッグ格子でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図12a】いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、軸方向に注入される。
【図12b】いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図13】本発明の検出システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の詳細な記載は、本発明の実施に関して現在考えられる最良のモードである。この記載は、制限的な意味で解釈されるべきではなく、本発明のいくつかの実施形態に関する一般的な原理を説明することのみを目的としてなされる。添付図と関連して以下に提示される詳細な記載は、本発明の現在好ましい実施形態を記載することが意図されており、本発明が構築される、および/または利用されるただ1つの形態を代表することは意図されていない。この記載は、本発明を構築し、かつ動作させるための機能およびステップのシークエンスを、例示される実施形態と関連して提示する。しかし、当然のことながら、本発明の精神および範囲に包含されることが同じく意図された様々な実施形態によっても、同一または同等の機能およびシークエンスを達成することができる。
【0036】
センシングファイバ98のブロック図が図1aに示される。それによれば、プロービング光源100は、ある角度で外部からセンシングファイバ98のセンシングポイント92を照射する。プロービング光源100は、センシングポイント92の領域における検体93から蛍光/りん光を生成することが可能な波長を持つ。プロービング光源100から照射(矢印で示された照射光)されたときに、光ファイバコア106に隣接する検体93は蛍光を発し、この蛍光が、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として、光ファイバコア106中へ結合される。プロービング光源100は、電源114に接続されており、この電源が、光ファイバコア106と光学的に繋がったプロービング光源100に電流を供給する。
【0037】
光ファイバコア106中へ結合された蛍光104aは、シリコン光検出器のような検出器108へ導かれ、この検出器が、蛍光104aの光強度を出力電気信号に関連付ける。この電気信号は、光検出器ケーブル112を経由して照度計のような信号プロセッサ110へ送信される。信号プロセッサ110では信号が増幅され、その光強度が表示される。次に、信号プロセッサ110によって読み取られた強度が、光ファイバコア106を取り囲んだ検体93の濃度に関連付けられる。
【0038】
センシングファイバ98の異なったセンシングポイント92’をプローブし、改良された分布型センシング(図1bを参照)を実現すべく、プロービング光源100’に隣接する第2のセンシングポイント92’をプローブするために、電源114を用いてプロービング光源100’を個別に作動させることができる。
【0039】
この構成は、プロービング光源100と光ファイバコア106との間にある検体93(図1aおよび1b)か、もしくはコアの反対側にある検体(図1c)、またはファイバを完全または部分的に取り囲んだ検体のいずれかとともに用いることができる。
【0040】
水(センシングポイント92における測定対象に関連する媒体)に溶解したクロロフィル(検体93)のためのセンサは、上記の構成の実例である。ここで、クロロフィルは、適切な波長のプロービング光源100によって照射されたときに螢光を発する。この蛍光は、光学的信号104としてファイバコア中へ結合され、その強度は、ファイバコアの周りのクロロフィル濃度の尺度である。
【0041】
図2aおよび2bに示されるように、同様の手法は、吸収、比色、および散乱に基づく光ファイバセンサにも用いることができる。従って、プロービング光源100は、ある角度で外部からセンシングファイバ98のセンシングポイント92を照射する。プロービング光源100は、ファイバのセンシングポイント92に隣接する検体93によって吸収または散乱されることが可能な波長を持つ。プロービング光源100は、電源114に接続され、この電源が、センシングポイント92と光学的に繋がったプロービング光源100に電流を供給する。
【0042】
(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100から照射されたときに、ファイバのセンシングポイント92に隣接し、かつ光ファイバコア106と接触した測定対象に関連する媒体に溶解した検体93は、プロービング光源100からの光を吸収する。残りの光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、検体の濃度に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0043】
図2aおよび2bをさらに参照して、ファイバのセンシングポイント92に隣接して位置する、測定対象に関連する媒体は、検体93と化学試薬との間の比色反応の結果であってもよい。(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100から照射されたときに、ファイバのセンシングポイント92に隣接し、かつ光ファイバコア106と接触した、測定対象に関連する媒体は、プロービング光源100からの光を吸収する。残りの光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、検体の濃度に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0044】
図2aおよび2bを再び参照して、ファイバのセンシングポイント92に隣接した、測定対象に関連する媒体は、(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100からの光を散乱する粒子を含むことができる。この散乱光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、濁度のような測定対象に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0045】
いずれにしても、プロービング光源100からの光は、周囲の環境によって変化し、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合されて、シリコン光検出器のような検出器108へ導かれ、この検出器が、吸収光の光強度を出力電気信号に関連付ける。この電気信号は、光検出器ケーブル112を経由して、照度計のような信号プロセッサ110へ送信される。信号プロセッサ110では信号が増幅されて、その光強度が表示される。信号プロセッサ110によって読み取られた強度は、次に、センシングファイバ98を取り囲んだものか、あるいは元の未反応媒体に初めから存在したものかいずれかの化学種の濃度と関連付けられる。既に述べたように、分布型センシングは、ファイバのセンシングポイント92’を別のプロービング光源100’を用いてプローブすることによって実現することができる。同様に、この構成は、図2aに示されるように、プロービング光源100と光ファイバコア106との間のセンシングポイント92において、検体93もしくは測定対象に関連する反応済みの媒体とともに用いることもでき、あるいは図2bに示されるように、コアの反対側にある検体もしくは反応済みの媒体とともに用いることもできる。
【0046】
図2aおよび2bに示される構成は、様々な化学種を検出するための比色計として、濁度を検出するための濁度計として、および所定の液体のレベルを検出するための屈折計として用いることができる。
【0047】
以下には限定されないが、pHならびに鉄、硝酸塩、りん酸塩およびアンモニアの濃度のような様々なパラメータを検出するために用いることができる、いくつかの比色反応が存在する。具体的な例は、米国メリーランド州チェスタートンのLaMotte Company、から入手可能な、市販のりん酸塩検査キット3466である。この検査キットでは、水系サンプルが収集され、そこに試薬錠が溶解される。この水系サンプルに色が生じ、この色を用いて化学種の濃度を測定することができる。本発明では、試薬錠と反応した検体93を含んだ、センシングポイント92に位置するこの着色溶液を、光ファイバコア106と接触するように配置することができる。白色光源100bまたは様々な波長を持つ任意の他の適切な光によって、センシングポイント92における溶液を横から照射することができ、吸収光は、ファイバコア中へ結合され、その強度が検波器108によって測定される。
【0048】
別の具体的な例は、上述のLaMotte Companyから市販される硝酸塩検査キット3473である。この検査キットでは、水系サンプルが収集され、そこに硝酸塩の試薬錠が溶解される。既に述べたように、この水系サンプルに色が生じ、白色光の照射によってファイバに結合された光の強度が測定される。硝酸ナトリウムの様々な濃度に対する、この信号の強度が図3aに示される。N=50(データポイント数)およびR=0.9868(相関係数)を持つこのデータに対して、線形方程式がフィッティングされた。ピアソンの相関係数rの臨界値を用いると、この相関係数は、99%超の信頼水準に相当する。
【0049】
図2bのセンサ構成を用いて、濁度計が実証された。図3bは、この構成を用いて得られたデータである。この場合、よく知られたテトラフェニルホウ酸ナトリウム(TPB:sodium tetraphenylborate)法により試薬としてTPBを使用し、濁度を利用してサンプル溶液中のカリウムイオン濃度が測定された。この方法を用いて、希釈比1:5の様々な濃度の塩化カリウム(KCl)溶液8mLが、金属阻害剤および0.05gのTPBを含む水酸化ナトリウム試薬2滴と混合された。センシングポイント92における溶液は、カリウムイオンとTPBとの反応が生じた後に濁り、光ファイバコア106と接触中に白色光源100bが照射された。センシングポイント92におけるサンプルにより散乱された光によって光ファイバコア106中へ結合された光の量が、光検出器108aを用いて測定された。カリウムイオンの様々な濃度に対する、この信号強度が図3bに示される。注目すべきことに、このTPB試薬を元の媒体に加えることによって測定対象に関連する媒体は濁り、元の媒体中のカリウムイオン濃度が高くなるにつれて濁度も高くなる。その結果として、溶液によって散乱される信号が然るべく増加する。このグラフは、6個のデータポイントを含んだ対数線形曲線を用いてフィティングされ、非常に高い相関係数R=0.96が得られた。使用された濃度は、カリウムイオン50、100、200、300および400ppmであった。ピアソンの相関係数の臨界値を用いると、この結果は、99%超の信頼水準に相当する(Triola、2007の表A−6)(M.F.Triola、“Elementary Statistics(初等統計学)”、第10版、Pearson/Addison Wesley、2007を参照)。この実験が他に数回繰り返され、信頼水準について同様の値が得られた。この濁度センサをテストする別の方法は、例えば、Hach Company、ラブランド、コロラド州、米国から「ホルマジン・キャリブレーションキット」(2008〜2009年版カタログ)で購入される、濁度標準ホルマジンの使用によるものである。
【0050】
図2aおよび2bの構成は、所定の筺体内の液体レベルを検出するために、安価な屈折計として使用することもできる。例えば、図2bを参照して、センシングポイント92における測定対象に関連する媒体は、ガソリン、水または空気のいずれかとすることができる。センシングポイント92が空気に囲まれているときに、検出器108によって読み取られる強度は、例えば、989ユニットである。センシングポイントが水に囲まれているときに、読み取られる強度は、500ユニットである。図4aおよび4bは、このセンサが液体レベルセンサとしていかに使用されうるかを示す。図4aおよび4bは、流体界面176を持つ液体174に浸漬された、容器172内のセンシングファイバ98を示す。液体レベルより上には空気178がある。センシングファイバ98は、LED138のリニアアレイに取り付けられている。図4aにおいて、プロービング光源100と関連付けられるセンシングポイントが液体174に浸漬されているときに検出器108によって検出され、読み出し111によって読み取られる信号は、図4bにおいて同じ読み出しによって読み取られる信号より低い。この結果は、高い方の信号の読み取りは、センシングポイントが液体レベルより上にあることを示唆し、一方で低い方の信号の読み取りは、センシングポイントが液体レベルより下にあることを示唆することを示す。液体のレベルを決定するために、残った他のセンシングポイントに対して、この手順を繰り返すことができる。
【0051】
上記の構成に代わる選択肢が図5aに示される。この例では、センシングファイバ98’の元のクラッドは維持され(すなわち、除去されず)、センシングポイント92においてファイバが測定対象に関連する媒体に取り囲まれた状態で、プロービング光源100によって外部から照射される。この構成は、ファイバクラッドの除去を必要としないので、結果としてセンサの製造が簡易化される。この同じクラッド付きファイバを、元のクラッド上に被覆された反応性フィルム99とともに使用することができる(図5bを参照)。この反応性フィルムは、標的とする種に対して感受性を持つ指示薬を有する。
【0052】
注目すべきことに、記載されるすべてのファイバセンサ構成は、図5bを除いて、ファイバ上に固定された化学指示薬を必要とせず、Egalon(米国特許第7,473,906号)によって提案されたものより簡易である。
【0053】
図1、2、5および8に示される構成のプロービング光源は、個別にアドレス可能な複数のLEDダイを含んだLEDによって置き換えることができる。これらのLEDは、異なった波長で発光する1つより多いダイを持つことができ、これを用いて単一のセンシングポイントを3つの異なった波長でプローブし、そのセンシングポイントにおける1つより多いパラメータを検出することができる。
【0054】
記載されるすべての実施形態において、センシングファイバ98を製造するための様々な方法が存在する。最も容易な方法の1つは、図6a、光ファイバコア106、外側保護ジャケット101および光ファイバクラッド116を持つ、市販の光ファイバ96aを入手することである。図6bに示されるように、外側保護ジャケット101および光ファイバクラッド116は、所望通りに特定の位置において除去され、検体(例えば、硝酸塩)を感知するように選択される。ガラスおよびプラスチックファイバを含めて、このタスクに適したいくつかの市販の光ファイバ96aが存在する。高信号出力を持つセンシングファイバ98を提供するために、かかるファイバは、他の直径も許容可能な結果を生み出しうるとは言え、好ましくは直径1mmから1.5mmの太い光ファイバコア106を持つことになろう;しかしながら、より細いまたはより太い直径を用いることもできる。
【0055】
ガラスコア106a(例えば、図6aを参照)、プラスチッククラッド116a、およびプラスチックジャケット101aでできたファイバを用いて、センシングファイバ98を元のファイバ96から製造することができる。これは、プラスチッククラッドおよびジャケット(図6aを参照)の特定の区間を、センシングが望まれるポイントで除去することによって行われる。この除去は、化学的手段によるか、(ブレードを用いた)機械的手段によるか、あるいは保護ジャケット101とプラスチッククラッド116aとを焼き落とす熱源の使用を通じて行うことができる。これらの方法のいずれかによって、ガラスコア106aが外部環境に露出される。その結果、図6bに示されるように、ファイバのセンシングポイント92の周りが剥離された領域が得られる。この説明図は、単一の剥離領域、センシングポイント92を示すが、所望通りに複数の区間を同様にセンサから剥離することもでき、あるいは光ファイバコア106の全長を露出させることもできる。
【0056】
TorayのRaytela(登録商標)PBFU−FB1000(Raytela(登録商標)は、日本、東京の東レ株式会社(Toray Industries,Inc.)コーポレーション)の登録商標である、のような、市販のプラスチック光ファイバも、センサを作り出すために使用することができる。このファイバは、プラスチックコアとクラッドとを持つが、ジャケットは持たない。クラッドの除去は、D.F.Merchant,P.J.Scully and N.F.Schmitt,“Chemical tapering of polymer optical fibre(ポリマー光ファイバの化学的テーパリング)”,Sensors and Actuators,vol76,pp.365−371,1999に記載される手順に従って、アセトンを用いることによって行われる。
【0057】
図6cを見ると、追加的な実施形態は、ファイバ120の第1の末端に位置する検出器108の方へ後方伝搬モード124の方向を変えることによって光信号を増加させるために、検出器108と反対方向の、センシングファイバ98の第2の末端118に反射体122を含み、蛍光、吸収、または散乱のいずれかに基づく信号を増加させる。
【0058】
図7に示されるまた別の実施形態は、蛍光104aが示される所でセンシングポイント92から検出器108へ伝搬するにつれて検知器に向かって全般的に広がる、テーパードコア107を持つ光ファイバセンサ98aの使用を含む。テーパードコアとクラッドとの間の界面が、128であることが示されている。このテーパードコア107の構成は、他の構成に比べて、光ファイバコア106中へより多くの光を結合させる利点があり、結果としてセンシングファイバ98の信号が増加する。テーパード光ファイバコア107を用いると、他のやり方では光ファイバコア106から放散したであろう光線が、低損失の束縛モードとして結合され、ずっと長い距離にわたって伝搬される。このファイバは、線引きタワーとともにテーパ付きガラスプレフォームを使用して、一定速度で引く間に製造することができる。別の方法は、通常の円筒状プレフォームを速度を変えて引いて、ファイバにテーパを作り出す。代わりに、このファイバは、ガラス成形の熟練者によって手作業で製造することもできる。別の方法では、先に参照したMerchantらによって概説された手順を用いて、プラスチック光ファイバにテーパが付けられる。
【0059】
また別の実施形態では、図8に見られるように、UV LED 100aのような複数の光源が、センシングファイバ98の長さに沿ってリニアアレイ状に光ファイバ支持体134中に搭載され、それぞれのプロービング光源100は、光ファイバコア106に向かって同時に励起光を放出する(図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bを参照)。LEDのリニアアレイ138の長さは、(同じく図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bに示されるように)センシングファイバ98のセンシングポイント92の長さに実質的に対応する。この配置を用いて、センシングファイバ98の全体的な信号を増加させることができる。光ファイバコネクタ132は、センシングファイバ98のファイバ端部に保護を提供して、破壊を防ぎ、かつセンシングファイバ98の端部を検出器108に隣接して再現性よく位置決めすることを可能にする(例えば、図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bも参照)。それぞれのLED 100aを交互にオンオフすることによって、特定のセンシングポイント92をプローブすることが可能であり、改良された分布型センシングファイバ98がもたらされる。
【0060】
電源114(図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bを参照)は、好ましくは、LED 100aの電流制限を超えないように設計される。Sandhouse DesignのLED−PS(米国フロリダ州ダニーデンのSandhouse Design LLC)のような光源のための電源として、市販のLEDドライバを用いることができる。
【0061】
図9aは、センシングポイント(92)における所定の検体(93)を測定するために、検出器(108)とともに側面照射型感受性光ファイバ(98)のいくつかのセンシングポイント(92、92’、92’’...)用いる、簡易な分光計のようなデバイスの説明図である。それぞれのセンシングポイント(92)は、それらに対応する異なったピーク波長λiを有するプロービング光源(100、100’...)によって照射される。これらのセンシングポイントのそれぞれが1度に1つプローブされたときに、検出器は、点灯された光源(100)の信号を読み取る。ピーク波長の異なったそれぞれの光源に対する検体(93)の吸収に起因するセンサ応答をマッピングすることによって、簡易な分光計のように機能する非常に安価なデバイスを手にすることができる。この分光計のようなデバイスの分解能は、それぞれのプロービング光源(100)の波長の帯域幅Δλiに依存する。
【0062】
図9bは、センシングファイバ(98)が少なくとも2つのセンシングポイント(92)を持つ代わりの実施形態の説明図であり、センシングポイント(92)は、それらに対応するLED(100a)によって同時に照射される。これらのLEDは、異なった波長を有し、それ故にこれらのLEDに対応するセンシングポイントにおいてプローブされる測定対象を、光ファイバ(120)の第1の末端に位置する分光計(108c)を用いて同時に測定することができる。
【0063】
前述の実施形態に加えて、これらの照射スキームに代わる実施形態も可能である。例えば、LED 100aは、OLED(有機発光ダイオード:Organic Light Emitting Diode)の細片に置き換えることができる。かかるOLEDは、光ファイバセンサがその上に搭載される細片中に組み込むことができる。
【0064】
図10aは、センシングファイバ98のセンシングポイント92(図2aおよび2bを参照)をプローブするために照射用光ファイバ144を用いる、代わりの実施形態を示す。この場合、照射用光ファイバ144は、照射光150のためのライトガイドとしての機能を果たし、照射用光ファイバ144は、センシングファイバ98と平行して配置される。照射用光ファイバ144は、センシングファイバ98のセンシング領域の方へ照射光150の方向を変える、遠位の反射端面148を、他の角度を用いてもよいが、およそ45度の角度で含む。しかしながら、光がセンシング領域へ向かうことを条件として、45度以外の角度も使用可能である。この実施形態において、照射光は、プロービング光源100によってファイバ152の近位端で発生し、軸方向に導入される。遠位の反射端面148の位置は、センシングファイバ98の種々の区間をプローブするために変化させることができ、あるいはそれぞれがセンシングファイバ98の特定の領域をプローブする複数の照射用ファイバを用いることもできる。
【0065】
図10bは、複数の照射用プロービング光源100、100’、100’’などが照射用光ファイバ144を側面照射する、図10aの代わりの実施形態を示す。これは、照射用光ファイバ144の様々な光源からの多重同時照射を可能にするので、好ましい構成である。これは、ファイバ152の小さい近位端に光をフォーカスするための光源の正確な位置合わせもレンズの使用も必要としないので、照射用ファイバも簡易化される。この特定の構成に対して、照射用光ファイバ144は、好ましくはクラッドが存在しないポイントに照射されるべきである。照射用光ファイバ144の照射は、センシングファイバ98の照射と同様の方法で達成される。また、この場合、照射用光ファイバ144は、単一のファイバを必要とする簡易なN×1カプラーとしての機能を果たす。
【0066】
また別の代わりの実施形態は、図11aに見られるように、いくつかの長周期格子156を持つ照射用光ファイバ154を用いる。この照射用ファイバ154もやはり、センシングファイバ98に沿って配置され、長周期格子156を通じてその区間のいくつかを照射する。それぞれの長周期格子156は、照射用光ファイバ154の束縛モードコア158からの光が、センシング領域の吸収スペクトルの範囲内の特定の波長λiで放射モード162へ結合するように設計される。この場合、広帯域プロービング光源100からの光は、センシングファイバ98のセンシング領域の吸収スペクトルの範囲内の波長を走査するモノクロメータ160を通過する。モノクロメータ160が波長λiに調整されたときに、この波長に合った特定の長周期格子156だけがセンシングファイバ98に向かって光を結合させ、照射される区間は、この特定の長周期格子156の位置に対応する。他の波長に対して、この手順を繰返すことができる。プロービング光源100、100’および100’’が、照射用ファイバの側面に配置される図11aに示されるような構成に対して、図11bに概略が示されるのと同じ手順を用いることができる(図11bを参照)。この場合、それぞれのプロービング光源100、100’および100’’は、照射用ファイバ154中の格子に合った様々なピーク波長の光源であるように選択することができる。
【0067】
照射用ファイバのさらに2つの実施形態が、それぞれ軸方向照射および側面照射について図12aおよび12bに示される。この場合、照射用ファイバ157は、いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180を備えるように製造され、それぞれのミラーは、45度の角度で配置される。それぞれの埋め込み型誘電体ミラーは、光を、照射用ファイバの束縛モードから放射モードへ、センシングファイバ98のセンシングポイント92に向かって特定の波長λi(例えば、λ1、λ2およびλ3)で反射するように設計される。このファイバは、ブラッグ格子でできた照射用ファイバと同様に機能するが、製造するのがより安価な利点を持つ。これらの波長λiは、センシングファイバ98を取り囲むセンシングポイント92(図1a、1bおよび1cを参照)における測定対象に関連する媒体の吸収スペクトルの範囲内にある。入力光の波長を変化させることによって、ファイバセンサに沿った既知の位置で複数のポイントをプローブすることが可能であり、かくして改良された分布型センシング・システムが作り出される。
【0068】
図11aおよび12aの両方の場合に、モノクロメータは、LEDおよびレーザのような複数の単色光源によって置き換えることができる。
【0069】
図13には、光を通さない筺体109内のシリコン光検出器108b、光検出器ケーブル112、オス・コネクタ164および読み出しユニット111を備える、検出システムの実施形態が示される。オス・コネクタ164は、読み出しユニット111においてメス・コネクタ168に接続される。光検出器108aは、光を通さない筺体109内に搭載され、図8に示される光ファイバコネクタに接続することができる。検出器のリード線は、光電信号を増幅回路へ送信するケーブルに接続される。この回路は、信号を増幅し、その強度が読み出し111のディスプレイ170に表示される。最新技術とともに用いることができるいくつかの市販の検出システム、例えば、AEMCの機器、照度計モデルCA811(Chauvin Arnoux(登録商標),Inc.事業実施名称、AEMC(登録商標)Instruments、フォックスボロ、マサチューセッツ州、米国、Hamamatsu Corporationのフォトダイオード・モジュールC10439(浜松ホトニクス株式会社、浜松市、日本に本社があり、子会社Hamamatsu Corporation、ブリッジウォーター、ニュージャージー州、米国を持つ)、およびSandhouse Designの一点検出器モデルNo.SPD−UV/VIS(Sandhouse Design、ブリッジウォーター、ニュージャージー州)が存在する。
【0070】
本発明は、その様々な形態において、以下には限定されないが、溶液の濁度および色、クロロフィルの濃度、液体のレベルその他のモニタリングを含む、多くの異なった用途に用いることができる。
【0071】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されたが、本発明の概念から逸脱することなく、本発明のさらなるバリエーションが考案されうることが認識される。多くの改良、変更および追加は、本明細書に記載され、かつ以下の請求項に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者にとって明らかとなるであろう。
【符号の説明】
92:センシングポイント、露出したコア領域
92a:特定のセンシングポイント
93:検体、測定対象媒体
96:元の光ファイバ
96a:市販の光ファイバ
98:センシングファイバ、感受性光ファイバ
98a:テーパードコアを持つ光ファイバセンサ
99:反応性フィルム、感受性フィルム
100:プロービング光源
100a:LED
100b:白色光源
101:保護ジャケット
101a:プラスチックジャケット
104:光学的信号
104a:蛍光
106:光ファイバコア、コア
106a:ガラスコア
107:テーパードコア
108:検出器
108a:光検出器
108b:シリコン光検出器
108c:分光計
109:光を通さない筺体
110:信号プロセッサ
111:読み出し
112:光検出器ケーブル
114:電源
116:光ファイバクラッド
116a:プラスチッククラッド
118:光ファイバの第2の末端
120:光ファイバの第1の末端
122:反射体
124:後方伝搬モード
128:テーパードコアとクラッドとの間の界面
132:光ファイバコネクタ
134:光ファイバ支持体
138:LEDのリニアアレイ
144:照射用光ファイバ
148:遠位の反射端面
150:照射光
152:ファイバの近位端
154:いくつかの長周期格子を持つ照射用光ファイバ
156:長周期格子
157:埋め込み型誘電体ミラーを持つ照射用ファイバ
158:照射用光ファイバの束縛モードコア
160:モノクロメータ
162:放射モード
164:光検出器のオス・コネクタ
168:読み出しユニットのメス・コネクタ
170:ディスプレイ
172:容器
174:液体
176:流体界面
178:空気
180:埋め込み型誘電体ミラー
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年1月30日に出願された米国特許仮出願第61/148,564号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府の支援に関する参照
該当なし
【0003】
マイクロフィッシュ付録への参照
該当なし
【0004】
本発明は、一般に分光学に基づく光ファイバセンサに関する。特に、本発明は、散乱、吸収、比色、螢光およびりん光に基づくセンサに関する。
【背景技術】
【0005】
分光学に基づく光ファイバセンサは、歪み、圧力、温度、化学種、濁度、色および他の測定対象を検出するために、いくつかの用途に用いることができる。これらのタイプのセンサに、2つの別々の手法:オプトロード(もしくはオプトード)および分布型センシング手法が用いられてきた。
【0006】
オプトロードは、最も簡易なタイプの光ファイバセンサである。オプトロードは、光ファイバの遠位端に位置する指示薬と、近位端における励起光源および検出器とを備える。励起光は、ファイバを通って進み、指示薬と相互作用してスペクトル信号(蛍光、りん光、比色および/または吸収に基づく信号)を生成する。この信号は、近位端に戻って検出器により収集され、測定されているパラメータに関係付けられる。この場合、ファイバは、その遠位端に単一の感受性領域を有し、光が擾乱を受けずに近位のファイバ端から指示薬までを往復して伝搬するための導管としてのみ役割を果たす。
【0007】
分布型センシング手法では、ファイバ全体もしくはファイバの区間が、信号用の導管としてもセンサとしても機能を果たす。このファイバは、測定されるパラメータに対して感受性を持つ単一のモノリシック・クラッドを用いて製造することもでき、あるいはいくつかの相互に分離された感受性クラッド区間を用いて作製することもできる。手法に関わらず、これらの感受性領域もしくは反応領域は、励起光によってプローブすることができ、結果として多点式準分布型センシング・デバイスがもたらされる。複数の空間的測定を行うために、分布型センサが単一のファイバ・ストランドを必要とするのに対して、オプトロードは、数個のファイバを必要とする。それ故に、分布型センシングの利点は、複数の空間的測定を単一のデバイスを用いて行うことができることである。
【0008】
分布型光ファイバセンサのセンシングポイントは、2つの異なった方法:軸方向か、または横方向のいずれかでプローブすることができる;しかしながら、本明細書では、横方向プロービングが優れた動作モードであると判断される。
【0009】
軸方向プロービングは、センサファイバをプローブするための手段として広く用いられている。軸方向プロービングでは、光がファイバの一端からその軸に沿って注入され、そのエバネッセント波尾を通じて周囲のクラッドと相互作用する。その後、クラッドが、エバネッセント領域のプロービング光を吸収し、いずれかのファイバ端で検出することができる吸収、散乱またはルミネッセンス信号のいずれかを生成する。
【0010】
しかしながら、軸方向プロービングに係るこのタイプの励起には重要な不利点がある。例えば、励起光のエバネッセント波と、感受性クラッドとの相互作用は非常に弱いので、結果として生じる信号を検出するために、高出力電源、高価な検出スキームおよび/または非常に長い光ファイバのような、高価な機器を必要とする。加えて、配置によっては、(レーザのような)光源とファイバ軸との位置合わせに注意深い取り扱いが必要である。
【0011】
“One−dimensional Arrays on Optical Fibers(光ファイバ上の1次元アレイ)”と題する、Schwabacherらの国際公開第2001/71316号(’316号)、(同じく、2007年7月17日発行の米国特許第7,244,572号)は、アレイにおけるそれぞれの反応領域が化学種に対して感受性を持つ、光ファイバに沿って配置された化学センサのリニアアレイを実証する。それぞれの一連の反応領域は、クラッドのような実質的に不活性な領域で分離される。この実質的に不活性な領域は、最小限の長さを持つ必要があり、好ましい長さは250cmと述べられている。公開’316号は、軸方向と横方向と両方の励起方法を実証しており、軸方向の方法が好ましいモードである。
【0012】
好ましい実施形態において、公開’316号は、励起光を光ファイバへ導入するために、狭い軸方向のレーザ・パルスを用いる。それぞれの反応領域は、ファイバに沿って最小距離で分離され、反応性領域間の領域は、実質的に不活性である。この比較的長い不活性区間は、一連の反応領域からの螢光の痕跡が重複するのを防ぐために、公開’316号に利用される技術によって必要とされる。光源(例えば、レーザ、ダイオードレーザ、気体レーザ、色素レーザ、固体レーザ、LEDなど)からの励起光は、軸方向に光ファイバへ導入され、次にこの光が反応領域に供給される。
【0013】
いくつかの、または何百もの反応領域のうちのどれが信号を生成しているかを決定するためには、励起パルスとリターン信号との間の時間遅延を正確に知って、それを個々の反応領域の光源からの距離に関連付けなければならない。この決定は、オシロスコープおよび光電子増倍管の使用のような、正確な機器の使用によって時間、距離、および波長を測定することを必要とする。何百もの種を測定するために、この配置には極めて長い距離のファイバが必要であり、それ故に分析デバイスの全体的なサイズおよび複雑さが増加する。加えて、精密機器は、全体的な機器コストを著しく増加させる可能性がある。
【0014】
励起光は、センシングファイバ上の反応領域へ励起用ファイバ(単数または複数)を用いて導入することもできる。これも、光を軸方向に励起用ファイバへ導入することが必要である。一実施形態において、反応領域当たり1つの励起用ファイバが必要であり、それぞれのファイバは、励起光を横方向にセンシングファイバの反応領域へ導入する。
【0015】
別の実施形態は、励起光を横方向に反応領域へ供給するために、ビームスプリッタの使用を必要とする。ビームスプリッティング技術は、高価な高出力レーザを利用するが、より多くのビームスプリッタが励起光を感受性コーティングへ逸らすにつれて、強度の減衰を生じる。
【0016】
別のスキームにおいて、励起用(または照射用)ファイバは、その長さに沿った小さい区間からクラッドを除去することによって用意される。その後、これらの区間が近くのセンシングファイバ上の反応領域に隣接して取り付けられ、そのエバネッセント場が、横方向にセンシングファイバを励起することが可能になる。不利点は、励起用ファイバのエバネッセント場が非常に弱いので、ごく僅かなパワーしかセンシングファイバに供給されないことである。加えて、他の軸方向および横方向励起の方法が公開されている;しかしながら、これらの方法は、概ね費用対効果が高くなかった。
【0017】
公開’316号のこれらの実施形態は、おそらく動作可能であるとは言え、複雑さ、製造費用、および設計のロバスト性によって制限される。反応領域と不活性領域とが交互する区間を製造するためには、残りの不活性領域はそのままにして、反応領域のみクラッドを除去しなければならない。このようにクラッドを交互に除去するのは、大量生産の費用および複雑さを増加させ、製造におけるオートメーションの選択を制約する。
【0018】
加えて、産業に利用される他の技術は、光パルス試験器(OTDR:optical time domain reflectometer)のような、高価な機器の使用を必要とする。OTDRは、およそ3,000米ドル以上の費用がかかることから、軸方向励起技術を用いる任意のシステムにかなりの費用を付加することになる。また、OTDRシステムの波長可用性は限られており、センサとともに用いることができる試薬の選択が制限される。現在のシステムのさらなる不利点は、いずれもファイバの屈折率を変化させかねない、導波路材料における不用意な曲げおよび物理的凹凸の故に、OTDRによって検出される信号に干渉が生じることである。そのうえ、現在の技術は、空間分解能力がおよそ10cmと精緻さに欠ける。より精緻な空間分解能が必要とされている。
【0019】
感受性領域の横方向プロービングは、実質的な信号を生成しうる優れた技術であるように思われるが、先行技術は、これと他の付加的な利点とを確認することができなかった。側面照射は、適正に行われたときに、感受性ファイバの微小区間をプローブすることができ、非常に高い空間分解能、およびその結果として、ファイバの長さに沿った複数のセンシングポイントを持つセンサをもたらすことができる。例えば、5mmの高空間分解能は、ファイバの5cmごとに10個のセンシングポイントに繋がり、結果として単一ファイバによる高密度センサアレイを得ることができる。高空間分解能は、化学種の温度および/または濃度が、光ファイバの長さに沿って大きく変化する用途においても望ましい。コンクリート構造内の塩化物イオンのモニタリングは、ファイバに沿った離散的な狭い位置でセンシングを行うことができる例となる。これまでの試みは、低コストで頑丈な分布型センサに繋がる、より簡易な照射技術を提供することができなかった。より重要なことに、先行技術では、クラッドに化学指示薬のない側面照射型光ファイバセンサによって、いくつかのパラメータを検出できることを認めることができなかった。
【0020】
先行技術における、これらならびに他の不備および/または問題を克服する多くのニーズおよび要望が、必ずしも以下には限定されないが、例示されるように存在する:
a.ファイバセンサにおよそ5mm以下の高空間分解能を追加的に提供することができ、正確な検出位置をピンポイントで示すことが可能な、安価なプロービング光源;
b.自動化手段によって作製することができる安価で入手が容易な市販デバイスを使用した、費用対効果の高い光ファイバセンサ・システム;
c.電磁スペクトルの赤外、可視、および紫外領域にわたって使用することができる可撓性デバイス;
d.位置合わせが容易で、曲げおよびアンビエント光のような外部からの干渉による影響を受けない、頑丈なセンシング・デバイス;
e.様々な測定対象をモニターするように適合することができる、包括的な設計が必要とされる;
f.容易に検出されうる強い信号を生成することができる、蛍光ベースおよび吸収ベースのファイバのための強力でなおかつ費用対効果の高いプロービング光源;
g.進化する技術を用いて容易にアップデートすることをできる、モジュール方式のセンシング・システム設計;および
h.所定の測定対象を検出するためにファイバの表面上に固定された化学指示薬を必要としないセンシング・システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらと他の問題およびニーズは、本発明によって首尾よく対処され、克服されることができる。本発明に従って、化学指示薬を使用しない可逆的、頑丈、安価な高空間分解能の分布型光ファイバセンサが提示される。アクティブ・クラッドファイバのバリエーションも提示される。本発明は、電磁スペクトルの赤外、可視、および紫外領域にわたって用いることができる。本発明の光源は、ファイバに付随する環境をプローブするための強力でなおかつ費用対効果の高い手段を提供し、容易に検出されうる強い信号を生成する。本発明は、測定される特定のパラメータに対してそれぞれが感受性を示す、様々な波長を持つ様々な光源とともに用いることができる。本発明は、新しいプロービング光源、新しいセンサ、および新しい計算コードを用いて、絶えずアップデートすることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、一般に、複数のベアコア領域を有する光ファイバ、プロービングもしくは励起光源、電源、検出器、信号プロセッサ、およびディスプレイを備える。プロービングもしくは励起光源は、光ファイバのセンシングポイントと直接光学的に繋がっているが、センシングポイントに隣接して置くこともでき、あるいはこのポイントを照射しうることを条件として、数メートル隔たった平行光線のようにさらに遠くに置くこともできる。本光ファイバは、環境色、濁度、蛍光、スペクトル吸収、化学種の濃度、屈折率のような、かかるパラメータを含む媒体の測定対象、およびこれらの測定対象によって単調な関係で光学的に影響を受ける任意の他の特性を測定するために、センサとして使用することができる。
【0023】
本光ファイバセンサは、光源からのプロービング光によって、外部からある角度で照射される。プロービング光は、光ファイバに付随する領域と相互作用し、この領域が、プローブされたときにプロービング光を変化させて、測定対象の存在によって影響を受けた光信号を発生させる。この光信号は、光ファイバコア中へ光信号として結合され、ファイバの終端と光学的に繋がった検出器へ軸方向に導かれる。検出器は、光信号の強度を電気信号に関連付ける。電気信号は、信号プロセッサへ送信され、測定されている測定対象(色、濁度、屈折率、化学種の濃度など)に関連付けられる。関連付けられた量は、送信されてディスプレイに表示される。
【0024】
光ファイバのコアを取り囲む一部または全体の領域のいずれかが、測定される環境および/または化学種に対して感受性を持つ。Egalon(米国特許第7,473,906号)によって開示された技術とは異なり、感受性ドープは必ずしも必要とされない。結果として得られる感受性ファイバは、可逆的であり、一貫して基準強度信号に戻る。
【0025】
好ましい構成において、プロービング光源は、光ファイバに隣接して置かれて、その感受性領域を照射するUV LEDである。当然のことながら、他の照射源を用いてもよいが、いくつかの理由からUV LEDが好ましい。第一に、UV LEDの選択が優先されるのは、それが安価で容易に入手できる励起光源であり、製造費用が低減されるためである。第二に、最近のLED技術は、強度の改善によりUV LEDのサイズが縮小され、狭くて強力な照会光ビームを得ることができる。加えて、UV LEDが光ファイバへの近接近によって光信号強度を増加させることができ、シリコン光検出器のような安価な検出器を使用することが可能である。最後に、小さいLEDサイズによって、ファイバの長さに沿った複数の位置で小さいクラッド領域を照射することが可能になり、結果として高空間分解能を持つ複数の独立したセンシングポイントが得られる。本技術は、物質における検出ポイントを正確に突き止めて、ファイバの長さに沿った測定対象の空間的な変化を非常に高い分解能で示すこともできる。
【0026】
追加的な実施形態は、検出器と反対方向の光ファイバの第2の末端118に反射体を含み、検出器の方へ後方伝搬モードの方向を変えることによって、光信号を増加させることができる。
【0027】
また別の実施形態は、光信号が光ファイバの感受性領域から検出器へ伝搬するにつれて検出器に向かって全般的に広がる、テーパードコアを持つ感受性光ファイバの使用を含む。このコア構成は、通常の円柱状の光ファイバより多くの光がファイバコア中へ結合される利点を持つ。テーパード光ファイバを用いると、他のやり方ではファイバコアから放散したであろう光線が、低損失の束縛モードとして結合され、ずっと長い距離にわたって伝搬される。このファイバは、線引きタワーとともにテーパ付きガラス・プレフォームを使用して製造することができる。代わりに、このファイバは、ガラス成形における熟練によって手作業で製造することもできる。
【0028】
また別の実施形態では、複数の光源が、ベアコア光ファイバの長さに沿ってリニアアレイ状に置かれ、それぞれの光源が、連続的、同時、あるいは独立に、光ファイバコアに向かってある角度でプロービング光を放出する。アレイの長さは、光ファイバのセンシング領域の長さに実質的に対応する。この配置は、結合される光信号の全体的な光強度を増加させるのに役立つ。
【0029】
別の代わりの実施形態では、センシングファイバを特定の区間においてプローブするために、LED光源の代わりに、照射用光ファイバが使用される。照射用ファイバは、光ファイバの内部にいくつかの誘電体ミラーを埋め込むことによって作製され、センシングファイバに沿って配置される。それぞれのミラーは、45度の角度で置かれ、光を照射用ファイバにおける束縛モードからセンシングファイバの側面に向かって、特定の波長λiで反射するように設計される。これらの波長λiは、センシングファイバに付随する媒体の吸収スペクトルの範囲内にある。入力光の波長を変化させることによって、ファイバセンサに沿った既知の位置における複数のポイントをプローブすることが可能であり、かくして改良された分布型センシング・システムが作り出される。
【0030】
この場合、広帯域光源からの光は、センシングファイバに付随する媒体の吸収スペクトルの範囲内の波長を走査するモノクロメータを通過する。モノクロメータが波長λiに調整されたときに、この波長に合った誘電体ミラーだけが光を感受性光ファイバに向かって結合させ、照射される区間は、この特定の誘電体ミラーの位置に対応する。他の波長に対して、この手順を繰返すことができる。
【0031】
追加的な実施形態は、感受性領域からの信号を増幅する物質がドープされたアクティブ・コア型光ファイバを使用する。この実施形態は、光ファイバ増幅器と同様の仕方で機能する。従って、感受性コーティングからの信号は、ファイバコア中へ結合される。その後、アクティブ・コアが感受性コーティングにより変化した光によって励起され、元の信号が増幅される。この増幅された信号が次に検出器へ導かれる。この実施形態は、長い距離のファイバが使用される場合にいつも好ましい。
【0032】
本発明、およびその代わりの実施形態は、螢光を発する、光を吸収もしくは散乱する物質を含んだ環境において用いることができる。例えば、水中のクロロフィルの濃度は、UV光源を用いてその蛍光を励起することによって決定することができる。液体中の物質の濃度は、比色反応を用いた後の色測定を通じて決定することができる。化学種も、化学物質の吸収シグナチャと一致する異なったピーク波長のいくつかの光源を用いて決定することができる。濁度は、ファイバを任意の波長で側面照射し、結合された光の強度を測定することによって決定することができる。
【0033】
本発明は、Egalon(米国特許第7,473,906号)によって開示された技術の能力を実質的に拡張し、その過程で、主としてUV LEDもしくは可視光LEDのような光源を、感受性光ファイバの感受性領域に直接に隣接して、あるいはさらに遠くに、横方向に置くことによって、光ファイバセンシング・システムをさらに改良するように設計される。この配置は、結合される光信号の強度を増加させて、複雑さおよび製造コストを低減し、小型のLEDを用いた場合、物質中の検出ポイントを高空間分解能で正確に突き止めることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】本発明の動作とその分布型センシング能力とを示すブロック図であり、検体は、螢光性かまたはりん光性のいずれかである。この図において、図の右側にあるプロービング光源(100)は、センシングファイバ(98)の測定対象に関連する媒体中の検体(93)をプローブしており、市販の光ファイバのクラッドの部分(単数または複数)が除去されて、光源に対応するセンシングポイント(92)に位置している。
【図1b】本発明の動作とその分布型センシング能力とを示すブロック図であり、検体は、螢光性か、またはりん光性のいずれかである。この図において、図の左側にあるプロービング光源(100’)は、測定対象に関連する媒体中の検体(93’)をプローブしており、この測定対象に関連する媒体は、光源に対応するセンシングポイント(92’)に位置している。
【図1c】光ファイバコア(106)が検体(93)とプロービング光源(100)との間に位置する、本発明の動作を示すブロック図である。
【図2a】検体が光源から来た放射を吸収するかまたは散乱する、本発明の動作を示すブロック図である。この図において、検体(93)は、プロービング光源(100)と光ファイバコア(106)との間にある。
【図2b】検体が光源から来た放射を吸収するかまたは散乱する、本発明の動作を示すブロック図である。この図において、光ファイバコア(106)は、プロービング光源(100)と検体(93)との間にある。
【図3a】硝酸ナトリウムの濃度に対するセンサ応答のプロットである。
【図3b】カリウムイオンの濃度に対するセンサ応答のプロットである。この曲線は、濁度の尺度でもある。
【図4a】図2aおよび図2bのセンサが、液体のレベル、あるいは液体か気体かに関わらず、異なった流体間の界面を測定するためのデバイスとして、いかに使用されうるかに関する説明図である。この場合、流体界面(176)における液体のレベルは、センシングポイント(92)のうちの1つ(92a)より上にある。
【図4b】図2aおよび図2bのセンサが、液体のレベルを測定するためのデバイスとして、いかに使用されうるかに関する説明図である。この場合、流体界面(176)における液体のレベルは、センシングポイント(92)のうちの1つより下にある。
【図5a】元の光ファイバクラッド(116)を持つセンシングファイバ(98’)の代わりの実施形態である。
【図5b】元のファイバクラッド上に被覆された反応性または感受性フィルム(99)を持つ、センシングファイバ(98’)の代わりの実施形態である。
【図6a】元のファイバ(96)の側面図である。
【図6b】光ファイバクラッド116および保護ジャケット101の区間が除去された、センシングファイバの側面図である。
【図6c】センシングファイバ(98)の第2の末端における反射体(122)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図7】テーパードコア(107)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図8】LED(100a)のリニアアレイ(138)を示す、本発明のセンシングファイバの代わりの実施形態の側面図である。
【図9】異なったセンシングポイント(92)を同時に照らす2つのLED(100aおよび100a’)を示す、本発明のセンシングファイバ(98)の代わりの実施形態の側面図である。
【図10a】45度の遠位端を持つ照射用光ファイバの動作を示す説明図である。プロービング光源(100)からの光は、軸方向に注入される。
【図10b】45度の遠位端を持つ照射用光ファイバの動作を示す説明図である。プロービング光源(100,100’,100’’)からの光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図11a】いくつかの長周期ブラッグ格子でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、軸方向に注入される。
【図11b】いくつかの長周期ブラッグ格子でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図12a】いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、軸方向に注入される。
【図12b】いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180でできた照射用光ファイバの動作を示す説明図である。光は、光ファイバの側面に注入され、単一ファイバを用いたN×1カプラー構成を可能にする。
【図13】本発明の検出システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の詳細な記載は、本発明の実施に関して現在考えられる最良のモードである。この記載は、制限的な意味で解釈されるべきではなく、本発明のいくつかの実施形態に関する一般的な原理を説明することのみを目的としてなされる。添付図と関連して以下に提示される詳細な記載は、本発明の現在好ましい実施形態を記載することが意図されており、本発明が構築される、および/または利用されるただ1つの形態を代表することは意図されていない。この記載は、本発明を構築し、かつ動作させるための機能およびステップのシークエンスを、例示される実施形態と関連して提示する。しかし、当然のことながら、本発明の精神および範囲に包含されることが同じく意図された様々な実施形態によっても、同一または同等の機能およびシークエンスを達成することができる。
【0036】
センシングファイバ98のブロック図が図1aに示される。それによれば、プロービング光源100は、ある角度で外部からセンシングファイバ98のセンシングポイント92を照射する。プロービング光源100は、センシングポイント92の領域における検体93から蛍光/りん光を生成することが可能な波長を持つ。プロービング光源100から照射(矢印で示された照射光)されたときに、光ファイバコア106に隣接する検体93は蛍光を発し、この蛍光が、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として、光ファイバコア106中へ結合される。プロービング光源100は、電源114に接続されており、この電源が、光ファイバコア106と光学的に繋がったプロービング光源100に電流を供給する。
【0037】
光ファイバコア106中へ結合された蛍光104aは、シリコン光検出器のような検出器108へ導かれ、この検出器が、蛍光104aの光強度を出力電気信号に関連付ける。この電気信号は、光検出器ケーブル112を経由して照度計のような信号プロセッサ110へ送信される。信号プロセッサ110では信号が増幅され、その光強度が表示される。次に、信号プロセッサ110によって読み取られた強度が、光ファイバコア106を取り囲んだ検体93の濃度に関連付けられる。
【0038】
センシングファイバ98の異なったセンシングポイント92’をプローブし、改良された分布型センシング(図1bを参照)を実現すべく、プロービング光源100’に隣接する第2のセンシングポイント92’をプローブするために、電源114を用いてプロービング光源100’を個別に作動させることができる。
【0039】
この構成は、プロービング光源100と光ファイバコア106との間にある検体93(図1aおよび1b)か、もしくはコアの反対側にある検体(図1c)、またはファイバを完全または部分的に取り囲んだ検体のいずれかとともに用いることができる。
【0040】
水(センシングポイント92における測定対象に関連する媒体)に溶解したクロロフィル(検体93)のためのセンサは、上記の構成の実例である。ここで、クロロフィルは、適切な波長のプロービング光源100によって照射されたときに螢光を発する。この蛍光は、光学的信号104としてファイバコア中へ結合され、その強度は、ファイバコアの周りのクロロフィル濃度の尺度である。
【0041】
図2aおよび2bに示されるように、同様の手法は、吸収、比色、および散乱に基づく光ファイバセンサにも用いることができる。従って、プロービング光源100は、ある角度で外部からセンシングファイバ98のセンシングポイント92を照射する。プロービング光源100は、ファイバのセンシングポイント92に隣接する検体93によって吸収または散乱されることが可能な波長を持つ。プロービング光源100は、電源114に接続され、この電源が、センシングポイント92と光学的に繋がったプロービング光源100に電流を供給する。
【0042】
(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100から照射されたときに、ファイバのセンシングポイント92に隣接し、かつ光ファイバコア106と接触した測定対象に関連する媒体に溶解した検体93は、プロービング光源100からの光を吸収する。残りの光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、検体の濃度に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0043】
図2aおよび2bをさらに参照して、ファイバのセンシングポイント92に隣接して位置する、測定対象に関連する媒体は、検体93と化学試薬との間の比色反応の結果であってもよい。(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100から照射されたときに、ファイバのセンシングポイント92に隣接し、かつ光ファイバコア106と接触した、測定対象に関連する媒体は、プロービング光源100からの光を吸収する。残りの光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、検体の濃度に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0044】
図2aおよび2bを再び参照して、ファイバのセンシングポイント92に隣接した、測定対象に関連する媒体は、(矢印で示される照射光を持つ)プロービング光源100からの光を散乱する粒子を含むことができる。この散乱光は、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合され、濁度のような測定対象に関係する光強度を読み取る検出器へ導かれる。
【0045】
いずれにしても、プロービング光源100からの光は、周囲の環境によって変化し、漏洩および束縛モードの形態の光学的信号104として光ファイバコア106中へ結合されて、シリコン光検出器のような検出器108へ導かれ、この検出器が、吸収光の光強度を出力電気信号に関連付ける。この電気信号は、光検出器ケーブル112を経由して、照度計のような信号プロセッサ110へ送信される。信号プロセッサ110では信号が増幅されて、その光強度が表示される。信号プロセッサ110によって読み取られた強度は、次に、センシングファイバ98を取り囲んだものか、あるいは元の未反応媒体に初めから存在したものかいずれかの化学種の濃度と関連付けられる。既に述べたように、分布型センシングは、ファイバのセンシングポイント92’を別のプロービング光源100’を用いてプローブすることによって実現することができる。同様に、この構成は、図2aに示されるように、プロービング光源100と光ファイバコア106との間のセンシングポイント92において、検体93もしくは測定対象に関連する反応済みの媒体とともに用いることもでき、あるいは図2bに示されるように、コアの反対側にある検体もしくは反応済みの媒体とともに用いることもできる。
【0046】
図2aおよび2bに示される構成は、様々な化学種を検出するための比色計として、濁度を検出するための濁度計として、および所定の液体のレベルを検出するための屈折計として用いることができる。
【0047】
以下には限定されないが、pHならびに鉄、硝酸塩、りん酸塩およびアンモニアの濃度のような様々なパラメータを検出するために用いることができる、いくつかの比色反応が存在する。具体的な例は、米国メリーランド州チェスタートンのLaMotte Company、から入手可能な、市販のりん酸塩検査キット3466である。この検査キットでは、水系サンプルが収集され、そこに試薬錠が溶解される。この水系サンプルに色が生じ、この色を用いて化学種の濃度を測定することができる。本発明では、試薬錠と反応した検体93を含んだ、センシングポイント92に位置するこの着色溶液を、光ファイバコア106と接触するように配置することができる。白色光源100bまたは様々な波長を持つ任意の他の適切な光によって、センシングポイント92における溶液を横から照射することができ、吸収光は、ファイバコア中へ結合され、その強度が検波器108によって測定される。
【0048】
別の具体的な例は、上述のLaMotte Companyから市販される硝酸塩検査キット3473である。この検査キットでは、水系サンプルが収集され、そこに硝酸塩の試薬錠が溶解される。既に述べたように、この水系サンプルに色が生じ、白色光の照射によってファイバに結合された光の強度が測定される。硝酸ナトリウムの様々な濃度に対する、この信号の強度が図3aに示される。N=50(データポイント数)およびR=0.9868(相関係数)を持つこのデータに対して、線形方程式がフィッティングされた。ピアソンの相関係数rの臨界値を用いると、この相関係数は、99%超の信頼水準に相当する。
【0049】
図2bのセンサ構成を用いて、濁度計が実証された。図3bは、この構成を用いて得られたデータである。この場合、よく知られたテトラフェニルホウ酸ナトリウム(TPB:sodium tetraphenylborate)法により試薬としてTPBを使用し、濁度を利用してサンプル溶液中のカリウムイオン濃度が測定された。この方法を用いて、希釈比1:5の様々な濃度の塩化カリウム(KCl)溶液8mLが、金属阻害剤および0.05gのTPBを含む水酸化ナトリウム試薬2滴と混合された。センシングポイント92における溶液は、カリウムイオンとTPBとの反応が生じた後に濁り、光ファイバコア106と接触中に白色光源100bが照射された。センシングポイント92におけるサンプルにより散乱された光によって光ファイバコア106中へ結合された光の量が、光検出器108aを用いて測定された。カリウムイオンの様々な濃度に対する、この信号強度が図3bに示される。注目すべきことに、このTPB試薬を元の媒体に加えることによって測定対象に関連する媒体は濁り、元の媒体中のカリウムイオン濃度が高くなるにつれて濁度も高くなる。その結果として、溶液によって散乱される信号が然るべく増加する。このグラフは、6個のデータポイントを含んだ対数線形曲線を用いてフィティングされ、非常に高い相関係数R=0.96が得られた。使用された濃度は、カリウムイオン50、100、200、300および400ppmであった。ピアソンの相関係数の臨界値を用いると、この結果は、99%超の信頼水準に相当する(Triola、2007の表A−6)(M.F.Triola、“Elementary Statistics(初等統計学)”、第10版、Pearson/Addison Wesley、2007を参照)。この実験が他に数回繰り返され、信頼水準について同様の値が得られた。この濁度センサをテストする別の方法は、例えば、Hach Company、ラブランド、コロラド州、米国から「ホルマジン・キャリブレーションキット」(2008〜2009年版カタログ)で購入される、濁度標準ホルマジンの使用によるものである。
【0050】
図2aおよび2bの構成は、所定の筺体内の液体レベルを検出するために、安価な屈折計として使用することもできる。例えば、図2bを参照して、センシングポイント92における測定対象に関連する媒体は、ガソリン、水または空気のいずれかとすることができる。センシングポイント92が空気に囲まれているときに、検出器108によって読み取られる強度は、例えば、989ユニットである。センシングポイントが水に囲まれているときに、読み取られる強度は、500ユニットである。図4aおよび4bは、このセンサが液体レベルセンサとしていかに使用されうるかを示す。図4aおよび4bは、流体界面176を持つ液体174に浸漬された、容器172内のセンシングファイバ98を示す。液体レベルより上には空気178がある。センシングファイバ98は、LED138のリニアアレイに取り付けられている。図4aにおいて、プロービング光源100と関連付けられるセンシングポイントが液体174に浸漬されているときに検出器108によって検出され、読み出し111によって読み取られる信号は、図4bにおいて同じ読み出しによって読み取られる信号より低い。この結果は、高い方の信号の読み取りは、センシングポイントが液体レベルより上にあることを示唆し、一方で低い方の信号の読み取りは、センシングポイントが液体レベルより下にあることを示唆することを示す。液体のレベルを決定するために、残った他のセンシングポイントに対して、この手順を繰り返すことができる。
【0051】
上記の構成に代わる選択肢が図5aに示される。この例では、センシングファイバ98’の元のクラッドは維持され(すなわち、除去されず)、センシングポイント92においてファイバが測定対象に関連する媒体に取り囲まれた状態で、プロービング光源100によって外部から照射される。この構成は、ファイバクラッドの除去を必要としないので、結果としてセンサの製造が簡易化される。この同じクラッド付きファイバを、元のクラッド上に被覆された反応性フィルム99とともに使用することができる(図5bを参照)。この反応性フィルムは、標的とする種に対して感受性を持つ指示薬を有する。
【0052】
注目すべきことに、記載されるすべてのファイバセンサ構成は、図5bを除いて、ファイバ上に固定された化学指示薬を必要とせず、Egalon(米国特許第7,473,906号)によって提案されたものより簡易である。
【0053】
図1、2、5および8に示される構成のプロービング光源は、個別にアドレス可能な複数のLEDダイを含んだLEDによって置き換えることができる。これらのLEDは、異なった波長で発光する1つより多いダイを持つことができ、これを用いて単一のセンシングポイントを3つの異なった波長でプローブし、そのセンシングポイントにおける1つより多いパラメータを検出することができる。
【0054】
記載されるすべての実施形態において、センシングファイバ98を製造するための様々な方法が存在する。最も容易な方法の1つは、図6a、光ファイバコア106、外側保護ジャケット101および光ファイバクラッド116を持つ、市販の光ファイバ96aを入手することである。図6bに示されるように、外側保護ジャケット101および光ファイバクラッド116は、所望通りに特定の位置において除去され、検体(例えば、硝酸塩)を感知するように選択される。ガラスおよびプラスチックファイバを含めて、このタスクに適したいくつかの市販の光ファイバ96aが存在する。高信号出力を持つセンシングファイバ98を提供するために、かかるファイバは、他の直径も許容可能な結果を生み出しうるとは言え、好ましくは直径1mmから1.5mmの太い光ファイバコア106を持つことになろう;しかしながら、より細いまたはより太い直径を用いることもできる。
【0055】
ガラスコア106a(例えば、図6aを参照)、プラスチッククラッド116a、およびプラスチックジャケット101aでできたファイバを用いて、センシングファイバ98を元のファイバ96から製造することができる。これは、プラスチッククラッドおよびジャケット(図6aを参照)の特定の区間を、センシングが望まれるポイントで除去することによって行われる。この除去は、化学的手段によるか、(ブレードを用いた)機械的手段によるか、あるいは保護ジャケット101とプラスチッククラッド116aとを焼き落とす熱源の使用を通じて行うことができる。これらの方法のいずれかによって、ガラスコア106aが外部環境に露出される。その結果、図6bに示されるように、ファイバのセンシングポイント92の周りが剥離された領域が得られる。この説明図は、単一の剥離領域、センシングポイント92を示すが、所望通りに複数の区間を同様にセンサから剥離することもでき、あるいは光ファイバコア106の全長を露出させることもできる。
【0056】
TorayのRaytela(登録商標)PBFU−FB1000(Raytela(登録商標)は、日本、東京の東レ株式会社(Toray Industries,Inc.)コーポレーション)の登録商標である、のような、市販のプラスチック光ファイバも、センサを作り出すために使用することができる。このファイバは、プラスチックコアとクラッドとを持つが、ジャケットは持たない。クラッドの除去は、D.F.Merchant,P.J.Scully and N.F.Schmitt,“Chemical tapering of polymer optical fibre(ポリマー光ファイバの化学的テーパリング)”,Sensors and Actuators,vol76,pp.365−371,1999に記載される手順に従って、アセトンを用いることによって行われる。
【0057】
図6cを見ると、追加的な実施形態は、ファイバ120の第1の末端に位置する検出器108の方へ後方伝搬モード124の方向を変えることによって光信号を増加させるために、検出器108と反対方向の、センシングファイバ98の第2の末端118に反射体122を含み、蛍光、吸収、または散乱のいずれかに基づく信号を増加させる。
【0058】
図7に示されるまた別の実施形態は、蛍光104aが示される所でセンシングポイント92から検出器108へ伝搬するにつれて検知器に向かって全般的に広がる、テーパードコア107を持つ光ファイバセンサ98aの使用を含む。テーパードコアとクラッドとの間の界面が、128であることが示されている。このテーパードコア107の構成は、他の構成に比べて、光ファイバコア106中へより多くの光を結合させる利点があり、結果としてセンシングファイバ98の信号が増加する。テーパード光ファイバコア107を用いると、他のやり方では光ファイバコア106から放散したであろう光線が、低損失の束縛モードとして結合され、ずっと長い距離にわたって伝搬される。このファイバは、線引きタワーとともにテーパ付きガラスプレフォームを使用して、一定速度で引く間に製造することができる。別の方法は、通常の円筒状プレフォームを速度を変えて引いて、ファイバにテーパを作り出す。代わりに、このファイバは、ガラス成形の熟練者によって手作業で製造することもできる。別の方法では、先に参照したMerchantらによって概説された手順を用いて、プラスチック光ファイバにテーパが付けられる。
【0059】
また別の実施形態では、図8に見られるように、UV LED 100aのような複数の光源が、センシングファイバ98の長さに沿ってリニアアレイ状に光ファイバ支持体134中に搭載され、それぞれのプロービング光源100は、光ファイバコア106に向かって同時に励起光を放出する(図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bを参照)。LEDのリニアアレイ138の長さは、(同じく図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bに示されるように)センシングファイバ98のセンシングポイント92の長さに実質的に対応する。この配置を用いて、センシングファイバ98の全体的な信号を増加させることができる。光ファイバコネクタ132は、センシングファイバ98のファイバ端部に保護を提供して、破壊を防ぎ、かつセンシングファイバ98の端部を検出器108に隣接して再現性よく位置決めすることを可能にする(例えば、図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bも参照)。それぞれのLED 100aを交互にオンオフすることによって、特定のセンシングポイント92をプローブすることが可能であり、改良された分布型センシングファイバ98がもたらされる。
【0060】
電源114(図1a、1b、1c、2a、2b、5aおよび5bを参照)は、好ましくは、LED 100aの電流制限を超えないように設計される。Sandhouse DesignのLED−PS(米国フロリダ州ダニーデンのSandhouse Design LLC)のような光源のための電源として、市販のLEDドライバを用いることができる。
【0061】
図9aは、センシングポイント(92)における所定の検体(93)を測定するために、検出器(108)とともに側面照射型感受性光ファイバ(98)のいくつかのセンシングポイント(92、92’、92’’...)用いる、簡易な分光計のようなデバイスの説明図である。それぞれのセンシングポイント(92)は、それらに対応する異なったピーク波長λiを有するプロービング光源(100、100’...)によって照射される。これらのセンシングポイントのそれぞれが1度に1つプローブされたときに、検出器は、点灯された光源(100)の信号を読み取る。ピーク波長の異なったそれぞれの光源に対する検体(93)の吸収に起因するセンサ応答をマッピングすることによって、簡易な分光計のように機能する非常に安価なデバイスを手にすることができる。この分光計のようなデバイスの分解能は、それぞれのプロービング光源(100)の波長の帯域幅Δλiに依存する。
【0062】
図9bは、センシングファイバ(98)が少なくとも2つのセンシングポイント(92)を持つ代わりの実施形態の説明図であり、センシングポイント(92)は、それらに対応するLED(100a)によって同時に照射される。これらのLEDは、異なった波長を有し、それ故にこれらのLEDに対応するセンシングポイントにおいてプローブされる測定対象を、光ファイバ(120)の第1の末端に位置する分光計(108c)を用いて同時に測定することができる。
【0063】
前述の実施形態に加えて、これらの照射スキームに代わる実施形態も可能である。例えば、LED 100aは、OLED(有機発光ダイオード:Organic Light Emitting Diode)の細片に置き換えることができる。かかるOLEDは、光ファイバセンサがその上に搭載される細片中に組み込むことができる。
【0064】
図10aは、センシングファイバ98のセンシングポイント92(図2aおよび2bを参照)をプローブするために照射用光ファイバ144を用いる、代わりの実施形態を示す。この場合、照射用光ファイバ144は、照射光150のためのライトガイドとしての機能を果たし、照射用光ファイバ144は、センシングファイバ98と平行して配置される。照射用光ファイバ144は、センシングファイバ98のセンシング領域の方へ照射光150の方向を変える、遠位の反射端面148を、他の角度を用いてもよいが、およそ45度の角度で含む。しかしながら、光がセンシング領域へ向かうことを条件として、45度以外の角度も使用可能である。この実施形態において、照射光は、プロービング光源100によってファイバ152の近位端で発生し、軸方向に導入される。遠位の反射端面148の位置は、センシングファイバ98の種々の区間をプローブするために変化させることができ、あるいはそれぞれがセンシングファイバ98の特定の領域をプローブする複数の照射用ファイバを用いることもできる。
【0065】
図10bは、複数の照射用プロービング光源100、100’、100’’などが照射用光ファイバ144を側面照射する、図10aの代わりの実施形態を示す。これは、照射用光ファイバ144の様々な光源からの多重同時照射を可能にするので、好ましい構成である。これは、ファイバ152の小さい近位端に光をフォーカスするための光源の正確な位置合わせもレンズの使用も必要としないので、照射用ファイバも簡易化される。この特定の構成に対して、照射用光ファイバ144は、好ましくはクラッドが存在しないポイントに照射されるべきである。照射用光ファイバ144の照射は、センシングファイバ98の照射と同様の方法で達成される。また、この場合、照射用光ファイバ144は、単一のファイバを必要とする簡易なN×1カプラーとしての機能を果たす。
【0066】
また別の代わりの実施形態は、図11aに見られるように、いくつかの長周期格子156を持つ照射用光ファイバ154を用いる。この照射用ファイバ154もやはり、センシングファイバ98に沿って配置され、長周期格子156を通じてその区間のいくつかを照射する。それぞれの長周期格子156は、照射用光ファイバ154の束縛モードコア158からの光が、センシング領域の吸収スペクトルの範囲内の特定の波長λiで放射モード162へ結合するように設計される。この場合、広帯域プロービング光源100からの光は、センシングファイバ98のセンシング領域の吸収スペクトルの範囲内の波長を走査するモノクロメータ160を通過する。モノクロメータ160が波長λiに調整されたときに、この波長に合った特定の長周期格子156だけがセンシングファイバ98に向かって光を結合させ、照射される区間は、この特定の長周期格子156の位置に対応する。他の波長に対して、この手順を繰返すことができる。プロービング光源100、100’および100’’が、照射用ファイバの側面に配置される図11aに示されるような構成に対して、図11bに概略が示されるのと同じ手順を用いることができる(図11bを参照)。この場合、それぞれのプロービング光源100、100’および100’’は、照射用ファイバ154中の格子に合った様々なピーク波長の光源であるように選択することができる。
【0067】
照射用ファイバのさらに2つの実施形態が、それぞれ軸方向照射および側面照射について図12aおよび12bに示される。この場合、照射用ファイバ157は、いくつかの埋め込み型誘電体ミラー180を備えるように製造され、それぞれのミラーは、45度の角度で配置される。それぞれの埋め込み型誘電体ミラーは、光を、照射用ファイバの束縛モードから放射モードへ、センシングファイバ98のセンシングポイント92に向かって特定の波長λi(例えば、λ1、λ2およびλ3)で反射するように設計される。このファイバは、ブラッグ格子でできた照射用ファイバと同様に機能するが、製造するのがより安価な利点を持つ。これらの波長λiは、センシングファイバ98を取り囲むセンシングポイント92(図1a、1bおよび1cを参照)における測定対象に関連する媒体の吸収スペクトルの範囲内にある。入力光の波長を変化させることによって、ファイバセンサに沿った既知の位置で複数のポイントをプローブすることが可能であり、かくして改良された分布型センシング・システムが作り出される。
【0068】
図11aおよび12aの両方の場合に、モノクロメータは、LEDおよびレーザのような複数の単色光源によって置き換えることができる。
【0069】
図13には、光を通さない筺体109内のシリコン光検出器108b、光検出器ケーブル112、オス・コネクタ164および読み出しユニット111を備える、検出システムの実施形態が示される。オス・コネクタ164は、読み出しユニット111においてメス・コネクタ168に接続される。光検出器108aは、光を通さない筺体109内に搭載され、図8に示される光ファイバコネクタに接続することができる。検出器のリード線は、光電信号を増幅回路へ送信するケーブルに接続される。この回路は、信号を増幅し、その強度が読み出し111のディスプレイ170に表示される。最新技術とともに用いることができるいくつかの市販の検出システム、例えば、AEMCの機器、照度計モデルCA811(Chauvin Arnoux(登録商標),Inc.事業実施名称、AEMC(登録商標)Instruments、フォックスボロ、マサチューセッツ州、米国、Hamamatsu Corporationのフォトダイオード・モジュールC10439(浜松ホトニクス株式会社、浜松市、日本に本社があり、子会社Hamamatsu Corporation、ブリッジウォーター、ニュージャージー州、米国を持つ)、およびSandhouse Designの一点検出器モデルNo.SPD−UV/VIS(Sandhouse Design、ブリッジウォーター、ニュージャージー州)が存在する。
【0070】
本発明は、その様々な形態において、以下には限定されないが、溶液の濁度および色、クロロフィルの濃度、液体のレベルその他のモニタリングを含む、多くの異なった用途に用いることができる。
【0071】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されたが、本発明の概念から逸脱することなく、本発明のさらなるバリエーションが考案されうることが認識される。多くの改良、変更および追加は、本明細書に記載され、かつ以下の請求項に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者にとって明らかとなるであろう。
【符号の説明】
92:センシングポイント、露出したコア領域
92a:特定のセンシングポイント
93:検体、測定対象媒体
96:元の光ファイバ
96a:市販の光ファイバ
98:センシングファイバ、感受性光ファイバ
98a:テーパードコアを持つ光ファイバセンサ
99:反応性フィルム、感受性フィルム
100:プロービング光源
100a:LED
100b:白色光源
101:保護ジャケット
101a:プラスチックジャケット
104:光学的信号
104a:蛍光
106:光ファイバコア、コア
106a:ガラスコア
107:テーパードコア
108:検出器
108a:光検出器
108b:シリコン光検出器
108c:分光計
109:光を通さない筺体
110:信号プロセッサ
111:読み出し
112:光検出器ケーブル
114:電源
116:光ファイバクラッド
116a:プラスチッククラッド
118:光ファイバの第2の末端
120:光ファイバの第1の末端
122:反射体
124:後方伝搬モード
128:テーパードコアとクラッドとの間の界面
132:光ファイバコネクタ
134:光ファイバ支持体
138:LEDのリニアアレイ
144:照射用光ファイバ
148:遠位の反射端面
150:照射光
152:ファイバの近位端
154:いくつかの長周期格子を持つ照射用光ファイバ
156:長周期格子
157:埋め込み型誘電体ミラーを持つ照射用ファイバ
158:照射用光ファイバの束縛モードコア
160:モノクロメータ
162:放射モード
164:光検出器のオス・コネクタ
168:読み出しユニットのメス・コネクタ
170:ディスプレイ
172:容器
174:液体
176:流体界面
178:空気
180:埋め込み型誘電体ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感受性光ファイバ(98)であって、
第1(120)および第2(118)の末端を持ち、
コア(106)を持ち、
化学ルミネッセンス、りん光、螢光を発する、光を散乱または吸収する物質を含んだ環境中に配置され、
前記環境と直接に接触し、かつ前記環境によって前記感受性光ファイバが光学的に影響を受ける前記ファイバの感受性領域として機能する、少なくとも1つの露出したコア領域(92)を持つ、前記感受性光ファイバ;
前記ファイバに付随する測定対象媒体(93、93’);
プロービング光を生成する少なくとも1つのプロービング光源(100)であって、前記プロービング光は、前記環境と相互作用する前記測定対象媒体によって実質的に支援されたときに変化したプロービング光を前記感受性領域から発生させるために、前記感受性領域における前記環境と相互作用し、
前記感受性領域に関連する高信号強度を持つ光信号(104)として前記コア中へ実質的に結合される、前記プロービング光源;
前記第1の末端(120)を出たときの前記光信号の受信のため、前記光信号の強度を所定の波長範囲にわたって測定するため、および前記強度を電気信号に関連付けるために、前記感受性光ファイバの前記第1の末端(120)と光学的に結合された検出器(108);ならびに
前記検出器(108)とデータ通信する信号プロセッサ(110)であって、
それによって、前記電気信号が、測定されている前記測定対象の量に関連付けられる、前記信号プロセッサ、
を備えるセンシング・システム。
【請求項2】
前記信号プロセッサとデータ通信するディスプレイ、ならびに前記プロービング光源、前記信号プロセッサおよびディスプレイに電力を供給するように構成された電源(114)をさらに備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項3】
前記信号プロセッサとデータ通信するディスプレイ、ならびに前記プロービング光源、前記検出器、前記信号プロセッサおよびディスプレイに電力を供給するように構成された電源(114)をさらに備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項4】
前記感受性光ファイバは、少なくとも2つの感受性領域を提供するために、そのクラッド区間の少なくとも2つ(92)が除去されて、少なくとも1つの露出したコア領域(92)が前記環境と直接に接触しており;
前記プロービング光源は、それぞれの感受性領域を一度に1つ個別に照射し;
前記プロービング光は、変化したプロービング光がそこから発生するように、それぞれの前記感受性領域における前記環境と個別に光学的に相互作用し、それぞれのかかる変化は、前記環境における前記測定対象媒体(93)によって実質的に影響を受けた、
請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項5】
前記感受性光ファイバは、少なくとも2つの感受性領域を提供するために、そのクラッド区間の少なくとも2つ(92)が除去されて、少なくとも1つの露出したコア領域(92)が前記環境と直接に接触しており;
前記プロービング光源は、2つ以上の感受性領域を同時に照射し;
前記プロービング光は、変化したプロービング光がそこから発生するように、それぞれの前記感受性領域における前記環境と光学的に相互作用し、それぞれのかかる変化は、前記環境における前記測定対象媒体(93)によって実質的に影響を受けた、
請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項6】
前記プロービング光源は、それぞれの感受性領域を一度に1つ個別に照射する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項7】
前記光源は、前記感受性領域が照射されることを可能にするのに十分な、前記感受性領域から任意の距離に置くことができる、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項8】
前記感受性領域には化学指示薬のない、1Aに記載のセンシング・システム。
【請求項9】
前記センシングファイバ(98)は、その元のファイバクラッド(116)を含むファイバを備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項10】
前記センシングファイバ(98)は、前記元のファイバクラッド上に被覆された感受性フィルム(99)を含む、請求項Gに記載のセンシング・システム。
【請求項11】
前記測定対象媒体は、色、濁度、検体および屈折率のうちの1つを備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項12】
前記環境は、前記ファイバコアの1つと前記光源との間および前記ファイバコアの後ろに位置する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項13】
前記ファイバコアは、前記環境によって取り囲まれている、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項14】
前記プロービング光の、前記測定対象媒体を持つ前記環境との前記光学的相互作用は、光吸収,散乱,および蛍光、りん光ならびに化学ルミネッセンスのうちの1つを結果として生じる、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項15】
前記検体は、前記環境と化学的に相互作用し、かくして前記環境の色に変化を生み出す、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項16】
前記感受性光ファイバは、異なった屈折率の環境を区別するために屈折計を備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項17】
前記感受性光ファイバは、前記センサと接触している液体の前記レベルを測定するために動作可能である、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項18】
前記センシング・システムは、それぞれの前記センシングポイントが異なった測定対象を検出することが可能な多点式光ファイバセンサである、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項19】
前記センシング・システムは、複数の測定対象を検出するためにそれぞれの前記センシングポイントが異なった波長の複数の光源によって照射される多点式光ファイバセンサである、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項20】
前記プロービング光は、照射用光ファイバによって送信され、前記照射用ファイバは、複数の誘電体ミラー(180)を持ち、前記照射用ファイバは、前記感受性光ファイバに平行して置かれ、前記誘電体ミラーは、離散的な位置における前記感受性光ファイバの前記感受性領域をある角度で照射する、センシング・システムであって、プロービング光源は、プロービング光をモノクロメータ中へ導入し、前記モノクロメータは、前記プロービング光を特定の波長へフィルタ処理し、特定の波長における前記プロービング光は、前記照射用光ファイバへ軸方向に導入され、特定の波長における前記プロービング光は、同様の波長特性を持つその特定の誘電体ミラーへ伝搬し、かつ前記特定の誘電体ミラーは、前記感受性ファイバの前記感受性領域の方へある角度で前記プロービング光の方向を変え、前記誘電体のそれぞれは、前記照射用光ファイバの前記束縛モードコアからの光を特定の波長における放射モードへ結合させるように設計され、特定の波長の前記放射モードは、前記感受性クラッド領域を照射する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項21】
前記照射されるファイバの区間は、そのクラッドが除去され、クラッドが除去された前記区間は、前記感受性ファイバを照射するための束縛および漏洩モードとして前記照射用ファイバの前記コア中へそれらの光を結合させる、複数のプロービング光源によって側面照射される、請求項20に記載のセンシング・システム。
【請求項1】
感受性光ファイバ(98)であって、
第1(120)および第2(118)の末端を持ち、
コア(106)を持ち、
化学ルミネッセンス、りん光、螢光を発する、光を散乱または吸収する物質を含んだ環境中に配置され、
前記環境と直接に接触し、かつ前記環境によって前記感受性光ファイバが光学的に影響を受ける前記ファイバの感受性領域として機能する、少なくとも1つの露出したコア領域(92)を持つ、前記感受性光ファイバ;
前記ファイバに付随する測定対象媒体(93、93’);
プロービング光を生成する少なくとも1つのプロービング光源(100)であって、前記プロービング光は、前記環境と相互作用する前記測定対象媒体によって実質的に支援されたときに変化したプロービング光を前記感受性領域から発生させるために、前記感受性領域における前記環境と相互作用し、
前記感受性領域に関連する高信号強度を持つ光信号(104)として前記コア中へ実質的に結合される、前記プロービング光源;
前記第1の末端(120)を出たときの前記光信号の受信のため、前記光信号の強度を所定の波長範囲にわたって測定するため、および前記強度を電気信号に関連付けるために、前記感受性光ファイバの前記第1の末端(120)と光学的に結合された検出器(108);ならびに
前記検出器(108)とデータ通信する信号プロセッサ(110)であって、
それによって、前記電気信号が、測定されている前記測定対象の量に関連付けられる、前記信号プロセッサ、
を備えるセンシング・システム。
【請求項2】
前記信号プロセッサとデータ通信するディスプレイ、ならびに前記プロービング光源、前記信号プロセッサおよびディスプレイに電力を供給するように構成された電源(114)をさらに備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項3】
前記信号プロセッサとデータ通信するディスプレイ、ならびに前記プロービング光源、前記検出器、前記信号プロセッサおよびディスプレイに電力を供給するように構成された電源(114)をさらに備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項4】
前記感受性光ファイバは、少なくとも2つの感受性領域を提供するために、そのクラッド区間の少なくとも2つ(92)が除去されて、少なくとも1つの露出したコア領域(92)が前記環境と直接に接触しており;
前記プロービング光源は、それぞれの感受性領域を一度に1つ個別に照射し;
前記プロービング光は、変化したプロービング光がそこから発生するように、それぞれの前記感受性領域における前記環境と個別に光学的に相互作用し、それぞれのかかる変化は、前記環境における前記測定対象媒体(93)によって実質的に影響を受けた、
請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項5】
前記感受性光ファイバは、少なくとも2つの感受性領域を提供するために、そのクラッド区間の少なくとも2つ(92)が除去されて、少なくとも1つの露出したコア領域(92)が前記環境と直接に接触しており;
前記プロービング光源は、2つ以上の感受性領域を同時に照射し;
前記プロービング光は、変化したプロービング光がそこから発生するように、それぞれの前記感受性領域における前記環境と光学的に相互作用し、それぞれのかかる変化は、前記環境における前記測定対象媒体(93)によって実質的に影響を受けた、
請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項6】
前記プロービング光源は、それぞれの感受性領域を一度に1つ個別に照射する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項7】
前記光源は、前記感受性領域が照射されることを可能にするのに十分な、前記感受性領域から任意の距離に置くことができる、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項8】
前記感受性領域には化学指示薬のない、1Aに記載のセンシング・システム。
【請求項9】
前記センシングファイバ(98)は、その元のファイバクラッド(116)を含むファイバを備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項10】
前記センシングファイバ(98)は、前記元のファイバクラッド上に被覆された感受性フィルム(99)を含む、請求項Gに記載のセンシング・システム。
【請求項11】
前記測定対象媒体は、色、濁度、検体および屈折率のうちの1つを備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項12】
前記環境は、前記ファイバコアの1つと前記光源との間および前記ファイバコアの後ろに位置する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項13】
前記ファイバコアは、前記環境によって取り囲まれている、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項14】
前記プロービング光の、前記測定対象媒体を持つ前記環境との前記光学的相互作用は、光吸収,散乱,および蛍光、りん光ならびに化学ルミネッセンスのうちの1つを結果として生じる、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項15】
前記検体は、前記環境と化学的に相互作用し、かくして前記環境の色に変化を生み出す、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項16】
前記感受性光ファイバは、異なった屈折率の環境を区別するために屈折計を備える、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項17】
前記感受性光ファイバは、前記センサと接触している液体の前記レベルを測定するために動作可能である、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項18】
前記センシング・システムは、それぞれの前記センシングポイントが異なった測定対象を検出することが可能な多点式光ファイバセンサである、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項19】
前記センシング・システムは、複数の測定対象を検出するためにそれぞれの前記センシングポイントが異なった波長の複数の光源によって照射される多点式光ファイバセンサである、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項20】
前記プロービング光は、照射用光ファイバによって送信され、前記照射用ファイバは、複数の誘電体ミラー(180)を持ち、前記照射用ファイバは、前記感受性光ファイバに平行して置かれ、前記誘電体ミラーは、離散的な位置における前記感受性光ファイバの前記感受性領域をある角度で照射する、センシング・システムであって、プロービング光源は、プロービング光をモノクロメータ中へ導入し、前記モノクロメータは、前記プロービング光を特定の波長へフィルタ処理し、特定の波長における前記プロービング光は、前記照射用光ファイバへ軸方向に導入され、特定の波長における前記プロービング光は、同様の波長特性を持つその特定の誘電体ミラーへ伝搬し、かつ前記特定の誘電体ミラーは、前記感受性ファイバの前記感受性領域の方へある角度で前記プロービング光の方向を変え、前記誘電体のそれぞれは、前記照射用光ファイバの前記束縛モードコアからの光を特定の波長における放射モードへ結合させるように設計され、特定の波長の前記放射モードは、前記感受性クラッド領域を照射する、請求項1に記載のセンシング・システム。
【請求項21】
前記照射されるファイバの区間は、そのクラッドが除去され、クラッドが除去された前記区間は、前記感受性ファイバを照射するための束縛および漏洩モードとして前記照射用ファイバの前記コア中へそれらの光を結合させる、複数のプロービング光源によって側面照射される、請求項20に記載のセンシング・システム。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【公表番号】特表2012−517019(P2012−517019A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549204(P2011−549204)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/022715
【国際公開番号】WO2010/088591
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511191901)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/022715
【国際公開番号】WO2010/088591
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511191901)
【Fターム(参考)】
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