説明

充電ケーブル収容装置および車両

【課題】充電ケーブルの劣化の抑制が図られた充電ケーブル収容装置および充電ケーブル収容装置が設けられた車両を提供する。
【解決手段】充電ケーブル収容装置200は、外部電源から車両に電力を供給する充電ケーブル230と、回転可能に設けられ、充電ケーブル230が巻回されると共に、車両の後部に配置されるボビン203と、ボビン203を収容すると共に、充電ケーブル230を外部に取り出す取出口321が形成された筐体と、ボビン203から引き出された充電ケーブル230を取出口321よりも上方から取出口321に向けて案内する案内機構260とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ケーブル収容装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から充電プラグに関する発明が各種提案されている。たとえば、特開2009−112076号公報に記載された充電プラグ構造は、外部電源の接続プラグを着脱可能に接続するための充電用プラグと、充電用プラグを車体に保持させるためのグロメットと、充電用プラグと自動車に搭載されたバッテリとを導通する充電用ワイヤハーネスとを備える。
【0003】
そして、充電用ワイヤハーネスは、バッテリと充電用プラグとの導通状態を維持したまま充電用プラグがグロメットから離脱されて車外に持ち出されることを許容するようになっており、充電用プラグがグロメットに保持されている状態では、コードリールの巻取リールに巻き取られている。
【0004】
また、特開2003−244832号公報に記載された電気自動車は、巻き取り式の充電コードによって、バッテリを充電されるようになっている。そして、充電コードは、ドラムに装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−112076号公報
【特許文献2】特開2003−244832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−112076号公報に記載された充電プラグ構造においては、充電用ワイヤハーネスは、巻取リールの下部側から引き出され、充電用プラグに接続されている。
【0007】
充電用プラグが車外に持ち出された場合には、充電用ワイヤハーネスは、巻取リールから引き出される。
【0008】
この際、巻取リールの近傍で、充電用ワイヤハーネスが自重で湾曲しやすく、充電用ワイヤハーネスが劣化するおそれがある。
【0009】
特開2003−244832号公報に記載された充電コードは、ドラムの下部から引き出されるようにドラムに巻回されている。
【0010】
このため、充電コードが引き出されると、充電コードがドラムの近傍で湾曲し、充電コードが劣化するおそれがある。
【0011】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、充電ケーブルの劣化の抑制が図られた充電ケーブル収容装置および充電ケーブル収容装置が設けられた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る充電ケーブル収容装置は、外部電源から車両に電力を供給する充電ケーブルと、回転可能に設けられ、充電ケーブルが巻回されると共に、車両の後部に配置されるボビンと、ボビンを収容すると共に、充電ケーブルを外部に取り出す取出口が形成された筐体と、ボビンから引き出された充電ケーブルを取出口よりも上方から取出口に向けて案内する案内機構とを備える。好ましくは、上記取出口は、ボビンの回転中心線が通る位置に設けられ、ボビンを回転可能に支持する軸部と、軸部に固定され、ボビンより取出口側に位置する側壁部とをさらに備える。上記案内機構は、ボビンに巻回された充電ケーブルを側壁部上に引き出す引出部と、引出部によって引き出された充電ケーブルを取出口に案内する案内部とを含む。
【0013】
好ましくは、上記ボビンは、外周面に充電ケーブルが巻回された筒部を含み、筒部の外径は、充電ケーブルの直径の15倍以上30倍以下とされた。好ましくは、上記ボビンを回転させるモータをさらに備え、ボビンは、外周面に充電ケーブルが巻回された筒部を含み、モータは、筒部内に配置される。
【0014】
好ましくは、上記ボビンの回転中心線が水平方向に延びるように、ボビンが配置されると共に、取出口が車両の後方に向けて開口するようにボビンが配置される。
【0015】
本発明に係る車両は、充電可能な蓄電器と、電力と異なるエネルギーを溜める貯留部と、蓄電器および貯留部を収容し、一方の側面および該一方の側面と反対側に位置する他方の側面を含む車両本体と、車両本体の後部に設けられ、蓄電器に接続された充電ケーブル収容装置とを備える。上記充電ケーブル収容装置は、外部電源から蓄電器に電力を供給する充電ケーブルと、回転可能に設けられ、充電ケーブルが巻回されると共に、車両本体の後部に配置されるボビンと、ボビンから引き出された充電ケーブルを下方に向けて案内する案内機構とを含む。
【0016】
好ましくは、上記車両本体の一方の側面に設けられ、外部から供給されるエネルギーを貯留部に供給する供給部とをさらに備え、充電ケーブルは、車両本体の一方の側面側から車両本体の上面側、車両本体の他方の側面側、車両本体の下面側を順次通るように、ボビンに巻回される。
【0017】
好ましくは、上記車両本体の一方の側面に設けられ、外部から供給されるエネルギーを貯留部に供給する供給部とをさらに備え、充電ケーブルは、車両本体の他方の側面側から車両本体の上面側、車両の一方の側面側、車両本体の下面側を順次通るように、ボビンに巻回される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る充電ケーブル収容装置および充電ケーブル収容装置が搭載された車両によれば、充電ケーブルの劣化の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車両100の斜視図である。
【図2】図1に示された車両100の概略構成を示すブロック図である。
【図3】充電ケーブル収容装置200の断面図である。
【図4】ボビン203の斜視図である。
【図5】ボビン203の正面図である。
【図6】本実施の形態1に係る充電ケーブル収容装置200に搭載される充電ケーブル230の変形例を示す斜視図である。
【図7】図6に示すボビン203の平面図である。
【図8】図6および図7に示すボビン203を有する充電ケーブル収容装置200が装着された車両100の斜視図である。
【図9】本実施の形態2に係る車両100の斜視図である。
【図10】本実施の形態2に係る充電ケーブル収容装置200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る車両および充電ケーブル収容装置について、図1から図10を用いて説明する。
【0021】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両100の斜視図であり、図2は、図1に示された車両100の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
車両100は、車輪の駆動にモータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)である。
【0024】
車両100は、エンジン104と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構103と、バッテリBと、コンデンサCと、リアクトルLと、コンバータ110およびインバータ120,130と車両ECU(electronic control unit)160とを備えている。
【0025】
動力分割機構103は、エンジン104とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば、動力分割機構としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン104、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。たとえば、モータジェネレータMG1のロータを中空としてその中心にエンジン104のクランク軸を通すことで動力分割機構103にエンジン104とモータジェネレータMG1,MG2とを機械的に接続することができる。
【0026】
なお、モータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪102に結合されている。また動力分割機構103の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。
【0027】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジンによって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド自動車に組み込まれ、モータジェネレータMG2は、ハイブリッド自動車の駆動輪を駆動する電動機としてハイブリッド自動車に組み込まれる。
【0028】
モータジェネレータMG1,MG2は、たとえば、三相交流同期電動機である。モータジェネレータMG1,MG2はU相コイル、V相コイル、W相コイルからなる三相コイルをステータコイルとして含む。
【0029】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジン出力を用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ120へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ120から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジンの始動を行なう。
【0030】
モータジェネレータMG2は、インバータ130から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、三相交流電圧を発生してインバータ130へ出力する。
【0031】
バッテリBは、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の二次電池を用いることができる。また、バッテリBに代えて大容量の電気二重層コンデンサを用いることもできる。
【0032】
車両100は、外部電源206からの電力をバッテリBに供給する充電ケーブル収容装置200を備えている。充電ケーブル収容装置200は、車両100の後部に設けられている。
【0033】
図3は、充電ケーブル収容装置200の断面図である。この図3に示すように、充電ケーブル収容装置200は、外部電源206から電力を供給する充電ケーブル230と、回転可能に設けられ、充電ケーブル230が巻回されると共に、車両100の後部に配置されたボビン203とを備える。充電ケーブル収容装置200は、ボビン203から引き出された充電ケーブル230を外部に取り出す取出口321よりも上方から取出口321に向けて案内する案内機構260とを備える。
【0034】
充電ケーブル230の先端部には、図1に示す外部電源206のコンセント207に接続されるプラグ部190が設けられている。コンセント207にプラグ部190を接続することで、車両100のバッテリBに電力が供給される。
【0035】
プラグ部190をコンセント207に接続する際には、作業者はプラグ部190を充電ケーブル収容装置200から引き出す。プラグ部190が引き出されると、ボビン203が回転し、充電ケーブル230が順次送りだされる。
【0036】
充電ケーブル230は、案内機構260によって、取出口321の上方から取出口321に案内されるため、充電ケーブル230の自重による撓みが取出口321の近傍で充電ケーブル230に生じ難い。このため、充電ケーブル230が劣化することが抑制される。
【0037】
充電ケーブル収容装置200は、ボビン203を覆うケース300を備え、ケース300に取出口321が形成されている。
【0038】
充電ケーブル収容装置200は、ボビン203を回転可能に支持する軸部202を備え、ボビン203は、回転中心線Oを中心に回転可能に設けられている。そして、取出口321は、ケース300のうち、回転中心線Oが通る位置に形成されている。
【0039】
なお、ボビン203を収容する筐体は、ケース300と、バックドア106Cとによって規定されている。そして、この図3に示す例においては、ケース300は、バックドア106Cの外側面に配置されており、ケース300に形成された取出口321は、車両100の後方に向けて開口するように配置されている。
【0040】
充電ケーブル収容装置200は、軸部202の一方の端部に固定された側壁部201Aと、軸部202の他方の端部に固定され、側壁部201Aと間隔をあけて設けられた側壁部201Bとを備える。ボビン203は、側壁部201Aと側壁部201Bとの間に配置されている。側壁部201Aは、ボビン203よりも取出口321側に配置されている。
ボビン203は、中空円筒状に形成された筒部204と、この筒部204の一方の端部に形成され支持板205Aと、筒部204の他方の端部に形成された支持板205Bとを含む。
【0041】
充電ケーブル収容装置200は、ボビン203を回転させるモータ241をさらに備える。モータ241が駆動すると、ボビン203が回転し、引き出された充電ケーブル230が巻き取られる。
【0042】
この図3に示す例においては、モータ241は回転する回転軸と、この回転軸の先端部にギヤ部とを備える。筒部204の内周面には、環状のギヤ243が形成されている。
【0043】
ギヤ243と、モータ241のギヤとは互いに噛み合っている。モータ241が駆動して、回転軸に設けられたギヤが回転することで、筒部204が回転する。
【0044】
モータ241は、筒部204の内部に規定された収容室250に設けられており、充電ケーブル収容装置200のコンパクト化が図られている。
【0045】
収容室250には、軸部202に固定された固定子210と、軸部202に回転可能に設けられ、ボビン203の支持板205Aに固定された回転子220とを備える。モータ241は、固定子210に固定されている。
【0046】
固定子210と、回転子220とは互いに間隔をあけて設けられている。固定子210の表面のうち、回転子220と対向する主表面には、複数の接触片211が形成されている。
【0047】
接触片211は、環状に形成されており、導電性の金属材料などによって形成されている。この図3に示す例においては、回転中心線Oを中心として環状に形成された接触片211が4つ形成されている。
【0048】
回転子220の表面のうち、接触片211と対向する部分には、接触片211と接触する接触ピン228が複数設けられている。各接触ピン228は、接触片211に向けて付勢されており、各接触ピン228の先端部は、接触片211と接触している。接触ピン228は、導電性の金属材料などによって形成されている。
【0049】
ここで、プラグ部190が引き出され、回転子220がボビン203と共に回転したとしても、接触ピン228と接触片211との接触が維持される。
【0050】
なお、最も外側に位置する接触片211は、信号線に接続されており、この信号線は、たとえば、図2に示す車両ECU160に接続されている。
【0051】
この信号線に接続された接触片211と接触する接触ピン228も、充電ケーブル230内に設けられた信号線に接続されている。そして、プラグ部190が、ステーションの外部電源に接続された際に、ステーションと車両ECU160との間で信号の授受がなされる。
【0052】
このような信号線に接続される接触片211の内側に位置する接触片211は、接地線に接続されている。そして、接地線に接続された接触片211と接触する接触ピン228も、充電ケーブル230内の接地線に接続されている。
【0053】
接地線に接続された接触片211の内側には、2本の接触片211が配置されており、いずれも、電力線に接続されており、バッテリBに接続されている。
【0054】
バッテリBと電気的に接続された接触片211と接触する接触ピン228は、充電ケーブル230内の電力線に接続されている。
【0055】
このように、電力線に接続された接触片211および接触ピン228が最も内周側に配置されており、電力線に接続された接触片211および接触ピン228の磨耗が抑制されている。
【0056】
充電ケーブル収容装置200は、収容室250内に設けられた漏電防止装置240をさらに備え、漏電防止装置240は、固定子210に固定されている。さらに、固定子210には、給電ハーネス310が接続されている。給電ハーネス310と、上記各接触片211とは漏電防止装置240を介して、電気的に接続されている。
【0057】
このように、漏電防止装置240も収容室250内に収容されており、充電ケーブル収容装置200のコンパクト化が図られている。
【0058】
充電ケーブル230は、筒部204の外周面に巻回されており、筒部204の外周面に巻回された充電ケーブル230は、支持板205Aおよび支持板205Bによって支持されている。
【0059】
ここで、筒部204の外径Dは、充電ケーブル230の直径Mよりの15倍以上30倍以下とされている。このような大径の筒部204に充電ケーブル230を巻きつけることで、充電ケーブル230の劣化を抑制することができる。
【0060】
外径Dを直径Mの15倍よりも小さくすると、充電ケーブル230の曲率半径が小さくなり、充電ケーブル230の劣化を抑制することが困難なものとなる。外径Dを直径Mの30倍よりも大きくすると、ボビン203の容積が大きくなり、車両100に装着し難くなるためである。
【0061】
さらに、取出口321は、ケース300のうち、回転中心線Oが通る位置に設けられており、ケース300には、取出口321を開閉する蓋320が設けられている。
【0062】
側壁部201Aは板状に形成されており、側壁部201Aは、ボビン203の回転中心線O方向に配列する2つの主表面を有する。案内機構260は、側壁部201Aの主表面のうち、取出口321と対向する主表面上に形成されている。
【0063】
図4は、ボビン203の斜視図であり、図5は、ボビン203の正面図である。この図4および図5に示すように、案内機構260は、筒部204に巻き付けられた充電ケーブル230を側壁部201Aの主表面上に引き出す引出部343と、引出部343によって引き出された充電ケーブル230を図2に示す取出口321よりも上方に案内する案内部(第1案内部)342と、この案内部342によって案内された充電ケーブル230を図2に示す取出口321に案内する案内部(第2案内部)340,341とを含む。
【0064】
そして、充電ケーブル230は、引出部343によって引き出され、案内部342によって上方に向けて案内され、その後、下方に向かい、案内部340および案内部341の間を通って、取出口321に案内される。充電ケーブル230は、取出口321の上方から取出口321に向けて案内されているため、取出口321の近傍において、自重により湾曲することが抑制されている。
【0065】
引出部343、および案内部340〜342は、取出口321と対向する側壁部201Aの主表面に配置されている。このため、取出口321が車両100の後方に向けて開口するように充電ケーブル収容装置200を配置すると、ボビン203の回転中心線Oは、車両100の前後方向に延びるように配置される。
【0066】
ここで、充電ケーブル収容装置200の回転中心線O方向の厚さは、充電ケーブル収容装置200の幅方向の長さよりも短い。このため、ボビン203の回転中心線Oが車両100の前後方向に延びるように、ボビン203を配置することで、ボビン203がバックドア106Cから大きく突出することを抑制することができる。
【0067】
なお、本実施の形態1に示す案内機構260は、側壁部201Aの主表面から突出する複数のピン状の部材によって構成されているが、案内機構260の構成としてはこのような構成に限られない。
【0068】
たとえば、案内機構260を充電ケーブル230をボビン203から引き出す引出位置から上方に向けて湾曲し、さらに、取出口321に向けて延びるような湾曲状の板状部材で構成してもよい。
【0069】
ボビン203から引き出された充電ケーブル230は、案内機構260によって湾曲させられ、取出口321に案内されている。
【0070】
このため、充電ケーブル230のうち、案内機構260によって案内されている部分は、曲率半径は、ボビン203に巻回されている部分の曲率半径よりも小さくなっている。
【0071】
その一方で、上記のように、筒部204の外径Dは、充電ケーブル230の直径Mよりの15倍以上30倍以下とされている。
【0072】
そして、図3等に示されるように、円板状に形成された側壁部201Aの直径は、外径Dよりも大きい。このため、側壁部201Aの外周縁部から取出口321までの距離が確保されており、充電ケーブル230のうち、案内機構260によって案内されている部分の曲率半径が小さくなりすぎることが抑制されている。これにより、充電ケーブル230の劣化の抑制が図られている。なお、外径Dが直径Mの30倍よりも小さいので、側壁部201Aが過大に大きくなることが抑制され、充電ケーブル収容装置200のコンパクト化が図られている。なお、図5において、充電ケーブル230の巻回方向Rは、右巻きとされている。
【0073】
案内部340および案内部341は、側壁部201Aの主表面のうち、回転中心線Oおよび取出口321の上方に位置する部分に設けられている。
【0074】
引出部343は、側壁部201Aの主表面のうち、側壁部201Aの外周縁部に位置し、案内部340,341よりも上方に位置する部分に配置されている。
【0075】
引出部342は、案内部340,341と、引出部343との間であって、案内部340,341および引出部343よりも上方に位置している。
【0076】
これにより、充電ケーブル230のうち、案内機構260によって案内されている部分の曲率半径が小さくなることが抑制されている。
【0077】
案内部341は、案内部340よりも引出部343側に配置されており、案内部340は、案内部341よりも上方に配置されている。
【0078】
このため、充電ケーブル230は、案内部341,340によって斜め下方向に案内されている。具体的には、充電ケーブル230は、下方に向かうにしたがって、引出部343から離れる方向に案内される。これにより、充電ケーブル230のうち、案内機構260によって案内されている部分の曲率半径が小さくなることが抑制されている。
【0079】
図1において、車両100は、バッテリBを収容する車両本体101を備え、車両本体101は、車両本体101の幅方向に配列する側面106Aおよび側面106Bを含む。
【0080】
側面106A、106Bには、いずれも、乗降用のドアと、フロントフェンダと、リヤフェンダとを含む外装部品が装着されている。
【0081】
車両100は、電力と異なるエネルギとしてのガソリンを溜めるタンク180と、このタンク180に接続され、外部からガソリンが供給される給油部170とを備える。給油部170から供給されたガソリンは、タンク180に貯留される。タンク180は、車両本体101内に配置されており、この図1に示す例においては、バッテリBよりも進行方向前方側に配置されている。
【0082】
なお、本実施の形態1に係る車両は、典型的な例として、ガソリンと電力を用いて走行するハイブリッド車両を採用しているが、本発明を適用することができる例としては、この例に限られない。たとえば、燃料電池を搭載したプラグインハイブリッド車両にも適用することがでできる。この場合には、水素、エタノールおよびメタノール等の水素元素を含む液体燃料が、給油部170から供給されると共に、タンク180に水素元素を含む燃料が貯留される。給油部170は、側面106Aのリヤフェンダ107に配置されている。
【0083】
図1および図4において、充電ケーブル230の巻回方向Rは、車両本体101の側面106A側から車両本体101の上面側、側面106B側、車両本体101の下面側を通る方向とされている。
【0084】
そして、図4に示すように、充電ケーブル230は、側面106A側のボビン203の外周縁部から引き出され、取出口321から外部に引き出されている。このため、図1において、プラグ部190および充電ケーブル230は側面106Bに向けて引き出しやすくなっている。すなわち、プラグ部190および充電ケーブル230は、給油部170から離れる方向に引き出しやすくなっている。
【0085】
このため、外部電源206が側面106B側に配置されている場合には容易にプラグ部190を外部電源206に接続し易くなる。
【0086】
図1において、車両本体101は、車両後部に配置されたバックドア106Cを備えており、バックドア106Cは、車両本体101内に規定されたトランクルームを開閉する。充電ケーブル収容装置200は、バックドア106Cの外壁面に配置されている。
【0087】
図3において、ボビン203の回転中心線O方向の長さは、側壁部201A,201Bの直径方向の長さよりも短くなるように形成されている。ボビン203は回転中心線Oが水平方向に延びるように配置されており、ボビン203が、バックドア106Cから張り出す張出量が低減されている。
【0088】
ケース300は、バックドア106Cの外表面に固定されており、このケース300の底部には、凹部322が形成されている。この凹部322には、蓋部325が形成されている。
【0089】
充電ケーブル230は、外部に引き出されるため、充電ケーブル230に泥等の異物が付着する場合がある。
【0090】
充電ケーブル230に付着した異物は、ケース300内において下方に落下し、ケース300の底部に形成された凹部322内に溜まる。この凹部322に溜まった異物を蓋部325を開けることで、ケース300内から取り出すことができる。
【0091】
給電ハーネス310は、バックドア106Cに形成された穴部を通って、バックドア106Cの内表面側に引き出されている。図1において、給電ハーネス310は、バックドア106Cの付根部を通って、バッテリBに接続されている。
【0092】
図6は、本実施の形態1に係る充電ケーブル収容装置200に搭載される充電ケーブル230の変形例を示す斜視図であり、図7は、図6に示すボビン203の平面図である。図8は、図6および図7に示すボビン203を有する充電ケーブル収容装置200が装着された車両100の斜視図である。
【0093】
この図6および図7に示すボビン203においては、充電ケーブル230の巻回方向Rは、上記図4および図5に示すボビン203の巻回方向Rと反対方向となっている。
【0094】
具体的には、図8および図7において、充電ケーブル230は、車両本体101の側面106B側から車両本体101の上面側、側面106A側、車両本体101の下面側を順次とおるようにボビン203に巻回されている。
【0095】
そして、ボビン203に巻回された充電ケーブル230は、案内機構260によって、充電ケーブル230の側面106B側の外周縁部から取出口321に向けて引き出されている。
【0096】
案内機構260は、充電ケーブル230を引き出す引出部348と、引出部348によって引き出された充電ケーブル230を取出口321の上方に案内する案内部347と、案内部347によって案内された充電ケーブル230を下方に引き出し、取出口321に向けて案内する案内部345,346を含む。
【0097】
このように、充電ケーブル230がボビン203に巻回され、案内機構260によって案内された充電ケーブル230は、図8に示すように、側面106A側に引き出し易くなっている。
【0098】
このため、外部電源206が側面106A側に配置されている場合には、プラグ部190を外部電源206に接続し易くなっている。
【0099】
なお、本実施の形態1に係る車両100は、充電ケーブル収容装置200が、車両本体101の後部であって、車両本体101の幅方向の中央部に配置されている。このため、プラグ部190を側面106A側または側面106B側のいずれの方向に引き出す際においても、充電ケーブル230の引き出し長さに差が殆どなく、いずれの方向にも引き出しやすくなっている。
【0100】
なお、図3に示すように、凹部状のプラグ受入部323がケース300に形成されており、充電しない通常の状態では、プラグ部190は、プラグ受入部323内に配置される。
【0101】
(実施の形態2)
図9および図10を用いて、本発明の実施の形態2に係る車両100および充電ケーブル収容装置200について説明する。なお、図9および図10に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0102】
図9は、本実施の形態2に係る車両100の斜視図であり、図10は、本実施の形態2に係る充電ケーブル収容装置200の断面図である。
【0103】
この図9および図10に示すように、充電ケーブル収容装置200は、トランクルーム330内に配置されている。
【0104】
そして、充電ケーブル収容装置200は、バックドア106Cの内側面に固定されている。バックドア106Cには、取出口が形成されており、バックドア106Cには、この取出口を開閉する蓋部420が設けられている。
【0105】
なお、この本実施の形態2に係る充電ケーブル収容装置200においても、ボビン203を収容する筐体は、バックドア106Cと、このバックドア106Cの内側面側に配置されたケース300とによって形成されている。取出口421は、バックドア106Cのうち、回転中心線Oが通る位置に形成されている。このため、取出口421も車両100の後方に向けて開口するように形成されている。
【0106】
このように、トランクルーム330内に充電ケーブル収容装置200を配置することで、充電ケーブル収容装置200が外部に張り出すことを抑制することができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、充電ケーブル収容装置および車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
100 車両、101 車両本体、102 車輪、103 動力分割機構、104 エンジン、106A 側面、106B 側面、106C バックドア、107 リヤフェンダ、110 コンバータ、120,130 インバータ、170 給油部、180 タンク、190 プラグ部、200 充電ケーブル収容装置、201A,201B 側壁部、202 軸部、203 ボビン、204 筒部、205A,205B 支持板、206 外部電源、207 コンセント、210 固定子、211 接触片、220 回転子、228 接触ピン、230 充電ケーブル、240 漏電防止装置、241 モータ、243 ギヤ、250 収容室、260 案内機構、300 ケース、310 給電ハーネス、320 蓋、321 取出口、322 凹部、325,420 蓋部、330 トランクルーム、340,341 案内部、342 引出部、421 取出口、B バッテリ、C コンデンサ、D 外径、ECU160 車両、L リアクトル、M 直径、MG1,MG2 モータジェネレータ、O 回転中心線、R 巻回方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から車両に電力を供給する充電ケーブルと、
回転可能に設けられ、前記充電ケーブルが巻回されると共に、前記車両の後部に配置されるボビンと、
前記ボビンを収容すると共に、前記充電ケーブルを外部に取り出す取出口が形成された筐体と、
前記ボビンから引き出された前記充電ケーブルを前記取出口よりも上方から前記取出口に向けて案内する案内機構と、
を備えた、充電ケーブル収容装置。
【請求項2】
前記取出口は、前記ボビンの回転中心線が通る位置に設けられ、
前記ボビンを回転可能に支持する軸部と、前記軸部に固定され、前記ボビンより前記取出口側に位置する側壁部とをさらに備え、
前記案内機構は、前記ボビンに巻回された前記充電ケーブルを前記側壁部上に引き出す引出部と、前記引出部によって引き出された前記充電ケーブルを前記取出口に案内する案内部とを含む、請求項1に記載の充電ケーブル収容装置。
【請求項3】
前記ボビンは、外周面に前記充電ケーブルが巻回された筒部を含み、
前記筒部の外径は、前記充電ケーブルの直径の15倍以上30倍以下とされた、請求項2に記載の充電ケーブル収容装置。
【請求項4】
前記ボビンを回転させるモータをさらに備え、
前記ボビンは、外周面に前記充電ケーブルが巻回された筒部を含み、
前記モータは、前記筒部内に配置された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の充電ケーブル収容装置。
【請求項5】
前記ボビンの回転中心線が水平方向に延びるように、前記ボビンが配置されると共に、前記取出口が車両の後方に向けて開口するように前記ボビンが配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電ケーブル収容装置。
【請求項6】
充電可能な蓄電器と、
電力と異なるエネルギーを溜める貯留部と、
前記蓄電器および前記貯留部を収容し、一方の側面および該一方の側面と反対側に位置する他方の側面を含む車両本体と、
前記車両本体の後部に設けられ、前記蓄電器に接続された充電ケーブル収容装置と、
を備え、
前記充電ケーブル収容装置は、外部電源から前記蓄電器に電力を供給する充電ケーブルと、回転可能に設けられ、前記充電ケーブルが巻回されると共に、前記車両本体の後部に配置されるボビンと、前記ボビンから引き出された前記充電ケーブルを下方に向けて案内する案内機構とを含む、車両。
【請求項7】
前記車両本体の一方の側面に設けられ、外部から供給される前記エネルギーを前記貯留部に供給する供給部とをさらに備え、
前記充電ケーブルは、前記車両本体の一方の側面側から前記車両本体の上面側、前記車両本体の他方の側面側、前記車両本体の下面側を順次通るように、前記ボビンに巻回された、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記車両本体の一方の側面に設けられ、外部から供給される前記エネルギーを前記貯留部に供給する供給部とをさらに備え、
前記充電ケーブルは、前記車両本体の他方の側面側から前記車両本体の上面側、前記車両の一方の側面側、前記車両本体の下面側を順次通るように、前記ボビンに巻回された、請求項6に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−130526(P2011−130526A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283971(P2009−283971)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】