説明

充電情報表示用携帯機および充電情報表示システム

【課題】携帯機と車載機との間で通信ができない場合であっても、予測に基づく充電情報を表示することでユーザの便宜を図る。
【解決手段】バッテリの充電が行われる際に、バッテリの充電特性データを、車載機から携帯機200へ送信する。携帯機200では、充電照会ボタン25を押して、バッテリ残量や充電完了までの時間を車載機へ問い合せた後、車載機から充電情報を受信できない場合は、先に取得した充電特性データを用いて、バッテリの予測残量や充電完了までの予測時間を算出し、これらの情報23cを表示部23に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用バッテリの残量等を表示する充電情報表示用携帯機に関し、また、当該携帯機と制御装置とで構成される充電情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車産業において、ハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車(いわゆるエコカー)が脚光を浴びている。ハイブリッド車は、ガソリンエンジンのほかに電気モータを動力源とする車であり、電気自動車は電気モータのみを動力源とする車である。これらの環境対応車は、電気モータを用いることによって、ガソリンの消費や二酸化炭素の排出を抑制できることから、地球環境保護に貢献する新世代の車として普及が期待されている。
【0003】
このような環境対応車では、電気モータの駆動源としてリチウムイオン電池のようなバッテリが用いられる。このバッテリは、外部から充電することが可能である。バッテリの充電方法としては、家庭内の電源から直接充電を行う方法や、ショッピングセンター等に設置された急速充電装置を利用して充電を行う方法などがある。いずれの場合においても、バッテリの残量等の充電情報をいつでも確認することができれば、必要時にバッテリを充電することができるなど、ユーザにとって便利である。そこで、バッテリを搭載した装置から、携帯端末等にバッテリの充電情報を通知するシステムが従来から提案されている(例えば特許文献1−3参照)。
【0004】
特許文献1には、バッテリの状態判別装置からのデータに基づいて、バッテリが正常か否か、あるいはバッテリの詳細な履歴データを表示する必要があるか否かを判別し、履歴データを表示する必要があると判別された場合にのみ、外部の別の表示部に当該データを表示することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、端末機器に接続されてバッテリにより駆動される無線子機が、端末機器と情報の授受を行う携帯端末装置から照会信号を受信すると、バッテリの残量を示す残量信号を携帯端末装置に送信することが記載されている。
【0006】
特許文献3には、携帯電話機のバッテリの残量が基準値まで低下したことが検出されると、携帯電話機から加入者データ管理手段へ残量通知信号を送信することや、バッテリの残量が充電により回復したときは、携帯電話機から加入者データ管理手段へ回復信号を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−54302号公報
【特許文献2】特開2007−57273号公報
【特許文献3】特開2009−177509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハイブリッド車や電気自動車などにおいて、バッテリの充電情報を確認する手段として、車両に搭載された制御装置から携帯機に、バッテリ残量等の情報を無線で送信し、携帯機の表示部に当該情報を表示させるシステムが考えられる。しかしながら、例えばショッピングセンターの駐車場に設置された充電装置でバッテリを充電する場合、ユーザが充電の間に買物などのために車を離れることがある。すると、建物が鉄筋コンクリートであることから、ユーザの所持する携帯機と車両の制御装置との間で電波が遮断され、通信ができないことがある。この場合、携帯機では、制御装置からバッテリの充電情報を取得できないので、表示部には充電情報が表示されない。したがって、ユーザは現在のバッテリ残量や充電完了までの時間等を知ることができず、不便である。
【0009】
そこで本発明の目的は、携帯機と制御装置との間で通信ができない場合であっても、予測に基づく充電情報等を表示することでユーザの便宜を図った充電情報表示用携帯機、および充電情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る充電情報表示用携帯機は、バッテリの残量を検出する手段を備えた制御装置に対して、バッテリの充電情報を要求する信号を無線で送信する送信手段と、制御装置から充電情報を無線で受信する受信手段と、この受信手段が受信した充電情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された充電情報を表示する表示手段とを備えた充電情報表示用携帯機において、さらに充電予測情報算出手段を設けたものである。充電予測情報算出手段は、送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、受信手段が制御装置から充電情報を受信できない場合に、記憶手段に記憶されている充電情報に基づいて、バッテリの充電状態に関する予測情報を算出する。この予測情報は前記表示手段に表示される。
【0011】
このようにすると、充電情報表示用携帯機が制御装置から充電情報を受信できない場合でも、携帯機側で充電予測情報算出手段により、バッテリの充電状態に関する予測情報が算出される。このため、当該予測情報を携帯機の表示手段に表示することにより、例えばバッテリ残量や充電完了までの時間等に関するある程度正確な情報をユーザに知らせることが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、バッテリの充電が行われる際に、当該バッテリの充電特性データを、制御装置から受信手段が受信する。受信手段が受信した充電特性データは、記憶手段に記憶される。そして、充電予測情報算出手段は、記憶手段に記憶されている充電情報と充電特性データとに基づいて予測情報を算出する。
【0013】
このようにすると、制御装置から取得したバッテリの充電時点での充電特性に基づいて、充電予測情報算出手段が予測情報を算出するので、充電時におけるバッテリの状態や特性、周囲の状況などを考慮に入れた精度の高い予測情報を得ることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態においては、充電予測情報算出手段は、バッテリの予測残量および充電完了までの予測時間を含む予測情報を算出する。
【0015】
このようにすると、バッテリ残量と充電完了までの時間がそれぞれ予測値として算出されるので、充電情報表示用携帯機において、残量や時間の目安を容易に知ることができる。
【0016】
本発明の充電情報表示用携帯機は、送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、受信手段が制御装置から充電情報を受信できない場合に、過去に充電情報を受信した時から所定期間が経過しているか否かを判定する第1の判定手段をさらに備えていてもよい。この場合は、第1の判定手段により、所定期間が経過していると判定されると、記憶手段に記憶されている過去の充電情報を表示手段に表示する。
【0017】
このようにすると、充電情報表示用携帯機と制御装置との間の通信ができない状態において、過去の充電情報の受信時から長期間が経過している場合であっても、ユーザは、少なくとも過去の充電情報を知ることはできる。
【0018】
また、本発明では、上記第1の判定手段に加えて、過去に受信した充電情報が記憶手段に記憶されているか否かを判定する第2の判定手段を設けてもよい。この場合は、第1の判定手段により所定期間が経過していないと判定され、かつ、第2の判定手段により充電情報が記憶手段に記憶されていると判定された場合に、充電予測情報算出手段が予測情報を算出する。
【0019】
次に、本発明に係る充電情報表示システムは、制御装置と充電情報表示用携帯機とからなる。制御装置は、バッテリの残量を検出する残量検出手段と、この残量検出手段で検出された残量を含むバッテリの充電情報を送信する第1の送信手段とを備えている。また、充電情報表示用携帯機は、制御装置に対して充電情報を要求する信号を無線で送信する第2の送信手段と、制御装置から充電情報を無線で受信する受信手段と、この受信手段が受信した充電情報を記憶する記憶手段と、第2の送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、受信手段が制御装置から充電情報を受信できない場合に、記憶手段に記憶されている充電情報に基づいて、バッテリの充電状態に関する予測情報を算出する充電予測情報算出手段と、記憶手段に記憶された充電情報または充電予測情報算出手段により算出された予測情報を表示する表示手段とを備えている。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、制御装置は、バッテリの充電が行われる際に、当該バッテリの充電時間に対する充電量を表した充電特性データを生成し、当該データを第1の送信手段から充電情報表示用携帯機へ送信する。この場合の充電特性データは、例えばバッテリの現在の残量と、周囲温度と、充電方式とに基づいて生成される。
【0021】
このようにすると、制御装置でバッテリの充電時点での充電特性データが生成され、充電情報表示用携帯機では、制御装置から取得した上記データに基づいて、充電予測情報算出手段が予測情報を算出するので、充電時におけるバッテリの周囲温度等の環境を考慮に入れた精度の高い予測情報を得ることができる。
【0022】
また、本発明に係る充電情報表示用携帯機においては、送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、受信手段が制御装置から充電情報を受信できない場合に、記憶手段に記憶されている充電開始時刻(または充電量)を表示手段に表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、携帯機と制御装置との間で通信ができない場合であっても、予測に基づく充電情報等が携帯機に表示されるので、ユーザの便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】車両に搭載される制御装置のブロック図である。
【図2】充電情報表示用携帯機のブロック図である。
【図3】充電情報表示用携帯機の外観図である。
【図4】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】バッテリの充電特性を示すグラフである。
【図6】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】充電情報表示用携帯機の動作を示すフローチャートである。
【図8】充電情報表示用携帯機の動作を示すフローチャートである。
【図9】充電情報の表示例を示す図である。
【図10】充電情報の他の表示例を示す図である。
【図11】充電情報の他の表示例を示す図である。
【図12】充電情報の他の表示例を示す図である。
【図13】充電情報の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下では、電気自動車またはハイブリッド車(これらを総称して以下「車両」という)に搭載されたバッテリの充電情報を表示するシステムを例に挙げる。
【0026】
図1は車両に搭載される制御装置(以下「車載機」という)、図2はユーザが所持する充電情報表示用携帯機(以下「携帯機」という)の例であり、これらの車載機と携帯機とによって、本発明の充電情報表示システムが構成される。
【0027】
まず、車載機の構成について説明する。図1において、車載機100は、送受信部11、記憶部12、充電中判定スイッチ13、充電方式検出センサ14、温度センサ15、時計16、残量検出部17、および制御部18を備えている。なお、車載機100には、上記以外にも、車両の各部を制御するための回路やセンサ等が備わっているが、それらは本発明とは直接関係しないので、図示を省略してある。
【0028】
送受信部11は、送受信アンテナ、送信回路および受信回路から構成されており、後述する携帯機200の送受信部21(図2)と無線でデータのやり取りを行う。記憶部12は、データの書き換えが可能な不揮発性の半導体メモリ(例えばフラッシュメモリ)から構成されている。充電中判定スイッチ13は、バッテリ30が充電中か否かを判定するためのスイッチであり、充電装置40の充電プラグ41がバッテリ30のソケット31に接続されたことを機械的に検出する。充電方式検出センサ14は、充電方式が100V/200V/3相200Vのいずれであるかを検出する。温度センサ15は、サーミスタ等の感温素子からなり、バッテリ30の周囲温度を検出する。時計16は、時間を計数するタイマ回路などから構成されている。残量検出部17は、バッテリ30の電圧レベルを監視し、当該電圧レベルに基づいてバッテリ30の残量(充電量)を検出する。制御部18は、CPU、ROM、RAM等から構成され、車載機100の動作を制御する。
【0029】
バッテリ30は、充電可能な二次電池(蓄電池)であって、例えばリチウムイオン電池からなる。バッテリ30は、ソケット31と電気的に接続されている。このソケット31は、車体の側面に設けられた充電プラグ差込口に装備されている。充電装置40は、電源回路や制御回路から構成され、例えばショッピングセンターの駐車場に設置されている。また、充電装置40には、充電プラグ41が備わっている。この充電プラグ41をソケット31に接続することにより、充電装置40からバッテリ30への充電が行われる。なお、ここでは充電プラグ41とソケット31を機械的に接触させて充電を行う例を挙げているが、電磁誘導を利用した非接触給電によりバッテリ30を充電することも可能である。
【0030】
車載機100の上記構成において、送受信部11は、本発明における送信手段の一例であり、残量検出部17は、本発明における残量検出手段の一例である。
【0031】
次に、携帯機の構成について説明する。図2において、携帯機200は、送受信部21、記憶部22、表示部23、表示ボタン24、充電照会ボタン25、時計26、電源27、および制御部28を備えている。
【0032】
送受信部21は、送受信アンテナ、送信回路および受信回路から構成されており、車載機100の送受信部11(図1)と無線でデータのやり取りを行う。記憶部22は、データの書き換えが可能な不揮発性の半導体メモリ(例えばフラッシュメモリ)から構成されている。表示部23は、液晶ディスプレイなどから構成されており、後述する充電情報を画面上に表示する。表示ボタン24は、表示部23を消灯状態から点灯状態に切り替えて、画面上に情報を表示させる際に操作するボタンである。充電照会ボタン25は、バッテリ30の残量や充電完了までの時間等を車載機100へ問い合せる際に操作するボタンである。時計26は、時間を計数するタイマ回路などから構成されている。電源27は、例えばリチウムボタン電池から構成されている。制御部28は、CPU、ROM、RAM等から構成され、携帯機200の動作を制御する。
【0033】
図3は、携帯機200の一例を示す外観図である。図3では、図2と同一部分に同一符号を付してある。携帯機本体20の前面には、上述した表示部23、表示ボタン24、充電照会ボタン25が設けられており、さらに、表示部23の画面上で所定の操作を行うための操作キー29が設けられている。また、携帯機本体20の内部には、上述した送受信部21、記憶部22、時計26、電源27、および制御部28が収納されている。
【0034】
携帯機200の上記構成において、送受信部21は、本発明における送信手段および受信手段の一例であり、記憶部22は、本発明における記憶手段の一例である。また、表示部23は、本発明における表示手段の一例であり、制御部28は、本発明における充電予測情報算出手段、第1の判定手段、および第2の判定手段の一例である。
【0035】
次に、以上のような構成を備えた充電情報表示システムの動作を、フローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
図4は、充電プラグ41をソケット31に接続したときの、車載機100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、制御部18のCPUにより実行される。ステップS1では、充電プラグ41がソケット31に接続されたか否かを、充電中判定スイッチ13の動作状態(オンまたはオフ)に基づいて判断する。充電プラグ41がソケット31に接続されてなければ(ステップS1:NO)、ステップS2〜S8を実行せずに、処理を終了する。充電プラグ41がソケット31に接続されると(ステップS1:YES)、ステップS2へ進む。
【0037】
ステップS2では、残量検出部17により、バッテリ30の現在の残量を検出する。次に、ステップS3において、温度センサ15により、バッテリ30の周囲温度を検出する。さらに、ステップS4において、充電方式検出センサ14により、充電方式(100V/200V/3相200V)を検出する。その後、ステップS5へ進み、ステップS2〜S4で得られた情報に基づいて、バッテリ30の充電特性データを生成する。
【0038】
図5は、バッテリ30の充電特性の一例を示したグラフである。この充電特性は、充電時間に対する充電量の変化を表したものである。充電量は、満充電量を100とした場合の百分率で表されており、バッテリ30の残量、周囲温度、充電方式によって、F1、F2、F3のような様々な特性を持つ。ステップS5では、充電時間に対応する充電量のデータが生成される。
【0039】
次に、ステップS6において、バッテリ30への充電が完了するまでの予測時間が、上述した充電特性データに基づいて算出される。この予測時間は、図5において、充電開始から充電量が飽和状態に至るまでの時間である。その後、ステップS7において、充電プラグ41からソケット31を介して、バッテリ30への充電が行われる。また、ステップS8において、バッテリ30の充電情報が、充電特性データとともに、送受信部11から携帯機200へ送信される。充電情報には、バッテリ30が充電中であることや、バッテリ30の残量(充電量)、充電完了までの予測時間などが含まれる。以上で一連の動作が終了する。
【0040】
図6は、携帯機200から充電情報の照会があったときの、車載機100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、制御部18のCPUにより実行される。ステップS11では、送受信部11が携帯機200から充電情報の要求信号を受信したか否かに基づいて、充電情報の照会の有無を確認する。充電情報の照会がない場合(ステップS11:NO)は、ステップS12〜S16を実行せずに、処理を終了する。充電情報の照会があった場合(ステップS11:YES)、ステップS12へ進む。
【0041】
ステップS12では、残量検出部17により、その時点でのバッテリ30の残量を検出する。次に、ステップS13において、バッテリ30が充電中であるか否かを、充電中判定スイッチ13の動作状態(オンまたはオフ)に基づいて判断する。バッテリ30が充電中であれば(ステップS13:YES)、ステップS14へ進み、バッテリの残量と充電特性データとを用いて充電完了までの予測時間を算出する。そして、ステップS15において、バッテリ30が充電中であることや、バッテリ30の残量(充電量)、充電完了までの予測時間などの充電情報を、送受信部11を介して携帯機200へ送信し、動作を終了する。
【0042】
また、ステップS13においてバッテリ30が充電中でないと判断された場合(ステップS13:NO)は、ステップS16へ進む。ステップS16では、バッテリ30が非充電状態にあることやバッテリ30の残量などの充電情報を、送受信部11を介して携帯機200へ送信し、動作を終了する。
【0043】
図7は、車載機100から充電情報を受信したときの携帯機200の動作を示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、制御部28のCPUにより実行される。なお、バッテリ残量等の充電情報は、充電プラグ接続時に車載機100から送られてくる(図4のステップS8)ほか、その後も一定時間間隔で定期的に携帯機200へ送られてくる。一方、充電特性データは、充電プラグが接続される都度、車載機100から送られてくる(図4のステップS8)。
【0044】
ステップS21では、送受信部21が車載機100から充電情報や充電特性データを受信したか否かを判断する。充電情報等を受信してなければ(ステップS21:NO)、ステップS22、S23を実行せずに、処理を終了する。充電情報等を受信すると(ステップS21:YES)、ステップS22へ進む。
【0045】
ステップS22では、車載機100から受信した充電情報を記憶部22に記憶する。充電特性データを受信した場合も、同様に当該データを記憶部22に記憶する。続くステップS23では、記憶部22に記憶した充電情報を表示部23に表示する。これにより、バッテリ30の状態(充電中または非充電中)、残量、充電完了までの時間などが、例えば図9に示すように、携帯機200の表示部23に表示される。
【0046】
図8は、車載機100へ充電情報の照会を行うときの携帯機200の動作を示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、制御部28のCPUにより実行される。ステップS31では、携帯機200の充電照会ボタン25が押されたか否かを確認する。充電照会ボタン25が押されてなければ(ステップS31:NO)、ステップS32〜S41を実行せずに、処理を終了する。充電照会ボタン25が押されると(ステップS31:YES)、ステップS32へ進む。
【0047】
ステップS32では、バッテリ30の充電情報を要求する信号(以下「照会信号」という)を生成して、これを送受信部21から車載機100へ送信する。その後、ステップS33で、車載機100から返信(応答信号)があるのを待つ。車載機100から返信があると(ステップS33:YES)、ステップS34へ進む。ステップS34では、図6のステップS15またはS16で車載機100が送信した充電情報を、無線で受信する。そして、ステップS35において、受信した充電情報に基づき、バッテリ残量、充電の有無、充電完了までの予測時間などを携帯機200の表示部23に表示し、処理を終了する。
【0048】
図9および図10は、ステップS35における表示部23の表示例を示している。図9は、バッテリ30が充電中である場合の表示例である。表示部23の画面には、図6のステップS15で車載機100が送信した情報に基づき、バッテリ300が充電中であること、充電完了までの時間が25分であること、バッテリ300の残量(充電量)が65%であることなどを示す情報23aが表示されている。ここでは、バッテリ残量がバーグラフと数値の両方で表示されているが、いずれか一方により表示してもよい。なお、バーグラフの左端の「E」は残量0%(Empty)を表し、右端の「F」は残量100%(Full)を表している。また、表示部23の画面上部には、現在時刻が表示されており、画面下部には、操作ボタンが表示されている。
【0049】
図10は、バッテリ30が非充電中である場合の表示例である。この場合は、図6のステップS16で車載機100が送信した情報に基づき、表示部23の画面に、バッテリ300が非充電中であること、図示の日時におけるバッテリ残量が65%であることなどを示す情報23bが表示されている。
【0050】
図8に戻り、ステップS33において、車載機100から返信がない場合(ステップS33:NO)は、ステップS36へ進む。返信がない場合としては、例えば、携帯機200が鉄筋コンクリートの建物内にあって、屋外にある車載機100との通信ができない状態にある場合などが考えられる。
【0051】
ステップS36では、過去に車載機100より充電情報を受信した時から、所定期間が経過していないかどうかを、記憶部22を参照して検証する。このような手順を踏む理由は、充電情報を受信した時点から長期間が経過しておれば、その充電情報は古くて利用価値がなく、これに基づいて充電情報の予測値を算出したのでは、予測精度が低下して好ましくないからである。
【0052】
ステップS36において、所定期間が経過してなければ(ステップS36:YES)、ステップS37へ進み、過去に受信したバッテリ残量が記憶部22に記憶されているか否かを確認する。このような手順を踏む理由は、バッテリの予測残量や充電完了までの予測時間を算出するには、過去のバッテリ残量の情報が必要であり、これがないと予測が事実上不可能となるためである。
【0053】
なお、ステップS36、S37の順序は入れ替えてもよい。また、ステップS36、S37を省略して、ステップS33での判定がNOの場合は、直接ステップS38へ進むようにしてもよい。さらに、ステップS36、S37の一方のみを省略してもよい。
【0054】
ステップS37で過去のバッテリ残量が記憶されておれば(ステップS37:YES)、ステップS38へ進む。ステップS38では、記憶部22に記憶されている過去に受信した充電情報と充電特性データとを用いて、バッテリ300の充電状態に関する予測情報を算出する。具体的には、車載機100と通信が可能であった直近の時点において受信したバッテリ残量と、当該直近の受信時からの経過時間(時計26により計数)と、充電特性データとに基づいて、現時点でのバッテリ300の残量および充電完了までの時間を、それぞれ予測値として算出する。次に、こうして算出した予測残量および予測時間を、ステップS39で表示部23に表示する。
【0055】
図11は、ステップS39における表示部23の表示例を示している。表示部23の画面には、バッテリ300が充電中であることや、バッテリ300の予測残量(85%)と充電完了までの予測時間(10分)を示す情報23cが表示されている。ここでは、予測残量や予測時間が推測値である旨のメッセージも表示されているが、このメッセージは省略してもよい。
【0056】
このようにして、携帯機200が車載機100から充電情報を受信できない状況にある場合でも、過去(直近)の充電情報と充電特性データとを用いて、携帯機200側でバッテリ30の充電状態に関する予測情報が算出され、表示部23に表示される。したがって、携帯機200を所持するユーザは、バッテリ30の残量や充電完了までの時間の目安を容易に知ることができる。また、バッテリ300の充電時点で生成された充電特性を用いて予測情報を算出するので、充電時におけるバッテリ300の周囲温度等の環境を考慮に入れた精度の高い予測情報を得ることができる。
【0057】
図8に戻り、ステップS36において、過去に充電情報を受信した時から、所定期間が経過している場合(ステップS36:NO)は、ステップS41に進む。ステップS41では、記憶部22に記憶されている過去の充電日時(直近の日時)と、その時点でのバッテリ残量とを、過去の充電情報として表示部23に表示する。
【0058】
図12は、ステップS41における表示部23の表示例を示している。表示部23の画面には、車両と通信ができなかったことを示すメッセージとともに、過去の充電日時と、そのときのバッテリ残量(80%)を示す情報23dが表示されている。これによって、携帯機200が車載機100から充電情報を受信できない場合でも、ユーザは、少なくとも過去の最新のバッテリ残量を知ることはできる。
【0059】
また、図8のステップS37において、過去に受信したバッテリ残量が記憶部22に記憶されていない場合(ステップS37:NO)は、ステップS40に進む。ステップS40では、過去の残量情報に基づく予測情報の算出が不可能なので、バッテリ300の残量や、充電完了までの時間が不明であることを表示部23に表示する。
【0060】
図13は、ステップS40における表示部23の表示例を示している。表示部23の画面には、車両と通信ができなかったことを示すメッセージとともに、バッテリの残量や充電完了までの時間が不明であることを示す情報23eが表示されている。
【0061】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の実施形態を採用することが可能である。以下にいくつかの例を示す。
【0062】
(1)前記の実施形態では、携帯機200において、車載機100から充電情報を受信できない場合、過去に車載機100から取得し記憶部22に記憶されているバッテリ残量を用いて、現在のバッテリ残量や充電完了までの時間を予測し、この予測値を表示部23に表示したが、予測値に代えて充電開始時刻または充電量を表示してもよい。この場合の携帯機200は、バッテリ30の充電開始時刻および充電量などの充電情報を要求する信号を送受信部21から車載機100へ無線で送信し、車載機100から上記の充電情報を無線で受信し、受信した充電情報を記憶部22に記憶する。そして、送受信部21が充電情報を要求する信号を送信した後、車載機100から充電情報を受信できない場合は、過去に車載機100から取得して記憶部22に記憶されている直近の充電開始時刻または充電量を読み出し、これを表示部23に表示する。表示部23には、充電開始時刻と充電量の一方のみを表示してもよいし、両方を表示してもよい。このような実施形態によっても、ユーザはバッテリ残量や充電完了までの時間の目安を把握することができる。
【0063】
(2)前記の実施形態では、携帯機200として、バッテリの充電情報を表示するための専用機を例に挙げたが、車両のキーレスエントリーシステムに用いられるドア開閉用のリモコンに、本発明の携帯機の機能を兼用させてもよい。
【0064】
(3)前記の実施形態では、図4のフローチャートにおいて、充電完了までの予測時間の算出(ステップS6)を車載機100側で行ったが、予測時間を携帯機200側で算出するようにしてもよい。
【0065】
(4)前記の実施形態では、携帯機200において、バッテリ30の残量等を問い合せるための機械的な充電照会ボタン25を設けたが、充電照会ボタンを表示部23の画面上に表示し、当該ボタンを操作キー29により操作するようにしてもよい。
【0066】
(5)前記の実施形態では、ショッピングセンター等に設置された専用の充電装置40によりバッテリ30を充電する場合を例に挙げたが、本発明は、家庭用の電源を使用してバッテリを充電する場合にも適用することができる。
【0067】
(6)前記の実施形態では、本発明を電気自動車やハイブリッド車におけるバッテリの充電情報を表示するシステムに適用した例を挙げたが、本発明は、例えば、無人搬送車やロボットに搭載されたバッテリの充電情報を表示するシステムなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
11 送受信部
17 残量検出部
21 送受信部
22 記憶部
23 表示部
25 充電照会ボタン
28 制御部
30 バッテリ
100 車載機(制御装置)
200 携帯機(充電情報表示用携帯機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの残量を検出する手段を備えた制御装置に対して、バッテリの充電情報を要求する信号を無線で送信する送信手段と、
前記制御装置から前記充電情報を無線で受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した充電情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された充電情報を表示する表示手段と、
を備えた充電情報表示用携帯機において、
前記送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、前記受信手段が前記制御装置から充電情報を受信できない場合に、前記記憶手段に記憶されている充電情報に基づいて、前記バッテリの充電状態に関する予測情報を算出する充電予測情報算出手段をさらに備え、
前記充電予測情報算出手段により算出された前記予測情報を、前記表示手段に表示することを特徴とする充電情報表示用携帯機。
【請求項2】
請求項1に記載の充電情報表示用携帯機において、
前記受信手段は、バッテリの充電が行われる際に、当該バッテリの充電時間に対する充電量を表した充電特性データを前記制御装置から受信し、
前記記憶手段は、前記受信手段が受信した充電特性データを記憶し、
前記充電予測情報算出手段は、前記記憶手段に記憶されている充電情報と充電特性データとに基づいて前記予測情報を算出することを特徴とする充電情報表示用携帯機。
【請求項3】
請求項1に記載の充電情報表示用携帯機において、
前記充電予測情報算出手段は、バッテリの予測残量および充電完了までの予測時間を含む予測情報を算出することを特徴とする充電情報表示用携帯機。
【請求項4】
請求項1に記載の充電情報表示用携帯機において、
前記送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、前記受信手段が前記制御装置から充電情報を受信できない場合に、過去に充電情報を受信した時から所定期間が経過しているか否かを判定する第1の判定手段をさらに備え、
前記第1の判定手段により、前記所定期間が経過していると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている過去の充電情報を前記表示手段に表示することを特徴とする充電情報表示用携帯機。
【請求項5】
請求項4に記載の充電情報表示用携帯機において、
過去に受信した充電情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する第2の判定手段をさらに備え、
前記第1の判定手段により前記所定期間が経過していないと判定され、かつ、前記第2の判定手段により前記充電情報が前記記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記充電予測情報算出手段が前記予測情報を算出することを特徴とする充電情報表示用携帯機。
【請求項6】
バッテリの残量を検出する残量検出手段、
前記残量検出手段で検出された残量を含むバッテリの充電情報を送信する第1の送信手段、
を備えた制御装置と、
前記制御装置に対して前記充電情報を要求する信号を無線で送信する第2の送信手段、
前記制御装置から前記充電情報を無線で受信する受信手段、
前記受信手段が受信した充電情報を記憶する記憶手段、
前記第2の送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、前記受信手段が前記制御装置から充電情報を受信できない場合に、前記記憶手段に記憶されている充電情報に基づいて、前記バッテリの充電状態に関する予測情報を算出する充電予測情報算出手段、
前記記憶手段に記憶された前記充電情報または前記充電予測情報算出手段により算出された前記予測情報を表示する表示手段、
を備えた充電情報表示用携帯機と、
からなることを特徴とする充電情報表示システム。
【請求項7】
請求項6に記載の充電情報表示システムにおいて、
前記制御装置は、バッテリの充電が行われる際に、当該バッテリの充電時間に対する充電量を表した充電特性データを生成し、当該データを前記第1の送信手段から前記充電情報表示用携帯機へ送信することを特徴とする充電情報表示システム。
【請求項8】
請求項7に記載の充電情報表示システムにおいて、
前記制御装置は、バッテリの現在の残量と、周囲温度と、充電方式とに基づいて、前記充電特性データを生成することを特徴とする充電情報表示システム。
【請求項9】
バッテリの残量を検出する手段を備えた制御装置に対して、バッテリの充電開始時刻および充電量などの充電情報を要求する信号を無線で送信する送信手段と、
前記制御装置から前記充電情報を無線で受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した充電情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された充電情報を表示する表示手段と、
を備えた充電情報表示用携帯機において、
前記送信手段から充電情報を要求する信号を送信した後、前記受信手段が前記制御装置から充電情報を受信できない場合に、前記記憶手段に記憶されている充電開始時刻または充電量を前記表示手段に表示することを特徴とする充電情報表示用携帯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−112617(P2011−112617A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271899(P2009−271899)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】