説明

光ヘッド及び光記録媒体駆動装置

【課題】 記録時と再生時、または、種類の異なる光記録媒体、多層光記録媒体の各記録面に対して、光源の出力パワーの必要な変化量を小さくして、製造性のよい光出力定格の小さな光源を用いて良好な特性が得られるようにし、また、光源の正確な出力パワー制御を可能とする。
【解決手段】 光ヘッド104より光記録媒体102に照射される光束についての光結合効率を、光結合効率可変素子214,215により、光記録媒体102の種類、多層光記録媒体における記録面、動作モードに応じて制御し、光源212の出力パワーの変化量を極端に大きくせずに、光記録媒体102に照射される光束のパワーを大幅に変える。また、所定の温度より低温においては、動作モードに拘わらず、光結合効率を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に対して各種情報の記録及び/又は再生を行なう光ヘッド及びこのような光ヘッドを備えて構成される光記録媒体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスクに代表される光記録媒体としては、ディスク基板上にピット等があらかじめ形成され再生専用として用いられるもの、ディスク基板上に形成された溝構造に沿って相変化、または、光磁気記録等を用いて、記録及び再生が可能となされているもの、等が提案されている。
【0003】
このうち、記録及び再生が可能な光ディスクを用いる光ディスク装置等の光記録媒体駆動装置においては、光ヘッドの光源として、一般に最大出射光量(光出力最大定格)が比較的大きい半導体レーザ素子が用いられるのが通常である。一方、再生専用の装置では、大きな最大定格の光源は、通常は必要ではない。これは、以下のような理由による。
【0004】
(1)半導体レーザ素子においては、一般的に、発光出力が小さい場合には、安定した発振が得られにくく、レーザノイズが大きくなってしまう。したがって、情報再生時のCNR(Carrier to Noise Ratio)を確保するためには、レーザの光出力をある程度以上の値に設定する必要がある。この値は、通常、2mW乃至5mW程度である。
【0005】
(2)記録可能な光記録媒体では、この光記録媒体の記録面上に光束が集光されることによる記録層の温度上昇等を用いて記録することが用いられている。この場合、「再生用のパワーの光束が照射されても、すでに記録された信号が劣化しない」こと及び「記録用のパワーの光束を用いて、安定した記録が行える」ことという2つの条件の双方を満たそうとすると、再生時の光パワーと記録時の光パワーとにおいて、所定以上の出力比を確保する必要がある。通常、記録用の光束の最大パワーは、再生用の光束のパワーの5倍乃至20倍程度である。さらに、標準速度よりも高速度で記録する場合(光ディスクを標準速度よりも早く回転させる場合)などにおいては、より大きな出力比が必要となる。
【0006】
これら2つの理由によって、記録及び再生に対応する光ヘッドに用いられる光源や、複数の種類の光記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う光ヘッドに用いられる光源の光出力最大定格は、通常、20mW乃至50mW程度、標準速度の8倍程度の高速で記録する光記録媒体(例えば、いわゆる「CD−R/RW」方式の光ディスク等)では、100mW程度にもなっている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−124919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のように光出力最大定格が大きい光源は、その実現が非常に困難であるばかりでなく、光源における消費電力が大きくなってしまう等の問題点がある。また、このような光源を用いて、再生時のように、光出力を小さくして使用しようとすると、レーザノイズが大きくなってしまい、良好な再生特性が得られなくなる。
【0009】
一方、再生専用の「DVD」(「DVD−ROM」や「DVD−Video」)(登録商標)では、すでに、2層の記録面を有する光ディスクが実用化されている。そして、近年、記録及び再生が可能なタイプの光ディスクに関しても、2層、あるいは、4層といった、多層の記録面を有する光ディスクが提案されている。
【0010】
これら多層の記録面を有する光記録媒体においては、記録面が1層のみの光記録媒体に比べて、約1.5倍乃至2倍以上の記録用の光パワー及び再生用の光パワーが必要となる。
【0011】
そのため、記録面が1層の光記録媒体及び記録面が多層の光記録媒体の双方に対応した光記録媒体駆動装置においては、多層の記録面を有する光記録媒体に対する記録用光束の最大パワーは、一層の記録面を有する光記録媒体に対する再生用光束のパワーに対する比率(倍率)が、一層の記録面を有する光記録媒体のみを扱う光記録媒体駆動装置における記録用光束のパワーの再生用光束のパワーに対する比率の2倍程度となってしまう。
【0012】
さらに、光束に対する光学記録媒体の線速度が異なる場合についても、必要となる記録用光束のパワー及び再生用光束のパワーが異なってくる。すなわち、光束に対する光学記録媒体の線速度が大きくなると、より大きなパワーの記録用光束及び再生用光束が必要となる。
【0013】
このように、光記録媒体における記録容量が拡大され、今後もさらに記録容量が拡大されると、これに伴い、光源には、より一層広い光出力のダイナミックレンジが要求されることとなる。
【0014】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑み、記録時(記録モード時)及び再生時(再生モード時)における光源の光パワー比が小さくなされ、再生時のレーザノイズが十分に小さくなされるとともに、製造性のよい光出力最大定格が小さめな光源を用いても良好な記録及び再生特性が得られる光ヘッド及び光記録媒体駆動装置を提供しようとするものである。
【0015】
さらに、本発明は、最適な記録及び/又は再生用の光パワーの異なる複数種類の光記録媒体、多層光記録媒体、または、記録面が複数の記録領域に分割された光記録媒体などの複数種類の光記録媒体に対しても、再生時のレーザノイズが十分に小さくなされ、製造性のよい光出力最大定格の小さめな光源を用いても、各種類の光記録媒体、多層光記録媒体の各記録面、記録面上の複数の記録領域のそれぞれに対して、良好な記録及び/又は再生特性の得られる光ヘッド及び光記録媒体駆動装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するため、本発明に係る光ヘッドは、光源と、この光源から発せられた光ビームを光記録媒体に集光させて照射する光集光手段と、光源から出射された光ビームの光路とこの光ビームが上記光記録媒体により反射されて集光手段を経た反射光ビームの光路とを分離させる光分離手段と、光分離手段を経た反射光ビームを受光する光検出手段と、光源と光集光手段との間に設けられ該光源から出射される総光量に対する光記録媒体上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる光結合効率可変手段とを備えている。
【0017】
この光ヘッドは、さらに、光源、または、光結合効率可変手段の近傍に配置された温度センサと、この温度センサにより検出された温度に基づいて光結合効率可変手段の光結合効率可変手段を制御する制御手段とを備えている。
【0018】
そして、この光ヘッドにおいては、制御手段は、温度センサにより検出された温度が所定の温度以上であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに応じて上記光結合効率を変化させ、温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに拘わらず、光結合効率を固定することを特徴とするものである。
【0019】
また、上述の課題を解決するため、本発明を適用した光記録媒体駆動装置は、光源と、上記光源から発せられた光ビームを光記録媒体に集光させて照射する光集光手段と、上記光源から出射された光ビームの光路とこの光ビームが上記光記録媒体により反射されて上記集光手段を経た反射光ビームの光路とを分離させる光分離手段と、上記光分離手段を経た上記反射光ビームを受光する光検出手段と、上記光源と上記光集光手段との間に設けられ、該光源から出射される総光量に対する上記光記録媒体上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる光結合効率可変手段と、上記光源、または、上記光結合効率可変手段の近傍に配置された温度センサと、上記温度センサにより検出された温度に基づいて、上記光結合効率可変手段を制御する制御手段とを有する光ヘッドと、上記光記録媒体を回転駆動させる駆動手段とを備えている。
【0020】
そして、この光記録媒体駆動装置においては、制御手段は、温度センサにより検出された温度が所定の温度以上であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに応じて上記光結合効率を変化させ、温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに拘わらず光結合効率を固定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る光ヘッド並びに光記録媒体駆動装置においては、記録モード及び再生モードにおける光源のパワー比を小さくして、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、また、最適な記録及び/又は再生光パワーが異なる複数種類の光記録媒体、多層光記録媒体、または、記録面が複数の記録領域に分割された光記録媒体などの複数種類の光記録媒体に対しても、再生時のレーザノイズを十分に小さくできる。
【0022】
また、本発明に係る光ヘッド並びに光記録媒体駆動装置においては、温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、動作モードに拘わらず、光結合効率を固定するので、光結合効率可変手段の応答速度が遅くなることが問題とならず、また、このような低温下においては、光源に半導体レーザ素子を用いた場合においても、レーザノイズの発生が少ないので、再生特性が影響を受けることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る光ヘッド及び光記録媒体駆動装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
〔光記録媒体駆動装置の概要的構成〕
本発明に係る光記録媒体駆動装置は、図1に示すように、光記録媒体となる光ディスク102を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、本発明に係る光ヘッド104と、その駆動手段としての送りモータ105とを備えている。
【0025】
ここで、スピンドルモータ103は、後述するディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ107及びサーボ制御部109により駆動制御され、所定の回転数で駆動される。
【0026】
また、光ディスク102としては、光変調記録を用いる記録再生デイスクである種々の方式(いわゆる「光磁気記録」、「相変化記録」及び「色素記録」等を含む)の光ディスク(例えば、いわゆる「CD−R/RW」、「DVD−RAM」、「DVD−R/RW」、「DVD+RW」等)、または、各種光磁気記録媒体である。
【0027】
さらに、この光ディスク102としては、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用してもよく、また、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光ディスク、複数の記録面(記録層)が透明基板を介して積層された光ディスクをも使用することができる。
【0028】
記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの差異は、光ディスクにおける記録方式そのものが異なることによるものの他、光ディスクの回転操作される速度(光ヘッドに対する線速度)の違いによるもの(いわゆる標準速ディスクに対するn倍速ディスク)であってもよい。
【0029】
また、この光ディスク102としては、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる、または、同一の少なくとも2以上の記録面を有する多層光ディスクを使用することもできる。この場合においては、多層光ディスクの設計のしかたにより、各記録面についての最適な記録及び/又は再生光パワーの違いが生ずる。
【0030】
なお、これら光ディスクの記録及び/又は再生光の波長としては、400nm程度乃至780nm程度が考えられる。
【0031】
光ヘッド104は、光ディスク102の記録面に対して光束を照射し、この光束の記録面による反射光を検出する。また、光ヘッド104は、光ディスク102の記録面からの反射光に基づいて、後述するような各種の光束を検出し、各光束に対応する信号をプリアンプ部120に供給する。
【0032】
このプリアンプ部120の出力は、信号変復調部及びECCブロック108に送られる。この信号変復調部及びECCブロック108は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ヘッド104は、信号変復調部及びECCブロック108の指令にしたがって、回転する光ディスク102の記録面に対して、光照射を行う。このような光照射により、光ディスク102に対する信号の記録または再生が行われる。
【0033】
プリアンプ部120は、各光束に対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録または再生の対象媒体とされる光記録媒体の種類に応じて、サーボ制御部109、信号変復調部及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0034】
これにより、復調された記録信号は、光ディスク102が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス111を介して外部コンピュータ130等に送出される。そして、外部コンピュータ130等は、光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができるようになっている。
【0035】
また、光ディスク102がいわゆる「オーディオ・ビジュアル」用であれば、D/A,A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部113に供給される。そして、このオーディオ.ビジュアル処理部113に供給された信号は、このオーディオ.ビジュアル処理部113においてオーディオ・ビデオ信号処理を行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部114を介して、外部の撮像・映写機器に伝送される。
【0036】
上記光ヘッド104は、送りモータ105により、光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動操作される。スピンドルモータ103の制御と、送りモータ105の制御と、光ヘッド104において光集光手段となる対物レンズを保持する二軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動及びトラッキング方向の駆動の制御は、それぞれ、サーボ制御部109により行われる。
【0037】
また、サーボ制御部109は、本発明に係る光ヘッド104内に配設された光結合効率可変素子を動作させ、光ヘッド104における光結合効率、すなわち、光源となる半導体レーザ素子等のレーザ光源から出射する光束の総光量と光ディスク102上に集光する光量との比率を、記録モード時と再生モード時とで、及び、光ディスク102の種類に応じて、異なるように制御し、かつ、制御の仕方は、温度に応じて可変であるようにする。
【0038】
また、レーザ制御部121は、光ヘッド104におけるレーザ光源を制御する。特に、この実施の形態においては、レーザ光源の出力パワーを、記録モード時と再生モード時とで、及び、光ディスク102の種類に応じて、異ならせる制御する動作を行なう。
【0039】
また、光ディスク102が、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用されたものである場合(記録方式の異なるもの、分割された記録領域のいずれであるか、積層された記録面のうちのいずれであるか、光束に対する相対線速度が異なるものなどのいずれも含む)には、ディスク種類判別センサ115が、装着された光ディスク102の種類を判別する。光ディスク102としては、上述したように、光変調記録を用いた種々の方式の光ディスク、または、各種光磁気記録媒体が考えられ、これらは、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なるものも含んでいる。ディスク種類判別センサ115は、光ディスク102の表面反射率やその他の形状的、外形的な違いなどを検出する。
【0040】
そして、システムコントローラ107は、ディスク種類判別センサ115より送られる検出結果に基づいて、光ディスク102の種類を判別する。
【0041】
さらに、光記録媒体の種類を判別する手法としては、カートリッジに収納された光記録媒体においては、このカートリッジの検出穴を設けておくことが考えられる。また、光記録媒体の、例えば、最内周にあるプリマスタードピットや、グルーブ等に記録された目録情報(Table of Contents:TOC)による情報をもとに、「ディスク種別」もしくは「推奨記録パワー及び推奨再生パワー」を検出し、その光記録媒体の記録及び再生に適した記録及び再生光パワーを設定することが考えられる。
【0042】
そして、光結合効率制御手段となるサーボ制御部109は、システムコントローラ107に制御されることにより、ディスク種類判別センサ115の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を、装着された光ディスク102の種類に応じて制御する。
【0043】
また、光ディスク102として、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光ディスクを使用する場合には、記録領域識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を検出する。複数の記録領域が光ディスク102の中心からの距離に応じて同心円状に分割されている場合には、記録領域識別手段としては、サーボ制御部109を用いることができる。サーボ制御部109は、例えば、光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出する(ディスク102に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を判別することができる。そして、サーボ制御部109は、記録及び/又は再生をしようとする記録領域の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0044】
さらに、光ディスク102が、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録面を有する多層光ディスクである場合には、記録面識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録面を判別する。記録面識別手段としては、サーボ制御部109を用いることができる。サーボ制御部109は、例えば、光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出することによって、記録及び/又は再生をしようとする記録面を検出することができる。そして、サーボ制御部109は、記録及び/又は再生をしようとする記録面の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0045】
なお、これら光ディスクの種類、記録領域、記録面についての情報は、各光ディスクに記録されたいわゆるTOCなどの目録情報を読み取ることによっても判別することができる。
【0046】
さらに、この光記録媒体駆動装置においては、光ヘッド104における光源となる半導体レーザ素子等、または、光結合効率可変素子となる液晶素子の近傍に温度センサ122が配置されている。この温度センサ122により検出された温度を示す信号は、制御手段となるシステムコントローラ107に送られる。このシステムコントローラ107は、温度センサ122により検出される温度が所定の温度より低温になったときには、動作モードに拘わらず、サーボ制御部109を介して、光結合効率を固定する。すなわち、システムコントローラ107は、温度センサ122により検出される温度が所定の温度より低温になったときには、動作モードに拘わらず、光結合効率の切り換え動作をやめ、例えば、光結合効率が最大になるように制御する。
【0047】
これは、低温下においては、液晶の応答速度が遅くなるために液晶素子に対する動作制御が良好に行えなくなる反面、半導体レーザ素子においてはレーザノイズを発生させずに使える光パワーの最小値(下限)が低くなるため、半導体レーザ素子の発光パワーを充分に低くしても再生特性が影響を受けることがないからである。
【0048】
〔光ヘッドの構成〕
そして、上述の光記録媒体駆動装置において使用される本発明に係る光ヘッドは、図2に示すように、光源となる半導体レーザ素子212、コリメータレンズ213、光結合効率可変手段を構成する光結合効率可変素子となる液晶素子214及び偏光分離手段となる偏光ビームスプリッタ膜面215Rを有するアナモルフィックプリズム215、例えば1/2(二分の一)波長板等である位相板217、光分離手段となるビームスプリッタ218、半導体レーザ素子212の発光パワーを検出するための光検出器であるFAPC(Front Auto Power Control)用検出素子219、1/4(四分の一)波長板224、光集光手段となる対物レンズ220、検出レンズ221、マルチレンズ222、光検出手段となる光検出素子223を備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされて構成されている。
【0049】
光結合効率可変手段は、半導体レーザ素子212からの光ビームが入射されこの光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子214と、この液晶素子214を経た光ビームが入射される偏光ビームスプリッタ膜215Rとからなり、半導体レーザ素子212とビームスプリッタ218との間に設けられている。
【0050】
この光結合効率可変手段は、液晶素子214によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、半導体レーザ素子212から出射される総光量に対する光ディスク102上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる。
【0051】
なお、以下の説明においては、まず、記録モードにおいては光結合効率可変素子(液晶素子214)を制御して光結合効率を高くし(このような光結合効率モードを、以下「Open」という。)、再生モードにおいて光結合効率可変素子を制御して光結合効率を低くする(このような光結合効率モードを、以下「Close」という。)という構成の光ヘッドについて、光結合効率可変素子の動作を説明する。この光ヘッドにおいては、半導体レーザ素子212に必要とされるダイナミックレンジを小さくすることができる。
【0052】
その後に、図8に示すように、複数の種類の記録媒体への対応のために、トータルとして必要とされる盤面パワーのダイナミックレンジがさらに拡大した場合にも、光結合効率可変素子を用いることによって、半導体レーザ素子212に必要とされるダイナミックレンジを小さく抑えることができることについて説明する。この場合には、記録モード及び再生モードの切換えに限らず、それぞれの記録媒体の記録及び/又は再生パワーに応じて、光結合効率可変素子の動作状態を選択して用いることとなる。
【0053】
また、この光ヘッドにおいては、光結合効率可変素子による光結合効率の切換を行う基準を、温度センサ122により検出される温度によって変化させるようにする。これにより、複数媒体において、温度によって記録及び/又は再生パワーが変化しても、この変化に対応することができる。
【0054】
この光ヘッド104では、図2に示すように、半導体レーザ素子212から出射された直線偏光の拡散光束は、コリメータレンズ213に入射されて平行な光束となされ、液晶素子214に入射される。そして、この液晶素子214を通過した光束は、アナモルフィックプリズム215、位相板217及びピームスブリッタ218に順次入射される。
【0055】
また、この光ヘッド104においては、半導体レーザ素子212、または、液晶素子214の近傍に、温度センサ122が配置されている。この温度センサ122により検出された温度を示す信号は、システムコントローラ107に送られる。
【0056】
アナモルフィックプリズム215は、半導体レーザ素子212から出射された光ビームの断面形状を、楕円形から略々円形に整形する。すなわち、半導体レーザ素子212から出射された光ビームは、直線偏光であって、図2中矢印Pで示す偏光状態を短径方向とする楕円形の断面形状を有している。そして、この光ビームは、断面形状の短径方向に対して傾斜されたアナモルフィックプリズム215の入射面から入射されることにより、この短径方向についてビーム径を拡げられて、略々円形の光ビームに整形される。
【0057】
このアナモルフィックプリズム215及び位相板217を経てピームスブリッタ218に入射した入射光ビームは、このピームスブリッタ218が有する入射光ビームの光軸に対して傾斜された平面状の反射面に対して略々P偏光となされている。なお、位相板217は、入射光ビームの偏光状態をピームスブリッタ218の反射面に対するP偏光とするように、光軸回りに回転調整されている。
【0058】
このビームスプリッタ218において、入射光ビームは、一定の比率(例えば、95%以下の一定の比率)が反射面を透過し、1/4波長板224に入射される。ここでビームスプリッタ218の反射面によって反射された入射光ビームの(例えば、5%以上の一定の比率の)一部は、後述するFAPC用検出素子219に入射する。ビームスプリッタ218を透過した入射光ビームは、1/4波長板224を透過することによって円偏光となされて、対物レンズ220によって光ディスク102の記録面上に集光される。
【0059】
そして、光ディスク102の記録面で反射された反射光ビームは、対物レンズ220を経て、1/4波長板224を透過することによって、往光路の光ビームの偏光状態に対して直交する方向の直線偏光となされて、ビームスプリッタ218に戻る。このとき、反射光ビームは、ピームスブリッタ218の反射面に対して略々S偏光となされており、この反射面によって略々全量が反射され、半導体レーザ素子212からの光路に対して分離される。半導体レーザ素子212からの光路に対して分離された反射光ビームは、検出レンズ221で収束光に変換され、マルチレンズ222によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出素子223に入射される。この光検出素子223が受光して出力する信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が生成される。
【0060】
この光ヘッド104においては、半導体レーザ素子212から出射された光束は、光結合効率可変素子である液晶素子214及びアナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215Rの作用により、これら液晶素子214及び偏光ビームスプリッタ膜面215Rを通過した後は、光結合効率を適宜可変制御される。半導体レーザ素子212から出射された光束は、同一の種類の光ディスクにおいて、または、同一の記録領域、あるいは、同一の記録面において、記録モードから再生モードに変わったときには、記録モード時におけるよりも、小さい光結合効率となされて光ディスク102に入射される。また、再生モードから記録モードに変わったときには、再生モード時におけるよりも、大きい光結合効率となされて光ディスク102に入射される。
【0061】
なお、液晶素子の作用としては、波長板として機能するものに限らず、例えばディスプレイなどに用いられるねじれネマティックタイプの液晶など、ビームスプリッタに入射する偏光の状態を可変にすることができるものであれば同様の効果が得られる。
【0062】
この光ヘッド104において、半導体レーザ素子212内の図示しない半導体レーザ素子チップを駆動する電流は、光ヘッド104のレーザ制御部121から供給される。なお、レーザ制御部121は、光ヘッド104の外部にあってもよく、光ヘッド104に搭載されていてもよい。
【0063】
液晶素子214は、印加電圧に基づいて透過光の偏光状態を変化させる。液晶素子214に対する印加電圧は、サーボ制御部109によって制御される。液晶素子214を透過した光束は、偏光の状態が変化された状態で、アナモルフィックプリズム215に入射する。
【0064】
アナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215Rは、入射光束の光軸に対して所定の角度の傾斜を有する平面状となされ、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされている。したがって、光結合効率モードOpen時は、液晶素子を透過する光束の偏光状態が略P偏光方向であり、略全光量が透過する。光結合効率モードClose時は、液晶を透過する光束の偏光状態が変化し、アナモルフィックプリズム215によってS偏光成分が反射される例えば、液晶素子214の偏光状態45度回転した場合には、略々50%の光束がアナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215Rを透過し、残り略50%の光束は偏光ビームスプリッタ膜面215Rによって反射される。
【0065】
アナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215Rにおいて反射された光束は、全反射防止素子(光出射部)215Tを経て、光結合効率検出手段となる光分岐量モニタ用光検出素子216に受光される。全反射防止素子215Tは、偏光ビームスプリッタ膜面215Rにおいて反射された光束がアナモルフィックプリズム215の内面において全反射されることを防ぐようになっており、図3に示すように、光束に略々直交する複数の面を有する階段状に形成され、アナモルフィックプリズム215に光学的に密着して配設されている。なお、この全反射防止素子215Tは、図4に示すように、光束に略々直交する面を有する三角プリズムとして形成し、アナモルフィックプリズム215に光学的に密着して配設し、あるいは、図5に示すように、アナモルフィックプリズム215と一体的に形成するようにしてもよい。
【0066】
光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、半導体レーザ素子212の発光出力とアナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215Rにおける光分岐率との積に対応したものとなっており、この光ヘッド104における光結合効率に略々対応したものとなっている。なお、この光ヘッドにおいては、光結合効率が高いときには、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は減り、光結合効率が低いときに、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量が増える関係となっている。光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は、100%−〔光結合効率可変手段の通過率(%)〕と「レーザ出射パワー」との積に比例した量である。この光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、図2に示すように、プリアンプ120に送られる。
【0067】
アナモルフィックプリズム215を透過した光束は、ビームスプリッタ218に入射する。ビームスプリッタ218は、半導体レーザ素子212から出射された光束を、実際に対物レンズ220を介して光ディスク102の記録面に向う光と、記録面に向かう光束の光量をモニタするためのFAPC用検出素子219に入射する光とに一定の比率で分離させる。このFAPC用検出素子219の出力は、レーザ制御部121に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部121は、FAPC用検出素子219からの出力が所定の値となるように、半導体レーザ素子212の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク102の記録面上における照射光束の出力(盤面パワー)が一定となされる。なお、光ディスク102の記録面上において所定の値となされる照射光束の出力値は、後述するように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる(なお、光変調記録方式の場合には、パルス発光となる)。
【0068】
このピームスブリッタ218を透過した半導体レーザ素子212からの光束は、上述したように、対物レンズ220に入射される。対物レンズ220は、入射光を光ディスクの記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ220は、図示しない二軸アクチュエータによって、図2中の矢線Fで示すフォーカス方向及び図2中の矢線Tに示すトラッキング方向に駆動される。
【0069】
また、システムコントローラ107は、温度センサ122より送られた温度を示す信号に基づいて、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度より低温になったときには、上述のような動作モードに拘わらず、サーボ制御部109を介して、光結合効率が最大になるように液晶素子214を制御する。この場合には、再生モードにおいて、半導体レーザ212の発光出力は、光結合効率が小さい場合に比較して、より低くなる。
【0070】
低温下においては、図6に示すように、液晶の応答速度が遅くなるために液晶素子に対する動作制御が良好に行えなくなる反面、図7に示すように、半導体レーザ素子212においては、レーザノイズを発生させずに使える光パワーの最小値(下限)が低くなるため、半導体レーザ素子212の発光パワーを充分に低くしても再生特性が影響を受けることがない。したがって、この場合の上述の「所定の温度」は、半導体レーザ素子212の発光パワーを充分に低くしても再生特性が影響を受ける程度のレーザノイズが発生しなくなる温度ということになる。
【0071】
図7において、横軸は半導体レーザ素子212の出力(mW)を示し、縦軸はレーザノイズのレベル(dB/Hz)を示している。レーザノイズのレベルが図6中の所定値A以下となる半導体レーザ素子212の出力は、温度が0°Cでは約2mW程度以上、温度が25°Cでは約3mW程度以上で、温度が45°Cでは約3.5mW程度以上、温度が65°Cでは約4mW程度以上となっている。それぞれの温度で半導体レーザ素子212の出力がこれらの値を下回ると、レーザノイズが急激に増加する。したがって、それぞれの温度での再生モードにおける光結合効率は、盤面パワーを所定の出力とした場合に、半導体レーザ212の発光出力が、レーザノイズが増加する出力とならないように設定される必要がある。
【0072】
光結合効率が最大の光結合効率モード「Open」で再生を行う場合に対応するレーザ出力が、例えば2.5mWであるとすると、レーザノイズが所定値A以下となる温度は、0℃と25℃との間ということになる。
【0073】
一方、図6において、横軸は温度を示し、縦軸は液晶素子の応答速度を示している。「O→C」とは、液晶素子214が光結合効率モード「Open」に対応した状態から光結合効率モード「Close」に対応した状態への切換えを示し、「C→O」とは、液晶素子214が光結合効率モード「Open」に対応した状態から光結合効率モード「Close」に対応した状態への切換えを示している。「O→C」の場合、温度が20°C以上では20ms程度であった応答時間が、温度が0°C付近では80ms程度まで長くなっている。また、「C→O」の場合、温度が20°C以上では5ms程度であった応答時間が、温度が0°C付近では20ms程度まで長くなっている。より低温では、更に急激に応答速度が遅くなっている。しかし、この光記録媒体駆動装置においては、温度0℃〜25℃の間で、動作モードの切り換えを行い、温度0℃以下では、常時「Open」の状態となるように制御するため、応答速度が遅くなる影響を考慮する必要がない。
【0074】
〔光記録媒体駆動装置の動作〕
そして、この光記録媒体駆動装置においては、記録モード時において、半導体レーザ素子212から出射されて光ディスク102に導かれる光の光結合効率をCEW(Coupling Efficiency write)とし、信号再生モード時において、半導体レーザ素子212から出射されて光ディスク102に導かれる光の光結合効率をCER(Coupling Efficiency Read)とした場合、以下の関係が成立する。
【0075】
CEW>CER
また、光記録媒体の種類の違いによって、光ディスク102に導かれる光の光結合効率が異なる場合においても、同様のことがいえる。
【0076】
したがって、光結合効率可変素子における光結合効率を記録時と再生時、及び、光記録媒体の種類の変更時に切り換え制御することにより、半導体レーザ素子212において記録モード時と再生モード時とにおける出力パワー比を極端に大きくせずとも、光ディスク102の記録面に照射される光束のレベルを記録モード時と再生モード時とで、及び、光記録媒体の種類の変更に応じて、大幅に変えることが可能となる。また、光結合効率は、光ディスクの種類、記録領域の違い、または、記録面の違いによって、最適となる記録及び/又は再生時の記録面上における光パワーに応じて、可変制御される。光結合効率は、最適となる記録面上における光パワーが大きいほど、大きくなされる。なお、光学系の構成によっては、光結合効率と記録面上における光パワーとの関係が逆になる場合もある。
【0077】
このように、この光記録媒体駆動装置においては、記録モード時と再生モード時とで、あるいは、選択された光ディスクの種類、記録領域、または、記録面のそれぞれについて、最適なレベルの光を光ディスクの記録面に照射して、記録または再生を行なうことができ、良好な記録及び再生特性を得ることができる。
【0078】
以下、本実施の形態における光結合効率可変素子の作用について詳細に説明する。
【0079】
まず、光結合効率可変素子を用いない場合の光結合効率をCE0とし、光結合効率可変素子の通過光比率を、信号記録時ではTW、信号再生時ではTRとすると、以下の関係が成立する。
(信号記録時の光結合効率)CEW=CE0×TW
(信号再生時の光結合効率)CER=CE0×TR
また、必要な記録面集光量を信号記録時ではPW、信号再生時ではPRとすると、光源において必要な出力を、記録時ではLDW、再生時ではLDRとすると、以下の関係が成立する。
(信号記録時)LDW=PW/CEW=PW/(CE0×TW)
(信号再生時)LDR=PR/CER=PR/(CEO×TR)
次に、光源の光出力に必要なダイナミックレンジLDW/LDRは、以下のように示される。
【0080】
LDW/LDR=(PW/PR)×(TR/TW)
なお、光結合効率可変素子を用いない場合には、TR=TWの場合と同様である。このように、この光記録媒体駆動装置においては、光源の光出力に必要なダイナミックレンジは、光結合効率可変素子の透過光比率の比の分だけ、変化させることが可能である。
【0081】
さらに、この光記録媒体駆動装置においては、上述したように、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度より低温になったときには、上述のような動作モードに拘わらず、サーボ制御部109を介して、光結合効率が最大になるように液晶素子214を制御する。この場合には、再生モードにおいて、半導体レーザ212の発光出力は、光結合効率が小さい場合に比較して、より低くなる。
【0082】
低温下においては、液晶の応答速度が遅くなるために液晶素子に対する動作制御が良好に行えなくなる反面、半導体レーザ素子212においては、レーザノイズを発生させずに使える光パワーの最小値(下限)が低くなるため、半導体レーザ素子212の発光パワーを充分に低くしても再生特性が影響を受けることがないからである。
【0083】
次に、複数種類の光記録媒体を用いる場合について考える。想定される光記録媒体としては、上述のように、多層ディスク、高線速記録光記録媒体等、種々のものが考えられる。
【0084】
光源として半導体レーザ素子を用いることとし、ここでは、光出力最大定格が60mWであり、レーザ発振が安定になり、十分にレーザノイズが小さくなる光出力が、温度Tに依存して変化するものとし、それをLDR(T)とする。
【0085】
LDR(T)は例えば、図7にあるように、T=65℃のとき、LDR(65)=4mW、同様に、LDR(45)=3.5mW LDR(25)=3mW、LDR(0)=2mWというふうになる。
【0086】
また、光記録媒体A(第1の種類の光ディスク)の特性から要求される記録面への集光量PW(A)、PR(A)が、以下のようであるとする。
【0087】
PW(A)=20mW
PR(A)=1.5mW
光記録媒体B(第2の種類の光ディスク)の特性から要求される記録面への集光量PW(B)、PR(B)が、以下のようであるとする。
【0088】
PW(B)=10mW
PR(B)=1mW
この場合において、光結合効率可変手段を用いないとすると、光源の光出力のダイナミックレンジについては、以下のように示すことができる。
【0089】
レーザノイズが温度上昇により悪化したT=65℃における光源の光出力のダイナミックレンジは、以下のように示すことができる。
【0090】
〔光源の光出力のダイナミックレンジ〕=60mW/4mW=15
同様に、T=45℃においては、以下のように示すことができる。
【0091】
〔光源の光出力のダイナミックレンジ〕=60mW/3.5mW=17
T=25℃においては、以下のように示すことができる。
【0092】
〔光源の光出力のダイナミックレンジ〕=60mW/3mW=20
T=0℃においては、以下のように示すことができる。
【0093】
〔光源の光出力のダイナミックレンジ〕=60mW/2mW=30
そして、光ディスクの記録面上において必要な光出力のダイナミックレンジは、以下のように示すことができる。
【0094】
〔必要な光出力のダイナミックレンジ〕=LDW(A)/LDR(B)
=PW(A)/PR(B)=20mW/1mW=20
すなわち、25℃以上においては、光源の光出力のダイナミックレンジが、必要な光出力のダイナミックレンジより小さいので、この光源のままでは、良好な記録及び再生が行えないことになる。
【0095】
一方、本発明の光記録媒体駆動装置における光結合効率可変手段を用いると、以下のようになる。
【0096】
光出力のダイナミックレンジを、光学系のばらつきも考慮して、光源のダイナミックレンジの2/3となるようにすることを考える。
【0097】
上記の光源のダイナミックレンジより、必要な光出力のダイナミックレンジは、以下のように示すことができる。
【0098】
T=65℃で15*2/3=10
T=45℃で17*2/3=11.4
T=25℃で20*2/3=13.3
T=0℃で30*2/3=20
光結合効率可変手段の通過光比率を、光結合効率モードOpen時がT1=100%、光結合効率モードClose時が、温度に依存して変化し、T2(T)とし、光記録媒体Aに対する記録時にT1とし、光記録媒体Bの再生時がT2(T)にすることとすると、必要な光出力のダイナミックレンジについては、以下のように示すことができる。
【0099】
〔必要な光出力のダイナミックレンジ〕=LDW(A)/LDR(B)
=(PW(A)/PR(B))×(T2(T)/T1)
=(20mW/1mW)×(T2(T)/100%)
したがって、T2(T)を以下の値とすることによって、必要な光出力のダイナミックレンジが光源の光出力のダイナミックレンジよりも十分に小さくなる。
T=65℃で50%以下
T=45℃で57%以下
T=25℃で67%以下
T=0℃で100%以下
したがって、光源の光出力のダイナミックレンジ以内で、第1の種類の光ディスク(A)に対する記録及び第2の種類の記録ディスク(B)の再生が可能となる。
【0100】
このように、高い温度になるほど、光結合効率可変手段の通過光比率を小さくすることによって、高い温度になっても、レーザノイズの増加が抑えられ、良好な再生特性を得ることが可能となる。
【0101】
この場合において、光学系の設計をCE0=40%と設定し、T2(T)の値を、上記にある値とすることによって、以下の関係が成立する。
【0102】
〔光記録媒体A信号記録時の光結合効率〕CE1=CE0×T1=40%
〔光記録媒体B信号再生時の光結合効率〕CE2=CE0×T2=20%(T=65℃)
〔光記録媒体B信号再生時の光結合効率〕CE2=CE0×T2=23%(T=45℃)
〔光記録媒体B信号再生時の光結合効率〕CE2=CE0×T2=27%(T=25℃)
〔光記録媒体B信号再生時の光結合効率〕CE2=CE0×T2=40%(T=0℃)
したがって、必要な光源光出力は、以下のようになる。
【0103】
〔光記録媒体A信号記録時〕
LDW(A)=PW(A)/CE1=20mW/40%=50mW
〔光記録媒体B信号再生時〕
(T=65℃)
LDR(B)=PR(B)/CE2=1mW/20%=5mW
LDR(T)=4mW
(T=45℃)
LDR(B)=PR(B)/CE2=1mW/23%=4.3mW
LDR(T)=3.5mW
(T=25℃)
LDR(B)=PR(B)/CE2=1mW/27%=3.7mW
LDR(T)=3mW
(T=0℃)
LDR(B)=PR(B)/CE2=1mW/40%=2.5mW
LDR(T)=2mW
このように、光出力最大定格60mWに対して、余裕のある光出力50mWで記録ができるとともに、十分にレーザノイズが小さくなる光出力LDR(T)に対しても、温度に関わらず、余裕のある光出力で良好な再生が可能となる。
【0104】
このとき、光記録媒体A信号再生時に関しては、以下のようになる。
【0105】
LDR(A)=PR(A)/CE1=1.5mW/40%=3.8mW
(T=65℃)
LDR(A)=PR(A)/CE2=1.5mW/20%=7.5mW
LDR(T)=4mW
(T=45℃)
LDR(A)=PR(A)/CE2=1.5mW/23%=6.5mW
LDR(T)=3.5mW
(T=25℃)
LDR(A)=PR(A)/CE2=1.5mW/27%=5.6mW
LDR(T)=3mW
(T=0℃)
LDR(A)=PR(A)/CE2=1.5mW/40%=3.8mW
LDR(T)=2mW
したがって、光記録媒体A信号再生時に関しては、LDR(T)に対しての余裕を考えて、T≦25℃はCE1とし、T≧25℃はCE2とすればよい。
【0106】
光記録媒体B信号記録時に関しては、以下のようになる。
【0107】
LDW(B)=PW(B)/CE1=10mW/40%=25mW
LDW(B)=PW(B)/CE2=10mW/20%=25〜50mW(T=0〜65℃)
この場合、光結合効率は、CE1及びCE2のいずれを用いてもよい。
【0108】
なお、後述するように、記録及び/又は再生時において光結合効率を変化させる場合、切換には一定の時間を要することから、光記録媒体Aについては、記録及び再生についてT≦25℃はCE1とし、T≧25℃では再生のみCE2、光記録媒体Bについては、記録及び再生についてCE2を用いるのがより簡便であると判断できる。
【0109】
「推奨記録・再生パワー」の情報があらかじめ光記録媒体に記録されていれば、どのような媒体が装着されても同様に扱える。
【0110】
ここで、ある媒体の推奨記録パワーをPW0、推奨再生パワーをPR0とし、光結合効率可変手段における通過光比率が略々100%のときの光結合効率を40%、ある温度Tにおいて、光結合効率可変手段における通過光比率を下げたときの光結合効率を40×T2(T)%とし、想定されるPW0の範囲を、9mW乃至22.5mW、PR0の範囲を、0.9mW乃至2.25mWとする。
【0111】
そして、図8に示すように、光記録媒体から読み取られたPR0、PW0の組合せが、(A)、(B)、(C1)、(C2)の4つの記録媒体モードのいずれになるかを判別し、それぞれに応じて、記録モード及び再生モードにおけるアッテネート状態(光結合効率可変手段における通過光比率)をどうするかを決める。
【0112】
すなわち、光源のダイナミックレンジを考えると、
PR0≦PR(T)
PR(T)=LDR(T)×40/100(T=65℃では、PR(65)=1.6mW)
では、光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、
PW0≧PW(T)
PW(T)=60×{40×T2(T)}/100 (T=65℃では、PW(65)=12mW)
では、光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要がある。
【0113】
したがって、記録媒体モード(A)では、再生モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、記録モードにおいてはどちらでもよいので、切換操作の手間を考えると、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時下げておく」ことが望ましい。
【0114】
記録媒体モード(B)では、再生モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、記録モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要があるので、記録モード及び再生モードの切り換えによって、アッテネート状態を切換える必要がある。
【0115】
記録媒体モード(C1)では、再生モードにおいてどちらでもよく、記録モードにおいてもどちらでもよいので、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておいて」構わない。
【0116】
記録媒体モード(C2)では、再生モードにおいてどちらでもよく、記録モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要があるので、切換操作の手間を考えると、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておく」ことが望ましい。
【0117】
したがって、記録媒体モード(C1)及び(C2)では、いずれも「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておく」ことにすればよい。
【0118】
光記録媒体を収納するカートリッジに穴を設けて判別する場合、これら4つの記録媒体モードを判別できるように、2つ(2ビット)の穴を設ければ、上述したような処理を行うことができる。
【0119】
また、これに限らず、光結合効率の値は、光源のダイナミックレンジを満たす範囲内で、適宜設定してもよい。場合によっては、3以上の複数の光結合効率とすることも可能である。この場合には、光源の製造を容易化することができる。また、特殊な光源を用いなくても、容易に良好な特性の得られる光ヘッド、光記録媒体駆動装置を実現することができる。
【0120】
記録面を複数層有する多層(2層)ディスクに対応する場合における制御の順序としては、まず、光ディスク102の装着時に、多層ディスクよりも最適記録パワーの小さい、例えば、1層ディスクに対応した再生パワーで、まずディスクに記録されたディスク種別データ(目録データ)を再生し、2層ディスクであった場合には、2層ディスクに対応した、記録及び/又は再生パワー及び光結合効率に設定する。
【0121】
そして、図8において、記録媒体モード(A)、(B)と(C)とを分けている「1.6mW」という値は、温度によってレーザノイズの発生状態が変化することにより、変化すると考えられる。ここで、この「1.6mW」という境界部分を温度Tの関数PR(T)と示す。十分にレーザノイズが小さくなる光出力が常温で4mW以上であるとし、常温よりも低温である「ある温度」において2.25mW以上であるとすると、PR(T)は、常温で、例えば、1.6mWであるが、「ある温度」においては、例えば、0.9mWとなる。すなわち、PR(T)が温度によってこのように変化することによって、「ある温度」以下においては、全てが記録媒体モード(C)となり、光結合効率の切換えが不要となる。
【0122】
さらに、光結合効率の切換えが不要となる「ある温度」をまたいで環境温度がふらふらと上昇下降を繰り返すような場合には、光結合効率の切換えの要、不要が頻繁に変動することとなり、制御が煩雑となる。このような場合を想定すると、温度が下降していって「光結合効率の切換えを不要」とする温度と、温度が上昇してきて「光結合効率の切換えが必要」とする温度とを、異なる温度であることとするのが望ましい。
【0123】
次に、以上のような光記録媒体駆動装置101における記録モードと再生モードの切り換え動作について説明する。
【0124】
図9は、光記録媒体駆動装置101における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートであり、図9(A)は光ディスク102の記録面に集光される光量(盤面パワー)、図9(B)は光結合効率可変素子におけるレーザ光の透過率、図9(C)は光分岐量モニタ用光検出素子216の出力、図9(D)は、レーザ出射パワーの変化を示している。
【0125】
この光記録媒体駆動装置101においては、以下のように、液晶素子214の応答開始後、システムコントローラ107からの指令にしたがってタイミングをはかりなから、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行う。
【0126】
すなわち、再生モード時には、液晶素子214により、通過する光束の偏光状態が変化し、アナモルフィックプリズム215の偏光ビームスプリッタ膜面215RによってS偏光成分が反射するように、サーボ制御部109によって適正な印加電圧が与えられており、光結合効率可変素子の透過率が50%に設定されている。レーザ出射パワーが5mWとなり、レーザノイズが少なく、良好な再生特性が得られている。
【0127】
そして、再生モードから記録モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーボ制御部109によって液晶素子214に対する印加電圧が変更され、液晶素子214を通過する光束の偏光状態を変化させ、膜面215Rに対して、略P偏光となるようになされる。
【0128】
液晶素子214の応答に伴って、光結合効率可変素子の透過率が50%から100%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは5mWから2.5mWに変化する。このとき、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力も、光結合効率可変素子の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、下がる。また、このとき、液晶素子には有限の応答速度があるため、その応答の過渡期においては、ディスク上に集光するパワーは再生パワーとしたままに保たれる。
【0129】
光分岐量モニタからの出力が、プリアンプ120を介してサーボ制御部109に入力され、あらかじめ設定した出力レベル基準値Poffを下回った段階で、光結合効率可変手段による透過率が100%に充分近い値になったことを判断し、システムコントローラ107を介して、信号変調およびECCブロック108の指令に従って、レーザ制御部121から信号記録パルスが発生され、レーザ出射パワーが変調されて信号の記録が行われる。
【0130】
次に、記録モードから再生モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行なう。この状態では、レーザ出射パワーは2.5mWと低いためレーザノイズは増加した状態にある。
【0131】
レーザ出力が再生パワーに切り換えられた後、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーボ制御部109によって液晶素子214に対する印加電圧が変更され、液晶素子214を通過する光束の偏光状態を変化させる。
【0132】
液晶素子214の応答にしたがって、光結合効率可変素子の通過率が100%から50%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは2.5mWから5mWに変化し、レーザノイズは減少し、良好な再生信号が検出可能となる。このとき、光分器量モニタ出力があらかじめ設定された基準値Ponを超えた段階で、充分に光結合効率が低下したと判断し、信号の再生を開始する。場合によっては、再生モードへの切換の際には、即座に信号再生を開始し、レーザノイズにより再生信号にエラーが発生する間はリトライすることとしてもよい。また、このとき、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力も、光結合効率可変素子の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、上がる。
【0133】
もし、仮に、記録再生のモードを切り換える際の手順を上記の手順で行なわなかった場合、以下のような不具合が生じる。
【0134】
まず、再生モードから記録モードの切り換えでは、光出力が高いまま(光結合効率が小さいまま)、記録動作を始めてしまうため、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される。
【0135】
また、記録モードから再生モードの切り換えでは、光出力が低いまま(光結合効率が大きいまま)、再生動作を始めてしまうため、レーザノイズが多く、良好な再生特性が得られない。また、記録動作後、光結合効率を先に小さくしてしまうと、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される虞れがある。
【0136】
そこで、上述した本例の手順を用いて記録/再生モードの切り換え動作を行なうことにより、記録及び再生時のレーザの出力比が小さくても、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録、再生特性を得られる光記録媒体駆動装置を提供することが可能となる。すなわち、上述の問題が起きないようにするためには、タイミングを守ることと、光結合効率可変手段の可変動作が確実に完了する時間を待って、記録・再生を始めるか、もしくは、可変動作のON/OFF(光結合効率の増減)を何らかの手法によって検出、管理すればよい。
【0137】
可変動作のON/OFF(光結合効率の増減)を検出する手法としては、以下のような手法が考えられる。
【0138】
例えば、機構的に可変動作を行う場合には、位置センサ等を用いて、駆動状態を知ることが可能である。また、半導体レーザ素子のリアモニタ端子(出射方向と逆方向に出射する光をモニタする受光素子からの出力)を用いたり、光記録媒体上に到達しないで捨てられる光を受光素子を設けてモニタすることによって、光出力の変化を検出することも可能である。
【0139】
また、偏光ビームスプリッタ膜面215Rによって光の分岐比率を可変とする場合には、上述のように、分岐された光パワーを受光素子を設けて検出すればよい。
【0140】
図10は、光記録媒体駆動装置101において液晶素子214の近傍の温度が所定の温度より低温である場合における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートであり、図10(A)は光ディスク102の記録面に集光される光量(盤面パワー)、図10(B)は光結合効率可変素子におけるレーザ光の透過率、図10(C)は光分岐量モニタ用光検出素子216の出力、図10(D)は、レーザ出射パワーの変化を示している。
【0141】
この光記録媒体駆動装置101においては、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度より低温である場合には、以下のように、記録モード、再生モードの切り換えに拘わらず、液晶素子214を機能させないこととなる。
【0142】
すなわち、再生モード時には、光結合効率可変素子の透過率はほぼ100%に設定されている。レーザ出射パワーは2.5mWとなり、所定の温度より低温であるため、レーザノイズは少なく、良好な再生特性が得られている。
【0143】
そして、再生モードから記録モードに切り換える際にも、液晶素子214に対する印加電圧は変更されず、液晶素子214の位相差は変化しない。
【0144】
光結合効率可変素子の透過率は100%のままであり、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは2.5mWに維持される。このとき、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力も、変化しない。ディスク上に集光するパワーも再生パワーのままに保たれる。
【0145】
次に、システムコントローラ107を介して、信号変調およびECCブロック108の指令に従って、レーザ制御部121から信号記録パルスが発生され、レーザ出射パワーが変調されて信号の記録が行われる。
【0146】
そして、記録モードから再生モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行なう。この状態では、レーザ出射パワーは2.5mWと低くなるが、所定の温度より低温であるため、レーザノイズは少ない。
【0147】
レーザ出力が再生パワーに切り換えられた後も、液晶素子214に対する印加電圧が変更されず、液晶素子214を通過する光束の偏光状態は変化しない。
【0148】
光結合効率可変素子の通過率は100%のままであり、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは2.5mWに維持される。所定の温度より低温であるため、レーザノイズは少なく、良好な再生信号が検出可能となる。このときも、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、光結合効率可変素子の透過率が変化しないので、変化しない。
【0149】
次に、フローチャートにより、この光記録媒体駆動装置の動作をさらに詳しく説明する。
【0150】
なお、光結合効率モードをヒステリシスのあるかたちで切り換える場合に関して、光結合効率モードを切り換える温度を、Ta、Tb(Ta≦Tb)とし、下記のような特性とする。記録モード時は光結合効率モードを切り換えないものとする。簡単の為、記録モード時は温度に関わらず、光結合効率モード「Open」とする。
【0151】
T≦Taでは、レーザノイズは光結合効率モード「Open」で極めて良好であり、光結合効率モード「Close」でも極めて良好であるが、液晶応答速度は遅い。
【0152】
Ta≦T≦Tbでは、レーザノイズは光結合効率モード「Open」で良好であり、光結合効率モード「Close」では極めて良好であり、液晶応答速度は普通である。
【0153】
Tb≦Tでは、レーザノイズは光結合効率モード「Open」で悪く、光結合効率モード「Close」で良好であり、液晶応答速度は速い。
【0154】
システムの動作モードとしては、「記録モード」「再生モード」「待機モード」の3モードが考えられ、光結合効率モードの切り換えを、再生モードもしくは待機モードで行う。記録モード時の光結合効率モード切り換えは、APCループゲインが変化してしまうことによって、特にパルス記録の場合に、記録波形に不具合が生じやすいため、望ましくない。
そして、T≦Taでは、再生モード時は、光結合効率モード「Open」、記録モード時は、光結合効率モード「Open」、待機モード時も光結合効率モード「Closeモード」とする。
【0155】
Ta≦T≦Tbでは、再生モード時「O/Cモード」、記録モード時は、光結合効率モード「Close」優先、待機モード時は前の状態のままとする。
【0156】
Tb≦Tでは、再生モード時は、光結合効率モード「Close」、記録モード時は、光結合効率モード「Close」、待機モード時は、光結合効率モード「Close」とする。
【0157】
「O/Cモード」とは、待機モードにおいてその前の「アッテネート」状態を保持し、「再生」「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート切換」を行うことをいう。ただし、「再生モード」の実行中には、「アッテネート切換」を行わない。「Closeモード」とは。「待機」状態では常に「アッテネートClose」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、「アッテネートOpen」に切換える。「Open」とは、録再生に関わらず、常に「アッテネートOpen」とする。
【0158】
「待機」状態においては、温度Ta,Tbで上記の3モードを切り換える。「待機」状態においては、低温から高温への変化では、T>Tbで「アッテネートClose」が必ず実行され、高温から低温への変化では、T<Taで必ず「アッテネートOpen」が実行される。このように、温度に対してヒステリシスを設けることにより、温度がふらついても、アッテネート状態が繰り返し切り換えられ、不安定になることがない。
【0159】
また、前後が記録、再生のいずれの場合でも、Ta≦T≦Tbの間は、前のアッテネート状態を維持するので、温度によって不要にアッテネート状態の切り換えが繰り返すことがない。
【0160】
「再生」状態においては、低温から高温への変化では、T>Tbで「アッテネートClose」が必ず実行され、高温から低温への変化では、T<Taで必ず「アッテネートOpen」が実行される。このように、温度に対してヒステリシスを設けることにより、温度がふらついても、アッテネート状態が繰り返し切り換えられ、不安定になることがない。
【0161】
また、Ta≦T≦Tbの状態で「待機」から「再生」となった場合には、「アッテネートClose」が実行されるので、より良好な再生特性を得ることができる。
【0162】
そして、分岐量モニタ用光検出素子216の出力を用いて、記録モード及び再生モード間の切換えにおいて光結合効率を変化させることを考える。光記録媒体駆動装置の動作モードとしては、「記録モード」、「再生モード」及び「待機モード」の3状態が考えられる。「記録モード」を「W」、「再生モード」を「R」、「待機モード」を「−」で示すと、以下のような動作モードの変更が考えられる。
〔R−W−W−R−R−R−W−R−W−R−R〕
そして、光結合効率を変化させること、すなわち、「アッテネート状態の切換」のタイミングとしては、以下のような、3通りが考えられる。
【0163】
(1)「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う(この場合の動作を図11及び図12に示す)。
【0164】
(2)「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える(この場合の動作を図13及び図14に示す)。
【0165】
(3)「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える(この場合の動作を図15及び図16に示す)。
【0166】
以下、これら3通りについて説明する。
【0167】
(1)「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合(図11及び図12)。
【0168】
まず、「待機」状態では、システムコントローラ107は、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図11に示すように、ステップst1でスタートし、次のステップst2では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧が光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)であるかを判別し、液晶印加電圧が光結合効率を高くする電圧であればステップst3に進み、光結合効率を低くする電圧であればステップst4に進む。ステップst4では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst3に進む。ステップst3では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst5に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst3に留まる。ステップst5では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst6に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst5に留まる。ステップst6では、システムコントローラ107は、記録動作を開始させる。そして、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst7に進み、記録動作を終了し、再生パワーに戻し、「待機」モードに移行し、ステップst8で動作を終了する。
【0169】
次に、「待機」状態では、システムコントローラ107は、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図12に示すように、ステップst9でスタートし、次のステップst10では、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度以上であるかを判別し、所定の温度以上である場合にはステップst11に進み、所定の温度より低温であるときには、ステップst12に進む。ステップst12では、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)にして、ステップst16に進む。
【0170】
ステップst11では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧が光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)であるかを判別し、光結合効率を低くする電圧であればステップst13に進み、光結合効率を高くする電圧であればステップst14に進む。ステップst14では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst13に進む。ステップst13では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst15に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst13に留まる。ステップst15では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst16に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst15に留まる。ステップst16では、システムコントローラ107は、再生動作を開始する。そして、システムコントローラ107は、再生動作が終了すべきときになったならば、次のステップst17に進み、再生動作を終了し、「待機」モードに移行し、ステップst18で動作を終了する。
【0171】
(2)「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える場合(図13及び図14)。
【0172】
そして、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図13に示すように、ステップst19でスタートし、次のステップst20では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst21に進む。ステップst21では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst22に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst21に留まる。ステップst22では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst23に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst22に留まる。ステップst23では、システムコントローラ107は、記録動作を開始する。そして、システムコントローラ107は、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst24に進み、記録動作を終了し、再生パワーに戻し、ステップst25に進む。ステップst25では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst26に進む。ステップst26では、システムコントローラ107は、「待機」モードに移行し、ステップst27で動作を終了する。
【0173】
さらに、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図14に示すように、ステップst28でスタートし、次のステップst29では、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度以上であるかを判別し、所定の温度以上である場合にはステップst30に進み、所定の温度より低温であるときには、ステップst31に進む。ステップst31では、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)にして、ステップst33に進む。
【0174】
ステップst30では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst32に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst30に留まる。ステップst32では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst33に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst32に留まる。ステップst33では、システムコントローラ107は、再生動作を開始させる。そして、システムコントローラ107は、再生動作が終了すべきときになったならば、次のステップst34に進み、再生動作を終了させ、「待機」モードに移行し、ステップst35で動作を終了する。
【0175】
(3)「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える場合(図15及び図16)。
【0176】
そして、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える動作において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図15に示すように、ステップst36でスタートし、次のステップst37では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst38に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst37に留まる。ステップst38では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst39に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst38に留まる。ステップst39では、システムコントローラ107は、記録動作を開始させる。そして、システムコントローラ107は、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst40に進み、記録動作を終了させ、再生パワーに戻して、「待機」モードに移行し、ステップst41で動作を終了する。
【0177】
次に、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える動作において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図16に示すように、ステップst42でスタートし、次のステップst43では、液晶素子214の近傍の温度が所定の温度以上であるかを判別し、所定の温度以上である場合にはステップst44に進み、所定の温度より低温であるときには、ステップst45に進む。ステップst45では、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)にして、ステップst48に進む。
【0178】
ステップst44では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst46に進む。ステップst46では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst47に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst46に留まる。ステップst47では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst48に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合には、ステップst47に留まる。ステップst48では、システムコントローラ107は、再生動作を開始する。そして、再生動作が終了すべきときになったならば、システムコントローラ107は、次のステップst49に進み、記録動作を終了し、ステップst50に進む。ステップst50では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst51に進む。ステップst51では、「待機」モードに移行し、ステップst52で動作を終了する。
【0179】
また、異なる種類の光記録媒体への対応としては、図17に示すように、システムコントローラ107は、ステップst53でスタートし、次のステップst54では、温度センサ出力をもとに、推奨再生パワーPR0及び推奨記録パワーPW0と比較する、その温度に対応した基準パワーPR(T)、PW(T)を決定する。また、ステップst55では、液晶印加電圧を制御して、光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、光ディスクの記録面上における照射光束の出力(盤面パワー)を所定値、例えば、0.9mW(min)に設定し、ステップst56に進む。
【0180】
システムコントローラ107は、ステップst56では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon(0.9mW及びそのときの温度に対応した値))よりも高いかどうかを判別する。なお、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、盤面パワーの設定及び、その温度における、光結合効率可変手段の通過率に応じて変化するので、これに応じて設定値(基準値Pon)の値は適宜設定する。システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst57に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst56に留まる。
【0181】
ステップst57では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst58に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていない場合にはステップst57に留まる。ステップst58では、システムコントローラ107は、光ヘッドにおけるフォーカスサーボ動作を開始し(フォーカスON)、ステップst59に進む。ステップst59では、システムコントローラ107は、光ヘッドを光ディスクの最内周位置に移動させ、ステップst60に進む。システムコントローラ107は、ステップst60では、推奨記録パワーPW0及び推奨再生パワーPR0を検出し、ステップst61に進む。
【0182】
ステップst61では、システムコントローラ107は、推奨再生パワーPR0がその温度における基準パワーPR(T)よりも小さいかどうかを判別する。システムコントローラ107は、推奨再生パワーPR0がその温度における基準パワーPR(T)よりも小さければステップst62に進み、推奨再生パワーPR0がその温度における基準パワーPR(T)よりも小さくなければステップst65に進む。ステップst62では、システムコントローラ107は、推奨記録パワーPW0がその温度における基準パワーPW(T)よりも小さいかどうかを判別する。推奨記録パワーPW0がその温度における基準パワーPW(T)よりも小さければステップst63に進み、推奨記録パワーPW0がその温度における基準パワーPW(T)よりも小さくなければステップst64に進む。
【0183】
ステップst63では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図8に示す記録媒体モード(A)であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。ステップst64では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図8に示す記録媒体モード(B)であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。ステップst65では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図8に示す記録媒体モード(C)((C1)または(C2))であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。
【0184】
PR(T)は、常温で、例えば、1.6mWであるが、「ある温度」においては、例えば、0.9mWとなる。すなわち、PR(T)が温度によってこのように変化することによって、「ある温度」以下においては、全てが記録媒体モード(C)となり、光結合効率の切換えが不要となるわけである。
【0185】
なお、基準パワーPW(T)については、高温ほど半導体レーザ素子の劣化が起こり易く、また、高パワーほど半導体レーザ素子の劣化が起こり易いことから、高温になるほど、半導体レーザ素子の出力の上限値を小さくするようにしてもよい。
【0186】
〔他の実施の形態〕
なお、上述した光ヘッドの全ての構成において、ビームスプリッタ218には、位相板217を経たS偏光が入射されるように、構成してもよい。この場合には、この光ヘッドは、図2において、1/4波長板224、対物レンズ220及び光ディスク102と、FAPC用検出素子219との位置関係を入れ替えた状態として構成する。
【0187】
すなわち、この光ヘッド104では、位相板217を経た入射光ビームは、ピームスブリッタ218が有する反射面に対して略々S偏光となされている。位相板217は、入射光ビームの偏光状態をピームスブリッタ218の反射面に対するS偏光とするように、光軸回りに回転調整されている。このビームスプリッタ218において、入射光ビームは、一定の比率(例えば、95%以下の一定の比率)が反射面により反射され、1/4波長板224に入射される。ここで反射面を透過した入射光ビームの(例えば、5%以上の一定の比率の)一部は、FAPC用検出素子219に入射する。ビームスプリッタ218において反射された入射光ビームは、1/4波長板224を透過することによって円偏光となされて、対物レンズ220によって光ディスク102の記録面上に集光される。
【0188】
そして、光ディスク102の記録面で反射された反射光ビームは、対物レンズ220を経て、1/4波長板224を透過することによって、往光路の光ビームの偏光状態に対して直交する方向の直線偏光となされて、ビームスプリッタ218に戻る。このとき、反射光ビームは、ピームスブリッタ218の反射面に対して略々P偏光となされており、この反射面を略々全量が透過して、半導体レーザ素子212からの光路に対して分離される。半導体レーザ素子212からの光路に対して分離された反射光ビームは、検出レンズ221で収束光に変換され、マルチレンズ222によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出素子223に入射される。
【0189】
また、本発明に係る光ヘッドは、図18に示すように、半導体レーザ素子212、液晶素子214及びアナモルフィックプリズム215を光軸回りに90度回転させて構成してもよい。この場合においても、ビームスプリッタ218に入射する光ビームはこのビームスプリッタ218の反射面に対して略々P偏光となるように、位相板217によって調整する。
【0190】
また、本発明に係る光ヘッドは、図19に示すように、アナモルフィックプリズム215への入射光束の光軸が、このアナモルフィックプリズム215の入射面に対し、上述した構成よりも大きく傾くように半導体レーザ素子212を位置決めして構成してもよい。この場合には、アナモルフィックプリズム215から光分岐量モニタ用光検出素子216への出射光は、このアナモルフィックプリズム215の側面部に対して略々垂直に出射するので、全反射防止素子215Tは不要となる。
【0191】
さらに、本発明に係る光ヘッドは、図20に示すように、アナモルフィックプリズム215に代えて、立方体状の偏光ビームスプリッタ215を用いて構成してもよい。この場合には、半導体レーザ素子212からの出射光ビームの断面形状の円形への整形はなされない。
【0192】
上述のように、本発明を適用した光ヘッド及び光記録媒体駆動装置においては、光源、または、光結合効率可変手段の近傍に配置された温度センサと、この温度センサにより検出された温度に基づいて光結合効率可変手段を制御する制御手段とを備えている。この制御手段は、温度センサにより検出された温度が所定の温度以上であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに応じて上記光結合効率を変化させ、温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、光結合効率可変手段を制御して、動作モードに拘わらず、光結合効率を固定する。
【0193】
したがって、この光ヘッド及び光記録媒体駆動装置においては、光結合効率可変手段の応答速度が低温下において遅くなることが問題とならず、また、このような低温下においては、光源に半導体レーザ素子を用いた場合においても、レーザノイズを発生させずに使える光パワーの最小値が低くなるので、再生特性が影響を受けることがない。
【0194】
また、この光ヘッド及び光記録媒体駆動装置においては、記録モード及び再生モードにおける光源のパワー比を小さくして、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、製造性のよい光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録及び再生特性を得ることができる。
【0195】
さらに、この光ヘッド及び光記録媒体駆動装置においては、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる光記録媒体の種類に応じて、または、光記録媒体の記録面に応じて、あるいは、光記録媒体の記録面上の記録領域に応じて、光結合効率可変手段を制御し、この光記録媒体の記録面上における記録及び/又は再生光パワーを最適化することができ、再生時のレーザノイズを十分に小さくすることができる。
【0196】
すなわち、本発明は、所定の温度未満の低温下においても光結合効率可変手段の応答速度が遅くなることが問題とならないようになされた光ヘッド及び光記録媒体駆動装置を提供することができるものである。
【0197】
また、本発明は、記録時(記録モード時)及び再生時(再生モード時)における光源の光パワー比が小さくなされ、再生時のレーザノイズが十分に小さくなされるとともに、製造性のよい光出力最大定格が小さめな光源を用いても良好な記録及び再生特性が得られる光ヘッド及び光記録媒体駆動装置を提供することができるものである。
【0198】
さらに、本発明は、最適な記録及び/又は再生用の光パワーの異なる複数種類の光記録媒体、多層光記録媒体、または、記録面が複数の記録領域に分割された光記録媒体などの複数種類の光記録媒体に対しても、再生時のレーザノイズが十分に小さくなされ、製造性のよい光出力最大定格の小さめな光源を用いても、各種類の光記録媒体、多層光記録媒体の各記録面、記録面上の複数の記録領域のそれぞれに対して、良好な記録及び/又は再生特性の得られる光ヘッド及び光記録媒体駆動装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の実施の形態における光結合効率可変素子及び光ヘッドを組み込んだ光記録媒体駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記光記録媒体駆動装置における光ヘッドを示す側面図である。
【図3】上記光ヘッドのアナモルフィックプリズムの構成を示す側面図である。
【図4】上記アナモルフィックプリズムの構成の他の例を示す側面図である。
【図5】上記アナモルフィックプリズムの構成のさらに他の例を示す側面図である。
【図6】上記光ヘッドの光結合効率可変素子を構成する液晶素子の応答速度と温度との関係を示す概略図である。
【図7】上記光ヘッドの半導体レーザ素子におけるレーザノイズと温度との関係を示すグラフである。
【図8】上記光記録媒体駆動装置において使用される光記録媒体についての「推奨再生パワー」及び「推奨記録パワー」の関係を示すグラフである。
【図9】上記光記録媒体駆動装置における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートである。
【図10】上記光記録媒体駆動装置において温度が所定温度より低い場合における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートである。
【図11】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う動作を示すフローチャートである。
【図12】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、「再生」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う動作を示すフローチャートである。
【図13】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作であって「記録」というコマンドを受けたときの動作を示すフローチャートである。
【図14】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作であって「再生」というコマンドを受けたときの動作を示すフローチャートである。
【図15】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作であって「記録」というコマンドを受けたときの動作を示すフローチャートである。
【図16】上記光記録媒体駆動装置において、「待機」状態では、常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作であって「再生」というコマンドを受けたときの動作を示すフローチャートである。
【図17】上記光記録媒体駆動装置において、複数の種類の光記録媒体に対応する場合の「アッテネート状態」の切換え動作を示すフローチャートである。
【図18】上記光記録媒体駆動装置における光ヘッドの構成の他の形態(半導体レーザ素子及びアナモルフィックプリズムを光軸回りに90度回転させたもの)を示す側面図である。
【図19】上記光記録媒体駆動装置における光ヘッドの構成のさらに他の形態(アナモルフィックプリズムへの入射光束の光軸を傾けたもの)を示す側面図である。
【図20】上記光記録媒体駆動装置における光ヘッドの構成のさらに他の形態(アナモルフィックプリズムに代えて立方体状の偏光ビームスプリッタを用いたもの)を示す側面図である。
【符号の説明】
【0200】
101 光記録媒体駆動装置、102 光ディスク、103 スピンドルモータ、104 光ヘッド、107 システムコントローラ、109 サーボ制御回路、122 温度センサ、212 半導体レーザ素子、214 液晶素子、215 アナモルフィックプリズム、216 光分岐量モニタ用光検出素子、218ビームスプリッタ、219 FAPC用検出素子、220 対物レンズ、223 光検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
上記光源から発せられた光ビームを光記録媒体に集光させて照射する光集光手段と、
上記光源から出射された光ビームの光路とこの光ビームが上記光記録媒体により反射されて上記集光手段を経た反射光ビームの光路とを分離させる光分離手段と、
上記光分離手段を経た上記反射光ビームを受光する光検出手段と、
上記光源と上記光集光手段との間に設けられ、該光源から出射される総光量に対する上記光記録媒体上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる光結合効率可変手段と、
上記光源、または、上記光結合効率可変手段の近傍に配置された温度センサと、
上記温度センサにより検出された温度に基づいて、上記光結合効率可変手段を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度以上であるときには、上記光結合効率可変手段を制御して、動作モードに応じて上記光結合効率を変化させ、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、上記光結合効率可変手段を制御して、動作モードに拘わらず、上記光結合効率を固定すること
を特徴とする光ヘッド。
【請求項2】
上記制御手段は、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、上記光結合効率を最大として固定すること
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項3】
上記光結合効率可変手段は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子とこの液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離手段とからなり、該液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、上記光結合効率を変化させること
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項4】
上記光源より発せられ上記光分離手段に到達した光ビームの光パワーを検出し、検出された光パワーに基づいて上記光源の発光パワーを制御することにより、上記光記録媒体に照射される光ビームの光パワーを一定に維持する発光パワー制御手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項5】
上記制御手段は、光結合効率を小さい状態から大きい状態とする切替えと、光結合効率を大きい状態から小さい状態とする切替えとを、異なる温度において行うこと
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項6】
上記制御手段は、動作モードが待機モードであるときに、光結合効率の切替えを行うこと
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項7】
上記制御手段は、動作モードが再生モードであるときに、光結合効率の切替えを行うこと
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項8】
上記制御手段は、動作モードが記録モードであるときには、光結合効率の切替えを行わないこと
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項9】
上記制御手段は、同一の種類の光記録媒体において、再生モードにおいては、記録モードにおけるよりも、光結合効率を小さくすること
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項10】
上記光結合効率可変手段において上記偏光分離手段によって上記光記録媒体に向かう光路より光路を分岐された光ビームを受光する光検出手段からなる光結合効率検出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項11】
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、記録及び再生の切換動作の開始を判定をすること
を特徴とする請求項10記載の光ヘッド。
【請求項12】
上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項11記載の光ヘッド。
【請求項13】
上記光結合効率可変手段の切換えを行うための基準値があらかじめ設定されていること
を特徴とする請求項11記載の光ヘッド。
【請求項14】
上記基準値は、温度によって変動する最適な再生光パワーに応じて可変して設定されること
を特徴とする請求項13記載の光ヘッド。
【請求項15】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項13記載の光ヘッド。
【請求項16】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係及び上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項13記載の光ヘッド。
【請求項17】
上記基準値を、温度によって変化させること
を特徴とする請求項13記載の光ヘッド。
【請求項18】
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、光結合効率可変手段の動作が正常か否かを確認すること
を特徴とする請求項10記載の光ヘッド。
【請求項19】
上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて、上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項18記載の光ヘッド。
【請求項20】
上記光結合効率検出手段による検出結果について、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え動作を行う基準値があらかじめ設定されていること
を特徴とする請求項18記載の光ヘッド。
【請求項21】
上記基準値は、光記録媒体について最適な再生光パワーに応じて可変して設定されること
を特徴とする請求項20記載の光ヘッド。
【請求項22】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係に基づいて、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項20記載の光ヘッド。
【請求項23】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係及び該光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項20記載の光ヘッド。
【請求項24】
上記基準値を、温度によって変化させること
を特徴とする請求項20記載の光ヘッド。
【請求項25】
最適な記録及び/又は再生光パワーが互いに異なる少なくとも2種類以上の光記録媒体に対して記録及び/又は再生を行うこと
を特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項26】
上記光結合効率可変手段において上記偏光分離手段によって上記光記録媒体に向かう光路より光路を分岐された光ビームを受光する光検出手段からなる光結合効率検出手段と、
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、上記光結合効率検出手段による上記光結合効率の変化及び上記光源の発光パワーを制御する光結合効率制御手段とを備え、
上記光結合効率制御手段は、上記光記録媒体の種類に応じて、上記光結合効率可変手段を制御すること
を特徴とする請求項25記載の光ヘッド。
【請求項27】
上記2種類以上の光記録媒体は、当該光ヘッドとの相対速度の違いにより、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なるものであること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項28】
上記2種類以上の光記録媒体は、記録方式の違いにより、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なるものであること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項29】
上記2種類以上の光記録媒体は、少なくとも2以上の記録面を有する多層光記録媒体における各記録面であること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項30】
上記2種類以上の光記録媒体の少なくとも一方は、少なくとも2以上の記録面を有する多層光記録媒体における各記録面であること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項31】
上記2種類以上の光記録媒体は、少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光記録媒体における各記録領域であること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項32】
上記2種類以上の光記録媒体の少なくとも一方は、少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光記録媒体における各記録領域であること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項33】
上記光結合効率可変手段において、光結合効率を下げる動作のほうが上げる動作よりも速い場合には、光結合効率を上げた状態を待機状態とし、光結合効率を上げる動作のほうが下げる動作よりも速い場合には、光結合効率を下げた状態を待機状態とすること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項34】
上記光記録媒体の種類を判別する媒体種類判別手段を備え、
上記光結合効率制御手段は、上記媒体種類判別手段により判別された光記録媒体の種類に応じて、上記光結合効率可変手段を制御すること
を特徴とする請求項26記載の光ヘッド。
【請求項35】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体に記録された目録情報を読み取った結果に基づいて上記光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項36】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体の外形に基づいて上記光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項37】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体における多層記録層のうちのいずれの記録層であるかを検出することによって光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項38】
上記媒体種類判別手段は、記録領域が複数の記録領域に分割されたうちのいずれの記録領域であるかを検出することによって光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項39】
上記媒体種類判別手段により判定された光記録媒体に応じた「記録パワー」及び光記録媒体に応じた「再生パワー」の組合わせと光源出力の使用可能出力範囲とに基づいて、光結合効率を決定すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項40】
決定された光結合効率により、記録及び再生動作の切換のときの光結合効率の切換の有無を決定すること
を特徴とする請求項39記載の光ヘッド。
【請求項41】
上記光結合効率制御手段は、上記媒体種類判別手段による判定結果及び選択された動作モードの組合わせに基づいて、上記光結合効率検出手段による検出結果をモニタしながら、上記光結合効率を制御すること
を特徴とする請求項34記載の光ヘッド。
【請求項42】
上記制御手段は、再生モードから記録モードに切りかえるときには、上記光結合効率を変化させるタイミングを上記光記録媒体上に集光される光量が変化するタイミングより先行させるとともに、記録モードから再生モードに切りかえるときには、上記光記録媒体上に集光される光量が変化するタイミングを上記光結合効率を変化させるタイミングより先行させること
を特徴とする請求項9記載の光ヘッド。
【請求項43】
光源と、上記光源から発せられた光ビームを光記録媒体に集光させて照射する光集光手段と、上記光源から出射された光ビームの光路とこの光ビームが上記光記録媒体により反射されて上記集光手段を経た反射光ビームの光路とを分離させる光分離手段と、上記光分離手段を経た上記反射光ビームを受光する光検出手段と、上記光源と上記光集光手段との間に設けられ、該光源から出射される総光量に対する上記光記録媒体上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる光結合効率可変手段と、上記光源、または、上記光結合効率可変手段の近傍に配置された温度センサと、上記温度センサにより検出された温度に基づいて、上記光結合効率可変手段を制御する制御手段とを有する光ヘッドと、
上記光記録媒体を回転駆動させる駆動手段とを備え、
上記制御手段は、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度以上であるときには、上記光結合効率可変手段を制御して、動作モードに応じて上記光結合効率を変化させ、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、上記光結合効率可変手段を制御して、動作モードに拘わらず、上記光結合効率を固定すること
を特徴とする光記録媒体駆動装置。
【請求項44】
上記制御手段は、上記温度センサにより検出された温度が所定の温度未満であるときには、上記光結合効率を最大として固定すること
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項45】
上記光結合効率可変手段は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子とこの液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離手段とからなり、該液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、上記光結合効率を変化させること
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項46】
上記光源より発せられ上記光分離手段に到達した光ビームの光パワーを検出し、検出された光パワーに基づいて上記光源の発光パワーを制御することにより、上記光記録媒体に照射される光ビームの光パワーを一定に維持する発光パワー制御手段をさらに備えること
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項47】
上記制御手段は、光結合効率を小さい状態から大きい状態とする切替えと、光結合効率を大きい状態から小さい状態とする切替えとを、異なる温度において行うこと
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項48】
上記制御手段は、動作モードが待機モードであるときに、光結合効率の切替えを行うこと
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項49】
上記制御手段は、動作モードが再生モードであるときに、光結合効率の切替えを行うこと
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項50】
上記制御手段は、動作モードが記録モードであるときには、光結合効率の切替えを行わないこと
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項51】
上記制御手段は、同一の種類の光記録媒体において、再生モードにおいては、記録モードにおけるよりも、光結合効率を小さくすること
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項52】
上記光結合効率可変手段において上記偏光分離手段によって上記光記録媒体に向かう光路より光路を分岐された光ビームを受光する光検出手段からなる光結合効率検出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項53】
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、記録及び再生の切換動作の開始を判定をすること
を特徴とする請求項52記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項54】
上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項53記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項55】
上記光結合効率可変手段の切換えを行うための基準値があらかじめ設定されていること
を特徴とする請求項53記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項56】
上記基準値は、温度によって変動する最適な再生光パワーに応じて可変して設定されること
を特徴とする請求項55記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項57】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項55記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項58】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係及び上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項55記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項59】
上記基準値を、温度によって変化させること
を特徴とする請求項55記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項60】
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、光結合効率可変手段の動作が正常か否かを確認すること
を特徴とする請求項52記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項61】
上記光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて、上記光結合効率可変手段の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項60記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項62】
上記光結合効率検出手段による検出結果について、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え動作を行う基準値があらかじめ設定されていること
を特徴とする請求項60記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項63】
上記基準値は、光記録媒体について最適な再生光パワーに応じて可変して設定されること
を特徴とする請求項62記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項64】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係に基づいて、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項62記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項65】
上記光結合効率検出手段による検出結果と上記基準値との大小関係及び該光結合効率検出手段による検出結果の時間あたり変化量に基づいて、上記光結合効率可変手段による上記光結合効率の切換え時を判定すること
を特徴とする請求項62記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項66】
上記基準値を、温度によって変化させること
を特徴とする請求項62記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項67】
最適な記録及び/又は再生光パワーが互いに異なる少なくとも2種類以上の光記録媒体に対して記録及び/又は再生を行うこと
を特徴とする請求項43記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項68】
上記光結合効率可変手段において上記偏光分離手段によって上記光記録媒体に向かう光路より光路を分岐された光ビームを受光する光検出手段からなる光結合効率検出手段と、
上記光結合効率検出手段による検出結果に基づいて、上記光結合効率検出手段による上記光結合効率の変化及び上記光源の発光パワーを制御する光結合効率制御手段とを備え、
上記光結合効率制御手段は、上記光記録媒体の種類に応じて、上記光結合効率可変手段を制御すること
を特徴とする請求項67記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項69】
上記2種類以上の光記録媒体は、上記光ヘッドとの相対速度の違いにより、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なるものであること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項70】
上記2種類以上の光記録媒体は、記録方式の違いにより、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なるものであること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項71】
上記2種類以上の光記録媒体は、少なくとも2以上の記録面を有する多層光記録媒体における各記録面であること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項72】
上記2種類以上の光記録媒体の少なくとも一方は、少なくとも2以上の記録面を有する多層光記録媒体における各記録面であること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項73】
上記2種類以上の光記録媒体は、少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光記録媒体における各記録領域であること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項74】
上記2種類以上の光記録媒体の少なくとも一方は、少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光記録媒体における各記録領域であること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項75】
上記光結合効率可変手段において、光結合効率を下げる動作のほうが上げる動作よりも速い場合には、光結合効率を上げた状態を待機状態とし、光結合効率を上げる動作のほうが下げる動作よりも速い場合には、光結合効率を下げた状態を待機状態とすること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項76】
上記光記録媒体の種類を判別する媒体種類判別手段を備え、上記光結合効率制御手段は、上記媒体種類判別手段により判別された光記録媒体の種類に応じて、上記光結合効率可変手段を制御すること
を特徴とする請求項68記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項77】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体に記録された目録情報を読み取った結果に基づいて上記光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項78】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体の外形に基づいて上記光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項79】
上記媒体種類判別手段は、光記録媒体における多層記録層のうちのいずれの記録層であるかを検出することによって光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項80】
上記媒体種類判別手段は、記録領域が複数の記録領域に分割されたうちのいずれの記録領域であるかを検出することによって光記録媒体の種類を判別すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項81】
上記媒体種類判別手段により判定された光記録媒体に応じた「記録パワー」及び光記録媒体に応じた「再生パワー」の組合わせと光源出力の使用可能出力範囲とに基づいて、光結合効率を決定すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項82】
決定された光結合効率により、記録及び再生動作の切換のときの光結合効率の切換の有無を決定すること
を特徴とする請求項81記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項83】
上記光結合効率制御手段は、上記媒体種類判別手段による判定結果及び選択された動作モードの組合わせに基づいて、上記光結合効率検出手段による検出結果をモニタしながら、上記光結合効率を制御すること
を特徴とする請求項76記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項84】
上記制御手段は、再生モードから記録モードに切りかえるときには、上記光結合効率を変化させるタイミングを上記光記録媒体上に集光される光量が変化するタイミングより先行させるとともに、記録モードから再生モードに切りかえるときには、上記光記録媒体上に集光される光量が変化するタイミングを上記光結合効率を変化させるタイミングより先行させること
を特徴とする請求項51記載の光記録媒体駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−217982(P2008−217982A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117467(P2008−117467)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【分割の表示】特願2003−59242(P2003−59242)の分割
【原出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】