説明

光偏向器、光偏向素子の温度調整方法、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置

【課題】光偏向器にミラーデバイスの温度を調整するための温度調整手段を配設することによってミラーデバイスの製造工程やパッケージへの組み込みに影響をあたえることを抑制できる光偏向器、光偏向素子の温度調整方法、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】光偏向器は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が可動板に接続されており、可動板を反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、弾性支持梁の一端の反対側の一端が接続されており、弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、光偏向素子の温度を調整可能な温度調整手段と、を備え、温度調整手段は、筺体本体に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向素子を備える光偏向器、光偏向器が備える光偏向素子の温度調整方法、光偏向素子を備える光偏向器の製造方法、及び光偏向器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、反射面を回動させることによって、光源から反射面に入射する光束を偏向させて、当該偏向光によって画像形成面上を走査することで画像形成面に画像を形成する光偏向器が知られている。高解像度の画像を形成するためには、より高い周波数で反射面を回動させることが必要である。MEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術を応用して製作されたミラーデバイスは、従来から用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーでは実現が困難な高い周波数で駆動させることが可能である。このミラーデバイスは、反射面が形成又は取り付けられた可動板と、弾性を有する捻り梁と、駆動源とを備え、捻り梁を軸にして反射面を往復回動させることによって、光源から反射面に入射する光束を偏向させる光偏向器である。
このようなミラーデバイスでは、回動角を充分に大きくするために、駆動周波数を構造体の共振周波数にあわせることが行われている。共振周波数は、可動板の慣性モーメントや捻り梁のねじり弾性係数などの特性によって定まる。
【0003】
ねじり弾性係数などの特性は、温度に依存して変動するため、光偏向器の温度を一定に保つことによって、共振周波数を一定に保つことで、駆動周波数を安定させて良好な画像を形成することが行われている。特許文献1には、ねじり梁に近接した発熱部を設けて、ねじり梁の温度を一定に維持する振動ミラー、振動ミラーの振れ角制御方法、光書込装置及び画像形成装置が開示されている。特許文献2には、駆動源を構成するコイルを熱源として用いて弾性支持部(捻り梁に相当)を含む振動系の温度を調整する、搖動体装置、光偏向器、及びその制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−69731号公報
【特許文献2】特開2007−171930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された装置においては、可動板を含むミラーデバイスに発熱部材を作りこむ必要があるため、MEMSの技術を応用したミラーデバイスの製造工程に加えて、発熱部材を作りこむ工程を実施する必要がある。このため、発熱部材を含むミラーデバイスの作りこみが困難であるという課題があった。
また、ミラーデバイスをパッケージに組み込む際に発熱部材に接続された配線を一緒に組み込むことが必要であり、パッケージにおけるミラーデバイスが組み込まれた空間を封止する蓋部材をパッケージ本体に固定する際に、蓋部材をパッケージ本体に固定しながら配線の引き回し及び固定を実施する必要があった。配線の引き回し及び固定を一緒に実施するために、蓋部材をパッケージ本体に固定するために採用できる方法が制限されてしまうことによって、必ずしも適切な固定方法を採用することができないという課題があった。最適な方法を採れないことに起因して、ミラーデバイスが組み込まれた空間を密封できない可能性があった。ミラーデバイスが組み込まれた空間を密閉できると、当該空間を負圧にすることで、可動板が受ける抵抗を軽減して、より小さい力で可動板を効率よく回動させることができる。ミラーデバイスを高速で駆動するためには、小さい力で可動板を効率よく回動させることができることは、重要な要件である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる光偏向器は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、前記光偏向素子の温度を調整可能な温度調整手段と、を備え、前記温度調整手段は、前記筺体本体に配設されていることを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる光偏向器によれば、温度調整手段によって光偏向素子の温度を調整することで、光偏向素子の温度を略一定に保つことができる。光偏向素子の温度を一定に保つことによって、光偏向素子の固有の共振周波数が温度変化によって変動することを抑制することができる。光偏向素子の駆動周波数を規定する要因のひとつである共振周波数の変動を抑制することで、光偏向素子の駆動周波数を安定させることができる。
温度調整手段が筺体本体に配設されていることによって、温度調整手段を製造する工程は、光偏向素子を製造する工程とは関わりなく実施することができる。これにより、温度調整手段を光偏向素子と一体に形成することに起因して光偏向素子の製造工程が困難になることを防止して、容易に製造することができる。
温度調整手段が筺体本体に配設されていることによって、光偏向素子を筺体本体に組み込む前に、温度調整手段を筺体本体に、予め組み込んで、温度調整手段に接続されている配線の引き回し及び固定を予め実施しておくことができる。これにより、光偏向素子を筺体本体に組み込む際に、並行して温度調整手段を筺体本体に組み込むことが不要であり、素子室を封止する際に、略並行して温度調整手段の配線の引き回し及び固定を実施することが不要である。素子室を封止する際に、略並行して温度調整手段の配線の引き回し及び固定を実施することに起因して、素子室を封止する方法が制限されることがなく、適切な封止方法を採用することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる光偏向器は、前記筺体本体が、前記素子室内に形成されており、前記支持枠を支持することによって前記光偏向素子を支持する支持部を有し、前記温度調整手段は、前記支持部に配設されていることが好ましい。
【0010】
この光偏向器によれば、温度調整手段は支持枠を支持する支持部に配設されている。これにより、温度調整手段によって支持部の温度を効率よく調整することができ、支持部の温度を調整することで、支持部に支持された支持枠の温度を効率よく調整することができる。支持枠の温度を効率よく調整することで、支持枠に接続された弾性支持梁の温度を効率よく調整することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる光偏向器は、前記筺体本体が、前記素子室を構成する側壁を有し、前記温度調整手段は、前記側壁における、前記素子室内に固定された前記光偏向素子の前記支持枠に対向する位置に配設されていることが好ましい。
【0012】
この光偏向器によれば、温度調整手段は、側壁における光偏向素子の支持枠に対向する位置に配設されている。これにより、温度調整手段によって温度調整手段が配設された側壁の部分に対向する位置に配設されている支持枠の温度を効率よく調整することができる。支持枠の温度を効率よく調整することで、支持枠に接続された弾性支持梁の温度を効率よく調整することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる光偏向器は、前記温度調整手段が、加熱用コイルであることが好ましい。
【0014】
この光偏向器によれば、加熱用コイルによって光偏向素子を加熱して、所望の温度にすることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる光偏向器は、前記温度調整手段が、冷却素子又は加熱素子に接続された熱伝導端子であることが好ましい。
【0016】
この光偏向器によれば、冷却素子又は加熱素子によって熱伝導端子を冷却又は加熱することで、光偏向素子を加熱又は冷却して所望の温度に調整するために適切な温度に、熱伝導端子の温度を調整することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる光偏向器は、前記素子筺体が、前記反射面に入射する光束及び前記反射面によって反射された光束が透過する窓部を有し前記素子室を封止する蓋部材を備え、前記加熱用コイルと電源とを接続する回路配線、及び前記冷却素子又は前記加熱素子と前記熱伝導端子とを接続する熱伝導配線は、前記筺体本体における前記蓋部材が配設された側と反対の外面から導出されていることが好ましい。
【0018】
この光偏向器によれば、回路配線及び熱伝導配線は、蓋部材が配設された側と反対の外面から導出されている。これにより、光偏向素子を筺体本体に組み込む際に、回路配線又は熱伝導配線の引き回し及び固定を実施することが不要である。素子室を封止する際に、温度調整手段の配線の引き回し及び固定を実施することに起因して、素子室を封止する方法が制限されることがなく、適切な封止方法を採用することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる光偏向器は、前記筺体本体が、前記回路配線を構成する回路配線、又は前記熱伝導配線を構成する熱伝導配線の一部分が配設された配線基板に、前記外面を当接又は臨ませて固定されていることが好ましい。
【0020】
この光偏向器によれば、配線基板に当接する又は臨む位置にある外面から導出された回路配線又は熱伝導配線を、配線基板に形成された回路配線又は熱伝導配線に容易に接続することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる光偏向器は、前記蓋部材と前記筺体本体とが、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合されていることが好ましい。
【0022】
この光偏向器によれば、蓋部材と筺体本体とは、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合されることで、接合面の全面が確実に接合されている。これにより、素子室を確実に雰囲気と隔絶させることができる。このため、例えば素子室を負圧にして、可動板が回動する際の抵抗を低減することができる。
【0023】
[適用例9]本適用例にかかる光偏向素子の温度調整方法は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、を備える光偏向器における光偏向素子の温度調整方法であって、前記筺体本体に配設されている温度調整手段によって、前記光偏向素子の温度を調整することを特徴とする。
【0024】
本適用例にかかる光偏向素子の温度調整方法によれば、温度調整手段によって光偏向素子の温度を調整することで、光偏向素子の温度を略一定に保つことができる。光偏向素子の温度を一定に保つことによって、光偏向素子の固有の共振周波数が温度変化によって変動することを抑制することができる。光偏向素子の駆動周波数を規定する要因のひとつである共振周波数の変動を抑制することで、光偏向素子の駆動周波数を安定させることができる。
温度調整手段が筺体本体に配設されていることによって、温度調整手段を製造する工程は、光偏向素子を製造する工程とは関わりなく実施することができる。これにより、温度調整手段を光偏向素子と一体に形成することに起因して光偏向素子の製造工程が困難になることを防止して、容易に製造することができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかる光偏向素子の温度調整方法は、前記筺体本体が、前記素子室内に形成されており、前記支持枠を支持することによって前記光偏向素子を支持する支持部を有し、前記温度調整手段は、前記支持部に配設されていることが好ましい。
【0026】
この光偏向素子の温度調整方法によれば、温度調整手段は支持枠を支持する支持部に配設されている。これにより、温度調整手段によって支持部の温度を効率よく調整することができ、支持部の温度を調整することで、支持部に支持された支持枠の温度を効率よく調整することができる。支持枠の温度を効率よく調整することで、支持枠に接続された弾性支持梁の温度を効率よく調整することができる。
【0027】
[適用例11]本適用例にかかる光偏向器の製造方法は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、前記光偏向素子の温度を調整可能な温度調整手段と、を備える光偏向器の製造方法であって、前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、前記筺体本体を形成すると共に、前記筺体本体に前記温度調整手段を配設する筺体本体形成工程と、前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、前記素子室を封止する蓋部材を前記筺体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
本適用例にかかる光偏向器の製造方法によれば、筺体本体形成工程において筺体本体に配設された温度調整手段によって光偏向素子の温度を調整することで、光偏向素子の温度を略一定に保つことができる。光偏向素子の温度を一定に保つことによって、光偏向素子の固有の共振周波数が温度変化によって変動することを抑制することができる。光偏向素子の駆動周波数を規定する要因のひとつである共振周波数の変動を抑制することで、光偏向素子の駆動周波数を安定させることができる。
光偏向素子形成工程は、筺体本体形成工程において温度調整手段が筺体本体に配設されることによって、温度調整手段を製造する工程や温度調整手段を配設する工程とは関わりなく実施することができる。これにより、温度調整手段を光偏向素子と一体に形成することに起因して光偏向素子の製造工程が困難になることを防止して、容易に製造することができる。
光偏向素子組み込み工程は、筺体本体形成工程において温度調整手段が筺体本体に配設されることによって、並行して温度調整手段を筺体本体に組み込むことを不要にすることができる。
【0029】
[適用例12]上記適用例にかかる光偏向器の製造方法は、前記温度調整手段が、接続配線を介して前記温度調整手段を駆動する温度調整手段駆動源と接続されており、前記筺体本体形成工程において、前記筺体本体における前記蓋部材が配設される側と反対の外面から、前記接続配線を導出することが好ましい。
【0030】
この光偏向器の製造方法によれば、筺体本体形成工程において、回路配線及び熱伝導配線は、蓋部材が配設された側と反対の外面から導出されている。これにより、蓋部材接合工程では、素子室を封止する際に、略並行して温度調整手段の配線の引き回し及び固定を実施することを不要にすることができる。素子室を封止する際に、略並行して温度調整手段の配線の引き回し及び固定を実施することに起因して、素子室を封止する方法が制限されることがなく、適切な封止方法を採用することができる。
【0031】
[適用例13]上記適用例にかかる光偏向器の製造方法は、前記蓋部材接合工程において、前記蓋部材と前記筺体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することが好ましい。
【0032】
この光偏向器の製造方法によれば、蓋部材と筺体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することで、接合面の全面を確実に接合することができる。これにより、素子室を確実に雰囲気と隔絶させることができるため、例えば素子室を負圧にして、可動板が回動する際の抵抗を低減することができる。
【0033】
[適用例14]本適用例にかかる画像形成装置は、光源と、上記した適用例に記載の光偏向器と、を備え、前記光源から射出された光束を前記光偏向器によって偏向させることで画像を形成することを特徴とする。
【0034】
本適用例にかかる画像形成装置によれば、温度を適切に調整することによって安定した稼働を実現できる光偏向素子を備える光偏向器を備えることによって、品質の高い画像を安定して形成することができる。
温度調整手段が筺体本体に配設されていることによって容易に製造することができる光偏向器を備えることで、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】投射型画像表示装置の主要な構成要素を示す説明図。
【図2】(a)は、光偏向素子の形状を示す平面図。(b)は、(a)にA−Aで示した断面における断面図。
【図3】(a)は、素子筺体の筺体本体の外形形状及び筺体本体と一体に形成された加熱コイルを示す上面側から見た平面図。(b)は、素子筺体の筺体本体及び封止蓋の断面形状及び加熱コイルを示す断面図。(c)は、素子筺体の筺体本体の外形形状及び加熱コイルを示す、(a)とは反対側から見た平面図。
【図4】(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図。(b)は、主走査偏向器の断面図。(c)は、可動板が回動した状態を示す断面図。(d)は、可動板が回動した状態を示す断面図。
【図5】(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図。(b)は、主走査偏向器の断面図。
【図6】印刷装置の全体構成を模式的に示す断面図。
【図7】印刷装置が備える露光ユニットの概略構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、光偏向器、光偏向素子の温度調整方法、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置の一実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態は、光偏向器を備える画像形成装置としての投射型画像表示装置を例にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0037】
<投射型画像表示装置>
最初に、投射型画像表示装置1について、図1を参照して説明する。図1は、投射型画像表示装置の主要な構成要素を示す説明図である。
図1に示すように、投射型画像表示装置1は、光束LをスクリーンSの横方向(主走査方向)及び縦方向(副走査方向)に2次元的に走査することにより、スクリーンS上に画像を形成(描画)する装置である。
【0038】
投射型画像表示装置1は、光源ユニット2と、光走査ユニット3と、図示省略した表示装置制御部と、を備えている。光源ユニット2から光束Lが射出され、当該光束Lが光走査ユニット3によって2次元的に走査されてスクリーンSに投射されて、スクリーンS上に画像が形成される。
なお、スクリーンSは、投射型画像表示装置1に一体に備えられたものであっても別体であってもよい。また、スクリーンSの表面側(光Lの照射側)で画像を視認するように構成してもよいし、スクリーンSの裏面側(光Lの照射側とは反対側)から画像を視認するように構成してもよい。
【0039】
光源ユニット2は、レーザー光源21と、ダイクロイックプリズム22とを備えている。レーザー光源21は、3色の光のいずれかを射出する、レーザー光源21R、レーザー光源21G、又はレーザー光源21Bである。レーザー光源21Rは赤色の光束LRを射出し、レーザー光源21Gは緑色の光束LGを射出し、レーザー光源21Bは青色の光束LBを射出する。
【0040】
ダイクロイックプリズム22は、3色の光のいずれかを選択的に反射する、ダイクロイックプリズム22R、ダイクロイックプリズム22G、又はダイクロイックプリズム22Bである。ダイクロイックプリズム22Rは、赤色光を選択的に反射する反射部を備えている。レーザー光源21Rから射出された赤色の光束LRは、ダイクロイックプリズム22Rに入射し、反射部で反射されてダイクロイックプリズム22Gに向けて射出される。当該光束を、光束L1と表記する。
【0041】
ダイクロイックプリズム22Gは、緑色光を選択的に反射する反射部を備えている。レーザー光源21Gから射出された緑色の光束LGは、ダイクロイックプリズム22Gに入射し、反射部で反射されてダイクロイックプリズム22Bに向けて射出される。ダイクロイックプリズム22Rからダイクロイックプリズム22Gに向けて射出された光束L1は、ダイクロイックプリズム22Gの反射部を透過して、ダイクロイックプリズム22Bに向けて射出される。ダイクロイックプリズム22Gは、光束LGを反射し、光束L1を透過させることで、光束LGと光束L1とが合成された光束L2を、ダイクロイックプリズム22Bに向けて射出する。
【0042】
ダイクロイックプリズム22Bは、青色光を選択的に反射する反射部を備えている。レーザー光源21Bから射出された青色の光束LBは、ダイクロイックプリズム22Bに入射し、反射部で反射されて射出される。ダイクロイックプリズム22Gからダイクロイックプリズム22Bに向けて射出された光束L2は、ダイクロイックプリズム22Bの反射部を透過して、射出される。ダイクロイックプリズム22Bは、光束LBを反射し、光束L2を透過させることで、光束LBと光束L2とが合成された光束Lを、射出する。光束Lは、3色の光束LRと、光束LGと、光束LBとが合成された光束である。
【0043】
光走査ユニット3は、主走査偏向器31と、副走査偏向器32と、偏向器支持基板33(図4参照)と、固定反射鏡34とを備えている。
主走査偏向器31は、光偏向素子40を備えており、光偏向素子40は、回動軸Xを回動軸として回動する可動板41に固定された反射鏡42を備えている。
光源ユニット2のダイクロイックプリズム22Bから射出された光束Lは、反射鏡42によって反射されて、回動軸Xの軸方向に略直角な主走査方向に走査される。主走査偏向器31が、光偏向器に相当する。
【0044】
副走査偏向器32は、例えば、ガルバノミラーにより構成されており、主走査方向に略平行な回動軸Yを回動軸として回動する副走査反射鏡48を備えている。
主走査偏向器31の反射鏡42によって反射された光束Lは、副走査反射鏡48によって反射されて、主走査方向に略直角な副走査方向に走査される。
副走査反射鏡48によって反射された光束Lは、固定反射鏡34で反射されて、スクリーンSに照射される。主走査偏向器31による主走査方向の走査と、副走査偏向器32による副走査方向の走査とによって、スクリーンS上に、2次元の画像が形成される。
【0045】
<光偏向素子>
次に、主走査偏向器31が備える光偏向素子40について、図2を参照して説明する。図2は、光偏向素子の形状を示す図である。図2(a)は、光偏向素子の形状を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)にA−Aで示した断面における断面図である。
図2に示すように、光偏向素子40は、可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43と、支持枠44と、を備えている。可動板41と弾性支持梁43と支持枠44とは、例えばシリコン基板をエッチングして形成され、一体に形成されている。
可動板41の形状は、円形の平板である。反射鏡42は、平板形状の可動板41の一面に、配設されている。反射鏡42は、例えばアルミニウムの薄膜であり、平滑に仕上げられたシリコンの面に、例えばスパッタリングによって形成される。
【0046】
弾性支持梁43は、略四角柱の形状を有している。一対の弾性支持梁43,43は、それぞれの弾性支持梁43の一端が、可動板41の側面における円形平板形状の中心に関して略対称の位置において接続されており、それぞれの中心軸が一直線となる方向に延在している。中心軸は、四角柱形状の長手方向に延在し、幅方向及び厚さ方向の中心位置に位置しており、図2(a)に示した回動軸Xと一致している。
支持枠44は、略方形の板の内側に開口44aが形成された額縁状の形状を有している。可動板41(反射鏡42)と一対の弾性支持梁43,43とは、開口44aに配設されている。弾性支持梁43の可動板41と接続された一端の反対側の一端が、額縁形状の対向する2辺の略中央にそれぞれ接続されている。
一対の弾性支持梁43,43が回動軸Xを中心にして捩れることによって、可動板41(反射鏡42)は、回動軸Xを中心にして回動する。主走査偏向器31が投射型画像表示装置1に組み込まれた状態で、図2(a)に示した回動軸Xは、図1に示した回動軸Xと同じものである。反射鏡42が、反射手段に相当する。
【0047】
<素子筺体>
次に、主走査偏向器31が備える素子筺体50について、図3を参照して説明する。図3は、素子筺体の外形形状及び素子筺体と一体に形成された加熱コイルを示す図である。図3(a)は、素子筺体の筺体本体の外形形状及び筺体本体と一体に形成された加熱コイルを示す上面側から見た平面図であり、図3(b)は、素子筺体の筺体本体及び封止蓋の断面形状及び加熱コイルを示す断面図であり、図3(c)は、素子筺体の筺体本体の外形形状及び加熱コイルを示す、図3(a)とは反対側から見た平面図である。筺体本体の内部を明示するために、図3(a)は、封止蓋51がない状態を示している。断面図において断面より手前の物は表示されないが、図3(b)における加熱コイル58は、断面より手前の部分を二点鎖線で示している。
【0048】
図3に示すように、素子筺体50は、筺体本体52及び封止蓋51を備えている。筺体本体52は、略直方体を有し、上面53において外面に開口する素子室54が形成されている。筺体本体52の外面における上面53の反対側の外面を外底面57と表記する。上述したように、図3(a)は上面53側から見た平面図であり、図3(c)は外底面57側から見た平面図である。本実施形態の主走査偏向器31では、上面53側を上側と表記し、外底面57側を下側と表記する。外底面57には、駆動装置36(図4参照)の駆動コイル38(図4参照)を配設するための外底面凹部57aが形成されている。
【0049】
筺体本体52の素子室54を囲む部分を、側壁52aと表記する。素子室54における底面と側壁52aとの角部には、素子室54側に膨出した支持部56が形成されている。底面と支持部56とに囲まれた素子室54の部分を、素子室凹部54aと表記する。素子室凹部54aは、略直方体形状の空間である。素子室54の平面形状は、支持枠44の外形形状と相似形であって、支持枠44の外形形状より僅かに大きくなっており、光偏向素子40を素子室54内に配置することができる。素子室54内に配置された光偏向素子40は、支持枠44が支持部56に当接して支持される(図4参照)。素子室凹部54aの平面形状は、光偏向素子40の開口44aの平面形状と略相似形状であり、支持部56は、可動板41や弾性支持梁43に接触することなく、支持枠44を支持する。
封止蓋51を上面53に載せて、封止蓋51と上面53とを接合することによって、素子室54は封止される。反射鏡42に入射する光束は、封止蓋51を透過して入射し、反射鏡42によって反射された光束は、封止蓋51を透過して主走査偏向器31から射出される。封止蓋51が、蓋部材に相当する。
【0050】
筺体本体52には、加熱コイル58が一体に形成されている。加熱コイル58は、コイル端子58aと、コイル接続部58bと、コイル部58cと、コイル接続部58dと、コイル部58eと、コイル接続部58fと、コイル端子58gと、を有し、これらの各部分がこの順番で接続されて一体になっている。
コイル端子58aとコイル端子58gとは、略長方形形状の平板な端子であって、外底面57に配設されている。コイル部58cは、支持部56より上側の側壁52aの内部における素子室54側に近い部分に配設されており、螺旋状に複数巻き(図3では約2巻き)、素子室54を巻いている。コイル部58eは、支持部56の内部の上側に配設されており、渦巻き状に複数巻き(図3では約2巻き)、巻いている。コイル接続部58bの一端は、コイル端子58aに接続されており、コイル接続部58bのもう一端は、コイル部58cの一端に接続されている。コイル部58cにおけるコイル接続部58bに接続された一端の反対側の一端は、コイル接続部58dの一端に接続されている。コイル接続部58dにおけるコイル部58cに接続された一端の反対側の一端は、コイル部58eの一端に接続されている。コイル部58eにおけるコイル接続部58dに接続された一端の反対側の一端は、コイル接続部58fの一端に接続されている。コイル接続部58fにおけるコイル部58eに接続された一端の反対側の一端は、コイル端子58gに接続されている。なお、コイル接続部58bと、コイル部58cと、コイル接続部58dと、コイル部58eと、コイル接続部58fとは、説明をわかり易くするために付した名称であり、加熱コイル58において、上記した位置に在る部分が、それぞれ該当する名称の部分に相当する。
コイル端子58aとコイル端子58gとを電源に接続して通電することで、コイル接続部58bと、コイル部58cと、コイル接続部58dと、コイル部58eと、コイル接続部58fと、が発熱する。これらの発熱する部分の中で、コイル部58cと、コイル部58eとが、加熱用コイル及び温度調整手段に相当する。コイル端子58aとコイル端子58gとが、回路配線に相当する。
【0051】
筺体本体52は、例えば低温焼成のセラミックスで形成する。セラミックス材料の膜を形成し、焼結することを繰り返し、積層させることによって、筺体本体52を形成する。筺体本体52を形成する途中の段階で、セラミックス膜の上に加熱コイル58を構成する膜を形成し、加熱コイル58を構成する膜の上にさらにセラミックス膜を積層することによって、加熱コイル58が一体に形成された筺体本体52を形成する。
加熱コイル58を形成する工程を含む筺体本体52を形成する工程が、筺体本体を形成すると共に、筺体本体に温度調整手段を配設する筺体本体形成工程に相当する。
【0052】
<主走査偏向器>
次に、主走査偏向器31について、図4を参照して説明する。図4は、主走査偏向器の構成を示す図である。図4(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図であり、図4(b)は、主走査偏向器の断面図であり、図4(c)及び図4(d)は、可動板が回動した状態を示す断面図である。断面図において断面より手前の物は表示されないが、図4(b),(c),(d)における加熱コイル58は、断面より手前の部分を二点鎖線で示している。
図4に示すように、主走査偏向器31は、光偏向素子40と、素子筺体50と、駆動装置36と、加熱コイル58とを備えている。主走査偏向器31は、素子筺体50の筺体本体52が、偏向器支持基板33に固定されることで、偏向器支持基板33に支持されている。
【0053】
光偏向素子40は、支持枠44が素子筺体50の筺体本体52における支持部56に固定されることによって、筺体本体52に固定されている。光偏向素子40の可動板41と反射鏡42と一対の弾性支持梁43,43とは、筺体本体52における素子室凹部54aの部分に位置しており、可動板41及び可動板41と一体に形成された反射鏡42は回動可能である。
可動板41における反射鏡42が配設された反対側の面には、駆動装置36の磁石37が固定されている。筺体本体52の外底面凹部57aには、駆動装置36の駆動コイル38が固定されている。駆動コイル38は、筺体本体52の底部を介して可動板41と略対向する位置に配設されている。
【0054】
周期的に変化する電流(交流)が駆動コイル38に供給されることにより、駆動コイル38は上方(可動板41側)に向く磁界と、下方に向く磁界とを交互に発生させる。この磁界により、駆動コイル38に対し磁石37の両端(主走査偏向器31においては、回動軸Xから遠い位置に位置する両端)に位置する一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するような力が磁石37に作用する。磁石37が固定された可動板41は一対の弾性支持梁43,43が捩れ変形することによって回動可能であって、図4(c)及び図4(d)に示すように、回動軸X回りに回動させられる。
【0055】
上述したように、加熱コイル58のコイル部58cは、支持部56より上側の側壁52aの内部における素子室54側に近い部分に配設されており、螺旋状に複数巻き素子室54を巻いている。素子室54におけるコイル部58cが周囲に在るあたりには、支持枠44が位置している。また、コイル部58eは、支持部56の内部の上側に配設されており、支持部56の上面には、支持枠44が支持されている。
【0056】
光偏向素子40を筺体本体52の素子室54に設置した後、封止蓋51を筺体本体52の上面53に載せて、封止蓋51と上面53とを接合することによって、素子室54は封止されている。封止蓋51と上面53とは、例えば金属接合、共晶結合、又は陽極接合などによって接合する。また、例えば接合作業を減圧された雰囲気中で実施することによって、封止された素子室54は減圧状態になっている。
【0057】
偏向器支持基板33には、一対の接続端子33b,33bとそれぞれの接続端子33bに接続された回路配線33aとが形成されている。筺体本体52が、偏向器支持基板33に固定された状態で、筺体本体52の外底面57に配設されたコイル端子58a及びコイル端子58gは、それぞれ接続端子33bに当接しており、コイル端子58a又はコイル端子58gと接続端子33bとは電気的に接続されている。回路配線33aは図示省略した電源に接続されており、回路配線33a及び接続端子33bを介して、電源から加熱コイル58に電力が供給される。回路配線33a及び接続端子33bが、回路配線に相当する。偏向器支持基板33が、配線基板に相当する。
図示省略したが、駆動コイル38と駆動装置36の制御装置や電源とを電気的に接続する接続配線も、偏向器支持基板33に形成することができる。
加熱コイル58に供給する電力を制御することによって、加熱コイル58の温度を略一定に維持することで、加熱コイル58のコイル部58cが周囲に配置されており、コイル部58eの上側に位置する支持枠44の温度を略一定に維持する。
【0058】
<他の主走査偏向器>
次に、主走査偏向器31とは一部の構成が異なる主走査偏向器231について、図5を参照して説明する。図5は、主走査偏向器の構成を示す図である。図5(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図であり、図5(b)は、主走査偏向器の断面図である。断面図において断面より手前の物は表示されないが、図5(b)における熱伝導部材258は、断面より手前の部分を二点鎖線で示している。
図5に示すように、主走査偏向器231は、光偏向素子40と、素子筺体250と、駆動装置36と、熱伝導部材258と、偏向器支持基板233と、温度調整素子238と、を備えている。
【0059】
光偏向素子40は、主走査偏向器31が備える光偏向素子40と実質的に同じものである。駆動装置36は、主走査偏向器31が備える駆動装置36と実質的に同じものである。素子筺体250は、筺体本体252及び封止蓋51を備えている。封止蓋51は、主走査偏向器31の筺体本体52が備える封止蓋51と実質的に同じものである。筺体本体252の形状は、素子筺体50が備える筺体本体52と実質的に同じ形状である。筺体本体252は、筺体本体52が有する素子室54と支持部56と上面53と外底面57と外底面凹部57aと側壁52aと実質的に同じ形状を有する、素子室254と支持部256と上面253と外底面257と外底面凹部257aと側壁252aとを有している。
光偏向素子40及び駆動装置36は、主走査偏向器31における光偏向素子40又は駆動装置36と同様に、筺体本体252に固定されている。
【0060】
筺体本体252には、熱伝導部材258が一体に形成されている。熱伝導部材258は、接続端子部258aと、熱伝導接続部258bと、熱伝導端子部258cと、熱伝導接続部258dと、熱伝導端子部258eと、熱伝導接続部258fと、接続端子部258gと、を有し、これらの各部分がこの順番で接続されて一体になっている。
接続端子部258aと接続端子部258gとは、略長方形形状の平板な端子であって、筺体本体252の外底面257に配設されている。熱伝導端子部258cは、支持部256より上側の側壁252aの内部における素子室254側に近い部分に配設されており、螺旋状に複数巻き、素子室254を巻いて配設されている。熱伝導端子部258eは、支持部256の内部の上側に配設されており、渦巻き状に複数巻き(図5では約2巻き)、巻いている。熱伝導接続部258bの一端は、接続端子部258aに接続されており、熱伝導接続部258bのもう一端は、熱伝導端子部258cの一端に接続されている。熱伝導端子部258cにおける熱伝導接続部258bに接続された一端の反対側の一端は、熱伝導接続部258dの一端に接続されている。熱伝導接続部258dにおける熱伝導端子部258cに接続された一端の反対側の一端は、熱伝導端子部258eの一端に接続されている。熱伝導端子部258eにおける熱伝導接続部258dに接続された一端の反対側の一端は、熱伝導接続部258fの一端に接続されている。熱伝導接続部258fにおける熱伝導端子部258eに接続された一端の反対側の一端は、接続端子部258gに接続されている。
なお、熱伝導接続部258bと、熱伝導端子部258cと、熱伝導接続部258dと、熱伝導端子部258eと、熱伝導接続部258fとは、説明をわかり易くするために付した名称であり、熱伝導部材258において、上記した位置に在る部分が、それぞれ該当する名称の部分に相当する。
【0061】
偏向器支持基板233には、一対の接続端子233b,233bとそれぞれの接続端子233bに接続された熱伝導配線233aとが形成されている。筺体本体252が、偏向器支持基板233に固定された状態で、筺体本体252の外底面257に配設された接続端子部258a及び接続端子部258gは、それぞれ接続端子233bに当接しており、接続端子部258a又は接続端子部258gと接続端子233bとは熱伝導可能に接続されている。熱伝導配線233aは、偏向器支持基板233に配設された温度調整素子238に熱伝導可能に接続されている。
温度調整素子238は図示省略した電源に接続されており、温度調整素子238に接続された熱伝導配線233aの温度を一定の温度に過熱又は冷却する。熱伝導配線233aの温度を一定の温度に過熱又は冷却することで、接続端子233bと、接続端子部258a及び接続端子部258gと、を介して、熱伝導接続部258bと、熱伝導端子部258cと、熱伝導接続部258dと、熱伝導端子部258eと、熱伝導接続部258fと、が加熱又は冷却される。温度調整素子238としては、例えばペルチェ素子を用いることができる。温度調整素子238が加熱素子及び冷却素子に相当する。
【0062】
上述した加熱コイル58と同様に、熱伝導部材258の熱伝導端子部258cは、支持部256より上側の側壁252aの内部における素子室254側に近い部分に配設されており、螺旋状に複数巻き素子室254を巻いている。素子室254における熱伝導端子部258cが周囲に在るあたりには、支持枠44が位置している。また、熱伝導端子部258eは、支持部256の内部の上側に配設されており、支持部256の上面には、支持枠44が支持されている。
熱伝導端子部258cと熱伝導端子部258eとを、加熱又は冷却して一定の温度に維持することで、熱伝導端子部258cが周囲に配置されており、熱伝導端子部258eの上側に位置する支持枠44の温度を略一定に維持する。
熱伝導端子部258cと、熱伝導端子部258eとが、熱伝導端子及び温度調整手段に相当する。熱伝導配線233aと、接続端子233bと、接続端子部258aと、接続端子部258gとが、熱伝導配線に相当する。
【0063】
光偏向素子40を筺体本体252の素子室254に設置した後、封止蓋51を筺体本体252の上面253に載せて、封止蓋51と上面253とを接合することによって、素子室254は封止されている。封止蓋51と上面253とは、例えば金属接合、共晶結合、又は陽極接合などによって接合する。また、例えば接合作業を減圧された雰囲気中で実施することによって、封止された素子室254は減圧状態になっている。
【0064】
<印刷装置>
次に、投射型画像表示装置とは異なる、光偏向器を備える画像形成装置としての印刷装置について、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態で説明する印刷装置101は、電子写真方式を採用する印刷装置である。図6は、印刷装置の全体構成を模式的に示す断面図である。図7は、印刷装置が備える露光ユニットの概略構成を示す説明図である。
【0065】
印刷装置101は、露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって、トナーからなる画像を紙やOHPシートなどの記録媒体に記録するものである。
図6に示すように、印刷装置101は、感光体111と、帯電ユニット112と、露光ユニット110と、現像ユニット114と、転写ユニット115と、クリーニングユニット116と、からなる画像形成ユニットを備えている。印刷を実施する際には、図6に矢印aで示した方向に感光体111が回転する。帯電ユニット112と、露光ユニット110と、現像ユニット114と、転写ユニット115と、クリーニングユニット116とは、感光体111の回転方向に沿ってこの順番で、感光体111の周囲に配設されている。
印刷装置101は、また、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ117と、定着装置118とを備えている。給紙トレイ117は画像形成ユニットの一方の側(図6では、画像形成ユニットの図における下側)に配設されており、定着装置118は画像形成ユニットを挟んで給紙トレイ117の略反対側(図6では、画像形成ユニットの図における上側)に配設されている。
【0066】
画像形成ユニットでは、帯電ユニット112によって、感光体111が帯電され、露光ユニット110によって潜像が形成され、現像ユニット114によってトナーで現像され、現像された画像が転写ユニット115に転写される。
より詳細には、まず、図示しないホストコンピューターからの指令により、感光体111、現像ユニット114に設けられた現像ローラー(図示省略)、及び転写ユニット115の中間転写ベルト151が回転を開始する。感光体111は、回転しながら、帯電ユニット112に対向する部分が帯電ユニット112により順次帯電される。
感光体111の帯電された領域は、感光体111の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット110によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0067】
感光体111上に形成された潜像は、感光体111の回転に伴って、現像ユニット114に対向する現像位置に至り、イエロー現像のための現像装置、例えば現像装置144によってイエロートナーで現像される。イエロートナーで現像されることによって、感光体111上にイエロートナー像が形成される。
現像ユニット114は、軸146を軸に回転する保持体145と、現像装置141、現像装置142、現像装置143、及び現像装置144と、を備えている。現像装置141、現像装置142、現像装置143、及び現像装置144は、保持体145に保持されており、軸146のまわりに回転可能である。保持体145が回転して、例えばイエロートナーで現像する場合の現像装置144のように、現像する色に対応した現像装置141、現像装置142、現像装置143、又は現像装置144が、感光体111と対向する位置に位置される。
【0068】
感光体111上に形成されたイエロートナー像などの像は、感光体111の回転に伴って、感光体111が転写ユニット115の一次転写ローラー152と対向している一次転写位置に至る。このとき、一次転写ローラー152には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。一次転写電圧が印加された一次転写ローラー152によって、感光体111上に形成されたイエロートナー像などの像が中間転写ベルト151に転写(一次転写)される。中間転写ベルト151は、駆動ローラー154を回転させることで一次転写ローラー152および従動ローラー153を従動回転させながら回転する。なお、この間、二次転写ローラー155は、中間転写ベルト151から離間している。
【0069】
潜像の形成、現像、及び一次転写と同様の処理が、他の色(本実施形態では、第2色目、第3色目、及び第4色目)について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト151に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト151上にはフルカラートナー像が形成される。
記録媒体Pは、給紙トレイ117から、給紙ローラー171及びレジローラー172によって、二次転写ローラー155と駆動ローラー154とが、中間転写ベルト151を間に挟んで対向している二次転写位置へ搬送される。
【0070】
中間転写ベルト151上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト151の回転に伴って二次転写位置に至る。このとき、二次転写ローラー155は中間転写ベルト151に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加されている。二次転写位置に至った記録媒体P及び中間転写ベルト151におけるフルカラートナー像が形成された部分は、二次転写ローラー155と駆動ローラー154とに挟まれて互いに凹圧され、二次転写電圧が印加された二次転写ローラー155によって、フルカラートナー像が記録媒体Pに転写(二次転写)される。
【0071】
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置118によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、片面プリントの場合には、記録媒体Pは、排紙ローラー対173によって露光ユニット110の外部へ排出される。
一方、感光体111は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット116のクリーニングブレード161によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット116内の残存トナー回収部に回収される。
【0072】
両面プリントの場合には、定着装置118によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラー対173により挟持した後に、排紙ローラー対173を反転駆動するとともに、搬送ローラー174及び搬送ローラー176からなる搬送ローラー対を駆動して、当該記録媒体Pを搬送路175を通じて表裏反転して二次転写位置へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0073】
印刷装置101が備える露光ユニット110は、図示省略したパーソナルコンピューターなどのホストコンピューターから画像情報及び画像形成指令を受け、一様に帯電された感光体111上に、レーザー光を選択的に照射することによって、画像情報に対応する静電的な潜像を形成する装置である。
図7に示すように、露光ユニット110は、光偏向器であるアクチュエーター103と、レーザー光源121と、コリメータレンズ122と、fθレンズ123とを備えている。アクチュエーター103は、回動軸X1まわりに回動可能な可動板241と、可動板241上に形成された反射鏡242とを有している。
【0074】
露光ユニット110にあっては、レーザー光源121からコリメータレンズ122を介してアクチュエーター103の反射鏡242にレーザー光Lが照射される。照射されたレーザー光Lは、反射鏡242で反射されて、fθレンズ123を介して感光体111上に照射される。
その際、アクチュエーター103が駆動されて、可動板241が回動軸X1まわりに回動することにより、可動板241上に形成された反射鏡242で反射されたレーザー光Lは、感光体111の軸線方向に走査(主走査)される。同時に、感光体111が回転することにより、反射鏡242で反射されたレーザー光Lは、感光体111の周方向に走査(副走査)される。レーザー光Lが感光体111上を主走査方向及び副走査方向に走査されることによって、感光体111上に面状の画像が形成される。反射鏡242が、反射手段に相当する。
レーザー光源121から射出されるレーザー光Lの強度は、図示しないホストコンピューターから受けた画像情報に応じて変化する。感光体111に照射されるレーザー光Lの強度によって、照射された部分におけるトナー像の濃度が定まり、同じ部分における各色の濃度の組み合わせによって、当該部分の色調や濃度が定まる。
このようにして露光ユニット110は、感光体111上を選択的に露光して画像形成(描画)を行う。
【0075】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)主走査偏向器31は、加熱コイル58を備えており、加熱コイル58によって、光偏向素子40を過熱することができる。光偏向素子40を過熱することで光偏向素子40の温度を略一定に維持して、光偏向素子40の特性の中で温度に依存する特性を安定させることができる。
【0076】
(2)主走査偏向器231は、素子筺体250に配設されており温度調整素子238に接続された熱伝導部材258を備えており、温度調整素子238によって、熱伝導部材258を介して、素子筺体250に配設されている光偏向素子40を過熱又は冷却することができる。光偏向素子40を過熱又は冷却することで光偏向素子40の温度を略一定に維持して、光偏向素子40の特性の中で温度に依存する特性を安定させることができる。
【0077】
(3)加熱コイル58及び熱伝導部材258は、筺体本体52又は筺体本体252と一体に形成されている。光偏向素子40は、加熱コイル58又は熱伝導部材258とは全く別に製造できるため、筺体本体52又は筺体本体252を造りこむことが光偏向素子40の製造工程に影響を与えることをなくすることができる。
【0078】
(4)加熱コイル58及び熱伝導部材258は、筺体本体52又は筺体本体252と一体に形成されており、光偏向素子40を筺体本体52又は筺体本体252に組み込む際は、加熱コイル58の回路配線又は熱伝導部材258の熱伝導配線を引き回すことは不要である。これにより、筺体本体52又は筺体本体252に光偏向素子40を組み込んで、封止蓋51で封止する際に、回路配線又は熱伝導配線を引き回すことに起因して、筺体本体52又は筺体本体252と封止蓋51との接合方法が制限を受けることを抑制することができる。
【0079】
(5)筺体本体52又は筺体本体252と封止蓋51との接合は、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などによって接合されている。これらの接合方法を用いることで、接合部を確実に接合して、素子室54又は素子室254を、実質的に完全に雰囲気と隔絶させることができる。これにより、素子室54又は素子室254を、負圧状態にして、負圧状態を維持することができる。
【0080】
(6)加熱コイル58のコイル部58c、及び熱伝導部材258の熱伝導端子部258cは、側壁52a又は側壁252aにおける支持枠44に近接した部分に配設されている。これにより、支持枠44を効率よく加熱又は冷却することができる。
【0081】
(7)加熱コイル58のコイル部58e、及び熱伝導部材258の熱伝導端子部258eは、支持枠44を支持している支持部56又は支持部256に配設されている。これにより、支持枠44を効率よく加熱又は冷却することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0083】
(変形例1)前記実施形態においては、加熱コイル58は、側壁52aの内部における支持枠44に対向する部分及び支持部56の内部に配設されており、熱伝導部材258は、側壁252aの内部における支持枠44に対向する部分及び支持部256の内部に配設されていた。しかし、温度調整手段を、側壁における光偏向素子の支持枠に対向する位置と、光偏向素子を支持する支持部との両方に配設することは必須ではない。温度調整手段を、側壁における光偏向素子の支持枠に対向する位置と、光偏向素子を支持する支持部とのいずれか一方に配設する構成であってもよい。
【0084】
(変形例2)前記実施形態においては、コイル端子58aとコイル端子58gとは、筺体本体52の外底面57に配設されており、加熱コイル58に接続する回路配線は、筺体本体52における封止蓋51と反対側から導出されている。接続端子部258aと接続端子部258gとは、筺体本体252の外底面257に配設されており、熱伝導部材258に接続する熱伝導配線は、筺体本体252における封止蓋51と反対側から導出されている。しかし、回路配線、又は熱伝導配線が筺体本体における蓋部材が配設された側と反対の外面から導出されることは必須ではない。回路配線及び熱伝導配線は、筺体本体の側面などから導出される構成であってもよい。
【0085】
(変形例3)前記実施形態においては、光走査ユニット3は偏向器支持基板33を備え、主走査偏向器31は偏向器支持基板33に固定されて支持されていた。主走査偏向器231は、偏向器支持基板233を備えており、素子筺体250が偏向器支持基板233に固定されて支持されていた。しかし、光偏向器が回路配線又は熱伝導配線が配設された配線基板を備えることも、配線基板に固定されることによって支持されることも必須ではない。光偏向器の支持装置はどのような構成であってもよい。回路配線及び熱伝導配線の引き回しは、どのような引き回し方であってもよい。
【0086】
(変形例4)前記実施形態においては、副走査偏向器32は、ガルバノミラーにより構成されていたが、副走査偏向器32のように使用される光偏向器にも、主走査偏向器31のような光偏向素子を用いた光偏向器を採用できる。
【0087】
(変形例5)前記実施形態においては、筺体本体52又は筺体本体252と封止蓋51との接合は、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などによって接合されていた。しかし、蓋部材と筺体本体とを金属接合、共晶結合、又は陽極接合などの接合方法を用いて接合することは必須ではない。半田を用いる接合や、接着剤を用いた接着などの接合方法を用いた接合であってもよい。
【0088】
(変形例6)前記実施形態においては、支持枠44は、略方形の板の内側に支持枠開口45が形成された額縁状の形状を有していたが、支持枠44などの支持枠が額縁状の形状であることは必須ではない。弾性支持梁を支持することができる充分な強度を実現できれば、支持枠の形状はどのような形状であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…投射型画像表示装置、3…光走査ユニット、21…レーザー光源、22…ダイクロイックプリズム、31…主走査偏向器、32…副走査偏向器、33…偏向器支持基板、36…駆動装置、37…磁石、38…駆動コイル、40…光偏向素子、41…可動板、42…反射鏡、43…弾性支持梁、44…支持枠、48…副走査反射鏡、50…素子筺体、51…封止蓋、52…筺体本体、52a…側壁、53…上面、54…素子室、56…支持部、57…外底面、58…加熱コイル、58a…コイル端子、58c…コイル部、58e…コイル部、58g…コイル端子、101…印刷装置、103…アクチュエーター、121…レーザー光源、231…主走査偏向器、233…偏向器支持基板、233a…熱伝導配線、233b…接続端子、238…温度調整素子、241…可動板、242…反射鏡、250…素子筺体、252…筺体本体、252a…側壁、253…上面、254…素子室、256…支持部、257…外底面、258…熱伝導部材、258a…接続端子部、258c…熱伝導端子部、258e…熱伝導端子部、258g…接続端子部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、
前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、
前記光偏向素子の温度を調整可能な温度調整手段と、を備え、
前記温度調整手段は、前記筺体本体に配設されていることを特徴とする光偏向器。
【請求項2】
前記筺体本体は、前記素子室内に形成されており、前記支持枠を支持することによって前記光偏向素子を支持する支持部を有し、前記温度調整手段は、前記支持部に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の光偏向器。
【請求項3】
前記筺体本体は、前記素子室を構成する側壁を有し、
前記温度調整手段は、前記側壁における、前記素子室内に固定された前記光偏向素子の前記支持枠に対向する位置に配設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光偏向器。
【請求項4】
前記温度調整手段は、加熱用コイルであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項5】
前記温度調整手段は、冷却素子又は加熱素子に接続された熱伝導端子であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項6】
前記素子筺体は、前記反射面に入射する光束及び前記反射面によって反射された光束が透過する窓部を有し前記素子室を封止する蓋部材を備え、
前記加熱用コイルと電源とを接続する回路配線、及び前記冷却素子又は前記加熱素子と前記熱伝導端子とを接続する熱伝導配線は、前記筺体本体における前記蓋部材が配設された側と反対の外面から導出されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の光偏向器。
【請求項7】
前記筺体本体は、前記回路配線を構成する回路配線、又は前記熱伝導配線を構成する熱伝導配線の一部分が配設された配線基板に、前記外面を当接又は臨ませて固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の光偏向器。
【請求項8】
前記蓋部材と前記筺体本体とは、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の光偏向器。
【請求項9】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、を備える光偏向器における光偏向素子の温度調整方法であって、
前記筺体本体に配設されている温度調整手段によって、前記光偏向素子の温度を調整することを特徴とする光偏向素子の温度調整方法。
【請求項10】
前記筺体本体は、前記素子室内に形成されており、前記支持枠を支持することによって前記光偏向素子を支持する支持部を有し、前記温度調整手段は、前記支持部に配設されていることを特徴とする、請求項9に記載の光偏向素子の温度調整方法。
【請求項11】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室を有する筺体本体を備える素子筺体と、前記光偏向素子の温度を調整可能な温度調整手段と、を備える光偏向器の製造方法であって、
前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、
前記筺体本体を形成すると共に、前記筺体本体に前記温度調整手段を配設する筺体本体形成工程と、
前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、
前記素子室を封止する蓋部材を前記筺体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする光偏向器の製造方法。
【請求項12】
前記温度調整手段は、接続配線を介して前記温度調整手段を駆動する温度調整手段駆動源と接続されており、
前記筺体本体形成工程において、前記筺体本体における前記蓋部材が配設される側と反対の外面から、前記接続配線を導出することを特徴とする、請求項11に記載の光偏向器の製造方法。
【請求項13】
前記蓋部材接合工程において、前記蓋部材と前記筺体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することを特徴とする、請求項11又は12に記載の光偏向器の製造方法。
【請求項14】
光源と、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光偏向器と、を備え、
前記光源から射出された光束を前記光偏向器によって偏向させることで画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−69860(P2011−69860A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218620(P2009−218620)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】