光学的計測装置
【課題】複数の波長の光源による干渉画像によって、微小な計測面上の微小な高さや形状を計測する微小高さ等の計測装置において、特定の計測点の明るさの変化をサイン波として解析し、その位相を求める必要があったり、また上記明るさ変化の位相を求めるために、一つの干渉縞像中に少なくとも複数点の極値が現れている必要がある点を改善する。
【解決手段】観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備え、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測する。
【解決手段】観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備え、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、2次元干渉画像上の濃淡縞の各点の明るさ比率、または明るさ比率の組み合わせから、微小な計測対象物の計測面上における物の高さや形状等を計測する光学的計測装置の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノレベルの微小な計測対象物や同微細な計測対象物の微小な計測面上の所定の位置間の高さ寸法(段差寸法)や3次元形状、例えば半導体や液晶ディスプレーの製造ライン、マイクロマシンなどの製造ラインにおけるナノメータレベルでのパターン間の段差寸法や微小な機構部分の高さなどを光学的に計測する計測装置として、例えば光源に白色光源を用い、該白色光源からの白色光の干渉を利用して計測するものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
白色光源は、合成光の光源であるから多数の波長の光を発生させる。したがって、同白色光源からの多数の波長の光を上記のような計測対象物の計測面上で干渉させた場合、同干渉によって光が強め合う位置は、当該計測面上の非常に短い区間となる。
【0004】
そこで、例えばCCDカメラなどの撮像手段により計測対象物の計測面を撮像しながら、対物レンズ等の光学系を上下に駆動することによって、撮像手段への光路長を変え、撮像された計測面の複数の画像内の各点で、その光量が最大になった時の光学系上の位置を求めるようにすれば、計測面である微小物体の表面の、例えば凹凸形状等の段差寸法や3次元形状を計測することができる。
【0005】
今例えば図10に、そのような構成を採用した従来公知の光学的計測装置の具体的な構成を示す。
【0006】
図10中、先ず符号1は上述したナノレベルの微小な物体などの計測対象物、2は同計測対象物1を臨むCCDカメラ6からの光学系路上の位置に設けられていて、上記計測対象物1の計測面からの反射光を集光しCCDカメラ6の受光素子部分に入力する対物レンズ、3は同対物レンズ2を上記光学系路上においてフォーカス方向(光軸方向)に微小な距離駆動することによって光路長を変えるピエゾアクチュエータなどよりなる光路長可変手段、4はハーフミラー4aを備え、白色光源5からの光を上記対物レンズ2を通して計測対象物1の計測面に照射するビームスプリッター、6は上記計測対象物1の計測面からの反射光を対物レンズ2を介して収束させながら上記ビームスプリッター4を介して受光素子部分に入力し、上記計測対象物1の計測面の画像を得るCCDカメラである。
【0007】
しかし、この従来の光学的計測装置は、原理的にナノメートル単位の計測精度での光学系路上の位置決めを必要とするため、例えば数10マイクロメートルの計測対象物の高さを測定しようとした場合、数100回の位置決め工程を必要とし、相当に長い計測時間が必要となる。
【0008】
したがって、同計測装置では、必要な計測精度が高くなるほど、また必要な計測レンジが広くなるほど、多大な計測時間を要することになり、極めて計測効率が悪く、上述した半導体製造ライン等の製造ラインにおける製造効率向上の妨げとなっていた。
【0009】
そこで、このような問題を解消するために、本願発明者は、例えば図11に示されるような光学的計測装置を先に提案した(特許文献2を参照)。
【0010】
この計測装置では、複数の異なる波長のレーザ光を発生する第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3とこれら第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3に対応した第1,第2,第3の複数の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)C1,C2,C3とを設け、上記第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3から照射されたレーザ光がハーフミラーを備えた第1,第2のビームスプリッターB1,B2部分で合流したあと、同じくハーフミラーを備えた第3のビームスプリッターB3で計測対象物1の計測面への照射光と回転駆動手段Dを備えた参照ミラーRMへの参照光との2つのレーザ光に分けられて照射されるようになっている。
【0011】
そして、上記計測対象物1の計測面に当たった反射光は、再び第3のビームスプリッターB3で参照ミラーRMからの反射光と合流して、レーザ光の干渉像を作りながら、第4,第5のビームスプリッターB4,B5を通って、第1,第2,第3の撮像手段C1,C2,C3に入射して撮像される。
【0012】
これら第1〜第3の各撮像手段C1,C2,C3の前には、それぞれ各レーザ光の波長にあった特性の第1〜第3の光学フィルタF1〜F3が装着されており、各レーザ光の波長毎の干渉画像を撮像する。
【0013】
一方、上記計測対象物1は所定のナノメータステージST上に載置されており、同計測対象物1を載せたナノメータステージSTは、上述の場合と同様のピエゾ素子などのアクチュエータで微小駆動され(例えば数10nm単位で)、光路長を所望に変化させるようになっている。このように、上記光学系の光路長を数10nm単位で変化させると、計測対象物1の計測面からの反射光と参照光との干渉状態が変化するために、形成される干渉画像の明るさが変わる。この明るさの変化は、上記光路長の変化量に応じて、例えば図12のようにサイン波状に変化し、光路長の変化の1波長が1周期となる。
【0014】
同光路長は、明るさ変化に応じた計測対象物1の計測面上の凹凸に応じて場所毎に異なるため、明暗の変化の仕方も場所によって違い、場所毎のサイン波状の明るさ変化の位相差となって表れる。したがって、図13のように、この位相差を測定すると、計測面の凹凸部の高さHの差を計算することができることになる。
【0015】
しかし、上記明るさの変化に応じて変化するサイン波(図12)は、上述のように波長の一周期で元に戻るので、結局1波長のレーザ光源では、1波長分の長さまでしか高さの差を計測することができない。
【0016】
ところが、上記のように、複数の波長のレーザ光源L1,L2,L3を使用し、個別に位相を測定するようにすると、光路長の変化は波長に依存するため、例えば図14に示すように、光路長の変化の位相との関係が2つのレーザ光源間で相互にずれてくる。したがって相互に波長が異なる複数の光源で計測された各位相を組み合わせれば、1つの光源の波長以上の長さの計測が可能になる。
【0017】
すなわち、この複数の波長のレーザ光を用いた位相シフト法による微小形状、微小寸法の計測では、例えば図15に示すように、光路長を微小距離ΔL毎に移動させることによって、上記明るさ変化のサイン波の位相θを同ΔL毎にコード化し、同位相コードの組み合わせで1波長以上の長さを計測する。
【0018】
例えばレーザ光源L1,L2を利用した場合、それらの波長から、レーザ光源L1(h1)では0−4の5段階で評価され、レーザ光源L2(h2)では0-3の4段階で評価されたとすると、その組み合わせコードは20種類あるため、レーザ光源の波長の4倍まで計測できることになる。したがって、この場合、例えば図16に示すような「位相コード−高さ変換テーブル」を予じめ作製しておくことにより、レーザ光の波長を超えた計測を行うことが可能になる。
【0019】
また、各レーザ光源L1,L2毎の明るさ変化の位相の計測は、計測する長さによらず、レーザ光源L1,L2の波長内を数十分割した程度の計測で済むため、上記従来の白色光の干渉を利用する計測装置(特許文献1のもの)に比べて、大幅に計測時間を短縮することができることになる(より詳しくは特許文献2の明細書および図面を参照)。
【0020】
しかし、この特許文献2の計測装置の場合、同一の計測対象物の同一の計測面上で数十回程度の計測を行う必要があり、そのためには、計測対象物Wを停止させておく必要がある。このため、検査対象物Wが高速で移動する画像検査装置で行われる計測、例えば図17のように複数のラインセンサーLS1〜LS4と走行系DRとを組み合わせ、検査対象物Wの製造ライン上での移動速度にあわせた大面積、高速状態での迅速な計測作業を実現することができない課題があった。
【0021】
このため、本願発明者は、さらに上記特許文献2の光学的計測装置の構成では必須であった数十枚の画像撮像の必要性をなくすため、1枚の干渉画像のみで複数のレーザ光源による干渉画像の干渉縞の濃淡から、同画像の画面内各点での明るさの位相を求めることにより、また、それらの各位相を組み合わせることにより、微小高さを計測することができるようにした新たな光学的計測装置を提案した(例えば特許文献3を参照)。
【0022】
この光学的計測装置では、例えば図18に示すように、走行系DR上の検査対象物Wの計測面に対して、ラインセンサLSの光学系路を微小に傾けて配置し、検査対象物Wの計測面上に発生する図19の様な干渉縞の明るさのサイン波状の明暗変化Aを解析し、該明るさの明、もしくは暗の極値となる点を抽出し、その極値間に、例えば図12のような基準となるサイン波Cを当てはめ、実際の明るさ変化Aにおける基準となるサイン波Cと同じ明るさを持つ点をサイン波Cと同じ位相θ(θ1=θ1′、θ2=θ2′)の点とすることにより、明るさの位相θを求めるようにしている。これにより、複数の波長の干渉画像の位相をコード化し、あらかじめ準備しておいた位相コードと高さの組み合わせテーブルを参照することにより、微小高さの計測が可能となる(より詳しくは特許文献3の明細書および図面を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】『ビジョン技術の実利用ワークショップ』VIEW 2006年 講演論文集第1頁−7頁「超精密3次元形状計測の最新動向−白色干渉における革新的アルゴリズムの開発とその応用−」
【特許文献2】特願2007−219054号(平成19年8月24日出願の明細書および図面)
【特許文献3】特願2009−028723号(平成20年2月14日出願の特願2008−32728号を先の出願とする平成21年2月10日出願の国内優先権主張出願の明細書および図面)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかし、上記本願発明者の出願である特許文献3に記載された光学的計測装置の構成の場合にも、一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要がある。そのため、長さが数10画素以下の微小な測定対象領域に対しては、適用が困難であった。
【0025】
本願発明は、そのような課題を解決するためになされたもので、上記特許文献3の発明の構成で必須であった、測定対象領域上の干渉縞で明るさの明、もしくは暗の極値となる点を抽出し、その極値間にサイン波を当てはめなければならない制約を解消するとともに、複数の干渉縞の明るさのバランスに着目し、その明るさ間の比率によって、微小な領域に対する微小な高さを計測することができるようにした光学的計測装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、その複数の干渉縞間の明るさの比率、または同明るさの比率の組み合わせを求めることによって、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とするものである。
【0027】
このような構成によると、各波長のレーザ光での2次元的な干渉画像について、画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させて同一点で光路長を変えて多数回撮像するような必要はなくなり、平面画像一枚のみで解析することが可能になる。また、複数の干渉縞間の明るさの比率のみに着目しているため、明るさの変化する干渉縞に、少なくとも複数の明暗の極値が含まれる必要もなくなる。
【0028】
すなわち、前述した特許文献2の発明の問題点は、上記明るさの位相を求めるために、光路長を変えながら数十回の撮像を行う必要性があったこと、また特許文献3の発明の問題点は特定の点の明るさ変化をサイン波として解析するために、複数の極値間に基準となるサイン波を当てはめ、その明るさを元に実際の明るさ変化の各点の位相を求めたことにあった。このため、長さが数10画素以下の微小領域に対する高さ計測が困難であった。
【0029】
しかし、この発明では、上記特許文献2の発明の光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点、また特許文献3の発明の明るさ変化をサイン波として解析するために、明るさの明、もしくは暗の複数の極値間にサイン波を当てはめなければならない点を、上述のように複数の2次元干渉画像上の濃淡縞の各点の明るさ比率、または同明るさ比率の組み合わせから求めるようにして、縞としての解析を不要にしている。
【0030】
したがって、計測対象物の計測面の高さ毎の各2次元干渉画像の明るさ比率、または同明るさ比率の組み合わせに基いて、例えば後述のような上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段などを用いて、上記複数の撮像手段で撮像された一枚の2次元干渉画像上の干渉縞の濃淡パターンを観測することにより、上記計測対象物の計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0031】
(2) 請求項2の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、該画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の微小計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とするものである。
【0032】
このような構成によると、各波長の光での2次元的な干渉画像について、計測ライン上の画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、計測対象物を固定させて同一点で光路長を変えて多数回撮像するような必要はなくなり、平面画像一枚のみで解析すること、またその計測対象物の微小計測面について、干渉縞の明暗の明るさの極値が現れていなくとも、微小高さを計測することが可能になる。
【0033】
すなわち、前述した特許文献2の発明の問題点は、上記明るさ位相を求めるために、光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の点の明るさ変化をサイン波として解析し、その位相を求めたことにあった。
【0034】
しかし、この発明では、上記特許文献2の発明の光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点を、上述のように複数の波長の光による1枚の2次元干渉画像上の濃淡干渉縞の変化パターンから求めるようにしている。
【0035】
また、前述した特許文献3の発明の問題点である、上記明るさの位相を求めるために、サイン波状に変化する明るさ変化の複数の極値間に基準となるサイン波を当てはめなければならない点を、複数の波長の光による干渉縞間の各点の明るさ比率を解析し、同明るさ比率(2波長の光源を用いた場合)から、または同明るさ比率の組み合わせ(3波長以上の光源を用いた場合)から計測面の高さを求めることにより解決している。
【0036】
したがって、上述のように、予じめ計測対象物の計測面の高さ毎の波長を異にする各光の明るさ比率−高さテーブル、または明るさ比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを準備しておくとともに、それらを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段を用い、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置し、上記撮像された一枚の2次元干渉画像の干渉縞の明るさ変化を観測するようにすれば、上記計測対象物の微小な計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0037】
(3) 請求項3の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化の位相を計測して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該複数波長の光の2次元干渉画像間の明るさの比率により、または同明るさ比率の組み合わせにより、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0038】
先の特許文献2に示す方法では、光学系の高さを少しずつ変えながら2次元的な濃淡画像を撮像し、画像内の同一点での明るさ変化を調べた。理論的に、この明るさ変化はサイン波形になるので、サイン波形として比較し、計測対象物の計測面の基準高さで撮像した画像の位相を求め、同位相の差から段差を求めること、また複数波長の光を用いた場合、それら位相の組み合わせにより光の単波長以上の段差を求めることができる。
【0039】
これに対し、先の特許文献3に示す方法では、これらのうち位相を求めるための方法として、上述のように光学系の高さを少しずつ変えながら濃淡画像を撮像し、画像内の同一点での明るさ変化を調べるのではなく、複数の波長の光による1枚の平面干渉画像の2次元的な解析から求めるようにしている。
【0040】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となる。
【0041】
したがって、この連続部をサイン波として解析することで、一枚の画像から、画素の各点のサイン波としての位相角を求めることができる。そして、この位相角が各波長のレーザ光で求められれば、前述の特許文献2の場合と同様に、予じめ上記光路長可変手段により上記観測光の光路長を変えながら上記波長の異なる各光の明るさ変化の位相を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の位相の理論的組み合わせに基いて、計測面の高さを求めることができる。
【0042】
しかし、この方法では、サイン波が推定できるだけの長さの像が、画面内に写っていることが必要であった。
【0043】
これに対し、本発明では、位相を求めることを前提とするのではなく、複数の波長の光による平面干渉画像の画像内の同一点での明るさの相互の比率、または相互の比率の組み合わせから求めることにある。
【0044】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、基本的にはサイン波状の明るさ変化を示す。ここで、明るさ変化がそれぞれの光の波長で一定であった場合、その複数の波長の光間での明るさの比率は、二つのサイン波間の比率となるから、位相に応じて値が決まり、位相は高さによって決まるので、複数の波長の光による干渉像間の明るさ比率は、高さによって決まる。
【0045】
したがって、この複数の干渉画像間の明るさの比率を解析することで、一枚の画像から、画素の各点の高さを決定することができる。また、ここで複数の波長の光として、2波長の場合には、相互の明るさ比率から高さを求めることになるが、3つ以上の波長の光を用いる場合、その比率をさらに組み合わせることで、安定に計測面の高さを求めることができる。
【0046】
該計測は、そのようにして上記計測対象物の計測面上の微小高さを求める画像解析プログラムを備えた画像解析手段により、容易に実現される。
【0047】
そして、同画像解析手段の画像解析プログラムで計測対象物の計測面に当たった各光の参照光との干渉画像を解析するに際しては、干渉の結果発生する濃淡パターンの変化を、各点での複数波長の干渉画像間の明るさ比率を求め、同明るさ比率から、または同明るさ比率間の理論的な組み合わせから、高さデータを求めればよい。
【0048】
(4) 請求項4の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記各光間の明るさの比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムで上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該2次元干渉画像上の各点の明るさから、上記各波長の光の干渉画像の明るさの比率を求め、上記明るさ比率−高さテーブルまたは明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを参照して、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0049】
本発明では、上記請求項3の発明の場合と同様に、2次元干渉画像上の明るさ変化の位相を求めることを前提とするのではなく、複数の波長の光による平面干渉画像の画像内の同一点での明るさの相互の比率、また相互の比率の組み合わせから求めることにある。
【0050】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、基本的にはサイン波状の明るさ変化を示す。ここで、明るさ変化がそれぞれの光の波長で一定であった場合、その複数の波長の光間での明るさの比率は、二つのサイン波間の比率となるから、位相に応じて値が決まり、位相は高さによって決まるので、複数の波長の光による干渉像間の明るさ比率は、高さによって決まる。
【0051】
したがって、この複数の干渉画像間の明るさの比率を解析することで、一枚の画像から、画素の各点の高さを決定することができる。また、ここで複数の波長の光として、2波長の場合には、相互の明るさ比率から高さを求めることになるが、3つ以上の波長の光を用いる場合、その比率をさらに組み合わせることで、安定に計測面の高さを求めることができる。
【0052】
そして、そのための方法として、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさの変化を計測して、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ変化率−高さテーブルまたは同方法により上記各光間の明るさ比率の組み合わせと高さとを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを準備しておくとともに、それらを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段を用い、上記複数の波長の光に対応した複数の撮像手段を各々上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置し、同複数の撮像手段で撮像された一枚の2次元干渉画像の干渉縞の明るさ変化を観測するようにすれば、上記計測対象物の微小な計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0053】
(5) 請求項5の発明
この発明は、請求項1,2,3又は4の発明の構成において、複数の波長の光として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源を用いたことを特徴としている。
【0054】
R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源は、相互に波長を異にし、R(赤)、G(緑)、B(青)各波長の光成分による画像のみを撮像する撮像手段で計測対象物の計測面を撮像し、それらの画像を合成すると、虹のような色変化を示す干渉縞画像を得ることができる。そして、段差のある部分では、異なった色彩縞パターンを示す。
【0055】
ここで、R,G,B光成分のみを撮像する撮像手段で撮像された画像として、それぞれの撮像手段ごとに、R画像,G画像,B画像が得られる。これらの画像を処理する技術は色画像処理として周知である。R,G,B画像そのものは、各色信号に明るさ成分を内包する画像であるが、それに対し、色変換を行って明るさ成分と色成分を分離した色信号は、色信号相互間の明るさの比率を示すことになる。
【0056】
したがって、上記1回の撮像で得られた虹色に変化する複数の干渉縞画像間の各点の色の変化パターンから、各点の明るさ比率、およびそれら明るさ比率の組み合わせを容易に求めることができる。
【0057】
(6) 請求項6の発明
この発明は、上記請求項5の発明の構成において、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換を行い、該色空間上の色解析によって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0058】
このような構成によると、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、明るさ成分と色成分を分離する色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換、例えばYxy変換、Luv変換、Lab変換などを行って、色信号の明るさ比率を求め、同色空間上での色の解析により色変化の軌跡を得ることよって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測することが可能となる。
【0059】
(7) 請求項7の発明
この発明は、上記請求項6の発明の構成において、得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、そのテーブル上の類似色を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0060】
このような構成によれば、実際の高さ解析時には、まず計測対象物の計測面上での色の変化軌跡を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色を検索するだけで、計測対象物の計測面上の微小な高さを容易に計測することができる。
【0061】
(8) 請求項8の発明
この発明は、上記請求項6の発明の構成において、得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、上記計測対象物の計測面での色変化軌跡を求め、そのテーブル上の類似の色変化軌跡を有する部分を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0062】
このような構成によれば、実際の高さ解析時には、まず計測対象物の計測面上での色の変化軌跡を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色の変化軌跡を有する部分を検索するだけで、計測対象物の計測面上の微小な高さを容易に計測することができる。
【発明の効果】
【0063】
以上の結果、本願発明によると、複数の波長の光による干渉画像の位相の組み合わせ計測による微小形状等の光学的計測装置において、各波長の光の干渉画像について、画素各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させ、同一点で光路長を変えて多数回撮像する必要があったものを、2次元的な平面画像一枚のみで解析すること、またその際、計測しようとする微小面上で、複数の干渉縞が観測される必要があったものを、微小な領域での複数の波長の光での2次元干渉画像の明るさ比率のみで解析することがそれぞれ可能になる。
【0064】
これにより、計測対象物体を移動させながらの微小な計測対象物の高速計測が可能になり、ライセンサーなど、製造ライン上での製造速度に合わせたリアルタイムな処理が可能な高性能の光学的計測装置を低コストに実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明の実施の形態に係るRGB光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の具体的な使用形態(走行系と組み合わせたラインセンサの例)を示す斜視図である。
【図2】同装置におけるRGB光の干渉画像を撮像する光学系の全体的な構成を示す図である。
【図3】同装置における模式的な計測方法を用いて計測されたRGB干渉画像の一例を示す図である。
【図4】図3のRGB干渉画像の直線a−a′上の各画素位置におけるRGB各信号の輝度値の変化を示す図である。
【図5】図4のRGB信号について、色空間へのYxy変換処理(色相および彩度信号の分離)を行って、図3の直線a−a′上の各画素のxy信号平面上における色変化の軌跡を示した図である。
【図6】同装置における安定的な高さ決定方法を示すRGB光干渉画像内の微小領域Aと図5のxy信号平面上における色変化の軌跡との対応関係を示す説明図である。
【図7】同装置における微小高さの計測において、xy信号平面上で干渉画像間の同じxy値(同じ明るさ変化率)である交点が生じる理由を示すサイン波形図である。
【図8】同装置における微小高さの計測において、(R色の明るさの増加・減少)×(G色の明るさの増加・減少)×(B色の明るさの増加・減少)の組み合わせに基いてケース分けした明るさの増加、減少を示す8つの明るさ変化率−高さテーブル図である。
【図9】同装置における微小高さの計測において、微小計測領域での計測線に沿って明るさ変化を見るとき、その着目位置周辺で明るさ変化率−高さテーブルを作った場合と同じ方向に走査し、明るさの極値を堺にして明るさの増加・減少をチェックし、その組み合わせによって、明るさ変化率−高さテーブルを選択する処理を示す図である。
【図10】第1の従来例である白色光源による微小物体の光学的計測装置の構成を示す図である。
【図11】第1の従来例の問題を解決した第2の従来例である微小物体の光学的計測装置の構成を示す図である。
【図12】同装置における光路長の変化に対応した測定対象物からの反射光と参照光との干渉状態の変化による測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)を示す説明図である。
【図13】同装置における測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)に対応した位相差Δθから測定対象物の高さの差を測定できることを示す説明図である。
【図14】同装置における複数のレーザ光の光路長変化による明るさ変化が、レーザ光の波長によって決まるため、複数のレーザ光を組み合わせることにより波長以上の計測ができることを示す説明図である。
【図15】同装置において光路長をΔL毎に移動させて明るさ変化のサイン波の位相θをΔL毎にコード化し、同コードの組み合わせで1波長以上の長さを計測する場合のコード化方法を示す説明図である。
【図16】同装置における位相コードを高さに変換する位相コード−高さ変換テーブルの構成を示す図である。
【図17】同装置を走行系である製造ライン上のラインセンサーに組み合わせて構成した一つの使用形態を示す図である。
【図18】第2の従来例の問題を解決した第3の従来例に係る光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の基本的な測定原理を示す模式図である。
【図19】同装置における光の干渉画像における明るさの変化を示す図である。
【図20】同装置の明るさ変化に対応した周期の補正方法において、極値位置間で基準サイン波を生成し、実際のサイン波状の明るさ変化が同基準サイン波と等しくなる点の位相をその点の明るさ位相とすることにより、2次元干渉画像の干渉縞の各点の位相を決定する位相決定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
まず図1〜図9は、波長を異にする複数のレーザ光の干渉縞の濃淡変化を利用して微小物体の表面形状や高さ寸法を計測する本願発明の実施の形態に係る光学的計測装置の構成および作用を示している。
【0067】
すでに述べたように、本願発明者が先に提案した特許文献2の発明の問題点は、明るさ変化の位相を求めるために、観測光と参照光の光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の計測点の明るさの変化をサイン波として解析し、その位相を求めたことにあった。また、上記本願発明者の後の出願である特許文献3に記載された発明の問題点は、明るさ変化の位相を求めるために、一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要があり、長さが数10画素以下の微小な測定対象領域に対しては、適用が困難であったことにある。
【0068】
これに対し、本願発明は、上記特許文献2の発明の構成では必須であった光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点、上記特許文献3の発明の構成では必須であった一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要がある点を、それぞれ複数の波長の光による2次元干渉画像上の縞模様の濃淡の変化にともなう、1回の撮像で得られた複数の干渉縞画像間の各点の明るさ比率、およびその組み合わせから求めることによって解決したことを特徴としている。
【0069】
この実施の形態における光学的計測装置は、例えば図1および図2に示されるように、上述の特許文献3のものと同様に、複数のラインセンサーLS11〜LS14と走行系DRとを組み合わせ、検査対象物Wの製造ライン上での移動速度にあわせた大面積、高速状態での迅速な計測作業を実現することができるものとして構成されている。
【0070】
すなわち、同計測装置では、R,G,B3原色の波長のレーザ光を発生する第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13とこれら第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13に対応した第1,第2,第3の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)C11,C12,C13とを設け、上記第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13から照射されたレーザ光(R,G,Bの3つの光)がハーフミラーを備えた第1,第2のビームスプリッターB11,B12部分で合流したあと、同じくハーフミラーを備えた第3のビームスプリッターB13で計測対象物Wの計測面への照射光と回転駆動手段Dを備えた参照ミラーRMへの参照光との2つのレーザ光に分けられて照射されるようになっている。
【0071】
そして、計測対象物Wの計測面に当たった反射光は、再び第3のビームスプリッターB13で参照ミラーRMからの反射光と合流して、レーザ光の干渉像を作りながら、第4,第5のビームスプリッターB14,B15を通って、第1,第2,第3の撮像手段C11,C12,C13に入射して撮像されるようにする。
【0072】
これら第1〜第3の各撮像手段C11,C12,C13の前には、それぞれR,G,B各レーザ光の波長にあった特性の第1〜第3の光学フィルタF11〜F13が装着されており、R,G,B各レーザ光の波長毎の干渉画像を撮像する。
【0073】
一方、計測対象物Wは所定のナノメータステージST上に載置されており、同計測対象物Wを載せたナノメータステージSTは、上述の場合と同様のピエゾ素子などのアクチュエータで微小駆動され(例えば数10nm単位で)、光路長を所望に変化させるようになっている。このように、上記光学系の光路長を数10nm単位で変化させると、計測対象物Wの計測面からの反射光と参照光との干渉状態が変化するために、形成される干渉画像の明るさが変わる。
【0074】
同光路長は、明るさ変化に応じた計測対象物Wの計測面上の凹凸に応じて場所毎に異なるため、明暗の変化の仕方も場所によって違い、場所毎の明るさ変化の位相差となって表れる。したがって、この明るさの変化率を測定すると、計測面の凹凸部の高さの差を計算することができることになる。
【0075】
今、この実施の形態の前提となる模式的な計測方法と同計測方法により計測されたRGB光干渉画像の例を図3に示す。この図3の干渉画像は、上部Gaと下部Gb間で相互に所定の高さの段差寸法を持った2つの面からなっている。この干渉画像は、上記図2の構成を持ったRGB3つの波長の光による干渉画像計測装置において、上述のように第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13にそれぞれR,G,B光源を用い、それぞれR,G,B光成分のみを撮像する第1〜第3の撮像手段C11,C12,C13で撮像することによって得たものである。R,G,B各光成分の3つの画像を合成することにより、虹のような色変化を示す干渉縞画像を得ることができる。そして、段差のある部分では、異なった色彩縞パターンを示す。図3では、モノクロ図であるため、それら虹色の変化を白黒のトーン変化のみで示している。
【0076】
ここで、R,G,B光成分のみを撮像する第1〜第3の撮像手段C11,C12,C13で撮像された画像として、それぞれの撮像手段C11,C12,C13ごとに、R画像、G画像、B画像が得られる。これらの画像を処理する画像処理技術は、画像処理工学上、色画像処理として既に知られているものである。これらR,G,B画像そのものは、各色信号に明るさ成分を内包する画像であるが、それに対し、明るさ成分と色成分を分離したYxy変換、Luv変換、Lab変換などの色空間への各種の変換処理が規定されている。
【0077】
R,G,B各信号の色空間への各種の変換処理の一つとして規定されているYxy変換は、次の正規化の式によって規定されている。
【0078】
与えられたR,G,B画像の各画素点のR,G,B値に対して、XYZ変換として下記変換式が規定されている。
【0079】
X= 0.4305R+0.3415G+0.1784B
Y= 0.2220R+0.7067G+0.0713B
Z= 0.0202R+0.1295G+0.9394B
そして、そこで与えられたXYZ値(変換値)に対し、次式によってxy値が求められる。このxy値は、明るさについて正規化された色相と彩度のみを表す値である。
【0080】
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
これによって得られるYxy色空間では、Yは明るさを、xyは色相と彩度をあらわす。
【0081】
ところで、上述の式は、明るさに対して正規化された信号間の比率になっている。つまり、色信号は、信号間の明るさの比率を扱っているわけであり、同様の信号強度間の比率を考えることは、必ずしもR,G,B3つの波長の光でなくとも可能であるから、同様の処理は、RGB以外の他の波長の干渉光の組み合わせでも行うことができる。
【0082】
上記のXYZ変換を、 図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上の各画素について行ったものが、図4,図5に示すものである。図4のものは、図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上でのR,G,B各信号の輝度値の変化を表したものである。一方、それに対して上述の式のYxy変換を行い、xy平面上での色の変化軌跡を示したものが、図5のものである。このxy平面上での色の変化軌跡は、図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上で求めたものであるため、図3のRGB干渉画像上に対応点がある。また、図3中の直線a−a′は、図示のように多数の干渉縞を横切っているため、当該各対応点の高さは、前述した本願発明者の先の出願である特許文献3に記載された発明の方法を使って求めることができる。
【0083】
すなわち、予じめ図3のRGB干渉画像から、上述のようなYxy変換を行ない、計測対象物Wの計測面上での明るさ比率と対応する高さを明るさ比率−高さ対応テーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、まず上記計測対象物Wの計測面上での色の変化軌跡(図5のもの)を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色を検索することにより、上記計測対象物Wの計測面上の微小な高さを計測することができる。
【0084】
ところで、図5に示すxy信号平面上の色の変化軌跡では、いくつかの交点P1〜P7がある。この交点P1〜P7上では、xy値が同じであるため、そのままでは2つの高さを持つことになってしまう。ところが、同交点P1〜P7付近ではxy信号の変化の軌跡が異なるため、それを利用することによって、同じxy値を持つ交点P1〜P7部分の高さを決定することができる。
【0085】
図6に、この原理を用いた安定した高さ決定方法を示す。すなわち、図6中のRGB干渉画像内に、図示のような所定の高さの凸部をもった微小な計測領域Aがあるとする。
【0086】
先ず、この計測領域A内に高さを調べたい点を含む計測用の直線L(以下、単に計測線Lという。同計測線Lは、図3中の直線a−a′に相当する)を設定する。そして、次に該計測線L上のRGB輝度値について上述のYxy変換を行い、xy平面空間での色変化の軌跡L’(図5に対応)を求める。そして、その軌跡L’と先に図3などの画像を解析して作った図6中の計測したい部分の高さを含む計測線L上のxy信号の軌跡とを比較し、類似する箇所を選ぶ。そして、それらの軌跡の重なる各点について、それに対応する高さに変換すると、それが図6中の計測領域Aの計測線L上の高さとなる。
【0087】
また、より以上に安定した高さ決定の方法を以下に示す。上述のように、xy信号平面で、RGB干渉画像間の同じ明るさ比率である交点が複数出てくる一つの理由は、例えば図7に示す様に、サイン波では一周期T内に同じ明るさの点(〇印部)が2カ所存在するからである。
【0088】
ここで、図7を見れば分るように、同サイン波における同じ明るさの2点は、他方は明るさが増加中に起こり、一方は明るさが減少中に起きている。そこで、このことを考えると、明るさが増加中か減少中かで、上述した明るさ変化率−高さテーブルを分ければ、上記交点の発生を抑えることができる。
【0089】
すなわち、明るさの増加および減少は、R,G,B各色で独立に起きる。したがって、明るさ変化率−高さテーブルでのケース分けは、例えば(Rの増加・減少)×(Gの増加・減少)×(Bの増加・減少)の組み合わせとして、8つの明るさ変化率−高さテーブルに分かれる。今図6の色軌跡の変化を、上記明るさの増加・減少パラメータを加味して、上記明るさ変化率−高さテーブルを分離すると、例えば図8に示す様になる。これらの各明るさ変化率−高さテーブルを見ると、それぞれxy平面上での交点が大幅に減少している事が分かる。
【0090】
この場合の画像処理の考え方も、基本的には上述した図6の場合と同じである。
【0091】
図8でも、画像中の干渉縞の明るさ変化の組み合わせによるxy平面上の軌跡を、あらかじめ作成した明るさ変化率−高さテーブル上で類似する個所を探すわけであるが、この明るさ変化率−高さテーブルが8面有るため、微小領域Aでの計測線Lに沿っての明るさ変化を見るとき、併せてその着目位置周辺で明るさ変化率−高さテーブルを作った場合と同じ方向に走査し、さらに明るさの極値を境にして明るさの増加・減少をもチェックし、それらの組み合わせにより明るさ変化率−高さテーブルを選択する処理を加える点が異なるだけである。
【符号の説明】
【0092】
L11〜L13は第1〜第3のレーザ光発光手段(RGB光発光手段)、B11〜B15は第1〜第5のビームスプリッター、C11〜C13は第1〜第3の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)、F11〜F13は第1〜第3の光学フィルタ、RMは参照光ミラー、STはナノメータステージ、Wは計測対象物、LS,LS11〜LS14はラインセンサーである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、2次元干渉画像上の濃淡縞の各点の明るさ比率、または明るさ比率の組み合わせから、微小な計測対象物の計測面上における物の高さや形状等を計測する光学的計測装置の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノレベルの微小な計測対象物や同微細な計測対象物の微小な計測面上の所定の位置間の高さ寸法(段差寸法)や3次元形状、例えば半導体や液晶ディスプレーの製造ライン、マイクロマシンなどの製造ラインにおけるナノメータレベルでのパターン間の段差寸法や微小な機構部分の高さなどを光学的に計測する計測装置として、例えば光源に白色光源を用い、該白色光源からの白色光の干渉を利用して計測するものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
白色光源は、合成光の光源であるから多数の波長の光を発生させる。したがって、同白色光源からの多数の波長の光を上記のような計測対象物の計測面上で干渉させた場合、同干渉によって光が強め合う位置は、当該計測面上の非常に短い区間となる。
【0004】
そこで、例えばCCDカメラなどの撮像手段により計測対象物の計測面を撮像しながら、対物レンズ等の光学系を上下に駆動することによって、撮像手段への光路長を変え、撮像された計測面の複数の画像内の各点で、その光量が最大になった時の光学系上の位置を求めるようにすれば、計測面である微小物体の表面の、例えば凹凸形状等の段差寸法や3次元形状を計測することができる。
【0005】
今例えば図10に、そのような構成を採用した従来公知の光学的計測装置の具体的な構成を示す。
【0006】
図10中、先ず符号1は上述したナノレベルの微小な物体などの計測対象物、2は同計測対象物1を臨むCCDカメラ6からの光学系路上の位置に設けられていて、上記計測対象物1の計測面からの反射光を集光しCCDカメラ6の受光素子部分に入力する対物レンズ、3は同対物レンズ2を上記光学系路上においてフォーカス方向(光軸方向)に微小な距離駆動することによって光路長を変えるピエゾアクチュエータなどよりなる光路長可変手段、4はハーフミラー4aを備え、白色光源5からの光を上記対物レンズ2を通して計測対象物1の計測面に照射するビームスプリッター、6は上記計測対象物1の計測面からの反射光を対物レンズ2を介して収束させながら上記ビームスプリッター4を介して受光素子部分に入力し、上記計測対象物1の計測面の画像を得るCCDカメラである。
【0007】
しかし、この従来の光学的計測装置は、原理的にナノメートル単位の計測精度での光学系路上の位置決めを必要とするため、例えば数10マイクロメートルの計測対象物の高さを測定しようとした場合、数100回の位置決め工程を必要とし、相当に長い計測時間が必要となる。
【0008】
したがって、同計測装置では、必要な計測精度が高くなるほど、また必要な計測レンジが広くなるほど、多大な計測時間を要することになり、極めて計測効率が悪く、上述した半導体製造ライン等の製造ラインにおける製造効率向上の妨げとなっていた。
【0009】
そこで、このような問題を解消するために、本願発明者は、例えば図11に示されるような光学的計測装置を先に提案した(特許文献2を参照)。
【0010】
この計測装置では、複数の異なる波長のレーザ光を発生する第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3とこれら第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3に対応した第1,第2,第3の複数の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)C1,C2,C3とを設け、上記第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3から照射されたレーザ光がハーフミラーを備えた第1,第2のビームスプリッターB1,B2部分で合流したあと、同じくハーフミラーを備えた第3のビームスプリッターB3で計測対象物1の計測面への照射光と回転駆動手段Dを備えた参照ミラーRMへの参照光との2つのレーザ光に分けられて照射されるようになっている。
【0011】
そして、上記計測対象物1の計測面に当たった反射光は、再び第3のビームスプリッターB3で参照ミラーRMからの反射光と合流して、レーザ光の干渉像を作りながら、第4,第5のビームスプリッターB4,B5を通って、第1,第2,第3の撮像手段C1,C2,C3に入射して撮像される。
【0012】
これら第1〜第3の各撮像手段C1,C2,C3の前には、それぞれ各レーザ光の波長にあった特性の第1〜第3の光学フィルタF1〜F3が装着されており、各レーザ光の波長毎の干渉画像を撮像する。
【0013】
一方、上記計測対象物1は所定のナノメータステージST上に載置されており、同計測対象物1を載せたナノメータステージSTは、上述の場合と同様のピエゾ素子などのアクチュエータで微小駆動され(例えば数10nm単位で)、光路長を所望に変化させるようになっている。このように、上記光学系の光路長を数10nm単位で変化させると、計測対象物1の計測面からの反射光と参照光との干渉状態が変化するために、形成される干渉画像の明るさが変わる。この明るさの変化は、上記光路長の変化量に応じて、例えば図12のようにサイン波状に変化し、光路長の変化の1波長が1周期となる。
【0014】
同光路長は、明るさ変化に応じた計測対象物1の計測面上の凹凸に応じて場所毎に異なるため、明暗の変化の仕方も場所によって違い、場所毎のサイン波状の明るさ変化の位相差となって表れる。したがって、図13のように、この位相差を測定すると、計測面の凹凸部の高さHの差を計算することができることになる。
【0015】
しかし、上記明るさの変化に応じて変化するサイン波(図12)は、上述のように波長の一周期で元に戻るので、結局1波長のレーザ光源では、1波長分の長さまでしか高さの差を計測することができない。
【0016】
ところが、上記のように、複数の波長のレーザ光源L1,L2,L3を使用し、個別に位相を測定するようにすると、光路長の変化は波長に依存するため、例えば図14に示すように、光路長の変化の位相との関係が2つのレーザ光源間で相互にずれてくる。したがって相互に波長が異なる複数の光源で計測された各位相を組み合わせれば、1つの光源の波長以上の長さの計測が可能になる。
【0017】
すなわち、この複数の波長のレーザ光を用いた位相シフト法による微小形状、微小寸法の計測では、例えば図15に示すように、光路長を微小距離ΔL毎に移動させることによって、上記明るさ変化のサイン波の位相θを同ΔL毎にコード化し、同位相コードの組み合わせで1波長以上の長さを計測する。
【0018】
例えばレーザ光源L1,L2を利用した場合、それらの波長から、レーザ光源L1(h1)では0−4の5段階で評価され、レーザ光源L2(h2)では0-3の4段階で評価されたとすると、その組み合わせコードは20種類あるため、レーザ光源の波長の4倍まで計測できることになる。したがって、この場合、例えば図16に示すような「位相コード−高さ変換テーブル」を予じめ作製しておくことにより、レーザ光の波長を超えた計測を行うことが可能になる。
【0019】
また、各レーザ光源L1,L2毎の明るさ変化の位相の計測は、計測する長さによらず、レーザ光源L1,L2の波長内を数十分割した程度の計測で済むため、上記従来の白色光の干渉を利用する計測装置(特許文献1のもの)に比べて、大幅に計測時間を短縮することができることになる(より詳しくは特許文献2の明細書および図面を参照)。
【0020】
しかし、この特許文献2の計測装置の場合、同一の計測対象物の同一の計測面上で数十回程度の計測を行う必要があり、そのためには、計測対象物Wを停止させておく必要がある。このため、検査対象物Wが高速で移動する画像検査装置で行われる計測、例えば図17のように複数のラインセンサーLS1〜LS4と走行系DRとを組み合わせ、検査対象物Wの製造ライン上での移動速度にあわせた大面積、高速状態での迅速な計測作業を実現することができない課題があった。
【0021】
このため、本願発明者は、さらに上記特許文献2の光学的計測装置の構成では必須であった数十枚の画像撮像の必要性をなくすため、1枚の干渉画像のみで複数のレーザ光源による干渉画像の干渉縞の濃淡から、同画像の画面内各点での明るさの位相を求めることにより、また、それらの各位相を組み合わせることにより、微小高さを計測することができるようにした新たな光学的計測装置を提案した(例えば特許文献3を参照)。
【0022】
この光学的計測装置では、例えば図18に示すように、走行系DR上の検査対象物Wの計測面に対して、ラインセンサLSの光学系路を微小に傾けて配置し、検査対象物Wの計測面上に発生する図19の様な干渉縞の明るさのサイン波状の明暗変化Aを解析し、該明るさの明、もしくは暗の極値となる点を抽出し、その極値間に、例えば図12のような基準となるサイン波Cを当てはめ、実際の明るさ変化Aにおける基準となるサイン波Cと同じ明るさを持つ点をサイン波Cと同じ位相θ(θ1=θ1′、θ2=θ2′)の点とすることにより、明るさの位相θを求めるようにしている。これにより、複数の波長の干渉画像の位相をコード化し、あらかじめ準備しておいた位相コードと高さの組み合わせテーブルを参照することにより、微小高さの計測が可能となる(より詳しくは特許文献3の明細書および図面を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】『ビジョン技術の実利用ワークショップ』VIEW 2006年 講演論文集第1頁−7頁「超精密3次元形状計測の最新動向−白色干渉における革新的アルゴリズムの開発とその応用−」
【特許文献2】特願2007−219054号(平成19年8月24日出願の明細書および図面)
【特許文献3】特願2009−028723号(平成20年2月14日出願の特願2008−32728号を先の出願とする平成21年2月10日出願の国内優先権主張出願の明細書および図面)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかし、上記本願発明者の出願である特許文献3に記載された光学的計測装置の構成の場合にも、一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要がある。そのため、長さが数10画素以下の微小な測定対象領域に対しては、適用が困難であった。
【0025】
本願発明は、そのような課題を解決するためになされたもので、上記特許文献3の発明の構成で必須であった、測定対象領域上の干渉縞で明るさの明、もしくは暗の極値となる点を抽出し、その極値間にサイン波を当てはめなければならない制約を解消するとともに、複数の干渉縞の明るさのバランスに着目し、その明るさ間の比率によって、微小な領域に対する微小な高さを計測することができるようにした光学的計測装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、その複数の干渉縞間の明るさの比率、または同明るさの比率の組み合わせを求めることによって、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とするものである。
【0027】
このような構成によると、各波長のレーザ光での2次元的な干渉画像について、画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させて同一点で光路長を変えて多数回撮像するような必要はなくなり、平面画像一枚のみで解析することが可能になる。また、複数の干渉縞間の明るさの比率のみに着目しているため、明るさの変化する干渉縞に、少なくとも複数の明暗の極値が含まれる必要もなくなる。
【0028】
すなわち、前述した特許文献2の発明の問題点は、上記明るさの位相を求めるために、光路長を変えながら数十回の撮像を行う必要性があったこと、また特許文献3の発明の問題点は特定の点の明るさ変化をサイン波として解析するために、複数の極値間に基準となるサイン波を当てはめ、その明るさを元に実際の明るさ変化の各点の位相を求めたことにあった。このため、長さが数10画素以下の微小領域に対する高さ計測が困難であった。
【0029】
しかし、この発明では、上記特許文献2の発明の光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点、また特許文献3の発明の明るさ変化をサイン波として解析するために、明るさの明、もしくは暗の複数の極値間にサイン波を当てはめなければならない点を、上述のように複数の2次元干渉画像上の濃淡縞の各点の明るさ比率、または同明るさ比率の組み合わせから求めるようにして、縞としての解析を不要にしている。
【0030】
したがって、計測対象物の計測面の高さ毎の各2次元干渉画像の明るさ比率、または同明るさ比率の組み合わせに基いて、例えば後述のような上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段などを用いて、上記複数の撮像手段で撮像された一枚の2次元干渉画像上の干渉縞の濃淡パターンを観測することにより、上記計測対象物の計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0031】
(2) 請求項2の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、該画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の微小計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とするものである。
【0032】
このような構成によると、各波長の光での2次元的な干渉画像について、計測ライン上の画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、計測対象物を固定させて同一点で光路長を変えて多数回撮像するような必要はなくなり、平面画像一枚のみで解析すること、またその計測対象物の微小計測面について、干渉縞の明暗の明るさの極値が現れていなくとも、微小高さを計測することが可能になる。
【0033】
すなわち、前述した特許文献2の発明の問題点は、上記明るさ位相を求めるために、光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の点の明るさ変化をサイン波として解析し、その位相を求めたことにあった。
【0034】
しかし、この発明では、上記特許文献2の発明の光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点を、上述のように複数の波長の光による1枚の2次元干渉画像上の濃淡干渉縞の変化パターンから求めるようにしている。
【0035】
また、前述した特許文献3の発明の問題点である、上記明るさの位相を求めるために、サイン波状に変化する明るさ変化の複数の極値間に基準となるサイン波を当てはめなければならない点を、複数の波長の光による干渉縞間の各点の明るさ比率を解析し、同明るさ比率(2波長の光源を用いた場合)から、または同明るさ比率の組み合わせ(3波長以上の光源を用いた場合)から計測面の高さを求めることにより解決している。
【0036】
したがって、上述のように、予じめ計測対象物の計測面の高さ毎の波長を異にする各光の明るさ比率−高さテーブル、または明るさ比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを準備しておくとともに、それらを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段を用い、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置し、上記撮像された一枚の2次元干渉画像の干渉縞の明るさ変化を観測するようにすれば、上記計測対象物の微小な計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0037】
(3) 請求項3の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化の位相を計測して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該複数波長の光の2次元干渉画像間の明るさの比率により、または同明るさ比率の組み合わせにより、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0038】
先の特許文献2に示す方法では、光学系の高さを少しずつ変えながら2次元的な濃淡画像を撮像し、画像内の同一点での明るさ変化を調べた。理論的に、この明るさ変化はサイン波形になるので、サイン波形として比較し、計測対象物の計測面の基準高さで撮像した画像の位相を求め、同位相の差から段差を求めること、また複数波長の光を用いた場合、それら位相の組み合わせにより光の単波長以上の段差を求めることができる。
【0039】
これに対し、先の特許文献3に示す方法では、これらのうち位相を求めるための方法として、上述のように光学系の高さを少しずつ変えながら濃淡画像を撮像し、画像内の同一点での明るさ変化を調べるのではなく、複数の波長の光による1枚の平面干渉画像の2次元的な解析から求めるようにしている。
【0040】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となる。
【0041】
したがって、この連続部をサイン波として解析することで、一枚の画像から、画素の各点のサイン波としての位相角を求めることができる。そして、この位相角が各波長のレーザ光で求められれば、前述の特許文献2の場合と同様に、予じめ上記光路長可変手段により上記観測光の光路長を変えながら上記波長の異なる各光の明るさ変化の位相を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の位相の理論的組み合わせに基いて、計測面の高さを求めることができる。
【0042】
しかし、この方法では、サイン波が推定できるだけの長さの像が、画面内に写っていることが必要であった。
【0043】
これに対し、本発明では、位相を求めることを前提とするのではなく、複数の波長の光による平面干渉画像の画像内の同一点での明るさの相互の比率、または相互の比率の組み合わせから求めることにある。
【0044】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、基本的にはサイン波状の明るさ変化を示す。ここで、明るさ変化がそれぞれの光の波長で一定であった場合、その複数の波長の光間での明るさの比率は、二つのサイン波間の比率となるから、位相に応じて値が決まり、位相は高さによって決まるので、複数の波長の光による干渉像間の明るさ比率は、高さによって決まる。
【0045】
したがって、この複数の干渉画像間の明るさの比率を解析することで、一枚の画像から、画素の各点の高さを決定することができる。また、ここで複数の波長の光として、2波長の場合には、相互の明るさ比率から高さを求めることになるが、3つ以上の波長の光を用いる場合、その比率をさらに組み合わせることで、安定に計測面の高さを求めることができる。
【0046】
該計測は、そのようにして上記計測対象物の計測面上の微小高さを求める画像解析プログラムを備えた画像解析手段により、容易に実現される。
【0047】
そして、同画像解析手段の画像解析プログラムで計測対象物の計測面に当たった各光の参照光との干渉画像を解析するに際しては、干渉の結果発生する濃淡パターンの変化を、各点での複数波長の干渉画像間の明るさ比率を求め、同明るさ比率から、または同明るさ比率間の理論的な組み合わせから、高さデータを求めればよい。
【0048】
(4) 請求項4の発明
この発明は、観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記各光間の明るさの比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムで上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該2次元干渉画像上の各点の明るさから、上記各波長の光の干渉画像の明るさの比率を求め、上記明るさ比率−高さテーブルまたは明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを参照して、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0049】
本発明では、上記請求項3の発明の場合と同様に、2次元干渉画像上の明るさ変化の位相を求めることを前提とするのではなく、複数の波長の光による平面干渉画像の画像内の同一点での明るさの相互の比率、また相互の比率の組み合わせから求めることにある。
【0050】
すなわち、濃淡パターンで示される干渉縞の明るさ変化を求めた場合、基本的にはサイン波状の明るさ変化を示す。ここで、明るさ変化がそれぞれの光の波長で一定であった場合、その複数の波長の光間での明るさの比率は、二つのサイン波間の比率となるから、位相に応じて値が決まり、位相は高さによって決まるので、複数の波長の光による干渉像間の明るさ比率は、高さによって決まる。
【0051】
したがって、この複数の干渉画像間の明るさの比率を解析することで、一枚の画像から、画素の各点の高さを決定することができる。また、ここで複数の波長の光として、2波長の場合には、相互の明るさ比率から高さを求めることになるが、3つ以上の波長の光を用いる場合、その比率をさらに組み合わせることで、安定に計測面の高さを求めることができる。
【0052】
そして、そのための方法として、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさの変化を計測して、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ変化率−高さテーブルまたは同方法により上記各光間の明るさ比率の組み合わせと高さとを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを準備しておくとともに、それらを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段を用い、上記複数の波長の光に対応した複数の撮像手段を各々上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置し、同複数の撮像手段で撮像された一枚の2次元干渉画像の干渉縞の明るさ変化を観測するようにすれば、上記計測対象物の微小な計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
【0053】
(5) 請求項5の発明
この発明は、請求項1,2,3又は4の発明の構成において、複数の波長の光として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源を用いたことを特徴としている。
【0054】
R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源は、相互に波長を異にし、R(赤)、G(緑)、B(青)各波長の光成分による画像のみを撮像する撮像手段で計測対象物の計測面を撮像し、それらの画像を合成すると、虹のような色変化を示す干渉縞画像を得ることができる。そして、段差のある部分では、異なった色彩縞パターンを示す。
【0055】
ここで、R,G,B光成分のみを撮像する撮像手段で撮像された画像として、それぞれの撮像手段ごとに、R画像,G画像,B画像が得られる。これらの画像を処理する技術は色画像処理として周知である。R,G,B画像そのものは、各色信号に明るさ成分を内包する画像であるが、それに対し、色変換を行って明るさ成分と色成分を分離した色信号は、色信号相互間の明るさの比率を示すことになる。
【0056】
したがって、上記1回の撮像で得られた虹色に変化する複数の干渉縞画像間の各点の色の変化パターンから、各点の明るさ比率、およびそれら明るさ比率の組み合わせを容易に求めることができる。
【0057】
(6) 請求項6の発明
この発明は、上記請求項5の発明の構成において、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換を行い、該色空間上の色解析によって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0058】
このような構成によると、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、明るさ成分と色成分を分離する色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換、例えばYxy変換、Luv変換、Lab変換などを行って、色信号の明るさ比率を求め、同色空間上での色の解析により色変化の軌跡を得ることよって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測することが可能となる。
【0059】
(7) 請求項7の発明
この発明は、上記請求項6の発明の構成において、得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、そのテーブル上の類似色を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0060】
このような構成によれば、実際の高さ解析時には、まず計測対象物の計測面上での色の変化軌跡を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色を検索するだけで、計測対象物の計測面上の微小な高さを容易に計測することができる。
【0061】
(8) 請求項8の発明
この発明は、上記請求項6の発明の構成において、得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、上記計測対象物の計測面での色変化軌跡を求め、そのテーブル上の類似の色変化軌跡を有する部分を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴としている。
【0062】
このような構成によれば、実際の高さ解析時には、まず計測対象物の計測面上での色の変化軌跡を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色の変化軌跡を有する部分を検索するだけで、計測対象物の計測面上の微小な高さを容易に計測することができる。
【発明の効果】
【0063】
以上の結果、本願発明によると、複数の波長の光による干渉画像の位相の組み合わせ計測による微小形状等の光学的計測装置において、各波長の光の干渉画像について、画素各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させ、同一点で光路長を変えて多数回撮像する必要があったものを、2次元的な平面画像一枚のみで解析すること、またその際、計測しようとする微小面上で、複数の干渉縞が観測される必要があったものを、微小な領域での複数の波長の光での2次元干渉画像の明るさ比率のみで解析することがそれぞれ可能になる。
【0064】
これにより、計測対象物体を移動させながらの微小な計測対象物の高速計測が可能になり、ライセンサーなど、製造ライン上での製造速度に合わせたリアルタイムな処理が可能な高性能の光学的計測装置を低コストに実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明の実施の形態に係るRGB光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の具体的な使用形態(走行系と組み合わせたラインセンサの例)を示す斜視図である。
【図2】同装置におけるRGB光の干渉画像を撮像する光学系の全体的な構成を示す図である。
【図3】同装置における模式的な計測方法を用いて計測されたRGB干渉画像の一例を示す図である。
【図4】図3のRGB干渉画像の直線a−a′上の各画素位置におけるRGB各信号の輝度値の変化を示す図である。
【図5】図4のRGB信号について、色空間へのYxy変換処理(色相および彩度信号の分離)を行って、図3の直線a−a′上の各画素のxy信号平面上における色変化の軌跡を示した図である。
【図6】同装置における安定的な高さ決定方法を示すRGB光干渉画像内の微小領域Aと図5のxy信号平面上における色変化の軌跡との対応関係を示す説明図である。
【図7】同装置における微小高さの計測において、xy信号平面上で干渉画像間の同じxy値(同じ明るさ変化率)である交点が生じる理由を示すサイン波形図である。
【図8】同装置における微小高さの計測において、(R色の明るさの増加・減少)×(G色の明るさの増加・減少)×(B色の明るさの増加・減少)の組み合わせに基いてケース分けした明るさの増加、減少を示す8つの明るさ変化率−高さテーブル図である。
【図9】同装置における微小高さの計測において、微小計測領域での計測線に沿って明るさ変化を見るとき、その着目位置周辺で明るさ変化率−高さテーブルを作った場合と同じ方向に走査し、明るさの極値を堺にして明るさの増加・減少をチェックし、その組み合わせによって、明るさ変化率−高さテーブルを選択する処理を示す図である。
【図10】第1の従来例である白色光源による微小物体の光学的計測装置の構成を示す図である。
【図11】第1の従来例の問題を解決した第2の従来例である微小物体の光学的計測装置の構成を示す図である。
【図12】同装置における光路長の変化に対応した測定対象物からの反射光と参照光との干渉状態の変化による測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)を示す説明図である。
【図13】同装置における測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)に対応した位相差Δθから測定対象物の高さの差を測定できることを示す説明図である。
【図14】同装置における複数のレーザ光の光路長変化による明るさ変化が、レーザ光の波長によって決まるため、複数のレーザ光を組み合わせることにより波長以上の計測ができることを示す説明図である。
【図15】同装置において光路長をΔL毎に移動させて明るさ変化のサイン波の位相θをΔL毎にコード化し、同コードの組み合わせで1波長以上の長さを計測する場合のコード化方法を示す説明図である。
【図16】同装置における位相コードを高さに変換する位相コード−高さ変換テーブルの構成を示す図である。
【図17】同装置を走行系である製造ライン上のラインセンサーに組み合わせて構成した一つの使用形態を示す図である。
【図18】第2の従来例の問題を解決した第3の従来例に係る光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の基本的な測定原理を示す模式図である。
【図19】同装置における光の干渉画像における明るさの変化を示す図である。
【図20】同装置の明るさ変化に対応した周期の補正方法において、極値位置間で基準サイン波を生成し、実際のサイン波状の明るさ変化が同基準サイン波と等しくなる点の位相をその点の明るさ位相とすることにより、2次元干渉画像の干渉縞の各点の位相を決定する位相決定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
まず図1〜図9は、波長を異にする複数のレーザ光の干渉縞の濃淡変化を利用して微小物体の表面形状や高さ寸法を計測する本願発明の実施の形態に係る光学的計測装置の構成および作用を示している。
【0067】
すでに述べたように、本願発明者が先に提案した特許文献2の発明の問題点は、明るさ変化の位相を求めるために、観測光と参照光の光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の計測点の明るさの変化をサイン波として解析し、その位相を求めたことにあった。また、上記本願発明者の後の出願である特許文献3に記載された発明の問題点は、明るさ変化の位相を求めるために、一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要があり、長さが数10画素以下の微小な測定対象領域に対しては、適用が困難であったことにある。
【0068】
これに対し、本願発明は、上記特許文献2の発明の構成では必須であった光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点、上記特許文献3の発明の構成では必須であった一つの干渉縞像に少なくとも複数点の極値が現れている必要がある点を、それぞれ複数の波長の光による2次元干渉画像上の縞模様の濃淡の変化にともなう、1回の撮像で得られた複数の干渉縞画像間の各点の明るさ比率、およびその組み合わせから求めることによって解決したことを特徴としている。
【0069】
この実施の形態における光学的計測装置は、例えば図1および図2に示されるように、上述の特許文献3のものと同様に、複数のラインセンサーLS11〜LS14と走行系DRとを組み合わせ、検査対象物Wの製造ライン上での移動速度にあわせた大面積、高速状態での迅速な計測作業を実現することができるものとして構成されている。
【0070】
すなわち、同計測装置では、R,G,B3原色の波長のレーザ光を発生する第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13とこれら第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13に対応した第1,第2,第3の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)C11,C12,C13とを設け、上記第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13から照射されたレーザ光(R,G,Bの3つの光)がハーフミラーを備えた第1,第2のビームスプリッターB11,B12部分で合流したあと、同じくハーフミラーを備えた第3のビームスプリッターB13で計測対象物Wの計測面への照射光と回転駆動手段Dを備えた参照ミラーRMへの参照光との2つのレーザ光に分けられて照射されるようになっている。
【0071】
そして、計測対象物Wの計測面に当たった反射光は、再び第3のビームスプリッターB13で参照ミラーRMからの反射光と合流して、レーザ光の干渉像を作りながら、第4,第5のビームスプリッターB14,B15を通って、第1,第2,第3の撮像手段C11,C12,C13に入射して撮像されるようにする。
【0072】
これら第1〜第3の各撮像手段C11,C12,C13の前には、それぞれR,G,B各レーザ光の波長にあった特性の第1〜第3の光学フィルタF11〜F13が装着されており、R,G,B各レーザ光の波長毎の干渉画像を撮像する。
【0073】
一方、計測対象物Wは所定のナノメータステージST上に載置されており、同計測対象物Wを載せたナノメータステージSTは、上述の場合と同様のピエゾ素子などのアクチュエータで微小駆動され(例えば数10nm単位で)、光路長を所望に変化させるようになっている。このように、上記光学系の光路長を数10nm単位で変化させると、計測対象物Wの計測面からの反射光と参照光との干渉状態が変化するために、形成される干渉画像の明るさが変わる。
【0074】
同光路長は、明るさ変化に応じた計測対象物Wの計測面上の凹凸に応じて場所毎に異なるため、明暗の変化の仕方も場所によって違い、場所毎の明るさ変化の位相差となって表れる。したがって、この明るさの変化率を測定すると、計測面の凹凸部の高さの差を計算することができることになる。
【0075】
今、この実施の形態の前提となる模式的な計測方法と同計測方法により計測されたRGB光干渉画像の例を図3に示す。この図3の干渉画像は、上部Gaと下部Gb間で相互に所定の高さの段差寸法を持った2つの面からなっている。この干渉画像は、上記図2の構成を持ったRGB3つの波長の光による干渉画像計測装置において、上述のように第1,第2,第3のレーザ光発生手段L11,L12,L13にそれぞれR,G,B光源を用い、それぞれR,G,B光成分のみを撮像する第1〜第3の撮像手段C11,C12,C13で撮像することによって得たものである。R,G,B各光成分の3つの画像を合成することにより、虹のような色変化を示す干渉縞画像を得ることができる。そして、段差のある部分では、異なった色彩縞パターンを示す。図3では、モノクロ図であるため、それら虹色の変化を白黒のトーン変化のみで示している。
【0076】
ここで、R,G,B光成分のみを撮像する第1〜第3の撮像手段C11,C12,C13で撮像された画像として、それぞれの撮像手段C11,C12,C13ごとに、R画像、G画像、B画像が得られる。これらの画像を処理する画像処理技術は、画像処理工学上、色画像処理として既に知られているものである。これらR,G,B画像そのものは、各色信号に明るさ成分を内包する画像であるが、それに対し、明るさ成分と色成分を分離したYxy変換、Luv変換、Lab変換などの色空間への各種の変換処理が規定されている。
【0077】
R,G,B各信号の色空間への各種の変換処理の一つとして規定されているYxy変換は、次の正規化の式によって規定されている。
【0078】
与えられたR,G,B画像の各画素点のR,G,B値に対して、XYZ変換として下記変換式が規定されている。
【0079】
X= 0.4305R+0.3415G+0.1784B
Y= 0.2220R+0.7067G+0.0713B
Z= 0.0202R+0.1295G+0.9394B
そして、そこで与えられたXYZ値(変換値)に対し、次式によってxy値が求められる。このxy値は、明るさについて正規化された色相と彩度のみを表す値である。
【0080】
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
これによって得られるYxy色空間では、Yは明るさを、xyは色相と彩度をあらわす。
【0081】
ところで、上述の式は、明るさに対して正規化された信号間の比率になっている。つまり、色信号は、信号間の明るさの比率を扱っているわけであり、同様の信号強度間の比率を考えることは、必ずしもR,G,B3つの波長の光でなくとも可能であるから、同様の処理は、RGB以外の他の波長の干渉光の組み合わせでも行うことができる。
【0082】
上記のXYZ変換を、 図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上の各画素について行ったものが、図4,図5に示すものである。図4のものは、図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上でのR,G,B各信号の輝度値の変化を表したものである。一方、それに対して上述の式のYxy変換を行い、xy平面上での色の変化軌跡を示したものが、図5のものである。このxy平面上での色の変化軌跡は、図3のRGB干渉画像中の直線a−a′上で求めたものであるため、図3のRGB干渉画像上に対応点がある。また、図3中の直線a−a′は、図示のように多数の干渉縞を横切っているため、当該各対応点の高さは、前述した本願発明者の先の出願である特許文献3に記載された発明の方法を使って求めることができる。
【0083】
すなわち、予じめ図3のRGB干渉画像から、上述のようなYxy変換を行ない、計測対象物Wの計測面上での明るさ比率と対応する高さを明るさ比率−高さ対応テーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、まず上記計測対象物Wの計測面上での色の変化軌跡(図5のもの)を求め、続いて同明るさ比率−高さテーブル上での類似の色を検索することにより、上記計測対象物Wの計測面上の微小な高さを計測することができる。
【0084】
ところで、図5に示すxy信号平面上の色の変化軌跡では、いくつかの交点P1〜P7がある。この交点P1〜P7上では、xy値が同じであるため、そのままでは2つの高さを持つことになってしまう。ところが、同交点P1〜P7付近ではxy信号の変化の軌跡が異なるため、それを利用することによって、同じxy値を持つ交点P1〜P7部分の高さを決定することができる。
【0085】
図6に、この原理を用いた安定した高さ決定方法を示す。すなわち、図6中のRGB干渉画像内に、図示のような所定の高さの凸部をもった微小な計測領域Aがあるとする。
【0086】
先ず、この計測領域A内に高さを調べたい点を含む計測用の直線L(以下、単に計測線Lという。同計測線Lは、図3中の直線a−a′に相当する)を設定する。そして、次に該計測線L上のRGB輝度値について上述のYxy変換を行い、xy平面空間での色変化の軌跡L’(図5に対応)を求める。そして、その軌跡L’と先に図3などの画像を解析して作った図6中の計測したい部分の高さを含む計測線L上のxy信号の軌跡とを比較し、類似する箇所を選ぶ。そして、それらの軌跡の重なる各点について、それに対応する高さに変換すると、それが図6中の計測領域Aの計測線L上の高さとなる。
【0087】
また、より以上に安定した高さ決定の方法を以下に示す。上述のように、xy信号平面で、RGB干渉画像間の同じ明るさ比率である交点が複数出てくる一つの理由は、例えば図7に示す様に、サイン波では一周期T内に同じ明るさの点(〇印部)が2カ所存在するからである。
【0088】
ここで、図7を見れば分るように、同サイン波における同じ明るさの2点は、他方は明るさが増加中に起こり、一方は明るさが減少中に起きている。そこで、このことを考えると、明るさが増加中か減少中かで、上述した明るさ変化率−高さテーブルを分ければ、上記交点の発生を抑えることができる。
【0089】
すなわち、明るさの増加および減少は、R,G,B各色で独立に起きる。したがって、明るさ変化率−高さテーブルでのケース分けは、例えば(Rの増加・減少)×(Gの増加・減少)×(Bの増加・減少)の組み合わせとして、8つの明るさ変化率−高さテーブルに分かれる。今図6の色軌跡の変化を、上記明るさの増加・減少パラメータを加味して、上記明るさ変化率−高さテーブルを分離すると、例えば図8に示す様になる。これらの各明るさ変化率−高さテーブルを見ると、それぞれxy平面上での交点が大幅に減少している事が分かる。
【0090】
この場合の画像処理の考え方も、基本的には上述した図6の場合と同じである。
【0091】
図8でも、画像中の干渉縞の明るさ変化の組み合わせによるxy平面上の軌跡を、あらかじめ作成した明るさ変化率−高さテーブル上で類似する個所を探すわけであるが、この明るさ変化率−高さテーブルが8面有るため、微小領域Aでの計測線Lに沿っての明るさ変化を見るとき、併せてその着目位置周辺で明るさ変化率−高さテーブルを作った場合と同じ方向に走査し、さらに明るさの極値を境にして明るさの増加・減少をもチェックし、それらの組み合わせにより明るさ変化率−高さテーブルを選択する処理を加える点が異なるだけである。
【符号の説明】
【0092】
L11〜L13は第1〜第3のレーザ光発光手段(RGB光発光手段)、B11〜B15は第1〜第5のビームスプリッター、C11〜C13は第1〜第3の撮像手段(第1〜第3のCCDカメラ)、F11〜F13は第1〜第3の光学フィルタ、RMは参照光ミラー、STはナノメータステージ、Wは計測対象物、LS,LS11〜LS14はラインセンサーである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、その複数の干渉縞間の明るさの比率、または同明るさの比率の組み合わせを求めることによって、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項2】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率と高さとを対応させた明るさ比率−高さテーブルまたは上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率の組み合わせと高さとを対応させた明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、該画像解析手段を用いて上記計測対象物の微小計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項3】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化の位相を計測して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該複数波長の光の2次元干渉画像間の明るさの比率により、または同明るさ比率の組み合わせにより、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項4】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記各光間の明るさの比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムで上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該2次元干渉画像上の各点の明るさから、上記各波長の光の干渉画像の明るさの比率を求め、上記明るさ比率−高さテーブルまたは明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを参照して、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項5】
複数の波長の光として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源を用いたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の光学的計測装置。
【請求項6】
R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換を行い、該色空間上の色解析によって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項5記載の光学的計測装置。
【請求項7】
得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、そのテーブル上の類似色を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項6記載の光学的計測装置。
【請求項8】
得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色の変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、上記計測対象物の計測面での色の変化軌跡を求め、そのテーブル上で類似の色変化軌跡を有する部分を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項6記載の光学的計測装置。
【請求項1】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された2次元干渉画像を解析する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測して、その複数の干渉縞間の明るさの比率、または同明るさの比率の組み合わせを求めることによって、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項2】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と対象光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率と高さとを対応させた明るさ比率−高さテーブルまたは上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさ比率の組み合わせと高さとを対応させた明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、該画像解析手段を用いて上記計測対象物の微小計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項3】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化の位相を計測して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムにより上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該複数波長の光の2次元干渉画像間の明るさの比率により、または同明るさ比率の組み合わせにより、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項4】
観測光と対象光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と対象光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、該光学系における上記観測光または対象光の光路長を可変する光路長可変手段と、上記観測光と対象光とを干渉させて上記計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、あらかじめ上記光路長可変手段により上記観測光または対象光の光路長を変えながら上記各光の明るさ変化を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の明るさの比率を記録した明るさ比率−高さテーブルまたは上記各光間の明るさの比率の組み合わせを記録した明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備え、上記画像解析手段の画像解析プログラムで上記計測対象物の計測面に当たった上記各光の2次元干渉画像を解析し、該2次元干渉画像上の各点の明るさから、上記各波長の光の干渉画像の明るさの比率を求め、上記明るさ比率−高さテーブルまたは明るさ比率の組み合わせ−高さテーブルを参照して、上記2次元干渉画像上の各点の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする光学的計測装置。
【請求項5】
複数の波長の光として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光源を用いたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の光学的計測装置。
【請求項6】
R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色の光によって得られた2次元干渉画像について、色画像処理におけるRGB画像から色空間への変換を行い、該色空間上の色解析によって、計測対象物の計測面上の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項5記載の光学的計測装置。
【請求項7】
得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、そのテーブル上の類似色を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項6記載の光学的計測装置。
【請求項8】
得られた干渉画像について色空間上の色解析を行う際に、計測対象物の計測面上での明るさ比率と高さとの対応によって起こる色の変化を、予じめ色空間上での色の変化軌跡として所定のテーブルに記憶させておき、実際の高さ解析時には、上記計測対象物の計測面での色の変化軌跡を求め、そのテーブル上で類似の色変化軌跡を有する部分を検索することにより、計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項6記載の光学的計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−21886(P2011−21886A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164340(P2009−164340)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省四国経済産業局委託研究「地域新生コンソーシアム研究開発事業(多波長レーザ干渉の位相コード化による広レンジナノ計測器の開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(390000594)株式会社レクザム (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省四国経済産業局委託研究「地域新生コンソーシアム研究開発事業(多波長レーザ干渉の位相コード化による広レンジナノ計測器の開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(390000594)株式会社レクザム (64)
【Fターム(参考)】
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