説明

光干渉断層解析

医薬送達システムを製造する製造手段を含む、該医薬送達システムを分析する光干渉断層解析システムであって、該製造手段が少なくとも1つの製造プロセスを含み、光干渉断層システムが該医薬送達システムに放射線ビームを向けるように構成した光源を有し、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該干渉計が該医薬送達システムから放出された光を受け、該医薬送達システムの製造中に該放出光から該医薬送達システムの光学像をリアルタイムに構築するように構成される、前記システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、医薬送達システムを分析する方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、医薬送達システム、特に多層医薬錠剤を分析するための光干渉断層(optical coherence tomographic)法及び第二高調波を用いた方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野でよく知られているように、医薬送達システムは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の種々の形態を含むことができる。しかし錠剤は、カプセル剤や顆粒剤よりもより容易に投与できるので、最も広く受け入れられている送達システムである。
【0003】
当技術分野で同様に知られているように、錠剤は種々の形態、例えば、実質的に均質な固体物、即ち、種々の成分(活性剤、滑沢剤、不活性賦形剤等)の成型ブレンドを含むことができる。上記の錠剤は、錠剤の経口投与(即ち、嚥下)の際に補助することができ、及び/又は錠剤が胃腸管の所望の領域に配置されるまで活性剤の送達又は溶解を制御(又は遅延)することができるフィルムでコートすることが多い。
【0004】
錠剤はまた、1以上の層に配置された1以上の活性剤を有する多層剤型を含むこともできる。上記の多層錠は、複合錠と呼ばれることも多い。
【0005】
持続放出及び/又は放出制御された送達システムの多くもまた、多層錠からなる。例えば、特許第2601660号公報中には持続放出錠剤が開示されている。その持続放出錠は、(a)活性剤、不溶性結合剤及び不溶性賦形剤を有する圧縮錠剤コア、(b)可溶性ポリマーと不溶性ポリマーとの混合物及び可塑剤を有してその錠剤コアを覆って形成されたバリアーコーティング、(c)活性剤、可溶性ポリマー及び可塑剤を有してそのバリアーコーティングを覆って形成された活性コーティング、並びに(d)可溶性ポリマー及び可塑剤を有してその活性コーティングを覆って形成されたフィルムコーティングを含む。従って、その開示されている錠剤は、活性剤の初期放出、活性剤の不放出の時間を経て、実質的に一定のゼロ次速度の活性剤放出を提供するように構成されている。
【0006】
当業者には容易に理解されるように、多層錠の形態に関らず、(特にコア又は内層中に配置される場合の)活性剤の送達速度又は溶解速度、従ってその薬物動態(pharmacokinetic「PK」)特性に影響を与える可能性があり、また多くの場合実際に影響を及ぼす主因は、使用される錠剤の層、特に外層の厚さである。
【0007】
種々の慣用技術及び方法が、錠剤の層の深さ又は厚さを測定し、及び/又はその錠剤構造の三次元画像を提供するために使用されている。しかし、慣用の分析技術は多くの場合、バルク組成を測定するために用いられているが、空間分解情報が得られるものはわずかである。一般的に慣用技術では、物質を溶解し、分析機器中に溶液として導入しており、平均化された元素濃度が得られるのみである。
【0008】
アーク/スパークに基づく方法を用いることによって、溶解(digestion)過程なしに(導電性物質の)直接的な固体サンプリングを行うことができる。しかしその方法は、正確な空間分解解析を提供できるほどの能力を有さない(例えばGuther et al., Spectrochim Acta, Part B, vol. 54, p. 381 (1999)を参照のこと)。
【0009】
オージェ電子分光法又はX線電子分光法等の他の方法は、原子レベルの表面化学分析を容易にする。これらの方法では、イオンの衝撃によって物質の連続する層を除去すると、深さ方向の分解能を有する分析もできる。当技術分野で知られているように、二次イオン質量分析法(secondary ion mass spectrometry「SIMS」)では、異なる深さの組成を衝撃で誘導される二次イオンの性質から推察するため、かかる衝撃はその測定方法に固有なものとなる。
【0010】
上記の方法と関連して、いくつかの重大な欠点や不利な点が存在する。上記の方法は全て、試料の調製を幾らか必要とし、時間を浪費させ、また高機能の高価な機器を要する。
【0011】
さらに、試料の形や大きさは、試料を入れるチャンバーの構造によって制限される。感度又は空間分解能が制限されるものもある。従って、上記の方法は、オンラインでハイスループットな不均一物質の組成マッピングを必要とする産業的ニーズを満たさない。
【0012】
錠剤の層を分析するために用いられることが多い別の方法は、レーザー放射(又はレーザーアブレーション)である。レーザーアブレーションでは、集光したレーザーパルスによって、少量の固体物質を、さらなる分析に適している蒸気プルームに変換する高パワー密度が提供される。非常に微小な表面にレーザー光を集中させることによって、不均一物質のサンプリング及び分析を非常に良好な水平分解能(即ち、数ミクロン以下)で得ることができる。(固体物質の同位置において)連続してレーザーアブレーションを行い別々に解析することによって、深さ方向に分解能をもつ分析も可能となる。
【0013】
しかし、詳細な深さ方向のプロファイルを得るためには、物質中の異なる深さで幾つもの組成測定を行うことが必要とされる。深さを測定するために試料を別の機器に繰り返し運んだり、続いてレーザーアブレーション装置に試料を正確に配置したりしなくてもよいように、通常、レーザーショットの累積数に基づいてクレーター深さを事前に決定したキャリブレーションを確立する。このようにして、特定のレーザーショットの組成分析が特定の深さに対応することになる。
【0014】
試料がコーティング及び基質を含む場合、そのコーティング及び基質は非常に異なるアブレーション速度(即ち1レーザーショット当たりのアブレーションされる深さ)を有し、そのコーティングや基質について異なるキャリブレーションが用いられることも多く、界面領域については補間が行われる。この手法は、対象試料とキャリブレーション試料についてアブレーション速度が同じであると仮定しており、特に、レーザーパルスエネルギー及びビーム径のプロファイルが十分に安定していることを必要とする。
【0015】
しかし上記の方法は、比較的単純な場合に限定される。アブレーション速度が深さに応じて連続的に変化する試料又は複雑な多層試料には適用できない場合もある。
【0016】
従って、オンラインでリアルタイムに効率よく使用できる、多層錠の層の深さ及び/又は厚さを測定する方法及びシステムを提供することが望ましいであろう。
【0017】
薬物多型も、製薬産業において永続的な問題である。薬物多型は、治療や処方等多くの段階で影響を及ぼす。従って、有機結晶の多型の検出及び特性評価は大変重要である。
【0018】
当技術分野でよく知られているように、化合物の異なる多型によって、溶解度、融点、硬度、密度、結晶形及び光学特性等の異なる物理化学的特性が生じる。これらの特性の大半は、医薬開発において重要である。
【0019】
多型が活性剤(又は医薬組成物)の溶解速度に及ぼす影響は特に重要な問題である。活性剤の溶解速度、即ち、全身系への吸収に影響を及ぼす二つの主要因は、水溶解度及び胃腸浸透性である。上記の要因は、活性剤及び/又は医薬組成物の承認及び登録を行う米国食品医薬品局によって採用される、生物薬剤分類系(the Biopharmaceutical Classification System (BCS))の基礎を形成する。
【0020】
BCSによると、活性剤は4つのクラスに分類される;クラスIは高溶解度−高浸透性の活性剤を含み、クラスIIは低溶解度−高浸透性の活性剤を含み、クラスIIIは高溶解度−低浸透性の活性剤を含み、クラスIVは低溶解度−低浸透性の活性剤を含む。
【0021】
当技術分野で通常の知識を有するものに理解されるように、クラスIIの活性剤は低溶解度及び高浸透性を有し、クラスIVの活性剤は低溶解度及び低浸透性を有することが多く、溶解速度、即ち吸収は制限されるのが典型的である。多型は溶解速度及び溶解度に影響を及ぼすので、クラスII及びIVの活性剤の種々の多型は異なる吸収プロファイルを示すことが非常に多い。
【0022】
また、多型は医薬開発の他の領域にも影響を及ぼす。例えば、多型形態の中には、他のものよりも容易に製造できるものもある。また、容易に錠剤化できない多型形態又は非晶形もある。
【0023】
適切でない多型の使用によって、準安定な多型から安定なものに相変換することも起こり得る。懸濁液においては、結晶成長が生じ、粒度分布の製薬上許容できない変化が起こる。
【0024】
また、コンビナトリアルケミストリーの出現で、活性剤分子はより大きく(即ち高分子量に)なり、より多くの官能基を含むようになる可能性がある。分子量がより大きくなることによって生じる影響もある。第一に、分子がより大きくなることによって、結晶格子中で分子が配列する機会が増え、より多くの結晶形で結晶化し得る可能性があることから、多型の発生率が増加する。第二に、活性剤はより高融点を有する傾向があることから、非常に安定な結晶構造が生じ得る。生じたその結晶構造は、ほぼ常に低水溶解度を示すことから、クラスII及びIVの活性剤の発生率が増加する。
【0025】
従って、固体状態の特性、特に、活性剤及び錠剤等の活性剤から作られる医薬送達システムの結晶化度及び多型をモニターでき、オンラインでリアルタイムに効率よく使用できる方法及びシステムを提供することも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特許第2601660号公報
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Guther et al., Spectrochim Acta, Part B, vol. 54, p. 381 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
従って、本発明の目的は、先行技術の方法やシステムに伴う欠点や不利な点を克服し、又は実質的に減少させる、多層錠の層の深さ及び/又は厚さを測定する改善された方法及びシステムを提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、オンラインでリアルタイムに効率よく使用できる、多層錠の層の深さ及び/又は厚さを測定する方法及びシステムを提供することである。
【0030】
本発明の他の目的は、固体状態の特性、特に、活性剤及び錠剤等の活性剤から作られる医薬送達システムの結晶化度及び多型をモニターするための、オンラインでリアルタイムに効率よく使用できる方法及びシステムを提供することである。
【0031】
本発明の他の目的は、多層錠について(i)層の深さ及び/又は厚さ、並びに(ii)固体状態の特性、特に結晶構造及び多型形態(又は状態)を測定でき、オンラインでリアルタイムに効率よく使用できる方法及びシステムを提供することである。
【0032】
本発明の他の目的は、光干渉断層(「OCT」)及び第二高調波(「SHG」)を実質的に同時に用いて多層錠を分析する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記の目的及び下記に記載され明らかとなる目的に沿って、本発明の一実施形態において医薬送達システムを分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉画像(イメージング)装置を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発し、その放射線ビームは第一の経路及び第二の経路内に導かれ、第一の放射線ビーム経路は第一の経路長を有し、その第一の放射線ビーム経路は医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームは医薬送達システムと相互作用し、その相互作用は医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、その第二の放射線ビーム経路は参照鏡に向けられる工程、(iii)第一の経路長を変化させる工程、及び(iv)放出光から医薬送達システムの光学像を構築する工程を含む。
【0034】
本発明の他の実施形態において、医薬送達システムを分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉画像装置を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発し、その放射線ビームは第一の経路及び第二の経路内に導かれ、第一の放射線ビーム経路は第一の経路長を有し、第二の放射線ビーム経路は第二の経路長を有し、第一の放射線ビーム経路は医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームは医薬送達システムと相互作用し、その相互作用は医薬送達システムにより放出される光の放出を含む工程、(iii)放出光から光第二高調波を発生させる工程、(iv)医薬送達システム中に配置された活性剤等の成分の少なくとも1つの固体状態の特性を光第二高調波から測定する工程、及び(v)医薬送達システムの光学像を放出光から構築する工程を含む。
【0035】
本発明の他の実施形態において、医薬送達システムを分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉画像装置を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発し、その放射線ビームは第一の経路及び第二の経路内に導かれ、第一の放射線ビーム経路は第一の経路長を有し、第二の放射線ビーム経路は第二の経路長を有し、第一の放射線ビーム経路は医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームは医薬送達システムと相互作用し、その相互作用は医薬送達システムにより放出される光の放出を含む工程、(iii)放出光から光第二高調波を発生させる工程、(iv)医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性を光第二高調波から測定する工程、(v)放出光の所定の第一の部分を第一の多光学素子(multi-optical element)に選択的に通すように構成した第一の多光学素子に放出光を向け、その第一の光の部分がその成分の吸収スペクトルに対応する工程、(vi)医薬送達システムのNIR画像を提供するように構成した第一のNIRカメラに光の第一の部分を向ける工程、及び(vii)医薬送達システムの光学像を放出光から構築する工程を含む。
【0036】
本発明の一実施形態において、医薬送達システムを分析する光干渉断層解析システムは、(i)少なくとも1つの製造プロセスを含む、医薬送達システムを製造する製造手段、(ii)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けるように構成した光源を含む光干渉画像装置であって、それによって、放射線ビームは医薬送達システムと相互作用し、その相互作用は医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、光干渉画像装置が医薬送達システムから放出された光を受けるように構成され、医薬送達システムの製造中に放出光から医薬送達システムの光学像をリアルタイムに構築することを含む。
【0037】
一実施形態において、光干渉断層解析システムは、製造プロセス及び光干渉断層システムと連通する処理機構を含み、その処理機構は放出光に応答して少なくとも1つの制御信号を生成し、その制御信号を製造プロセスに伝送して製造プロセスを調整するように構成されている。
【0038】
本発明の一実施形態において、医薬送達システムを分析する光干渉第二高調波解析システムは、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けるように構成した光源を有する光干渉イメージング装置であって、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、光干渉イメージング装置が医薬送達システムから放出された光を受けて、医薬送達システムの光学像を放出光から構築するように構成されている、前記装置、(ii)放出光と相互作用することで、医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性に対応する光第二高調波を提供するように構成されている、光第二高調波を発生させる手段、及び(iii)放出光の所定の第一の部分を多光学素子に選択的に通すように構成されている多光学素子であって、その第一の光の部分がその成分の吸収スペクトルに対応する、前記素子を含む。
【0039】
本発明の他の実施形態において、医薬送達システムを分析する光干渉第二高調波解析システムは、(i)少なくとも1つの製造プロセスを含む、医薬送達システムを製造する製造手段、及び (ii)光干渉断層システム及び第二高調波システムを有する光干渉第二高調波解析システムであって、その光干渉断層システムが所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けるように構成されている光源を含み、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、光干渉断層システムが医薬送達システムから放出された光を受け、医薬送達システムの光学像を放出光から構築するように構成され、第二高調波システムが放出光から光第二高調波を発生させる手段を含み、第二高調波システムが医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性を第二高調波から測定するように構成され、医薬送達システムの光学像の構築及び固体状態の特性測定が医薬送達システムの製造中にリアルタイムで行われる、前記システムを含む。
【0040】
本発明の一実施形態において、光干渉第二高調波解析システムは、製造プロセス及び光干渉断層システムと連通する処理機構を含み、その処理機構は放出光に応答して少なくとも1つの第一の制御信号を生成し、その第一の制御信号を製造プロセスに伝送して製造プロセスを調整するように構成される。
【0041】
本発明の他の実施形態において、その処理機構は、第二高調波に応答して少なくとも1つの第二の制御信号を生成し、その第二の制御信号を製造プロセスに伝送し、製造プロセスを調整するように構成されている。
【0042】
他の実施形態において、光干渉第二高調波システムは、放出光の所定の第一の部分を多光学素子に選択的に通すように構成されている多光学素子を含み、第一の光の部分は医薬送達システム中に配置された成分の吸収スペクトルに対応する。
【0043】
添付の図面に示されている本発明の好ましい実施形態に関する以下のより具体的な記載から、更なる特徴や利点が明らかになる。図面中で同様な参照文字は、図面を通じて同じ部分又は要素を一般的に指す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明による光干渉断層(「OCT」)装置の一実施形態の概略図である。
【図2】図2は、本発明による光干渉断層システムの一実施形態の概略図である。
【図3】図3は、本発明による光干渉第二高調波(「OCTSH」)装置の一実施形態の概略図である。
【図4】図4は、本発明による光干渉第二高調波システムの一実施形態の概略図である。
【図5】図5は、4種の医薬送達システム、即ち多層錠に関するNIR透過スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を詳細に記載する前に、この発明は特に例示したシステム、方法、材料又は構造に限定されず、それらが当然変化し得ることは理解されるべきである。従って、本明細書に記載されるシステム及び方法と同様であるか又は同等である多くのものを、本発明の実施において使用することができるが、その好ましいシステム及び方法が本明細書に記載される。
【0046】
また、本明細書で用いられる用語は、単に本発明の具体的な実施形態を記載するために用いているのであって、限定することを意図しているわけではないことは理解されるべきである。
【0047】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有するものによって、通常理解されているようなものと同一の意味を有する。
【0048】
さらに、本明細書で引用する全ての刊行物、特許及び特許出願は、上記又は下記に記載されているものに関わらず、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0049】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている単数形は、別段の指示がない限り複数の指示対象を含む。
【0050】
用語「光干渉断層解析(optical coherence tomography analysis又はoptical coherence tomographic analysis)」及び「OCT解析」は、本明細書では同義に用いられ、光干渉断層法による試料構造又は医薬送達システムの構造の光学的解析を意味し、含むものとし、例えば、タイムドメイン光干渉断層法、フーリエドメイン光干渉断層法、量子光干渉断層法、全視野光干渉断層法(full field optical coherence tomography)、偏光光干渉断層法(polarization sensitive optical coherence tomography)及びドップラー光干渉断層法が挙げられる。上記の光干渉断層法は、Tomlins, et al., “Theory, Developments and Applications of Optical Coherence Tomography”, Journal of Applied Physics, Vol. 30, pp. 2519-2535 (2005)に詳細に記載されており、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0051】
用語「第二高調波発生」及び「第二高調波」は本明細書では互換的に用いられ、基本周波数の少なくとも2倍の周波数、即ち入射波の少なくとも2倍の発生を意味し、含むものとする。
【0052】
用語「医薬組成物」及び「医薬」は、本明細書で用いられている場合、生物(ヒト又は動物)に投与する際、局所作用及び/又は全身作用によって所望の薬理効果及び/又は生理的効果を誘導する任意の物質(即ち、化合物又は組成物)を意味し、含むものとする。従って、それらの用語は、活性体、薬物、及び生物活性剤と慣習的にみなされる物質だけでなく、病気、疾患、感染等を含む広範に定義される多くの疾患を治療するのに典型的に用いられる生物医薬(例えばペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子コンストラクト等)も含む。例示する医薬組成物(又は医薬)は、これらに限定されないが、抗生物質、抗ウイルス剤、H2受容体アンタゴニスト、5HTサブタイプ1アゴニスト、5HTサブタイプ3アンタゴニスト、COX2阻害剤、鬱病、不安、躁鬱病等の精神疾患の治療に用いられる医薬、精神安定剤、代謝疾患の治療に用いられる医薬、抗がん剤、てんかん及びパーキンソン病等の神経疾患の治療に用いられる医薬、心血管疾患の治療に用いられる医薬、非ステロイド抗炎症医薬、中枢神経系疾患の治療に用いられる医薬及び肝炎の治療に用いられる医薬を含む。また、代謝疾患を治療するのに有用な薬物、例えばフルオロシアノピロリジン化合物並びにその無水形態及び水和形態も含まれる。
【0053】
「医薬組成物」は、1以上の別の物質又は構成体、例えば担体、賦形剤及び/又は添加剤を含むことができる。「担体」、「賦形剤」及び「添加剤」は一般的に、無毒性の実質的に不活性な物質であり、組成物の他成分と有害な相互作用をしない。
【0054】
本明細書で用いられる用語「医薬送達システム」は、被験体に医薬組成物(又は医薬)を投与するように構成される医薬剤形を意味し、含むものとし、これらに限定されないが、例えば錠剤、カプセル錠及び顆粒剤が挙げられる。本明細書に記載される発明の一実施形態において、医薬送達システムは好ましくは錠剤を含む。
【0055】
本明細書で用いられる用語「オンライン」とは、製造プロセス中に統合され、又は使用され得る方法又はシステムを意味し、含むものとする。
【0056】
本明細書で用いられる用語「リアルタイム」とは、試料の構造又は医薬送達システムの構造に関連するパラメーターの連続的なモニター及び/又は評価を意味し、含むものとし、そのパラメーターは例えば、これらに限定されないが、製造プロセス中の層の深さ及び厚さである。
【0057】
本発明は、多層医薬送達システム、特に錠剤の構造を分析するための、光干渉断層法(「OCT」)に基づく装置、システム及び方法を提供する。本明細書に詳細に記載されているように、本発明のOCTに基づく装置及びシステムは特に、多層錠の層の深さ及び/又は厚さを測定できるように構成されている。
【0058】
本発明はさらに、多層医薬送達システムの構造及び固体状態の特性を分析するための、光干渉第二高調波断層法(「OCTSH」)に基づく装置、システム及び方法を提供する。本明細書に詳細に記載されているように、OCTSHに基づく装置及びシステムは同様に、多層錠の層の深さ及び/又は厚さを測定できるように構成される。OCTSHに基づく装置及びシステムはさらに、他の固体状態の特性のうち、結晶化度及び多型をモニター及び/又は分析できるように構成される。
【0059】
(本明細書で詳細に論じている)本発明の一実施形態に従って、錠剤の一層(又は多層)のその層の深さ及び/又は厚さ並びにその錠剤中に配置された活性剤等の成分の固体状態の特性は、製造又は処理中に連続的にモニター及び/又は分析される。錠剤の一層(又は多層)のその層の深さ及び/又は厚さ並びにその層中に配置された成分の固体状態の特性の連続的なモニター及び/又は分析は、(i) 錠剤の一層(又は多層)の所望の厚さ(及び/又は深さ)が提供されていること、即ち錠剤中に配置された所望の量の活性剤等の成分が提供されていること、及び(ii)結晶状態及び多型形態等の所望の固体状態の特性が錠剤中に配置された成分、特に活性剤によって示されていることを確認する品質保証手段を提供する。
【0060】
OCTは最新の非侵襲的な三次元「干渉計測(interferometric)」法であり、生物組織等の非均一な試料を通して高分解能の断面像を作成することができる。以下で詳細に論ずるように、干渉計測法は分割され、後に再結合される広帯域光場間の干渉を利用する。
【0061】
先ず、図1に、OCT解析に特に適した光干渉断層(「OCT」)装置10(本明細書では「OCT装置」、「光干渉イメージング(画像)装置」及び「干渉計」と互換的に記載される)の一実施形態の概略図を示す。図1に示されているように、OCT装置10は一般的に、光検出器12、光源14、ビームスプリッター16及び参照鏡18を含む。
【0062】
また、図1で示されているように、分割された場は参照経路(一般的に「15」と表す)を進み、参照鏡14から反射し、及びまた試料経路(一般的に「17」と表す)を進み、多層医薬送達システム等の試料20中の多層22から反射する。その反射した光場はその後、検出アーム又は検出経路(一般的に「19」と表す)を通って、光検出器12に向けられ、そこで少なくとも1つの試料20の光学像が好ましく構築される。
【0063】
光の広帯域性によって、光場間の干渉は、参照及び試料のアーム光路長が光の可干渉距離(コヒーレンス長)内で一致する場合にのみ観測される。従って、OCT装置(又はシステム)の深さ(即ち軸)方向の分解能は、光源の時間干渉性(時間的コヒーレンス)によって決定される。試料媒体中の層間の急激な屈折率変化は、干渉縞の対応する強度ピークとして現れる。
【0064】
タイムドメインの干渉縞は、参照鏡18を平行移動させ、参照経路長を変化させ、試料20内の層の反射に応じて複数の光路長を一致させることによって得ることができる。深さ情報は、出力スペクトルをフーリエ変換することによって周波数領域測定から導くこともできる。このような配置で参照光路長を固定したままにし、OCT出力の成分周波数が分光計により検出される。
【0065】
OCTにおいて、二次元又は三次元画像は、複数の深さ方向の走査によって得ることができる。これらの走査は一般的に、一又は二の直交方向のビームの走査と同時に行われる。
【0066】
OCTは電場E(w, t)を次の複素指数関数として表すことによって数学的に記述される:
(1) E (w, t) = s(w)exp[-i(wt + kz)]
当業者には容易に理解されるように、上記の式1は、波動方程式に対する直線偏光(plane polarized)の解であり、ここで、ソース場(source field)振幅スペクトルはs(w)、周波数はw、時間変数はtとして表される。波数k及び距離zに関する指数関数の二番目の項は、単にOCT装置又は干渉計により蓄積された位相を表す。
【0067】
入力位相は任意であり、OCT装置は2つの光路間の相対的な出力位相を測定するのみであるので、位相の項は入力電場から除外され得る。参照鏡14も理想的であると仮定され、ビームスプリッター16は参照及び試料のアーム強度透過度Tr及びTsを有する。また、その強度透過係数には、Tr + Ts = 1のような関係がある。
【0068】
その試料は、その内部構造を表し、その中の位相蓄積を表す周波数領域応答関数H(w)を有する。従って、光場の成分は入力場を用いて与えられる。即ち、
(2) Ein(w,t) = s(w)-iwt
(3) Er(w,t,Δz) = (TrTs)1/2Ein(w,t)e-iф(Δz)
(4) Es(w,t) = (TrTs) 1/2Ein(w,t)H(w)
(5) Eout(w,t, Δz) = Er(w,t) + Es(w,t,Δz)
ここで、
ф(Δz)=幾何学的距離Δzで参照鏡を平行移動させた際に蓄積した位相、
ΔzはΔtc/nairと等しいため、ф(Δz)は以下のように決定することができる:
(6) ф(Δz) = 2wnairΔz/c
ここで、
Δt=光の飛行時間差;
c=真空中の光の速度;
nair=空気の群屈折率)。
【0069】
式6中の係数2は、OCT装置の具体的な構造に起因しており、この場合、経路長は参照鏡が配置されている距離の常に2倍となる。
【0070】
OCT解析で現在最もその動向が注目されている分野は、生物医学イメージング分野である。しかし、出願人はOCTが医薬送達システム、即ち、錠剤構造の分析に特に適していることを見出した。錠剤の構造分析に好適となるOCTの特別な性質は、透過の深さが典型的に、生物試料よりも相当深くなることであり、それは、その試料により光が相対的に減衰するためである。つまり、(生物試料は水分含有量が高いのに対し)錠剤は相対的に水分含有量が低いので、基質によるパルスの吸収が小さくなり、錠剤をより深く調べることができるようになる。
【0071】
続いて、図2に本発明のOCTシステムの一実施形態を示す。図2に示されるように、OCTシステム(一般的に「30」と表す)は、上記でOCT装置10として論じられているようなOCT装置、OCT装置10及び製造プロセス(又はその制御)16と連通する処理機構32を含む。本発明において、製造プロセス16は医薬送達システムの製造と関連する任意の許容可能なプロセス及び/又は方法を含み、これらに限定されないが、造粒、調合及び圧縮を含むことができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、製造プロセス16は、少なくとも1つの、好ましくは複数の医薬送達システムを、OCT解析のためのOCT装置10の近隣に移送するように構成される移送手順又は工程を含む。他の実施形態において、OCT装置10は、圧縮サブシステム等の製造サブシステム(又はプロセッシング工程)の近隣に配置され、それによって、上記の製造工程又はプロセスの間又は後に医薬送達システムのOCT解析をすることができる。
【0073】
本発明において、処理機構32は、OCT装置10からの出力を受けるように構成される。処理機構32はまた、OCT装置10から伝送される出力を処理するように構成され、光場と医薬送達システム等の試料との相互作用を記述することを含む。
【0074】
ミラーが移動するタイムドメインOCTの場合、プロセッシングは、これらに限定されないが、以下の分析手段(又はモデル)による解析を含む:フレネルの式、ホイヘンス−フレネルの原理又はマクスウェルの方程式から導かれる解の単なる組み合わせの適用。上記の分析手段及び関連するモデルは以下に詳細に論じられており、本明細書に参照によって組み込まれる:Andersen, et al., Phys. Med. Biol., vol. 49, pp. 1307-1327 (2004); Feng, et al., J. Opt. Soc. Am. A, vol. 20, pp. 1792-1803 (2003); Lu, et al., Appl. Opt., vol. 43, pp. 1628-1637 (2004); Smithies, et al., Phys. Med. Biol., vol. 43, pp. 3025-3044 (1998); Tycho, et al., Appl. Opt., vol. 41, pp. 6676-6691;及びR. K. Wang, Phys. Med. Biol., vol. 47, pp. 2281-2299。
【0075】
フーリエドメインOCT等のOCT解析で分光計を使用する場合、プロセッシングは、これらに限定されないが、フーリエ変換解析、アダマール変換解析及び任意の種々のウェーブレット変換解析を含むことができる。フーリエ分析法は、Tomlins, et al., J. Phys. D: Appl. Phys., vol. 38, pp. 2519-2535 (2005)に記載されており、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0076】
本発明の幾つかの実施形態において、処理機構32は、層の深さや厚さ等の所望の生成した試料のパラメーターを表示する表示手段を含む(点線で示され、34で表す)。
【0077】
本発明の一実施形態において、処理機構32はさらに、反射した光場(又は放出光)又は下記で論じるMOE信号に応じて少なくとも1つの制御信号を生成し、その制御信号を製造プロセス36に伝送することで、少なくとも1つのその態様を制御するように構成される。例えば、規格外の層の厚さを有する錠剤等の医薬送達システムの場合において、処理機構32は、圧縮プロセスを修正し及び/又はその医薬送達システムを待機ステーション又は廃棄ステーションに転送するように制御信号を生成し伝送することができる。
【0078】
当業者には容易に理解されるように、製造プロセス36及びOCT装置10はOCTシステム30の分離した態様として示されているが、1以上のOCT装置10を製造プロセス36に統合することができる。例えば、本発明の想定される実施形態の一つにおいて、OCT装置は圧縮システム中に統合され、その圧縮後に形成される錠剤等の医薬送達システムの構造を分析するように配置される。
【0079】
実施に際して、本発明の一実施形態として、少なくとも1つの、好ましくは複数の医薬送達システム、即ち錠剤が、OCT解析のため錠剤の形成後に、OCT装置10の近隣に移送され又は配置される。OCT装置10からの出力は、制御信号の処理及び生成のため、必要ならば製造プロセス36を制御するため、処理機構32にリアルタイムで伝送される。
【0080】
本発明の一実施形態において、OCT解析は、タイムドメイン光干渉断層解析を含み、その場合、光源14は、約750〜2500nm、別の実施形態では約1000〜2000nm、さらに別の実施形態では約1300nmの波長を有する入射放射線を発する。一実施形態において、入射放射線は、約1000〜2000nm、別の実施形態では約500〜1000nm、さらに別の実施形態では約70nmであるバンド幅を有する。
【0081】
一実施形態において、入射放射線のパルス幅は、約1fs〜1000nsである。別の実施形態において、入射放射線のパルス幅は、約10fs〜100nmである。
【0082】
本発明の一実施形態において、上記のOCTパラメーターは約1〜20μmの理論分解能(即ち可干渉距離)を提供する。別の実施形態において、OCTパラメーターは約1〜5μmの理論分解能を提供する。
【0083】
本発明において、光源14は、種々の慣用される光を伝播する媒体、即ち装置及びシステムを含むことができ、広帯域光を提供するように構成され、これらに限定されないが、発光ダイオード、レーザーダイオード、白熱灯、ファイバー光増幅器及びラマンシフターを含む。本発明の一実施形態において、光源はスーパールミネッセントダイオードを含む。
【0084】
本発明の別の実施形態において、光源14はスーパーコンティニウムレーザー(superconinuum laser)を含む。上記のレーザーによって提供される光又は入射放射線は、その固有の短い可干渉距離のため、より高分解能(即ち、10ミクロン未満の分解能)のOCT画像の取得を容易にする。
【0085】
さらに本発明の別の実施形態において、本発明のOCT装置は、1以上の多素子光学フィルター(multi-element optical filter)(MOE)を含む。本発明において、その1つのフィルター(又は多数のフィルター)は、光源14に組み込むことができるか、あるいは試料経路17等の光路内に配置することができる(図1を参照のこと)。
【0086】
1以上のMOEをOCT装置又は干渉計に組み込むことによって、化学特異的OCTセンサー(及びシステム)が備わり、医薬送達システム等の試料の迅速で高分解能の化学的空間画像が得られるようになる。
【0087】
多素子光学フィルター並びにこれを使用しているシステム及び方法に関連するさらなる詳細は、2006年2月21日に出願され、係属中の米国特許出願第60/775,395号に記載されており、本明細書の全体に参照によって組み込まれる。
【0088】
本発明の一実施形態において、医薬送達システムの構造を分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置(又はOCT装置)を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発する工程であって、その放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、その第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、第一の放射線ビーム経路が医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光を放出することを含み、第二の放射線ビーム経路が参照鏡に向けられる、前記工程、(iii)第一の経路長を変化させる工程、並びに(iv)放出光から医薬送達システムの光学像を構築する工程を含む。
【0089】
本発明の一実施形態において、光干渉断層解析システムは、(i)少なくとも1つの製造プロセスを含む、医薬送達システムを製造する製造手段、及び(ii)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けられるように構成される光源を含む光干渉イメージング装置であって、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光を放出することを含み、その光干渉イメージング装置が医薬送達システムから放出された光を受けるように構成され、その製造中に放出された光から医薬送達システムの光学像をリアルタイムに構築する、前記光干渉イメージング装置を含む。
【0090】
一実施形態において、光干渉断層解析システムは、製造プロセス及び光干渉断層システムと連通する処理機構を含み、その処理機構は放出光に応答して少なくとも1つの制御信号を生成し、その制御信号を製造プロセスに伝送して製造プロセスを調整するように構成される。
【0091】
さらに本発明の別の実施形態において、活性剤等の医薬送達システム中に配置された少なくとも1つの成分の1以上の固体状態の特性は、第二高調波解析を組み込むことによって測定される。上記で示したように、本発明の光干渉第二高調波(「OCTSH」)装置及びシステムは特に、(i)多層錠の層の深さ及び/又は厚さ、並びに(ii)多層錠中に配置された医薬成分の少なくとも1つの固体状態の特性を分析し及び/又は測定するように構成される。一実施形態において、構造及び固体状態の特性の分析は実質的に同時に行われる。
【0092】
図3に、本発明のOCTSH装置40の一実施形態の概略図を示す。図3に示されているように、OCTSH装置40は同様に、光源14、ビームスプリッター16、参照鏡18及び光検出器12を含む。
【0093】
OCTSHシステム40はさらに、光第二高調波を生成する手段を含む。本発明の一実施形態において、その光第二高調波生成手段は、参照経路15中に配置されるKDP結晶42を含む。
【0094】
本発明において、λ/4波板(wave plate; 点線で示され、「43」で表される)も、参照経路15中に配置され、KDP結晶42の後ろに置かれる。当業者に理解されるように、波板43は、参照経路15に沿って伝送される参照光が45°で直線偏光するように調節することができる。これは、直交する直線偏光状態の両方の干渉検出を容易にする。
【0095】
OCTSH装置40はさらに、ダイクロイックミラー44を含む。ダイクロイックミラー44は、好ましくは検出経路19中に配置され、また、反射した光場又は放出光(即ち反射した光信号)と光第二高調波信号(一般的に「45」で表される)を分離するように構成(配置)される。
【0096】
図3に示されているように、反射した光信号は同様に、光検出器12に向けられ、そこで試料(又は多層医薬送達システム)20の少なくとも1つの光学像が光信号から構築される。
【0097】
本発明において、光第二高調波信号はまた、少なくとも1つの検出器(例えば検出器48a)にも向けられ、そこで活性剤等の試料20中に配置された少なくとも1つの成分の少なくとも1つの固体状態の特性が測定される。
【0098】
本発明の一実施形態において、光第二高調波信号45はさらに、偏光ビームスプリッター46によって直交した直線偏光状態(一般的に「47a」及び「47b」で表される)に分離される。47a、47bの各偏光状態は、その後それぞれ検出器48a、48bに向けられる。
【0099】
図4に、本発明のOCTSHシステムの一実施形態を示す。図2に示されているように、OCTSHシステム(一般的に「50」で表される)は、上記で論じたOCTSH装置40等のOCTSH装置を含む。OCTSHシステム50はまた、OCTSH装置40及び製造プロセス(又はその制御)16と連通する処理機構32も含む。本発明において、製造プロセス16は同様に、医薬送達システムの製造に関連する任意の許容可能なプロセス及び/又は方法を含み、これらに限定されないが、造粒、調合及び圧縮を含む。
【0100】
本発明の一実施形態において、製造プロセス16は同様に、少なくとも1つ、好ましくは複数の医薬送達システムを、分析用のOCTSH装置40の近隣に移送するように構成される移送手順又は工程を含む。別の実施形態において、OCTSH装置40は、圧縮サブシステム等の製造サブシステム(又はプロセッシング工程)の近隣に配置され、それによって、上記の製造工程又はプロセスの間又は後に医薬送達システムのOCTSH解析を行うことができる。
【0101】
本発明において、処理機構32は、OCTSH装置40から出力を受けるように構成される。処理機構32はまた、OCTSH40から伝送される出力を処理するように構成され、医薬送達システム等の試料と光場との相互作用の記述を同様に含む。
【0102】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、処理機構32はまた、層の深さ、層の厚さ、結晶構造及び多型状態等の所望の生成された試料及び成分のパラメーターを表示する表示手段(点線で示され、「34」で表される)を含む。
【0103】
処理機構32は同様に、反射した光場及び/又はMOE信号及び/又は光第二高調波信号に応じて少なくとも1つの制御信号を生成し、その制御信号を製造プロセス36に伝送することで、少なくとも1つのその態様を制御するようにさらに構成される。幾つかの実施形態において、処理機構32は、反射した光場及び/又はMOE信号及び/又は光第二高調波信号に応じて複数の制御信号を生成し、伝送するように構成される。例えば、規格外の層の厚さ又は望ましくない結晶構造を有する、錠剤等の医薬送達システムの場合において、処理機構32は、制御信号を生成し、伝送することで、製造プロセスを修正し及び/又はその送達システムを待機ステーション又は廃棄ステーションに転送することができる。
【0104】
当業者には容易に理解されるように、製造プロセス36及びOCTSH装置40はOCTSHシステム50について分離している態様として示されているが、1以上のOCTSH装置40を製造プロセス36中に統合することができる。例えば、想定される本発明の一実施形態において、OCTSH装置は、圧縮システム中に統合され、圧縮後に形成される医薬送達システム(例えば錠剤)の構造及び/又は固体状態の特性を分析できるように配置される。
【0105】
実施の際は、本発明の一実施形態において、少なくとも1つ、好ましくは複数の医薬送達システム、即ち錠剤は、OCTSH解析のために錠剤の形成後、OCTSH装置40の近隣に移送し又は配置される。OCTSH装置からの出力は、制御信号の処理及び生成のため、処理機構32にリアルタイムで伝送され、必要な場合は、それにより製造プロセス36が制御される。
【0106】
従って、本発明の一実施形態において、医薬送達システムを分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発する工程であって、放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、第一の放射線ビーム経路が医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光の放出を含む、前記工程、(iii)放出光から光第二高調波を発生させる工程、(iv)医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性を光第二高調波から測定する工程、並びに(v)医薬送達システムの光学像を放出光から構築する工程を含む。
【0107】
本発明の別の実施形態において、医薬送達システムを分析する方法は、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程、(ii)少なくとも1つの走査角度で放射線ビームを発する工程であって、その放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、第一の放射線ビーム経路が医薬送達システムに向けられ、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光の放出を含む、前記工程、(iii)放出光から第二高調波を発生させる工程、(iv)医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性を光第二高調波から測定する工程、(v)放出光の所定の第一の部分を多光学素子に選択的に通すように構成した第一の多光学素子に放出光を向ける工程であって、第一の光の部分が成分の吸収スペクトルに対応する、前記工程、(vi)医薬送達システムのNIR画像を提供するように構成した第一のNIRカメラに光の第一の部分を向ける工程、並びに(vii)医薬送達システムの光学像を放出光から構築する工程を含む。
【0108】
本発明の一実施形態において、光干渉第二高調波解析システムは、(i)所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けるように構成した光源を有する光干渉イメージング装置であって、それによって放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、光干渉イメージング装置が医薬送達システムからの放出光を受け、放出光から医薬送達システムの光学像を構築するように構成される、前記装置、(ii)放出光と相互作用することで、医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性に対応する光第二高調波を提供するように構成される、光第二高調波を発生させる手段、及び(iii)放出光の所定の第一の部分を多光学素子に選択的に通すように構成した多光学素子であって、第一の光の部分が成分の吸収スペクトルに対応する、前記素子を含む。
【0109】
本発明の別の実施形態において、光干渉第二高調波解析システムは、(i)少なくとも1つの製造プロセスを含む、医薬送達システムを製造する製造手段、及び(ii)光干渉断層システム及び第二高調波システムを有する光干渉第二高調波解析システムであって、光干渉断層システムが所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを医薬送達システムに向けるように構成した光源を含み、それによって、放射線ビームが医薬送達システムと相互作用し、その相互作用が医薬送達システムによる放出光の放出を含み、光干渉断層システムが医薬送達システムから放出光を受け、医薬送達システムの光学像を放出光から構築するように構成され、第二高調波システムが放出光から光第二高調波を発生させる手段を含み、第二高調波システムがその光第二高調波から医薬送達システム中に配置された成分の少なくとも1つの固体状態の特性を測定できるように構成され、医薬送達システムの製造中に、医薬送達システム光学像の構築及び固体状態の特性測定がリアルタイムに行われる、前記システムを含む。
【0110】
本発明の一実施形態において、光干渉第二高調波解析システムは、製造プロセス及び光干渉断層システムと連通する処理機構を含み、処理機構は放出光に応じて少なくとも1つの第一の制御信号を生成し、その第一の制御信号を製造プロセスに伝送することで製造プロセスを調整するように構成される。
【0111】
本発明の一実施形態において、処理機構は光第二高調波に応じて少なくとも1つの第二の制御信号を生成し、その第二の制御信号を製造プロセスに伝送することで製造プロセスを調整するように構成される。
【0112】
一実施形態において、そのシステムは放出光の所定の第一の部分を多光学素子に選択的に通すように構成した多光学素子を含み、第一の光の部分が医薬送達システム中に配置された成分の吸収スペクトルに対応する。
【0113】
本発明の一態様において、上記の医薬送達システム成分は活性剤を含む。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、当業者が、本発明をより明確に理解し、実施できるように提供される。以下の例は、本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではなく、単にその代表的なものが例証されているに過ぎない。
【0115】
実施例1
4種の医薬送達システム、即ち錠剤を調製し、タイムドメインOCT装置により分析した。各試料を以下の表1に要約する。
【表1】

【0116】
表1に記載されているように、試料1は、1層のOpadry(登録商標)イエロー(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化鉄、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80及び二酸化チタン)を有する錠剤からなる。試料2は、3層を有する錠剤からなる;層1及び3はEudragit(登録商標)(ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含み、層2はOpadry(登録商標)オレンジ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、精製滑石、ラクトース一水和物、グリセロールトリアセテート、酸化鉄(赤)及び酸化鉄(黄))を含む。試料3は、1層のOpadry(登録商標)オレンジを有する錠剤からなる。試料4は、3層を有する錠剤からなる;層1はOpadry(登録商標)オレンジを含み、層3はOpadry(登録商標)ブルーを有し、層2はデナグリプチントシレートを含む。
【0117】
2組のOCT画像を作成した。1組目は、レーザーをより深く透過させるために、高レーザーパワー(5mW)で画像取得した。2組目は、コントラストを高めるために、低レーザーパワー(1mW)で画像取得した。
【0118】
試料2の画像は3層構造を明確に反映した。高コントラスト画像を基にして、層の厚さを最外層から最内層に向かって30μm、25μm、45μmと決定した。
【0119】
試料1、試料3及び試料4の高レーザー強度(5mW)における画像によって、厚さが30〜50μmの1つの層が示された。
【0120】
比較のために、顕微鏡画像も作成した。その顕微鏡画像によって、試料は1つの構造であることが確認された。また、その顕微鏡画像によって、試料2は3層構造を有し、試料3は1層構造を有し、試料4は3層構造を有することが示された。
【0121】
図5に、4種の試料のNIR透過スペクトルを示す。適切な厚さのスペクトラロン基準(Spectralon standard)が利用できなかったので、y軸は擬似であることに留意すべきである。
【0122】
正の広域吸収性は、含有成分の化学組成に起因する基本赤外吸光バンドの高調波を表す。一般的に低波数領域におけるスペクトルの鋭い特徴は、透過した光子の数が少なく、信号が主に検出器のノイズとなる、低信号領域を表す。
【0123】
種々の波長源を選択することによって、吸収特性は良好となり、より良好な分解能が得られることも明らかである。
【0124】
OCT装置によって取得され、上記で検討した画像は、OCT解析が錠剤構造の非侵襲的な特性評価を可能とする方法であることを証明している。
【0125】
本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、本発明について種々の変更及び改変をすることで、種々の利用及び条件に適合させることができる。従って、これらの変更及び改変は、適切で、公正であり、特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、医薬送達システムの光学イメージング方法:
所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程;
少なくとも1つの走査角度で該放射線ビームを発する工程であって、該放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、該第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、該第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、該第一の放射線ビーム経路が該医薬送達システムに向けられ、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該第二の放射線ビーム経路が参照鏡に向けられている、前記工程;
該第一の経路長を変化させる工程;及び
該医薬送達システムの光学像を該放出光から構築する工程。
【請求項2】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該放射線ビームの波長が約1000〜2000nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該放射線ビームのバンド幅が約500〜1000 nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該光学像が該医薬送達システムの二次元画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの活性剤を有する医薬送達システムの構造情報及び組成情報を測定する方法であって、該活性剤がある吸収スペクトルを有し、以下の工程を含む、前記方法:
所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程;
少なくとも1つの走査角度で該放射線ビームを発する工程であって、該放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、該第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、該第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、該第一の放射線ビーム経路が該医薬送達システムに向けられ、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該第二の放射線ビーム経路が参照鏡に向けられる、前記工程;
該放出光を第一の多光学素子に向ける工程であって、該第一の多光学素子が、該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が活性剤の前記吸収スペクトルに対応する、前記工程;
該医薬送達システムのNIR画像を提供するように構成した第一のNIRカメラに該光の第一の部分を向ける工程;及び
該放出光から該医薬送達システムの光学像を構築する工程。
【請求項11】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該放射線ビームの波長が約1000〜2000nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
該放射線ビームのバンド幅が約500〜1000nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
該光学像が二次元画像を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
以下の工程を含む、少なくとも1つの成分を有する医薬送達システムの分析方法:
所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程;
少なくとも1つの走査角度で該放射線ビームを発する工程であって、該放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、該第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、該第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、該第一の放射線ビーム経路が該医薬送達システムに向けられ、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含む、前記工程;
該放出光から光第二高調波を発生させる工程;
該医薬送達システム成分の少なくとも1つの固体状態の特性を該光第二高調波から測定する工程;
該医薬送達システムの光学像を該放出光から構築する工程。
【請求項20】
該固体状態の特性が該成分の結晶構造を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該固体状態の特性が該成分の多型状態を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
該光学像が該医薬送達システムの二次元画像を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの成分を有する医薬送達システムを分析する方法であって、該成分がある吸収スペクトルを有し、以下の工程を含む、前記方法:
所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを提供するように構成した光源を有する光干渉イメージング装置を提供する工程;
少なくとも1つの走査角度で該放射線ビームを発する工程であって、該放射線ビームが第一の経路及び第二の経路内に導かれ、該第一の放射線ビーム経路が第一の経路長を有し、該第二の放射線ビーム経路が第二の経路長を有し、該第一の放射線ビーム経路が該医薬送達システムに向けられ、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含む、前記工程;
該放出光から光第二高調波を発生させる工程;
該光第二高調波から該成分の少なくとも1つの固体状態の特性を測定する工程;
該放出光を第一の多光学素子に向ける工程であって、該第一の多光学素子が、該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が該成分の前記吸収スペクトルに対応する、前記工程;
医薬送達システムのNIR画像を提供するように構成した第一のNIRカメラに該光の第一の部分を向ける工程;及び
該放出光から該医薬送達システムの光学像を構築する工程。
【請求項27】
該成分が活性剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
該光学像が該医薬送達システムの二次元画像を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの成分を有する医薬送達システムを分析するための光干渉断層解析システムであって、該成分がある吸収スペクトルを有し、以下を含む、前記システム:
所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを該医薬送達システムに向けるように構成した光源を有する光干渉イメージング装置であって、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該光干渉イメージング装置が該医薬送達システムから放出される光を受け、該放出光から該医薬送達システムの光学像を構築するように構成される、前記装置;及び
多光学素子であって、該第一の多光学素子が該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が該成分の前記吸収スペクトルに対応する、前記素子。
【請求項31】
該成分が活性剤を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項37】
該光学像が該医薬送達システムの二次元画像を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
以下を含む、医薬送達システムの製造中に医薬送達システムを分析する光干渉断層解析システム:
少なくとも1つの製造プロセスを含む、該医薬送達システムを製造する製造手段;及び
光源を含む光干渉イメージング装置であって、該光源が所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを該医薬送達システムに向けるように構成され、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該光干渉イメージング装置が該医薬送達システムからの該放出光を受け、医薬送達システムの製造中に該放出光から該医薬送達システムの光学像をリアルタイムに構築するように構成される、前記装置。
【請求項39】
該光干渉断層解析システムが処理機構を含み、該処理機構が該製造プロセス及び該光干渉断層システムと連通しており、該処理機構が該放出光に応答して少なくとも1つの制御信号を生成し、該制御信号を該製造プロセスに伝送することで該製造プロセスを調整するように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
該医薬送達システムが少なくとも1つの成分を含み、該成分がある吸収スペクトルを有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
該光干渉断層解析システムが多光学素子を含み、該第一の多光学素子が該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が該成分の該吸収スペクトルに対応する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
該成分が活性剤を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項47】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項48】
該光学像が二次元画像を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項49】
少なくとも1つの成分を有する医薬送達システムを分析する光干渉第二高調波解析システムであって、該成分がある吸収スペクトルを有し、以下を含む、前記システム:
光源を有する光干渉イメージング装置であって、該光源が所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを該医薬送達システムに向けるように構成され、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該光干渉イメージング装置が該医薬送達システムからの該放出光を受け、該放出光から該医薬送達システムの光学像を構築するように構成される、前記光干渉イメージング装置;
光第二高調波を発生させる手段であって、該光第二高調波を発生させる手段が該放出光と相互作用することで該成分の少なくとも1つの固体状態の特性に対応する光第二高調波を提供するように構成される、前記手段;及び
多光学素子であって、該第一の多光学素子が該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が該成分の前記吸収スペクトルに対応する、前記光学素子。
【請求項50】
該成分が活性剤を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
該固体状態の特性が該成分の結晶構造を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
該固体状態の特性が該成分の多型状態を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項49に記載のシステム。
【請求項54】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項49に記載のシステム。
【請求項55】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項56】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項57】
該医薬送達システムが錠剤である、請求項49に記載のシステム。
【請求項58】
該光学像が該医薬送達システムの二次元画像を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項59】
以下を含む、医薬送達システムの製造中に医薬送達システムを分析する光干渉第二高調波解析システム:
少なくとも1つの製造プロセスを含む、該医薬送達システムを製造する製造手段;及び
光干渉断層システム及び第二高調波システムを有する光干渉第二高調波解析システムであって、該光干渉断層システムが所定の波長及びバンド幅を有する放射線ビームを該医薬送達システムに向けるように構成した光源を含み、それによって、該放射線ビームが該医薬送達システムと相互作用し、該相互作用が該医薬送達システムにより放出される光の放出を含み、該光干渉断層システムが該医薬送達システムから放出された光を受け、該放出光から該医薬送達システムの光学像を構築するように構成され、該第二高調波システムが該放出光から光第二高調波を発生させる手段を含み、該第二高調波システムが該光第二高調波から該医薬送達システム成分の少なくとも1つの固体状態の特性を測定するように構成され、該医薬送達システムの光学像の該構築及び該固体状態の特性測定が該医薬送達システムの製造中にリアルタイムで行われる、前記システム。
【請求項60】
該光干渉第二高調波解析システムが処理機構を含み、該処理機構が該製造プロセス及び該光干渉断層システムと連通しており、該処理機構が該放出光に応答して少なくとも第一の制御信号を生成し、該第一の制御信号を該製造プロセスに伝送することで、該製造プロセスを調整するように構成される、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
該処理機構が該光第二高調波に応答して少なくとも第二の制御信号を生成し、該第二の制御信号を該製造プロセスに伝送することで、該製造プロセスを調整するように構成される、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
該医薬送達システムが少なくとも1つの成分を含み、該成分がある吸収スペクトルを有する、請求項59に記載のシステム。
【請求項63】
該システムが多光学素子を含み、該第一の多光学素子が該放出光の所定の第一の部分を該第一の多光学素子に選択的に通すように構成され、該第一の光の部分が該成分の該吸収スペクトルに対応する、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
該成分が活性剤を含む、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
該放射線ビームの波長が約750〜2500nmである、請求項59に記載のシステム。
【請求項66】
該放射線ビームのバンド幅が約1000〜2000nmである、請求項59に記載のシステム。
【請求項67】
該光源がスーパールミネッセントダイオードを含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項68】
該光源がスーパーコンティニウムレーザーを含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項69】
該医薬送達システムが錠剤を含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項70】
該光学像が二次元画像を含む、請求項59に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−536039(P2010−536039A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520299(P2010−520299)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/072421
【国際公開番号】WO2009/021092
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(509329523)グラクソスミスクライン エルエルシー (38)
【Fターム(参考)】